JP3412067B2 - 電力変換装置 - Google Patents

電力変換装置

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JP3412067B2
JP3412067B2 JP26546797A JP26546797A JP3412067B2 JP 3412067 B2 JP3412067 B2 JP 3412067B2 JP 26546797 A JP26546797 A JP 26546797A JP 26546797 A JP26546797 A JP 26546797A JP 3412067 B2 JP3412067 B2 JP 3412067B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電力変換装置に係
り、特に交流を直流に変換する中性点クランプ式電力変
換器の直流電圧の制御に関する。 【0002】 【従来の技術】一般によく知られている中性点クランプ
式コンバータ(以下3レベルコンバータ)と制御装置の
構成を図8に示す。 【0003】この装置は、交流電源1と、この交流電源
に接続されたリアクトル2と、3レベルコンバータ3
と、互いに直列接続された平滑コンデンサCp,Cn
と、この平滑コンデンサCp,Cnを直列電源とする負
荷4と、リアクトル2に流れる交流電流is1を検出す
る電流検出器83と、平滑コンデンサCp,Cnの各電
圧Vp,Vnを検出する直流電圧検出器81,82と、
この検出された電圧VpとVnを加算する加算器90
と、加算器90によって得られたVpとVnの和Vdを
直流電圧指令値Vd*から減算する減算器91と、減算
器91より得られた偏差を零とするために必要な電力を
得られるよう交流電流の実効値指令Is1*を発生する
直流電圧制御器AVR1と、直流電圧制御器AVR1よ
り得られた実効値指令Is1*に交流電源1に同期した
基準正弦波sinθを乗じて交流電流の瞬時指令is1*を
出力する乗算器92と、この交流電流の瞬時指令is1
*から電流検出器により検出されたリアクトル2に流れ
る交流電流is1を減ずる減算器93と、is1*とi
s1が一致するようコンバータ3を動作させるパルスの
基準となるコンバータ電圧指令vc0を発生する交流電
流制御器ACR1と、出力されたコンバータ電圧指令v
c0を1/2倍する増幅器94と、増幅器94の出力v
c0/2をもとに3レベルコンバータ3のA相に与える
PWMパルスを発生するPWMパルス発生器95と、増
幅器94の出力vc0/2をもとに3レベルコンバータ
3のB相に与えるPWMパルスを発生するPWMパルス
発生器96とによって構成されている。 【0004】また、3レベルコンバータ3は、IGBT
等のスイッチング素子とこれに逆並列に接続したダイオ
ード等の半導体素子で構成される半導体スイッチSa1
〜Sa4,Sb1〜Sb4により構成されている。 【0005】これら上述の構成により平滑コンデンサC
p,Cnの直流電圧Vp,Vnの和である直流電圧Vd
を一定に制御するとともに交流電流の力率を力行時1,
回生時−1に制御するものである。 【0006】しかしながら、平滑コンデンサCp,Cn
の容量にばらつきがあったり、負荷の大きさが異なった
り、スイッチング素子のスイッチングタイミングにばら
つきがあったりすると、コンデンサ電圧VpとVnの和
Vdが一定であっても、コンデンサ電圧Vp,Vnの大
きさは同一とならない。 【0007】このように、直流電圧のバランスが崩れて
くると、コンバータを構成する各素子に印加される電圧
が大きくなったり、小さくなったりして素子の耐圧を脅
かすようになる。 【0008】この課題を解決する従来技術として、特開
平6−233537 号公報に記載されているものがある。これ
は、上側コンデンサCpの電圧Vpと下側コンデンサC
nの電圧Vnをそれぞれ検出し、コンデンサ電圧Vpと
Vnの和電圧を一定に制御するとともに、コンデンサ電
圧VpとVnの和と差を取り、和電圧と差電圧を制御す
る制御回路をそれぞれ設け、これらの制御回路の出力の
和に基づいて3レベルコンバータを制御することでコン
