JP3412260B2 - 耐衝撃性透明樹脂積層体 - Google Patents

耐衝撃性透明樹脂積層体

Info

Publication number
JP3412260B2
JP3412260B2 JP14967394A JP14967394A JP3412260B2 JP 3412260 B2 JP3412260 B2 JP 3412260B2 JP 14967394 A JP14967394 A JP 14967394A JP 14967394 A JP14967394 A JP 14967394A JP 3412260 B2 JP3412260 B2 JP 3412260B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
methacrylate
polymer
alkyl
alkyl methacrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14967394A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07290657A (ja
Inventor
公司 小倉
義雄 田所
睦英 飴川
総治 野間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP14967394A priority Critical patent/JP3412260B2/ja
Publication of JPH07290657A publication Critical patent/JPH07290657A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3412260B2 publication Critical patent/JP3412260B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタクリレート系樹脂
板とポリカーボネート系樹脂板とを、ビスフェノール型
エポキシ樹脂からなる軟質重合体で接合してなる耐衝撃
性に優れた透明樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】耐衝撃性透明板は、公共施設や運動施設
等のグレージング材、銀行カウンターの仕切り板、防犯
ドアー、各種車両のグレージング材などに使用されてお
り、既に多種多様のものが知られている。これらの中
で、限定された領域に強い衝撃を与える銃弾等から生命
を保護するために使用される耐衝撃性透明板としては、
シリケートガラス板またはポリカーボネート透明樹脂板
等の単一材料からなる透明板、シリケートガラス板また
はメタクリル透明樹脂板のうち少なくとも1種とポリカ
ーボネート透明樹脂板とをメタクリレート系シロップ状
物を用いて接合してなる透明積層板(特開昭 52-100515
号公報)、ポリイソシアネートとポリエステルジオール
との反応生成物である熱可塑性ポリウレタン樹脂製の中
間接合層を介して複数のポリカーボネート樹脂板を接合
した透明積層板(特公昭 59-12520 号公報、特開平 4-3
01448 号公報、特開平 4-361034 号公報)などが代表例
として挙げられる。
【0003】しかしながら、従来から知られている耐衝
撃性透明板は、高性能拳銃に対して十分な防護性能を有
するとは言えず、上記のような組成の耐衝撃性透明板を
防護楯などの目的で使用するには、その厚みを厚くして
耐衝撃性を向上させる必要があった。しかしながら、厚
みを厚くすると、重量の増大などから、実用上多くの問
題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
厚みを著しく厚くすることなく、高性能拳銃などに対し
ても十分な防護性能を有する耐衝撃性透明板を開発すべ
く鋭意検討した結果、多層弾性体を含有するメタクリレ
ート系樹脂板とポリカーボネート系樹脂板とを、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂からなる軟質重合体で接合して
なる透明樹脂積層体が優れた防護性能を有することを見
いだし、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、多層
弾性体0.1〜42wt% を含有してなる厚さ5〜30mm
のメタクリレート系樹脂板と、厚さ3〜15mmのポリカ
ーボネート系樹脂板とを、分子中に少なくとも2個のエ
ポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂および
分子中に少なくとも2個のアミノ基を有する脂肪族炭化
水素系硬化剤を含有する混合物の重合体であるビスフェ
ノール型エポキシ樹脂軟質重合体で接合してなる耐衝撃
性透明樹脂積層体を提供するものである。
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の透明樹脂積層体は、図1に示すように、メタクリ
