JP3410512B2 - 自動車の特性変更装置及び方法 - Google Patents

自動車の特性変更装置及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の特性を変更す
るための特性情報を形成し、その対象となる自動車に該
情報を入力して特性変更を行う装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車の特性は、できるだけ多
くのドライバーがある程度のどのような状況下で運転す
る場合であっても一定程度の満足が得られるように、平
均的なドライバーを念頭において設定されている。そし
て、各ドライバーの好みに合った運転を可能とするた
め、自動車の走行特性をドライバーの選択によってある
程度変更できるようにした自動車も提供されている。た
とえば、パワーモードとノーマルモードあるいはエコノ
ミーモードなどをドライバーのマニュアル操作によって
選択できるようにした自動車が知られている。またアク
ティブサスペンション付きの自動車ではサスペンション
特性をハードあるいはソフトすることも知られている。
さらに、4輪操舵自動車において、操舵特性をスポーツ
モードとノーマルモードなどに変更する手段を設けるこ
とも知られている。
【0003】この自動車の走行特性の形成は特定の制御
ゲインを設定、変更することによって行われる。しか
し、このように、平均的なドライバーを念頭においた特
性を有する自動車や、制御ゲインを、マニュアルスイッ
チを介して選択する形式の自動車では、全てのドライバ
ーに、満足を与えることは不可能である。これに鑑み、
ドライバーの運転の特徴を学習して、走行特性の制御ゲ
インを変更することにより、個々のドライバーの感性に
合わせるように構成した学習制御自動車が提案されてい
る。
【0004】例えば、特公平3−44029号公報に
は、ステアリングホイールの操舵中にステアリングホイ
ールの操舵角速度、操舵角、ヨーレイト、横加速度など
をサンプリングして、その所定時間内における平均値に
基いて、ドライバーの操舵の特徴を抽出して、ステアリ
ングホイールの操舵角に対する前輪または後輪の転舵角
の比率を変化させるように学習制御する自動車が提案さ
れている。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】このように、従来提案
された自動車の特性の制御ゲイン変更技術は、自動車の
一部の走行特性を変更し得るのみで、自動車の操舵系や
懸架系や制動系を含む走行機能系を総合的にドライバー
の感性、指向に合わせて変更するものではない。ドライ
バーの感性あるいは指向に応じて自動車特性を設定変更
するためには、個々の自動車に、種々のセンサ類と、こ
れらセンサ類からの検出信号を所定の学習制御プログラ
ムで演算処理して、ドライバーの運転操作の特徴を学習
して、この学習結果に基いて特性を変更する制御装置を
設ける必要がある。
【0006】しかし、このようにするためには、個々の
自動車に、種々のセンサ類、膨大で複雑なソフトウェア
を含む高価な制御装置が必要となること及び学習制御に
伴うデータ処理のためのメモリ容量が大きくなることな
どから、自動車価格が高価になるという不利が生じる。
本発明の目的は、簡単な構成でドライバーの感性に合致
した自動車の特性を与える特性情報を当該対象自動車に
入力して特性変更を行うができる装置と方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】本発明の目的は、対象自動車に要求される
特性の仕様の程度に対応して合理的かつ効率的に自動車
の特性情報を付与することができる装置と方法を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の装置の基本的な特徴は、対象自動車の特性を支配する
特性情報を対象自動車外で形成する特性情報形成手段
と、該特性情報形成手段によって形成された前記特性情
報を前記対象自動車に入力する情報入力手段と、該入力
手段によって入力された特性情報に基づいて対象自動車
の特性変更を行う特性変更手段とを備えたことである。
【0009】また、本発明の別の特徴として自動車特性
を変更する方法が提供される。この方法によれば、対象
自動車の特性を支配する特性情報を対象自動車外で形成
し、形成した特性情報を対象自動車に入力し、入力され
た特性情報に基づいて対象自動車の特性を変更する。対
象自動車の特性には、サスペンション、ステアリング、
エンジン出力、シフト特性、制動特性等の走行特性、冷
暖房特性、シート高さ、硬さ、シート位置等の運転環境
特性などが含まれる。
【0010】好ましくは、前記特性情報形成手段によっ
て形成した前記特性情報を保持あるいは記憶する情報保
持手段あるいは情報記憶手段が設けられる。そして、こ
の場合には、情報保持手段を介して特性情報を前記情報
入力手段により前記対象自動車に特性情報を入力するよ
うに構成される。 (シミュレーションによる特性変更)好ましい態様で
は、運転シミュレーションによって、地域に応じたドラ
イバーの運転操作を学習することによって、特性情報を
形成し、特性情報記憶手段に記憶させ、該特性情報記憶
手段に記憶された特性情報を、自動車の特性情報読み取
り手段に読み取らせ、読み取った特性情報に基づき、自
動車の特性を変更する。
【0011】記憶媒体として、ICカードを用いること
ができる。好ましくは、シミュレーション装置は、特性
情報記憶手段に記憶された特性情報を読み取る情報読み
取り手段と、ドライバーが運転シミュレーションを実施
する仮想走行地域を入力可能な走行地域入力手段と、ス
クリーンと、前記車体に、振動を与えまた、姿勢を変化
させることのできる車体制御手段を有する。
【0012】シミュレーション装置はコンピュータ等を
用いた制御装置によって、運転シミュレーションが実施
されている仮想走行場所を算出し、仮想走行場所に対応
した画像をスクリーンに表示し、ドライバーの運転シミ
ュレーション装置における運転操作を、前記仮想走行場
所との関係で学習して、前記特性情報を形成し、運転シ
ミュレーションの終了時に、特性情報記憶手段に記憶さ
せる。
【0013】この場合、算出されたシミュレーションの
ための仮想走行場所が、所定の基点から所定距離内の特
定地域内にあるときは、コンピュータは、前記特定地域
内の各道路の画像を、スクリーンに表示させるととも
に、前記車体制御手段により、各道路の地形状況に応じ
た振動を車体に加えさせ、前記仮想走行場所が前記特定
地域外にある場合には、地域に応じた一般的な画像をス
クリーンに表示させる。
【0014】また、コンピュータによって実現される特
性情報記憶手段は、特定地域内を対象とするシミュレー
ションにおいて各道路の地形状態およびドライバーの運
転操作を学習して得られた学習特性情報を記憶する学習
特性情報記憶部、前記特定地域外を対象とする運転シミ
ュレーションを行ったときドライバーの運転操作を学習
して得られた標準特性情報を記憶する標準特性情報記憶
部および学習特性情報または標準特性情報を補正するた
めの学習プログラムを記憶する学習プログラム記憶部を
備える。
【0015】別の態様では、前記学習プログラムは前記
特定地域内の各道路の地形状態を学習するための地形に
関する学習プログラムと、ドライバーの運転操作を学習
するための運転操作に関する学習プログラムを有する。
コンピュータは、運転シミュレーションを実施するに当
たって、特性情報記憶手段の学習特性情報記憶部に記憶
されている学習特性情報、標準特性情報記憶部に記憶さ
れている標準特性情報および学習プログラム記憶部に記
憶されている学習プログラムを読み取る。また、運転シ
ミュレーションが、前記特定地域内において実施される
時は、前記地形に関する学習プログラムおよび前記運転
操作に関する学習プログラムにしたがって、前記学習特
性情報の補正をおこなう。さらに、運転シミュレーショ
ンが、前記特定地域外において実施される時は、前記運
転操作に関する学習プログラムにしたがって、標準特性
情報の補正をおこなう。
【0016】別の好ましい実施態様においては、ドライ
バーの標準的な医学データを記憶する標準医学データ記
憶手段が設けられる。この場合、運転シミュレーション
装置はドライバーの医学データを検出する医学データ検
出手段を備える。そして、コンピュータユニットは、運
転シミュレーションを実施する時に、前記標準医学デー
タ記憶部に記憶されているドライバーの標準医学データ
を読み取るとともに、医学データ検出手段により検出さ
れたドライバーの医学データと比較して、ドライバーの
心理状態を判定する。そして、ドライバーの心理状態が
平静でないときと認められるときは、ドライバーの運転
操作の学習を停止する。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しつつ説明する。 (第1実施例)図1は、本発明の好ましい実施例に係る
ドライバーの運転シミュレーション装置のブロックダイ
アグラムである。
【0036】図1において、本発明の好ましい実施例に
係るドライバーの運転シミュレーション装置1は、自動
車のディーラーの所在地に設置され、ドライバーによる
運転操作のシミュレーションが可能に構成されている。
運転シミュレーション装置はICカードに記憶されたプ
ログラムを読み取り、これに基づいて、ドライバーが、
ドライバーまたはドライバーの家族の自宅あるいはディ
ーラーの所在地など、あらかじめ定められた基点から、
所定距離内、たとえば、20km以内の特定地域内におけ
る運転操作のシミュレーションを実行するときは、その
特定地域内の各道路の各単位区間における地形状況およ
びドライバーの運転操作を学習して、学習制御データを
生成し、ICカードに記憶させ、あるいは、ICカード
に記憶された学習制御データを書き換える。他方、特定
地域外における運転操作のシミュレーションを実行する
ときは、都市部、市街地、市外地、山道および高速道路
の走行地域毎に、ドライバーの運転操作を学習して、あ
らかじめ定められ、ICカードに記憶されている制御デ
ータを書換えるように構成されている。すなわち、シミ
ュレーション装置1は、車体2、ステアリングホィール
3、アクセルペダル、ブレーキペダルなど、自動車に常
備された運転操作手段を備えており、装置1が置かれた
周壁は、半球状のCRTからなるスクリーン4を形成し
ている。この周壁全面に設けられたスクリーン4には、
ドライバーが運転シミュレーションを実行する仮想走行
地域に対応した画像に、運転シミュレーションを実行す
る時間帯に応じた交通状況を示す画像、晴天、雨天、降
雪などの天候状態を示す画像が、画像処理により、合成
され、さらに、夜間に運転シミュレーションを実行する
場合には、その明るさが修正された画像が表示されるよ
うになっている。また、ステアリングホィール3、アク
セルペダル、ブレーキペダルなどの運転操作手段の位置
を変更可能な操作系位置可変機構5、シート6の位置、
高さ、シートバックの角度などを変更可能なシート位置
可変機構7およびドライバーの心拍数、脈拍数、血圧、
発汗状態、脳波、アイポイントなどの医学データを検出
するドライバー医学データ検出手段8が設けられてい
る。さらに、ICカードを受け入れ、ICカードに記憶
されたデータならびにプログラムを読み取るとともに、
これを書換え可能なICカード読み取り機9、運転シミ
ュレーションを実行する仮想の出発地と目的地とを入力
可能な走行地域入力手段10、所定の制御装置のゲイン
を変更するために操作されるマニュアルスィッチ11、
ドライバーまたはドライバーの家族の自宅あるいはディ
ーラーの所在地など、あらかじめ定められた基点から所
定距離内の特定地域内における道路の地形状態、すなわ
ち、路面の凹凸状態、道路の屈曲状態ならびに道路の傾
斜状態を単位区間毎に記憶しているCD−ROMを受入
れて、読み取り可能なCD−ROM読み取り機12が設
けられる。さらに、ステアリングホィール3、アクセル
ペダル、ブレーキペダルなどの運転操作手段の操作を行
うとともに、特定地域内においては、道路の地形状態に
したがって、車体2に、バウンス振動、ロール振動およ
びピッチ振動を加え、車体2の姿勢を変化させ、車体2
を回動させるように制御する車体制御機構13が設けら
れている。また、図示はしていないが、ドライバーが、
ステアリングホィール3を操舵するのに必要な力を制御
する操舵力制御手段が設けられている。
【0037】図2は、マニュアルスィッチ11が設けら
れたインスツルメントパネル14の一例を示す略正面図
であり、15は、インディケータである。本実施例にお
いては、エンジン制御装置用マニュアルスィッチ92、
ギヤ比制御装置用マニュアルスィッチ93、パワーステ
アリング制御装置用マニュアルスィッチ94、アクティ
ブサスペンション制御装置用マニュアルスィッチ95、
アンチ・ロック・ブレーキング制御装置用マニュアルス
ィッチ96、トラクション・コントロール装置用マニュ
アルスィッチ97および4輪操舵制御装置用マニュアル
スィッチ98が設けられている。
【0038】図3は、ICカードに記憶されているデー
タおよびプログラムの内容を説明するための図面であ
る。図3において、ICカード16は、運転シミュレー
ション装置1において、運転シミュレーションが実行さ
れた結果、生成された標準制御データおよび学習制御デ
ータを記憶する。
【0039】そして、対象自動車に設けられた後述する
ICカード読み取り機に挿入され、ICカード読み取り
機が、これらのデータを読み取ることによって、自動車
の走行制御ゲインを変更可能なように、構成されてい
る。ICカード16は、車種識別データ記憶部18、運
転位置変更用データ記憶部19、標準制御データ記憶部
20、学習データ記憶部21、第1学習プログラム記憶
部22、第2学習プログラム記憶部23、補正用データ
記憶部24、更新回数記憶部25、基点データ記憶部2
6及び標準医学データ記憶部27を備えている。
【0040】車種識別データ記憶部18は、運転シミュ
レーションの開始に先立って、あるいは、後述する消去
スィッチが操作された時は、その後に、初めて、運転シ
ミュレーションを開始する前に、制御ゲインを変更する
などして自動車特性を変更すべき自動車の車種が入力さ
れ、特定の車種であることを、運転シミュレーション装
置1が識別するための車種識別データを記憶する。
【0041】運転位置変更用データ記憶部19は、運転
シミュレーションが実行される際に、ドライバーによる
ステアリングホィール3の角度の調整およびシート位置
可変機構7によるシート6の位置、高さ、シートバック
の角度などを学習して得た運転位置データを記憶する。
そして、標準制御データ記憶部20は、運転シミュレー
ションが初めて実行される時、または、後述する消去ス
ィッチが操作された後に、運転シミュレーションが初め
て実行される時に、運転シミュレーション装置1の後述
するROMに記憶された地域別の特性情報すなわち設定
制御データA1ないしA5が、そのまま、コピーされ、
ドライバーによる運転シミュレーションにしたがって、
後述する学習プログラムD1、D3ないしD6に基づ
き、これが補正されて、生成された地域別の標準制御デ
ータを記憶する。学習データ記憶部21は、自動車のオ
ーナーの自宅あるいはディーラーの所在地など、あらか
じめ定められた基点から、所定距離内の特定地域内を、
自動車が走行しているときに、標準特性情報すなわち標
準制御データに優先して、使用される制御データで、運
転シミュレーションが、基点から所定距離内の特定地域
内で、実行された時に、ドライバーの運転操作を学習し
て、特定地域内の各道路の単位区間毎に、所定の条件で
生成され、後述する学習プログラムにより補正されて得
られた学習制御データを記憶する。
【0042】第1学習プログラム記憶部22は、ドライ
バーが特定地域内において、運転シミュレーションを実
行する場合に、特定地域内の各道路の単位区間毎の地形
に応じて、学習制御データを生成し、あるいは、書換え
る学習プログラムC1およびC2を記憶する。また、第
2学習プログラム記憶部23は、特定地域内の各道路の
各単位区間内でのドライバーの操作状況に応じて、学習
制御データを書換える学習プログラムD1ないしD7を
記憶する。補正用データ記憶部24は、運転シミュレー
ションの実行中に、ドライバー医学データ検出手段8が
測定したドライバーの医学データに基づき推定したドラ
イバーの心理状態および運転シミュレーションによって
テストしたドライバーの反射神経などにしたがって、生
成され、後述する自動車のROMに記憶された補正制御
プログラムを、自動車の運転時に補正するための補正用
データを記憶する。更新回数記憶部25は、各走行制御
データの更新回数を記憶し、基点データ記憶部26は、
そのICカード16を用いるドライバーの特定地域を判
定するための基点データを記憶する。さらに、標準医学
データ記憶部27は、そのドライバーの標準心拍数、標
準脈拍数、標準血圧、標準発汗状態、標準脳波など、ド
ライバーの標準医学データを記憶するようになってい
る。
【0043】図4は、図1に示された運転シミュレーシ
ョン装置1の操作系、検出系および制御系のブロックダ
イアグラムである。図4において、本発明の好ましい実
施例に係るドライバーの運転シミュレーション装置1の
操作系は、ステアリングホィール3、アクセルペダル3
0、ブレーキペダル31、クラッチペダル32、シフト
レバー33、ドライバーによって操作され、運転シミュ
レーションにより、走行しようとする仮想走行地域を入
力する走行地域入力手段10、所定の制御装置の制御デ
ータを変更するために操作されるマニュアルスィッチ1
1およびICカード16に記憶されたデータを消去する
ための消去スィッチ35を備えている。消去スィッチ3
5が設けられているのは、ICカード16に記憶されて
いる運転位置データ、標準制御データ、学習制御データ
または補正用データが不適当であり、これを変更したい
と、ドライバーが考えたとき、あるいは、自動車やIC
カード16の所有者が変わり、それまでに記憶していた
運転位置データ、標準制御データ、学習制御データ、補
正用データおよびドライバー識別データを変更する必要
がある場合などに操作されるものである。ここに、消去
スィッチ35が操作されて、ICカード16に記憶され
ている運転位置データ、標準制御データ、学習制御デー
タまたは補正用データが消去されると、後述する運転シ
ミュレーション装置1のROMに記憶されている設定制
御データA1ないしA5が、標準制御データ記憶部20
に記憶されるようになっている。
【0044】また、本発明の好ましい実施例に係るドラ
イバーの運転シミュレーション装置1の検出系は、ドラ
イバー医学データ検出手段8、ICカード16に記憶さ
れた走行制御データならびにプログラムを読み取り可能
なICカード読み取り機9、走行地域入力手段10によ
り入力された仮想出発地、目的地および運転シミュレー
ション装置1におけるドライバーの運転操作に基づき、
メイン・コンピュータユニットにより算出された走行中
の仮想走行場所を算出して、仮想走行場所に対応する画
像信号を、所定のデータソースから受信する画像信号受
信機36、特定地域内の道路の地形状態を記憶している
CD−ROMの地形データを読み取るCD−ROM読み
取り機12、ドライバーの運転シミュレーション装置の
運転状況ならびに走行中の仮想走行場所にしたがって、
車体制御機構13によって車体2に加えられた上下方向
の加速度を検出する上下加速度センサ37、運転シミュ
レーションによって、自動車のエンジン制御装置、ギヤ
比制御装置、パワーステアリング制御装置、アクティブ
サスペンション制御装置、アンチ・ロック・ブレーキン
グ制御装置、トラクション・コントロール装置あるいは
4輪操舵制御装置用の制御データを変更する必要が生じ
たときに、これらを、所定のタイミングで変更するため
のタイマー38および後述する補正用データを生成する
際に使用されるタイマー39を備えている。タイマー3
8は、各制御装置に対応して、1つづつ設けられている
が、図4においては、便宜上、タイマー38は1つのみ
描かれている。また、34は、時計である。
【0045】本発明の好ましい実施例に係る運転シミュ
レーション装置1の制御系は、メイン・コンピュータユ
ニット40を備えるとともに、さらに、都市部を走行す
る際に使用される設定制御データA1、市街地を走行す
る際に使用される設定制御データA2、市外地を走行す
る際に使用される設定制御データA3、山道を走行する
際に使用される設定制御データA4および高速道路を走
行する際に使用される設定制御データA5からなる設定
制御データ、ICカード16に記憶された標準制御デー
タまたは学習制御データにしたがって、自動車を運転す
る際に、所定の条件の下での運転シミュレーションの結
果、ICカードに記憶された学習制御データ、標準制御
データを補正する補正制御プログラムを補正する補正用
データを生成するとともに、学習プログラムを補正する
ための補正プログラム、都市部、市街地、市外地、山道
ならびに高速道路の地域別の標準ドライバーのアイポイ
ント、車種毎のステアリング特性、サスペンション特
性、ギヤ比特性などの車両特性データ、車種毎のステア
リングホィール3、アクセルペダル30、ブレーキペダ
ル31、クラッチペダル32ならびにシフトレバー33
などの運転操作手段の位置についての操作系位置データ
およびステアリングホィール3、アクセルペダル30、
ブレーキペダル31、クラッチペダル32ならびにシフ
トレバー33の操作にしたがって、それぞれ、車速、ヨ
ーレイト、加速度、横加速度を演算するための車種毎の
プログラムを記憶しているROM41、ICカード16
に記憶され、ICカード読み取り機9により読み取られ
た各種データならびにプログラムを記憶するRAM4
2、スクリーン4に表示される画像を制御する画像制御
手段43、シート位置可変機構7を駆動して、シート6
の位置を制御するシート位置制御手段44、操作系位置
可変機構5を駆動して、運転操作手段の位置を制御する
操作系位置制御手段45、ステアリングホィール3を操
舵するのに必要な力を制御する操舵力制御手段46およ
び車体制御機構13を備えている。ここに、ROM41
は、特定メーカーのすべての車種毎に、1つづつの設定
制御データA1ないしA5を記憶しており、運転シミュ
レーションが初めて実行される時、あるいは、消去スィ
ッチが操作された後に、運転シミュレーションが初めて
実行される時に、ICカード16の車種識別データ記憶
部18から読み取られた車種にしたがって、その車種に
対応する設定制御データA1ないしA5が選択され、I
Cカード16の標準制御データ記憶部20に、標準制御
データB1ないしB5として、記憶されるようになって
いる。
【0046】メイン・コンピュータユニット40は、I
Cカード読み取り機9により読み取られた運転位置デー
タに基づき、操作系位置可変機構5およびシート位置可
変機構7に、それぞれ、位置設定信号を出力して、運転
操作手段およびシート6の位置が、運転シミュレーショ
ンを実行しようとするドライバーに適した位置になるよ
うに、運転操作手段およびシート6を移動させる。ここ
に、運転シミュレーションが初めて実行される時、また
は、後述する消去スィッチが操作された後に、運転シミ
ュレーションが初めて実行される時には、ICカード1
6の運転位置変更用データ記憶部19には、標準の運転
位置データが記憶されており、ドライバーが、運転シミ
ュレーションを開始する際、あるいは、開始後に、操作
系位置可変機構5およびシート位置可変機構7を操作し
て、運転操作手段およびシート6の位置を変えた時に、
その位置を記憶するように構成されている。
【0047】また、メイン・コンピュータユニット40
は、走行地域入力手段10に入力された運転シミュレー
ションを実行する仮想出発地、仮想目的地および運転シ
ミュレーション開始後の仮想運転状況に基づき、運転シ
ミュレーションを実行している仮想走行場所を判定し
て、画像信号受信機36に、仮想走行場所判定信号を出
力して、所定のデータソースから、仮想走行場所に対応
する画像信号を受信させるとともに、この画像信号に基
づき、画像制御手段43に、画像制御信号を出力して、
その仮想走行場所に相当する画像を、スクリーン4に表
示させ、ドライバーによるステアリングホィール3、ア
クセルペダル30、ブレーキペダル31、クラッチペダ
ル32、シフトレバー33の操作に応じて、スクリーン
4に表示された画像を変化させるとともに、車体制御機
構13に車体制御信号を、操舵力制御手段46に操舵力
制御信号を、それぞれ、出力して、自動車のステアリン
グホィール、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッ
チペダル、シフトレバーが操作されたときに、自動車が
示す挙動と同一の挙動を運転シミュレーション装置1の
車体が示すように、画像の変化と同期させて、車体2
に、バウンス、ロール、ピッチ振動を加え、あるいは、
車体2を回動させ、あるいは、車体2の姿勢を変化させ
るように構成されている。また、メイン・コンピュータ
ユニット40は、仮想出発地および仮想目的地と、IC
カード16の基点データ記憶部26に記憶された基点デ
ータとに基づき、運転シミュレーションを実行している
仮想走行場所が特定地域内にあると判定したときは、さ
らに、CD−ROM読み取り機12により読み取った特
定地域内における道路の地形状態にしたがって、車体制
御機構13に車体制御信号を出力して、車体2に、バウ
ンス振動、ロール振動、ピッチ振動を加えるとともに、
車体2の姿勢を変化させるように構成されている。
【0048】さらに、メイン・コンピュータユニット4
0は、ICカード読み取り機9により読み取られた車種
識別データに基づき、ROM41に格納された車種別の
プログラムのうち、該当する車種のプログラムを読み出
して、ドライバーによるステアリングホィール3、アク
セルペダル30、ブレーキペダル31、クラッチペダル
32およびシフトレバー33の操作に応じて、車速、ヨ
ーレイト、加速度、横加速度を演算するように構成され
ている。
【0049】メイン・コンピュータユニット40は、走
行地域入力手段10に入力された運転シミュレーション
を実行する仮想出発地、仮想目的地および運転シミュレ
ーション開始後の仮想運転状況にしたがって、仮想走行
場所を算出し、特定地域外を仮想走行していると判定し
たときは、ICカード16を読み取り、RAM32に記
憶している標準制御データB1ないしB5のいずれかに
したがって、画像制御手段43、車体制御機構13およ
び操舵力制御手段46が制御されるように、それぞれ、
制御ゲイン変更信号を出力して、標準制御データB1な
いしB5のいずれかにしたがって、車体2が挙動すると
ともに、ステアリングホィール3が操舵され、同時に、
スクリーン4に表示された画像が、標準制御データB1
ないしB5のいずれかに合致して、変化するように制御
し、さらに、学習プログラムD1、D3ないしD6に基
づいて、ドライバーの操作を学習し、所定の条件にした
がって、標準制御データを書換え、運転シミュレーショ
ンの終了後に、ICカード16に書き込むように構成さ
れている。ここに、メイン・コンピュータユニット40
は、仮想走行場所が、特定地域外の場合には、都市部、
市街地、市外地、山道あるいは高速道路の地域別の一般
的な画像が、スクリーン4に表示されるように、画像制
御手段43に、画像制御信号を出力するように構成され
ている。
【0050】また、特定地域内を仮想走行していると判
定したときは、メイン・コンピュータユニット40は、
ICカード16を読み取り、RAM42に記憶している
学習制御データにしたがって、画像制御手段43、車体
制御機構13および操舵力制御手段46が制御されるよ
うに、それぞれ、制御ゲイン変更信号を出力して、学習
制御データにしたがって、車体2が挙動するとともに、
ステアリングホィール3が操舵され、同時に、スクリー
ン4に表示された画像が、学習制御データに合致して、
変化するように制御し、さらに、学習プログラムC1お
よびC2に基づいて、特定地域内の地形状況を学習する
とともに、学習プログラムD1ないしD7に基づいて、
ドライバーの操作を学習し、所定の条件にしたがって、
学習制御データを書換え、運転シミュレーションの終了
後に、ICカード16に書き込むように構成されてい
る。
【0051】さらに、運転シミュレーションの実行中
に、ドライバー医学データ検出手段8が検出したドライ
バーの医学データおよび運転シミュレーションによりテ
ストしたドライバーの反射神経なとにしたがって、IC
カード16の補正用データ記憶部24に記憶されるべき
補正用データを書換えるように構成されている。また、
メイン・コンピュータユニット40は、マニュアル・ス
ィッチ11が操作されると、画像制御手段43に出力さ
れる画像制御信号のゲインおよび車体制御機構13に出
力される車体制御信号のゲインを、ドライバーの操作に
したがって、変更するようになっている。たとえば、ド
ライバーが、4輪操舵制御装置用マニュアルスィッチ9
8を、制御ゲインが大きくなるように操作した場合は、
あたかも、自動車において、後輪が前輪とより逆相方向
に転舵され、急旋回がなされるのと全く同様に、ステア
リングホィール3を操舵したときに、車体制御装置13
が、車体2を、すみやかに回動させ、同時に、画像制御
手段43が、スクリーン4に表示される画像を、すみや
かに変化させるように、メイン・コンピュータユニット
40は、画像制御手段43に画像制御信号を、車体制御
機構13に車体制御信号を、それぞれ、出力するように
なっている。
【0052】図5は、本発明の好ましい実施例に係る対
象自動車のブロックダイアグラムである。図5におい
て、対象自動車50は、エンジン51の吸気量、点火時
期、燃料噴射量などを制御するエンジン制御装置52、
ステアリングホィール53の操舵角に対する前輪54の
操舵角の比を変更するギヤ比変更装置55を制御するギ
ヤ比制御装置56、パワーステアリング装置57を制御
するパワーステアリング制御装置58、前輪54および
後輪59のアクティブサスペンション装置60を制御す
るアクティブサスペンション制御装置61、前輪54お
よび後輪59のブレーキ62を制御するアンチ・ロック
・ブレーキング制御装置63、エンジン51および前輪
54ならびに後輪59のブレーキ62を制御するトラク
ション・コントロール装置64および前輪54の操舵角
に対して、所定の転舵比で、後輪59を転舵させる後輪
操舵装置65を制御する4輪操舵制御装置66を備えて
いる。図5において、67は、図示しない宇宙衛星、サ
インポストなどからの信号や地磁気信号を受信して、自
動車50の位置を検出する位置検出センサであり、68
は、位置検出センサ67の受信した信号に基づき、後述
する位置算出用コンピュータユニットにより算出された
自動車50の走行場所を、地図などによって、表示する
ディスプレイ装置である。また、自動車50には、IC
カード16に記憶された各種データを読み取るICカー
ド読み取り手段75が設けられている。
【0053】図6は、本発明の好ましい実施例に係る対
象自動車50の操作系、検出系および制御系のブロック
ダイアグラムである。図6において、本発明の好ましい
実施例に係る対象自動車50の操作系は、ステアリング
ホィール53およびドライバーによって操作され、所定
の制御装置の制御ゲインを変更するマニュアル・スィッ
チ70を備えている。
【0054】本発明の好ましい実施例に係る対象自動車
50の検出系は、図示しない宇宙衛星、サインポストな
どからの信号や地磁気信号を受信して、自動車50が走
行している位置を検出する位置検出センサ67、ステア
リングホィール53の操舵角を検出する舵角センサ6
9、時計71、自動車50の走行距離を積算する積算計
72、自動車50の車速Vを検出する車速センサ73、
自動車50に横方向に加わる横加速度GLを検出する横
加速度センサ74およびICカード16を受入れ、IC
カード16に記憶されているデータを読み取るICカー
ド読取り手段75を備えている。また、図示してはいな
いが、エンジン制御装置52、ギヤ比制御装置56、パ
ワーステアリング制御装置58、アクティブサスペンシ
ョン制御装置61、アンチ・ロック・ブレーキング制御
装置63、トラクション・コントロール装置64および
4輪操舵制御装置66には、それぞれ、タイマーが内蔵
されている。
【0055】本発明の好ましい実施例に係る対象自動車
50の制御系は、メイン・コンピュータユニット80、
補正制御プログラムなどを格納しているROM81、書
き換え可能なプログラムおよびデータを記憶しているR
AM82、位置検出センサ67が検出した検出信号に基
づいて、自動車50の位置を算出する位置算出用コンピ
ュータユニット83、エンジン制御装置52、ギヤ比制
御装置56、パワーステアリング制御装置58、アクテ
ィブサスペンション制御装置61、アンチ・ロック・ブ
レーキング制御装置63、トラクション・コントロール
装置64および4輪操舵制御装置66を備えている。
【0056】メイン・コンピュータユニット80は、R
OM81およびRAM82に記憶されたプログラム、デ
ータにアクセス可能であり、メイン・コンピュータユニ
ット80には、マニュアル・スィッチ70からの操作信
号、位置検出センサ67、舵角センサ69、時計71、
積算計72、車速センサ73ならびに横加速度センサ7
4からの検出信号およびICカード読取り手段75から
の標準制御データ、学習制御データならびに補正用デー
タが、それぞれ、入力され、メイン・コンピュータユニ
ット80から、エンジン制御装置52、ギヤ比制御装置
56、パワーステアリング制御装置58、アクティブサ
スペンション制御装置61、アンチ・ロック・ブレーキ
ング制御装置63、トラクション・コントロール装置6
4および4輪操舵制御装置66に、それぞれ、制御信号
が出力されるように構成されている。
【0057】自動車50のマニュアル・スィッチ70
は、エンジン制御装置52、ギヤ比制御装置56、パワ
ーステアリング制御装置58、アクティブサスペンショ
ン制御装置61、アンチ・ロック・ブレーキング制御装
置63、トラクション・コントロール装置64および4
輪操舵制御装置66の特性情報すなわち制御ゲインを、
ドライバーの好みに応じて、それぞれ、設定し得るよう
に構成されている。
【0058】図7は、マニュアル・スィッチ70が設け
られたインスツルメントパネル90の一例を示す略正面
図であり、91は、インディケータである。自動車50
のROM81には、都市部を走行する際に使用される設
定制御データA1、市街地を走行する際に使用される設
定制御データA2、市外地を走行する際に使用される設
定制御データA3、山道を走行する際に使用される設定
制御データA4、高速道路を走行する際に使用される設
定制御データA5、路面摩擦係数が所定値以下の道路を
走行する際に使用される設定制御データA6および横加
速度GLが所定値、たとえば、0.5Gを越えた走行安
定性を重視すべき走行状態において使用される設定制御
データA7が記憶されており、また、運転シミュレーシ
ョン装置1のROM41には、設定制御データA1ない
しA5が記憶されている。
【0059】運転シミュレーション装置1のROM41
に記憶された設定制御データA1ないしA5は、運転シ
ミュレーション装置1によって、運転シミュレーション
が初めて実行される時、あるいは、運転シミュレーショ
ン装置1の消去スィッチ11が操作された後に、運転シ
ミュレーションが初めて実行される時に、そのまま、I
Cカード16の標準制御データ記憶部20に、標準制御
データB1ないしB5として、記憶されるようになって