デンサ電圧VpとVnの和がほぼ一定かつコンデンサ電
圧VpとVnが同一となるように制御している。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】特開平6−233537号公
報に記載された上述の従来技術におけるコンデンサ電圧
VpとVnの差電圧の制御は、コンデンサ電圧VpとV
nの和電圧の制御が確立したのち、和電圧制御では制御
しきれなかったコンデンサ電圧VpとVnの偏差分を差
電圧制御によって補助的に制御しており、差電圧の制御
は、和電圧の制御に対し優先度の低い制御である。その
ため差電圧制御の制御応答は、和電圧の制御応答よりも
明らかに遅い制御である。このため、定常的には、和電
圧の制御および差電圧の制御は、それぞれの設定値を満
足するように動作するが、差電圧制御の応答が遅いた
め、負荷,交流電源電圧等が急変するなどの過渡時、特
にVpとVnの差電圧に多大な影響を与える過渡時に
は、差電圧の制御が設定値となるまでに時間がかかるば
かりか、コンバータを構成している半導体素子に印加さ
れる電圧が大きくなり素子を破壊することが考えられ
る。 【0010】一方、上述したような現象を回避する方法
として、ゲインをあげるなどして差電圧制御の制御応答
をあげる方法が考えられるが、差電圧制御の制御応答を
あげると和電圧制御と干渉し、ハンチングを起こすこと
が考えられる。 【0011】そこで、本発明の目的は上述の課題を解決
し、全体の直流電圧をほぼ一定に制御するとともに2つ
の平滑コンデンサに印加される電圧が等しくなるように
し、かつ、負荷急変等に対してより制御応答性の良い電
力変換装置を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、中性点クランプ式コンバータにおいて、第1及び第
2の直流電圧検出手段によって検出した第1及び第2の
平滑コンデンサの各々の直流電圧が各々の指令電圧と一
致するよう制御する第1及び第2の直流電圧制御手段
と、第1及び第2の直流電圧制御手段の出力の和をもと
に交流電源に接続されたリアクトルに流れるリアクトル
電流を制御する交流電流制御手段と、この交流電流制御
手段の出力を第1及び第2の直流電圧制御手段の出力の
差によって補正し、当該補正された信号により中性点ク
ランプ式コンバータをPWM制御するPWM制御手段と
を備える。 【0013】これにより、第1及び第2の平滑コンデン
サの各々の直流電圧は個別に各々の指令電圧に一致する
ように制御される。従って、第1及び第2の平滑コンデ
ンサの電圧指令値を同一の値に設定すれば、第1及び第
2のコンデンサ電圧の和電圧は一定に制御され、かつ第
1及び第2のコンデンサ電圧の差電圧が0となるように
制御される。 【0014】また、第1及び第2の平滑コンデンサ電圧
は個別に制御され、第1及び第2のコンデンサ電圧の和
電圧と差電圧の制御とに分けて制御していないので、差
電圧の制御応答が遅くなるということもない。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明の実施例を説明する前に本
発明の原理について図4〜図8を用いて説明する。 【0016】図4は、図8における3レベルコンバータ
のA相の電圧指令vca,B相の電圧指令vcbと、半
導体スイッチSa1〜4,Sb1〜4のスイッチング状
態との関係を示したものである。 【0017】A相においては、電圧指令vcaが正の場
合に半導体スイッチSa1とSa2がオンとなり、電圧
指令vcaが負の場合に半導体スイッチSa3とSa4
がそれぞれオンになっている。一方、B相においては電
圧指令vcbが正の場合に、半導体スイッチSb3とS
b4がオンとなり、電圧指令vcbが負の場合に半導体
スイッチSb1とSb2がそれぞれオンになっている。 【0018】ここで、半導体スイッチSa1,Sa2が
オンすると交流電流isが半導体スイッチSa1および
Sa2を介して平滑コンデンサCpに流れ込むことに注
目する。このとき半導体スイッチsa1とSa2がオン
することによってA相が発生する電圧は図4中領域40
