JPH07112515A - 耐衝撃性透明樹脂積層体 - Google Patents

耐衝撃性透明樹脂積層体

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JPH07112515A
JPH07112515A JP6032502A JP3250294A JPH07112515A JP H07112515 A JPH07112515 A JP H07112515A JP 6032502 A JP6032502 A JP 6032502A JP 3250294 A JP3250294 A JP 3250294A JP H07112515 A JPH07112515 A JP H07112515A
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JP
Japan
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monomer
methacrylate
alkyl
polymer
carbon atoms
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Application number
JP6032502A
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English (en)
Inventor
Koji Ogura
公司 小倉
Yoshio Tadokoro
義雄 田所
Mutsuhide Amekawa
睦英 飴川
Soji Noma
総治 野間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】少なくとも2層構造の多層弾性体0.1−42
wt%を含有してなる厚さ5−30mmのメチルメタク
リレート樹脂板と厚さ3−15mmのポリカーボネート
樹脂板とを、アクリル系樹脂からなる軟質重合体で接合
してなる透明樹脂積層体。 【効果】本発明の組成の透明樹脂積層体は、限定された
領域に強い衝撃を与える銃弾等に対して十分な防護性能
を有し、しかもその厚みを著しく厚くする必要がないた
め、防弾面、防弾楯、各種車両のグレージング材、金融
機関カウンターの仕切り板、防犯ドアー、公共施設、運
動施設等のグレージング材などに利用することが可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタクリレート系樹脂
板とポリカーボネート系樹脂板とを、アクリル系樹脂か
らなる軟質重合体で接合してなる耐衝撃性透明樹脂積層
体に関する。
【0002】
【従来の技術】耐衝撃性透明板は、公共施設、運動施設
等のグレージング材、銀行カウンターの仕切り板、防犯
ドアーまたは各種車両のグレージング材等に使用されて
おり、既に多種多様のものが知られている。これらの中
で、限定された領域に強い衝撃を与える銃弾等から生命
を保護するために使用される耐衝撃性透明板としては、
シリケートガラス板またはポリカーボネート透明樹脂板
等の単一材料からなる透明板、シリケートガラス板また
はメタクリル透明樹脂板のうち少なくとも1種とポリカ
ーボネート透明樹脂板とをメタクリレート系シロップ状
物を用いて接合してなる透明積層板(特開昭52−10
0515)、ポリイソシアネートとポリエステルジオー
ルとの反応生成物である熱可塑性ポリウレタン樹脂製の
中間接合層を介して複数のポリカーボネート樹脂板を接
合してなる透明積層板(特公昭59−12520、特開
平4−301448、特開平4−361034)などが
代表例として挙げられる。
【0003】しかしながら、従来から知られている耐衝
撃性透明板は、高性能拳銃に対して十分な防護性能を有
するとは言えず、上記のような組成の耐衝撃性透明板を
防護楯などの目的で使用するには、その厚みを厚くして
耐衝撃性を向上させる必要があった。しかしながら、厚
みを厚くすると、重量の増大などから実用上、多くの問
題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
厚みを著しく厚くすることなく、高性能拳銃などに対し
ても十分な防護性能を有する耐衝撃性透明板を開発すべ
く鋭意検討した結果、多層弾性体を含有するメタクリレ
ート系樹脂板とポリカーボネート系樹脂板とを、アクリ
ル系樹脂からなる軟質重合体で接合してなる透明樹脂積
層体が優れた防護性能を有することを見いだし、本発明
を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、多層弾
性体0.1〜42wt%を含有してなる厚さ5〜30m
mのメタクリレート系樹脂板と厚さ3〜15mmのポリ
カーボネート系樹脂板とを、アクリル系樹脂からなる軟
質重合体で接合してなる耐衝撃性透明樹脂積層体を提供
するものである。
