JP3410738B2 - ミクログリアからなる医薬用キャリアー - Google Patents
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Description
分離方法、及び、その医薬用キャリアーとしての用途に
関する。
クログリア、その導入法、及び、それを含有する医薬組
成物に関する。
素が欠損するために発症するもの、あるいは未だに原因
不明のものなど様々である。これらの疾患に対しては、
多くは補充療法により対処されているのが現状である。
内外で多数研究されており、動物個体レベルでの脳内へ
の遺伝子導入については向神経性をもったウイルスを用
いたアデノウイルスベクター法が考案され、神経細胞特
異的に遺伝子を導入できるシステムが知られている(Ko
zarsky,K.F and Wilson,J.M.,Curr.Opin.Genet.Dev.3,4
99−503,1993)。また、レトロウイルスベクターを用い
る方法も考案され、肝細胞や血液細胞などに導入するこ
とが成功している(Mullingan,R.C.Science 260,926−9
32.1993)。
ier)が存在するため、補充療法を行ったり有効な薬物
を導入することが困難であり、また、末梢から物質(例
えば抗癌剤やDNAなど)を投与しても脳に特異的に導入
することができない。従って、従来は手術によって物質
を脳に直接注入する以外に方法がなかった。
リポソームを利用する方法があり、リポソームの構成要
素を変えることによって脳に比較的入りやすいものが国
内のグループによって開発された。しかし、この方法で
も脳への取り込みは注入量の1%程度で、脳に特異的で
あるとはいえない。
からの物質や細胞の浸潤がほとんどなく、薬物や遺伝子
導入が困難である。実際に正常脳ではT細胞やマクロフ
ァージなどの免疫細胞の浸潤はほとんどみられない。
神経系細胞であり、炎症反応やウイルス感染において免
疫担当細胞として働いたり、細胞を取り除く貧食細胞と
して働くほか、中枢神経系サイトカインネットワークの
中心的役割を果たす細胞である(Sawada,M.et al.,Int.
J.Dev.Neurosci.,13,253−264,1995)。また、最近では
学習や記憶といった高次の脳機能の発現にも不可欠であ
ることが示され、脳に特異的な役割を持った特殊化した
細胞であると考えられている。現在までのところミクロ
グリアの起源は周産期に脳内に侵入した単球が特殊化し
て分化すると考えられていた。
ことができるが、一次培養をするためには使用する度に
脳を摘出して精製する必要があり、しかも通常2週間前
後の期間が必要とされるため、操作が煩雑である、ま
た、培養下で増殖させることが困難であり、継代するこ
とがほとんどできないことから、一次培養ミクログリア
に遺伝子を導入し、それを発現させることは極めて困難
である。
と考えられているミクログリアを研究する過程で高純度
精製のミクログリアを得ることに成功しその性質を調べ
た結果、ミクログリアはマクロファージとは異なり脳に
特異的な親和性をもつことを見い出した。
否かについてマクロファージとミクログリアが決定的に
異なることを見い出した。さらに、両者を識別できる方
法で染色してその分布を調べたところ、ミクログリアが
発生の早い段階から脳内に存在することを見い出した。
したがって、ミクログリアは骨髄で分化成熟する単球由
来ではなく、脳に特異的な親和性を持った細胞群が発生
の初期に脳内に侵入し、脳の形態形成や記憶学習といっ
た高次機能まで調節するようになると考えられる。
ログリアをラット末梢動脈に注入して脳への選択的配向
性があるかどうかについて比較した結果、蛍光色素を用
いて標識したミクログリアを注入した場合には脳には多
くの蛍光細胞が見られたが、肝臓にはわずかしか見られ
なかった。これに対しマクロファージを注入した場合に
は正常脳にはほとんど蛍光細胞が見られないが肝臓には
多くの蛍光細胞が見られた。
にlacZ発現ベクターを導入したものをラット血流中に注
入して脳に選択的に遺伝子を発現させることができるか
どうかを検討したところ、lacZ発現細胞を注入したラッ
ト脳切片でβ−ガラクトシダーゼ(β−galactosidas
e)の活性が検出できた。以上の結果からミクログリア
はマクロファージとは異なり脳に特異的な親和性をもっ
た細胞であること、この親和性を利用すれば末梢血流中
から特定物質や遺伝子を脳に特異的に導入できることが
わかった。
ア、詳細には、以下の性質を有する株化ミクログリアに
関する。
存在下においてマクロファージ様又は球状の形態、及び