1における電圧と等しく、領域401における電圧と電
流isとの積がA相を介して平滑コンデンサCpに流れ
込む電力である。また、半導体スイッチSb1とSb2
がオンすることによって交流電流isが半導体スイッチ
Sb1およびSb2を介して平滑コンデンサCp流れ込
む。このとき、半導体スイッチSb1とSb2がオンす
ることによってB相が発生する電圧は、図4中領域40
4における電圧と等しく、領域404における電圧と電
流isとの積がB相を介して平滑コンデンサCpに流れ
込む電力である。つまり、平滑コンデンサCpに流れ込
む電力は、A相の電圧指令vcaの正の電圧およびB相
の電圧指令vcbの負の電圧および交流電流isによっ
て決定することが分かる。平滑コンデンサCnについて
も同様のことが言える。半導体スイッチSa3,Sa4
がオンすることによって交流電流isが半導体スイッチ
Sa3およびSa4を介して平滑コンデンサCnに流れ込
こみ、半導体スイッチSa3とSa4がオンすることに
よってA相が発生する電圧は図4中領域402における
電圧と等しく、領域402における電圧と電流isとの
積がA相を介して平滑コンデンサCnに流れ込む電力と
なる。また半導体スイッチSb3とSb4がオンするこ
とによって交流電流isが半導体スイッチSb3とSb
4を介して平滑コンデンサCn流れ込こみ、半導体スイ
ッチSb3とSb4がオンすることによってB相が発生
する電圧は、図4中領域403における電圧と等しく、
領域403における電圧と電流isとの積がB相を介し
て平滑コンデンサCnに流れ込む電力となる。つまり、
平滑コンデンサCnに流れ込む電力は、A相の電圧指令
vcaの負の電圧(領域402における電圧)およびB
相の電圧指令vcbの正の電圧(領域403における電
圧)および交流電流isによって決定することが分か
る。 【0019】以上より、平滑コンデンサCpの電圧Vp
を制御するためには電圧指令vcaの正の電圧(領域4
01における電圧)とvcbの負の電圧(領域404に
おける電圧)を合成した電圧指令vcpを、平滑コンデ
ンサCnの電圧Vnを制御するには電圧指令vcaの負
の電圧(領域402における電圧)とvcbの正の電圧
(領域403における電圧)を合成した電圧指令vcn
をそれぞれ個別に制御してやればよいことになる。 【0020】尚、交流電流isは交流電源電圧esと同
相であり、これらの実効値をそれぞれIs,Es、図8
において説明したコンバータ電圧指令vc0/2の実効
値をVc0/2とし、以降瞬時値を小文字で、実効値を
初めの文字を大文字で表現することとする。 【0021】ここで、Vc0/2とEsとの位相がθで
あり、VcpとVcnがそれぞれVc0/2である場合
を考える。このとき、Vcp=Vcn=Vc0/2であ
るから、平滑コンデンサCpおよびCnには、それぞれ
Vc0/2×Is×cosθの電力が流れる。ここで、V
cpにおいて、電圧指令Vc0/2にVc0と同相成分
ΔVc0を加ると、平滑コンデンサCpに流れ込む電力
はVc0/2×Is×cosθ から(Vc0/2+ΔVc
0)×Isに増加し、逆にVc0/2からVc0と同相
成分ΔVc0を減じれば、平滑コンデンサCpに流れ込
む電力量は(Vc0/2−ΔVc0)×Isに減少する
ことになる。Vcnについても同様であり、ΔVc0を
足し引きすることによって、平滑コンデンサCnに流れ
込む電力量を操作できることが分かる。 【0022】以上より、A相電圧指令の正の電圧(図4
中領域401)とB相電圧指令の負の電圧(図4中領域
404)を操作することによって、平滑コンデンサCp
の電圧Vpを、A相電圧指令の負の電圧(図4中領域4
02)とB相電圧指令の正電圧(図4中領域403)に
よって、平滑コンデンサCn電圧Vnをそれぞれ制御で
きることが分かる。 【0023】そこで、平滑コンデンサCpとCnの電圧
VpとVnを個別に制御するために、コンデンサ電圧V
pとVnを独立に制御するための電圧制御手段を各々設
ける。これらの発生する交流電流実効値指令Ip*とI
n*に交流電源電圧esの実効値Esを乗じるとコンデ
ンサCp,Cnの電圧Vp,Vnをそれぞれ指令値Vp