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明に使用されるメタクリレート系樹脂板の原料となる
メタクリレート系樹脂を構成する単量体としては、メチ
ルメタクリレート単量体、またはメチルメタクリレート
単量体と共重合可能な他の単量体との単量体混合物など
が挙げられる。
【0007】メチルメタクリレート単量体と共重合可能
な他の単量体としては、例えば、エチルメタクリレー
ト、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、
オクチルメタクリレート等の炭素数2〜8のアルキル基
を有するアルキルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、オクチルアクリレート等の炭素数1〜
8のアルキル基を有するアルキルアクリレート、メタク
リル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、アクリルアミ
ド、スチレン、グリシジルメタクリレート、グリシジル
アクリレート、またはこれらの混合物などが挙げられ
る。
【0008】これらの単量体は、公知の乳化重合法、懸
濁重合法、塊状重合法などの方法により重合される。
【0009】重合反応の際、用いられる重合開始剤とし
ては、例えば、ラウロイルパ−オキサイド、ベンゾイル
パ−オキサイド等の有機過酸化物、2、2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2、2’−アゾビス(2、4ジメ
チルバレロニトリル)、2、2’−アゾビス(2、4ジ
メチル−4−メトキシバレロニトリル)等のアゾ系化合
物、有機過酸化物とアミン類とを組み合わせたレドック
ス系の重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤の添加
量は、単量体、または単量体混合物に対して、通常、
0.01〜1重量部、好ましくは、0.01〜0.5重
量部である。
【0010】メチルメタクリレート系樹脂の重合反応の
際には、その製造時に一般に用いられる各種の添加剤を
添加してもよく、添加剤としては紫外線吸収剤、酸化防
止剤、可塑剤、連鎖移動剤剤、着色剤等が挙げられる。
【0011】紫外線吸収剤としては、例えば、チヌビン
P(チバガイギ(製))、スミソ−ブ340(住友化学
工業(製)等のベンゾトリアゾ−ル系やシ−ソ−ブ10
1S(シプロ化成(製))、スミソ−ブ110(住友化
学工業(製))等のベンゾフェノン系化合物、チヌビン
770(チバガイギ(製))、サノ−ルLS2626
(三共(製))等のヒンダ−トアミン系化合物などが挙
げられる。紫外線吸収剤は、重合体の耐候性向上、重合
時の空気による重合阻害防止などのために添加され、そ
の添加量は、通常、マトリックス樹脂の1wt%以下、
好ましくは、0.01〜0.2wt%である。
【0012】酸化防止剤としては、例えば、スミライザ
−BP101(住友化学工業(製))、スミライザ−G
M(住友化学工業(製))等のフェノ−ル系化合物、マ
−クPEP−8(アデカ(製))、マ−クPEP−24
(アデカ(製))等のリン系化合物などが挙げられる。
【0013】可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレ
−ト、ジオクチルフタレ−ト等の芳香族カルボン酸、ジ
オクチルアジペ−ト、アセチルトリブチルシトレ−ト等
の脂肪族多塩基酸エステルなどが挙げられる。
【0014】連鎖移動剤としては、例えば、メチルメル
カプタン、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメル
カプタン等の直鎖、または分岐したアルキルメルカプタ
ン化合物などが挙げられる。
【0015】着色剤としては、例えば、スミプラストG
reenG、スミプラストBlueOR(いずれも住友
化学工業(製))等のアントラキノン系染料、スミプラ
ストOrangeHRP(住友化学工業(製))等のペ
リノン系染料などが挙げられる。
【0016】また表面硬度や耐溶剤性を向上させる目的
で上記単量体、または単量体混合物100重量部に対し
て、20重量部以下の範囲で架橋剤を使用することもで
きる。架橋剤としては、分子中に複数個の重合性不飽和
結合を含むものが用いられ、例えば、エチレングリコ−
ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ル
ジ(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジ(メ
タ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルタントリ(メタ)ア
クリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アク
リレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリ
レ−ト、(メタ)アクリル酸アリルなどが挙げられる。
【0017】次に、メタクリレート系樹脂板に含有され
る多層弾性体について説明する。多層弾性体は、メタク
リレート系樹脂板の耐衝撃性向上のために必要であり、
通常、少なくとも2層構造で、3層構造であってもよ
い。2層構造の弾性体は、例えば、第一段階で内核層を
構成する単量体混合物を重合させ、第二段階で外核層を
構成する単量体混合物を重合させる乳化重合法などによ
り製造することができ、3層構造の弾性体の場合も同様
の操作を繰り返すことにより製造することができる。本
発明の多層弾性体は、このような内外核層を有する弾性
体であれば特に制限されるものではない。
【0018】内核層は、炭素数1〜8のアルキル基を有
するアルキルアクリレート単量体45〜99.5wt
%、芳香族ビニル単量体0〜40wt%、多官能単量体
0〜10wt%、グラフト性単量体0.5〜5wt%か
らなる単量体混合物を重合してなる架橋アクリレート系
共重合体であることが好ましい。
【0019】ここで、炭素数1〜8のアルキル基を有す
るアルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート等が挙
げられる。芳香族ビニル単量体としては、例えば、α−
メチルスチレン、クロルスチレン、p−tert−ブチ
ルスチレン等の共重合可能なものが挙げられる。多官能
単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリ
レート、1,2−プロピレングリコールジアクリレー
ト、1,3−プロピレングリコールジアクリレート等の
アルキレングリコールジアクリレート、エチレングリコ
ールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメ
タアクリレート等のアルキレングリコールジメタアクリ
レートなどが挙げられる。グラフト性単量体としては、
例えば、α,β−不飽和カルボン酸、ジカルボン酸のア
リルエステル、メタリルエステル、クロチルエステルな
どが挙げられるが、特にアリルメタクリレート、ジアリ
ルメタクリレートが好ましい。
【0020】次に、外核層は、炭素数1〜4のアルキル
基を有するアルキルメタクリレート単量体60〜100
wt%、二重結合を有する単量体0〜40wt%からな
るアルキルメタクリレート単量体または単量体混合物を
重合してなるアルキルメタクリレート重合体またはアル
キルメタクリレート共重合体からなる重合体であること
が好ましい。
【0021】ここで、炭素数1〜4のアルキル基を有す
るアルキルメタクリレート単量体としては、例えば、メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピル
メタクリレート、ブチルメタクリレート等が挙げられ
る。二重結合を有する単量体としては、例えば、メチル
アクリレート、エチルアクリレート等のアルキルアクリ
レート、スチレン、アクリロニトリル、メタクリレー
ト、2−ヒドロキシメタクリレートなどの共重合可能な
二重結合を有するものが挙げられる。外核層は、アルキ
ルメタクリレートのみからなる重合体であってもよい
が、アルキルメタクリレートとこれと共重合可能な二重
結合を有する単量体との混合物を重合したアルキルメタ
クリレート共重合体からなるものが好ましい。
【0022】3層構造の弾性体は、上記2層構造体の内
核層のさらに内側に最内核層が設けられたものであっ
て、この場合には上記2層構造体の内核層は中間層とな
り、外核層の組成は上記2層構造体の場合の外核層の組
成と同じとなる。最内核層としては、通常、炭素数1〜
4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート60〜
99.8wt%、二重結合を有する単量体0〜40wt
%、多官能単量体0〜5wt%、グラフト性単量体0.
2〜2wt%からなる単量体混合物を重合してなる架橋
メタクリレートが使用される。炭素数1〜4のアルキル
基を有するアルキルメタクリレート単量体、二重結合を
有する単量体、グラフト性単量体としては、前記と同じ
ものが挙げられる。
【0023】多層弾性体を含有するメタクリレート系樹
脂板は、例えば、メタクリレート系樹脂と多層弾性体と
を押出機などにより溶融、混合するか、またはメタクリ
レート系樹脂を構成する単量体と多層弾性体とを混合し
た後、公知の鋳込み重合法により重合するなどの方法に
より製造することができる。重合の際には、前記の重合
開始剤、各種添加物などを添加してもよい。多層弾性体
を含有するメタクリレート系樹脂板の厚さは、通常、5
〜30mm、好ましくは5〜15mm、更に好ましくは
8〜13mmである。
【0024】メタクリレート系樹脂板中の多層弾性体の
含量は、0.1〜42wt%、好ましくは5〜25wt
%、更に好ましくは8〜21wt%である。含量が0.