レート系樹脂板Iとポリカーボネート系樹脂板IIとを、
エポキシ樹脂からなる軟質重合体III で接合したもので
ある。
【0007】本発明の透明樹脂積層体に使用されるメタ
クリレート系樹脂板の原料となるメタクリレート系樹脂
を構成する単量体としては、メチルメタクリレート単量
体、またはメチルメタクリレート単量体と共重合可能な
他の単量体との単量体混合物などが挙げられる。メチル
メタクリレート単量体と共重合可能な他の単量体として
は、例えば、エチルメタクリレート、プロピルメタクリ
レート、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレー
ト等の炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキルメタ
クリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、オク
チルアクリレート等の炭素数1〜8のアルキル基を有す
るアルキルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、
メタクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、グリシ
ジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、または
これらの混合物などが挙げられるが、グリシジルメタク
リレート、グリシジルアクリレート、またはこれらの混
合物を10wt%以下の割合でメチルメタクリレートと混
合した単量体混合物が、後述の軟質重合体との接着強度
が向上することから好ましく用いられる。
【0008】これらの単量体は、公知の乳化重合法、懸
濁重合法、塊状重合法などにより重合される。
【0009】重合反応の際用いられる重合開始剤として
は、例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル、2、2’−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−
ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等のアゾ系化
合物、有機過酸化物とアミン類とを組み合わせたレドッ
クス系の重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤の添
加量は、単量体または単量体混合物に対して、通常0.
01〜1wt%、好ましくは0.01〜0.5wt%である。
【0010】メチルメタクリレート系樹脂の重合反応の
際には、その製造時に一般に用いられる各種の添加剤を
添加してもよく、添加剤としては,紫外線吸収剤、酸化
防止剤、可塑剤、連鎖移動剤剤、着色剤などが挙げられ
る。
【0011】紫外線吸収剤としては、例えば、チヌビン
P(チバガイギー社製品)、スミソーブ 340(住友化学
工業社製品)等のベンゾトリアゾール系や、シーソーブ
101S(シプロ化成社製品)、スミソーブ 110(住友化
学工業社製品)等のベンゾフェノン系化合物、チヌビン
770(チバガイギー社製品)、サノール LS2626(三共
社製品)等のヒンダードアミン系化合物などが挙げられ
る。紫外線吸収剤は、重合体の耐候性向上、重合時の空
気による重合阻害防止などのために添加され、その添加
量は、通常、マトリックス樹脂の1wt%以下、好ましく
は、0.01〜0.2wt%である。
【0012】酸化防止剤としては、例えば、スミライザ
ー BP101(住友化学工業社製品)、スミライザー GM
(住友化学工業社製品)等のフェノール系化合物、マー
ク PEP-8(アデカアーガス社製品)、マーク PEP-24
(アデカアーガス社製品)等のリン系化合物などが挙げ
られる。
【0013】可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレ
ート、ジオクチルフタレート等の芳香族カルボン酸エス
テル、ジオクチルアジペート、アセチルトリブチルシト
レート等の脂肪族多塩基酸エステルなどが挙げられる。
【0014】連鎖移動剤としては、例えば、メチルメル
カプタン、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメル
カプタン等の、直鎖または分岐したアルキルメルカプタ
ン化合物などが挙げられる。
【0015】着色剤としては、例えば、スミプラスト G
reen G、スミプラスト Blue OR(いずれも住友化学工業
社製品)等のアントラキノン系染料、スミプラスト Ora
ngeHRP(住友化学工業社製品)等のペリノン系染料など
が挙げられる。
【0016】また、表面硬度や耐溶剤性を向上させる目
的で、上記単量体または単量体混合物100重量部に対
して、20重量部以下の範囲で架橋剤を使用することも