*,Vn*に一致させるために必要な電力Pp=Es×
Ip*(平滑コンデンサCpの電力)とPn=Es×I
n*(平滑コンデンサCnの電力)が得られる。しかし
ながら、交流電流Isは一つであり、2つの交流電流実
効値指令Ip*,In*を同時に流すことはできない。
そこで、以下に示すような操作を考える。 【0024】スイッチング素子,リアクトル,配線の抵
抗分によって発生する損失を無視すれば、平滑コンデン
サCpに流れ込む電力と平滑コンデンサCnに流れ込む
電力の和と、交流電源1から流れ出す電力は等しい。こ
れより、交流電源1から3レベルコンバータが得るべき
電力は、Es×(Ip*+In*)となるので、Is*=
Ip*+In*なる交流電流実効指令で3レベルコンバ
ータを動作させる必要がある。そこで、図8に示したも
のと同様の方式によって、Is*=Ip*+In*なる
交流電流実効値指令Is*に交流電源esに同期した正
弦波を乗じ、交流電源と同相の交流電流瞬時指令is*
を得て交流電流制御手段ACRによって交流電流isが
is=is*となるコンバータ電圧指令vc0を発生す
る。 【0025】コンバータ電圧指令vc0をもとに、図4
のように前記3レベルコンバータを動作させると平滑コ
ンデンサCp,Cnの電圧Vp,VnをそれぞれVp
*,Vn*に一致させるために必要な電力がそれぞれE
s×Ip*およびEs×In*であるのに対し、各々vc
0/2×Is*×cosθ の電力が平滑コンデンサCpお
よびCnに流れ込むことになる。θは、直流電源電圧E
sとコンバータ電圧指令の実効値Vc0の位相であり、
Vc0×cosθ =Esの関係がある。 【0026】ここで、電圧指令vcp,電圧指令vcn
について、平滑コンデンサCpおよびCnに流れ込む電
力量がEs×Ip*およびEs×In*に一致するコン
バータ電圧指令vcpおよびvcnの発生を考える。平
滑コンデンサCpの電圧Vpを指令値Vp*に制御する
ために必要な電力量は、Pp=Es×Ip*=Vc0×
Ip*×cosθであるから電圧指令の実効値Vc0と同
相で、Vcp×cosθ×Is*=Vc0×cosθ ×Ip
*なる電圧指令の実効値Vcpを発生すればよい。つま
り、vcp=vc0×Ip*/Is*なる電圧を発生す
ればコンデンサCpの電圧VpをVp*に一致させるこ
とができ、同様にvcn=vc0×In*/Is*なる電
圧を発生すればコンデンサCnの電圧VnをVn*に一
致させることができる。 【0027】次に、平滑コンデンサCpの電圧Vpと半
導体スイッチSa1,Sa2,Sb1およびSb2の電圧
指令値vcpと半導体スイッチSa3,Sa4,Sb3
およびSb4の電圧指令値vcnからA相およびB相に
与えるvcaおよびvcbを再構成することを考える。 【0028】図5は電圧指令vcp,vcn,vcaお
よびvcbの関係を示すものである。 【0029】A相における電圧指令vca(領域50
1,502における電圧)は、電圧指令vcpのうち半
導体スイッチSa1,Sa2のスイッチングに関わる電
圧指令(領域501)および電圧指令vcnのうち半導
体スイッチSa3,Sa4のスイッチングに関わる電圧
指令(領域502)を合成した電圧指令である。一方、
B相における電圧指令vcb(領域503,504にお
ける電圧)は、電圧指令vcnのうち半導体スイッチS
b1,Sb2のスイッチングに関わる電圧指令(領域5
04)および電圧指令vcnのうち半導体スイッチSb
3,Sb4のスイッチングに関わる電圧指令(領域50
3)を合成した電圧指令である。電圧指令vcaおよび
vcbは、各々正の期間と負の期間で振幅が異なる電圧
指令となることが分かる。 【0030】ここで、電圧指令の発生を簡単にすること
を考える。先に述べた交流電流制御器ACRの出力を電
圧指令vcpおよびvcnに均等に分配した場合、図4
と同様にvcp=vcn=vc0/2となる。コンデン
サCp,Cnの電圧Vp,Vnを個別に制御するために
はvcpはvcp=vc0×Ip*/Is*であり、v
cp=vc0/2+ΔvcpとなるΔvcpを考える
と、Δvcp=vc0×Ip*/Is*−vc0/2と
なり、これを整理するとΔvcp=vc0/2×(Ip