おり、その後、運転シミュレーション装置1により、運
転シミュレーションが実行されると、ICカード16の
第2学習プログラム記憶部23に記憶された学習プログ
ラムD1およびD3ないしD6にしたがって、ドライバ
ーの操作が学習されて、補正され、後述する標準制御デ
ータB1ないしB5として、ICカード16に記憶され
るようになっている。
【0060】自動車50のROM81に記憶された設定
制御データA1ないしA5は、ICカード16が、IC
カード読み取り手段75により読み取られない場合にの
み、使用されるものであり、位置検出センサ67からの
信号に基づき、位置算出用コンピュータユニット83に
より生成され、入力されたナビゲーション信号にしたが
い、メイン・コンピュータユニット80によって、自動
車1が走行している位置、すなわち,地域が判定され、
その判定結果に基づいて、設定制御データA1ないしA
5のいずれかが、選択的に使用される。また、運転シミ
ュレーション装置1による運転シミュレーションがまだ
なされていない時、あるいは、運転シミュレーション装
置1の消去スィッチ35が操作された後、運転シミュレ
ーションがなされないで、ICカード16を、ICカー
ド読み取り手段77に読み取らせて、自動車50の運転
がなされる時には、ROM81に記憶された設定制御デ
ータA1ないしA5が使用される。
【0061】他方、自動車50のROM81に記憶され
た設定制御データA6及びA7は、当初、ICカード1
6の標準制御データ記憶部20に記憶された設定制御デ
ータA1ないしA5が、運転シミュレーション装置1に
よる運転シミュレーションの結果、補正されて、後述す
る標準制御データB1ないしB5に転化しており、か
つ、ICカード16が、ICカード読み取り手段75に
読み取られた場合、あるいは、特定地域内を運転する場
合であっても、路面摩擦係数が所定値以下の道路を走行
するとき、および、横加速度GLが所定値、たとえば、
0.5Gを越えた走行安定性を重視すべき走行状態にお
いて、ICカード16の標準制御データ記憶部20に記
憶された標準制御データB1ないしB5に代えて、ある
いは、ICカード16の学習制御データ記憶部21に記
憶された学習制御データに代えて、強制的に選択され、
使用されるものであり、走行安定性を重視すべき場合
に、確実に、所望の走行安定性を確保することを可能に
するためのものである。
【0062】また、ICカード16の標準制御データ記
憶部20には、都市部を走行する際に使用される標準制
御データB1、市街地を走行する際に使用される標準制
御データB2、市外地を走行する際に使用される標準制
御データB3、山道を走行する際に使用される標準制御
データB4および高速道路を走行する際に使用される標
準制御データB5が、それぞれ、記憶されており、IC
カード16が、ICカード読み取り手段75に読み取ら
れた後に、自動車50が運転されるとき、位置検出セン
サ67からの信号に基づき、位置算出用コンピュータユ
ニット83により生成され、入力されたナビゲーション
信号にしたがい、メイン・コンピュータユニット80に
よって、自動車50が走行している位置、すなわち,地
域が判定され、その判定結果に基づいて、これらのいず
れかが選択され、使用されるようになっている。
【0063】ICカード16の学習制御データ記憶部2
1には、自動車50のオーナーの自宅あるいはディーラ
ーの所在地などの基点から、所定距離以内、たとえば、
20km以内の特定地域を、自動車1が走行しているとき
に、標準制御データB1ないしB5に優先して、使用さ
れる学習制御データが記憶されている。特定地域内を走
行しているか否かは、位置検出センサ67からの信号に
基づき、位置算出用コンピュータユニット83により生
成され、入力されたナビゲーション信号にしたがって、
メイン・コンピュータユニット80により判定される。
この学習制御データは、運転シミュレーション装置1に
よって、特定区域内の同一単位区間を、同一時間帯に、
所定回数、たとえば、10回あるいは50回、仮想走行
したときに、それまでのデータを平均して生成された初
期学習制御データが、後述する学習プログラムC1なら
びにC2およびD1ないしD7によって、補正されて、
得られたものである。
【0064】さらに、ICカード16の第1学習プログ
ラム記憶部22に記憶されている学習プログラムC1お
よびC2および第2学習プログラム記憶部23に記憶さ
れている学習プログラムD1ないしD7は、運転シミュ
レーション装置1により、ドライバーが、運転シミュレ
ーションを実行する際、ドライバーにより走行地域入力
手段10に入力された運転シミュレーションを実行する
地域が、基点データ記憶部26に記憶された基点から所
定距離内の特定地域内である場合に、ICカード16の
学習制御データ記憶部21に記憶されている学習制御デ
ータを補正するために使用されるものであり、運転シミ
ュレーションが特定地域内で実行されるときは、画像信
号受信機36が受信した仮想走行場所に対応する画像信
号にしたがって、スクリーン4に、仮想走行している場
所の画像が表示されるとともに、CD−ROM読み取り
機12により、CD−ROMから読み取られた地形状態
に対応した挙動を、車体2が示すように、車体制御機構
13から、外力が、車体2に与えられる。
【0065】学習プログラムC1およびC2は、このよ
うに、運転シミュレーションが特定地域内で実行される
時に、特定地域内の各道路の地形状態を、単位区間毎
に、学習して、学習制御データを補正するものであり、
学習プログラムC1は、CD−ROMから読み取られた
特定地域内の各道路の路面状態とドライバーの運転シミ
ュレーション装置1の操作に応じて、車体制御機構13
から車体2に与えられた振動により生じた上下加速度G
Vを上下加速度センサ37により検出し、これを、単位
区間毎に、学習して、学習制御データを補正し、学習プ
ログラムC2は、CD−ROMから読み取られた特定地
域内の各道路の屈曲状態およびドライバーの運転シミュ
レーション装置1の操作に応じて、メイン・コンピュー
タユニット40によって、横加速度GLを算出し、これ
を、単位区間毎に、学習して、学習制御データを補正す
るものである。
【0066】他方、学習プログラムD1ないしD7は、
運転シミュレーションが、特定地域内で実行される時
に、仮想走行している特定地域内の道路の単位区間内に
おけるドライバーの操作状況を、所定時間毎の時間帯別
に、たとえば、9時ないし12時、12時ないし15時
のように、3時間毎の時間帯別に、学習して、学習制御
データを補正するものであり、学習プログラムD1は、
ドライバーの運転シミュレーション装置1の操作に基づ
き、メイン・コンピュータユニット40によって演算さ
れた特定地域内の道路の単位区間毎の平均車速Vを、時
間帯別に、学習して、学習制御データを補正し、学習プ
ログラムD2は、特定地域内の道路の各単位区間におい
て、ドライバーが、運転シミュレーション装置1のブレ
ーキペダル31を操作した場所を、時間帯別に、学習し
て、学習制御データを補正し、学習プログラムD3は、
特定地域内の道路の各単位区間におけるドライバーのス
テアリングホィール3の操舵状況を、単位区間毎に平均
し、時間帯別に、学習して、学習制御データを補正し、
学習プログラムD4は、ドライバーの運転シミュレーシ
ョン装置1の操作に基づいて、メイン・コンピュータユ
ニット40により演算された特定地域内の道路の単位区
間毎の平均ヨーレイトΦを、時間帯別に、学習して、学
習制御データを補正し、学習プログラムD5は、特定地
域内の道路の各単位区間におけるアクセルペダル30、
ブレーキペダル31およびクラッチペダル32の操作状
況を、単位区間毎に平均して、時間帯別に、学習して、
学習制御データを補正し、学習プログラムD6は、特定
地域内の道路の各単位区間におけるシフトレバー33の
操作状況を、単位区間毎に平均して、時間帯別に、学習
して、学習制御データを補正し、学習プログラムD7
は、特定地域内の道路の各単位区間におけるマニュアル
スィッチ11の操作を、操作場所および時間帯別に、学
習して、学習制御データを補正するものである。
【0067】ここに、単位区間は、たとえば、1km毎
で、隣接する単位区間との間で、地域の一部が、たとえ
ば、100mづつ、重複するように、設定される。これ
らの学習プログラムC1およびC2により補正される学
習制御データは、運転シミュレーション装置1により、
特定区域内の同一単位区間を、同一時間帯に、所定回
数、たとえば、10回あるいは50回、仮想走行したと
きに、それまでに上下加速度センサ37により検出され
た上下加速度GVの平均値および算出された横加速度G
Lの平均値が算出されて、初期学習制御データが作成さ
れ、学習制御データ記憶部21に、記憶される。
【0068】ここに、ブレーキペダル31およびマニュ
アルスィッチ11の操作が、所定の距離内でなされたと
き、例えば、ブレーキペダル31の操作の場合には、5
m以内、マニュアルスィッチ11の操作の場合には、1
00m以内でなされたときは、同一場所でなされたと判
定するようになっている。自動車50のRAM82に
は、ICカード16に記憶されている標準制御データB
1ないしB5、学習制御データを補正する補正制御プロ
グラムE1ないしE6が記憶されている。
【0069】補正プログラムE1は、時計71からの信
号に基づき、メイン・コンピュータユニット80が、夜
間であると判定したときに、標準制御データB1ないし
B5に、強制的に、一律の補正を加えるものであり、補
正制御プログラムE2は、メイン・コンピュータユニッ
ト80が、渋滞していると判定したときに、標準制御デ
ータB1ないしB5および学習制御データに、強制的
に、一律の補正を加えるものであり、補正制御プログラ
ムE3は、図示しないワイパーの作動信号などに基づ
き、メイン・コンピュータユニット80が、雨天や雪が
振っている天候状態にあると判定したときに、標準制御
データB1ないしB5および学習制御データに、強制的
に、一律の補正を加えるものであり、補正制御プログラ
ムE4は、積算計72からの信号に基づき、メイン・コ
ンピュータユニット80が、連続走行時間が、所定時間
を越えたと判定したときに、標準制御データB1ないし
B5および学習制御データに、強制的に、一律の補正を
加えるものである。これらの補正制御プログラムE1な
いしE4は、あらかじめ、実験的にあるいは理論的に作
成されて、自動車50のRAM82に記憶されている。
【0070】これに対して、補正制御プログラムE5
は、ステアリングホィール53から入力された操作信号
に基づき、メイン・コンピュータユニット80が、ステ
アリングホィール53の操舵速度を検出し、ドライバー
の運転操作の特徴を判定して、標準制御データB1ない
しB5を補正するものであり、補正制御プログラムE6
は、それまでに、ICカード16に記憶されていた標準
制御データ、学習制御データに比して、自動車50の走
行状態が、所定以上、不安定な方向にあると、メイン・
コンピュータユニット80が判定したときに、走行安定
性の低下の程度に応じて、標準制御データB1ないしB
5、学習制御データに、強制的に、補正を加えるもので
ある。
【0071】ここに、補正制御プログラムE6は、補正
制御プログラムE1ないしE4と同様に、あらかじめ、
実験的にあるいは理論的に作成されて、自動車50のR
AM82に格納されているが、補正制御プログラムE5
は、都市部、市街地、市外地、山道、高速道路に分類さ
れた同一地域内を、所定回数、例えば、100回あるい
は200回、走行したときのステアリングホィール53
の操舵速度を平均して、それぞれ、地域毎に、作成され
て、自動車50のRAM82に格納されるようになって
いる。
【0072】なお、補正制御プログラムE1およびE5
が、標準制御データB1ないしB5の補正にのみ使用さ
れているのは、特定地域内でのみ使用される学習制御デ
ータは、道路毎および時間帯毎に、ドライバーが自動車
50を運転したときのドライバーの運転操作の特徴が考
慮されて、生成され、補正されているから、補正制御プ
ログラムE1およびE5による補正を要しないためであ
る。
【0073】表1は、運転シミュレーション装置1のR
OM41に記憶された設定制御データA1ないしA5、
自動車50のROM81に記憶された設定制御データA
1ないしA7およびICカード16の標準制御データ記
憶部20に記憶された標準制御データB1ないしB5の
うち、運転シミュレーションが、所定時間、実行された
後の標準制御データB3との関係の一例を示すものであ
る。表1において、ACSは、アクティブサスペンショ
ン制御装置61用の設定制御データA1ないしA7と標
準制御データB3との間の比、ABSは、アンチ・ロッ
ク・ブレーキング制御装置63用の設定制御データA1
ないしA7と標準制御データB3との間の比、VGR
は、ギヤ比制御装置56用の設定制御データA1ないし
A7と標準制御データB3との間の比、4WSは、4輪
操舵制御装置66用の設定制御データA1ないしA7と
標準制御データB3との間の比、TRCは、トラクショ
ン・コントロール装置64用の設定制御データA1ない
しA6と標準制御データB3との間の比、EGCは、エ
ンジン制御装置52の設定制御データA1ないしA6と
標準制御データB3との間の比、PSCは、パワーステ
アリング制御装置58用の設定制御データA1ないしA
6と標準制御データB3との間の比の例を、それぞれ、
示している。これらの値に、それぞれの制御装置につ
き、所定の係数を乗じて、それぞれの制御装置用の制御
データが得られるようになっている。
【0074】表1において、ACSにおいては、1がサ
スペンションが最もソフトに、5が最もハードになる制
御データに、ABSにおいては、1が最も制動がかかり
にくく、5が最も制動がかかる制御データに、VGRに
おいては、1が最もギヤ比が大きく、5が最もギヤ比が
小さい制御データに、4WSにおいては、1が最も後輪
が同相方向に操舵され、5が最も逆相方向に操舵される
制御データに、TRCにおいては、1が最もスリップが
小さく、5が最もスリップが大きく、パワーがアップす
る制御データに、EGCにおいては、1が最も燃費効率
が良く、5が最も得られるパワーが大きくなる制御デー
タに、PSCにおいては、1が最も小さな力でステアリ
ングホィール4を操舵することができ、5がステアリン
グホィール4を操舵するために、最も大きな力を要する
制御データに、それぞれ、対応している。
【0075】これらの設定制御データA1ないしA7の
設定は、一例にすぎず、いかなる車両特性を、自動車5
0に持たせたときに、より多くのドライバーに満足を与
え得るかについての考え方により、変更が可能であるこ
とは言うまでもない。表1のうち、ACSの例で、設定
制御データの設定の考え方につき、説明を加えると、都
市部走行用の設定制御データであるA1においては、渋
滞などが生じやすく、したがって、発進、停止を繰り返
すことが多いので、スコットやダイブを防止するため、
サスペンションがかなりハードになるように、設定制御
データの比は4に設定されており、市街地走行用の設定
制御データであるA2においては、車速Vが、都市部に
比して高くなるが、それほど高速ではなく、したがっ
て、走行安定性はほとんど問題にならず、専ら乗り心地
を重視して、サスペンションが最もソフトになるよう
に、設定制御データの比は1に設定されており、市外地
走行用の設定制御データであるA3においては、車速V
がさらに高くなるため、走行安定性も考慮して、サスペ
ンションがソフトになるように、設定制御データの比は
2に設定されており、山道走行用の設定制御データであ
るA4、高速道路走行用の設定制御データであるA5に
なるにしたがって、車速Vは一層高くなるので、次第
に、サスペンションがハードになるように、これらにお
いては、設定制御データの比は、それぞれ、3および4
に設定されている。さらに、路面摩擦係数が低い道路を
走行する場合に用いられる設定制御データA6において
は、車両の挙動ができるだけゆるやかに変化するよう
に、サスペンションが最もソフトとするため、設定制御
データの比は1に設定され、横加速度GLが、たとえ
ば、0.5Gを越えた専ら走行安定性を問題にすべき走
行状態を対象とする設定制御データA7においては、サ
スペンションが最もハードになるように、設定制御デー
タの比は5に設定されている。
【0076】表1において、標準制御データB1ないし
B5の一例として示された市外地走行用の標準制御デー
タB3は、特定のドライバーが慎重な運転をする場合
に、設定制御データA3が補正されて、生成された例を
示すものであり、設定制御データA3の比は、いずれ
も、慎重な運転をするのに適した値に補正されている。
表2は、学習プログラムC1およびC2によって、特定
地域内の各道路の地形状態により、ICカード16の学
習制御データ記憶部21に記憶されている学習制御デー
タが、どのように補正されるかを示すものであり、表3
は、学習プログラムD1、D3ないしD6により、特定
地域外におけるドライバーの運転シミュレーション装置
1の操作状況によって、ICカード16の標準制御デー
タ記憶部20に記憶されている標準制御データが、どの
ように補正されるか、および、学習プログラムD2およ
びD7によって、特定地域内の道路の各単位区間におけ
る各場所毎に、ドライバーの運転シミュレーション装置
1の操作状況によって、ICカード16の学習制御デー
タ記憶部21に記憶されている学習制御データが、どの
ように補正されるかを、それぞれ、示すものであり、ま
た、表4は、自動車50が運転される際に、補正制御プ
ログラムE1ないしE6によって、ICカード16の標
準制御データ記憶部20に記憶されている標準制御デー
タB1ないしB5がどのように補正されるか、補正制御
プログラムE1ないしE7によって、学習制御データ記
憶部21に記憶されている学習制御データが、どのよう
に補正されるかを示すものである。
【0077】表2、表3および表4における操作状況に
基づく補正は、あらかじめ記憶しているマップに基づい
てなされる。表2および表3において、「大」とは、制
御データの比の値を大きく補正することを意味し、
「小」とは、制御データの比の値を大きく補正すること
を意味している。図8および図9は、運転シミュレーシ
ョン装置1のメイン・コンピュータユニット40によっ
て実行される運転シミュレーションの基本ルーチンを示
すフローチャートである。
【0078】本実施例に係る運転シミュレーション装置
1は、ICカード16が、ICカード読み取り機9に挿
入されないかぎり、起動しないように構成されており、
そのため、図8および図9において、メイン・コンピュ
ータユニット40は、まず、ICカード読み取り機9か
ら読み取り信号が入力されているか否かを判定する。そ
の結果、NOのときは、メイン・コンピュータユニット
40は、ICカード16が、ICカード読み取り機9に
挿入され、ICカード読み取り機9から読み取り信号が
入力されるまで、何の制御も実行しない。
【0079】他方、ICカード読み取り機9から読み取
り信号が入力されたときは、メイン・コンピュータユニ
ット40は、ICカード16に記憶されている各種デー
タを読み取り、RAM42に記憶させる。その後、メイ
ン・コンピュータユニット40は、まず、ICカード1
6の車種識別データ記憶部18に記憶された車種識別デ
ータにしたがって、その車種のステアリング特性、サス
ペンション特性、ギヤ比特性などの車両特性データおよ
びステアリングホィール3、アクセルペダル30、ブレ
ーキペダル31、クラッチペダル32、シフトレバー3
3などの運転操作手段の位置についての操作系位置デー
タを、ROM41から読み出し、これらのデータに基づ
き、操舵力制御手段46の操舵力を設定するともに、車
体制御機構13の特性情報すなわち制御ゲインを設定
し、さらに、操作系位置制御手段45に、操作系位置制
御信号を出力して、各運転操作手段の位置が、その車種
の自動車50のそれらの位置に合致するように、操作系
位置可変機構5を駆動させる。
【0080】次いで、メイン・コンピュータユニット4
0は、ICカード16の運転位置設定用データ記憶部1
9に記憶された運転位置データを読み取り、この運転位
置データに基づき、操作系位置制御手段45およびシー
ト位置制御手段44に、位置制御信号を出力して、ステ
アリングホィール3の角度およびシート6の位置、高
さ、シートバックの角度などを調整させる。
【0081】さらに、メイン・コンピュータユニット4
0は、ドライバーが、運転シミュレーションを実行する
ための出発地および目的地を、走行地域入力手段10に
入力したか否かを判定し、入力されていないときは、入
力されるまで、待つ。ドライバーが、走行地域入力手段
10に、運転シミュレーションを実行するための出発地
および目的地を入力したときは、メイン・コンピュータ
ユニット40は、時計71から、運転シミュレーション
を開始する時刻を読み込む。
【0082】さらに、メイン・コンピュータユニット4
0は、いかなる制御データおよびプログラムを用いて、
運転シミュレーションを実行するかを決定するために、
現在の仮想走行場所を判定し、その判定結果に基づい
て、画像信号受信機36に、仮想走行場所判定信号を出
力して、所定のデータソースから、仮想走行場所に対応
する画像信号を受信させ、これを読み取る。
【0083】ついで、メイン・コンピュータユニット4
0は、読み取った画像信号および時計から読み取った時
刻にしたがって、画像制御手段43に、画像制御信号を
出力して、仮想走行場所に対応する画像を生成させて、
スクリーン4に表示させるとともに、判定した仮想走行
場所が、基点から所定距離内の特定地域内にあるか否か
を判定する。
【0084】その結果、現在の仮想走行場所が、基点か
ら所定距離内の特定地域内にあると判定したときは、メ
イン・コンピュータユニット40は、フラグFを0にセ
ットし、さらに、前回のサイクルにおける仮想走行場所
が、特定地域内にあったか否かを判定して、YESのと
きは、フラグHを0にセットし、NOのとき、すなわ
ち、前回のサイクルにおける仮想走行場所が、特定地域
外にあったと判定したときは、フラグHを1にセットす
る。
【0085】これに対して、現在の仮想走行場所が、特
定地域外にあると判定したときは、メイン・コンピュー
タユニット40は、フラグFを1にセットし、さらに、
前回のサイクルにおける仮想走行場所が、特定地域外に
あったか否かを判定して、YESのときは、フラグHを
0にセットし、NOのとき、すなわち、前回のサイクル
における仮想走行場所が、特定地域内にあったと判定し
たときは、フラグHを1にセットする。
【0086】ついで、メイン・コンピュータユニット4
0は、現在の仮想走行場所が、特定地域外であると判定
しているときは、フラグIが1か否かを判定する。この
フラグIは、補正制御プログラムおよび/または学習プ
ログラムを補正するための補正用データを生成する補正
用データ生成サブルーチンを実行するタイミングである
ときに、1にセットされ、補正用データ生成サブルーチ
ンが完了したときに、0にセットされるものである。
【0087】その結果、NOのときは、メイン・コンピ
ュータユニット40は、ROM41に記憶された補正プ
ログラムにしたがって、補正用データを生成するタイミ
ングか否かを判定する。その結果、YESのときは、メ
イン・コンピュータユニット40は、フラグIを1にセ
ットした後に、補正制御プログラムおよび/または学習
プログラムを補正するための補正用データを生成する後
述する補正用データ生成サブルーチンを実行する。
【0088】これに対して、フラグIが1であるとき
は、補正用データ生成サブルーチンの実行中と判定し得
るから、メイン・コンピュータユニット40は、補正用
データ生成サブルーチンを実行する。他方、補正用デー
タを生成するタイミングではないと判定したとき、メイ
ン・コンピュータユニット40は、標準制御データの学
習サブルーチンを実行し、さらに、制御データ変更サブ
ルーチンを実行して、次のサイクルに移行し、再び、時
刻を読み込み、仮想走行場所を判定して、同様のルーチ
ンを、走行地域入力手段10に入力された仮想目的地に
到達するまで、実行し、仮想目的地に到達した時点で、
運転シミュレーション装置1のRAM42に記憶されて
いる各種のデータを、ICカード16に記憶させ、運転
シミュレーションを完了する。
【0089】これに対して、現在の仮想走行場所が、特
定地域内であると判定しているときは、メイン・コンピ
ュータユニット40は、学習制御データの学習サブルー
チンを実行し、さらに、制御データ変更サブルーチンを
実行して、次のサイクルに移行し、再び、時刻を読み込
み、仮想走行場所を判定して、同様のルーチンを、走行
地域入力手段10に入力された仮想目的地に到達するま
で、実行し、仮想目的地に到達した時点で、運転シミュ
レーション装置1のRAM42に記憶されている各種の
データを、ICカード16に記憶させ、運転シミュレー
ションを完了する。
【0090】図10、図11、図12および図13は、
メイン・コンピュータユニット40により実行される制
御データの学習サブルーチンを示すフローチャートであ
る。図10、図11、図12および図13において、メ
イン・コンピュータユニット40は、まず、フラグFが
0か否か、すなわち、現在の仮想走行場所が、基点から
所定距離内の特定地域内にあるか否かを判定する。
【0091】その結果、現在の仮想走行場所が、基点か
ら所定距離内の特定地域内にあると判定したときは、メ
イン・コンピュータユニット40は、現在の時刻を含む
時間帯における現在の仮想走行場所を含む単位区間の学
習制御データが、ICカード16から読み取られ、RA
M42に記憶されているか否かを判定する。その結果、
NOのときは、現在の時刻を含む時間帯における現在の
仮想走行場所を含む単位区間における運転シミュレーシ
ョンの回数が少なく、未だ、学習制御データが生成され
ていないと判定し得るから、メイン・コンピュータユニ
ット40は、その単位区間を仮想走行したときの上下加
速度GV、横加速度GLの算出値および操作状況を学習
し、更新回数pをp+1として、RAM42に記憶させ
る。
【0092】こうして、その時刻を含む時間帯におい
て、その仮想走行場所を含む単位区間を、所定回数po
回、たとえば、10回あるいは50回、仮想走行したと
きに、メイン・コンピュータユニット40は、RAM4
2に記憶されたデータの平均値から、初期学習制御デー
タを生成して、RAM42に記憶させ、運転シミュレー
ションが終了したときに、RAM42から読み出して、
ICカード16の学習制御データ記憶部21に記憶させ
る。他方、その時刻を含む時間帯におけるその仮想走行
場所を含む単位区間の運転シミュレーションの実行回数
が、所定回数po回、たとえば、10回あるいは50回
に満たないまま、運転シミュレーションが完了したとき
は、メイン・コンピュータユニット40は、RAM42
に記憶された更新回数pを、ICカード16の更新回数
記憶部25に記憶させる。
【0093】これに対して、YESのとき、すなわち、
現在の時刻を含む時間帯における現在の仮想走行場所を
含む単位区間の学習制御データが、ICカード16から
読み取られ、RAM42に記憶されていると判定したと
きは、メイン・コンピュータユニット40は、その学習
制御データと学習プログラムC1ならびにC2およびD
1ないしD7を読み出す。
【0094】すなわち、メイン・コンピュータユニット
40は、まず、自動車50に設けられた各制御装置、す
なわち、エンジン制御装置52、ギヤ比制御装置56、
パワーステアリング制御装置58、アクティブサスペン
ション制御装置61、アンチ・ロック・ブレーキング制
御装置63、トラクション・コントロール装置64、4
輪操舵制御装置66用の学習制御データYCo を読み出
す。
【0095】メイン・コンピュータユニット40は、さ
らに、運転シミュレーションの結果得られた仮想走行デ
ータYを読み込んで、これに基づき、学習プログラムC
1ならびにC2およびD1ないしD7にしたがって、学
習制御データYCoを補正して、補正制御データYCを
求め、各制御装置用の学習制御データYCoと補正制御
データYCの差の絶対値が、所定値d1以下か否かを、
各制御装置用データ毎に、判定する。
【0096】その結果、YESのときは、ICカード1
6から読み取られ、運転シミュレーション装置1のRA
M42に記憶されているその制御装置用の制御データY
Coと、補正制御データYCとの差が小さく、ICカー
ド16から読み取られ、運転シミュレーション装置1の
RAM42に記憶されているその制御装置の制御データ
YCoを補正する必要がないと認められるから、メイン
・コンピュータユニット40は、その補正制御データY
Cの学習はおこなわない。
【0097】他方、NOのときは、メイン・コンピュー
タユニット40は、さらに、制御データYCo と補正デ
ータYCの差の絶対値が、所定値d2以上か否かを、各
制御装置用データ毎に、判定する。ここに、d2>d1
である。その結果、YESのときは、ICカード16か
ら読み取られ、運転シミュレーション装置1のRAM4
2にに記憶されているその制御装置用の学習制御データ
YCoと、補正制御データYCとの差がきわめて大き
く、運転シミュレーション装置1においてなされたドラ
イバーのかかる操作は、突発的になされた可能性が大き
く、したがって、そのような補正制御データYCを学習
することは適当でないから、メイン・コンピュータユニ
ット40は、その補正制御データYCの学習はおこなわ
ない。
【0098】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、その走行制御データYCを
いかに学習するかを決定するために、心理補正サブルー
チンを実行する。図14および図15は、心理補正サブ
ルーチンを示すフローチャートである。心理補正サブル
ーチンは、メイン・コンピュータユニット40により、
ドライバー医学データ検出手段8が検出したドライバー
の心理状態を予測可能な体調状態を読み取らせ、これと
ICカード16の標準医学データ記憶部27から読み取
られ、RAM42に記憶されている標準医学データとを
比較させて、ドライバーの心理状態を推測して、補正制
御データYCを学習するための係数を補正する補正パラ
メータzを算出するものである。
【0099】図14および図15において、メイン・コ
ンピュータユニット40は、ドライバー医学データ検出
手段8が検出したドライバーの心拍数、脈拍数、血圧、
発汗状態、脳波、ステアリングホィール3を握る力など
の中から、心拍数αおよび脈拍数βを読み取り、ICカ
ード16の標準医学データ記憶部27から読み取られ
て、運転シミュレーション装置1のRAM42に記憶さ
れたそのドライバーの標準心拍数αoおよび標準脈拍数
βoとの差を算出する。ここに、標準心拍数αoおよび
標準脈拍数βoは、ドライバーが、初めて、運転シミュ
レーションを実行する際に、運転シミュレーション装置
1の席に座る前に、ディーラーによって測定された値の
最大値、あるいは、運転シミュレーションの開始に先立
って、あらかじめ医者によって測定された値の最大値
に、1を越える所定の係数を乗じて、生成され、ICカ
ード16入力されて、標準医学データ記憶部27に記憶
されている。測定値の最大値に、1を越える係数を乗じ
て、標準心拍数αoおよび標準脈拍数βoを算出するの
は、通常のドライバーは、運転席に座ると、心拍数およ
び脈拍数が、標準時の心拍数および脈拍数より高くなる
ので、これを補正するためである。
【0100】ついで、メイン・コンピュータユニット4
0は、まず、検出された心拍数αとそのドライバーの標
準心拍数αoの差が所定値Δα1を越えているか否かを
判定する。その結果、YESのときは、ドライバーの検
出された心拍数αとそのドライバーの標準心拍数αoの
差が大きく、ドライバーの心理状態に大きな動揺が認め
られるので、補正制御データYCの信頼性が低く、補正
制御データYCにより、学習制御データYCoを補正す
るときには、学習制御データYCoが、かえって、好ま
しくない方向に補正されるおそれがあり、したがって、
学習は中止すべきであるから、メイン・コンピュータユ
ニット40は、フラグJを0に設定して、心理補正サブ
ルーチンを終了させる。
【0101】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、脈拍数βと標準脈拍数βo
との差が所定値Δβ1を越えているか否かを判定する。
そのYESのときは、ドライバーの検出された脈拍数β
とそのドライバーの標準脈拍数βoの差が大きく、ドラ
イバーの心理状態に大きな動揺が認められるので、補正
制御データYCの信頼性が低く、補正制御データYCに
より、学習制御データYCoを補正するときには、学習
制御データYCoが、かえって、好ましくない方向に補
正されるおそれがあり、したがって、学習は中止すべき
であるから、メイン・コンピュータユニット40は、フ
ラグJを0に設定して、心理補正サブルーチンを終了さ
せる。
【0102】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、検出された心拍数αとその
ドライバーの標準心拍数αoの差が所定値Δα2以下か
否かを判定する。ここに、Δα2<Δα1である。その
結果、YESのときは、メイン・コンピュータユニット
40は、フラグJ1を0にセットし、これに対して、N
Oのときには、フラグJ1を1にセットする。
【0103】メイン・コンピュータユニット40は、さ
らに、検出された脈拍数βと標準脈拍数βoとの差が所
定値Δβ2以下か否かを判定する。ここに、Δβ2<Δ
β1である。その結果、YESのときは、メイン・コン
ピュータユニット40は、フラグJ2を0にセットし、
これに対して、NOのときには、フラグJ2を1にセッ
トする。
【0104】次いで、メイン・コンピュータユニット4
0は、フラグJ1が0で、かつ、フラグJ2が0である
か否かを判定し、YESのときは、ドライバー心拍数α
および脈拍数βから判断するかぎり、ドライバーの心理
状態は安定していると認められるので、通常のように、
補正制御データYCの学習をおこなえばよく、したがっ
て、メイン・コンピュータユニット40は、補正パラメ
ータzを1にセットして、心理補正サブルーチンの実行
を終了させ、制御データの学習サブルーチンを実行す
る。
【0105】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、フラグJ2が0か否かを判
定する。その結果、YESのときは、フラグJ1が1で
あり、ドライバーの脈拍数βを見るかぎり、ドライバー
の心理状態に動揺は認められないが、ドライバーの心拍
数αから判断すると、ドライバーの心理状態に動揺が認
められるので、メイン・コンピュータユニット40は、
図16に示されたマップにしたがって、補正パラメータ
z1を読み取り、補正パラメータzを、z=z1とし
て、心理補正サブルーチンを終了させる。図16に示さ
れるように、補正パラメータz1は、検出されたドライ
バーの心拍数αと、そのドライバーの標準心拍数αoと
の差が所定値Δα2以下では1に設定され、その差がΔ
α2を越え、Δα1までは、次第に大きくなるように設
定されている。
【0106】他方、NOのときは、メイン・コンピュー
タユニット40は、フラグJ1が0か否かを判定する。
その結果、YESのときは、フラグJ2が1であり、ド
ライバーの心拍数αを見るかぎり、ドライバーの心理状
態に動揺は認められないが、ドライバーの脈拍数βから
判断すると、ドライバーの心理状態に動揺が認められる