できる。架橋剤としては、分子中に複数個の重合性不飽
和結合を有するものが用いられ、例えば、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリルなどが挙
げられる。
【0017】次に、メタクリレート系樹脂板に含有され
る多層弾性体について説明する。多層弾性体は、メタク
リレート系樹脂板の耐衝撃性向上のために必要なもので
あって、通常、少なくとも2層構造であり、3層構造で
あってもよい。2層構造の弾性体は、例えば、第一段階
で内核層を構成する単量体混合物を重合させ、第二段階
で外殻層を構成する単量体混合物を重合させる乳化重合
法などにより製造することができ、3層構造の弾性体の
場合も、同様の操作を繰り返すことにより製造すること
ができる。本発明に用いる多層弾性体は、このような内
核層と外殻層を有する弾性体であれば特に制限されるも
のではない。
【0018】2層構造の場合、内核層は、炭素数1〜8
のアルキル基を有するアルキルアクリレート単量体45
〜99.5wt%、芳香族ビニル単量体0〜40wt%、多
官能単量体0〜10wt%、グラフト性単量体0.5〜5w
t%からなる単量体混合物を重合してなる架橋アクリレ
ート系共重合体であることが好ましい。
【0019】ここで、炭素数1〜8のアルキル基を有す
るアルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、オクチルアクリレートなどが
挙げられる。芳香族ビニル単量体としては、例えば、α
−メチルスチレン、クロルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン等の共重合可能なものが挙げられる。多官能単
量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレ
ート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、
1,3−プロピレングリコールジアクリレート等のアル
キレングリコールジアクリレート、エチレングリコール
ジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタア
クリレート等のアルキレングリコールジメタアクリレー
トなどが挙げられる。グラフト性単量体としては、例え
ば、α,β−不飽和カルボン酸やジカルボン酸のアリル
エステル、メタリルエステル、クロチルエステルなどが
挙げられるが、特にアリルメタクリレート、ジアリルメ
タクリレートが好ましい。
【0020】次に、外殻層は、炭素数1〜4のアルキル
基を有するアルキルメタクリレート単量体60〜100
wt%、二重結合を有する他の単量体0〜40wt%からな
るアルキルメタクリレート単量体または単量体混合物を
重合してなるアルキルメタクリレート重合体またはアル
キルメタクリレート共重合体であることが好ましい。
【0021】ここで、炭素数1〜4のアルキル基を有す
るアルキルメタクリレート単量体としては、例えば、メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピル
メタクリレート、ブチルメタクリレートなどが挙げられ
る。二重結合を有する他の単量体としては、例えば、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート等のアルキルア
クリレート、スチレン、アクリロニトリル、メタクリレ
ート、2−ヒドロキシメタクリレート等の共重合可能な
二重結合を有するものが挙げられる。外殻層は、アルキ
ルメタクリレートのみからなる重合体であってもよい
が、アルキルメタクリレートとこれと共重合可能な二重
結合を有する他の単量体との混合物を重合したアルキル
メタクリレート共重合体からなるものが好ましい。
【0022】3層構造の弾性体は、上記2層構造体の内
核層のさらに内側に最内核層が設けられたものであっ
て、この場合には、上記2層構造体の内核層は中間層と
なり、外殻層の組成は上記2層構造体の場合における外
殻層の組成と同じになる。最内核層としては、通常、炭
素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレー
ト60〜99.8wt% 、二重結合を有する他の単量体0
〜40wt%、多官能単量体0〜5wt%、グラフト性単量
体0.2〜2wt% からなる単量体混合物を重合してなる
架橋メタクリレートが使用される。炭素数1〜4のアル
キル基を有するアルキルメタクリレート単量体、二重結
合を有する他の単量体、多官能単量体およびグラフト性
単量体としては、前記と同じものが挙げられる。
【0023】多層弾性体を含有するメタクリレート系樹
脂板は、例えば、メタクリレート系樹脂と多層弾性体と
を押出機などにより溶融、混合するか、またはメタクリ
レート系樹脂を構成する単量体と多層弾性体とを混合し
た後、公知の鋳込み重合法により重合するなどの方法に