*−In*)/Is*が得られる。電圧指令vcnにつ
いても同様にvcn=vc0/2−ΔvcnとなるΔv
cnを考えるとΔvcn=vc0/2×(Ip*−In
*)/Is*となり、ΔvcpとΔvcnは一致する。
そこでΔvc0=vc0/2×(Ip*−In*)/I
s*と定義すれば、vcp=vc0/2+Δvc0,v
cn=vc0/2−Δvc0と表すことができる。 【0031】図6に、電圧指令vcpとvcnをvc0
/2およびΔvc0によって表現した場合の電圧指令v
cp,vcn,vcaおよびvcbの関係を示す。各々
正の期間と負の期間で振幅が異なる電圧指令vca,v
cbとなることは図5と同じであるが、電圧指令vca
は、vc0/2の絶対値に(Ip*−In*)/Is*を
乗じた電圧指令にvc0/2を加えた電圧指令と、ま
た、電圧指令vcbは、vc0/2の絶対値に(Ip*
−In*)/Is*を乗じた電圧指令をvc0/2から
減じた電圧指令と等価となる。 【0032】すなわち、vc0/2の絶対値に(Ip*
−In*)/Is*を乗じた電圧指令を算出し、この算
出した電圧指令をvc0/2に加算して得た電圧指令を
A相の電圧指令とし、vc0/2からその算出した電圧
指令を減じて得た電圧指令をB相電圧指令とすること
で、VpおよびVnをそれぞれの指令値Vp*およびV
n*に一致させることができる。 【0033】ここで、Δvc0は、vc0/2に係数
(Ip*−In*)/Is*を乗じたものであるが、有効
電力の観点から見れば、基本波の実効値がvc0/2の
実効値と等しい方形波電圧に係数(Ip*−In*)/I
s*を乗じた場合でも同様の有効電力が得られることが
できる。そこで、基本波の実効値がvc0/2の実効値
すなわちVc0/2/√2である方形波電圧vcsを考
える。振幅が1である方形波の基本波の実効値は、2/
πであるから、振幅がVc0×π/4/√2である方形
波vcsが、vc0/2と同じ基本波実効値を有する。 【0034】図7に、方形波vcsに係数(Ip*−I
n*)/Is*を乗じた電圧によって電圧指令vcpお
よびvcnを表した場合の波形およびこのときのvcp
およびvcnからvcaおよびvcnを再構成した場合
の波形を示す。この図においてA相電圧指令vca(領
域701,702における電圧)は、電圧指令vc0/
2にvcsの振幅に相当する直流分Vcsに(Ip*−
In*)/Is*を乗じた電圧指令を加えた場合と等価
な電圧指令に、また、B相電圧指令vcb(領域70
3,704における電圧)は電圧指令vc0/2からv
csの振幅に相当する直流分Vcaに(Ip*−In*)
/Is*を乗じた電圧指令を減じた場合と等価な電圧指
令となっている。 【0035】すなわち、vcsの振幅に相当する直流分
Vcsに(Ip*−In*)/Is*を乗じた電圧指令を
算出し、この算出した電圧指令をvc0/2に加算して
得た電圧指令をA相の電圧指令とし、vc0/2からそ
の算出した電圧指令を減じて得た電圧指令をB相電圧指
令とすることで、VpおよびVnをそれぞれの指令値V
p*およびVn*に一致させることができる。 【0036】次に、本発明の実施例について説明する。 【0037】図1は本発明の第1の実施例を示すもので
ある。図1において、図8と同一の動作をする構成要素
については、同一の番号を付けてある。平滑コンデンサ
CpおよびCnの直流電圧指令値Vp*およびVn*か
ら、減算器30および31によって直流電圧検出器81
および82によって検出した前記2つの平滑コンデンサ
Cp,Cnの各々の直流電圧VpおよびVnを減じ、減
算器30および31の出力を直流電圧制御器AVRpお
よびAVRnに入力する。直流電圧制御器AVRpおよびA
VRnは平滑コンデンサCpおよびCnの電圧をそれぞ
れ指令値に一致させるために必要となる交流電流の実効
値指令Ip*およびIn*を発生する。(これらに交流
電源1の電圧Esを乗じると、平滑コンデンサCpおよ
びCnの電圧VpおよびVnをそれぞれの指令値Vp*
およびVn*に一致させるために平滑コンデンサCpお
よびCnに流し込む必要がある電力量となり、それぞれ