ので、メイン・コンピュータユニット40は、図17に
示されたマップにしたがって、補正パラメータz2を読
み取り、補正パラメータzを、z=z2として、心理補
正サブルーチンを終了させる。図17に示されるよう
に、補正パラメータz2は、検出されたドライバーの脈
拍数βと、そのドライバーの標準脈拍数βoとの差が所
定値Δβ2以下では1に設定され、その差がΔβ2を越
え、Δβ1までは、次第に大きくなるように設定されて
いる。
【0107】これに対して、NOのときは、フラグJ1
およびZ2がともに1であり、ドライバー心拍数αおよ
び脈拍数βのいずれから判断しても、ドライバーの心理
状態に動揺が認められるから、メイン・コンピュータユ
ニット40は、図16および図17に示されたマップに
したがって、補正パラメータz1およびz2を求め、こ
れらを乗じて、補正パラメータzを算出し、心理補正サ
ブルーチンを止め、制御データの学習サブルーチンを実
行する。
【0108】こうして、補正パラメータzが算出され
て、心理補正サブルーチンが終了すると、メイン・コン
ピュータユニット40は、まず、フラグJが0か否かを
判定する。その結果、YESのときは、メイン・コンピ
ュータユニット40は、補正制御データYCによる学習
制御データYCoの学習は実行せず、学習ルーチンを終
了して、基本ルーチンに戻る。
【0109】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、更新回数nが、所定回数n
oに達したか否かを判定する。その結果、NOのとき
は、学習制御による更新回数nは少なく、したがって、
未だ、学習制御データYCoが、ICカード16の所有
者であるドライバーの運転操作特性に十分合致している
とは認められないので、できるかぎり早く、ドライバー
の運転操作特性により合致した学習制御データが生成さ
れるように、メイン・コンピュータユニット40は、補
正制御データYCの学習を、次式にしたがって、実行す
る。
【0110】 YCo =(r1×z×YCo +YC)/(r1×z+1) ここに、r1は、所定の係数で、たとえば、100に設
定される。上式において、補正パラメータzが大きいほ
ど、学習制御データYCo の補正量は少なく、ドライバ
ーの心理状態が安定していないときは、学習による補正
量が少なくなるように制御されている。
【0111】しかる後、更新回数nを、n=n+1とし
て、RAM42に記憶して、学習サブルーチンを終了す
る。他方、YESのとき、すなわち、更新回数nが、所
定回数no以上のときは、学習制御により、すでに、学
習制御データYCoが、ドライバーの運転操作特性に十
分に合致していると認められるから、学習による学習制
御データYCoの補正量は小さくてもよく、したがっ
て、メイン・コンピュータユニット40は、その走行制
御データYCによる学習を、次式にしたがって、実行す
る。
【0112】 YCo =(r2×z×YCo +YC)/(r2×z+1) ここに、r2は、所定の係数で、r1<r2であり、た
とえば、150に設定される。上式において、補正パラ
メータzが大きいほど、学習制御データYCoの補正量
は少なく、ドライバーの心理状態が安定していないとき
は、学習による補正量が少なくなるように制御されてい
る。
【0113】しかる後、更新回数nを、n=n+1とし
て、RAM42に記憶して、学習サブルーチンを終了す
る。これに対して、フラグFが0ではないと判定したと
きは、フラグFは1であって、現在の仮想走行場所は、
特定地域外にあると判定されるから、メイン・コンピュ
ータユニット40は、ICカード16の第2学習プログ
ラム記憶部23から運転シミュレーション装置1のRA
M42に記憶された学習プログラムD1、D3ないしD
6を読み出すとともに、標準制御データ記憶部20に記
憶された制御データB1ないしB5のうち、ドライバー
により入力された出発地と運転シミュレーション開始後
のドライバーの運転に基づき、算出した仮想走行場所が
含まれる地域の標準制御データ、すなわち、自動車50
に設けられた各制御装置、すなわち、エンジン制御装置
52、ギヤ比制御装置56、パワーステアリング制御装
置58、アクティブサスペンション制御装置61、アン
チ・ロック・ブレーキング制御装置63、トラクション
・コントロール装置64、4輪操舵制御装置66用の標
準制御データYBo を読出し、さらに、仮想走行データ
Yを読み込んで、学習プログラムD1、D3ないしD6
にしたがって、標準制御データYBo を補正して、補正
制御データYBを求め、標準制御データYBo と補正制
御データYBの差の絶対値が、所定値d3以下か否か
を、各制御装置用データ毎に、判定する。
【0114】その結果、YESのときは、運転シミュレ
ーション装置1のRAM42に記憶されているその制御
装置用の標準制御データYBo と、補正制御データYB
との差が小さく、RAM42に記憶されているその制御
装置用の制御データYBo を補正する必要がないと認め
られるから、メイン・コンピュータユニット40は、そ
の補正制御データYBの学習はおこなわない。
【0115】他方、NOのときは、メイン・コンピュー
タユニット40は、さらに、標準制御データYBo と補
正制御データYBの差の絶対値が所定値d4以上か否か
を、各制御装置用データ毎に、判定する。ここに、d4
>d3である。その結果、YESのときは、運転シミュ
レーション装置1のRAM42に記憶されているその制
御装置用の標準制御データYBo と、補正制御データY
Bとの差がきわめて大きく、運転シミュレーション装置
1においてなされたドライバーのかかる操作は、突発的
になされた可能性が大きいから、そのような補正データ
YBを学習することは適当でなく、したがって、メイン
・コンピュータユニット40は、その補正制御データY
Bの学習はおこなわない。
【0116】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、その走行制御データYBを
いかに学習するかを決定するために、図14および図1
5に示された心理補正サブルーチンを実行する。図14
および図15において、メイン・コンピュータユニット
40は、ドライバー医学データ検出手段8が検出したド
ライバーの心拍数、脈拍数、血圧、発汗状態、脳波、ス
テアリングホィール3を握る力などの中から、心拍数α
および脈拍数βを読み取り、ICカード16の標準医学
データ記憶部27から読み取られて、運転シミュレーシ
ョン装置1のRAM42に記憶されたそのドライバーの
標準心拍数αoおよび標準脈拍数βoとの差を算出す
る。
【0117】ついで、メイン・コンピュータユニット4
0は、まず、検出された心拍数αとそのドライバーの標
準心拍数αoの差が所定値Δα1を越えているか否かを
判定する。その結果、YESのときは、ドライバーの検
出された心拍数αとそのドライバーの標準心拍数αoの
差が大きく、ドライバーの心理状態に大きな動揺が認め
られるので、補正制御データYBの信頼性が低く、補正
制御データYBにより、標準制御データYBoを補正す
るときには、標準制御データYBoが、かえって、好ま
しくない方向に補正されるおそれがあり、したがって、
学習は中止すべきであるから、メイン・コンピュータユ
ニット40は、フラグJを0に設定して、心理補正サブ
ルーチンを終了させる。
【0118】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、脈拍数βと標準脈拍数βo
との差が所定値Δβ1を越えているか否かを判定する。
そのYESのときは、ドライバーの検出された脈拍数β
とそのドライバーの標準脈拍数βoの差が大きく、ドラ
イバーの心理状態に大きな動揺が認められるので、補正
制御データYBの信頼性が低く、補正制御データYBに
より、標準制御データYBoを補正するときには、標準
制御データYBoが、かえって、好ましくない方向に補
正されるおそれがあり、したがって、学習は中止すべき
であるから、メイン・コンピュータユニット40は、フ
ラグJを0に設定して、心理補正サブルーチンを終了さ
せる。
【0119】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、検出された心拍数αとその
ドライバーの標準心拍数αoの差が所定値Δα2以下か
否かを判定する。ここに、Δα2<Δα1である。その
結果、YESのときは、メイン・コンピュータユニット
40は、フラグJ1を0にセットし、これに対して、N
Oのときには、フラグJ1を1にセットする。
【0120】メイン・コンピュータユニット40は、さ
らに、検出された脈拍数βと標準脈拍数βoとの差が所
定値Δβ2以下か否かを判定する。ここに、Δβ2<Δ
β1である。その結果、YESのときは、メイン・コン
ピュータユニット40は、フラグJ2を0にセットし、
これに対して、NOのときには、フラグJ2を1にセッ
トする。
【0121】次いで、メイン・コンピュータユニット4
0は、フラグJ1が0で、かつ、フラグJ2が0である
か否かを判定し、YESのときは、ドライバー心拍数α
および脈拍数βから判断するかぎり、ドライバーの心理
状態は安定していると認められるので、通常のように、
補正制御データYBの学習をおこなえばよく、したがっ
て、メイン・コンピュータユニット40は、補正パラメ
ータzを1にセットして、心理補正サブルーチンの実行
を止め、制御データの学習サブルーチンを実行する。
【0122】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、フラグJ2が0か否かを判
定する。その結果、YESのときは、フラグJ1が1で
あり、ドライバーの脈拍数βを見るかぎり、ドライバー
の心理状態に動揺は認められないが、ドライバーの心拍
数αから判断すると、ドライバーの心理状態に動揺が認
められるので、メイン・コンピュータユニット40は、
図16に示されたマップにしたがって、補正パラメータ
z1を読み取り、補正パラメータzを、z=z1とし
て、心理補正サブルーチンを終了させる。図16に示さ
れるように、補正パラメータz1は、検出されたドライ
バーの心拍数αと、そのドライバーの標準心拍数αoと
の差が所定値Δα2以下では1に設定され、その差がΔ
α2を越え、Δα1までは、次第に大きくなるように設
定されている。
【0123】他方、NOのときは、メイン・コンピュー
タユニット40は、フラグJ1が0か否かを判定する。
その結果、YESのときは、フラグJ2が1であり、ド
ライバーの心拍数αを見るかぎり、ドライバーの心理状
態に動揺は認められないが、ドライバーの脈拍数βから
判断すると、ドライバーの心理状態に動揺が認められる
ので、メイン・コンピュータユニット40は、図17に
示されたマップにしたがって、補正パラメータz2を読
み取り、補正パラメータzを、z=z2として、心理補
正サブルーチンを終了させる。図17に示されるよう
に、補正パラメータz2は、検出されたドライバーの脈
拍数βと、そのドライバーの標準脈拍数βoとの差が所
定値Δβ2以下では1に設定され、その差がΔβ2を越
え、Δβ1までは、次第に大きくなるように設定されて
いる。
【0124】これに対して、NOのときは、フラグJ1
およびZ2がともに1であり、ドライバー心拍数αおよ
び脈拍数βのいずれから判断しても、ドライバーの心理
状態に動揺が認められるから、メイン・コンピュータユ
ニット40は、図16および図17に示されたマップに
したがって、補正パラメータz1およびz2を求め、こ
れらを乗じて、補正パラメータzを算出し、心理補正サ
ブルーチンを止め、制御データの学習サブルーチンを実
行する。
【0125】こうして、補正パラメータzが算出され
て、心理補正サブルーチンが終了すると、メイン・コン
ピュータユニット40は、まず、フラグJが0か否かを
判定する。その結果、YESのときは、メイン・コンピ
ュータユニット40は、補正制御データYBによる標準
制御データYBoの学習は実行せず、学習ルーチンを終
了させて、基本ルーチンに戻る。
【0126】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、更新回数nが、所定回数n
o に達したか否かを判定する。その結果、NOのとき
は、学習制御による更新回数nは少なく、したがって、
未だ、標準制御データYBoが、ICカード16の所有
者であるドライバーの運転操作特性に十分合致している
とは認められないので、できるかぎり早く、ドライバー
の運転操作特性により合致した標準制御データが生成さ
れるように、メイン・コンピュータユニット40は、補
正制御データYBの学習を、次式にしたがって、実行す
る。
【0127】 YBo =(m1×z×YBo +YB)/(m1×z+1) ここに、m1は、所定の係数で、たとえば、10000
に設定される。上式において、補正パラメータzが大き
いほど、標準制御データYBo の補正量は少なく、ドラ
イバーの心理状態が安定していないときは、学習による
補正量が少なくなるように制御されている。
【0128】しかる後、更新回数nを、n=n+1とし
て、RAM42に記憶して、学習サブルーチンを終了さ
せる。他方、YESのときは、学習制御により、すで
に、標準制御データYBoが、ドライバーの運転操作特
性に十分に合致していると認められるから、学習による
標準制御データYBoの補正量は小さくてもよく、した
がって、メイン・コンピュータユニット40は、その走
行制御データYBによる学習を、次式にしたがって、実
行する。
【0129】 YBo =(m2×z×YBo +YB)/(m2×z+1) ここに、m2は、所定の係数で、m1<m2であり、た
とえば、15000に設定される。上式において、ドラ
イバーの心理状態に基づいて算出された補正パラメータ
zが大きいほど、標準制御データYCo の補正量は少な
く、ドライバーの心理状態が安定していないときは、学
習による補正量が少なくなるように制御されている。
【0130】しかる後、更新回数nを、n=n+1とし
て、RAM42に記憶学習サブルーチンを終了させる。
図18および図19は、地形状況に基づく学習プログラ
ムC1およびC2により、ACSの制御データを補正す
る方法を説明するためのマップであり、図18は、上下
加速度センサ37により検出された上下加速度GVと補
正データとの関係を示すマップ、図19は、ドライバー
の運転操作状況により、メイン・コンピュータユニット
40によって演算された横加速度GLと補正データとの
関係を示すマップで、これらは、運転シミュレーション
装置1のROM41に記憶されている。
【0131】上下加速度センサ37の検出信号に基づい
て、図18に示されるように、学習プログラムC1の補
正データx1が算出される。ここに、1は、サスペンシ
ョンが最もハードなデータを示し、0は、サスペンショ
ンが最もソフトなデータを示している。次いで、メイン
・コンピュータユニット40によって演算された横加速
度GLに基づき、図19に示されるように、学習プログ
ラムC2の補正データx2が算出される。
【0132】この2つの補正データx1およびx2に基
づいて、次式にしたがって、学習プログラムC1ないし
C3の補正データXcが算出される。 Xc=(x1+x2)/2 ROM41に記憶されている図示しないマップにより、
同様にして、学習プログラムD1ないしD7の補正デー
タXdが算出される。
【0133】こうして得られた補正データXcおよびX
dに基づき、次式にしたがって、補正制御データYCが
得られる。 YC=(k1・Xc+k2・Xd)/(k1+k2) ここに、k1、k2は、重み付け係数であり、k1<k
2に設定される。さらに、メイン・コンピュータユニッ
ト40は、前回に、学習プログラムC1ならびにC2お
よびD1ないしD7毎に、運転シミュレーション装置1
のRAM42に記憶された各制御データに基づいて、同
様にして、算出された制御データYCo と、こうして得
られた補正データYCとの差の絶対値が、所定値d1お
よびd2と比較し、上述のように、学習すべきときは、
補正制御データYCを学習し、学習すべきでないとき
は、補正制御データYCの学習を実行しない。
【0134】標準プログラムB1ないしB5において、
学習プログラムD1、D3ないしD6にしたがって、補
正制御データYBを得る方法も同様である。以上のよう
にして、制御データの学習サブルーチンが終了すると、
メイン・コンピュータユニット40は、制御データ変更
サブルーチンを実行する。
【0135】図20は、制御データ変更サブルーチンを
示すフローチャートである。図20において、メイン・
コンピュータユニット40は、まず、フラグFが0か否
かを判定する。その結果、NOときは、現在の仮想走行
場所は、特定地域外にあり、したがって、メイン・コン
ピュータユニット40は、RAM42に記憶された標準
制御データB1ないしB5のうち、仮想走行場所が含ま
れる地域の標準制御データを読み出す。
【0136】次いで、メイン・コンピュータユニット5
0は、さらに、フラグHが1か否かを判定する。その結
果、YESのときは、前回のサイクルでは、仮想走行場
所が、基点から所定距離内の特定地域内にあったが、運
転シミュレーションの結果、仮想走行場所が、特定地域
外になったため、前回のサイクルでは、学習制御データ
が使用されていたのに対し、今回のサイクルでは、標準
制御データが使用されることになり、そのまま、標準制
御データに基づき、制御を実行すると、ドライバーの運
転操作に対する運転シミュレーション装置1の挙動が、
前回のサイクルに比し、急激に変化して、ドライバーに
違和感を与え、運転シミュレーション装置1を仮想運転
する際に、ドライバーが受けるフィーリングが、実際の
自動車を運転する場合と大きく異なってしまうおそれが
ある。そこで、運転シミュレーション装置1における仮
想運転においても、実際に自動車50を運転する場合と
同様のフィーリングをドライバーに与えることを可能と
するため、メイン・コンピュータユニット40は、各制
御装置に対応して設けられたタイマー38に記憶されて
いる制御時間Tに、時間T1を加算する。
【0137】他方、フラグHが1でないときは、メイン
・コンピュータユニット40は、仮想走行場所に基づい
て選択され、学習サブルーチンにしたがって補正された
標準制御データB1ないしB5のいずれかの標準制御デ
ータが、前回のサイクルと今回のサイクルとで、変化し
た否かを判定する。その結果、YESのときは、補正さ
れた標準制御データに基づき、そのまま、制御を実行す
ることにより、ドライバーの運転操作に対する運転シミ
ュレーション装置1の挙動が、前回のサイクルに比し、
急激に変化して、ドライバーに違和感を与えることを防
止するために、メイン・コンピュータユニット40は、
標準制御データが変化した制御装置に対応するタイマー
38に記憶されている制御時間Tに、時間T2を加算す
る。
【0138】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、制御時間Tに、時間を加算
しない。しかる後に、メイン・コンピュータユニット4
0は、各制御装置に対応するタイマー38に記憶された
制御時間Tの経過後に、各制御装置用の標準制御データ
が、今回のサイクルで補正された標準制御データに、徐
々に等しくなるように、車体制御機構13、画像制御手
段43および操舵力制御手段46の特性を設定する。
【0139】これに対して、メイン・コンピュータユニ
ット40が、フラグFが0でないと判定したときは、現
在の仮想走行場所は、基点から所定距離内にある特定地
域内にあると認められ、したがって、メイン・コンピュ
ータユニット40は、RAM42に記憶された学習制御
データを読み出す。次いで、メイン・コンピュータユニ
ット50は、さらに、フラグHが1か否かを判定する。
【0140】その結果、YESのときは、前回のサイク
ルでは、仮想走行場所が、特定地域外にあったが、運転
シミュレーションの結果、仮想走行場所が、基点から所
定距離内の特定地域内になったため、前回のサイクルで
は、標準制御データが使用されていたのに対し、今回の
サイクルでは、学習制御データが使用されることにな
り、そのまま、学習制御データに基づき、制御を実行す
ると、ドライバーの運転操作に対する運転シミュレーシ
ョン装置1の挙動が、前回のサイクルに比し、急激に変
化して、ドライバーに違和感を与え、運転シミュレーシ
ョン装置1を仮想運転する際に、ドライバーが受けるフ
ィーリングが、実際の自動車を運転する場合と大きく異
なってしまうおそれがある。そこで、運転シミュレーシ
ョン装置1における仮想運転においても、実際に自動車
50を運転する場合と同様のフィーリングをドライバー
に与えることを可能とするため、メイン・コンピュータ
ユニット40は、各制御装置に対応して設けられたタイ
マー38に記憶されている制御時間Tに、時間T1を加
算する。
【0141】他方、フラグHが1でないときは、メイン
・コンピュータユニット40は、学習サブルーチンにし
たがって補正された学習制御データが、前回のサイクル
と今回のサイクルとで、変化した否かを判定する。その
結果、YESのときは、補正された学習制御データに基
づき、そのまま、制御を実行することにより、ドライバ
ーの運転操作に対する運転シミュレーション装置1の挙
動が、前回のサイクルに比し、急激に変化して、ドライ
バーに違和感を与えることを防止するために、メイン・
コンピュータユニット40は、学習制御データが変化し
た制御装置に対応するタイマー38に記憶されている制
御時間Tに、時間T2を加算する。
【0142】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、制御時間Tに、時間を加算
しない。しかる後に、メイン・コンピュータユニット4
0は、各制御装置に対応するタイマー38に記憶された
制御時間Tの経過後に、各制御装置用の学習制御データ
が、今回のサイクルで補正された学習制御データに徐々
に等しくなるように、車体制御機構13、画像制御手段
43および操舵力制御手段46のゲインを設定する。
【0143】以上のようにして、制御データ変更ルーチ
ンが完了すると、メイン・コンピュータユニット40
は、仮想走行場所が、走行地域入力手段10により入力
された仮想目的地になった否か、すなわち、運転シミュ
レーション装置1により、仮想走行をおこなった結果、
仮想目的地に到達したか否かを判定する。その結果、N
Oのときは、メイン・コンピュータユニット40は、次
のサイクルに移行し、再び、仮想走行場所を判定し、同
様のルーチンを実行する。
【0144】これに対して、YESのとき、すなわち、
走行地域入力手段10により入力した仮想目的地に到達
したと判定したときは、メイン・コンピュータユニット
40は、運転シミュレーション装置1のRAM42に記
憶された学習制御データおよび標準制御データを、IC
カード16の学習制御データ記憶部21および標準制御
データ記憶部20に、それぞれ、記憶させ、運転シミュ
レーションを終了させる。
【0145】図21、図22、図23、図24および図
25は、補正制御プログラムおよび学習プログラムを補
正する補正用データ生成サブルーチンを示すフローチャ
ートである。この図21ないし図25に示された補正用
データ生成サブルーチンは、自動車のROM81に記憶
され、自動車50が運転される時に、運転状況あるいは
ドライバーの操作に応じて、ICカード16に記憶され
た標準制御データあるいは学習制御データを補正する補
正制御プログラムおよび運転シミュレーションを実施す
るときに、標準制御データおよび学習制御データを生
成、補正するために用いられる学習プログラムを補正す
るための補正用データを生成するものであり、運転シミ
ュレーション装置1のROM41に記憶された補正プロ
グラムに基づいて、所定のタイミングで、実行される。
本実施例においては、図8および図9に示された基本ル
ーチンにおいて、補正用データを生成するタイミングで
あると判定されたときに、補正用データ生成サブルーチ
ンが実行され、天候の変化に基づく天候補正用データ、
渋滞状態に基づく渋滞補正用データ、障害物に基づく障
害物補正用データおよびアイポイントの位置に基づくア
イポイント補正用データが生成可能に構成されている。
すなわち、標準制御プログラムB1ないしB5のそれぞ
れについて、標準制御データの更新回数nが、所定回数
n1回を越えた後に、運転シミュレーション装置1のR
OM41に記憶された補正プログラムにしたがって、画
像制御手段43によって、スクリーン4に、仮想走行地
域に対応する画像に、所定の画像を重ね合わせた画像を
表示させて、補正用データを生成する。ここに、n1<
noである。天候の変化に基づく天候補正用データを生
成する場合には、雨天あるいは降雪の状態を表す画像
が、仮想走行地域に対応する画像に、重ね合わされて、
雨天あるいは降雪時に、自動車を運転しているのと同様
な状態で、運転シミュレーションが実行されて、天候補
正用データが生成され、渋滞状態に基づく渋滞補正用デ
ータを生成する場合には、多数の自動車が低速で走行し
ている画像が、仮想走行地域に対応する画像に、重ね合
わされ、渋滞時に、自動車を運転しているのと同様な状
態で、運転シミュレーションが実行されて、渋滞補正用
データが生成され、障害物に基づく障害物補正用データ
を生成する場合には、前方のトラックから荷物が落ちる
画像や、人が急に道路に飛び出す画像が、仮想走行地域
に対応する画像に、重ね合わされ、自動車の運転中に、
前方に、障害物が急に現れたのと同様な状態で、運転シ
ミュレーションが実行されて、障害物補正用データが生
成され、また、アイポイントの位置に基づくアイポイン
ト補正用データを生成する場合には、横道などの所定の
画像が、仮想走行地域に対応する画像に、重ね合わさ
れ、その画像に対する望ましいアイポイントの位置と、
そのドライバーのアイポイントの位置とが比較されて、
補正用データが生成されるようになっている。
【0146】図21ないし図25において、メイン・コ
ンピュータユニット40は、まず、フラグKが1か否
か、すなわち、天候の変化に基づき、天候補正用データ
の生成をおこなうか否かを判定する。この時点では、フ
ラグKは1ではないから、この判定結果はNOであり、
次いで、メイン・コンピュータユニット40は、フラグ
Kが2か否か、すなわち、渋滞状態に基づき、渋滞補正
用データの生成をおこなうか否かを判定する。
【0147】この時点では、フラグKは2でもないか
ら、この判定結果はNOであり、さらに、メイン・コン
ピュータユニット40は、フラグKが3か否か、すなわ
ち、障害物に基づき、障害物補正用データの生成をおこ
なうか否かを判定する。この時点では、フラグKは3で
もないから、この判定結果はNOであり、次いで、メイ
ン・コンピュータユニット40は、フラグKが4か否
か、すなわち、ドライバーのアイポイントの位置に基づ
き、アイポイント補正用データの生成おこなうか否かを
判定する。
【0148】この時点では、フラグKは4でもないか
ら、この判定結果はNOである。次いで、メイン・コン
ピュータユニット40は、さらに、ICカード16の更
新回数記憶部25に記憶されている更新回数に基づい
て、現在、仮想走行している地域における標準制御デー
タB1ないしB5のいずれかの更新回数nが、所定回数
n1を越えているか否かを判定し、仮想走行している地
域における標準制御データの更新回数nが、所定回数n
1を越えたときに、初めて、補正用データの生成を実行
する。これは、ドライバーの運転操作の特徴に合致する
ように、自動車50を走行させることをより早く可能に
するためには、まず、運転シミュレーションにより、あ
る程度、ドライバーの操作特性に合致した標準制御デー
タを生成することが先決であり、その後に、補正用デー
タの生成をおこなうようにすることが望ましいからであ
る。
【0149】したがって、仮想走行している地域におけ
る標準制御データ更新回数nが、所定回数n1以下のと
きは、メイン・コンピュータユニット40は、補正用デ
ータの生成および/または学習制御プログラムの補正を
おこなわず、フラグIを0にセットして、補正用データ
生成サブルーチンの実行を終了し、基本ルーチンに戻
る。
【0150】これに対し、仮想走行している地域におけ
る標準制御データの更新回数nが、所定回数n1を越え
ているときは、メイン・コンピュータユニット40は、
運転シミュレーション装置1のROM41に記憶されて
いる補正プログラムにより、所定のタイミングで、補正
用データの生成をおこなう。すなわち、仮想走行してい
る地域における標準制御データの更新回数nが、所定回
数n1を越えていると判定したときは、運転シミュレー
ション装置1のROM41に記憶されている補正プログ
ラムにしたがって、天候補正用データ、渋滞補正用デー
タ、障害物補正用データおよびアイポイント補正用デー
タのうち、ICカード16の更新回数記憶部25に記憶
されている補正用データの更新回数の最も少ない補正用
データがどれかを判定して、その補正用データの更新を
おこなう。これは、各補正用データを均等に更新するた
めである。
【0151】この判定結果にしたがって、メイン・コン
ピュータユニット40は、フラグKの値を、更新回数が
最も少ない補正用データに対応する値にセットし、基本
ルーチンに戻り、時刻を読み込み、仮想走行場所を判定
する。次いで、メイン・コンピュータユニット40は、
現在の仮想走行場所が特定地域内か否かを判定する。
【0152】その結果、現在の仮想走行場所が特定地域
内であると判定したときは、補正用データ生成サブルー
チンは実行せず、前述のように、制御データの学習サブ
ルーチンおよび制御データ変更サブルーチンを、仮想目
的地に到達するまで、実行して、仮想目的地に到達した
時点で、運転シミュレーション装置1のRAM42に記
憶されている各種のデータを、ICカード16に記憶さ
せ、運転シミュレーションを完了する。
【0153】これに対して、特定地域外であると判定し
たときは、メイン・コンピュータユニット40は、さら
に、フラグIが1か否かを判定する。補正用データ生成
サブルーチンの実行が開始されたときは、フラグIは1
にセットされるから、この判定結果はYESであり、再
び、フラグKが1か否かが判定される。
【0154】その結果、補正用データ生成サブルーチン
において、前回のサイクルで、フラグKが1にセットさ
れていたときは、すなわち、天候補正用データの更新回
数が最も少ないと判定されていたときは、メイン・コン
ピュータユニット40は、まず、ドライバー医学データ
検出手段8により検出されたドライバーの心拍数α1を
読み取るとともに、タイマー39の時間tをt=0にセ
ットする。
【0155】次いで、メイン・コンピュータユニット4
0は、車体制御機構13に、車体制御信号を出力して、
車体2が、雨天あるいは降雪状態で、自動車50が示す
挙動と同様の挙動を示すように、コーナーリングフォー
スに関連するゲインを設定するとともに、画像制御手段
43に、画像制御信号を出力して、スクリーン4に表示
された仮想走行地域の画像に、雨天あるいは降雪状態を
示す画像を重ね合わせ、画像を切り換える。
【0156】さらに、メイン・コンピュータユニット4
0は、再び、ドライバー医学データ検出手段8によって
検出されたドライバーの心拍数α(1)を読み取り、画
像切換え前に読み取ったドライバーの心拍数α1との差
w(1)を演算して、RAM42に記憶させる。この差
w(1)は、晴天あるいは曇天時に、自動車50を運転
する時と、雨天あるいは降雪状態の下で、自動車50を
運転する時とのドライバーの精神状態の変化を示すもの
である。
【0157】次のサイクルにおいて、メイン・コンピュ
ータユニット40は、再び、ドライバー医学データ検出
手段8によって検出されたドライバーのドライバーの心
拍数α(2)を読み取り、画像切換え前に読み取ったド
ライバーの心拍数α1との差w(2)を演算し、さら
に、前回に演算した差w(1)との和を算出して、差w
の演算回数Nとともに、RAM42に記憶させる。
【0158】こうして、メイン・コンピュータユニット
40は、タイマー39の時間tが所定時間to、たとえ
ば、10分に達するまで、次々に、差wを演算し、それ
までに演算した差の和Σwを、差wの演算回数Nととも
に、RAM42に記憶させ、タイマー39の時間tが所
定時間toに達すると、RAM42に記憶されているそ
れまでの差の和Σwを、ICカード16の補正用データ
記憶部24に記憶させるとともに差wの演算回数Nを、
ICカード16の更新回数記憶部25に記憶させ、フラ
グIを0にセットして、補正用データ生成サブルーチン
を終了させる。
【0159】ICカード16の補正用データ記憶部24
に記憶された心拍数の差の和Σwおよび更新回数記憶部
25に記憶された差wの演算回数Nは、次に、天候補正
用データの生成がおこなわれる時に、ICカード16か
ら読み出されて、RAM42に記憶され、次々に、ドラ
イバーの心拍数α(i)と、画像切換え前に読み取った
ドライバーの心拍数α1との差w(i)の和Σw(i)
が次々に算出され、差w(i)の演算回数Nが、所定回
数Noに達すると、メイン・コンピュータユニット40
は、差wの平均値aw=Σw(i)/Noを算出し、R
OM41に記憶されている図26に示すマップにしたが
って、補正係数δを求めて、RAM42に記憶させると
ともに、フラグIを0に、演算回数Nを0に、それぞ
れ、セットする。こうして、RAM42に記憶された補
正係数δは、運転シミュレーション終了時に、天候補正
用データとして、ICカード16の補正用データ記憶部
24に記憶される。
【0160】この補正係数δは、補正制御プログラムE
3を補正するものであり、図26に示されるように、差
wの平均値aw=Σw(i)/Noが、所定値awo未
満では、1で、所定値awo以上では、線形に増大する
ように設定されている。これは、雨天あるいは降雪状態
を示す画像が表示されているときに、画像切換え前の心
拍数α1に比して、心拍数αが大きく増大するというこ
とは、そのドライバーは、雨天あるいは降雪状態になる
と、精神状態が大きく変化することを意味しているの
で、走行状態がより安定するように、補正制御プログラ
ムE3によって補正される制御データの補正量を大き
く、すなわち、制御データを小さく補正する場合は、よ
り小さく、大きく補正する場合は、より大きく、補正制
御プログラムE3による補正がなされるようにするため
である。
【0161】これに対して、補正用データ生成サブルー
チンにおいて、前回のサイクルで、フラグKが2にセッ
トされていたとき、すなわち、渋滞補正用データの更新
回数が最も少ないと判定されていたときは、メイン・コ
ンピュータユニット40は、まず、ドライバー医学デー
タ検出手段8により検出されたドライバーの血圧γ1を
読み取るとともに、タイマー39の時間tをt=0にセ
ットする。
【0162】次いで、メイン・コンピュータユニット4
0は、画像制御手段43に、画像制御信号を出力して、
スクリーン4に表示された仮想走行地域の画像に、多数
の自動車、すなわち渋滞状態を示す画像を重ね合わせ、
画像を切り換える。さらに、メイン・コンピュータユニ
ット40は、再び、ドライバー医学データ検出手段8に
より検出されたドライバーの血圧γ(1)を読み取り、
画像切換え前に読み取ったドライバーの血圧γ1との差
u(1)を演算して、RAM42に記憶させる。この差
u(1)は、通常の交通状態の下で、自動車50を運転
する時と、渋滞時に、自動車50を運転する時とのドラ
イバーの精神状態の変化を示すものである。
【0163】次のサイクルにおいて、メイン・コンピュ
ータユニット40は、ふたたび、ドライバー医学データ
検出手段8によって検出されたドライバーのドライバー