該因子非存在下において脳内に存在する分枝状ミクログ
リアに類似した分枝状の形態の両者又はいずれか一方の
形態を有する。
強い貧食能を有する。
激因子に依存的に増殖する。
刺激因子(CSF)、より好ましくは顆粒球−マクロファ
ージコロニー刺激因子(GM−CSF)の存在下に、好まし
くはさらにIL−3及び/又は精製アストロサイトの存在
下に、ミクログリア細胞から継代培養が可能な株化ミク
ログリアを分離する方法に関する。
異的な親和性を有する医薬キャリアー(担体)に関す
る。
化ミクログリアに関する。
ミクログリア、及び、製薬上の担体とからなる医薬組成
物、特に脳疾患治療剤である医薬組成物に関する。
好ましくはクラゲ由来の蛍光蛋白質を発現する遺伝子を
用いて、ミクログリアに遺伝子を導入することからな
る、外来遺伝子が導入されたミクログリアのスクリーニ
ング方法及び製造方法に関する。本発明のこの方法にお
けるミクログリアとしては、従来のミクログリアを使用
することもできるが、本発明の前記した株化ミクログリ
アを使用することが好ましい。
薬物または遺伝子を送達させてなる脳疾患の治療方法に
関する。
真(生物の形態)である。
ジとの組織特異性の違いを示す写真である(生物の形
態)。
示す電気泳動写真である 第4図は、本発明の株化ミクログリアのGM−CSF依存
的増殖を示す図である。
真である(生物の形態) 第6図は、ラット脳内における遺伝子の発現を示す図
である。
の結果を示す図である。
ある。
細胞を一次培養してミクログリアを精製し、さらにこの
精製ミクログリアから、本発明の株化ミクログリアロー
ンを以下の手法により分離することができる。また、本
発明の株化ミクログリアは取扱いが容易でしかも脳に親
和性を有するため、株化ミクログリアに遺伝子又は薬物
を導入し、末梢血管に注入することにより脳内に特異的
に遺伝子を発現させ、また薬物を送達させることができ
る。
明する。
し、ピペット又はナイロンメッシュ等を用いて単細胞に
分離する。マウス及びラットは新生のものが好ましい。
マウスとしては、例えばC57BL6、C3H、ICR、Ba1b/c等が
挙げられ、ラットとしては例えばフィッシャー(Fishe
r)、ウィスター(Wister)、SD等が挙げられるがこれ
らに限定されない。
S、又はCSを含むEMEM等)にまき10〜14日培養する。な
お、3〜4日毎に培地を交換する。
別する。
れるものがあり、タイプIは、一次培養物を機械的に刺
激する(ピペットで培地を吹き付ける、培養皿を揺する
等)ことによって培養皿から剥がれて浮遊する細胞であ
る。一方、タイプIIは前記機械的刺激によっては浮遊し
ない細胞(付着細胞)である。本発明のミクログリアは
タイプIIに属するものであるため、以下のようにして精
製ミクログリアを選別することができる。
トリプシン−EDTA処理して単細胞にした後、何ら処理さ
れていないプラスチックディッシュ(ノン・コートプラ
スチック皿という)に播いて付着させる。一般に、培養
皿は正電荷を持つように薬物で処理されているが、付着
細胞を得るにはその処理がされていないディッシュを使
用する必要があるためである。37℃で1時間CO2インキ
ュベーターで加温後、機械的刺激を与えて培地中に浮遊
する細胞を取り除いた後、皿に接着したまま増殖できる
細胞をラバーポリスマン等で回収し、同様の操作をさら
に2回繰り返して得られる細胞を、株化のための精製ミ
クログリアとして得ることができる。以上のようにして
得られた精製ミクログリアは、十分な純度を有するが、
さらに精製純度を上げるため、セルソーター等を用いて
もよい。
本発明の継代培養が可能な株化ミクログリアを分離する
ためには、前記精製ミクログリアをサイトカイン、好ま
しくはコロニー刺激因子(CSF)、より好ましくは顆粒
球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の存
在下に培養し、これをクローン化して行うことができ
る。培養の際に存在させるサイトカインとしては、GM−
CSFを単独で使用してもよいが、GM−CSFにさらにIL−3
及び/又は精製アストロサイト由来の上清を存在させて
もよい。使用するサイトカインは、天然のものでも、遺
伝子組み換え型のものであってもよい。より詳細には、
例えば、次のようにして行うことができる。
マクロファージコロニー刺激因子(rGM−CSF)存在下で
7〜10日培養する。培養後細胞を回収し、rGM−CSFの存
在下で、いわゆる限界希釈法によりさらに細胞を4〜10
週間培養する。そして、テストプレート1ウェルあたり
1個のコロニーを形成した細胞をラバーポリスマンで遊
離することによりクローン化したものを選別、分離し、