の電力量をPpおよびPnとするとPp=Es×Ip
*,Pn=Es×In*と表される。) さらに、直流電圧制御器AVRpおよびAVRnの出力
Ip*およびIn*を加算器32によって加算すること
で交流電流実効値指令Is*を求め、この交流電流実効
値指令Is*に前記交流電源1に同期した基準正弦波si
nθ を乗算器92によって乗じ交流電流瞬時指令is*
を得て、交流電流瞬時値is*から電流検出器83によ
って検出された前記リアクトル2に流れる交流電流is
を減算器93によって減じ、減算器93の出力を交流電
流制御器ACRに入力する。交流電流制御器ACRは、
交流電流isがis=is*となるために3レベルコン
バータ3が出力すべき線間電圧vc0を出力する。この
出力すべき線間電圧vc0を増幅器33によって1/2倍
し、vc0/2を得る。また、直流電圧制御器AVRp
の出力Ip*から直流電圧制御器AVRnの出力In*
を減算器34によって減じ、減算器34の出力を除算器
35によって加算器32の出力である交流電流指令Is
*によって除算し、乗算器37によって除算器35の出
力と、絶対値算出器ABS36に増幅器33の出力であ
るvc0/2を入力し得たvc0/2の絶対値ABS
(vc0/2)を乗じ、ABS(vc0/2)×(Ip*
−In*)/Is*を得る。さらに、加算器38によっ
て増幅器33の出力であるvc0/2に乗算器37の出
力であるABS(vc0/2)×(Ip*−In*)/Is
*を加算することによって3レベルコンバータのコンバ
ータ3のA相の電圧指令を得るとともに、減算器39に
よって増幅器33の出力であるvc0/2から乗算器3
7の出力であるABS(vc0/2)×(Ip*−In*)
/Is*を減じることによって3レベルコンバータ3の
B相の電圧指令を得て、これらの電圧指令をPWMパル
ス発生器95,96に入力する。A相指令電圧およびB
相指令電圧を基にPWMパルス発生器95,96はPW
Mパルスを出力し、この出力により3レベルコンバータ
A相を構成する半導体スイッチSa1〜Sa4およびB
相を構成する半導体スイッチSb1〜Sb4をスイッチ
ングさせることによって、3レベルコンバータ3のA相
およびB相は、指令値と一致した交流電圧をそれぞれ発
生する。 【0038】このときの3レベルコンバータ3のA相お
よびB相の出力電圧は、図6に示した電圧と一致してお
り、先に述べたように、平滑コンデンサCpに流れ込む
電力を決定する電圧vcpは図6中の領域601におけ
る電圧と領域604における電圧を合成した波形とな
り、Vcp=Vc0/2+Vc0/2×(Ip*−In*)
/Is*と表される。一方、平滑コンデンサCnに流れ
込む電力を決定する電圧vcnは領域602における電
圧と領域603における電圧を合成した波形となり、V
cn=Vc0/2−Vc0/2×(Ip*−In*)/I
s*と表される。このときの電流はIs*であり交流電
源電圧Esに対して力行時は力率1つまり位相0°、回
生時は力率−1つまり位相180°に制御されているの
で、VcpおよびVcn(VcpとVcnは同位相)と交
流電源電圧Esとの位相をθとすると、平滑コンデンサ
Cpに流れ込む電力は、Pp=Vcp×cosθ×Is=
(Vc0/2+Vc0/2×(Ip*−In*)/Is
*)×Is×cosθとなり、Is*=Ip*+In*であ
ることを利用し、これを整理すると平滑コンデンサCp
に流れ込む電力は、Pp=Es×Ip*となり、平滑コ
ンデンサCpの電圧Vpを指令値Vp*に制御できる。 【0039】同様に平滑コンデンサCnに流れ込む電力
Pnは=Vcn×cosθ×Is= (Vc0/2−Vc
0/2×(Ip*−In*)/Is*)×Is×cosθであ
り、これをPpの場合と同様に整理するとPn=Es×
In*となり、平滑コンデンサCnの電圧Vnを指令値
Vn*に制御できる。 【0040】故に、図1に示した実施例のような3レベ
ルコンバータの制御系を構成することによって、平滑コ
ンデンサCpおよびCnに流れ込む電力を各々個別に制
御することが可能となり、平滑コンデンサCpおよびC
nの電圧VpおよびVnをそれぞれの指令値Vp*およ