より製造することができる。重合の際には、前記の重合
開始剤、各種添加物などを添加してもよい。多層弾性体
を含有するメタクリレート系樹脂板の厚さは、5〜30
mmであるが、好ましくは5〜15mm、さらに好ましくは
8〜13mmである。
【0024】メタクリレート系樹脂板中の多層弾性体の
含量は、0.1〜42wt%、好ましくは5〜25wt%、
さらに好ましくは8〜21wt%である。その含量が0.
1wt%未満では、耐衝撃性向上の効果が認めらない場合
があり、また42wt%を越えると、衝撃を受けた際の変
形が大きくなり、次の層へのエネルギー伝搬量が増大し
て耐衝撃性の低下を招くとともに、衝撃を受けた面が乳
白色となり、透明性が著しく低下するなどの問題が起こ
る場合がある。
【0025】メタクリレート系樹脂板の透明性を維持す
るには、メタクリレート系樹脂とこれに含まれる多層弾
性体との屈折率を合わせることが好ましく、そのために
は、メタクリレート系樹脂板を構成する単量体とこれに
含まれる多層弾性体との組成を調整する方法、またはメ
タクリレート系樹脂板に含まれる多層弾性体の粒子径を
調整する方法などが挙げられるが、これらの方法に制限
されるものではない。例えば、多層弾性体の粒子径につ
いては、特開昭 48-55233 号公報に記載のように、メタ
クリレート系樹脂板の透明性および表面外観と耐衝撃性
能とを両立させるため、0.03〜0.45μm であるこ
とが好ましい。
【0026】次に、ポリカーボネート系樹脂板について
説明する。ポリカーボネート系樹脂板としては、例え
ば、高分子熱可塑性ポリカーボネートなどが挙げられる
が、特にジヒドロキシジアリールアルカンからなるもの
は、耐衝撃性が優れているため好ましく用いられる。ポ
リカーボネート系樹脂板の板厚は3〜15mmであるが、
特に3〜8mmが好ましい。
【0027】本発明の耐衝撃性透明樹脂積層板は、多層
弾性体を含有するメタクリレート系樹脂板とポリカーボ
ネート系樹脂板との間を、ビスフェノール型エポキシ樹
脂からなる軟質重合体で接合することにより製造され
る。
【0028】この接合は、例えば、分子中に少なくとも
2個のエポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹
脂30〜80wt%、分子中に少なくとも2個のアミノ基
を有する脂肪族炭化水素系硬化剤20〜50wt%、非反
応性希釈剤0〜25wt%、反応性希釈剤0〜25wt%か
らなる混合物を多層弾性体を含有するメタクリレート系
樹脂板とポリカーボネート系樹脂板との間に注入し、こ
れを重合して軟質重合体とすることにより行われる。
【0029】ここで、少なくとも2個のエポキシ基を有
するエポキシ樹脂としては、例えば、最も汎用性のある
ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ポリフェノ
ール系、シリコン変性型等のエポキシ樹脂、エピクロル
ヒドリンとポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドのブ
ロック状コポリマーのα、ω−グリコールなどとの反応
により得られるエポキシ樹脂、またはこれらの混合物な
どが挙げられるが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と
ビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物が好ましく
用いられ、特にビスフェノールF型エポキシ樹脂の含量
が高いものは、透明性、樹脂粘度の低減化、常温での可
とう性において好ましい。
【0030】少なくとも2個のアミノ基を有する脂肪族
炭化水素系の硬化剤としては、例えば、ポリメチレンジ
アミン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族ジアミン、ジ
エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,2
−置換ジアミン、置換ポリアミン、ジメチルアミノプロ
ピルアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイ
ミノプロピルアミン等の直鎖または分岐した脂肪族ポリ
アミン、メンタンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘ
キサン等の脂環式ポリアミンなどが挙げられるが、特に
ポリエーテルジアミンが、低粘度で着色も少なく、硬化
物に可とう性を付与せしめるためにも好ましい。
【0031】非反応性希釈剤は、重合前に粘度を低下さ
せ、硬化物に可とう性を付与する目的でエポキシ樹脂に
添加されることが好ましい。非反応性希釈剤としては、
例えば、キシレン、グリコール等の高沸点溶剤、フタル
酸エステル等の可塑剤などが挙げられる。
【0032】反応性希釈剤としては、例えば、スチレン