1wt%以下では耐衝撃性向上の効果が認めらない場合
があり、また42wt%を越えると、衝撃を受けた際の
変形が大きくなり、次の層へのエネルギー伝搬量が増大
して耐衝撃性の低下を招くとともに、衝撃を受けた面が
乳白色となり透明性が著しく低下するなどの問題が起こ
る場合がある。
【0025】メタクリレート系樹脂板の透明性を維持す
るには、メタクリレート系樹脂とこれに含まれる多層弾
性体との屈折率を合わせることが好ましく、そのために
は、メタクリレート系樹脂板を構成する単量体とこれに
含まれる多層弾性体との組成を調整する方法、またはメ
タクリレート系樹脂板に含まれる多層弾性体の粒子径を
調整する方法などが挙げられるが、これらの方法に制限
されるものではない。例えば、多層弾性体の粒子径につ
いては、特開昭48−55233号に記載のようにメタ
クリレート系樹脂板の透明性および表面外観と耐衝撃性
能とを両立させるため、0.03〜0.45μmである
ことが好ましい。
【0026】次に、ポリカ−ボネ−ト系樹脂板について
説明する。ポリカ−ボネ−ト系樹脂板としては、例え
ば、高分子熱可塑性ポリカ−ボネ−トなどが挙げられる
が、特にジヒドロキシジアリールアルカンからなるもの
が耐衝撃性が優れているため好ましく用いられる。ポリ
カ−ボネ−ト系樹脂板の板厚は、通常、3〜15mmで
あり、特に3〜8mmが好ましい。
【0027】本発明の耐衝撃性透明樹脂積層体は、メタ
クリレート系樹脂板とポリカ−ボネ−ト系樹脂板との間
をアクリル系樹脂からなる軟質重合体で接合することに
より製造される。この接合は、アクリル系単量体または
その部分重合体77〜98.9wt%、可塑剤1〜20
wt%、多官能性単量体0.1〜3.0wt%からなる
混合物をメタクリレート系樹脂板とポリカ−ボネ−ト系
樹脂板との間に注入し、これを重合して軟質重合体とす
ることにより行われる。
【0028】ここで、アクリル系単量体は、炭素数5〜
8のアルキル基を有するアルキルメタクリレート50〜
100wt%、炭素数1〜8のアルキル基を有するアル
キルアクリレート0〜10wt%、炭素数1〜4のアル
キル基を有するアルキルメタクリレート0〜40wt%
からなることが好ましい。
【0029】炭素数5〜8のアルキル基を有するアルキ
ルメタクリレートとしては、例えば、アミルメタクリレ
ート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられ
る。炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリ
レートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、オクチルアクリレート等が挙げられる。炭素数1
〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートとし
ては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート等が挙げられる。
【0030】可塑剤としては、例えば、フタル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、ジメチルフタレ−ト、ジオクチル
フタレ−ト、ジオクチルアジピネ−ト、ジオクチルセバ
シネ−ト、アセチルトリブチルシトレ−ト等のメタクリ
ル系樹脂用の公知の外部可塑剤などが挙げられる。
【0031】多官能性単量体としては、例えば、ジビニ
ルベンゼン、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ブ
チレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプ
ロパントリアクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ
アクリレ−ト等のメタクリル系樹脂用の公知の共重合性
多官能性単量体などが挙げられる。外部可塑剤および共
重合性多官能性単量体は、アクリル系樹脂からなる軟質
重合体中に少なくとも一種以上含有されていることが好
ましい。
【0032】アクリル系樹脂からなる軟質重合体は、ア
クリル系単量体またはその部分重合体、可塑剤、多官能
性単量体からなる混合物に適当な重合開始剤を添加して
重合硬化することにより製造することができる。
【0033】添加される重合開始剤としては、レドック
ス系が好ましく、例えば、有機過酸化物とハロゲン原子
を含有する還元性化合物との組み合わせなどが挙げられ
る。重合開始剤の添加量は、該単量体またはその部分重
合体に対して有機過酸化物を0.2〜2.0重量部、ハ
ロゲン原子を含有する還元性化合物を0.05〜0.5
重量部が好ましい。このアクリル系単量体またはその部
分重合体の重合硬化条件としては、通常、重合温度10