びVn*に個別に制御することが可能となる。 【0041】ところで、図1の実施例では(Ip*−I
n*)/Is*といった変数が存在しており、図1で示
した実施例の制御をマイコン等を用いてデジタルで実現
しようとした場合、除算を行う必要があり、計算時間が
長くなる。また、交流電流実効値指令Is*が零付近の
場合にオーバーフローすることが考えられる。 【0042】図2は、除算を行うことなくVpおよびV
nを個別に制御する第2の実施例を示すものである。 【0043】図2において、図1で示した実施例と同一
の機能を有する要素については、同一の番号ないしは記
号を付けてある。この実施例では、加算器32の出力で
あるIs*=Ip*+In*の極性を判別する極性判別
器S42に入力し、Is*≧0の場合は1、Is*<0
の場合は−1なる出力を得て、乗算器40によって、極
性判別器S42の出力と減算器34の出力であるIp*
−In*を乗じる。図1の実施例ではIs*で除算をし
ており、Is*の極性が補正電圧Δvc0に反映されて
いるが、本実施例においてもIs*の極性をΔvc0に
反映する必要があるため、上述の機能を設けてある。 【0044】さらに乗算器41によって乗算器40の出
力と絶対値算出器36の出力を乗じ得た信号をゲイン調
節器43に入力し、ゲイン調節器43の出力をコンバー
タ出力電圧指令修正電圧Δvc0とする。ゲイン調節器
43のゲインをKとすると、この時のΔvc0は、Δv
c0=ABS(vc0/2)×(Ip*−In*)×S(I
s*の極性)×Kとなり、図1で示した修正量Δvc0
=vc0/2×(Ip*−In*)/Is*と異なるた
め、Is*によって、図1の実施例の場合と過渡応答が
変わるが(Kの大きさにもよるが、Is*が小さい場合
には、図2で示した実施例の方が応答が早く、Is*が
大きい場合には図1で示した実施例の方が応答が早くな
る)、図1の実施例と同様に平滑コンデンサCpおよび
Cnの電圧をVpおよびVnをそれぞれの指令値Vp*
およびVn*に一致させることができる。 【0045】図3に本発明の第3の実施例を示す。 【0046】図1と図2に示した実施例では、A相およ
びB相に与える修正電圧指令Δvc0は、電流制御器AC
Rの出力vc0/2の絶対値に(Ip*−In*)/I
s*又は(Ip*−In*)×S(Is*の極性)×K
を乗じた電圧成分であったが、発明の原理で(図7にお
いて)説明したように修正電圧指令は直流分でもよい。
そこで、図3で示す実施例では、vc0/2の絶対値に
代わり、直流分を補償分とする。図3において、図1と
図2で示した実施例と同一の機能を有する要素について
は、同一の番号ないしは記号を付けてある。図3の実施
例では、加算器32の出力であるIs*=Ip*+In
*を極性を判別する極性判別器S42に入力し、Is*
≧0の場合に1、Is*<0の場合に−1なる出力を得
て、乗算器40によって、極性判別器S42の出力と減
算器34の出力であるIp*−In*を乗じ得た信号を
ゲイン調節器K3に入力し、ゲイン調節器44の出力を
コンバータ出力電圧指令修正電圧Δvc0とする。 【0047】ゲイン調節器44のゲインをK3とする
と、この時のΔvc0は、Δvc0=(Ip*−In*)
×S(Is*の極性)×K3となる。図2におけるΔvc
0は、Δvc0=ABS(vc0/2)×(Ip*−In
*)×S(Is*の極性)×Kであるから、ゲインK3を
適当に設定すれば、図2で示した実施例と同様の効果が
得られる。すなわち、図1で示した実施例の場合と過渡
応答が変わるが、図1の実施例と同様に平滑コンデンサ
CpおよびCnの電圧をVpおよびVnをそれぞれの指
令値Vp*およびVn*に一致させることができる。 【0048】以上実施例においては、単相の中性点クラ
ンプ方式電力変換器(3レベルコンバータ)について述
べたが、三相の中性点クランプ方式電力変換器(3レベ
ルコンバータ)にも適用できる。 【0049】また、第1から第3の実施例を示す図1〜
図3には図示していないが、変圧器を介して交流電源1
からコンバータに電力を供給する構成においては、コン
バータを構成するスイッチング特性(ターンオン,ター