の血圧γ(2)を読み取り、画像切換え前に読み取った
ドライバーの血圧γ1との差u(2)を演算し、さら
に、前回に演算した差u(1)との和を算出して、差u
の演算回数Nとともに、RAM42に記憶させる。
【0164】こうして、メイン・コンピュータユニット
40は、タイマー39の時間tが所定時間to、たとえ
ば、10分に達するまで、次々に、差uを演算し、それ
までに演算した差の和Σuを、差wの演算回数Nととも
に、RAM42に記憶させ、タイマー39の時間tが所
定時間toに達すると、RAM42に記憶されているそ
れまでの差の和Σuを、ICカード16の補正用データ
記憶部24に記憶させるとともに差uの演算回数Nを、
ICカード16の更新回数記憶部25に記憶させ、フラ
グIを0にセットして、補正用データ生成サブルーチン
を終了させる。
【0165】ICカード16の補正用データ記憶部24
に記憶された心拍数の差の和Σuおよび更新回数記憶部
25に記憶された差uの演算回数Nは、次に、渋滞補正
用データの生成がおこなわれる時に、ICカード16か
ら読み出されて、RAM42に記憶され、次々に、ドラ
イバーの血圧γ(i)と、画像切換え前に読み取ったド
ライバーの血圧γ1との差u(i)の和Σu(i)が、
次々に、算出され、差u(i)の演算回数Nが、所定回
数Noに達すると、メイン・コンピュータユニット40
は、差uの平均値au=Σu(i)/Noを算出し、R
OM41に記憶されている図示しないマップまたはテー
ブルにしたがって、補正用データを求めて、RAM42
に記憶させるとともに、フラグIを0に、演算回数Nを
0に、それぞれ、セットする。こうして、RAM42に
記憶された補正用データは、運転シミュレーションの終
了時に、渋滞補正用データとして、ICカード16の補
正用データ記憶部24に記憶される。
【0166】こうして得られた渋滞補正用データは、差
uの平均値au=Σu(i)/Noが、所定値auo未
満においては、各制御装置用の制御データを補正せず、
所定値auo以上では、差uの平均値auが大きくなる
ほど、ACS、ABS、TRC、EGCおよびPSC用
の制御データが、補正制御プログラムによって、大きく
補正される場合には、これらを、より大きく、小さく補
正される場合には、より小さく、補正し、VGRおよび
4WS用の制御データは、補正制御プログラムによる補
正量が、小さくなるように補正するようになっており、
渋滞により、とくに精神状態が高ぶる傾向のあるドライ
バーであっても、精神状態が安定しているドライバーと
同様の運転がなされるようになっている。
【0167】他方、補正用データ生成サブルーチンにお
いて、前回のサイクルで、フラグKが3にセットされて
いたとき、すなわち、障害物補正用データの更新回数が
最も少ないと判定されていたときは、メイン・コンピュ
ータユニット40は、画像制御手段43に、画像制御信
号を出力して、仮想走行地域の画像に、たとえば、前方
を走っているトラックから荷物が落ちる画像あるいは人
が急に道路に飛び出す画像を合成し、スクリーン4に表
示する。
【0168】次いで、メイン・コンピュータユニット4
0は、このように、画像を切換えた後、ドライバーが、
障害物を回避するための回避動作をおこなうまでの回避
時間およびドライバーがおこなった回避動作を検出す
る。さらに、メイン・コンピュータユニット40は、障
害物の種類に応じて、あらかじめ、ROM41に記憶さ
れた運転操作に熟練した基準ドライバーの基準回避時間
および基準回避動作を読み取り、ドライバーの回避時間
および回避動作と比較して、その偏差dvを求め、障害
物補正用データ生成サブルーチンの実行回数Nととも
に、RAM42に記憶させる。この偏差dvは、そのド
ライバーの反射神経および運転技術の程度を示すもので
ある。
【0169】その後、メイン・コンピュータユニット4
0は、フラグIを0にセットして、障害物補正用データ
生成サブルーチンを終了する。この時、メイン・コンピ
ュータユニット40は、偏差dvを、ICカード16の
補正用データ記憶部24に記憶させるとともに、障害物
補正用データ生成サブルーチンの実行回数Nを、ICカ
ード16の更新回数記憶部25に記憶させる。
【0170】ICカード16の補正用データ記憶部24
に記憶された障害物回避時間ならびに回避動作と、基準
回避時間ならびに基準回避動作との偏差dvおよび更新
回数記憶部25に記憶された障害物補正用データ生成サ
ブルーチンの実行回数Nは、次に、障害物補正用データ
の生成がおこなわれる時に、ICカード16から、読み
出されて、RAM42に記憶され、次に実行された障害
物補正用データ生成サブルーチンにより得られた障害物
回避時間ならびに回避動作と、基準回避時間ならびに基
準回避動作との偏差dvと合算され、偏差の和Σdv
が、障害物補正用データ生成サブルーチンの終了する際
に、ICカード16の補正用データ記憶部24に記憶さ
れ、また、障害物補正用データ生成サブルーチンの実行
回数Nが更新されて、ICカード16の更新回数記憶部
25に記憶される。
【0171】こうして、次々に、障害物補正用データ生
成サブルーチンが実行され、障害物補正用データ生成サ
ブルーチンの実行回数Nが、所定回数Noに達すると、
メイン・コンピュータユニット40は、偏差dv(i)
の平均値advを算出して、ROM41に記憶されてい
る図示しないマップまたはテーブルにしたがって、障害
物補正用データを生成する。
【0172】こうして生成された障害物補正用データ
は、まず、ICカード16の学習制御データ記憶部21
から読み取られ、RAM42に記憶された学習制御デー
タおよび第2学習プログラム記憶部23から読み取ら
れ、RAM42に記憶された運転操作に関する学習プロ
グラムD1、D2ないしD6を補正するために使用され
るとともに、ICカード16の補正用データ記憶部24
に記憶され、自動車50の運転時に、補正制御プログラ
ムE6を補正する障害物補正用データとして使用され
る。
【0173】すなわち、偏差dv(i)の平均値adv
が所定値advo未満のときは、そのドライバーの反射
神経および運転技術は、標準的であると認められるか
ら、補正用データによって、学習制御データおよび学習
プログラムD1、D2ないしD6の補正はおこなわれ
ず、また、自動車50の運転時にも、ICカード16の
補正用データ記憶部24に記憶された障害物補正用デー
タに基づく補正制御プログラムE6の補正はおこなわれ
ない。
【0174】これに対して、偏差dv(i)の平均値a
dvが所定値advo以上であるときは、そのドライバ
ーの反射神経および運転技術が、標準のドライバーより
も劣っていることを意味しており、したがって、メイン
・コンピュータユニット40は、まず、ICカード16
の学習制御データ記憶部21から読み取られ、RAM4
2に記憶された学習制御データを、一律に、平均値ad
vが大きいほど、大きく、安定側に補正して、運転シミ
ュレーションを終了すべきときに、ICカード16の学
習制御データ記憶部21に記憶させるとともに、ICカ
ード16の第2学習プログラム記憶部23から読み取ら
れ、RAM42に記憶された運転操作に関する学習プロ
グラムD1、D2ないしD6による制御データの補正量
が小さくなるように、運転シミュレーションの実行時
に、学習プログラムD1、D2ないしD6を補正し、さ
らに、メイン・コンピュータユニット40は、ドライバ
ーが、自動車50を運転する際に、標準制御データおよ
び学習制御データを補正する補正制御プログラムE6
を、平均値advが大きいほど、補正量が大きくなるよ
うに補正する補正用データを、運転シミュレーションを
終了すべきときに、ICカード16の補正用データ記憶
部24に記憶させる。
【0175】これに対して、補正用データ生成サブルー
チンにおいて、前回のサイクルで、フラグKが4にセッ
トされていたとき、すなわち、アイポイント補正用デー
タの更新回数が最も少ないと判定されていたときは、メ
イン・コンピュータユニット40は、画像制御手段43
に画像制御信号を出力して、仮想走行地域の画像に、所
定の画像、たとえば、横道の画像を合成し、スクリーン
4に表示する。
【0176】メイン・コンピュータユニット40は、こ
うして、横道などの所定の画像が、スクリーン4に表示
されたときのドライバーのアイポイントを、ドライバー
医学データ検出手段8から読み取り、合成された画像の
種類に応じて、ROM41に記憶された運転操作に熟練
した基準ドライバーの基準アイポイントと比較して、そ
の偏差DVを求め、アイポイント補正用データ生成サブ
ルーチンの実行回数Nとともに、RAM42に記憶させ
る。この偏差DVは、そのドライバーの運転技術の程度
を示すものである。
【0177】その後、メイン・コンピュータユニット4
0は、フラグIを0にセットして、補正用データ生成サ
ブルーチンを終了させる。この時、メイン・コンピュー
タユニット40は、偏差DVを、ICカード16の補正
用データ記憶部24に記憶させるとともに、アイポイン
ト補正用データ生成サブルーチンの実行回数Nを、IC
カード16の更新回数記憶部25に記憶させる。
【0178】ICカード16の補正用データ記憶部24
に記憶されたそのドライバーのアイポイントと基準アイ
ポイントとの偏差DVおよび更新回数記憶部25に記憶
されたアイポイント補正用データ生成サブルーチンの実
行回数Nは、次に、アイポイント補正用データの生成が
おこなわれる時に、ICカード16から読み出され、R
AM42に記憶されて、次に実行されたアイポイント補
正用データ生成サブルーチンにより得られたそのドライ
バーのアイポイントと基準アイポイントとの偏差DVと
合算され、偏差の和ΣDVが、アイポイント補正用デー
タ生成サブルーチンの終了する際に、ICカード16の
補正用データ記憶部24に記憶され、また、アイポイン
ト補正用データ生成サブルーチンの実行回数Nが更新さ
れて、ICカード16の更新回数記憶部25に記憶され
る。
【0179】こうして、次々に、アイポイント補正用デ
ータ生成サブルーチンが実行され、アイポイント補正用
データ生成サブルーチンの実行回数Nが、所定回数No
に達すると、メイン・コンピュータユニット40は、偏
差DV(i)の平均値aDVを算出して、ROM41に
記憶されている図示しないマップまたはテーブルにした
がって、アイポイント補正用データを生成する。
【0180】このアイポイント補正用データは、偏差D
V(i)の平均値aDVが所定値DVo以上のときに、
ドライバーが、自動車50を運転する際に、標準制御デ
ータおよび学習制御データを補正する補正制御プログラ
ムE5を、平均値aDVが大きいほど、補正量が大きく
なるように補正するものであり、メイン・コンピュータ
ユニット40は、こうして得られたアイポイント補正用
データを、運転シミュレーションを終了すべきときに、
ICカード16の補正用データ記憶部24に記憶させ
る。
【0181】なお、以上のようにして、それぞれの補正
用データが生成され、補正用データ記憶部24に記憶さ
れた後、さらに、運転シミュレーションが実行されて、
あらたな補正用データが生成されたときは、補正用デー
タが大きく変化することを防止するために、メイン・コ
ンピュータユニット40は、あらたに生成された補正用
データと、ICカード16の補正用データ記憶部24に
記憶されていた補正用データとの平均値を算出して、こ
の平均値を、補正用データとして、運転シミュレーショ
ンを終了すべきときに、ICカード16の補正用データ
記憶部24に記憶させるようになっている。
【0182】図27は、運転シミュレーション装置1に
よる運転シミュレーションの結果、ICカード16に、
標準制御データ、学習制御データおよび補正用データが
記憶された後に、自動車50のメイン・コンピュータユ
ニット80により実行される制御ゲイン変更制御の基本
ルーチンを示すフローチャートである。図27におい
て、エンジン51が始動された後、メイン・コンピュー
タユニット80は、まず、ICカード読み取り手段75
に、ICカード16が挿入されたか否かを判定し、IC
カード読み取り手段75に、ICカード16が挿入さ
れ、ICカード16に記憶されたデータが、自動車50
のRAM82に読み取られたと判定すると、フラグMを
1にセットし、次いで、メイン・コンピュータユニット
80は、まず、ICカード16の運転位置変更用データ
記憶部19に記憶された運転位置データを読み取り、こ
の運転位置データに基づき、図示しないシート位置制御
手段に、シート位置制御信号を出力して、図示しないシ
ートの位置、高さ、シートバックの角度などを調整させ
る。
【0183】これに対して、ICカード読み取り手段7
5が、ICカード16に記憶されたデータを読み取って
いないときは、メイン・コンピュータユニット80は、
フラグMを0にセットする。さらに、メイン・コンピュ
ータユニット80には、横加速度センサ74から、横加
速度GLが、アンチ・ロック・ブレーキング制御装置1
4から、路面摩擦係数の推定値μが、それぞれ、入力さ
れる。
【0184】次いで、メイン・コンピュータユニット8
0は、横加速度センサ74が検出した横加速度GLの絶
対値が、所定値GLo 、たとえば、0.5G以上か否か
を判定する。その結果、YESのときは、自動車50に
加わる横加速度GLが大きく、専ら走行安定性を重視す
る必要のある走行状態にあり、ROM81に記憶された
設定制御データA7に基づき、制御を実行すべき状態に
あると判定されるから、メイン・コンピュータユニット
80は、フラグPを0にセットし、さらに、前回のサイ
クルと今回のサイクルとで、使用する制御データの種類
が変更されたか否かを判定し、変更されたと判定したと
きは、フラグQを0にセットし、変更されていないと判
定したときは、フラグQを1にセットする。
【0185】他方、NOのときは、メイン・コンピュー
タユニット80は、アンチ・ロック・ブレーキング制御
装置63からの入力信号に基づいて、路面摩擦係数の推
定値μが、所定値μo 以下か否かを判定する。その結
果、YESのときは、路面摩擦係数の低い道路を走行中
と認められ、専ら走行安定性を重視する必要のある走行
状態にあり、ROM81に記憶された設定制御データA
6に基づき、制御を実行すべき状態にあると判定される
から、メイン・コンピュータユニット80は、フラグP
を1にセットし、さらに、前回のサイクルと今回のサイ
クルとで、使用する制御データの種類が変更されたか否
かを判定し、変更されたと判定したときは、フラグQを
0にセットし、変更されていないと判定したときは、フ
ラグQを1にセットする。
【0186】これに対して、NOのとき、路面摩擦係数
の推定値μが、所定値μo を越えているときは、メイン
・コンピュータユニット80は、時計71から、時刻を
読み取り、さらに、図28に示す地域判定サブルーチン
を実行する。すなわち、図28において、メイン・コン
ピュータユニット80は、位置検出センサ67からの信
号に基づき、位置算出用コンピュータユニット83によ
って生成されたナビゲーション信号を読み取る。
【0187】その結果、ナビゲーション信号を読み取る
ことができなかったときは、メイン・コンピュータユニ
ット80は、フラグRを0にセットして、基本ルーチン
に戻る。他方、ナビゲーション信号を読み取ることはで
きたが、ナビゲーション信号が不適当で、ナビゲーショ
ン信号に基づき、現在、走行している場所を正確に判定
することができないと、メイン・コンピュータユニット
80が判定したときは、フラグRを1にセットして、基
本ルーチンに戻る。
【0188】これに対して、ナビゲーション信号に基づ
き、走行場所を正確に決定し得るときは、フラグRを2
にセットして、さらに、メイン・コンピュータユニット
80は、このナビゲーション信号に基づき、走行場所と
ICカード16の基点データ記憶部26に記憶された基
点からの直線距離Lが、所定距離Lo以内、たとえば、2
0km以内か否かを判定して、現在、自動車50が特定地
域内を走行中か否かを判定する。
【0189】その結果、自動車50が、基点からの直線
距離Lが、所定距離Lo 以内、たとえば、20km以内の
特定地域内を走行中であると判定したときは、メイン・
コンピュータユニット80は、フラグSを0にセット
し、他方、特定地域外を走行中であると判定したとき
は、フラグSを1にセットして、基本ルーチンに戻る。
次いで、メイン・コンピュータユニット80は、図2
9、図30および図31に示す制御データ選択サブルー
チンを実行する。
【0190】すなわち、図29、図30および図31に
示されるように、メイン・コンピュータユニット80
は、まず、フラグMが0か否かを判定する。その結果、
YESのときは、ICカード16に記憶されたデータ
が、ICカード読み取り手段75により読み取られては
おらず、RAM82に記憶されていないから、運転シミ
ュレーションにより、生成され、ICカード16に記憶
されたデータに基づいて、自動車50の特性を変更する
ことはできず、したがって、ROM81に記憶された設
定制御データA1ないしA5に基づいて、自動車50の
運転を制御するより他はないので、設定制御データA1
ないしA5のいずれにしたがって、自動車50の運転を
制御するかを決定するため、メイン・コンピュータユニ
ット80は、さらに、フラグRが0か否かを判定する。
【0191】その結果、YESのときは、ナビゲーショ
ン信号を読み取ることができず、自動車50が、いずれ
の地域、場所を走行しているか、判定し得ないので、メ
イン・コンピュータユニット80は、自動車50のRO
M81に記憶された設定制御データA1ないしA5のう
ち、標準的な制御データである設定制御データA3を読
み出し、フラグUを0にセットするとともに、前回のサ
イクルと今回のサイクルとで、使用する制御データが変
更されたと判定したときは、フラグQを0にセットし、
変更されていないと判定したときは、フラグQを1にセ
ットして、基本ルーチンに戻る。
【0192】他方、フラグRが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、ナビゲーション信号に
したがって、ROM81に記憶された設定制御データA
1ないしA5のいずれかを選択して、フラグUを0にセ
ットするとともに、前回のサイクルと今回のサイクルと
で、使用する制御データが変更されたと判定したとき
は、フラグQを0にセットし、変更されていないと判定
したときは、フラグQを1にセットして、基本ルーチン
に戻る。
【0193】これに対して、フラグMが0ではなく、1
のとき、すなわち、ICカード16に記憶されたデータ
が、ICカード読み取り手段75により読み取られ、R
AM82に記憶されているときは、メイン・コンピュー
タユニット80は、さらに、走行位置を正確に判別し得
るか否かを判定するため、フラグRが0か否かを判定す
る。
【0194】その結果、YESのときは、ICカード1
6に記憶されたデータを読み取ることはできたが、ナビ
ゲーション信号を読み取ることができず、自動車50
が、いずれの地域を走行しているかさえ、判定し得ない
ので、メイン・コンピュータユニット80は、ICカー
ド16の標準制御データ記憶部20から読み取られ、R
AM82に記憶されている標準制御データB1ないしB
5のうち、最も標準的な制御データである標準制御デー
タB3を選択して、フラグUを1にセットするととも
に、前回のサイクルと今回のサイクルとで、使用する制
御データが変更されたと判定したときは、フラグQを0
にセットし、変更されていないと判定したときは、フラ
グQを1にセットして、基本ルーチンに戻る。
【0195】他方、フラグRが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、さらに、フラグRが1
か否かを判定する。その結果、YESのときは、ナビゲ
ーション信号に基づき、都市部、市街地、市外地、山
道、高速道路のいずれを走行しているかを判定すること
は可能であるが、ナビゲーション信号によって、自動車
50の正確な走行場所を判定することはできないので、
メイン・コンピュータユニット80は、ナビゲーション
信号にしたがって、ICカード16から読み取られ、R
AM82に記憶されている標準制御データB1ないしB
5のいずれかを読み出すとともに、補正制御プログラム
E1ないしE7および補正用データを読み出して、フラ
グUを2にセットし、前回のサイクルと今回のサイクル
とで、使用する制御データが変更されたと判定したとき
は、フラグQを0にセットし、変更されていないと判定
したときは、フラグQを1にセットして、基本ルーチン
に戻る。
【0196】他方、フラグRが1でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、さらに、フラグSが0
か否かを判定して、自動車50が、特定地域内を走行中
か否かを判定する。その結果、フラグSが0でなく、1
であるときは、自動車50は、特定地域外を走行中であ
ると認められるから、メイン・コンピュータユニット8
0は、ナビゲーション信号にしたがって、ICカード1
6から読み取られ、RAM82に記憶されている標準制
御データB1ないしB5のいずれかを読み出すととも
に、補正制御プログラムE1ないしE7および補正用デ
ータを読み出して、フラグUを3にセットし、前回のサ
イクルと今回のサイクルとで、使用する制御データが変
更されたと判定したときは、フラグQを0にセットし、
変更されていないと判定したときは、フラグQを1にセ
ットして、基本ルーチンに戻る。
【0197】他方、フラグSが1のときは、自動車50
は、特定地域内を走行していると認められるが、走行し
ている単位区間についてのその時間帯の学習制御データ
が、未だ、ICカード16に記憶されてはおらず、RA
M82に読み取られていない可能性があるので、メイン
・コンピュータユニット80は、走行している単位区間
におけるその時間帯の学習制御データが、RAM82に
記憶されているか否かを判定する。
【0198】その結果、YESのとき、すなわち、走行
している単位区間におけるその時間帯の学習制御データ
が、すでに生成されて、ICカード16に記憶され、R
AM82に読み取られているときは、メイン・コンピュ
ータユニット80は、RAM82に記憶された学習制御
データ、補正制御プログラムE1ないしE4ならびにE
6および補正用データを読み出し、フラグUを4にセッ
トするとともに、前回のサイクルと今回のサイクルと
で、使用する制御データが変更されたと判定したとき
は、フラグQを0にセットし、変更されていないと判定
したときは、フラグQを1にセットして、基本ルーチン
に戻る。
【0199】他方、NOのとき、すなわち、その時間帯
における走行している単位区間の学習制御データが、生
成されてはおらず、RAM82に記憶されていないとき
は、メイン・コンピュータユニット80は、さらに、そ
の単位区間からの直線距離lが所定距離lo 、たとえ
ば、20m以内の近隣単位区間のその時間帯における学
習制御データが、生成され、RAM82に記憶されてい
るか否かを判定する。
【0200】その結果、近隣単位区間のその時間帯にお
ける学習制御データが、RAM82に記憶されていない
ときは、学習制御データにしたがって、制御を実行する
ことはできないと判定して、メイン・コンピュータユニ
ット80は、ナビゲーション信号にしたがって、RAM
82に記憶された標準制御データB1ないしB5のいず
れかを読み出すとともに、補正制御プログラムE1ない
しE7および補正用データを読み出して、フラグUを3
にセットするとともに、前回のサイクルと今回のサイク
ルとで、使用する制御データが変更されたと判定したと
きは、フラグQを0にセットし、変更されていないと判
定したときは、フラグQを1にセットして、基本ルーチ
ンに戻る。
【0201】これに対して、YESのとき、すなわち、
走行している単位区間からの直線距離lが所定距離lo
、たとえば、20m以内の近隣単位区間におけるその
時間帯の学習制御データが、RAM82に記憶されてい
るときは、この学習制御データは、そのドライバーが、
現在、走行している単位区間を、その時間帯に仮想走行
したときに、運転シミュレーションによって、生成され
る学習制御データに類似していると認められる。したが
って、標準制御データB1ないしB5のいずれかに基づ
き、制御を実行するよりも、その近隣単位区間のその時
間帯の学習制御データに基づいて、制御を実行する方
が、ドライバーにより大きな満足を与え得ると考えられ
るから、メイン・コンピュータユニット80は、RAM
82に記憶された近隣単位区間の学習制御データを読み
取り、この近隣単位区間の学習制御データを、ゲインf
だけ、安定側に補正して、学習制御データとして使用す
るとともに、補正制御プログラムE1ないしE7および
補正用データを読み出して、フラグUを5にセットす
る。その後、前回のサイクルと今回のサイクルとで、使
用する制御データが変更されたか否かを判定して、変更
されたと判定したときは、フラグQを0にセットし、変
更されていないと判定したときは、フラグQを1にセッ
トして、基本ルーチンに戻る。
【0202】こうして、制御データ選択サブルーチンが
終了すると、メイン・コンピュータユニット80は、制
御実行サブルーチンを実行する。図32、図33、図3
4および図35は、メイン・コンピュータユニット80
によって実行される制御実行サブルーチンを示すフロー
チャートである。図32、図33、図34および図35
において、まず、メイン・コンピュータユニット80
は、フラグPが0か否かを判定する。
【0203】その結果、YESのときは、自動車50に
加わる横加速度GLが大きく、もっぱら、走行安定性を
重視する必要のある走行状態にあり、ROM81に記憶
された設定制御データA7に基づき、制御を実行すべき
状態にあると判定される。しかし、前回のサイクルにお
いて、学習制御データや標準制御データなどの異なった
制御データにしたがって、制御が実行されている場合に
は、設定制御データA7にしたがって、ただちに、各制
御装置の特性を変更すると、自動車50の挙動が大きく
変化するおそれがあるので、メイン・コンピュータユニ
ット80は、さらに、フラグQが0か否かを判定する。
【0204】その結果、YESのときは、走行状況の変
化により、前回のサイクルと今回のサイクルとで、使用
される制御データが変化したと認められるので、自動車
50の挙動が、急激に変化して、ドライバーに違和感を
与えることを防止するため、メイン・コンピュータユニ
ット80は、各制御装置のタイマーに記憶されている制
御時間Tに、時間T1を加算する。
【0205】他方、フラグQが0でないときは、前回の
サイクルと今回のサイクルとで、使用する制御データに
変化はないが、走行状況の変化によって、今回のサイク
ルにおいて、各制御装置の制御ゲインが変化した場合に
は、ただちに、その制御ゲインに変更すると、自動車5
0の挙動が、急激に変化して、ドライバーに違和感を与
えるおそれがある。
【0206】そこで、メイン・コンピュータユニット8
0は、各制御装置の制御ゲインが、前回のサイクルと今
回のサイクルとで、変化した否かを判定する。その結
果、YESのときは、自動車50の挙動が、急激に変化
して、ドライバーに違和感を与えることを防止するため
に、メイン・コンピュータユニット80は、制御ゲイン
が変化した制御装置のタイマーに記憶されている制御時
間Tに、時間T2を加算する。
【0207】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット80は、制御時間Tに、時間を加算
しない。しかる後に、メイン・コンピュータユニット8
0は、設定制御データA7にしたがって、各制御装置の
タイマーに記憶された制御時間T経過後に、制御ゲイン
が、徐々に、今回算出された値になるように、制御実行
信号を、各制御装置に出力する。
【0208】これに対して、フラグPが0でないとき
は、さらに、メイン・コンピュータユニット80は、フ
ラグPが1か否かを判定する。その結果、YESのとき
は、路面摩擦係数の低い道路を走行中と認められ、専ら
走行安定性を重視する必要のある走行状態にあり、RO
M81に記憶された設定制御データA6に基づき、制御
を実行すべき状態にあると判定される。
【0209】しかし、前回のサイクルにおいて、学習制
御データや標準制御データなどの異なった制御データに
したがって、制御が実行されている場合には、設定制御
データA6にしたがって、ただちに、各制御装置の特性
を支配する制御ゲインを変更すると、自動車50の挙動
が大きく変化するおそれがあるので、メイン・コンピュ
ータユニット80は、さらに、フラグQが0か否かを判
定する。
【0210】その結果、YESのときは、走行状況の変
化により、前回のサイクルと今回のサイクルとで、使用
される制御データが変更されていると認められるので、
自動車50の挙動が、急激に変化して、ドライバーに違
和感を与えることを防止するために、メイン・コンピュ
ータユニット80は、各制御装置のタイマーに記憶され
ている制御時間Tに、時間T1を加算する。
【0211】他方、フラグQが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、各制御装置の制御ゲイ
ンが、前回のサイクルと今回のサイクルとで、変化した
否かを判定する。その結果、YESのときは、自動車5
0の挙動が、急激に変化して、ドライバーに違和感を与
えることを防止するために、メイン・コンピュータユニ
ット80は、制御ゲインが変化した制御装置のタイマー
に記憶されている制御時間Tに、時間T2を加算する。
【0212】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット80は、制御時間Tに、時間を加算
しない。しかる後に、メイン・コンピュータユニット8
0は、設定制御データA6にしたがって、各制御装置の
タイマーに記憶された制御時間T経過後に、制御ゲイン
が、今回算出された値に、徐々になるように、制御実行
信号を、各制御装置に出力する。
【0213】これに対して、フラグPが1でないとき
は、さらに、メイン・コンピュータユニット80は、フ
ラグUが0か否かを判定する。その結果、YESのとき
は、ROM81に記憶された設定制御データA1ないし
A5のいずれかにしたがって、制御がなされるべき状況
であるが、メイン・コンピュータユニット80は、さら
に、フラグQが0か否か、すなわち、使用される制御デ
ータが変更されたか否かを判定する。
【0214】その結果、YESのときは、走行状況の変
化により、前回のサイクルと今回のサイクルとで、使用
される制御データが変更されていると認められるので、
自動車50の挙動が、急激に変化して、ドライバーに違
和感を与えることを防止するため、メイン・コンピュー
タユニット80は、各制御装置のタイマーに記憶されて
いる制御時間Tに、時間T1を加算する。
【0215】他方、フラグQが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、各制御装置の制御ゲイ
ンが、前回のサイクルと今回のサイクルとで、変化した
否かを判定する。その結果、YESのときは、自動車5
0の挙動が、急激に変化して、ドライバーに違和感を与
えることを防止するために、メイン・コンピュータユニ
ット80は、制御ゲインが変化した制御装置のタイマー
に記憶されている制御時間Tに、時間T2を加算する。
【0216】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット80は、制御時間Tに、時間を加算
しない。ここに、ROM81に記憶された設定制御デー
タA1ないしA5は、補正制御プログラムE1ないしE
7により、補正されないから、メイン・コンピュータユ
ニット80は、各制御装置のタイマーに記憶された制御
時間T経過後に、制御ゲインが、今回算出された値に、
徐々になるように、各制御装置に、制御実行信号を出力
する。
【0217】他方、フラグUが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、さらに、フラグUが1
か否かを判定する。その結果、YESのときは、標準制
御データB3に基づく制御を開始する。まず、メイン・
コンピュータユニット80は、さらに、フラグQが0か
否かを判定する。
【0218】その結果、YESのときは、走行状況の変
化により、前回のサイクルと今回のサイクルとで、使用
される制御データが変化したと認められるので、自動車
50の挙動が、急激に変化して、ドライバーに違和感を
与えることを防止するため、メイン・コンピュータユニ
ット80は、各制御装置のタイマーに記憶されている制
御時間Tに、時間T1を加算する。
【0219】他方、フラグQが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、補正制御プログラムE
1ないしE4に基づき、標準制御データB3にしたがっ
て、算出された各制御装置の制御ゲインを、表4に示す
ように、一律に補正して、各制御装置の制御ゲインを算
出する。すなわち、まず、時計71からの入力信号に基
づき、夜間と判定したときは、表4に示されるように、
該当する地域の標準制御データの各制御装置の制御デー
タYBを補正し、ナビゲーション信号や車速センサ73
からの入力信号に基づいて、渋滞状態にあると判定した
ときは、表4に示されるように、該当する地域の標準制
御データの各制御装置の制御データYBを補正し、図示
しないワイパー作動手段からの信号により、ワイパーが
作動しており、雨天あるいは雪の降っている天候状態で
あると判定したときは、表4に示されるように、該当す
る地域の標準制御データの各制御装置の制御データYB
を補正し、さらに、時計71および積算計72からの入
力信号に基づき、走行時間が長いと判定したときは、そ
の走行時間の長さに応じて、表4に示されるように、該
当する地域の標準制御データの各制御装置の制御データ
YBを補正し、こうして補正された各制御装置の制御デ
ータに基づいて、各制御装置の制御ゲインを算出する。
【0220】その後、メイン・コンピュータユニット8
0は、こうして得られた各制御装置の制御ゲインが、前
回のサイクルと今回のサイクルとで、変化した否かを判
定する。その結果、YESのときは、自動車50の挙動
が、急激に変化して、ドライバーに違和感を与えること
を防止するために、メイン・コンピュータユニット80
は、制御ゲインが変化した制御装置のタイマーに記憶さ
れている制御時間Tに、時間T2を加算する。
【0221】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット80は、制御時間Tに、時間を加算
しない。しかる後に、メイン・コンピュータユニット8
0は、各制御装置のタイマーに記憶された制御時間T経
過後に、制御ゲインが、今回算出された値に、徐々にな
るように、制御実行信号を、各制御装置に出力する。
【0222】これに対して、フラグUが1でないと判定
されたときは、メイン・コンピュータユニット80は、
さらに、フラグUが2または3か否かを判定する。その
結果、YESのときは、メイン・コンピュータユニット
80は、ナビゲーション信号に基づき、標準制御データ
B1ないしB5の中から該当する地域の標準制御データ
を読出し、標準制御データB1ないしB5のいずれかに
基づく制御を開始する。
【0223】まず、メイン・コンピュータユニット80
は、さらに、フラグQが0か否かを判定する。その結
果、YESのときは、走行状況の変化により、前回のサ
イクルと今回のサイクルとで、使用される制御データが
変化したと認められるので、自動車50の挙動が、急激