〜100℃で2〜20時間かけて昇温して硬化せしめる
が、特に重合温度20〜80℃で8〜15時間かけて昇
温して硬化せしめることが好ましい。
【0034】重合反応の際には、メタクリレ−ト系重合
体製造時などに一般に用いられる各種の添加剤を添加し
てもよく、添加剤としては紫外線吸収剤、酸化防止剤、
連鎖移動剤剤、着色剤等が挙げられる。
【0035】紫外線吸収剤としては、例えば、前記のベ
ンゾフェノン系化合物、ヒンダ−トアミン系化合物など
が挙げられる。紫外線吸収剤は、重合体の耐候性向上、
重合時の空気による重合阻害防止などのために添加さ
れ、その添加量は、通常、マトリックス樹脂の1wt%
以下、好ましくは、0.01〜0.2wt%である。
【0036】酸化防止剤としては、例えば、前記のフェ
ノ−ル系化合物、リン系化合物などが、連鎖移動剤とし
ては、例えば、前記の直鎖、または分岐したアルキルメ
ルカプタン化合物などが、着色剤としては、例えば、前
記のアントラキノン系染料、ペリノン系染料などが挙げ
られる。このようなアクリル系単量体またはその部分重
合体(アクリル系シロップ状物)については、例えば、
特願昭52−100515にも詳しく記載されている。
【0037】軟質重合体は、多層弾性体を含有するメタ
クリレート系樹脂板とポリカ−ボネ−ト系樹脂板との間
に、軟質重合体の原料を注入して重合する注型重合など
の方法により製造することができるが、この注型重合で
製造する際に使用される鋳型としては、特に限定される
ものではなく、例えば、2枚の対向する上記透明樹脂板
の両方の面の間に軟質塩化ビニールホ−スやテ−プ等の
軟質シール材を挟むことにより構成される鋳型などが挙
げられる。
【0038】軟質重合体の厚みは、メチルメタクリレー
ト樹脂板とポリカ−ボネ−ト樹脂板との両方の面の間に
挟まれた軟質シール材の厚みにより調整することが可能
であり、その厚みは、通常、0.1〜4.0mm、特に
1.0〜3.0mmが好ましい。厚みが0.1mm未満
では、軟質重合体の重合時にムラが発生する場合があ
り、4mmを超えて厚くすると全体の重量が増大し、材
料の使用量が多くなり、実用上問題を生じる場合があ
る。
【0039】このようにして製造されるアクリル系樹脂
からなる軟質重合体は、ガラス転移温度が−50〜30
℃の範囲にあることが好ましく、特に−20〜20℃の
範囲にあることが好ましい。また、軟質重合体は、引張
試験(JIS K 6251)において、5〜150 kgf/cm2の範
囲で100%モジュラスであることが好ましく、この範
囲をはずれると、軟質重合体層を有する透明樹脂積層体
が優れた耐衝撃性を発現することはできない場合があ
る。ここで、100%モジュラスとは、ゴム状弾性を有
する材料の物性試験において試験片に100%の伸びを
与えたときの引張応力をいう。
【0040】本発明の透明樹脂積層板の形状は特に限定
されるものではなく、平板のみならず、予め任意の曲率
半径にて熱成形した2枚の対向する前記透明樹脂板の間
に、軟質重合体の原料を注入して重合する注型重合によ
り製造された曲面板などの種々の形状のものが挙げられ
る。尚、これらの透明樹脂積層体の両面または片面に、
硬度処理、防曇処理などの通常、用いられる一般的な処
理を施してもよく、また、表面に衝撃を受けた際に、該
透明樹脂積層板材の飛散を防止する目的で、例えば、ポ
リカ−ボネ−トやポリエチレンテレフタレ−ト等のフィ
ルムを貼合するなどの処理を施してもよい。
【0041】
【発明の効果】本発明の透明樹脂積層体は、限定された
領域に強い衝撃を与える銃弾等に対して十分な防護性能
を有し、しかもその厚みを著しく厚くする必要がないた
め、防弾面、防弾楯、各種車両のグレージング材、金融
機関カウンターの仕切り板、防犯ドアー、公共施設運動
施設等のグレージング材などに利用することが可能とな
る。
【0042】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説
明するが、本発明が実施例により限定されるものでない
ことは言うまでもない。
【0043】また、本発明における衝撃エネルギ−の測
定は、以下に説明する耐衝撃試験法を用いて実施した。 〔耐衝撃試験法〕透明樹脂積層板面に衝撃エネルギ−が
掛かる最も厳しい条件は銃弾による衝撃エネルギ−であ
る。銃弾は、その重量が110グレイン、10m離れた
所から発射された場合の弾速は450m/秒である。こ
の銃弾が持つ全運動エネルギ−が、破壊のためのエネル
ギ−となり、そのエネルギーは750(J)である。そ
こでこのレベルのエネルギ−に耐えうる透明樹脂積層板
を開発することを目的とし、その試験機として同レベル
のエネルギ−を樹脂板に与えることができる図2に示す
ような衝撃試験機を製作した。
【0044】図2に示す様に、30kgの荷重を上方か