最終的に株化ミクログリアを得る。
質を有するものである。
ま位相差顕微鏡下で形態を観察した結果、rGM−CSFの存
在下においてマクロファージ様若しくは球状の形態、又
はrGM−CSFの非存在下において脳内に存在する分枝状ミ
クログリアに類似した分枝状の形態を有する。あるいは
上記の両形態を有する。
と脳に特異的に移行することから、脳に特異的親和性を
有する。また、リポ多糖でミクログリアを刺激するとイ
ンターロイキン−1(IL−1)及びインターロイキン−
6(IL−6)を産生する。また、インターフェロンγで
刺激するとIL−5を産生する。この性質は、IFN−γでI
L−5を発現しないマクロファージと相違するものであ
る。また、蛍光色素の取り込みを指標として貧食能の試
験を行った結果、本発明の細胞株は、強い貧食能を有す
る。本発明の株化ミクログリアは、アストロサイトより
も数百〜数千倍もの貧食能を有するものである。
れなくなることから、本発明の株化ミクログリアはGM−
CSF依存的に増殖するものである。
に具体例で例示する。
は、遺伝子を脳に特異的に発現させるうえで重要であ
る。目的とする遺伝子は、公知のクローニング手法によ
り得ることができ、また、市販のものを使用することも
可能であり、遺伝子の種類に特に限定されない。
手法としてDOTAP(ベーリンガー−マンハイム社製)を
用いる方法がある。すなわち、DOTAPを含む遺伝子導入
用培地中で株化ミクログリアを目的遺伝子とともに培養
する方法がある。培養は、CO2インキュベーター中、37
℃で16〜24時間培養したのち、ミクログリア培養用培地
でrGM−CSFとともにさらに30〜72時間、好ましくは48時
間培養する。
は、上記手法のほかに、例えば、リン酸カルシウム法、
DEAEデキストラン法、リポフェクション法、エレクトロ
ポレーション法、パーティクルガン法等の公知手法を用
いることもできる。
方法で最も一般的に用いられる方法は、薬物耐性遺伝子
を目的遺伝子と同時に細胞に導入して発現させ、染色体
DNAに取り込まれてその発現が安定的恒常的発現を行う
ようになった細胞以外を薬物処理により死にいたらしめ
培養中から排除して分離する方法である。
合、安定的恒常的発現を行うようになったミクログリア
が死細胞を認識して強い貧食能を発現し、同時に活性化
されて増殖能を失うことがある。このために、本発明の
好ましい遺伝子の導入法としては、薬物耐性遺伝子の代
わりに蛍光蛋白質、好ましくはミズクラゲ由来のグリー
ン・フルロオレセント・プロテイン(green fluoresce
nt protein(GFP))を高等動物に発現できるように改
変された発現ベクターを用いて、目的細胞を蛍光強度の
差で安定的恒常的発現を行うミクログリアを分離する方
法が挙げられる。
及び遺伝子の発現の確認は、導入細胞をあらかじめ貧食
細胞に特異的な蛍光色素で染色しておき、脳を摘出後凍
結し、約8ミクロン厚の切片を作製し、蛍光顕微鏡下で
蛍光をもつ細胞を同定するか、切片を、導入する遺伝子
の基質により活性染色することにより行われる。
・エミッション・トモグラフィー(PET)等により行う
こともできる。例えば、MRI用造影剤等を取り込ませた
細胞を動物に注入してその動向を観察することもでき
る。これらの方法によれば、動物を殺すことなく非侵襲
的かつ簡単に観察することができる。
る。ただし、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が
限定されるものではない。
r)の脳を摘出し、氷冷したミクログリア培養培地(Mi
培地という:Eagle's MEM、10%ウシ血清、0.2%グルコ
ース及び5μg/mlウシインシュリンを含む)中で脳膜を
剥離した。パスツールピペット又はナイロンメッシュで
細胞を単細胞化し、上記Mi培地中で細胞を培養した。マ
ウス脳については20mlのMi培地あたり脳1個分の細胞
を、ラット脳については40mlのMi培地あたり脳1個分の
細胞をそれぞれ10cmの培養皿2枚、10cmの培養皿4枚中
で培養した。培養は、CO2インキュベーター内(5%C
O2、95%空気の条件)で、37℃で10〜14日行った。な
お、培地は3〜4日毎に交換した。
BRC)が出現した段階で、機械的振盪によりPBRCを除去
した後、200U/mlトリプシン−0.02%EDTAで細胞をはが
し、非コートプラスチック皿中、37℃で30分インキユベ
ートした。非コートプラスチック皿に接着した細胞をMi
培地で2回洗浄し、細胞を剥離させて回収した。同様の
処理をさらに2回繰り返し、精製ミクログリアを得た。
シャーレに1×105個播種し、rGM−CSF(ジーンザイム