オキサイド、オクチレンオキサイド等のモノエポキシ化
合物、ジグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシジ
ルエーテル等のポリエポキシ化合物などが挙げられる。
【0033】また、重合硬化速度を促進させる目的で、
フェノール、クロルフェノール、ビスフェノールA、レ
ゾルシノール、フェノール樹脂、サリチル酸、トリフェ
ニルホスファイト等の硬化促進剤を上記の硬化剤100
重量部に対して5〜25重量部添加してもよい。
【0034】さらに、重合硬化反応の際には、各種の添
加剤を添加してもよく、添加剤としては、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。紫外線吸収剤
としては、例えば、前記のベンゾフェノン系化合物、ヒ
ンダードアミン系化合物などが挙げられる。
【0035】酸化防止剤としては、例えば、前記のフェ
ノール系化合物、前記のリン系化合物、亜リン酸水素2
ナトリウム・5水和物、次亜リン酸ナトリウム等の無機
系のリン酸塩などが挙げられる。
【0036】着色剤としては、例えば、前記のアントラ
キノン系染料、前記のペリノン系染料、フルオレセイ
ン、チオフラビン、エオシン、ローダミン、クマリン、
イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、カルバゾ
ール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン、ジアミノ
スチルベンジスルホン酸、およびこれらの誘導体等の蛍
光増白染料などが挙げられる。
【0037】軟質重合体は、通常、重合温度20〜15
0℃で10〜20時間かけて昇温して重合硬化せしめる
が、特に、重合温度20〜80℃で10〜15時間かけ
て昇温して重合硬化せしめるのが好ましい。ここで、重
合温度が20℃未満では硬化不十分となる場合があり、
重合温度が150℃を超えると、メチルメタクリレート
樹脂板またはポリカーボネート樹脂板が流動する場合が
ある。
【0038】軟質重合体は、多層弾性体を含有するメタ
クリレート系樹脂板とポリカーボネート系樹脂板との間
に、軟質重合体の原料を注入して重合する注型重合など
の方法により製造することができる。この注型重合で製
造する際に使用される鋳型としては、特に限定されるも
のではなく、例えば、2枚の対向する上記透明樹脂板の
両方の面の間に軟質塩化ビニールホースやテープ等の軟
質シール材を挟むことにより構成される鋳型などが挙げ
られる。
【0039】軟質重合体の厚みは、メチルメタクリレー
ト樹脂板とポリカーボネート樹脂板との両方の面の間に
挟まれた軟質シール材の厚みにより調整することが可能
であり、その厚みは、通常、0.1〜4.0mm、特に1.
0〜3.0mmが好ましい。厚みが0.1mm未満では、軟質
重合体の重合時にムラが発生する場合があり、4mmを超
えて厚くすると、全体の重量が増大し、材料の使用量が
多くなり、実用上問題を生じる場合がある。
【0040】このようにして製造されるビスフェノール
型エポキシ樹脂からなる軟質重合体は、ガラス転移温度
が−50〜30℃の範囲にあることが好ましく、特に−
20〜20℃の範囲にあることが好ましい。また、軟質
重合体は、引張試験(JIS K6251)において、5〜15
0kgf/cm2 の範囲で100%モジュラスであることが好
ましく、この範囲をはずれると、軟質重合体層を有する
透明樹脂積層体が優れた耐衝撃性を発現することができ
ない場合がある。ここで、100%モジュラスとは、ゴ
ム状弾性を有する材料の物性試験において試験片に10
0%の伸びを与えたときの引張応力をいう。
【0041】本発明の透明樹脂積層板の形状は特に限定
されるものではなく、平板のみならず、予め任意の曲率
半径にて熱成形した2枚の対向する前記透明樹脂板の間
に、軟質重合体の原料単量体を注入して重合する注型重
合により製造された曲面板などの種々の形状のものが挙
げられる。なお、これらの透明樹脂積層体の両面または
片面に、硬度処理、防曇処理などの、通常用いられる一
般的な処理を施してもよく、また、表面に衝撃を受けた
際に該透明樹脂積層板材の飛散を防止する目的で、例え
ば、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等
のフィルムを貼合するなどの処理を施してもよい。さら
には、透明樹脂積層体を構成するメタクリレート系樹脂
板の軟質中間層との接触面にプライマー処理を施すこと
によっても、該透明樹脂積層板材の飛散を防止すること
が可能である。
【0042】
【発明の効果】本発明の透明樹脂積層体は、限定された
領域に強い衝撃を与える銃弾等に対して十分な防護性能
を有し、しかもその厚みを著しく厚くする必要がないた
め、防弾面、防弾楯、各種車両のグレージング材、金融
機関カウンターの仕切り板、防犯ドアー、公共施設や運
動施設等のグレージング材などに利用することが可能と
なる。