ら積層板試験片のメタクリル系樹脂板側に落下させるこ
とにより試験片に衝撃を与えて耐衝撃試験を行った。
尚、この場合のエネルギ−は、いうまでもなく荷重の重
量と高さと重力加速度の積で表現され、衝撃を最初に受
ける面であるメタクリル系樹脂が割れ、刃が中間軟質接
合層を通って、衝撃裏面層のポリカ−ボネ−ト系樹脂板
に到達したとき、このエネルギ−を衝撃破壊エネルギ−
と定義した。この衝撃破壊エネルギ−が750(J)以
上のものが、銃弾による衝撃に耐えうるものと判断し
た。尚、耐衝撃試験に用いる打ち抜き刃は、先端が2m
mRのステンレス製のものを使用した。以下、実施例1
〜2、比較例1〜4においては、試験片は100mm四
方のものを耐衝撃試験に使用した。
【0045】実施例1 多層弾性体を含有したメチルメタクリレ−ト系鋳込み
板の製造 第一段階でブチルアクリレ−ト76.0wt%、スチレ
ン20.0wt%、トリエチレングリコ−ル2.0wt
%、アリルメタクリレ−ト2.0wt%の単量体混合物
を重合させ、第二段階でメチルメタクリレ−ト単量体を
重合させる乳化重合で多層構造弾性体を得たのち、この
アクリル系多層弾性体10wt%をメチルメタクリレ−
ト90wt%に溶解させ、2、2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル0.1重量部添加し、公知のメタクリル樹脂
板鋳込み製造法にて80℃で10時間重合させ、さらに
110℃で1時間熱処理して10mm厚のメチルメタク
リレ−ト系鋳込み板を製造した。
【0046】アクリル系軟質重合体の原料単量体組成
(表1)
【表1】
【0047】透明樹脂積層板の作成 上記の方法にて製造した板厚10mmのメチルメタク
リレ−ト鋳込み板300mm四方と板厚6mmのポリカ
−ボネ−ト樹脂板(ポリカエ−スECK100、筒中プ
ラスチック工業株式会社製)300mm四方とを対向さ
せ、その両方の面の間に2mm厚の軟質塩ビホ−スを挟
むことにより構成される鋳型の中空部に、に示した組
成のアクリル系樹脂からなる軟質重合体の原料単量体を
注入し、10時間かけて、20〜80℃まで昇温させて
重合硬化せしめて、樹脂積層板を製造した。この樹脂積
層板について耐衝撃試験を実施した。結果を表2に示
す。
【0048】実施例2 多層弾性体を含有したメチルメタクリレ−ト系板状鋳込
み重合体の板厚を15mmとする以外は、実施例1に準
拠して製造した。この樹脂積層板について耐衝撃試験を
実施した。結果を表2に示す。
【0049】比較例1 板厚4mmの多層弾性体を含有したメチルメタクリレ−
ト系板状鋳込み重合体を用いること以外は、実施例1に
準拠して製造した。この樹脂積層板について耐衝撃試験
を実施した。結果を表2に示す。
【0050】比較例2 多層弾性体を含有したメチルメタクリレ−ト系鋳込み重
合体10mmに替えてメチルメタクリレ−ト単独鋳込み
重合板(住友化学工業株式会社製、商品名スミペックス
000)10mmを用いること以外は、実施例1に準
拠して製造した。この樹脂積層板について耐衝撃試験を
実施した。結果を表2に示す。
【0051】比較例3 板厚6mmのポリカ−ボネ−ト樹脂板(筒中プラスチッ
ク工業株式会社製 商品名ポリカエ−スECK100)
3枚を溶剤(ジクロロメタン)接着して板厚18mmの
ポリカ−ボネ−ト樹脂板を製造した。この樹脂積層板に
ついて耐衝撃試験を実施した。結果を表2に示す。
【0052】比較例4 板厚18mmのシリケ−トガラスについて耐衝撃試験を
実施した。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】銃弾のエネルギ−を750(J)として耐
衝撃性能の評価を実施した。実施例1〜2の透明樹脂積
層板は、750(J)以上の衝撃破壊エネルギ−に耐え
うるので、銃弾による破壊に対して十分耐えることがで
きる。これに対し比較例1、2の透明樹脂積層板及び比
較例4のシリケ−トガラス単一板では、衝撃破壊エネル
ギ−は750(J)以下となるため銃弾による破壊に対
して耐えることはできない。比較例3のポリカ−ボネ−
ト単一板では、750(J)以上の衝撃破壊エネルギ−
に耐えうるが、衝撃により板自身に大きな変形が発生す
るため、繰り返し使用が出来ないなど実用上、問題があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明樹脂積層体の断面図である。
【図2】衝撃試験機の略図である。
【図3】衝撃試験に供試した試験片の形状の略図であ
る。
【符号の説明】