(Genzyme)社製)存在下Mi培地で7日間培養した。
を分離した。すなわち、96穴プレート(ファルコン(Fa
lcon)社製)の各ウェルに、0.5個/ウェルの細胞濃度
(100μl中)で播種し、2ng/mlのマウス遺伝子組換え
型GM−CSF(ジーンザイム(Genzyme)社製)存在下で約
3週間培養した。各ウェルについてクローン化の有無を
確認し、目的のクローンを分離した。
2、GMI−M6−1、GMI−M6−3、GMI−M5−2、GMI−MF1
1)、ラット脳由来のものについては1種類(GMI−R1)
の株化ミクログリアが得られた。
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、Ra2につ
いては「mouse microglia Ra2」と称し、FERM P−1
6109として、GMI−R1については「rat microglia GMI
−R1」と称し、FERM P−16110としてそれぞれ寄託さ
れている。
相差顕微鏡で観察した結果、rGM−CSF存在下ではマクロ
ファージ様ないし球状を呈し(第1図A)、rGM−CSF非
存在下では分枝状を示した(第1図B)。
ャーレに付着させた状態にし、貧食細胞染色液(Diluen
t B.:ザイナクシス(Zynaxis)社製)で調製した蛍光
色素PKH26(ザイナクシス(Zynaxis)社製)と10%血清
とを1:1で混合して上記シャーレに加え、37℃で15分蛍
光染色した(Ishihara,S.,Sawada,M.et al.,Exp,Neuro
l,.124,219−230,1993)。
ラット腋下動脈に注入した。注入して48時間後並びに
1、2及び3週間後にラットの各臓器を摘出し、OCT
(ティシュー・テック(Tissue Tek)社)溶液中で凍
結した。
(フィッシャー)の腹腔を冷PBSで洗浄することにより
単離したマクロファージを、貧食細胞に特異的な蛍光色
素で標識し、ラット腋下動脈に注入し、その組織配向性
について組織切片を作製して検討した。
は正常脳に多くの蛍光細胞が見られたのに対し(第2図
A)、肝臓には見られなかった(第2図B)。一方、マ
クロファージを注入した場合は、正常脳にはほとんど蛍
光細胞が見られなかったのに対し(第2図C)、肝臓に
は多くの蛍光細胞が見られた(第2図D)。
和性を有するものであった。
糖で12時間刺激をしたもの、及び無刺激のものからRNea
sy(クィアジェン(Qiagen)社製)により総RNAを抽出
し、そのうち2μgを用いて逆転写酵素(BRL)を用い
て混合cDNAを得た。このcDNAをテンプレートにして、以
下の配列を有するIL−1特異的合成プライマー及びIL−
6特異的合成プライマーを用いてPCRを行った。
Dev.Neurosci.13,253−264,1995): IL−6特異的合成ブライマー(Sawada et al.,Brain Re
s.583,296−299,1992): PCRは、55℃を1分、72℃を2分及び94℃を1分の反
応を1サイクルとしてこれを30サイクル行った(HYBAID
のOmnigeneを使用)。PCR後、増幅産物をアガロースゲ
ル電気泳動にかけて遺伝子の発現を調べた その結果、リポ多糖によりRa2はIL−1及びIL−6発
現を増大することがわかった(第3図、“LPS"のレー
ン)。なお、第3図において、Mは分子量マーカー、co
ntは対照(無刺激)を表す。
ることが確認された。さらに、本発明の株化ミクログリ
アのリポ多糖刺激後の培養上清を、IL−6依存的に増殖
するMH60細胞又はIL−1依存的に増殖するD10細胞に添
加培養して、MH60細胞及びD10細胞の増殖の有無を検討
した。
株化ミクログリアの培養上清存在下において増殖するこ
とがわかった。
き、2μg/mlのrGM−CSFを1000倍、5000倍及び10000倍
希釈となるようにそれぞれ添加して4日間培養し、MTT
アッセイを行った。対照としてヒトM−CSF(ミドリ十
字)400u/mlを1000倍希釈したもの、又はPMA(ホルボー
ルミリステートアセテート)0.1mg/mlを1000倍若しくは
5000倍希釈したものを用いた(第4図A)。
のマウスIL−3、IL−4及びIL−6(いずれもジーンザ
イム(Genzyme)社)との比較試験を行った。各試薬を
それぞれ添加して2日後及び4日後のMTTアッセイを行
った(第4図B)。
がわかった。
テック社(Clonetech))とDOTAPリピッド(ベーリンガ
ー・マンハイム社(Boehringer−Mannheim))とを混合
し、終濃度1μg/mlとした。これを血清を含む培地に混