【0043】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明が実施例により限定されるものでな
いことは言うまでもない。なお、本発明における衝撃エ
ネルギーの測定は、以下に説明する耐衝撃試験法を用い
て実施した。
【0044】〔耐衝撃試験法〕 透明樹脂積層板面に衝撃エネルギーが掛かる最も厳しい
条件は、銃弾による衝撃エネルギーである。銃弾は、そ
の重量が110グレイン、10m離れた所から発射され
た場合の弾速は450m/秒である。この銃弾が持つ全
運動エネルギーが、破壊のためのエネルギーとなり、そ
のエネルギーは750J(ジュール)にも達する。そこ
で、このレベルのエネルギーに耐えうる透明樹脂積層板
を開発することを目的とし、その試験機として、同レベ
ルのエネルギーを樹脂板に与えることができる図2に示
すような衝撃試験機を製作した。
【0045】図2に示すように、支持台5上に載置され
た積層板試験片4のメタクリル系樹脂板側に、支持棒1
の先端にある打ち抜き刃3を介して30kgの荷重2を上
方から落下させることにより試験片4に衝撃を与えて、
耐衝撃試験を行った。耐衝撃試験に用いる打ち抜き刃3
は、先端が2mmRのステンレス製のものとした。この耐
衝撃試験における試験片の形状と支持状態は、図3に示
すとおりである。この場合のエネルギーは、いうまでも
なく、図2に示す荷重2の重量と高さと重力加速度の積
で表現され、衝撃を最初に受ける面であるメタクリル系
樹脂が割れ、刃3が中間軟質接合層を通って、衝撃裏面
層のポリカーボネート系樹脂板に到達したとき、このエ
ネルギーを衝撃破壊エネルギーと定義した。この衝撃破
壊エネルギーが750J以上のものが、銃弾による衝撃
に耐えうるものと判断した。以下の実施例1〜2および
比較例1〜3では、100mm四方の試験片を耐衝撃試験
に供した。
【0046】実施例1 多層弾性体を含有したメチルメタクリレート系鋳込み
板の製造第一段階でブチルアクリレート76.0wt%、
スチレン20.0wt%、トリエチレングリコール2.0wt
%、アリルメタクリレート2.0wt%の単量体混合物を
重合させ、第二段階でメチルメタクリレート単量体を重
合させる乳化重合で多層構造弾性体を得たのち、このア
クリル系多層弾性体10wt%をメチルメタクリレート9
0wt%に混合し、2、2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル0.1重量部を添加し、公知のメタクリル樹脂板鋳込
み製造法にて80℃で10時間重合させ、さらに110
℃で1時間熱処理して、10mm厚のメチルメタクリレー
ト系鋳込み板を製造した。
【0047】ビスフェノール型エポキシ樹脂からなる
軟質重合体の原料組成(表1)
【表1】 ───────────────────────── 主剤 :ビスフェノールF型エポキシ樹脂 42.5 wt % ビスフェノールA型エポキシ樹脂 7.5 wt % ───────────────────────── 硬化剤:ポリエーテルアミン系硬化剤 50.0 wt % (ポリオキシプロピレンジアミン) ─────────────────────────
【0048】透明樹脂積層板の作製 上記の方法にて製造した板厚10mmで300mm四方の
メチルメタクリレート鋳込み板と、板厚6mmで300mm
四方のポリカーボネート樹脂板(商品名ポリカエース E
CK100 、筒中プラスチック工業社製品)とを対向させ、
その面の間に2mm厚の軟質塩化ビニールホースを挟むこ
とにより構成される鋳型の中空部に、に示した組成の
ビスフェノール型エポキシ樹脂からなる軟質重合体の原
料単量体を注入し、10時間かけて20℃から80℃ま
で昇温させて重合硬化せしめて、樹脂積層板を製造し
た。この樹脂積層板について耐衝撃試験を実施した。結
果を表2に示す。
【0049】実施例2 多層弾性体を含有したメチルメタクリレート系板状鋳込
み板の板厚を15mmとする以外は、実施例1に準拠して
実施した。結果を表2に示す。
【0050】比較例1 多層弾性体を含有した板厚4mmのメチルメタクリレート
系板状鋳込み板を用いること以外は、実施例1に準拠し
て実施した。結果を表2に示す。
【0051】比較例2 板厚6mmのポリカーボネート樹脂板(商品名ポリカエー
ス ECK100 、筒中プラスチック工業社製品)3枚を溶剤
(ジクロロメタン)で接着して、板厚18mmのポリカー
ボネート樹脂板を製造した。この樹脂積層板について耐
衝撃試験を実施した。結果を表2に示す。
【0052】比較例3 板厚18mmのシリケートガラスについて耐衝撃試験を実
施した。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】銃弾のエネルギーを750Jとして耐衝撃
性能の評価を実施した。実施例1〜2の透明樹脂積層板
は、750J以上の衝撃破壊エネルギーに耐えうるの
で、銃弾による破壊に対して十分耐えることができる。