ンオフ)のばらつき等により、コンバータ交流側に直流
成分が発生し、しいては変圧器に直流偏磁が発生する場
合がある。本発明は、別々にコンデンサ電圧を制御して
いるため、偏磁量に応じて電圧指令値を設定することが
でき(Vp*≠Vn*)、これにより変圧器に偏磁が発
生した場合でも容易に対処できるという効果を得る。 【0050】 【発明の効果】本発明によれば、第1及び第2の平滑コ
ンデンサの電圧指令値を同一の値に設定することで、第
1及び第2のコンデンサの電圧を同一に保つことがで
き、安定した直流電源を中性点クランプ式インバータ等
の負荷に供給することができる。また、本発明によれ
ば、第1及び第2の平滑コンデンサ電圧は個別に制御さ
れるので、負荷の急変などに対する応答性をより向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。 【図2】本発明の第2の実施例を示す図である。 【図3】本発明の第3の実施例を示す図である。 【図4】3レベルコンバータの相電圧指令とPWMパル
スとの関係を示した図である。 【図5】本発明によって発生する3レベルコンバータの
相電圧指令を示した図である。 【図6】本発明によって発生する3レベルコンバータの
相電圧指令を示した図である。 【図7】本発明によって発生する3レベルコンバータの
相電圧指令を示した図である。 【図8】従来の3レベルコンバータの制御系の構成を示
す図である。 【符号の説明】 1…交流電源、2…リアクトル、3…中性点クランプ式
電力変換器(3レベルコンバータ)、4…負荷、Cp,
Cn…平滑コンデンサ、Sa1〜Sa4,Sb1〜Sb
4…半導体スイッチ、Da1,Da2,Db1,Db2
…ダイオード、ACR…交流電流制御器、AVRp,A
VRn,AVR…直流電圧制御器、30,31,32,
38…加算器、33…増幅器、34,39,93…減算
器、35…除算器、36…絶対値算出器、37,40,
41,92…乗算器、42…極性判別器、43,44…
ゲイン調節器、81,82,84…電圧検出器、83…
電流検出器、95,96…PWMパルス発生装置。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−317663(JP,A) 特開 平9−74766(JP,A) 特開 平9−191656(JP,A) 国際公開97/025766(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/219

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 交流側が交流電源にリアクトルを介して
    接続され、交流を直流に変換する中性点クランプ式コン
    バータと、前記中性点クランプ式コンバータの直流側に
    直列接続され、該直列接続点が中性点に接続される第1
    及び第2の平滑コンデンサと、前記第1及び第2の平滑
    コンデンサを直流電源とする負荷と、前記第1及び第2
    の平滑コンデンサの電圧を各々検出する第1及び第2の
    直流電圧検出手段とを備え、前記第1及び第2の直流電
    圧検出手段により検出された電圧に基づいて前記第1及
    び第2の平滑コンデンサの各電圧が等しくなるように前
    記中性点クランプ式コンバータをPWM制御する電力変
    換装置において、 前記第1及び第2の直流電圧検出手段によって検出した
    前記第1及び第2の平滑コンデンサの各々の直流電圧が
    各々の指令電圧と一致するよう制御する第1及び第2の
    直流電圧制御手段と、前記第1及び第2の直流電圧制御
    手段の出力の和をもとに前記リアクトルに流れるリアク
    トル電流を制御する交流電流制御手段と、前記交流電流
    制御手段の出力を前記第1及び第2の直流電圧制御手段
    の出力の差によって補正し、当該補正された信号により
    前記コンバータをPWM制御するPWM制御手段とを備
    えた電力変換装置。
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