合して調製し、本発明の株化ミクログリアに添加して16
時間処理した。対照として、遺伝子を導入しない株化ミ
クログリア、及び、実施例1と同様にして得られたマク
ロファージを用いた。
時間培養し、実施例1(b−1)に記載の蛍光染色を行
い、遺伝子が脳に移行し、発現するか否かの検討を行っ
た。すなわち、成熟ラット(250〜300g)をネンブター
ル麻酔下、左腋下動脈を露出させ、止血処理後カニュー
レを挿入して1〜2×106個の細胞を注入した。注入後
切開部を縫合し、ラットを回復させた。
した約8μmの3枚の凍結切片を作製し、それぞれ蛍光
顕微鏡による観察を行った。また、β−ガラクトシダー
ゼの活性染色及び活性の定量については以下のように行
った。
デヒドで固定し、Limらの方法(BioTechniques 7,576−
579,1989)でXgalを基質として活性染色した。活性の定
量は、切片1枚を100μlの溶解バッファーで超音波破
砕によりホモゲナイズし、市販のキット(GalactoLigh
t;Boehringer−Manheim)を用いて測定した。
した場合は、ラット脳の切片からlacZ陽性細胞の存在が
確認できた(第5図)。また、β−ガラクトシダーゼ活
性を化学発光法で定量した結果、大腸菌由来遺伝子lacZ
発現ベクターを導入した株化ミクログリアを注入したラ
ット脳切片において、遺伝子を導入しないものよりはる
かに高い活性が検出された(第6図)。
び脳への特異的導入 実施例1で使用した蛍光色素PHK26はダイリューエン
トB(diluent B)で顆粒を作る。この顆粒を本発明
のミクログリア細胞株は特異的に取り込んで細胞内に保
持し、脳に移行するので、蛍光素PKH26を化学物質(抗
癌剤)のモデルとして使用した。
は、正常脳に多くの蛍光細胞が見られたのに対し、肝臓
には見られなかった。従って、本発明のミクログリアは
化学物質(薬物)を脳特異的に運ぶといえる。
後にGFP発現ベクターpEGFP10μg(クロンテック(Clon
teck)社製)を遺伝子導入用培地に添加しこの培地に交
換してCO2インキュベーター中で細胞を37℃で24時間培
養した後、ミクログリア用の培地でrGM−CSFとともにさ
らに7日間培養した。
画装置(fluorescent activated cell sorter,FACS,
ベクトン−ディッキンソン(Becton−Dickinson)社製F
ACS Calibur)で蛍光強度が遺伝子非導入細胞の100倍
以上の細胞を分画して濃集し、さらにミクログリア用の
培地でrGM−CSFとともに培養を継続した。
以上の細胞が100倍程度の蛍光を持つ分画に回収できた
ので、これを細胞限界希釈法で1細胞/ウェルの割合で
TP96テストプレートにまきこみミクログリア用の培地で
rGM−CSFとともにさらに培養した。これによって導入遺
伝子pEGFPを安定的恒常的に発現するようになったミク
ログリアを分離することができた。
一例を図に示す。第7図は遺伝子が導入されていていな
い細胞のFACS分析の結果であり、第8図はGFP導入細胞
のFACS分析の結果である。
ログリアが提供される。本発明の株化ミクログリアは、
脳内に遺伝子を導入するためのキャリアー(担体)とし
てのみならず、薬物などの化学物質を脳特異的に導入す
るためのキャリアー(担体)としても有用である 配列表 配列番号:1 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: 配列番号:2 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核数(合成DNA) 配列: 配列番号:3 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: 配列番号:4 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列:
Claims (5)
- 【請求項1】血管に投与すると脳に特異的に移行する機
能を有する株化ミクログリアからなる医薬用キャリア
ー。 - 【請求項2】遺伝子が導入され、当該遺伝子を脳に特異
的に送達させるものである、請求項1に記載の医薬用キ
ャリアー。 - 【請求項3】薬物が導入され、当該薬物を脳に特異的に
送達させるものである、請求項1に記載の医薬用キャリ
アー。 - 【請求項4】請求項1〜3に記載の医薬用キャリアーを
含有してなる医薬組成物。 - 【請求項5】脳疾患治療剤である請求項4に記載の医薬
組成物。
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