〔図1〕 I メチルメタクリレ−ト系重合体 II ポリカ−ボネ−ト樹脂板 III 軟質アクリル樹脂 〔図2〕 1 支持棒 2 荷重 (30kg) 3 打ち抜き刃 4 試験片 5 試験片支持台 〔図3〕 試験片 打ち抜き刃の接点 試験片支持部(100mmφ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野間 総治 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多層弾性体0.1〜42wt%を含有して
    なる厚さ5〜30mmのメタクリレート系樹脂板と厚さ
    3〜15mmのポリカーボネート系樹脂板とを、アクリ
    ル系樹脂からなる軟質重合体で接合してなる耐衝撃性透
    明樹脂積層体。
  2. 【請求項2】アクリル系樹脂からなる軟質重合体が、ア
    クリル系単量体またはその部分重合体77〜98.9w
    t%、可塑剤1〜20wt%、多官能性単量体0.1〜
    3.0wt%からなる混合物の重合体である請求項1記
    載の耐衝撃性透明樹脂積層体。
  3. 【請求項3】アクリル系単量体が、炭素数5〜8のアル
    キル基を有するアルキルメタクリレート単量体50〜1
    00wt%、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキ
    ルアクリレート単量体0〜10wt%、炭素数1〜4の
    アルキル基を有するアルキルメタクリレート単量体0〜
    40wt%からなる単量体である請求項2記載の耐衝撃
    性透明樹脂積層体。
  4. 【請求項4】炭素数5〜8のアルキル基を有するアルキ
    ルメタクリレート単量体が、2−エチルヘキシルメタク
    リレートである請求項3記載の耐衝撃性透明樹脂積層
    体。
  5. 【請求項5】多層弾性体が、炭素数1〜8のアルキル基
    を有するアルキルアクリレート単量体45〜99.5w
    t%、芳香族ビニル単量体0〜40wt%、多官能単量
    体0〜10wt%、グラフト性単量体0.5〜5wt%
    からなる単量体混合物を重合してなる架橋アクリレート
    系共重合体からなる内核層と、炭素数1〜4のアルキル
    基を有するアルキルメタクリレート単量体60〜100
    wt%、二重結合を有する単量体0〜40wt%からな
    るアルキルメタクリレート単量体または単量体混合物を
    重合してなるアルキルメタクリレート重合体またはアル
    キルメタクリレート共重合体からなる外核層との少なく
    とも2層構造からなる重合体である請求項1記載の透明
    樹脂積層体。
  6. 【請求項6】多層弾性体が、炭素数1〜4のアルキル基
    を有するアルキルメタクリレート単量体60〜99.8
    wt%、二重結合を有する単量体0〜40wt%、多官
    能単量体0〜5wt%、グラフト性単量体0.2〜2w
    t%からなる単量体混合物を重合してなる架橋メタクリ
    レート系共重合体からなる最内核層と、炭素数1〜8の
    アルキル基を有するアルキルアクリレート単量体45〜
    99.5%、芳香族ビニル単量体0〜40wt%、多官
    能単量体0〜10wt%、グラフト性単量体0.5〜5
    wt%からなる単量体混合物を重合してなる架橋アクリ
    レート系共重合体からなる中間層と、炭素数1〜4のア
    ルキル基を有するアルキルメタクリレート単量体60〜
    100wt%、二重結合を有する単量体0〜40wt%
    からなるアルキルメタクリレート単量体または単量体混
    合物を重合してなるアルキルメタクリレート重合体また
    はアルキルメタクリレート共重合体からなる最外核層と
    の3層構造からなる重合体である請求項1記載の耐衝撃
    性透明樹脂積層体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11314301A (ja) * 1998-05-08 1999-11-16 Sumitomo Chem Co Ltd 樹脂積層体
JP2006001070A (ja) * 2004-06-16 2006-01-05 Tsutsunaka Plast Ind Co Ltd 防護面あるいは防護盾用透明樹脂積層体の製造方法
JP2012192703A (ja) * 2011-03-18 2012-10-11 Sumitomo Chemical Co Ltd 積層板
JP2012202090A (ja) * 2011-03-25 2012-10-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 透明遮音板およびその製造方法
CN102950848A (zh) * 2011-08-25 2013-03-06 品诚塑胶科技(上海)有限公司 新型阳光板及其生产方法

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