これに対して、比較例1の透明樹脂積層板及び比較例3
のシリケートガラス単一板では、衝撃破壊エネルギーは
750J以下となるため、銃弾による破壊に対して耐え
ることはできない。比較例2のポリカーボネート単一板
では、750J以上の衝撃破壊エネルギーに耐えうる
が、衝撃により板自身に大きな変形が発生するため、繰
り返し使用ができないなど、実用上問題がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明樹脂積層体の断面図である。
【図2】衝撃試験機の略図である。
【図3】衝撃試験に供試した試験片の形状の略図であ
る。
【符号の説明】
〔図1〕 I 多層弾性体を含有したメチルメタクリレート系重
合体 II ポリカーボネート樹脂板 III 軟質エポキシ樹脂 〔図2〕 1 支持棒 2 荷重(30kg) 3 打ち抜き刃 4 試験片 5 試験片支持台 〔図3〕 試験片 打ち抜き刃の接点 試験片支持部(100mmφ)
フロントページの続き (72)発明者 野間 総治 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−361034(JP,A) 特開 昭58−76267(JP,A) 特表 昭55−500982(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多層弾性体0.1〜42wt% を含有してな
    る厚さ5〜30mmのメタクリレート系樹脂板と厚さ3〜
    15mmのポリカーボネート系樹脂板とを、分子中に少な
    くとも2個のエポキシ基を有するビスフェノール型エポ
    キシ樹脂および分子中に少なくとも2個のアミノ基を有
    する脂肪族炭化水素系硬化剤を含有する混合物の重合体
    であるビスフェノール型エポキシ樹脂軟質重合体で接合
    してなることを特徴とする耐衝撃性透明樹脂積層体。
  2. 【請求項2】ビスフェノール型エポキシ樹脂軟質重合体
    が、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するビス
    フェノール型エポキシ樹脂30〜80wt%、分子中に少
    なくとも2個のアミノ基を有する脂肪族炭化水素系硬化
    剤20〜50wt%、非反応性希釈剤0〜25wt%、反応
    性希釈剤0〜25wt%からなる混合物の重合体である請
    求項1記載の耐衝撃性透明樹脂積層体。
  3. 【請求項3】多層弾性体が、炭素数1〜8のアルキル基
    を有するアルキルアクリレート単量体45〜99.5wt
    % 、芳香族ビニル単量体0〜40wt%、多官能単量体
    0〜10wt%、グラフト性単量体0.5〜5wt% からな
    る単量体混合物を重合してなる架橋アクリレート系共重
    合体からなる内核層と、炭素数1〜4のアルキル基を有
    するアルキルメタクリレート単量体60〜100wt%、
    二重結合を有する他の単量体0〜40wt%からなるアル
    キルメタクリレート単量体または単量体混合物を重合し
    てなるアルキルメタクリレート重合体またはアルキルメ
    タクリレート共重合体からなる外層との少なくとも2
    層構造からなる重合体である請求項1記載の耐衝撃性透
    明樹脂積層体。
  4. 【請求項4】多層弾性体が、炭素数1〜4のアルキル基
    を有するアルキルメタクリレート単量体60〜99.8w
    t% 、二重結合を有する他の単量体0〜40wt%、多官
    能単量体0〜5wt%、グラフト性単量体0.2〜2wt%
    からなる単量体混合物を重合してなる架橋メタクリレー
    ト系共重合体からなる最内核層と、炭素数1〜8のアル
    キル基を有するアルキルアクリレート単量体45〜9
    9.5wt% 、芳香族ビニル単量体0〜40wt%、多官能
    単量体0〜10wt%、グラフト性単量体0.5〜5wt%
    からなる単量体混合物を重合してなる架橋アクリレート
    系共重合体からなる中間層と、炭素数1〜4のアルキル
    基を有するアルキルメタクリレート単量体60〜100
    wt%、二重結合を有する他の単量体0〜40wt%からな
    るアルキルメタクリレート単量体または単量体混合物を
    重合してなるアルキルメタクリレート重合体またはアル
    キルメタクリレート共重合体からなる最外層との3層
    構造からなる重合体である請求項1記載の耐衝撃性透明
    樹脂積層体。
JP14967394A 1993-07-01 1994-06-30 耐衝撃性透明樹脂積層体 Expired - Fee Related JP3412260B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14967394A JP3412260B2 (ja) 1993-07-01 1994-06-30 耐衝撃性透明樹脂積層体