に変化して、ドライバーに違和感を与えることを防止す
るため、メイン・コンピュータユニット80は、各制御
装置のタイマーに記憶されている制御時間Tに、時間T
1を加算する。
【0224】他方、フラグQが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、補正制御プログラムE
1ないしE4に基づき、ナビゲーション信号に基づいて
選択された標準制御データB1ないしB5のいずれかに
したがって、算出された各制御装置の制御ゲインを、表
4に示すように、一律に補正して、各制御装置の制御ゲ
インを算出する。
【0225】その後、メイン・コンピュータユニット8
0は、こうして得られた各制御装置の制御ゲインが、前
回のサイクルと今回のサイクルとで、変化した否かを判
定する。その結果、YESのときは、自動車50の挙動
が、急激に変化して、ドライバーに違和感を与えること
を防止するために、メイン・コンピュータユニット80
は、制御ゲインが変化した制御装置のタイマーに記憶さ
れている制御時間Tに、時間T2を加算する。
【0226】これに対して、NOのときは、メイン・コ
ンピュータユニット80は、制御時間Tに、時間を加算
しない。しかる後に、メイン・コンピュータユニット8
0は、各制御装置のタイマーに記憶された制御時間T経
過後に、制御ゲインが、今回算出された値に、徐々にな
るように、制御実行信号を、各制御装置に出力する。
【0227】これに対して、フラグUが2または3でな
いと判定されたときは、メイン・コンピュータユニット
80は、さらに、フラグUが4か否かを判定する。その
結果、YESのときは、学習制御データに基づく制御を
開始する。まず、メイン・コンピュータユニット80
は、さらに、フラグQが0か否かを判定する。
【0228】その結果、YESのときは、走行状況の変
化により、前回のサイクルと今回のサイクルとで、使用
される制御データが変化したと認められるので、自動車
50の挙動が、急激に変化して、ドライバーに違和感を
与えることを防止するため、メイン・コンピュータユニ
ット80は、各制御装置のタイマーに記憶されている制
御時間Tに、時間T1を加算する。
【0229】他方、フラグQが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、補正制御プログラムE
1ないしE4に基づき、ナビゲーション信号に基づき、
学習制御データにしたがって、算出された各制御装置の
制御ゲインを、表4に示すように、一律に補正して、各
制御装置の制御ゲインを算出する。その後、メイン・コ
ンピュータユニット80は、こうして得られた各制御装
置の制御ゲインが、前回のサイクルと今回のサイクルと
で、変化した否かを判定する。
【0230】その結果、YESのときは、自動車50の
挙動が、急激に変化して、ドライバーに違和感を与える
ことを防止するために、メイン・コンピュータユニット
80は、制御ゲインが変化した制御装置のタイマーに記
憶されている制御時間Tに、時間T2を加算する。これ
に対して、NOのときは、メイン・コンピュータユニッ
ト80は、制御時間Tに、時間を加算しない。
【0231】しかる後に、メイン・コンピュータユニッ
ト80は、各制御装置のタイマーに記憶された制御時間
T経過後に、制御ゲインが、今回算出された値に、徐々
になるように、制御実行信号を、各制御装置に出力す
る。これに対して、フラグUが4でないと判定されたと
きは、走行している単位区間の学習制御データは、未
だ、生成されてはいないが、走行している単位区間から
の直線距離lが、所定距離lo 以内の近隣単位区間の学
習制御データは生成され、RAM82に記憶されている
ので、メイン・コンピュータユニット80は、この近隣
単位区間の学習制御データに基づく制御を開始する。
【0232】まず、メイン・コンピュータユニット80
は、さらに、フラグQが0か否かを判定する。その結
果、YESのときは、走行状況の変化により、前回のサ
イクルと今回のサイクルとで、使用される制御データが
変化したと認められるので、自動車50の挙動が、急激
に変化して、ドライバーに違和感を与えることを防止す
るため、メイン・コンピュータユニット80は、各制御
装置のタイマーに記憶されている制御時間Tに、時間T
1を加算する。
【0233】他方、フラグQが0でないときは、メイン
・コンピュータユニット80は、補正制御プログラムE
1ないしE4に基づき、ナビゲーション信号にしたがっ
て、近隣単位区間の学習制御データを、表4に示すよう
に、一律に補正して、各制御装置の制御ゲインを算出す
る。その後、メイン・コンピュータユニット80は、こ
うして得られた各制御装置の制御ゲインが、前回のサイ
クルと今回のサイクルとで、変化した否かを判定する。
【0234】その結果、YESのときは、自動車50の
挙動が、急激に変化して、ドライバーに違和感を与える
ことを防止するために、メイン・コンピュータユニット
80は、制御ゲインが変化した制御装置のタイマーに記
憶されている制御時間Tに、時間T2を加算する。これ
に対して、NOのときは、メイン・コンピュータユニッ
ト80は、制御時間Tに、時間を加算しない。
【0235】しかる後に、メイン・コンピュータユニッ
ト80は、各制御装置のタイマーに記憶された制御時間
T経過後に、制御ゲインが、今回算出された値に、徐々
になるように、制御実行信号を、各制御装置に出力す
る。以上、本実施例によれば、学習制御は、もっぱら、
運転シミュレーション装置1によってなされ、運転シミ
ュレーション装置1による運転シミュレーションの結
果、ドライバーの運転操作の特徴が学習されて、ICカ
ード16に記憶され、自動車50を運転するときに、I
Cカード16から読み取られて、各制御装置の制御ゲイ
ンが、そのドライバーの運転操作の特徴に合致するとと
もに、走行特性が向上するように、変更されるから、自
動車50を高価なものとすることなく、ドライバーに大
きな満足感を与えることが可能になる。
【0236】すなわち、ドライバーの自宅などの基点か
ら、所定距離Lo内の地域内、すなわち、走行する頻度
がきわめて高い特定地域内においては、運転シミュレー
ション装置1により、その特定地域内の各道路の単位区
間毎に、地形状態およびドライバーの運転操作が学習さ
れ、学習制御データが生成されて、ICカード16の学
習制御データ記憶部21に記憶され、ドライバーが、そ
の特定地域内で、自動車50を運転するときは、この学
習制御データにしたがって、各制御装置の制御ゲインが
変更されるから、道路状況およびドライバーの意思に合
致するように、自動車50を走行させることができ、ド
ライバーに大きな満足感を与えることが可能になる。
【0237】また、ドライバーの自宅などの基点から、
所定距離Lo外の特定地域外においては、運転シミュレ
ーション装置1により、都市部、市街地、市外地、山
道、高速道路などの地域毎に、その地域およびドライバ
ーの操作に合致するように、標準制御データB1ないし
B5が、学習され、生成されて、ICカード16の標準
制御データ記憶部20に記憶され、ドライバーが、特定
地域外で、自動車50を運転するときは、地域に応じ
て、標準制御データB1ないしB5が選択され、これに
したがって、各制御装置の制御ゲインが変更されるか
ら、地域およびドライバーの意思に合致するように、自
動車50を走行させることができ、ドライバーに大きな
満足感を与えることが可能になる。
【0238】さらに、学習制御は、運転シミュレーショ
ン装置1において実行されるため、自動車50の運転時
に、ドライバーの学習制御を実行する場合には、作り出
すことができない特別の状況を作り出して、その状況の
下でのドライバーの運転操作を学習することができ、ド
ライバーの心理状況変化や反射神経、運転技術などにし
たがって、補正制御プログラム、学習制御データ、学習
プログラムを補正する補正用データを生成して、これに
基づき、運転シミュレーション時における学習制御デー
タおよび標準制御データの学習を実施し、あるいは、自
動車50の運転時における各制御装置の制御ゲインの変
更量を制御しているので、ドライバー自身の特性により
合致した学習制御および自動車50の各制御装置の制御
ゲインの変更が可能となる。
【0239】また、自動車50が特定地域内を走行して
いるときには、補正制御プログラムE1ないしE4およ
びE6に基づき、ドライバーの運転操作にしたがって、
それまでに、運転シミュレーション装置1で、学習して
得られた学習制御データを補正して、各制御装置の制御
ゲインを変更し、また、自動車50が特定地域外を走行
している場合には、補正制御プログラムE1ないしE7
に基づき、ドライバーの運転操作にしたがって、それま
でに、運転シミュレーション装置1で、学習して得られ
た学習制御データを補正して、各制御装置の制御ゲイン
を変更しているから、さらに、ドライバーの運転操作特
性に合致した自動車50の走行を可能とすることができ
る。
【0240】さらに、横加速度GLが所定値GLoより
大きい走行状態や、路面摩擦係数μの小さい道路を走行
している場合のように、走行安定性が重視されるべき走
行状態においては、ICカード16に記憶されている学
習制御データ、標準制御データB1ないしB5に代え
て、横加速度GLが所定値GLoより大きい走行状態で
は、自動車50のROM81に記憶されている設定制御
データA6が、路面摩擦係数μの小さい道路を走行して
いる場合には、設定制御データA7が、強制的に使用さ
れるから、かかる走行状態において、走行安定性を向上
させることが可能になる。
【0241】また、ドライバーの運転操作の特徴、地形
を学習して得られた学習制御データあるいはドライバー
の運転操作の特徴を、地域毎に、学習して得られた標準
制御データにしたがって、制御を実行するときは、IC
カード16を所有するドライバーに、より大きな満足感
を与えることが可能になるが、このような学習制御デー
タあるいは標準制御データは、逆に、ICカード16を
所有するドライバーの運転操作の特徴、地形などを学習
して、得られたものであるため、走行安定性を重視すべ
き走行状況において、これらのプログラムにしたがっ
て、制御を実行する場合には、走行安定性を損なうおそ
れがあるが、本実施例においては、ドライバーが、IC
カード16の所有者ではなく、ICカード16が用いら
れず、これに記憶された制御データを読み取ることがで
きないときは、都市部、市街地、市外地、山道、高速道
路などの地域毎に、その地域に合致するように変更さ
れ、自動車50のROM81に記憶されている設定制御
データA1ないしA5にしたがって、自動車50の走行
特性が制御されるから、ICカード16の所有者以外の
ドライバーが、自動車50を運転する場合にも、従来に
比して、大きな満足感を与えることが可能になる。
【0242】図36は、本発明の他の実施例に係る対象
自動車50のメイン・コンピュータユニット80により
実行される制御ゲインの変更制御の基本ルーチンを示す
フローチャートである。本実施例においては、ICカー
ド16がイグニッションキーの役割をも備えており、I
Cカード16が、ICカード読み取り手段75によって
読み取られないかぎり、自動車50のエンジン51は始
動しないように構成されている。したがって、自動車5
0が運転される時には、ICカード16に記憶された学
習制御データ、標準制御データおよび補正用データが、
つねに使用可能であるから、自動車50のROM81に
は、設定制御データとして、A6およびA7のみが記憶
されている。
【0243】図36において、自動車50のエンジン5
1は、ICカード16がICカード読み取り手段75に
よって読み取られて、初めて始動し、メイン・コンピュ
ータユニット80は、ICカード16の運転位置変更用
データ記憶部19に記憶された運転位置データを読み取
り、この運転位置データに基づき、図示しないシート位
置制御手段に、シート位置制御信号を出力して、図示し
ないシートの位置、高さ、シートバックの角度などを調
整させる。
【0244】その後、自動車50に加わる横加速度GL
の絶対値が、所定値GLo 以上か否かが判定され、YE
Sのときは、フラグPが0にセットされ、NOのとき
は、さらに、路面摩擦係数の推定値μが所定値μo 以下
か否かが判定される。その結果、YESのときは、フラ
グPが1にセットされ、NOのときは、地域判定サブル
ーチンが実行される。
【0245】本実施例における地域判定サブルーチン
は、図28に示されるのと全く同様である。その後、図
37、図38および図39に示される制御データ選択サ
ブルーチンが実行されるが、本実施例においては、IC
カード16がICカード読み取り手段75により読み取
られないかぎり、エンジン51は始動しないので、フラ
グMが0にセットされることはなく、したがって、フラ
グUが0にセットされ、設定制御データA1ないしA5
のいずれかが使用されることはない点でのみ、前記実施
例の図29、図30および図31に示されるフローチャ
ートと異なっている。
【0246】制御データ選択サブルーチンが終了する
と、図40、図41、図42および図43に示される制
御実行サブルーチンが実行されるが、本実施例において
は、ICカード16がICカード読み取り手段75によ
り読み取られないかぎり、エンジン51は始動しないよ
うに構成されている結果、フラグUが0にセットされる
ことはなく、フラグUは、つねに、1、2、3、4ある
いは5である点でのみ、前記実施例の図32、図33、
図34および図35に示されたフローチャートと異なっ
ている。
【0247】本実施例によれば、ICカード16がIC
カード読み取り手段75によって読み取られて、初め
て、自動車50のエンジン51が始動するように構成さ
れているので、ICカード16を所持しないドライバー
は、自動車50を運転することができず、自動車50の
盗難の防止に役立つとともに、自動車50のROM81
は、補正制御プログラムE1ないしE7および設定制御
データA6ならびにA7のみを記憶していればよく、そ
の記憶容量を少なくすることが可能になる。
【0248】図44、図45、図46および図47は、
本発明の運転シミュレーション装置1における学習制御
の他の実施例を示すフローチャートである。図44、図
45、図46および図47に示された実施例において
は、運転シミュレーションによって得られた学習制御デ
ータおよび標準制御データが、ドライバーの運転操作上
のくせにより、生成されていると認められる場合に、ド
ライバーの運転操作に反して、各制御装置用の制御デー
タを、安定側に補正して、走行安定性の向上を図ってい
る。
【0249】すなわち、制御ゲインの更新回数qが、所
定回数noより大きい所定回数qoに達している場合に
は、学習制御データと補正制御データとの差の絶対値、
標準制御データと補正制御データとの差の絶対値は、前
回の更新時に比して、統計的に、小さくなるはずである
が、制御ゲインの更新回数qが、所定回数qo に達して
いるにもかかわらず、統計的に、学習制御データと補正
制御データとの差の絶対値が小さくなっていないとき、
統計的に、標準制御データと補正制御データとの差の絶
対値が小さくなっていないときは、ドライバーの運転操
作上のくせにしたがって、学習制御データ、標準制御デ
ータが生成されており、このような学習制御データ、標
準制御データにしたがって、各制御装置の制御ゲインを
変更すると、かえって、走行安定性を損なうおそれがあ
る。したがって、本実施例においては、学習制御データ
YCo と補正制御データYCとの差の絶対値が所定値d
1を越え、かつ、学習制御データYCo と補正制御デー
タYCとの差の絶対値が所定値d2未満の場合、学習制
御データYBo と補正制御データYBの差の絶対値が所
定値d3を越え、かつ、学習制御データYBo と補正デ
ータYBの差の絶対値が所定値d4未満の場合、すなわ
ち、本来、学習を実行すべき場合に、制御データの更新
回数pが所定回数poに達したときは、前回の更新時に
比して、統計的に、学習制御データと補正制御データと
の差の絶対値が小さくなっているか否か、統計的に、標
準制御データと補正制御データとの差の絶対値が小さく
なっているか否かを判定し、小さくなっていないとき
は、学習制御データ、標準制御データが、ドライバーの
運転操作上のくせに基づき、生成されていると判定し
て、学習制御データ、標準制御データを、安定側に補正
するようにしている。
【0250】図44、図45、図46および図47にお
いて、前記図10、図11、図12および図13に示さ
れた実施例とまったく同様に、メイン・コンピュータユ
ニット40は、制御データの学習が必要か否かを判定す
る。すなわち、運転シミュレーションが、特定地域内で
実行されているときは、メイン・コンピュータユニット
40は、学習制御データが、ICカード16から読み取
られ、RAM42に記憶されているか否かを判定し、R
AM42に記憶されていると判定したときは、各制御装
置用の学習制御データYCo、学習プログラムC1なら
びにC3、D1ないしD7および仮想走行データYを読
み取り、学習プログラムC1ならびにC3およびD1な
いしD7にしたがって、学習制御データYCoを補正し
て、補正制御データYCを算出する。
【0251】次いで、メイン・コンピュータユニット4
0は、学習制御データYCo と補正制御データYCとの
差の絶対値が所定値d1以下か否かを判定し、NOのと
き、すなわち、学習制御データYCo と補正制御データ
YCとの差の絶対値が所定値d1を越えているときは、
さらに、学習制御データYCo と補正制御データYCと
の差の絶対値が所定値d2以上かを判定する。
【0252】その結果、NOのときは、メイン・コンピ
ュータユニット40は、図14および図15に示された
心理補正サブルーチンを実行して、補正パラメータzを
算出する。さらに、フラグJが0か否かを判定し、NO
のときは、更新回数nが所定回数no以上か否かを判定
して、NOのときは、メイン・コンピュータユニット4
0は、次式にしたがって、走行制御データYCによる学
習を実行する。
【0253】 YCo=(r1×z×YCo+YC)/(r1×z+1) しかる後、更新回数nを、n=n+1として、RAM4
2に記憶して、学習サブルーチンを終了する。これに対
して、更新回数nが所定回数no以上のときは、メイン
・コンピュータユニット40は、さらに、ICカード1
6の更新回数記憶部25に、更新回数nとは別に記憶さ
れている更新回数qが、所定回数qoに等しいか否かを
判定する。ここに、qo>noである。
【0254】その結果、NOのときは、メイン・コンピ
ュータユニット40は、次式にしたがって、走行制御デ
ータYCによる学習を実行する。 YCo=(r2×z×YCo+YC)/(r2×z+1) しかる後、更新回数nを、n=n+1として、RAM4
2に記憶して、学習サブルーチンを終了する。
【0255】これに対して、更新回数qが、所定回数q
oに等しいと判定したときは、メイン・コンピュータユ
ニット40は、更新回数qを、q=−1として、さら
に、学習制御データYCo がドライバーのくせに基づい
て生成されていると認められるか否か、すなわち、学習
制御データYCo と補正制御データYCとの差の絶対値
が、前回の更新時に比して、統計的に、小さくなってい
ると認められるか否かを判定する。
【0256】その結果、YESのときは、メイン・コン
ピュータユニット40は、次式にしたがって、走行制御
データYCによる学習を実行する。 YCo=(r2×z×YCo+YC)/(r2×z+1) しかる後、メイン・コンピュータユニット40は、更新
回数nを、n=n+1とするとともに、q=q+1とし
て、RAM42に記憶して、学習サブルーチンを終了す
る。
【0257】他方、学習制御データYCo と補正制御デ
ータYCとの差の絶対値が、前回の更新時に比して、統
計的に、小さくなっていないと判定したときは、学習制
御データYCoが、ドライバーの運転操作上のくせに基
づいて生成されていたと認められるから、かかる学習制
御データYCoにしたがって、各制御装置の制御ゲイン
を変更することは、かえって、走行安定性を損なうおそ
れがあるから、メイン・コンピュータユニット40は、
ドライバーの運転操作に反して、学習制御データYCo
を、次式にしたがって、安定側に補正する。
【0258】 YCo=(r3×z×YCo−YC)/(r3×z−1) ここに、r3は所定の係数であり、たとえば、100あ
るいは200などに設定される。しかる後、メイン・コ
ンピュータユニット40は、更新回数nを、n=n+1
とするとともに、q=q+1として、RAM42に記憶
して、学習サブルーチンを終了する。
【0259】これに対して、特定地域外において、運転
シミュレーションが実行されていると判定したときは、
メイン・コンピュータユニット40は、図10ないし図
13に示されているのと同様に、各制御装置用の学習制
御データYCo、学習プログラムD1ならびにD3ない
しD6および仮想走行データYを読み取り、学習プログ
ラムD1ならびにD3ないしD7にしたがって、標準制
御データYBoを補正して、補正制御データYBを算出
する。
【0260】次いで、メイン・コンピュータユニット4
0は、標準制御データYBo と補正制御データYBとの
差の絶対値が所定値d3以下か否かを判定し、NOのと
き、すなわち、標準制御データYBo と補正制御データ
YBとの差の絶対値が所定値d3を越えているときは、
さらに、標準制御データYBo と補正制御データYBと
の差の絶対値が所定値d4以上かを判定する。
【0261】その結果、NOのときは、メイン・コンピ
ュータユニット40は、図14および図15に示された
心理補正サブルーチンを実行して、補正パラメータzを
算出する。さらに、フラグJが0か否かを判定し、NO
のときは、更新回数nが所定回数no以上か否かを判定
して、NOのときは、メイン・コンピュータユニット4
0は、次式にしたがって、走行制御データYBによる学
習を実行する。
【0262】 YBo=(m1×z×YBo+YB)/(m1×z+1) しかる後、更新回数nを、n=n+1として、RAM4
2に記憶して、学習サブルーチンを終了する。これに対
して、更新回数nが所定回数no以上のときは、メイン
・コンピュータユニット40は、さらに、更新回数qが
所定回数qoに等しいか否かを判定する。ここに、qo
>noである。
【0263】その結果、NOのときは、メイン・コンピ
ュータユニット40は、次式にしたがって、走行制御デ
ータYBによる学習を実行する。 YBo=(m2×z×YBo+YB)/(m2×z+1) しかる後、更新回数nを、n=n+1として、RAM4
2に記憶して、学習サブルーチンを終了する。
【0264】これに対して、更新回数qが、所定回数q
oに等しいと判定したときは、メイン・コンピュータユ
ニット40は、更新回数qを、q=−1として、さら
に、標準制御データYBo がドライバーのくせに基づい
て生成されていると認められるか否か、すなわち、標準
制御データYBo と補正制御データYBとの差の絶対値
が、前回の更新時に比して、統計的に、小さくなってい
ると認められるか否かを判定する。
【0265】その結果、YESのときは、メイン・コン
ピュータユニット40は、次式にしたがって、走行制御
データYBによる学習を実行する。 YBo=(m2×z×YBo+YB)/(m2×z+1) しかる後、メイン・コンピュータユニット40は、更新
回数nを、n=n+1とするとともに、q=q+1とし
て、RAM42に記憶して、学習サブルーチンを終了す
る。他方、標準制御データYBo と補正制御データYB
との差の絶対値が、前回の更新時に比して、統計的に、
小さくなっていないと判定したときは、標準制御データ
YBoが、ドライバーの運転操作上のくせに基づいて生
成されていたと認められるから、かかる標準制御データ
YBoにしたがって、各制御装置の制御ゲインを変更す
ることは、かえって、走行安定性を損なうおそれがある
から、メイン・コンピュータユニット40は、ドライバ
ーの運転操作に反して、標準制御データYBoを、次式
にしたがって、安定側に補正する。
【0266】 YBo=(m3×z×YBo−YB)/(m3×z−1) ここに、m3は所定の係数であり、たとえば、100あ
るいは200などに設定される。しかる後、メイン・コ
ンピュータユニット40は、更新回数nを、n=n+1
とするとともに、q=q+1として、RAM42に記憶
して、学習サブルーチンを終了する。
【0267】以上、本実施例によれば、学習制御データ
YCo、標準制御データYBoが、ドライバーの運転操
作上のくせによって生成されていると認められるとき
は、メイン・コンピュータユニット40は、補正制御デ
ータYC、YBによる学習を実行することなく、逆に、
学習制御データYCo、標準制御データYBoを、それ
ぞれ、安定側に補正しているから、ドライバーの運転操
作上のくせによって得られた学習制御データYCo、標
準制御データYBoにより、各制御装置の制御ゲインが
変更されて、走行安定性が、かえって、損なわれること
を防止することが可能になる。
【0268】本発明は、以上の実施例に限定されること
なく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種
々の変更が可能であり、それらも、本発明の範囲内に包
含されるものであることは言うまでもない。たとえば、
前記実施例においては、運転シミュレーション装置1の
ROM41には、特定のメーカーのすべての車種毎に1
つづつの設定制御データA1ないしA5が記憶されてい
るが、そのディーラーが取り扱う車種毎に1つづつの設
定制御データA1ないしA5を記憶させるようにしても
よい。
【0269】また、前記実施例においては、ICカード
16に記憶された各種データを書換えるために、ICカ
ード16に記憶された各種データを消去可能な消去スィ
ッチ35を設けているが、ICカード16に記憶された
各種データを書換える必要が生じたときは、別のICカ
ード16を改めて使用するようにすれば、消去スィッチ
35を設けることは必要なく、その場合には、設定制御
データA1ないしA5を、運転シミュレーション装置1
のROM81に記憶させずに、自動車50のROM81
にのみ記憶させるようにして、運転シミュレーションを
初めて実行する際に、自動車50のROM81に記憶さ
れた設定制御データA1ないしA5を、標準制御データ
B1ないしB5として、ICカード16の標準制御デー
タ記憶部20に記憶させるようにしても、また、ICカ
ード16の標準制御データ記憶部20に、あらかじめ、
その車種に適合した標準制御データB1ないしB5を記
憶させておくようにしてもよい。
【0270】さらに、前記実施例においては、設定制御
データとして、都市部、市街地、市外地、山道、高速道
路の5つの地域についての地域別設定制御データA1な
いしA5を、標準制御データとして、都市部、市街地、
市外地、山道、高速道路の5つの地域についての地域別
標準制御データB1ないしB5を、それぞれ、用いてい
るが、都市部、市街地、市外地、山道、高速道路という
地域区分は、一つの例にすぎず、さらに、地域をより細
分化した設定制御データおよび標準制御データを用いて
もよいし、逆に、都市部、市外地、高速道路のように、
地域の数を減少させて、ROM41、ROM81および
ICカード16の記憶容量の小型化を図ることも可能で
ある。
【0271】また、学習プログラムおよび補正制御プロ
グラムは、前記実施例に示された学習プログラムD1な
いしD7および補正制御プログラムE1ないしE7に限
定されるものではなく、他の学習プログラムおよび/ま
たは補正制御プログラムを追加しても、あるいは、学習
プログラムD1ないしD7および補正制御プログラムE
1ないしE7の一部を省略してもよい。たとえば、地形
に関する学習プログラムとして、特定地域内の各道路の
路面摩擦係数を学習するプログラム、補正制御プログラ
ムとして、走行距離により、標準制御データを補正する
プログラム、ドライバーの運転操作に関する補正制御プ
ログラムとして、車速V、ヨーレイト変化、ヨーレイト
の変動、クラッチペダル32の操作速度、シフトレバー
33の操作速度などにより、標準制御データを補正する
補正制御プログラムなどを追加してもよいし、学習プロ
グラムとして、ドライバーの運転操作に関する学習プロ
グラムのみを用いるようにしてもよい。
【0272】さらに、前記実施例においては、走行すべ
き単位区間のデータが、まだ、学習されていない場合
に、近隣単位区間におけるその時間帯の制御データが、
ICカード16から読み取られて、RAM82に記憶さ
れているときは、近隣単位区間の制御データに基づい
て、制御を実行しているが、走行すべき単位区間のデー
タが、まだ、学習されていない場合には、つねに、標準
制御データB1ないしB5にしたがって、制御を実行す
るようにしてもよい。
【0273】また、前記実施例においては、運転シミュ
レーションにおける制御データの更新回数nが、所定回
数no 以上になったときは、学習制御データYCo、標
準制御データYBoが、ドライバーの運転操作特性に十
分に合致した特性を備えていると判断して、係数j1を
j2に、m1をm2に、r1をr2に、それぞれ一律
に、1回のみ、大きくし補正し、補正値が小さくなるよ
うに制御しているが、更新回数nが、noより大きいn
oo回に達したときは、これらをさらに大きく補正するな
ど、制御データの更新回数nにしたがって、段階的に、
複数回にわたり、これらの係数を補正してもよく、さら
には、制御データの更新回数nが多くなるにしたがっ
て、これらの係数を少しづつ、大きくなるように補正し
てもよい。
【0274】さらに、前記実施例においては、特定地域
内において、運転シミュレーションを実行する場合に、
学習制御データの更新回数nが、所定回数no 以上にな
ったときは、学習制御データYCoが、信頼性の高いも
のになっていると判断して、係数r1を、より大きな係
数r2に補正しているが、運転シミュレーションによ
り、特定地域内のある道路のある単位区間を仮想走行し
ている際に、制御データの更新回数nが、所定回数no
以上になったということは、その単位区間において、運
転シミュレーションを実行する頻度が高く、その単位区
間に対して、よりきめ細かな学習制御をおこなうことが
望ましいと判断し得るから、係数r1を、より大きな係
数r2に補正するとともに、あるいは、その代わりに、
仮想走行データYを読み取る単位区間、すなわち、単位
距離を小さく補正するようにして、走行頻度の高い特定
地域内の単位区間において、よりきめ細かな学習を実行
するようにしてもよく、この場合にも、更新回数nが、
no より大きいnoo回に達したときに、再び、仮想走行
データYを読み取る単位区間、すなわち、単位距離を小
さく補正するなど、単位距離を、学習制御データの更新
回数nにしたがって、段階的に、複数回にわたり、補正
するようにしても、さらには、学習制御データの更新回
数nが多くなるにしたがって、走行データDを読み取る
単位距離を少しづつ、小さくなるように補正してもよ
い。また、仮想走行データYを読み取る単位距離を小さ
く補正するとともに、あるいは、これに代えて、読み取
る単位時間帯の一部または全部を、たとえば、9時ない
し12時であったものを、9時ないし10時、10時な
いし11時、11時ないし12時とするように、小さく
してもよい。
【0275】また、前記実施例においては、運転シミュ
レーションが開始されると、ただちに、ドライバーの運
転操作を学習しているが、運転シミュレーションに慣れ
ていないときは、ドライバーが、本来の運転操作とは異
なる運転操作をおこなうおそれがあるから、第1回目あ
るいは数回目の運転シミュレーションにおける最初ある
いはいくつかの単位区間を仮想走行しているときのドラ
イバーの運転操作、あるいは、運転シミュレーションの
開始から所定時間内におけるドライバーの運転操作は記
憶しないようにしてもよい。
【0276】さらに、前記実施例においては、心理補正
サブルーチンで、ドライバーの心拍数αおよび脈拍数β
を検出して、ドライバーの心理状態を検出しているが、
心拍数αおよび脈拍数βに代えて、あるいは、これらの
一方に代えて、ドライバーの心理状態を推定し得るその
他のパラメータ、たとえば、血圧、発汗状態などによ
り、ドライバーの心理状態を検出するようにしてもよ
い。
【0277】また、前記実施例においては、心理補正サ
ブルーチンにおけるドライバーの心理状態に動揺が認め
られるか否かの判定に際して、学習制御データを補正す
る場合も、標準制御データを補正する場合も、ともに、
同じ所定値Δα1、Δα2、Δβ1およびΔβ2を用い
ているが、学習制御データを補正する場合と、標準制御
データを補正する場合とで、これらの所定値を異なる値
に設定するようにしてもよい。
【0278】さらに、前記実施例においては、天候補正
用データを生成するときには、ドライバーの心拍数α
を、また、渋滞補正用データを生成するときには、ドラ
イバーの血圧γを、それぞれ、検出して、これらに基づ
き、補正用データを生成しているが、ドライバーの心拍
数α以外の1または2以上の医学データにしたがって、
天候補正用データを生成しても、また、ドライバーの血
圧γ以外の1または2以上の医学データにしたがって、
渋滞補正用データを生成するようにしてもよい。
【0279】また、前記実施例においては、雨天の場合
と降雪時の場合とで、同一の天候補正用データを生成し
ているが、雨天補正用データと、降雪時補正用データ
を、別個に生成するようにしてもよい。さらに、前記実
施例においては、天候補正用データ及び渋滞補正用デー
タは、それぞれ、所定時間の間、雨天あるいは降雪状態
を示す画像および渋滞状態を示す画像を、仮想走行地域
を示す画像に重ね合わせて、スクリーン4に表示し、生
成しているが、ある時点から、運転シミュレーションが
終了するまで、このような画像を表示させて、天候補正
用データおよび渋滞補正用データを生成するようにして
もよい。
【0280】また、前記実施例においては、障害物補正
用データおよびアイポイント補正用データは、1回の運
転シミュレーションで、それぞれ、1回、障害物および
横道などの画像をスクリーン4に表示させて、生成して
いるが、1回の運転シミュレーションで、数回、このよ
うな画像をスクリーン4に表示させて、生成するように
してもよく、その場合には、それまでの偏差dv(i)
およびDV(i)の和Σdv(i)およびΣDV(i)
を、サブルーチンの実行回数Nとともに、運転シミュレ
ーション装置1のRAM42に記憶しておき、運転シミ
ュレーションの終了に先立って、ICカード16の補正
用データ記憶部24および更新回数記憶部25に記憶さ
せる。
【0281】さらに、前記実施例においては、運転シミ
ュレーション装置1のまわりを覆う周壁全体をスクリー
ン4として、仮想走行場所に相当する画像を表示させて
いるが、運転シミュレーション装置1のウインドおよび
サイドミラーの部分を、スクリーンにより形成し、仮想
走行場所に相当する画像を表示させるようにしてもよ
い。
【0282】また、前記実施例においては、学習プログ
ラムC1ないしC3は、ICカード16の第1学習プロ
グラム記憶部22に記憶され、学習プログラムD1ない
しD7は、ICカード16の第2学習プログラム記憶部
23に記憶されているが、学習プログラムC1ないしC
3および学習プログラムD1ないしD7を、運転シミュ
レーション装置1のRAM42に記憶させるようにして
もよい。
【0283】さらに、前記実施例においては、CD−R
OMが、特定地域内の各道路の地形状態を記憶してお
り、CD−ROM読み取り機12によって、これを読み
取り、運転シミュレーションを実施する際に、車体制御
機構13によって、車体2に、各道路の地形状態に対応
する外力が加わるように制御しているが、CD−ROM
以外のデータソースから、特定地域内の各道路の地形状
態を読み取ってもよく、たとえば、特定地域内の各道路
の画像を記憶しているデータソースが、特定地域内の各
道路の地形状態も記憶しているときは、画像信号ととも
に、画像信号受信機36により、地形状態を示す信号を
受信して、読み取り、これにしたがって、車体制御信号
を、車体制御機構13に出力するようにしてもよい。
【0284】また、図44、図45、図46および図4
7に示される学習制御の実施例においては、制御データ
YBo 、YCo の更新回数qが、所定回数qo に達した
か否かを判定して、所定回数qo に達したと判定したと
きに、ドライバーの運転操作状況が、学習制御によっ
て、統計的に、制御データYBo 、YCo と補正制御デ
ータYB、YCの差の絶対値が小さくなっているか否か
を判定して、その仮想走行データYが、ドライバーのく
せによって得られたものか否かを判定し、くせによって
得られたものと判定したときは、ドライバーの運転操作
に反して、制御データYBo 、YCo を、安定側に、補
正しているが、学習制御により通常なされるべき補正よ
り、補正量が小さくなるように、制御データYBo 、Y
Co が補正されればよく、例えば、その代わりに、制御
データYBo 、YCo を、あらかじめ定めた所定の制御
データになるように補正しても、さらには、学習制御に
よる補正を中止するようにしてもよく、また、ドライバ
ーの運転操作にしたがって、学習制御による補正をおこ
なっても、補正量が小さくなるように補正されればよ
く、本明細書において、補正量を小さくするとは、これ
らすべての場合を包含する。
【0285】さらに、図44、図45、図46および図
47に示される学習制御の実施例においては、制御デー
タYBo 、YCo の更新回数qが、所定回数qo に達す
るのを待って、学習制御によって、統計的に、制御デー
タYCo と補正データYCの差の絶対値が小さくなって
いない場合には、その仮想走行データYは、ドライバー
のくせによって得られたものと判定して、ドライバーの
運転操作に反して、制御データYBo 、YCo を、安定
側に補正しているが、これに代えて、以下のように、ド
ライバーの運転操作上のくせを判定して、制御データY
Bo 、YCo を補正をおこなってもよい。すなわち、制
御データYBo 、YCo を補正すべき状態になったとき
に、制御データYBo 、YCo の更新回数qが所定回数
qo より小さく、所定回数noより大きい所定回数q1
に達したときには、次式にしたがって、制御データYB
o 、YCo をより大きく補正する(ここに、m4<m
2、r4<r2である。)。
【0286】 YBo =(m4×YBo +YB)/(m4+1) YCo =(r4×YCo +YC)/(r4+1) 次の学習サイクルにおいて標準制御データYBo と仮想
走行データYとの差の絶対値が、所定値d3より大きい
所定値d5を越え、かつ、所定値d4未満か否かを判定
する。
【0287】その結果、YESのときは、前回、標準制
御データYBo が大きく補正されたにもかかわらず、依
然として、ドライバーの運転操作状況に変化が認められ
ず、仮想走行データYと標準制御データYBo との差の
絶対値が大きく、得られた仮想走行データYは、ドライ
バーのくせによって得られたものと判定し得るので、ド
ライバーの運転操作に対する標準制御データYBo の補
正量を小さくすることが、走行安定性を向上させる上で
望ましいから、次式にしたがって、制御データYBo の
補正をおこなう。ここに、m5>m2である。
【0288】 YBo =(m5×YBo +YB)/(m5+1) また、学習制御データYCo と仮想走行データYの差の
絶対値が、所定値d1より大きい所定値d6を越え、か
つ、所定値d2未満のときも、同様に、得られた仮想走
行データYは、ドライバーのくせによって得られたもの
と判定し得るので、ドライバーの運転操作に対する学習
制御データYCo の補正量を小さくすることが、走行安
定性を向上させる上で望ましいから、次式にしたがっ
て、制御データYCo の補正をおこなう。ここに、r5
>r2である。
【0289】 YCo =(r5×YCo +YC)/(r5+1) これに対して、次の学習サイクルにおける標準制御デー
タYBo と仮想走行データYの差の絶対値が、所定値d
3を越えてはいるが、所定値d5未満であるとき、ある
いは、所定値d3以下のときは、前回、標準制御データ
YBo が大きく補正された結果、標準制御データYBo
が、ドライバーの運転操作の特徴に合致しつつあり、前
回におけるドライバーの運転操作が、くせに基づくもの
ではないと判定し得るから、通常の学習制御を実行すれ
ばよく、したがって、次式にしたがって、通常のよう
に、標準制御データYBo の補正をおこなう。
【0290】 YBo =(m2×YBo +YB)/(m2+1) また、学習制御データYCo と仮想走行データYの差の
絶対値が、所定値d5を越えているが、所定値d8未満
のときも、同様に、次式にしたがって、通常のように、
学習制御データYCo の補正をおこなう。 YCo =(r2×YCo +YC)/(r2+1) このようにしてドライバーのくせを判定する場合には、
より早く、ドライバーの運転操作がくせによるものか否
かを判定することができ、ドライバーのくせによって、
好ましくない制御データが生成されることを防止するこ
とができるという利点がある。なお、次の学習サイクル
で、ドライバーの操作が、くせと判定されたときに、徐
々に、補正量を小さくするようにしてもよい。
【0291】さらに、図1ないし図43に示された実施
例においては、更新回数nが所定回数no に達したとき
に、学習による補正量が小さくなるように、係数の補正
のみをおこなっており、他方、図44、図45、図46
および図47に示された実施例においては、更新回数n
が、所定回数no になったときに、学習による補正量が
小さくなるように、係数の補正をおこなうとともに、更
新回数qが、所定回数noより大きい所定回数qo にな
ったときに、くせか否かを判定し、くせと判定したとき
は、安定側に補正をおこなっているが、qo =no に設
定し、更新回数nが、所定回数no に達したとき、ま
ず、くせの判定をおこない、くせではないと判定したと
きは、学習制御により、制御データが、ドライバーの運
転特性に十分に合致した特性を備えていると判断して、
補正量が小さくなるように補正し、他方、くせであると
判定したときは、補正量がより小さくなるように補正す
るようにしてもよい。
【0292】また、前記実施例においては、図18およ
び図19に示されるように、それぞれ、単一の曲線にし
たがって、たとえば、ACSの補正データx1、x2を
算出しているが、ROM41が、図48および図49に
示されるように、各地域に対応したマップを格納してお
り、メイン・コンピュータユニット40が、位置算出用
コンピュータユニット83から入力されたナビゲーショ
ン信号に基づき、該当する地域の曲線を選択して、たと
えば、ACSの補正データx1、x2を算出するように
してもよく、補正プログラムE5ないしE7についても
同様である。
【0293】(第2実施例)図50は、ドライバーに実
際に学習用運転を実行させて対象自動車の特性を形成す
る為の学習特性情報を生成する為の学習特性情報形成用
自動車100の構成図であり、この学習特性情報形成用
自動車100は、自動車の販売を行うディーラーが保有
するものであり、学習特性情報生成に適した専用の仕様
にて設計・製作されるものである。
【0294】図50に示すように、学習特性情報形成用
自動車100は、ドライバーによる実際の運転が可能に
構成され、実施例同様の構成のICカード16に記憶さ
れたプログラムを読み取り、これに基いて地形状況とド
ライバーの運転操作を学習して、学習特性情報を生成し
てICカードに記憶させ、また、ICカードに記憶され
た学習特性情報を書き換え、ICカードに記憶されてい
る設定特性情報を書換えるように構成されている。
【0295】特性情報形成用自動車100は、実際の道
路を走行して特性情報を形成するものであるから前例と
シミュレーション装置と異なり、仮想走行状態を作りだ
すためのスクリーン4、シミュレーションを実行するた
めの走行地域を入力する手段、振動、車体姿勢、車体に
生じるすなわちドライバーの体感加速度などを実際の走
行環境に近い状態を作りだすための車体制御機構は装備
していない。しかし、シミュレーション装置と異なり学
習制御を行うための装備以外に走行する為の装備すなわ
ち通常の自動車と同様のエンジン、トランスミッション
等は対象自動車と同様な仕様のものを装備する。
【0296】特性情報形成用自動車100の構成は実施
例1の対象自動車の構成と基本的に同じである。すなわ
ち、実際に走行するための走行装置を搭載するとともに
この装置を制御するための各種の制御装置を備えてい
る。また、特性情報変更用自動車100のの操作系、検
出系、制御系は以下のように構成されている(図51参
照)。
【0297】学習特性情報生成用自動車100の操作系
は、ステアリングホィール103、アクセルぺダル13
0、ブレーキぺダル131、クラッチぺダル132、シ
フトレバー133、ドライバーによって操作され、各部
制御装置のゲインを変更するために操作されるマニュア
ルスイッチ111、ICカード16に記憶されたデータ
を消去するための消去スイッチ135、学習運転の開始
と終了を指示する為の開始・終了スイッチ185、等を
備える。
【0298】学習特性情報形成用自動車100の検出系
は、通常の自動車と同様に、少なくとも、ハンドル舵角
を検出する舵角センサ104、エンジン回転数センサ
と、車速センサと、上下加速度センサと、横加速度セン
サと、4つの車輪の車輪速を検出する車輪速センサと、
4つのブレーキシリンダのブレーキ油圧を検出するブレ
ーキ圧センサと、前輪172に対する後輪177の転舵
比を検出する転舵比センサ等を含むセンサ類36を備え
る。
【0299】更に、この学習特性情報形成用自動車10
0の検出系には、ドライバー医学データ検出手段10
8、ICカード16に記憶された種々のデータとプログ
ラムを読み取り可能なICカード読み取り装置109、
既述の位置検出センサ146と位置検出用コンピュータ
ユニット147とディスプレイ148、等が設けられて
いる。尚、位置検出用コンピュータユニット147に
は、地図情報も格納されている。
【0300】更に、検出系として、学習用運転により、
特性情報を変更する必要が生じたときに、それらを、所
定のタイミングで変更するためのタイマー138と、後
述の補正用データを生成する際に使用されるタイマー1
39、時計134も設けられている。尚、タイマー13
8は、各部制御装置の各々に対応して1つずつ設けられ
ているが、図51には、タイマー138は1つだけ図示
してある。
【0301】前記学習特性情報形成用自動車100の制
御系としては、エンジン制御装置110、パワーステア
リング制御装置112、アクティブサスペンション制御
装置113、アンチロック・ブレーキング制御装置12
8、トラクションコントロール装置129、4輪操舵制
御装置117、ギヤ比制御装置137、及びこれらの制
御装置とその他の装置を制御するメイン・コンピュータ
ユニット140が設けられている。
【0302】この制御系において、学習特性情報生成機
能を発揮させるための装備は、実施例1におけるシミュ
レーション装置に装備されたものと同様であり、走行に
必要な装備は実施例1の対象自動車のものと同様であ
る。また、対象自動車の構成は、実施例1のもの及び特
性情報形成用自動車100と同一であるのでその説明は
省略する。
【0303】また、学習して生成される自動車の特性情
報の内容及びICカード16を介して対象自動車に入力
される情報及び情報の転送の手順は実施例1と同様であ
る。学習プログラム、補正制御プログラム等の内容も実
施例1と同じである。本例においても前例と同様に、特
性情報変更用自動車を共通の対象自動車に対して活用し
て学習ドライビングを行うことによって、特性情報を形
成することができるので、対象自動車自動車に大型の学
習情報用RAMを搭載する必要が無くなる。
【0304】(第3実施例)本実施例によれば、オーナ
ードライバーが自動車を購入したとき、そのドライバー
に、後述の特性情報形成手段240と、その取扱い説明
書261と、データ入力項目リスト262と、特性情報
形成手段240からデータを書き込むICカード260
とを提供する。
【0305】ドライバーは、新車が到着するまでの期間
に、取扱い説明書261を読んでから、運転に関連する
特性(性別、年令、車歴、等々)と、希望する自動車の
性能(運転性、乗り心地、燃費)と、自動車を使用する
使用状態(使用環境、使用条件)等について、データ入
力項目リスト262に従って、自動車の制御装置の特性
の形成に用いる複数の入力項目のデータを特性情報形成
手段240に入力し、ICカード260に記憶させる。
【0306】次に、自動車の到着後、前記データを書き
込んだICカード260を自動車に設けられたICカー
ドコネクタ224に装着した状態において、ICカード
260から読み込んだデータを自動車のメイン制御ユニ
ット221に入力し、メイン制御ユニット221の所定
の特性変更処理プログラムでデータ処理して、自動車の
制御装置に含まれるエンジン制御装置とパワーステアリ
ング制御装置とアクティブサスペンション制御装置と4
輪操舵制御装置における夫々の予め設定された特性を変
更する4つの(最終)制御ゲイン補正係数を求め、この
4つの制御ゲイン補正係数に相当する制御ゲイン変更信
号を、前記エンジン制御装置とパワーステアリング制御
装置とアクティブサスペンション制御装置と4輪操舵制
御装置に夫々供給してそれらのゲインを変更する。
【0307】これにより、自動車の駆動・操縦・操舵・
懸架特性を、ドライバー固有の特性データに応じて調節
して、自動車のイージーオーダー化を図ることができ
る。次に、自動車の全体構成、制御系、特性情報変更手
段とその制御系、特性変更制御の詳細について、順々に
説明する。但し、以下の説明は、特性変更装置の説明と
特性変更方法の説明の両方を含むものである。
【0308】図52に示すように、対象自動車201に
は、少なくとも、エンジン202、自動変速機203、
前輪204f及び後輪204r、操舵ハンドル205、
アクティブサスペンション装置206、後輪操舵装置2
07、パワーステアリング装置208、前後輪のブレー
キ装置209、空調装置219等が設けられている。更
に、対象自動車201には、その自動車用制御装置に含
まれる各部制御装置として、少なくとも、エンジン20
2の吸気量、点火時期、燃料噴射量などを予め設定され
た特性(ベース特性)にて夫々制御するエンジン制御装
置210(EGI)と、前輪203と後輪204のアク
ティブサスペンション装置206を予め設定された特性
(ベース特性)にて制御するアクティブサスペンション
制御装置211(ACS)と、後輪4を操舵する後輪操
舵装置207を予め設定された特性(ベース特性)にて
制御する4輪操舵制御装置212(4WS)と、操舵ハ
ンドル5をアシストするパワーステアリング装置208
を予め設定された特性(ベース特性)にて制御するパワ
ーステアリング制御装置213(P/S)と、図53に
示すその他の制御部(214〜218)とが設けられて
いる。尚、これらの各部制御装置210〜213により
実行される夫々の制御は、一般的なものなので説明を省
略する。
【0309】次に、特性変更装置の制御系について図5
3、図54に基いて説明する。特性変更装置220は、
ドライバーに提供される特性情報形成装置240と、特
性情報形成装置240により入力又は作成された特性変
更の為のデータを記憶させる為のICカード260と、
対象自動車201のインストルメントパネルに組み込ま
れたICカードコネクタ224であってICカード26
0を着脱自在に且つデータ授受可能に接続できるICカ
ードコネクタ224と、自動車1に組み込まれたメイン
制御ユニット221と、ROM222及びRAM223
と、コネクタ224の近くにおいてインストルメントパ
ネルに組み込まれたディスプレイ225及びディスプレ
イコントローラ225aと、センサ類228〜233
と、キャンセルスイッチ226と、消去スイッチ22
7、等で構成され、図示のように接続されている。
【0310】前記メイン制御ユニット221は、2つの
マイクロコンピュータ(CPUとROMとRAMとを含
む)と、入出力インターフェースと、複数の駆動回路D
VRとを主体として構成され、マイクロコンピュータの
ROMには、次のような複数の制御部に相当する制御プ
ログラムが予め入力格納してあり、マイクロコンピュー
タのRAMには、複数の制御部の制御の為に必要な種々
のメモリ類(バッファ、メモリ、フラグ、カウンタ等)
が設けられ、また、前記入出力インターフェースには、
センサ類からの信号をA/D変換したり波形整形したり
する変換回路や整形回路が設けられている。
【0311】前記複数の制御部としては、エンジン制御
部210a、変速機制御部214a、ブレーキ制御部2
15、エンジン202とブレーキ装置209に対するス
リップ制御を行うトラクション制御部216、ブレーキ
装置209に対するアンチロックブレーキンク制御を行
うABS制御部217、アクティブサスペンション装置
206を制御するアクティブサスペンション部(ACS
211)、パワーステアリング装置208を制御するパ
ワーステアリング制御部(P/S213)、後輪操舵装
置207を制御する後輪操舵制御部(4WS212)、
空調装置219を制御する空調制御部218が設けられ
ている。
【0312】前記エンジン制御装置210は、エンジン
制御部210aと、これの制御信号及び図示外のセンサ
類からの信号とを受けてエンジン2を制御するエンジン
専用制御ユニット210bとで構成され、自動変速機制
御装置214は、変速機制御部214aと、これの制御
信号と図示外のセンサ類からの信号とを受けて自動変速
機ATに対する変速制御を行う変速機専用制御ユニット
214bとで構成されている。
【0313】前記メイン制御ユニット221に接続され
たROM222には、後述の特性変更制御とこれに付随
する表示制御の制御プログラムが予め入力格納され、ま
た、RAM223には、特性変更制御や表示制御に必要
な種々のメモリ類が設けられている。更に、メイン制御
ユニット221には、自動車201の車速Vを検出する
車速センサ228、ステアリングホイール205の舵角
θhを検出する舵角センサ229、路面の摩擦係数μを
検出するμセンサ230、車体に作用する上下加速度G
vを検出する上下加速度センサ231、前後輪の各車輪
の車輪速Vwを検出する4つのセンサからなる車輪速セ
ンサ232、車体のヨーレイトψvを検出するヨーレイ
トセンサ233等のセンサ類が接続されている。
【0314】前記キャンセルスイッチ226は、ICカ
ード260から読み込んだデータを無効化するためのも
のであり、消去スイッチ227は、デーラーが自動車2
01を下取りした際にRAM223のデータを消去する
為のものである。次に、前記特性情報形成装置240
と、その制御系と、特性情報形成装置240で入力する
特性変更の為のデータ、等について説明する。
【0315】図54〜図56に示すように、特性情報形
成装置240は、自動車を購入したオーナードライバー
にデーラーから提供されるものである。特性情報形成装
置240の下部には、ICカード260を着脱自在に且
つデータ授受可能に装着できるICカードコネクタ24
1が設けられ、特性情報形成装置240の前部にはキー
ボード242が設けられ、キーボード242の後側のメ
タリックの銘板243には、車体番号、製造年月日、オ
ーナーの氏名、メーカー名が記載され、この銘板243
の後側には、複数行の表示が可能な液晶ディスプレイ2
44が設けられている。この特性情報形成装置240
は、ICカード260が装着されていない状態では、現
在の日付(年月日)と時刻とをディスプレイ244に表
示して、カレンダー兼時計として活用できるように構成
されている。
【0316】ICカード260は、ディジタル信号を書
込み読出し可能に記憶できるRAMカードであり、IC
カード260には、特性情報形成装置240で入力され
たデータを記憶するメモリが設けられている。尚、IC
カード260の表面にも所定の情報が記載されている。
図55に示すように、特性情報形成装置240のキーボ
ード242には、メインスイッチ45と、開始キー24
6と、終了キー247と、「A」〜「I」のアルファベ
ットキー248と、「0」〜「9」の数字キー249
と、少数点キーと、クリアキー(Cキー)250と、オ
ールクリアキー(ACキー)251とが設けられてい
る。
【0317】次に、この特性情報形成装置240の制御
系について図56に基いて説明する。前記特性情報形成
装置240の制御ユニット252は、CPU253とR
OM254とRAM255とを含むマイクロコンピュー
タと、入出力インターフェース256と、ディスプレイ
244を制御するディスプレイコントローラ257等で
構成され、メインスイッチ245と、キーボード242
の文字キー248及び数字キー249と、開始スイッチ
246と、終了スイッチ247と、クリアキー50と、
オールクリアキー51と、ICカードコネクタ241
と、ディスプレイコントローラ257とが、入出力イン
ターフェース256に接続されている。前記ROM25
4には、後述のデータ入力制御とこれに付随する表示制
御の制御プログラム、CPU253のクロック信号をカ
ウントして現在の日付(年月日)と時刻を演算する日付
時刻演算制御とそれに付随する日付時刻表示制御の制御
プログラムが予め入力格納され、RAM255には、こ
れらの制御に必要なメモリ類が設けられている。
【0318】次に、特性情報形成装置240と共にドラ
イバーに提供される取扱い説明書261とデータ入力項
目リスト262について、図57と図58に基いて説明
する。前記取扱い説明書261は、特性情報形成装置2
40の使用方法について説明したマニュアルであり、後
述の説明からも概ね明らかになるので詳しい説明は省略
する。 前記データ入力項目リスト262には、複数
(例えば、5種類)種類のデータ入力パターンの夫々に
おけるデータ入力項目とデータ入力用の指示が記載され
ており、第1入力パターンにおけるデータ入力項目リス
ト262aは、図58に例示する通りである。
【0319】この第1入力パターンにおけるデータ入力
項目には、入力項目A項におけるオーナードライバーに
関する5つの小項目(性別、年令、車歴、保有台数、使
用形態)の質問と回答欄とデータ入力形式と、入力項目
B項における使用環境に関する3つの小項目(気温、場
所、高度)の質問と回答欄とデータ入力形式と、入力項
目C項における使用条件に関する2つの小項目(主な用
途、主な同乗者)の質問と回答欄とデータ入力形式と、
入力項目D項における所望の性能に関する3つの小項目
(運転性、乗り心地、燃費)の質問と回答欄とデータ入
力形式とが記載されている。
【0320】次に、前記第1パターンにおけるデータ入
力項目に対応する制御ゲイン補正係数について説明す
る。前記A項の5小項目に対応する制御ゲイン補正係数
は、表5に示す通りであり、また、前記B項の3小項
目、C項の2小項目、D項の3小項目に対応する制御ゲ
イン補正係数は、表6に示す通りであり、表5と表6の
内容は、前記ROM222の制御ゲイン変更制御プログ
ラムに付随するテーブルとして、ROM222に予め格
納されるとともに、特性情報形成装置240のROM2
54のデータ入力制御プログラムに付随するテーブルと
してROM254にも格納されている。
【0321】基本的に、自動車の制御ゲインの大幅な変
更を防止する観点から、制御ゲイン補正係数は、表6か
らも判るように0.8〜1.2の範囲に設定される。但
し、この範囲に限定されるものではない。ここで、EG
I210の特性に関して、制御ゲイン「小」は低燃費方
向、制御ゲイン「大」はパワー増大方向である。ACS
211の制御ゲインに関して、制御ゲイン「小」は乗り
心地アップ方向(ソフト方向)、制御ゲイン「大」は操
縦安定性アップ方向(ハード方向)である。4WS21
2の制御ゲインに関して、制御ゲイン「小」は小回り性
アップ方向(逆相ゲイン増大方向)、制御ゲイン「大」
は操縦安定性アップ方向(同相ゲイン増大方向)であ
る。
【0322】P/S213の制御ゲインに関して、制御
ゲイン「小」は操舵力が軽くなる方向、制御ゲイン
「大」は操舵力が重くなる方向である。表5のA項の5
小項目の制御ゲイン補正係数は、EGI210とACS
211と4WS212とP/S213とに共通に設定さ
れる補正係数であって、表6の制御ゲイン補正係数で決
まる補正成分を補正する共通制御ゲイン補正係数とも言
うべきものであり、表6のB項、C項、D項の制御ゲイ
ン補正係数は、EGI210とACS211と4WS2
12とP/S213とに独立に設定される補正係数であ
るため、個別制御ゲイン補正係数とも言うべきものであ
る。
【0323】次に、表5に例示する制御ゲイン補正係数
に関して、概略の傾向として、補正係数「小」は制御ゲ
イン補正量減少方向つまりベース特性に近づける方向、
補正係数「大」は制御ゲイン補正量増加方向つまりベー
ス特性から遠のく方向であり、女性、若年者、高齢者、
車歴1.5年未満の者などは、運転が余り上手でないこ
とに鑑みて、制御ゲイン補正係数が小さく設定され、ま
た、21〜30才の者や車歴5年以上の者は、運転が上
手であることに鑑みて、制御ゲイン補正係数が大きく設
定され、また、保有台数1台の場合やオーナー以外も使
用する場合には、複数の者が使用することに鑑みて、制
御ゲイン補正係数が小さく設定されている。
【0324】次に、表6に例示した制御ゲイン補正係数
に関して、寒冷地における低μとオイルの粘性低下に鑑
み、また、通勤用のものではサルーンカー感覚を高め、
レジャー用のものでは操縦安定性を高めスポーツカー志
向を高め、買物用や営業用のものでは低燃費と小回り性
を高める、等の観点から制御ゲイン補正係数が設定され
ている。ここで、図58のデータ入力項目リスト262
aのデータ入力項目において「0」、「1」で入力する
欄、つまり、表5のA項および表6のB項の第1小項目
とD項については、制御ゲイン補正係数が、表5と表6
からa1〜a5、b1、d1〜d3のように、夫々1つ
決まることになるが、「順位」を入力する欄、つまり、
表6のB項の第2小項目と第3小項目とC項について
は、表6の制御ゲイン補正係数の値を用いて、次のよう
に順位の重みを加味して、制御ゲイン補正係数が演算に
より決定される。この場合、1位のものに40%の重
み、2位のものに30%の重み、3位のものに20%の
重み、4位のものに10%の重みが付与して、制御ゲイ
ン補正係数が演算される。
【0325】例えば、B項の第2小項目において、都市
部(1位)、近郊部(2位)、田園部(3位)、山間部
(4位)の順位とすると、B項の第2小項目の制御ゲイ
ン補正係数b2は、b21〜b24に重み付けを付加し
て次のように演算される。 b2=0.4×b21+0.3×b22+0.2×b23+0.1×b24 尚、この演算は、EGI10、ACS11、4WS1
2、P/S13の各制御ゲイン補正係数毎に行われるこ
とになる。
【0326】B項の第3小項目の制御ゲイン補正係数b
3も前記同様に順位の重み付けを付加して、EGI21
0、ACS211、4WS212、P/S213の各制
御ゲイン補正係数毎に演算され、また、C項の第1小項
目の制御ゲイン補正係数c1も、補正係数c11〜c1
4を用いて前記同様に順位の重み付けを付加して、EG
I210、ACS211、4WS212、P/S213
の各制御ゲイン補正係数毎に演算され、また、C項の第
2小項目の制御ゲイン補正係数c2も、補正係数c21
〜c24を用いて前記同様に順位の重み付けを付加し
て、EGI210、ACS211、4WS212、P/
S213の各制御ゲイン補正係数毎に演算されることに
なる。
【0327】次に、前記特性情報形成装置240を操作
して、自動車用制御装置の一部であるEGI210、A
CS211、4WS212、P/S213の各々に予め
設定されたベース特性を設定する為のデータを入力する
データ入力制御のルーチンについて、図59、図60を
参照しつつ説明する。尚、フローチャートにおけるSi
(i=1,2,3・・・)は、各ステップを示すもので
ある。
【0328】開始キー246のONで制御が開始される
と、ICカード260がICカードコネクタ241に装
着されているか否か判定され(S1)、NoのときはS
2において、ディスプレイ244に、現在の日付と時
刻、及びICカード260の装着を促すメッセージが表
示され、その後S1へ戻る。ICカード260が装着さ
れているときには、S3において、ICカード260に
記憶されているデータを読み込んでRAM55に格納す
るる。
【0329】尚、ICカード260に前回にデータを記
憶させた場合には、ICカード260には、前回のデー
タが記憶されている。但し、ICカード260を今回初
めて使用する場合には、本実施例の場合ICカード26
0には データは何ら記憶されていないが、各制御装置
や制御部210〜218のベース特性に関連するデータ
や、ベース特性を補正する為のベース補正係数のデータ
を記憶させることも有り得る。
【0330】次に、データ入力項目リスト262aにお
ける入力項目番号i(i=A,B,C,D)が「A」に
相当する「1」にセットされ(S4)、次に、入力小項
目番号j(j=1〜5(Max) )が「(1)」に相当する
「1」にセットされ(S5)、次に、S6において、入
力項目番号iと入力小項目番号jとが、ディスプレイ4
4に表示される。
【0331】次に、データ入力有りか否か判定され(S
7)、データ入力がないときはS6を繰り返し、データ
が入力されると、データエラーなしか否か判定され(S
8)、データエラーが有るときには、ディスプレイ44
にエラーメッセージが表示され(S9)、S4へ戻る。
データエラーが無いときには、S10において、入力デ
ータがRAM255に格納されるが、このときRAM2
55のアドレスは、アドレスポインタA(i,j)によ
り指定される。
【0332】次に、入力小項目番号jがインクリメント
され(S11)、次に、入力小項目番号jが入力項目番
号iにおける最大値Max(i)(例えば、A項では「5」、
B項では「3」、・・)より大きいか否か判定され(S
12)、最初はNoなので、S6へ移行してS6〜S1
2が繰り返される。以上のように、A項に入力されるデ
ータは、例えば次の通りである。
【0333】「A」,「1」,「1」,「0」,
「2」,「0」,「0」,「1」,「0」,「3」,
「0」,「1」,「0」,「4」,「1」,「0」,
「5」,「1」,「0」 次に、S12の判定の結果、入力小項目番号jが入力項
目番号iにおける最大値Max(i)よりも大きくなると、S
13に移行して入力項目番号iがB,C,Dの順にイン
クリメントされ、次に、S14において入力項目番号i
が「D」に相当する最大値Max よりも大きいか否か判定
され、最初はNoなので、S5へ移行してS5〜S1
2、S13が繰り返され、このようにして、データ入力
項目リスト262aの全部のデータの入力が完了する
と、S15において終了キー247が操作されたか否か
判定され、Noのときには、S16において終了キー2
47の操作を促すメッセージがディスプレイ244に表
示され、S15〜S16を繰り返し、終了キー247か
ら入力されると、図60のS17へ移行する。尚、デー
タの入力の際、クリアキー250を操作することで、入
力した最新のデータをクリアできる。
【0334】次に、図60のS17において、全部の入
力データがディスプレイ244に表示されるため、その
表示に基いて全データをチェックすることができる。入
力データが誤っているとかデータを変更したい場合に
は、オールクリアキー251を操作すると、RAM25
5に記憶した全データが消去され、S4へ戻る。
【0335】オールクリアキー251を操作しない場合
には、S20においてRAM255に記憶している全部
のデータと同じデータがICカード260に記憶され
る。次に、S21において、前記のように入力されRA
M255に格納されたデータを用いて、EGI210、
ACS211、4WS212、P/S213の為の、制
御ゲイン補正係数b2e,b2a,b2w,b2pと、
制御ゲイン補正係数b3e,b3a,b3w,b3p
と、制御ゲイン補正係数c1e,c1a,c1w,c1
pと、制御ゲイン補正係数c2e,c2a,c2w,c
2pとが、前述のように順位の重み付けを付加して演算
される。尚、末尾の「e」,「a」,「w」,「p」
は、EGI、ACS、4WS、P/Sを夫々示す添字で
ある。
【0336】こうして、入力されたデータとS21の演
算結果から、EGI210、ACS211、4WS21
2、P/S213の夫々に関する表6の全項目の制御ゲ
イン補正係数が決まる。即ち、EGI10の全項目の制
御ゲイン補正係数として、b1e、b2e,b3e,c
1e,c2e,d1e,d2e,d3eが決まり、AC
S211、4WS212、P/S213の制御ゲイン補
正係数についても同様である。
【0337】次に、S22において、表6の全項目の制
御ゲイン補正係数を用いて、EGI210、ACS21
1、4WS212、P/S213の複合制御ゲイン補正
係数Ke,Ka,Kw,Kpが次式により演算される。 Ke=b1e×b2e×b3e×c1e×c2e×d1e×d2e×d3e Ka=b1a×b2a×b3a×c1a×c2a×d1a×d2a×d3a Kw=b1w×b2w×b3w×c1w×c2w×d1w×d2w×d3w Kp=b1p×b2p×b3p×c1p×c2p×d1p×d2p×d3p 次に、S23において、複合制御ゲイン補正係数Ke,
Ka,Kw,Kpの補正量成分に、表5の制御ゲイン補
正係数a1〜a5を、夫々乗算することにより、EGI
210、ACS211、4WS212、P/S213の
最終制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FKw,FK
pが次式により演算される。
【0338】 FKe=1.0+(Ke−1.0)×a1×a2×a3×a4×a5 FKa=1.0+(Ka−1.0)×a1×a2×a3×a4×a5 FKw=1.0+(Kw−1.0)×a1×a2×a3×a4×a5 FKp=1.0+(Kp−1.0)×a1×a2×a3×a4×a5 次に、S24において、最終制御ゲイン補正係数FK
e,FKa,FKw,FKpがRAM255のメモリに
格納され、次に、S25において、前回のデータがある
場合には、RAM255に記憶された前回と今回の最終
制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FKw,FKp
と、総評のコメントとが、図61に示すようにディスプ
レイ244に表示され、以上説明したデータ入力制御が
終了する。
【0339】S25における表示に関して補足説明す
る。前記RAM255には、前回設定された最終制御ゲ
イン補正係数FKe,FKa,FKw,FKpのデータ
を記憶する前回データ記憶部と、今回設定された最終制
御ゲイン補正係数FKe,FKa,FKw,FKpのデ
ータを記憶する今回データ記憶部とが設けられている。
【0340】RAM255の前回データ記憶部の最終制
御ゲイン補正係数のデータ及び今回データ記憶部の最終
制御ゲイン補正係数のデータに基いて、図61に示すよ
うに、特性変更前後の最終制御ゲイン補正係数(これら
が、並列的に表示されることで、変更前後の制御ゲイン
ギャップも表示されることになる)が棒グラフ的にディ
スプレイ244に表示され、且つ、ベース特性に相当す
る補正係数「1.0」のレベルが横向きの点線で表示さ
れ、総評のコメントも表示される。尚、前回のデータに
よる補正係数には「旧」の表示が付され、また、今回の
データによる補正係数には「新」の表示が付され、ま
た、理解促進の為のその他の付随情報も表示される。
【0341】前記総評コメントを表示する技術に関し
て、EGI210の制御ゲインの小中大に対応して「低
燃費」、「普通」、「パワー増大」、ACS211の制
御ゲインの小中大に対応して「乗り心地向上」、「普
通」、「操縦安定性向上」、4WS212の制御ゲイン
の小中大に対応して「小回り性向上」、「普通」、「操
縦安定性向上」、P/S213の制御ゲインの小中大に
対応して「操舵力軽」、「普通」、「操舵力重」等の表
示用データ及び常に表示されるメッセージの表示用デー
タが、ROM254の表示制御プログラムに付随させて
予め記憶してあり、特性に応じて、前記の各種の表示メ
ッセージが選択されて表示されることになる。
【0342】次に、メイン制御ユニット221により実
行される特性変更制御について、図62、図63に基い
て説明する。尚、図中Si(i=1,2,・・)は各ス
テップを示す。この特性変更制御は、図62に示す制御
ゲイン補正係数演算処理と、図63に示す特性確定処理
とからなる。前記制御ゲイン補正係数演算処理は、自動
車のICカードコネクタ224にICカード260を装
着し、ICカード260からRAM223に読み込んだ
データを用いて複合的な最終制御ゲイン補正係数を演算
する処理である。
【0343】前記自動車201のイグニションスイッチ
の投入により制御が開始されると、EGI210から供
給されるイグニションスイッチの信号に基いて、アクセ
サリモード(エンジン停止状態)か否か判定し(S
1)、Yesになるまで待機の後、アクセサリモードに
なると、コネクタ224にICカード260が装着され
ているか否か判定され(S2)、その判定がNoのとき
はS3においてICカード260の装着を促すメッセー
ジがディスプレイ225に表示され、次に、S4におい
てS2の最初のNo判定からソフトタイマーのカウント
を開始し、所定時間経過か否か判定し、所定時間経過し
ていないときには、S2へ戻り、ICカード260が装
着されずに、所定時間(例えば、60秒)経過したとき
には、この処理制御を終了する。この場合、特性の変更
が実行されずに、ベース特性による制御が実行されるこ
とになる。
【0344】一方、S2の判定の結果Yesのときは、
S5においてICカード260のデータの読込み処理が
実行され、読み込んだデータは、RAM223の今回デ
ータ記憶部のメモリに格納される。次に、S6〜S9が
実行されるが、これらのステップは、前記図60のS2
1〜S24のステップと同様であるので説明を省略す
る。尚、S9では、RAM223の今回データ記憶部の
メモリに、最終制御ゲイン補正係数のデータが格納され
ることになる。そして、S9の後、S10において、最
終制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FKw,FKp
の演算完了を示すフラグFGがセットされて、制御ゲイ
ン補正係数演算処理が終了する。
【0345】尚、特性情報形成装置240で演算して求
めた最終制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FKw,
FKpのデータをICカード260に記憶するように構
成する場合には、S6〜S9のステップを省略すること
ができる。次に、図63のフローチャートに基いて、制
御ゲイン補正係数演算処理で得られた最終制御ゲイン補
正係数FKe,FKa,FKw,FKpで以て、EGI
210、ACS211、4WS212、P/S213の
特性を夫々変更する特性変更処理について説明する。
【0346】この特性変更処理が、イグニションスイッ
チONとともに開始されると、車速センサ228と舵角
センサ229とμセンサ230と上下加速度センサ23
1とからの検出信号を含む各種信号が読み込まれ(S2
0)、次に、S21において前記フラグFGがセット状
態か否か判定し、セットのときはS22へ移行し、ま
た、セットされていないときはS27へ移行する。
【0347】次に、エンジン2が作動中か否か判定し
(S22)、作動中でないときにはS21へ戻り、作動
中であるときにはS23へ移行する。S23では、車速
センサ228と舵角センサ229からの検出信号に基い
て急旋回状態か否か判定し、また、S24では、上下加
速度センサ231からの検出信号に基いて悪路走行中か
否か判定し、また、S25ではμセンサ230からの検
出信号に基いて低μ路走行中か否か判定し、急旋回状態
でなく、且つ悪路走行中でなく、且つ低μ路走行中でな
いことを条件として、S26へ移行する。
【0348】S26では、前記最終制御ゲイン補正係数
FKe,FKa,FKw,FKpに相当する4組の特性
変更信号が演算され、その4組の特性変更信号がEGI
210、ACS211、4WS212、P/S213へ
夫々出力され、その特性変更信号に基いてベース特性が
変更される。尚、エンジンの作動中は、微小時間毎に特
性変更信号が、EGI210、ACS211、4WS2
12、P/S213へ夫々出力されることになる。
【0349】一方、フラグFGがリセット状態の場合
や、急旋回中、又は悪路走行中、又は低μ路走行中の場
合には、S27へ移行して、特性変更信号の出力が禁止
されるため、EGI210、ACS211、4WS21
2、P/S213では、予め変更されているベース特性
による制御が行われることになる。尚、ICカード26
0が装着されずに処理制御を終了したとき、又は、キャ
ンセルスイッチ226がON操作されたときには、特性
変更信号の出力が禁止された場合と同様に、ベース特性
による制御が行われることになる。
【0350】前記RAM223には、前回設定された最
終制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FKw,FKp
のデータを記憶する前回データ記憶部と、今回設定され
た最終制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FKw,F
Kpのデータを記憶する今回データ記憶部とが設けられ
ている。前記図63のS10の終了後、図60のS25
と同様にディスプレイ225に、 RAM223の前回
データ記憶部のデータ及び今回データ記憶部のデータに
基いて、図61に示すものと同様に、特性変更前後の最
終制御ゲイン補正係数(これらが、並列的に表示される
ことで、変更前後のゲインギャップも表示されることに
なる)が棒グラフ的にディスプレイ225に表示され、
且つ、ベース特性に相当する補正係数「1.0」のレベ
ルが横向きの点線で表示され、総評のコメントも表示さ
れる。尚、前記総評コメントを表示する技術に関して、
図60のS25に関する説明において説明したのと同様
である。
【0351】以上の説明は、第1パターンのデータ入力
項目リスト262aを採用した場合の例であるが、第2
パターンのデータ入力項目リスト262bについて、図
64に基いて説明する。このデータ入力項目リスト26
2bは、制御ゲイン補正係数を直接入力変更する方式の
もので、自動車に関してかなりの知識を有するドライバ
ーに適したものであり、図示のように、エンジン特性
(吸気量、燃料噴射量、点火時期)、自動変速機の変速
特性、ブレーキ特性、トラクション制御のTCS制御特
性、アンチロックブレーキ制御のABS特性、パワース
テアリング特性、後輪操舵特性、空調特性、等の項目の
夫々には、0.8 、0.9 、1.0 、1.1 、1.2 の全部又は一
部の制御ゲイン補正係数が列挙してあり、各項目毎に1
つの制御ゲイン補正係数を選択的に入力するようになっ
ている。
【0352】例えば、A項のデータの入力例は、次の通
りである。 「A」,「1」,「1.1 」,「2」,「0.9 」,
「3」,「1.1 」 そして、A項〜H項のデータ入力完了後には、設定され
た制御ゲイン補正係数が、RAM255に記憶されると
ともに、ICカード260にも記憶される。前記メイン
制御ユニット21は、ICカード260から読み込んだ
制御ゲイン補正係数に相当する特性変更信号を夫々制御
装置又は制御部へ供給することになる。
【0353】その他、第3〜第5パターンのデータ入力
項目リストは、第2パターンのデータ入力項目リスト2
62bと同様の制御ゲイン補正係数を直接入力変更する
方式のもので、且つ、データ入力項目リストがディスプ
レイ225に表示され、且つ、各項目毎の複数の制御ゲ
イン補正係数のうちの、予め設定された推奨される制御
ゲイン補正係数が識別可能に表示されており、ドライバ
ーは、変更したい項目の制御ゲイン補正係数について
は、ディスプレイ225のカーソル(図示略)と、キー
ボード242のカーソル移動キー及び実行キー(図示
略)とを介して、特性補正係数を変更するようになって
いる。
【0354】尚、例えば、第3パターンのデータ入力項
目リストは、高速道路走行に適するように変更したも
の、第4パターンのデータ入力項目リストは、山道をワ
インディング走行するのに適するように変更したもの、
第5パターンのデータ入力項目リストは、低μ路走行に
適するように変更したものである。このように、特性情
報形成装置240とデータ入力制御とは、特性変更の為
のデータを、キーボード242から入力する構成、予め
入力されているデータを選択する構成、予め入力されて
いるデータを変更する構成、等種々の態様に構成するこ
とができる。
【0355】そして、例えば、第2〜第5パターンのデ
ータ入力項目リストで夫々変更したデータをICカード
260に記憶可能に構成し、自動車のインストルメント
パネルに、第2〜第5パターンのデータ入力項目リスト
を選択する選択スイッチを設けて所望のパターンのデー
タを選択可能に構成し、選択されたパターンのデータで
特性を変更するように構成することも可能である。この
場合、自動車の運転中に、所望のパターンに変更するこ
ともできる。
【0356】以上説明した自動車の制御装置の特性変更
装置及び変更方法においては、ドライバーの運転に関連
する特性や使用状態に関する複数項目のドライバー固有
のデータに基いて、EGI210、ACS211、4W
S212、P/S213のベース特性を変更して、自動
車の走行特性をドライバーにマッチするように変更する
ことができるため、運転し易く、ドライバーの好みに合
ったイージーオーダー的な特性の自動車にすることがで
きる。
【0357】しかも、特性情報形成装置240とその取
扱い説明書261とデータ入力項目リスト262を、自
動車を購入したドライバーに提供し、ドライバーが楽し
みながら、特性情報形成装置240に、ドライバー固有
のデータを入力してICカード260に記憶させ、この
ICカード260を介して、自動車に設けられたメイン
制御ユニット221に入力するように構成したので、学
習制御方式と比較して格段に簡単な装置でもって低コス
トで、略同等の技術的効果が得られる。
【0358】更に、軽量でコンパクトなICカード26
0を介して自動車にドライバー固有のデータを入力する
ように構成したため、個々のドライバー専用のICカー
ド260を活用可能になる。次に、前記実施例の一部を
次のように種々変更することも有り得る。 1〕 自動車を主に使用する複数名の各ドライバーの固
有のデータを記憶させたICカード260を作成し、各
ドライバーは、自分専用のICカード260を介して、
メイン制御ユニット221へデータを入力するものとす
る。
【0359】或いは、各ドライバー毎に複数通りの固有
のデータを夫々記憶させた複数のICカード260を作
成し、各ドライバーが複数のICカード260を選択的
に使用するようにしてもよい。 2〕 前記特性情報形成装置240に代えて、図65に
示すように、データ入力項目リスト262aの記入項目
と同数のキー(キートップには記入項目名が記載されて
いる)と、液晶ディスプレイ244Aと、ICカードコ
ネクタ241Aを備えた特性情報形成装置240Aを採
用してもよく、その他の種々の構成の特性情報形成装置
も適用可能である。 3〕 ドライバーの特性又は自動車使用状態の特性又は
自動車が走行する道路の種類(特性)を加味して、デー
タ入力項目リストに基いて、前記最終制御ゲイン補正係
数FKe,FKa,FKw,FKpのデータを特性情報
形成装置240,240Aに直接入力し、そのデータを
ICカード260に記憶させ、その最終制御ゲイン補正
係数FKe,FKa,FKw,FKpのデータを、IC
カード260を介して、メイン制御ユニット221に供
給するように構成することも可能である。
【0360】例えば、自動車が走行する一般道路、高速
道路、山道、低μ路、等の道路の種類に対応する複数組
の前記最終制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FK
w,FKpのデータを予め作成してそのデータをICカ
ード260に記憶させ、自動車のインストルメントパネ
ルには、前記複数の道路の種類を選択設定するセレクト
スイッチを設け、セレクトスイッチで選択された種類に
対応する最終制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FK
w,FKpのデータをICカード260から読み取るよ
うにする。 4〕 前記ICカード260の代わりに、書込み/読出
し可能な磁気カードやフロッピーディスクや光ディスク
を採用することも可能である。この場合、特性情報形成
装置及び自動車のインストルメントパネルには、これら
記憶媒体を駆動するドライブ装置を設けるものとする。 5〕 前記実施例では、特性情報形成装置240から入
力したデータに基いて、制御ゲイン補正係数を演算する
ように構成したが、ROM222に各制御装置や制御部
のベース特性のデータを記憶しておき、入力データに基
いて制御ゲイン補正係数を求め、ベース特性と制御ゲイ
ン補正係数とから、最終特性を変更してその特性信号を
各制御装置や制御部へ供給するように構成してもよい。
【0361】尚、前記実施例では、EGIと、ACS
と、4WSと、P/Sの特性を変更する場合について説
明したが、これらの代わりに又はこれらに加えて、アン
チ・ロックブレーキング装置を制御するABS制御装置
及びトラクションコントロール装置を制御するTCS制
御装置、空調装置用制御装置、シート装置用制御装置な
どにも、本発明を同様に適用できるし、また、本発明の
技術的思想を逸脱しない範囲において、前記実施例の一
部に種々の変形を付加して実施することができることは
言うまでもない。 (実施例4)本例の構成は、実施例3の構成にようにド
ライバーから得た特性情報を対象自動車に入力する前に
その情報をいったん記憶するための記憶媒体を備えてい
ない点で異なる。
【0362】対象自動車に特性情報を入力する代表的な
手順は、以下の通りである。すなわち、ドライバーが、
自動車を購入したときに、そのドライバーの運転に関連
する特性(性別、年令、車歴、等々)と、そのドライバ
ーが希望する自動車の性能(運転性、乗り心地、燃費)
と、そのドライバーが自動車を使用する使用状態(使用
環境、使用条件)等について、所定のデータ記入カード
に、ドライバーに記入させる。
【0363】次に、デーラー専用の入力装置を、車載の
特性変更装置に接続して、この入力装置により、前記複
数項目のドライバー固有のデータを入力し、前記特性変
更処理装置の所定の特性変更処理プログラムでデータ処
理して、自動車の制御装置に含まれるエンジン制御装置
とパワーステアリング制御装置とアクティブサスペンシ
ョン制御装置と4輪操舵制御装置における夫々の予め設
定された特性すなわち制御ゲインを変更する4つの制御
ゲイン補正係数を求め、この4つの制御ゲイン補正係数
に相当する特性変更信号を、前記エンジン制御装置とパ
ワーステアリング制御装置とアクティブサスペンション
制御装置と4輪操舵制御装置に夫々供給してそれらの特
性を変更する。
【0364】これにより、自動車の駆動・操縦・懸架特
性を、ドライバー固有の特性に応じて調節して、自動車
のイージーオーダー化を図ることができる。次に、自動
車の全体構成、制御系、データ記入カード、特性変更処
理制御の詳細について、順々に説明する。対象自動車3
01の基本構造は前例と同じであるので詳細な説明は省
略する。 その制御装置が図66に示されている。
【0365】図66において、特性変更装置320は、
自動車1に組み込まれた特性変更演算装置321と、R
OM322及びRAM323と、入力装置324と、セ
ンサ類等で構成されている。前記特性変更演算装置32
1(以下、演算装置という)は、入出力インターフェー
スと、コンピュータのCPUとを主体とするもので、こ
の演算装置321は、エンジン制御装置310、パワー
ステアリング制御装置311、アクティブサスペンショ
ン制御装置312、4輪操舵制御装置313とに信号授
受可能に接続され、演算装置321には、それに付随す
るROM322とRAM323とが接続され、ROM3
22には、後述の特性変更処理プログラムが予め格納し
てあり、RAM323には、前記制御演算に必要なメモ
リ類(メモリやバッファ、カウンタ、フラグ等)と、入
力装置324から入力されるデータを記憶するメモリと
が設けられている。尚、前記制御装置310〜313
は、1つ又は2つ又は3つの制御ユニットで構成される
こともある。
【0366】更に、演算装置321には、メインスイッ
チ325の他に、対象自動車1の車速を検出する車速セ
ンサ326、舵角を検出する舵角センサ327、路面の
摩擦係数センサ328、上下加速度センサ329等のセ
ンサ類が接続されている。この演算装置321には、セ
ンサ類からの検出信号をA/D変換したり、波形整形し
たりする変換回路や整形回路が設けられている。更に、
演算装置321には、デーラーがドライバーから対象自
動車1を下取りした際にRAM323のデータを消去す
る為の消去スイッチ330も接続されている。
【0367】前記入力装置324は、対象自動車1の販
売店(デーラー)が所有している専用の入力装置であっ
て、実施例3と同様の項目を有するデータ記入カードに
記入されるデータを入力できるデータ入力機能を有し、
この入力装置324は、データ入力時にのみ演算装置3
21に着脱自在に接続されるものである。例えば、入力
装置324は、コンピュータの故障診断装置であるダイ
アグノーシス装置からなるもの、又は、「A」〜「D」
のスイッチと、「(1)」〜「(5)」のスイッチと、
「1」〜「4」のスイッチとを備えたもの、又は、テン
キーのみからなるもの、又は、テンキーに切り換え可能
なアルファベットキーを備えたもの、又は、入力装置3
24のように、データ記入カード331の記入項目と同
数のキー(キートップに記入項目名が記載されている)
を備えたものでもよい。但し、入力装置324には、デ
ータ入力開始を指令する為の開始スイッチと、データ入
力終了を指令する為の終了スイッチと、エラーメッセー
ジ等のメッセージ表示の為の液晶ディスプレイ324a
(これは、省略可能である)が設けることが望ましい。
【0368】次に、特性変更処理プログラムで実行され
るゲイン変更によって行われる特性変更処理について、
図67、図68に基いて説明する。尚、図中Si(i=
1,2,・・)は各ステップを示す。この特性変更処理
は、図67に示す制御ゲイン補正係数演算処理と、図6
8に示す特性変更処理とからなる。前記制御ゲイン補正
係数演算処理は、前記入力装置324によりデータ記入
カード331に記入された複数項目のデータを入力し、
そのデータに基いて複合的な最終制御ゲイン補正係数を
演算する処理であり、この制御ゲイン補正係数演算処理
ついて図5に基いて説明する。
【0369】前記メインスイッチ325の投入により制
御が開始されると、EGI310からイグニションスイ
ッチの信号を受け、その信号に基いて、イグニションス
イッチがONでかつアクセサリモード(エンジン停止状
態)か否か判定し(S1)、Yesのときには入力装置
324の開始スイッチがONされた否か判定し(S
2)、入力装置324の開始スイッチがONされると、
データを読込んでメモリに格納する為のルーチンが作動
開始する。S3では、入力装置324を介して、データ
記入カード331に記入された複数項目のデータの入力
が手動操作にて実行され、読み込んだデータは、RAM
323の夫々のメモリに格納される。データ入力の間は
S3とS4とを繰り返し、データ入力が完了して入力装
置324の終了スイッチがONされると、S4からS5
へ移行する。
【0370】次にS9においてデータ入力完了を示すフ
ラグFGがセットされて、制御ゲイン補正係数演算処理
が終了する。尚、この制御ゲイン補正係数演算処理の終
了後には、操作者の操作により、メインスイッチ325
がON状態に保持されることになる。次に、図68のフ
ローチャートに基いて、前記の制御ゲイン補正係数演算
処理で得られた最終制御ゲイン補正係数FKe,FK
a,FKw,FKpで以て、EGI310、ACS31
1、4WS312、P/S313の特性を夫々変更する
特性変更処理について説明する。
【0371】この特性変更処理が、イグニションスイッ
チONとともに開始されると、車速センサ326と舵角
センサ327とμセンサ328と上下加速度センサ32
9とからの検出信号を含む各種信号が読み込まれ(S2
0)、次に、S21において前記フラグFGがセット状
態か否か判定し、セットのときはS22へ移行し、ま
た、セットされていないときはS27へ移行する。
【0372】次に、エンジン2が作動中か否か判定し
(S22)、作動中でないときにはS21へ戻り、作動
中であるときにはS23へ移行する。S23では、車速
センサ326と舵角センサ327からの検出信号に基い
て急旋回状態か否か判定し、また、S24では、上下加
速度センサ329からの検出信号に基いて悪路走行中か
否か判定し、また、S25ではμセンサ328からの検
出信号に基いて低μ路走行中か否か判定し、急旋回状態
でなく、且つ悪路走行中でなく、且つ低μ路走行中でな
いことを条件として、S26へ移行する。
【0373】S26では、前記最終制御ゲイン補正係数
FKe,FKa,FKw,FKpに相当する4組の特性
変更信号すなわちゲイン変更信号が演算され、その4組
の特性変更信号がEGI310、ACS311、4WS
312、P/S313へ夫々出力され、その特性変更信
号に基いて特性が変更される。尚、エンジンの作動中
は、微小時間毎に特性変更信号が、EGI310、AC
S311、4WS312、P/S313へ夫々出力され
ることになる。
【0374】一方、フラグFGがリセット状態の場合
や、急旋回中、又は悪路走行中、又は低μ路走行中の場
合には、S27へ移行して、特性変更信号の出力が禁止
されるため、EGI310、ACS311、4WS31
2、P/S313では、予め設定されているベース特性
による制御が行われることになる。尚、メインスイッチ
325が誤ってOFF状態にあるときには、ベース特性
による制御がなされる。
【0375】以上説明した自動車の制御装置の特性変更
装置及び変更方法においては、ドライバーの運転に関連
する特性や使用状態に関する複数項目のドライバー固有
のデータに基いて、EGI310、ACS311、4W
S312、P/S313のベース特性を変更して、自動
車の走行特性をドライバーにマッチするように調節する
ことができるため、運転し易く、ドライバーの好みに合
ったイージーオーダー的な自動車にすることができる。
【0376】しかも、所定のデータ記入カードを採用
し、ドライバー固有のデータを得て、入力装置324に
より入力する方式を採用したため、学習制御方式と比較
して格段に簡単な装置でもって低コストで、略同等の技
術的効果が得られる。しかも、入力装置324を各自動
車に設ける必要がないため、経済的である。次に、前記
実施例の一部を次のように種々変更することも有り得
る。 1〕 自動車を主に使用する複数名のドライバー毎にデ
ータ記入カードに記入させて各ドライバー固有のデータ
を採り、ドライバー個々の個人番号とともにドライバー
固有のデータを入力装置324を介して、特性変更演算
装置321へ入力するように構成し、また、運転席のイ
ンストルメントパネルには、自動車を運転する都度、ド
ライバー個々を識別する識別信号を入力するスイッチを
設けて、その識別信号を特性変更演算装置321へ入力
するように構成し、特性変更演算装置321では、前記
識別信号に基いて、そのドライバー固有のデータに対応
する制御ゲイン補正係数を演算するように構成する。
尚、この場合、実施例3の表5のA項の第4項や第5項
のデータ等のように、ドライバーの固有性を希釈する性
質のデータを省略することが望ましい。 2〕 前記入力装置324を自動車に恒久的に設けた複
数のスイッチで構成し、しかも、それら複数のスイッチ
を通常は、操作しにくい隠れた部位(インストルメント
パネルの裏面、トランクルーム等)に設け、自動車の販
売時にデーラーにおいて、データ記入カードのドライバ
ー固有のデータを入力するように構成する。但し、この
場合、車歴や使用環境や使用条件が変わった場合に、必
要に応じて、デーラー又はドライバーは消去スイッチ3
30を介して、RAM323のデータを消去し、新たな
ドライバー固有のデータを入力し直すことができる。
【0377】次に、この変更例について図69に基いて
簡単に説明する。但し、前記実施例と同様のものに同一
符号を付して説明を省略する。図69に示すように、エ
ンジン302と、アクティブサスペンション装置306
と、後輪操舵装置307と、パワーステアリング装置3
08とを制御する自動車用制御装置340が設けられ、
この制御装置340には、イグニションスイッチ、車速
センサ326、舵角センサ327、μセンサ328、上
下加速度センサ329に加えて、エンジン302及びそ
の他の装置306〜308の制御に必要なその他のセン
サ類が接続されている。以上の構成は、一般的な自動車
の制御系と同様の構成である。
【0378】ここで、本例の特有の構成として、自動車
の外部には、前記同様の特性変更演算装置321Aと、
それに付随するROM322及びRAM323と、演算
装置321Aに接続されたメインスイッチ325及び消
去スイッチ330と、演算装置321Aに前記複数項目
のドライバー固有のデータを入力する為の入力装置32
4とが設けられ、演算装置321Aは、データの入力時
のみ、コネクタを介して制御装置340に接続される。
【0379】前記実施例と同様に、自動車の販売時に、
デーラーにより、入力装置324を介して、前記実施例
と同様に、ドライバー固有のデータが演算装置321に
入力され、演算装置321Aにおいて、前記実施例と同
様に複合制御ゲイン補正係数Ke、Ka、Kw、Kp及
び最終制御ゲイン補正係数FKe、FKa、FKw、F
Kpが演算されてRAM323のメモリに格納され、そ
れら最終制御ゲイン補正係数FKe、FKa、FKw、
FKpに相当する4組の特性変更信号が演算装置321
Aから制御装置340へ供給され、その特性変更信号が
制御装置340のRAMのメモリに格納されるととも
に、前記入力された4組の特性変更信号により、制御装
置340におけるエンジン制御部、アクティブサスペン
ション制御部、4輪操舵制御部、パワーステアリング制
御部のベース特性が夫々変更される。
【0380】尚、前記4組の特性変更信号を制御装置3
40へ供給後には、演算装置321Aが制御装置340
から分離されることになる。また、自動車の走行時、急
旋回時や悪路走行時や低μ路走行時には、前記実施例と
同様に、ベース特性による制御が実行される。本実施例
の特性変更方法及び特性変更装置においても、前記実施
例と同様の作用・効果が得られるので、その説明を省略
する。但し、この実施例では、演算装置321A及び入
力装置324等を個々の自動車に設ける必要がないた
め、コスト的に有利であるし、デーラー等においてデー
タ入力を行うので、データ誤入力を防止できる。尚、こ
の実施例における入力装置324、又は入力装置324
及び演算装置321Aを、コンピュータの故障診断用の
ダイアグノーシス装置で構成することもできる。
【0381】尚、前記データ記入カードの代わりに、光
学的に又は磁気的に読み取り可能なデータ処理カードを
採用し、そのデータ処理カードに記入されたデータを、
入力装置としての光学式又は磁気式読み取り装置で読み
取って特性変更演算装置321,321Aへ入力するよ
うに構成することもできる。そして、ICカードを適用
する場合には、ドライバーの個人番号もICカードに記
録しておき、また、自動車のインストルメントパネルに
ICカード読み取り装置を設け、運転の都度、ドライバ
ー個々のICカードを介してドライバー固有のデータを
入力して、そのドライバー固有のデータに対応する制御
ゲイン補正係数を演算するように構成することもでき
る。
【0382】また、EGIと、ACSと、4WSと、P
/Sの特性を変更する場合について説明したが、これら
に加えて、アンチ・ロックブレーキング装置を制御する
ABS制御装置及びトラクションコントロール装置を制
御するTRC制御装置、空調装置用制御装置、シート装
置用制御装置などにも、本発明を同様に適用できるし、
また、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、
前記実施例の一部に種々の変形を付加して実施すること
ができることは言うまでもない。 (第5実施例)この自動車の制御装置では、自動車のイ
ンストルメントパネルに、自動車を使用する使用環境及
び使用目的などを設定する複数の設定スイッチを設け、
ドライバーによりそれら設定スイッチを介して設定され
た使用環境及び使用目的を複合的に加味した制御ゲイン
補正係数でもって、エンジン制御装置、アクティブサス
ペンション制御装置、4輪操舵制御装置、パワーステア
リング制御装置の夫々の特性を変更するようにしたもの
である。これにより、自動車の駆動・操縦・懸架特性
を、自動車の使用環境や使用目的に応じて調節して、自
動車のイージーオーダー化を図ることができる。
【0383】対象自動車の構成は前例と同じである。イ
ンストルメントパネルに設けられる複数の設定スイッチ
について説明する。図70に示すように、スイッチボー
ド420には、道路条件設定用のスイッチとして、一般
道路スイッチ423と、高速道路スイッチ424とが設
けられ、これらのうちの1つを選択的に設定可能であ
る。また、地域条件設定用のスイッチとして、都市部ス
イッチ425と、市街部スイッチ426と、市外地スイ
ッチ427と、住宅地スイッチ428とが設けられ、こ
れらのうちの1つを選択的に設定可能である。気候条件
設定用のスイッチとして、寒冷地スイッチ429と、多
雨地スイッチ430と、普通の気候を設定するノーマル
スイッチ431とが設けられ、これらのうちの1つを選
択的に設定可能である。
【0384】また、使用目的設定用のスイッチとして、
通勤スイッチ432と、レジャースイッチ433と、買
物スイッチ434と、業務スイッチ435と、これらを
全般的に設定する為のオールラウンドスイッチ436と
が設けられ、これらのうちの1つを選択的に設定可能で
ある。更に、補助的な設定スイッチとして、自動車の保
有台数が1台であることを設定する保有台数スイッチ4
37と、車歴が3年以上であることを設定する車歴スイ
ッチ438と、走行距離が1万Km/年以上であること
を設定する走行距離スイッチ439とが設けられてい
る。尚、以下、前記スイッチ423〜439を設定スイ
ッチと総称するものとする。
【0385】更に、スイッチボード420には、システ
ム起動の為のメインスイッチ421と、設定終了の為の
終了スイッチ422も設けられている。前記設定スイッ
チ類423〜439は、押下されるとONとOFFとを
交互に繰り返すスイッチであり、これらの設定スイッチ
類423〜439のキートップは、半透明の部材で構成
されてその背部には発光ダイオードランプが設けられて
いる。
【0386】前記メインスイッチ421は、保持形のス
イッチであり、終了スイッチ422は、常開接点を備え
たスイッチである。次に、制御系について図71に基い
て説明する。図71において、特性変更装置440は、
特性変更演算装置441と、ROM442及びRAM4
43と、前記スイッチ類421〜439等で構成されて
いる。前記特性変更演算装置441(以下、演算装置と
いう)は、入出力インターフェースと、コンピュータの
CPUとを主体とするもので、この演算装置441は、
エンジン制御装置410、パワーステアリング制御装置
411、アクティブサスペンション制御装置412、4
輪操舵制御装置413とに信号授受可能に接続され、演
算装置441には、それに付随するROM442とRA
M443とが接続され、ROM442には、後述の特性
変更処理プログラム及びこれに付随するテーブル(表7
の内容に相当するテーブル)が予め格納してあり、RA
M443には、前記制御演算に必要なメモリ類(メモリ
やバッファ、カウンタ、フラグ等)が設けられている。
【0387】更に、演算装置441には、前記設定スイ
ッチ類421〜439及びこれらに設けたランプ423
a〜439aの他に、対象自動車1の車速を検出する車
速センサ443、ステアリングホイールの舵角を検出す
る舵角センサ444、路面の摩擦係数を検出するμセン
サ445、車体に作用する上下加速度を検出する上下加
速度センサ446等のセンサ類が接続されている。この
演算装置441には、センサ類からの検出信号をA/D
変換したり波形整形したりする変換回路や整形回路と、
ランプ423a〜439aの為の複数の駆動回路が設け
られている。
【0388】次に、前記スイッチボード420の設定ス
イッチ類423〜439に対応する制御ゲイン補正係数
について、表7に基いて説明する。前記設定スイッチ類
423〜439の夫々に対応する制御ゲイン補正係数の
テーブルが例えば表7のように予め設定してROM44
2に格納してあり、設定スイッチ類423〜439に対
応する17個のフラグFa1〜Fgも設けられ、設定さ
れてONとなっているスイッチ類423〜439に対応
するフラグFa1〜Fgがセットされる。
【0389】ここで、設定スイッチ類423〜431に
関しては、表7のA項〜D項に示すように、EGI41
0、ACS411、4WS412、P/S413の夫々
に制御ゲイン補正係数が設けられているが、保有台数ス
イッチ437と、車歴スイッチ438と走行距離スイッ
チ439に関しては、表7のE項とF項とG項に示すよ
うに、EGI410、ACS411、4WS412、P
/S413に共通の制御ゲイン補正係数が設けられ、こ
れらの制御ゲイン補正係数は、A項〜D項の制御ゲイン
補正係数で決まる補正成分を共通に補正する為のもので
ある。
【0390】つまり、A項〜D項の制御ゲイン補正係数
は、EGI410とACS411と4WS412とP/
S413とに独立に設定される補正係数であるため、個
別制御ゲイン補正係数とも言うべきものであり、E項〜
G項の制御ゲイン補正係数は、EGI410とACS4
11と4WS412とP/S413とに共通に設定され
る補正係数であって、A項〜D項の制御ゲイン補正係数
で決まる補正成分を共通に補正する共通制御ゲイン補正
係数とも言うべきものである。
【0391】前例同様、自動車の特性の大幅な変更を防
止する観点から、制御ゲイン補正係数は、0.8〜1.
2の範囲に設定される。但し、この範囲に限るものでは
ない。次に、前記E項〜G項の制御ゲイン補正係数に関
して、概略の傾向として、補正係数「小」は補正量減少
方向つまりベース特性に近づく方向、補正係数「大」は
補正量増加方向つまりベース特性から遠のく方向であ
る。
【0392】高速道路に関しては、エンジンの低燃費を
図り、かつ操縦安定性を高める観点から補正係数が設定
され、また、都市部や市街部に関しては、低燃費を図り
かつ小回り性アップの観点から補正係数が設定され、ま
た、住宅地に関しては低騒音化と小回り性アップの観点
から補正係数が設定されている。寒冷地に関しては、オ
イルの低粘性と路面の低μを考慮して操縦安定性を高め
る観点から補正係数が設定され、また、多雨地に関して
は、路面の低μを考慮して操縦安定性を高める観点から
補正係数が設定され、また、通勤用のものではサルーン
カー感覚を高め、レジャー用のものでは操縦安定性を高
めスポーツカー志向を高め、買物用や業務用のものでは
低燃費と小回り性を高める、等の観点から制御ゲイン補
正係数が設定されている。
【0393】また、保有台数1台の場合には、複数の者
が自動車を使用することに鑑みて、補正係数が小さく設
定され、また、車歴3年以上の場合には、運転が上手で
あることに鑑みて補正係数が大きく設定され、また、走
行距離年間1万Km以上の場合には、運転が更に上手で
あることに鑑みて補正係数が大きく設定されている。次
に、特性変更処理プログラムで実行される特性変更処理
について、図72に基いて説明する。尚、図中Si(i
=1,2,・・)は各ステップを示す。
【0394】この特性変更処理は、図72に示す設定ス
イッチ類423〜439を介しての設定を含む制御ゲイ
ン補正係数演算処理と特性変更処理とからなる。前記制
御ゲイン補正係数演算処理は、設定スイッチ類423〜
439を介して設定さた項目の制御ゲイン補正係数を用
いて、表7のA項〜D項の複数の制御ゲイン補正係数C
a〜Cdを複合させた複合制御ゲイン補正係数を求め、
更にその複合制御ゲイン補正係数で決定された補正成分
に、表7のE項〜G項の複数の制御ゲイン補正係数Ce
〜Cgを乗算して補正成分を補正した最終制御ゲイン補
正係数を演算する処理である。
【0395】この制御ゲイン補正係数演算処理ついて図
72を参照しつつ説明すると、前記メインスイッチ42
5の投入により制御が開始されると、EGI410から
イグニションスイッチの信号を受け、その信号に基い
て、イグニションスイッチがONでかつアクセサリモー
ド(エンジン停止状態)か否か判定し(S1)、Noの
ときはS1を繰り返し、YesになるとS2において、
手動操作による設定スイッチ類423〜439の設定に
応じて対応するフラグFa1〜Fgがセットされ、次
に、S3においてONされた設定スイッチ423〜43
9のランプ423a〜439aが点灯され、次に、S4
において終了スイッチ422がONされたか否かの判定
がなされ、NoのときはS1へリターンし、S1以降を
繰り返し、設定が終了して終了スイッチ422がONさ
れると、S5へ移行する。
【0396】S5では、前記フラグFa1〜Fgに基い
て、各項のフラグ群(Fa1〜Fa2、Fb1〜Fb
4、Fc1〜Fc3、Fd1〜Fd5)毎に、重複設定
が有るか否かの判定がなされ、重複設定が有る場合に
は、重複設定されている複数の設定スイッチのランプ4
23a〜439aが点滅させることで、アラームが表示
される。これにより、ドライバーは、重複設定に気付い
て重複設定を解消させることになる。
【0397】こうして、重複設定が解消されると、S7
へ移行し、設定ミス(設定漏れ)に対する処置が採られ
る。即ち、Fa1=Fa2=0であれば、設定ミスなの
で一般道路であるとしてフラグFa1がセットされる。
また、Fb1=Fb2=Fb3=Fb4=0であれば、
設定ミスなので市外地であるとしてフラグFb3がセッ
トされる。また、Fc1=Fc2=Fc3=0であれ
ば、設定ミスなのでノーマルであるとしてフラグFc3
がセットされる。また、Fd1=Fd2=Fd3=Fd
4=Fd5=0であれば、設定ミスなのでオールラウン
ドであるとしてフラグFd5がセットされる。
【0398】以上のようにして、各項のフラグ群(Fa
1〜Fa2、Fb1〜Fb4、Fc1〜Fc3、Fd1
〜Fd5)毎に、1項目ずつ設定されて1つのフラグが
セットされ、採用すべき制御ゲイン補正係数が決まるの
で、S8において、前記の表7のうちの設定された項目
の制御ゲイン補正係数を用いて、EGI410、ACS
411、4WS412、P/S413の複合制御ゲイン
補正係数Ke,Ka,Kw,Kpが次式により演算され
る。 尚、末尾の「e」、「a」、「w」、「p」は、
EGI、ACS、4WS、P/Sを示す添字である。
【0399】Ke=Cae×Cbe×Cce×Cde Ka=Caa×Cba×Cca×Cda Kw=Caw×Cbw×Ccw×Cdw Kp=Cap×Cbp×Ccp×Cdp 次に、S9において、前記複合制御ゲイン補正係数K
e,Ka,Kw,Kpの補正成分に、表7のE項、F
項、G項の制御ゲイン補正係数Ce、Cf、Cgのうち
のセットされたものを、夫々乗算することにより、EG
I410、ACS411、4WS412、P/S413
の最終制御ゲイン補正係数FKe,FKa,FKw,F
Kpが次式により演算される。
【0400】 FKe=1.0+(Ke−1.0)×Ce×Cf×Cg FKa=1.0+(Ka−1.0)×Ce×Cf×Cg FKw=1.0+(Kw−1.0)×Ce×Cf×Cg FKp=1.0+(Kp−1.0)×Ce×Cf×Cg 尚、前記の式は、フラグFe,Ff,Fgの全部がセッ
トされた場合の式であるが、セットされていないフラグ
Fe,Ff,Fgに対応する制御ゲイン補正係数Ce,
Cf,Cgが式中から除かれる。
【0401】次に、S10において、前記最終制御ゲイ
ン補正係数FKe,FKa,FKw,FKpがRAM4
43のメモリに格納され、この処理が終了する。前記の
制御ゲイン補正係数演算処理で得られた最終制御ゲイン
補正係数FKe,FKa,FKw,FKpで以て、EG
I410、ACS411、4WS412、P/S413
の特性を夫々変更する特性変更処理は前例と同様であ
る。
【0402】前記実施例の一部を変更した変形例につい
て説明する。 1〕 前記スイッチボード420の設定スイッチ類42
3〜439とその他のスイッチ421,422を、前記
エンジン制御装置410、アクティブサスペンション制
御装置411、4輪操舵制御装置412、パワーステア
リング制御装置413の全部又は一部に相当するコント
ロールボックスに設ける。そして、自動車の販売時に、
デーラーにおいて、ドライバーから聴取した情報に基い
て設定スイッチ類423〜439を操作して設定するよ
うに構成する。これにより、ドライバーが操作して誤設
定するのを防止できる。 2〕 前記スイッチボード420及びその設定スイッチ
類423〜439とその他のスイッチ421,422
を、インストルメントパネルの裏面や、トランクルーム
や、ボンネット裏等の隠れた部位に設ける。そして、自
動車の販売時に、デーラーにおいて、ドライバーから聴
取した情報に基いて設定スイッチ類423〜439を操
作して設定するように構成する。これにより、ドライバ
ーが操作して誤設定するのを防止できる。 3〕 各項のフラグ群(Fa1〜Fa2、Fb1〜Fb
4、Fc1〜Fc3、Fd1〜Fd5)毎に1つのフラ
グメモリ(合計、4つのフラグメモリ)を設け、各フラ
グメモリに各項において最新に設定された設定スイッチ
に対応するフラグとそのセットデータを格納するように
構成すれば、重複設定されても常に最新の設定が有効に
なるため、表7のA項、B項、C項、D項には、常に1
項目だけ設定可能になる。この場合、図72のS5とS
6のステップは省略可能である。 4〕 前記設定スイッチ類423〜439の数を少なく
する為に、スイッチボード420に液晶ディスプレイを
設けるとともに、スイッチ423,424を1つの道路
設定スイッチとし、また、スイッチ425〜428を1
つの地域設定スイッチとし、また、スイッチ429〜4
31を1つの気候設定スイッチとし、また、スイッチ4
32〜435を1つの目的設定スイッチとし、例えば、
道路設定スイッチを操作する毎に、一般道路と高速道路
とがサイクリックにディスプレイに表示され、また、地
域設定スイッチを操作する毎に、都市部と市街部と市外
地と住宅地とがサイクリックにディスプレイに表示さ
れ、表示された項目を実行キーを介して設定する、等の
ように構成してもよい。 5〕 前記実施例では、EGIと、ACSと、4WS
と、P/Sとを独立のものに構成したが、実際には、こ
れらを1つ又は2つのコントロールボックス(コントロ
ールユニット)として構成することもある。 6〕 前記実施例では、EGIと、ACSと、4WS
と、P/Sの特性を変更する場合について説明したが、
これらに加えて、アンチ・ロックブレーキング装置を制
御するABS制御装置及びトラクションコントロール装
置を制御するTRC制御装置、空調装置用制御装置、シ
ート装置用制御装置等にも、本発明を同様に適用できる
ことは勿論である。
【0403】
【発明の効果】本発明によれば、対象自動車には、最終
的に形成された特性情報を記憶するのに必要なメモリ容
量を与えれば良い。すなわち、学習動作おいて必要とな
るような大容量のRAM、制御系などが必要とならず、
装置をコンパクトにできるとともに、コスト的にも有利
となる。
【0404】この場合、特性情報は対象自動車の外部に
設置されたコンピュータユニット等によって所定の手順
で、対象自動車内に設置されたメモリに書き込むように
すると、対象自動車そのものに特性変更のための各種セ
ンサ類、制御装置、メモリ等を搭載する必要がなくなる
ので製品コストを低減することができる。また、運転シ
ミュレーション装置を用いることによってドライバーの
個性、感性、指向にあった自動車特性を様々に形成する
ことができるので、ドライバーの高い満足感を得ること
ができる。
【0405】好ましい態様では、ドライバーの特性又は
自動車の使用状態を特定する為の複数項目のドライバー
固有のデータをドライバーから求めるで、ドライバーの
特性や使用状態に適合した特性で制御されるイージーオ
ーダー的な自動車とすることができるため、走行性及び
安全性が向上する。自動車の外部の特性確定手段におい
てデータ処理して特性情報を形成するため、個々の自動
車に特性情報形成手段を設ける必要がない。したがっ
て、コスト的に有利で、かつ、デーラー等においてデー
タ入力を行うため、データの誤入力を防止でき、信頼性
に優れる。
【0406】また、複数の項目の項目名とそれに対応す
る記入欄を印刷したデータ記入カード又は用紙に、ドラ
イバーに記入させることにより、前記複数項目のドライ
バー固有のデータを求めるため、的確なデータを簡単に
得ることができる。さらに、ゲイン変更処理制御手段に
着脱自在に接続される入力装置を用いて、前記複数項目
のデータを車載のゲイン変更処理制御手段に入力する
と、個々の自動車に入力装置を設ける必要がなく、コス
ト的に有利で、かつ、データ誤入力による特性の変更を
防止できる。
【0407】ここで、データ記入カード又は用紙に、ド
ライバーに記入させることにより、アンケート方式で、
簡単に、複数項目のドライバー固有のデータを得ること
ができる。また、入力装置が、コンピュータの故障診断
装置によって構成すると、特別の入力装置が不要で、コ
スト的に有利である。また、前記入力装置に複数項目に
対応する複数のスイッチを設けると、複数項目のデータ
の入力を簡単に行うことができる。この場合、入力装置
をデータ入力時だけ前記特性変更手段に着脱自在に接続
されるように構成すると、対象自動車の装備をさらに簡
素化することができコスト面で改善することができる。
【0408】前記入力装置を、自動車に設けられた複数
のスイッチで構成とすると、必要に応じて適宜、特性を
変更することができ、汎用性に優れる。また別の態様
で、複数項目のデータから、ドライバーの特性又は自動
車の使用状態の傾向を判断してその傾向から特性変更信
号を作成するようにすると弾力性のある特性変更が可能
となる。
【0409】ドライバーの車歴に応じてあるいは、ドラ
イバーの年間走行距離に応じて特性を変更すると信頼性
のある自動車特性を付与することができる。自動車の走
行状態が急旋回状態又は悪路走行状態又は低μ路走行状
態のときには、特性を変更しないように構成すると、走
行性能を所期のものに維持して安全性の低下を防止でき
る。
【0410】また、自動車に設けられた制御装置に予め
設定された特性を変更する際、自動車のオーナードライ
バーに、特性情報形成手段を提供し、オーナードライバ
ーが特性情報形成手段で入力又は作成したデータを記憶
媒体に記憶させ、制御装置に接続された記憶媒体装着部
に装着された記憶媒体に記憶した特性情報を読み取り、
その情報を制御装置に入力して特性を変更するように構
成することもでき、この場合には、ドライバーの特性や
自動車使用状態等に応じたイージーオーダー的な特性に
して、走行性や操縦性を高めることができる。しかも、
ドライバーは、自宅等において特性情報形成手段を介し
て楽しみつつ特性を変更する為の情報を入力できるし、
また、特性情報形成手段から出力するデータを記憶媒体
を用いて自動車の制御装置に供給するため、各ドライバ
ー専用の記憶媒体を活用できるし、記憶媒体の情報の書
換えも可能になる。
【0411】入力装置として、スイッチを用い、使用条
件たとえば、寒冷地と非寒冷地、歳部と、市街部、市外
地、住宅地、一般道と、高速道等の使用環境あるいは、
通気、レジャー、買物、業務の使用目的、あるいは自動
車保有台数等のによって自動車特性を変更するようにし
たので、ドライバーの感性によりマッチした特性を簡単
な構成で提供することができる。
【0412】
【表1】
【0413】
【表2】
【0414】
【表3】
【0415】
【表4】
【0416】
【表5】
【0417】
【表6】
【0418】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施例に係るドライバーの運
転シミュレーション装置のブロックダイアグラム、
【図2】運転シミュレーション装置のインスツルパネル
の一例を示す略正面図、
【図3】ICカードに記憶されているデータおよびプロ
グラムの内容を説明するための図面、
【図4】図1に示された運転シミュレーション装置の操
作系、検出系および制御系のブロックダイアグラム、
【図5】対象自動車のブロックダイアグラム、
【図6】対象自動車の操作系、検出系及び制御系のブロ
ックダイアグラム、
【図7】対象自動車のインスツルパネルの一例を示す略
正面図、
【図8】運転シミュレーション装置において実行される
運転シミュレーションの基本ルーチンを示すフローチャ
ート、
【図9】運転シミュレーション装置において実行される
運転シミュレーションの基本ルーチンを示すフローチャ
ート、
【図10】運転シミュレーション装置において実行され
る制御データの学習サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図11】運転シミュレーション装置において実行され
る制御データの学習サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図12】運転シミュレーション装置において実行され
る制御データの学習サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図13】運転シミュレーション装置において実行され
る制御データの学習サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図14】運転シミュレーション装置において実行され
る心理補正サブルーチンを示すフローチャート、
【図15】運転シミュレーション装置において実行され
る心理補正サブルーチンを示すフローチャート、
【図16】補正パラメータを算出するためのマップ、
【図17】補正パラメータを算出するためのマップ、
【図18】学習プログラムC1により、ACSの制御デ
ータを補正する方法を説明するためのマップ、
【図19】学習プログラムC2により、ACSの制御デ
ータを補正する方法を説明するためのマップ、
【図20】運転シミュレーション装置において実行され
る制御データ変更サブルーチンを示すフローチャート、
【図21】運転シミュレーション装置において実行され
る補正用データ生成サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図22】運転シミュレーション装置において実行され
る補正用データ生成サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図23】運転シミュレーション装置において実行され
る補正用データ生成サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図24】運転シミュレーション装置において実行され
る補正用データ生成サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図25】運転シミュレーション装置において実行され
る補正用データ生成サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図26】天候補正用データを生成するためのマップ、
【図27】対象自動車において実行される自動車特性変
更制御の基本ルーチンを示すフローチャート、
【図28】対象自動車において実行される地域判定サブ
ルーチンを示すフローチャート、
【図29】対象自動車において実行される制御データ選
択サブルーチンを示すフローチャート、
【図30】対象自動車において実行される制御データ選
択サブルーチンを示すフローチャート、
【図31】対象自動車において実行される制御実行サブ
ルーチンを示すフローチャート、
【図32】対象自動車において実行される制御実行サブ
ルーチンを示すフローチャート、
【図33】対象自動車において実行される制御実行サブ
ルーチンを示すフローチャート、
【図34】対象自動車において実行される制御実行サブ
ルーチンを示すフローチャート、
【図35】対象自動車において実行される制御実行サブ
ルーチンを示すフローチャート、
【図36】他の実施例にかかる対象自動車において実行
される走行特性変更制御の基本ルーチンを示すフローチ
ャート、
【図37】図36の実施例に係る対象自動車において実
行される制御データ選択サブルーチンを示すフローチャ
ート、
【図38】図36の実施例に係る対象自動車において実
行される制御データ選択サブルーチンを示すフローチャ
ート、
【図39】図36の実施例に係る自動車において実行さ
れる制御データ選択サブルーチンを示すフローチャー
ト、
【図40】図36の実施例に係る自動車において実行さ
れる制御実行サブルーチンを示すフローチャート、
【図41】図36の実施例に係る自動車において実行さ
れる制御実行サブルーチンを示すフローチャート、
【図42】図36の実施例に係る自動車において実行さ
れる制御実行サブルーチンを示すフローチャート、
【図43】図36の実施例に係る自動車において実行さ
れる制御実行サブルーチンを示すフローチャート、
【図44】本発明のさらに他の実施例に係る運転シミュ
レーション装置において実行される学習制御フローチャ
ート、
【図45】図44の実施例に係る運転シミュレーション
装置において実行される学習制御を示すフローチャー
ト、
【図46】図44の実施例に係る運転シミュレーション
装置において実行される学習制御のフローチャート、
【図47】図44の実施例に係る運転シミュレーション
装置において実行される学習制御のフローチャート、
【図48】学習プログラムC1のACSにおける上下加
速度GVと補正データとの関係を示すマップ、
【図49】学習プログラムC1のACSにおける横加速
度GLと補正データとの関係を示すマップ、
【図50】特性情報形成用自動車を用いた本発明の1実
施例にかかる特性変更自動車のブロックダイヤグラム、
【図51】特性情報形成用自動車の操作系、検出系およ
び制御系のブロックダイアグラム、
【図52】本発明の他の実施例に係る対象自動車の駆動
系と懸架系と操舵系の構成図、
【図53】図52の対象自動車の特性変更装置の制御系
の要部の構成図、
【図54】図52の実施例の対象自動車にかかる特性情
報形成装置とICカードの斜視図、
【図55】図52の実施例の対象自動車にかかる特性情
報形成装置のキーボードの平面図、
【図56】図52の実施例に係る対象自動車の特性情報
形成装置の制御系の構成図、
【図57】図52の実施例に係る対象自動車の特性情報
形成装置の取扱い説明書とデータ入力項目リストの斜視
図、
【図58】図52の実施例に係る対象自動車の第1パタ
ーンのデータ入力項目リストの説明図、
【図59】図52の実施例の対象自動車にかかるデータ
入力制御のルーチンのフローチャートの一部、
【図60】図52の実施例の対象自動車にかかるデータ
入力制御のルーチンのフローチャートの残部、
【図61】図52の実施例の対象自動車にかかる特性変
更前後の制御特性の表示例の説明図、
【図62】図52の実施例の対象自動車にかかる特性補
正係数演算処理のルーチンのフローチャート、
【図63】図52の実施例の対象自動車にかかる特性変
更処理のルーチンのフローチャート、
【図64】図52の実施例の変形例にかかる対象自動車
への第2パターンのデータ入力項目リストの説明図、
【図65】図52の実施例のさらに別の変形例に係る特
性情報形成装置の平面図、
【図66】本発明のさらに他の実施例にかかる特性変更
装置の構成図、
【図67】図66の実施例にかかる特性補正係数演算処
理のルーチンのフローチャート、
【図68】特性変更処理のルーチンのフローチャートで
ある。
【図69】図66の実施例の変形例にかかる特性変更装
置及び自動車用制御装置の制御系の構成図、
【図70】本発明のさらに他の実施例にかかる対象自動
車のスイッチボードに設けた変更スイッチ類、
【図71】図70の実施例にかかる対象自動車の制御装
置の構成図、
【図72】特性補正係数演算処理のルーチンのフローチ
ャートである。
【符号の説明】
1 運転シミュレーション装置 2 車体 3 ステアリングホィール 4 スクリーン 5 操作系位置可変機構 6 シート 7 シート位置可変機構 8 ドライバー医学データ検出手段 9 ICカード読み取り機 10 走行地域入力手段 11 マニュアルスィッチ 12 CD−ROM読み取り機 13 車体制御機構 14 インスツルメントパネル 15 インディケータ 16 ICカード 18 車種識別データ記憶部 19 運転位置変更用データ記憶部 20 標準制御データ記憶部 21 学習制御データ記憶部 22 第1学習プログラム記憶部 23 第2学習プログラム記憶部 24 補正用データ記憶部 25 更新回数記憶部 26 基点データ記憶部 27 標準医学データ記憶部 30 アクセルペダル 31 ブレーキペダル 32 クラッチペダル 33 シフトレバー 34 時計 35 消去スィッチ 36 画像信号受信機 37 上下加速度センサ 38 タイマー 39 タイマー 40 メイン・コンピュータユニット 41 ROM 42 RAM 43 画像制御手段 44 シート位置制御手段 45 操作系位置制御手段 46 操舵力制御手段 50 自動車 51 エンジン 52 エンジン制御装置 53 ステアリングホィール 54 前輪 55 ギヤ比変更装置 56 ギヤ比制御装置 57 パワーステアリング装置 58 パワーステアリング制御装置 59 後輪 60 アクティブサスペンション装置 61 アクティブサスペンション制御装置 62 ブレーキ 63 アンチ・ロック・ブレーキング制御装置 64 トラクション・コントロール装置 65 後輪操舵装置 66 4輪操舵制御装置 67 位置検出センサ 68 ディスプレイ装置 69 舵角センサ 70 マニュアル・スィッチ 71 時計 72 積算計 73 車速センサ 74 横加速度センサ 75 ICカード読取り手段 80 メイン・コンピュータユニット 81 ROM 82 RAM 83 位置算出用コンピュータユニット 90 インスツルメントパネル 91 インディケータ 92 エンジン制御装置用マニュアルスィッチ 93 ギヤ比制御装置用マニュアルスィッチ 94 パワーステアリング制御装置用マニュアルスィ
ッチ 95 アクティブサスペンション制御装置用マニュア
ルスィッチ 96 アンチ・ロック・ブレーキング制御装置用マニ
ュアルスィッチ 97 トラクション・コントロール装置用マニュアル
スィッチ 98 4輪操舵制御装置用マニュアルスィッチ 100 特性情報形成用自動車 103 ステアリングホィール 130 アクセルぺダル 131 ブレーキぺダル 132 クラッチぺダル 133 シフトレバー 111 マニュアルスイッチ111 135 消去スイッチ 185 開始・終了スイッチ 104 舵角センサ 108 ドライバー医学データ検出手段 109 ICカード読み取り装置 146 位置検出センサ 147 位置検出用コンピュータユニット147 148 ディスプレイ 152 エンジン制御装置 156 ギヤ比制御装置 158 パワーステアリング制御装置 164 トラクション・コントロール装置 166 4輪操舵制御装置 138 タイマー 139 タイマー 134 時計 201 対象自動車 202 エンジン 206 アクティブサスペンション装置 207 後輪操舵装置 208 パワーステアリング装置 209 制動装置 210 エンジン制御装置 211 アクティブサスペンション制御装置 212 4輪操舵制御装置 213 パワーステアリング制御装置 220 自動車の制御装置の特性変更装置 221 メイン制御ユニット 222 ROM 223 RAM 224 ICカードコネクタ 225 ディスプレイ 226 キャンセルスイッチ 240 特性情報形成装置 244 ディスプレイ 241 ICカードコネクタ 260 ICカード 302 エンジン 306 アクティブサスペンション装置 307 後輪操舵装置 308 パワーステアリング装置 310 エンジン制御装置 311 アクティブサスペンション制御装置 312 4輪操舵制御装置 313 パワーステアリング制御装置 320 自動車の制御装置の特性変更装置 321 特性補正係数演算装置 322 ROM 323 RAM 324 入力装置 326 車速センサ 327 舵角センサ 328 μセンサ 329 上下加速度センサ 331 データ記入カード 340 自動車用制御装置 401 対象自動車 406 アクティブサスペンション装置 407 後輪操舵装置 408 パワーステアリング装置 410 エンジン制御装置 411 アクティブサスペンション制御装置 412 4輪操舵制御装置 413 パワーステアリング制御装置 420 スイッチボード 423 一般道路スイッチ 424 高速道路スイッチ 425 都市部スイッチ 426 市街部スイッチ 427 市外地スイッチ 428 住宅地スイッチ 429 寒冷地スイッチ 431 ノーマルスイッチ 440 特性変更装置 441 特性 442 ROM 443 RAM
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G05B 13/04 G05B 13/04 17/02 17/02 // F02D 29/02 F02D 29/02 Z G06F 17/00 B62D 101:00 B62D 101:00 109:00 109:00 111:00 111:00 113:00 113:00 137:00 137:00 G06F 15/20 D (31)優先権主張番号 特願平4−314138 (32)優先日 平成4年10月28日(1992.10.28) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平5−18018 (32)優先日 平成5年1月7日(1993.1.7) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平5−51406 (32)優先日 平成5年2月16日(1993.2.16) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 永田 知子 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 大村 博志 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 立畑 哲也 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 坂本 清 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 和泉 知示 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−99439(JP,A) 特開 平4−205424(JP,A) 特開 平4−204381(JP,A) 特開 平3−57751(JP,A) 特開 平3−153436(JP,A) 特開 平1−190516(JP,A) 特開 平2−3559(JP,A) 特開 昭58−98772(JP,A) 特開 昭56−64130(JP,A) 実開 昭61−103705(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 41/00 - 41/28 B60R 16/00 B60G 17/015 B62G 6/00 G05B 13/00 - 17/02 F02D 29/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シミュレーション車体と、特性情報記憶
    手段に記憶された特性情報を読み取るデータ読み取り手
    段と、ドライバーが運転シミュレーションを実施する仮
    想走行地域を入力可能な走行地域入力手段と、スクリー
    ンと、前記走行地域入力手段に入力された走行地域と、
    ドライバーによる運転シミュレーションとにしたがっ
    て、運転シミュレーションが実施されている仮想走行場
    所を算出して、該仮想走行場所に対応する画像信号を読
    み取り、前記スクリーンに、前記仮想走行場所に対応す
    る画像を表示させるとともに、ドライバーの運転操作
    を、前記仮想走行場所との関係で学習して、対象自動車
    の特性を変更するための特性情報を形成し、運転シミュ
    レーションの終了時に、前記特性情報を、前記特性情報
    記憶手段に記憶させるコンピュータユニットとを備え、 該コンピュータユニットは、現在運転シミュレーション
    が実施されている特定の仮想走行場所が、所定の基点か
    ら所定距離内の特定地域内にあるときは、特定地域外に
    比してシミュレーションの精度を高めるとともに学習内
    容も増加させるように構成されていることを特徴とする
    運転シミュレーション装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記コンピュータユ
    ニットにより算出された前記仮想走行場所が、所定の基
    点から所定距離内の特定地域内にあるときは、前記コン
    ピュータユニットが、前記特定地域内の各道路の画像
    を、前記スクリーンに表示させるとともに、前記車体制
    御手段により、各道路の地形状況に応じた振動を車体に
    加えさせ、前記仮想走行場所が前記特定地域外にある場
    合には、地域に応じた一般的な画像を、スクリーンに表
    示させ、前記特性情報記憶手段が、前記特定地域内にお
    いて、運転シミュレーションを実施した時に、各道路の
    地形状態およびドライバーの運転操作を学習して得られ
    た学習特性情報を記憶する学習特性情報記憶部、前記特
    定地域外において、運転シミュレーションを実施した時
    に、ドライバーの運転操作を学習して得られた標準特性
    情報を記憶する標準特性情報記憶部および運転シミュレ
    ーションが実施される時に、学習特性情報または標準特
    性情報を補正するための学習プログラムを記憶する学習
    プログラム記憶部とを備えたことを特徴とする運転シミ
    ュレーション装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記特性情報記憶手
    段が、ドライバーの標準的な医学データを記憶する標準
    医学データ記憶部を有し、前記運転シミュレーション装
    置が、ドライバーの医学データを検出する医学データ検
    出手段を備え、前記コンピュータユニットが、運転シミ
    ュレーションを実施する時に、前記標準医学データ記憶
    部に記憶されているドライバーの標準医学データを読み
    取り、前記医学データ検出手段により検出されたドライ
    バーの医学データと比較して、ドライバーの心理状態を
    判定し、ドライバーの心理状態が平静でないときと認め
    られるときは、ドライバーの運転操作の学習を停止する
    ように構成されたことを特徴とする運転シミュレーショ
    ン装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
    て、前記特性情報記憶手段が、対象自動車の走行時に、
    走行制御ゲインを補正するために用いられる補正制御プ
    ログラムおよび前記学習プログラムを補正する補正用デ
    ータを記憶する補正用データ記憶部を有し、前記運転シ
    ミュレーション装置が、運転シミュレーションを実施す
    る時に、所定の画像を、前記スクリーンに表示させて、
    ドライバーの反応を検出し、補正用データを生成するよ
    うに構成されたことを特徴とする運転シミュレーション
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
    て、前記コンピュータユニットが、前記特定地域内にお
    いて、ドライバーの運転操作を、前記仮想走行場所との
    関係で学習する時は、前記特定地域内の各道路の単位区
    間毎に、ドライバーの運転操作状況を平均して、学習す
    るように構成されたことを特徴とする運転シミュレーシ
    ョン装置。
  6. 【請求項6】 特性情報記憶手段に記憶された特性情報
    を読み取り、ドライバーにより入力された運転シミュレ
    ーションを実行する仮想走行地域およびドライバーの運
    転シミュレーション装置の運転操作に基づき、運転シミ
    ュレーションが実施されている仮想走行場所を算出し
    て、算出された仮想走行場所に対応した画像をスクリー
    ンに表示し、ドライバーの運転シミュレーション装置に
    おける運転操作を、前記仮想走行場所との関係で学習し
    て、対象自動車の走行制御ゲインを変更するための特性
    情報を生成し、運転シミュレーションの終了時に、前記
    特性情報記憶手段に記憶させ、該コンピュータユニット
    は、現在運転シミュレーションが実施されている特定の
    仮想走行場所が、所定の基点から所定距離内の特定地域
    内にあるときは、特定地域外に比してシミュレーション
    の精度を高めるとともに学習内容も増加させる段階を有
    することを特徴とする運転シミュレーション方法。
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