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16356493 1993-07-01
JP21051493 1993-08-25
JP3250194 1994-03-02
JP6-32501 1994-03-02
JP5-163564 1994-03-02
JP5-210514 1994-03-02
JP14967394A JP3412260B2 (ja) 1993-07-01 1994-06-30 耐衝撃性透明樹脂積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07290657A JPH07290657A (ja) 1995-11-07
JP3412260B2 true JP3412260B2 (ja) 2003-06-03

Family

ID=27459629

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14967394A Expired - Fee Related JP3412260B2 (ja) 1993-07-01 1994-06-30 耐衝撃性透明樹脂積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3412260B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07290657A (ja) 1995-11-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4594290A (en) Impact resistant laminate
US4683172A (en) Method for making safety or impact resistant laminates
JP3433892B2 (ja) 加工性良好なアクリルフィルム、およびそのアクリルフィルムを積層した成形品
JP2002514533A5 (ja)
CA1149986A (en) Poly (acrylate) containing composition and process for producing molded articles
US6387477B1 (en) Transparent laminate
US4201828A (en) Impact resistant safety glass panel
US9399335B2 (en) Adhesive for producing composite bodies, a plastic glass composite or composite glass for architecture and construction
JPH08252897A (ja) 改良された耐衝撃性積層体
JPS6226908B2 (ja)
US5773139A (en) Impact resistant transparent resin laminate
JP3412260B2 (ja) 耐衝撃性透明樹脂積層体
US5523168A (en) Transparent composite plate system
JP3412237B2 (ja) 耐衝撃性透明樹脂積層体
JPH07112515A (ja) 耐衝撃性透明樹脂積層体
EP0631863B1 (en) Impact resistant transparent resin laminate
JP2004188764A (ja) 積層透明板
JP3054748B2 (ja) 合成樹脂製安全ガラスおよびその製造法
JP3535410B2 (ja) 積層透明板
US4894282A (en) Safety impact resistant laminates having improved interlayer materials
EP0771912B1 (en) Antifragmentation plates of polymethylmethacrylate
JP2011140774A (ja) 透明遮音板
JP3391523B2 (ja) 透明遮音板
JP2020062749A (ja) 積層体及び工作機械用安全ガラス
JP3391524B2 (ja) 透明遮音積層板

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090328

Year of fee payment: 6

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D05

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090328

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100328

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110328

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120328

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees