JP3729275B2 - 車両の制御ゲイン変更方法 - Google Patents

車両の制御ゲイン変更方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の制御ゲイン変更方法に関し、特に車両の制御ゲインを第1ゲイン変更方法と第2ゲイン変更方法とで変更可能にした技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両では、不特定多数のドライバーが、どこを、どのような使用環境・状態で走行しても、一定の満足度を得るように、車両の駆動系、懸架系、操舵系の制御装置の制御ゲインが設定されている。
但し、各ドライバーの好みに応じて、パワーモードとノーマルモードを選択したり、アクティブサスペンション装置におけるコントロールモード、ハードモード、ソフトモードの所望の1つを選択したり、4輪操舵装置におけるスポーツモードとノーマルモードを選択したりする等、特定の少数の制御装置の制御ゲインのみを選択設定できるように構成したものも実用に供されている。
【0003】
更に、ドライバーの運転上の特徴を学習して走行特性の制御ゲインを変更可能にした学習制御自動車も提案されている。
例えば、特公平3−44029号公報には、操舵中における操舵角速度、操舵角、ヨーレイト、横加速度等をサンプリングし、所定時間内における平均値に基いてドライバーの操舵の特徴を抽出してステアリングホイールの操舵角に対する前輪及び/又は後輪の転舵角の比率を変更するように学習制御する学習制御自動車が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車両の制御ゲイン変更技術は、特定の1つの制御装置の制御ゲインをメーカーが設定した複数通りに変更できるのみで、ドライバーの希望する特性に変更できるようには構成されていないばかりか、車両の駆動系、懸架系、操舵系等の複数の制御装置の制御ゲインを所望の特性に変更するようには構成されていないので、車両の制御特性をドライバーの希望する特性に設定することは到底不可能である。
そこで、車両の複数の制御装置の制御特性をオーナードライバーの所望の特性に変更して設定できるように構成することが考えられるが、オーナードライバーの運転技量や性格を無視して制御ゲインの大幅な変更を許すことは、操縦安定性の面から好ましくない。そこで、操縦安定性を確保できるように、制御特性の変更幅を小さく制約すると制御特性の変更の効果が乏しくなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、操縦安定性を損なうことなく制御特性を変更できるようにすること、操縦安定性を損なわない限度において制御特性を大きく変更できるようにすること、等である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の車両の請求項ゲイン変更方法は、車両の制御ゲインを変更可能な複数の制御装置の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更方法において、前記複数の制御装置に車両メーカーが予め設定した変更不可能なメーカー設定制御ゲインと、前記複数の制御装置にドライバーの特性に応じて変更可能に設定されるオーダーメイド制御ゲインとを備え、車両のディーラー又はディーラーから委託された者が、前記複数の制御装置の前記オーダーメイド制御ゲインを、第1変更許容範囲内で変更する第1ゲイン変更方法と、車両を購入した購入者が、前記複数の制御装置の前記オーダーメイド制御ゲインを、第1変更許容範囲よりも狭い第2変更許容範囲内で変更する第2ゲイン変更方法とを含むものである。
【0007】
ここで、前記第1ゲイン変更方法は、車両の主なる使用目的に応じて各制御装置の制御ゲインを変更する構成(請求項2)、前記第1ゲイン変更方法は、車両を購入した購入者の運転経歴や運転技量を加味して制御ゲインを変更する構成(請求項3)、前記第2ゲイン変更方法は、車両の性能を変える為に、各制御装置の制御ゲインを変更する構成(請求項4)、前記第1及び第2ゲイン変更方法による変更結果を、前記複数の制御装置に信号授受可能な制御手段に夫々記憶させ、所定の指令信号により、前記制御手段に、第1ゲイン変更方法による変更結果と、第2ゲイン変更方法による変更結果とを択一的に選択させる構成(請求項5)、前記複数の制御装置は、車両の駆動系、懸架系、操舵系を制御する装置である構成(請求項6)、前記第1ゲイン変更方法により前記複数の制御装置の制御ゲインを変更後、前記第2ゲイン変更方法により前記複数の制御装置の制御ゲインを変更する構成(請求項7)、等の態様に構成することができる。
【0008】
【発明の作用及び効果】
請求項1の車両の制御ゲイン変更方法においては、複数の制御装置に車両メーカーが予め設定した変更不可能なメーカー設定制御ゲイン(実施例ではベース制御ゲイン)と、前記複数の制御装置にドライバーの特性に応じて変更可能に設定されるオーダーメイド制御ゲインを備え、車両のディーラー又はディーラーから委託された者が、車両の複数の制御装置の前記オーダーメイド制御ゲインを、第1変更許容範囲内で変更する第1ゲイン変更方法と、車両を購入した購入者が、複数の制御装置の前記オーダーメイド制御ゲインを、第1変更許容範囲よりも狭い第2変更許容範囲内で変更する第2ゲイン変更方法とを含むので、(a)第1ゲイン変更方法でオーダーメイド制御ゲインを変更後、第2ゲイン変更方法でオーダーメイド制御ゲインを変更したり、また、(b)第1ゲイン変更方法で変更したオーダーメイド制御ゲインと、第2ゲイン変更方法で変更したオーダーメイド制御ゲインとを択一的に採用する、等種々の態様で制御ゲインを変更できる。
(a)においては、ディーラー等が許容した第1変更許容範囲よりも狭い第2変更許容範囲内で、車両の購入者がオーダーメイド制御ゲインを変更するので、操縦安定性を損なう虞が少なくなる。
(b)においては、第1ゲイン変更方法で変更した制御ゲインを採用すると、第2変更許容範囲よりもい第1変更許容範囲内で変更されたオーダーメイド制御ゲインを採用できる。
【0009】
ここで、請求項2では、前記第1ゲイン変更方法は、車両の主なる使用目的に応じて各制御装置の制御ゲインを変更するため、車両の主なる使用目的に適した制御ゲインにすることができる。
請求項3では、第1ゲイン変更方法は、車両を購入した購入者の運転技量を加味して制御ゲインを変更するため、購入者の運転経歴や運転技量を加味した制御ゲインにすることができる。
請求項4では、第2ゲイン変更方法は、車両の性能を変える為に、各制御装置の制御ゲインを変更するので、車両の性能を変えることができる。
【0010】
請求項5では、第1及び第2ゲイン変更方法による変更結果を、複数の制御装置に信号授受可能な制御手段に夫々記憶させ、所定の指令信号により、その制御手段に、第1ゲイン変更方法による変更結果と、第2ゲイン変更方法による変更結果とを択一的に選択させるので、第1ゲイン変更方法による変更結果を採用すする場合には、広い制御ゲイン変更許容範囲により変更された制御ゲインを採用でき、また、第2ゲイン変更方法による変更結果を採用する場合には、狭い制御ゲイン変更許容範囲により変更された制御ゲインであって操縦安定性を損なうことのない制御ゲインを採用できる。
【0011】
請求項6では、複数の制御装置は、車両の駆動系、懸架系、操舵系を制御する装置であるので、車両の走行機能・操舵機能の制御特性を変更できる。
請求項7では、第1ゲイン変更方法により複数の制御装置の制御ゲインを変更後、第2ゲイン変更方法により複数の制御装置の制御ゲインを変更するので、両ゲイン変更方法により変更された制御特性を達成できる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しつつ説明する。
最初に、本実施例に係る自動車の制御装置の制御ゲイン変更システム及び制御ゲイン変更方法の概要について説明する。
この制御ゲイン変更システムは、自動車の駆動系、懸架系、操舵系の制御特性を、オーナードライバーの希望通りの特性に設定したり、その自動車を使用するその他のドライバー(妻、息子、娘等)の希望通りの特性に設定したりする為の装置であり、この制御ゲイン変更システムは、自動車を購入したオーナードライバーに提供されるゲイン変更器20であって自動車から取り外して自宅等において操作可能なゲイン変更器20と、自動車に設けられたゲイン変更装置70とで構成されている。
【0013】
オーナードライバーが自動車を購入したとき、その自動車を販売した販社又は販社やその自動車のメーカーと提携・協力関係にある企業(以下、特定事業体という)が、オーナードライバーの運転技量を評価し、その評価とドライバーの希望に基いてゲイン変更器20に対して、自動車の駆動系、懸架系、操舵系の制御特性の変更を許容する変更許容幅と1次制御特性の制御ゲイン補正係数(制御ゲイン係数)とを設定する。次に、オーナードライバーは、購入した自動車の到着前または到着後、自宅等において、ゲイン変更器20を操作して、自動車の駆動系、懸架系、操舵系の制御特性が所望の特性となるように、それらの制御ゲイン補正係数(以下、制御ゲイン係数という)を設定する。但し、この制御ゲイン係数は、特定事業体において設定された変更許容幅の範囲内となるように自動的に規制される。
【0014】
次に、自動車内において、ゲイン変更器20からゲイン変更装置70に、制御プログラム、制御特性変更用の入力データ及び制御ゲイン係数のデータを無線送信により転送して記憶させ、そのゲイン変更装置70により、その受信した制御プログラムと入力データ及び制御ゲイン係数データに基いて自動車の駆動系、懸架系、操舵系の特性を変更する。但し、ゲイン変更器20を自動車内の運転席の近くの装着部(インストルメントパネルやセンターコンソールに設けられる)に装着し、ゲイン変更器20を送信モードに設定した状態において、ゲイン変更器20を操作して、自動車の駆動系、懸架系、操舵系の制御特性を変更することもできるように構成されている。
【0015】
更に、自動車内において、ゲイン変更装置70に対して、ゲイン変更器20と同様に、自動車の駆動系、懸架系、操舵系の特性を設定することも可能に構成してあり、その設定した特性の入力データを、ゲイン変更器20へ送信にて転送して、自宅等においてゲイン変更器20のディスプレイ21に自動車の駆動系、懸架系、操舵系の制御特性を表示させて検討し、入力データを部分的に又は全面的に変更後、ゲイン変更装置70に再転送することも可能に構成されている。
【0016】
ここで、制御ゲイン変更システムは、自動車の駆動系、懸架系、操舵系の制御特性を変更するだけでなく、自動車の特定の作動状態(始動、始動点検、パーキング、給油、トンネル走行、等々)において、複数の機器の作動モードを予め設定しておき、その制御プログラムや設定データをゲイン変更装置70に転送し、自動車が特定の作動状態になったときに、簡単なスイッチ操作で、複数の機器を設定した作動モードに駆動させることもできる自動車用機器制御装置を含むものである。
【0017】
次に、以上の概要について、更に詳しく説明する。
前記特定事業体において、オーナードライバーの運転技量を評価する場合、特定事業体の専属のスタッフ(以下、専業者という)の同乗の下に、オーナードライバーが、購入した自動車を数時間に亙って試験運転し、その試験運転を観察することにより、専業者がオーナードライバーの運転技量を評価し、その評価結果に基いて、ゲイン変更用設定器65により、自動車の駆動系、懸架系、操舵系の制御特性の変更を許容する変更許容幅と、1次特性の制御ゲイン係数とをゲイン変更器20に対して設定する。尚、この変更許容幅は、オーナードライバーの運転技量の向上(例えば、運転合計走行距離の増大)に応じて拡大修正される。
【0018】
この専業者による変更許容幅の設定入力後、購入した自動車の到着前又は到着後、オーナードライバーは、ゲイン変更器20を操作し、運転に関連する特性(性別、年令、車歴、等々)と、オーナードライバーが希望する自動車の性能(運転性、乗り心地、燃費)と、自動車を使用する使用状態(使用環境、使用条件)等について、ゲイン変更器20のディスプレイ21に表示されるデータ入力項目リスト(図10参照)を介して、制御ゲイン特性の設定に用いる複数項目のデータをゲイン変更器20に入力して記憶させる。
ゲイン変更器20は、入力データに基いて制御ゲイン特性を演算してディスプレイに表示出力するので、オーナードライバーは、その制御ゲイン特性について種々検討し、必要に応じてデータの再入力や部分的変更等を行うことができる。但し、この制御ゲイン特性は、特定事業体の専業者により設定された変更許容幅内に入るように規制されることになる。
【0019】
更に、オーナードライバーは、渋滞用の制御ゲイン特性、高速道用の制御ゲイン特性、悪路走行用の制御ゲイン特性、その他種々の所望の走行状態(ドライビング、ショッピング用走行、等々)について、前記データ入力項目リストを介さずに、ゲイン変更器20のディスプレイへの表示を介して、駆動系、懸架系、操舵系の制御ゲイン特性を直接入力設定することもできる。但し、この場合、駆動系、懸架系、操舵系の制御ゲイン特性が、全体としてバランスしているか否かを示す為の特性評価画面がゲイン変更器20のディスプレイ21に表示されるので、その特性評価画面に基いて再設定できる。尚、この場合の制御ゲイン特性の設定許容幅は、比較的狭く設定してあるため、専業者による変更許容幅の規制を受けない。
【0020】
更に、オーナードライバー以外の複数のドライバーの各々が希望する制御ゲイン特性に関しては、前記データ入力項目リストを介さずに、ディスプレイ21への表示を介して、駆動系、懸架系、操舵系の制御ゲイン特性を直接入力設定することができる。この場合、駆動系、懸架系、操舵系の制御ゲイン特性が、全体としてバランスしているか否かを示す為の特性評価画面がゲイン変更器20のディスプレイ21に表示されるので、その特性評価画面に基いて再設定できる。尚、オーナードライバー以外の複数のドライバーは、前記専業者の観察の下に試験運転していないため、また、この場合の制御ゲイン特性の設定許容幅は比較的狭く設定してあるため、これらのドライバー用の制御ゲイン特性は、専業者による変更許容幅の規制を受けない。
【0021】
自動車の特定の作動状態(始動、始動点検、パーキング、給油、トンネル走行、視界低下時、雨天走行、等々)に関して説明する。
始動時には、エンジンをONにし、電動ミラーを開き、好ましくは、オーディオ機器をONにし、空調機器をONにする必要があるので、これら操作対象機器の作動モードをゲイン変更器20に設定できる。始動点検時には、特定の操作対象機器(ウインカやランプ類等)を所定時間作動させる必要があるので、これら操作対象機器の作動モードをゲイン変更器20に設定できる。パーキング時には、ウインドやサンルーフを閉じ、ランプやワイパーをOFFとし、ミラーを格納したりする必要があるので、これら操作対象機器の作動モードをゲイン変更器20に設定できる。
【0022】
給油時には、エンジンをOFFにしたり、フューエルリッドを開き、運転席のウインドを開けたり、ランプ類をOFFにしたりする必要があるので、これら操作対象機器の作動モードをゲイン変更器20に設定できる。その他、トンネル走行時や、視界低下時、雨天走行時についても同様である。
以上のように、自動車の複数の特定作動状態の各々における操作対象機器についてゲイン変更器20に設定した設定データを、ゲイン変更器20からゲイン変更装置70に送信しながら、又は、送信してから、各特定作動状態において、ワンタッチ操作的に操作対象機器の作動モードを実現できるように構成してある。
【0023】
このように、自動車の駆動系、懸架系、操舵系の制御特性を、オーナードライバーに固有の諸条件(運転に関する特性、所望の特性、使用状態等)に応じた特性に設定したり、特定の走行目的や走行態様に適する特性に設定したり、オーナードライバー以外のドライバーの所望の特性に設定したりすることにより、複数のドライバーの各々に対して、自動車のイージーオーダー化を図ることができる。更に、自動車の複数の特定作動状態の各々において、複数の操作対象機器を設定した作動モードで作動させることができる。
【0024】
次に、自動車の制御装置の全体構成、ゲイン変更器20とその制御系、自動車に設けられたゲイン変更装置70とその制御系、ゲイン変更器20における制御、ゲイン変更装置70における制御について順々に説明する。
図1に示すように、自動車1には、少なくとも、車体2、前輪3と後輪4、エンジン5、自動変速機6、アクティブサスペンション装置7、操舵ハンドル8に連結されたパワーステアリング装置9、後輪操舵装置10、前後輪のブレーキ装置11、および通常の自動車と同様の種々の装備機器(燃料供給装置、パワーウインド装置、サンルーフ、シート装置、電動ミラー装置、空調装置、インストルメントパネル)等々が設けられている。更に、センターコンソール又はインストルメントパネルには、ゲイン変更器20を着脱自在に装着する為の装着部(図示略)が設けられ、自動車1のルーフの内面にはゲイン変更器20から送信される信号を受信する受信機12と、ゲイン変更器20に送信する為の送信機13が設けられている。
【0025】
更に、自動車1には、その自動車用制御システムに含まれる各部制御装置として、少なくとも、エンジン5の吸気量、点火時期、燃料噴射量を夫々制御するエンジン制御装置14(EGI )と、自動変速機6を制御する自動変速機制御装置15(EAT )と、前輪3と後輪4のアクティブサスペンション装置7を制御するアクティブサスペンション制御装置16(ACS )と、後輪4を操舵する後輪操舵装置10を制御する4輪操舵制御装置17(4WS )と、操舵ハンドル8をアシストするパワーステアリング装置9を制御するパワーステアリング制御装置18(P/S )とが設けられている。
【0026】
ここで、各部制御装置14〜18には、自動車メーカーにより、予めベース制御ゲインが夫々設定されており、本願の制御ゲイン変更システムにより、各部制御装置毎に求める制御ゲイン係数をベース制御ゲインに乗算することで制御ゲインが変更される。尚、各部制御装置14〜18により実行される制御は、一般的な制御であるので、の説明は省略する。
【0027】
次に、自動車の制御ゲイン変更システムの詳細な構成と、その制御ゲイン変更方法について説明する。
この制御ゲイン変更システムは、図2と図3に示すゲイン変更器20と、図2に示す自動車に設けられたゲイン変更装置70とで構成されている。
このゲイン変更器20とその制御系について、図2と図3を参照しつつ説明する。このゲイン変更器20は、その簡単な説明書とともに、自動車を購入したオーナードライバーに、販社から提供されるものである。
【0028】
図2に示すように、ゲイン変更器20は、偏平なボックス形状の変更器本体と、その前面に設けられた複数のキーやスイッチ類および液晶ディスプレイ21を有し、液晶ディスプレイ21には、約20行程度の文字や図形を表示可能であり、ディスプレイ21の画面には、マトリックス状に配置された約20の透明電極からなる画面スイッチが設けられ、ゲイン変更器20の内部には、その制御系とバッテリ23が内蔵されている。尚、本実施例において「SW」とは、スイッチの略称である。
【0029】
ゲイン変更器20には、電源をON/OFFする為のメインSW24、ゲイン変更SW25、自動車1に装備されたAV機器を操作する為のAVSW28、ディスプレイ21に年月日時刻を表示させるクロックSW28、ゲイン変更器20を家庭のTV受像機に接続してテレビ画面に表示させ且つ必要な説明用の音声出力をテレビのスピーカーから出力させる為のTV出力SW29、ゲイン変更装置70に無線方式にて送信する送信モードを設定する送信SW30、ゲイン変更装置70から無線方式で送信される信号を受信する受信モードを設定する受信SW31、及び以下のキーボードキー40とが設けられている。尚、送信SW30には、送信モードで点灯する発光ダイオードが、また、受信SW31には、受信モードで点灯する発光ダイオードが、夫々設けられている。
【0030】
前記キーボードキー40としては、データ入力の開始と終了を夫々指示する為の開始キー41および終了キー42、アルファベットキー44、数字キー43、クリアキー45、オールクリアキー46、データをメモリに記憶させる為のメモリキー49、メモリに記憶したデータを消去する為のデータ消去キー50、ローマ字入力したデータをカタカナに変換する為のカタカナ変換キー51、アルファベット入力文字を変換しない無変換キー52、決定や実行を指示する為の実行キー48、ディスプレイ21のカーソル21aを上下左右に移動させる為のカーソル移動キー47、ディスプレイ21の画面を前頁に戻す為の前頁キー54、ディスプレイ21の画面を次頁に進める為の次頁キー55、ゲイン変更器20の現在の作動モードを解除する為のモード解除キー53等が設けられている。
【0031】
ゲイン変更器20の制御系に関して、図3に示すように、ゲイン変更器20の制御装置60(CU0)は、マイクロコンピュータとI/Oポートとを備え、この制御装置60には、前述の複数のスイッチ24〜31と、複数のキー41〜55と、ゲイン変更装置70に送信信号を出力する送信機56と、ゲイン変更装置70からの送信信号を受信する受信機57と、ディスプレイ21を制御するディスプレイコントローラ22と、TV受像機64に出力するCRT画像信号を発生するCRT画像信号発生装置58と、TV受像機64のスピーカーに出力する音
【0032】
声信号を発生する音声信号発生装置59と、後述の種々の制御の制御プログラムやそれに付随するテーブルや画面表示データや音声出力データ等を予め格納したROM61と、種々の制御プログラムの演算処理用のデータを記憶するメモリや入力設定される種々のデータや演算結果のデータを記憶するRAM62と、バッテリ23とが図示のように接続され、RAM62は適宜バッテリ23から充電される2次バッテリ63でバックアップされている。更に、制御装置60には、専業者が制御ゲイン係数許容範囲のデータを入力する為に、ゲイン変更幅設定器65を接続する為のアクセスポート66が設けられている。
【0033】
自動車1内において、ゲイン変更器20送信モードにし、ゲイン変更装置70を受信モードにした状態において、AVSW26をONにすると、ディスプレイ21には、図4に示すようなAV機器操作画面21Aが表示され、ディスプレイ21の表示個所の画面スイッチを操作すると、その操作に対応する制御信号が、ゲイン変更装置70に送信され、自動車1に設けられたAV機器(テープレコーダ、CDプレヤー、ラジオ)を設定操作できるように構成してある。
但し、ゲイン変更器20から制御プログラム及びテーブル、画面表示データ、入力データお制御ゲイン係数のデータ、機器設定データをゲイン変更装置70の制御装置90(CUV)に送信後には、ゲイン変更装置70のAVSW76を操作することで、上記と全く同様の設定と操作が可能である。
【0034】
前記と同様に、空調SW27をONにすると、ディスプレイ21には、図5に示すような空調系操作画面21Bが表示され、ディスプレイ21の画面スイッチを操作すると、その操作に対応する制御信号が、ゲイン変更装置70に送信され、自動車1に設けられた空調機器が制御されるように構成してある。但し、前記と同様に、制御プログラムやデータを送信後には、ゲイン変更装置70の空調SW77を操作することで、上記と全く同様の制御及び操作が可能である。
【0035】
前記ゲイン変更器20は、自宅や自動車内において、時計として活用でき、クロックSW28をONに操作すると、ディスプレイ21には、図6の時計画面21Cに示すように、現在の年月日と時刻が表示される。この現在の年月日と時刻の表示の為に、ROM61には、CPUからのクロック信号をカウントして絶対年月日時刻を演算する制御プログラムが格納してある。
【0036】
次に、ゲイン変更SW25をONにしてゲイン変更器20を作動させるときの制御モードの階層構造について説明する。
図7に示すように、「オーダーメイド」のモードでは、ディスプレイ21に表示されるデータ入力項目画面21F(図10参照)のデータ入力項目リストに、オーナードライバー固有の諸条件(運転に関する特性、所望の特性、使用状態等)のデータを入力設定して、各部制御装置(EGI,ACS,4WS,P/S )の制御ゲイン特性を設定したり、その入力データを変更したりすることができる。
「システム」のモードでは、ディスプレイ21に表示される制御ゲイン特性画面21G(図11参照)にグラフ表示される各部制御装置(EGI,ACS,4WS,P/S )の制御ゲイン特性(「オーダーメイド」のモードにて設定、又は「システム」のモードにて変更設定される)を、カーソル21aを介して変更設定できる。
【0037】
「ワンタッチSW」のモードでは、図13のワンタッチSW画面21Iに図示のような、始動SW、始動点検SW、パーキングSW、給油SW、トンネルSW、視界改善SW、雨天SWなどの複数のワンタッチSWの為の各SWモードについて、複数の操作対象機器の作動モードを設定し、その設定を変更し、その設定を実行させることができる。
更に、「ワンタッチSW」のモードにおいては、図示のように、渋滞SW、高速道SW、悪路SW、・・・SON SW等の複数のワンタッチSWの各SWモードについて、各部制御装置(EGI,EAT,ACS,4WS,P/S )の制御ゲイン特性を設定し、その設定を変更し、その設定を実行させることができる。
【0038】
更に、「ワンタッチSW」のモードでは、メーカー特性SWと1次特性SWとオーダーメイド特性SWの各ワンタッチSWにより、各SWモードにおける各部制御装置の制御ゲイン特性の設定を実行させることができる。
前記メーカー特性SWにより、メーカー特性を選択した場合には、各部制御装置(EGI,EAT,ACS,4WS,P/S )に予め設定されたベース制御ゲインによる制御が実行される。
前記1次特性SWにより、前記専業者により設定された1次特性を選択した場合には、各部制御装置(EGI,ACS,4WS,P/S )に設定された1次特性の制御ゲインによる制御が実行される。
【0039】
前記オーダーメイド特性SWにより、オーダーメイド特性を選択した場合には、基本的には「オーダーメイド」のモードにおいて設定又は変更設定された各部制御装置(EGI,ACS,4WS,P/S )の制御ゲイン特性による制御が実行されるが、この「オーダーメイド」のモードにおいて設定された制御ゲイン特性が、「システム」のモードにおいて変更設定された場合には、その変更設定された制御ゲイン特性による制御が実行される。
更に、「ワンタッチSW」のモードにおける「設定実行」のモードでは、リターンSWをONにすると、実行中のワンタッチSWのSWモードを解除して直前のSWモードに復帰することができる。例えば、高速道SWのSWモードの次に設定されたトンネルSWのSWモードにおいて、リターンSWをONに操作すると、トンネルSWのSWモードが解除され高速道SWのSWモードに復帰する。
【0040】
次に、前記ゲイン変更器20の機能の概要について、ディスプレイ21への表示例を参照しつつ簡単に説明する。
ゲイン変更SW25をONにすると、図8の第1メニュー画面21Dが表示され、カーソル21aで「オーダーメイド」を指示して実行キー48を操作することで、「オーダーメイド」のモードを選択すると、図9の第2メニュー画面21Eが表示される。
次に、カーソル移動キー47を操作してカーソル21aを移動させ、カーソル21aで「新規設定」を指示して実行キーを操作することで、「新規設定」モードを選択すると、図10に示すデータ入力項目画面21Fが表示される。
【0041】
前記データ入力項目画面21Fのデータ入力項目リストには、データ入力項目とデータ入力用の指示が記載されており、データ入力項目には、入力項目A項におけるオーナードライバーに関する5つの小項目(性別、年令、車歴、保有台数、使用形態)の質問と回答欄とデータ入力形式と、入力項目B項における使用環境に関する3つの小項目(気温、場所、高度)の質問と回答欄とデータ入力形式と、入力項目C項における使用条件に関する2つの小項目(主な用途、主な同乗者)の質問と回答欄とデータ入力形式と、入力項目D項における所望の性能に関する3つの小項目(運転性、乗り心地、燃費)の質問と回答欄とデータ入力形式とが示されている。
【0042】
次に、モード解除キー53を操作すると、再度図8の第1メニュー画面21Dが表示される。そこで、カーソル21aを介して「システム」を選択すると、図9の第2メニュー画面21Eが表示されるので、カーソル21aを介して「新規設定」又は「設定変更」を選択すると、図11に示す制御ゲイン特性画面21Gが表示される。
この制御ゲイン特性画面21Gには、P/T系(駆動系)のうちのEGIの制御ゲイン特性、ACS の制御ゲイン特性、4WS の制御ゲイン特性、P/S の制御ゲイン特性の各々について、前回の制御ゲイン特性(「旧」の棒グラフ)と今回の制御ゲイン特性(「新」の棒グラフ)とメーカー設定の制御ゲイン特性(制御ゲイン係数1.0 に相当し、点線で図示)が表示され、また、総評のコメントが表示される。但し、前回の制御ゲイン特性がないときには、前回の制御ゲイン特性は表示されない。
【0043】
この制御ゲイン特性画面21Gを介して、各部制御装置(EGI,ACS,4WS,P/S )の制御ゲイン特性を設定(新規設定又は変更設定)できる。この場合、各部制御装置の制御ゲイン特性毎に、「新」の棒グラフに対して、カーソル21aを介して所望のレベルを指示した状態において実行キー48を操作することにより、制御ゲイン係数を設定することができる。
次に、モード解除キー53を操作すると、再度図8の第1メニュー画面21Dが表示される。そこで、カーソル21aを介して「ワンタッチSW」を選択すると、図12の第3メニュー画面21Hが表示されるので、カーソル21aを介して「新規設定」を選択すると、図13に示すワンタッチSW画面21Iが表示される。
【0044】
このワンタッチSW画面21Iにおいては、画面スイッチを介して、所望のワンタッチSWを操作することができ、操作されたワンタッチSWは、それを識別できるように高輝度表示又は点滅表示される。
始動SWをONにすると、図14の始動SW画面21Jが表示される。この始動SW画面21Jは、自動車の始動に関係する操作対象機器(エンジン、電動ミラー,空調機器,AV機器等)の作動や作動停止の作動モードを設定する為の画面であり、Doは各機器の作動の実行を示し、Noは各機器の作動を実行しないことを示し、カーソル21aと実行キー48を介して、実行を指示するとDoに下線が付され、非実行を指示するとNoに下線が付される。尚、初期状態では、全部のDoに下線を付されている。
【0045】
次に、モード解除キー53を操作すると、再度図13のワンタッチSW画面21Iに戻る。そこで、始動点検SWをONにすると、図15の始動点検SW画面21Kが表示される。この始動点検SW画面21Kは、始動点検に関係する操作対象機器(ウインカー,ヘッドライト,スモールランプ,ブレーキランプ)の作動や作動停止の作動モードを設定する為の画面であり、前記と同様に、カーソル21aと実行キー48を介して設定できる。
【0046】
前記と同様に、パーキングSWをONにすると、図16のパーキングSW画面21Lが表示される。このパーキングSW画面21Lは、パーキングに関係する操作対象機器(パワーウインド,サンルーフ,ランプ,ワイパー,ミラー,等)の作動や作動停止の作動モードを設定する為の画面であり、前記と同様に、カーソル21aと実行キー48を介して設定できる。
【0047】
以下、同様にして、図17に示す給油SW画面21Mは、給油に関連する操作対象機器(フューエルリッド,パワーウインド,エンジン,ランプとワイパー,空調装置,オーディオ機器)の作動や作動停止の作動モードを設定する為の画面であり、前記と同様に、カーソル21aと実行キー48を介して設定できる。
更に、図18に示すトンネルSW画面21Nは、トンネル走行に関連する操作対象機器(パワーウインド,サンルーフ,ワイパー,ヘッドライト,空調装置,4WS)の作動や作動停止の作動モードを設定する為の画面であり、前記と同様に、カーソル21aと実行キー48を介して設定できる。尚、4WSの特性変更は、4WSの制御ゲインを10〜15%安定側へ変更する作動状態を示す。但し、4WSの特性を変更する場合、その特性変更を指示する制御信号が、4輪操舵制御装置17に出力される。
【0048】
更に、図19に示す視界改善SW画面21Oは、視界不良時に視界改善する為に関連する操作対象機器(空調装置,デフロスタ,デフォッガ,ミラー熱線,ミラー超音波発生器)の作動や作動停止の作動モードを設定する為の画面であり、前記と同様に、カーソル21aと実行キー48を介して設定できる。
更に、同様にして、図20に示す雨天SW画面21Pは、雨天走行に関連する操作対象機器(パワーウインド,サンルーフ,デフロスタ、デフォッガ,ミラー熱線,ワイパー,4WS ,ABS/TCS )の作動や作動停止の作動モードを設定する為の画面で、前記同様に、カーソル21aと実行キー48を介して設定できる。
【0049】
尚、4WSの特性変更は、4WSの制御ゲインを10〜15%安定側へ変更する作動状態を示す。ABSはアンチスキッドブレーキング制御を示し、また、TCSはトラクション制御(エンジントラクション制御及び/又はブレーキトラクション制御)を示し、ABS/TCSの特性変更は、アンチスキッドブレーキング制御やトラクション制御の制御特性を10〜15%安定側(つまり、スリップ抑制側)へ変更する作動状態を示す。
ABSの特性を変更する場合には、その特性変更の制御信号が制動制御装置99へ出力され、また、TCSの特性を変更する場合には、その特性変更の制御信号がエンジン制御装置14及び/又は制動制御装置99へ出力される。
【0050】
次に、図13に示す渋滞SW、高速道SW、悪路SW、DRIVING SW、SHOPPINGSW、OWNER SW、WIFESW、SON SWは、各部制御装置(EGI,EAT,ACS,4WS,P/S )の制御ゲイン特性を個別に設定する為のSWであり、図13に鎖線で図示したDRIVING SW、SHOPPINGSW、OWNER SW、WIFESW、SON SWの夫々のタイトルもオーナードライバーにより設定される。
渋滞SWは渋滞道路走行用の制御ゲイン特性を、高速道SWは高速道路走行用の制御ゲイン特性を、悪路SWは悪路走行用の制御ゲイン特性を、DRIVING SWはDRIVING 用の制御ゲイン特性を、SHOPPINGSWはSHOPPING走行用の制御ゲイン特性を、OWNER SWはオーナードライバー用の制御ゲイン特性を、WIFESWは妻用の制御ゲイン特性を、SON SWは息子用の制御ゲイン特性を、夫々設定する為のものである。
【0051】
前記の8つのSW画面は、タイトル以外は同様の画面であるので、高速道SWを例として説明する。
図13のワンタッチSW画面21Iにおいて、高速道SWをONにすると、図21に示す高速道SW画面21Qが表示される。そこで、各部制御装置の制御ゲイン係数(図の横軸に0.8 〜1.2 の範囲で図示)を、カーソル21aを介して、0.8 〜1.2 の範囲の所望の値に指示して実行キー48を操作して設定することができ、設定された制御ゲイン係数の値は、三角マークで表示される。同様にして、カーソル21aを介して総合特性の制御ゲイン係数を設定でき、その設定が三角マークで表示される。尚、この画面において設定した各部制御装置(EGI,EAT,ACS,4WS,P/S )の制御ゲイン係数は、総合特性の制御ゲイン係数を乗算して補正されることになる。これにより、各部制御装置の制御ゲイン係数の設定が全体として調和していない場合にも、総合特性の制御ゲイン係数で補正することで、アンバランスを緩和することができる。
【0052】
但し、「ワンタッチSW」のモードにおいて、「設定変更」モードを選択した場合にも、「新規設定」モードの場合と同様に、各SW画面における種々の設定を変更することができる。
尚、メーカー特性SWと1次特性SWとオーダーメイド特性SWは、これらのワンタッチSWをONしてもSW画面が表示されず、これらのワンタッチSWは、次の「設定実行」モードにおいてのみ有効となる。
ここで、「設定実行」のモードは、ゲイン変更器20のみで実現できず、ゲイン変更器20からゲイン変更装置70の制御装置90に、制御プログラムや画面表示データや入力データや制御ゲイン係数のデータや機器設定データを転送した後、又は、ゲイン変更器20を自動車内において送信モードに設定し且つゲイン変更装置70を受信モードに設定した状態において実現されるモードであって、「ワンタッチSW」のモードにおいて各ワンタッチSW毎に設定した作動モードを実行するモードである。この「設定実行」のモードにおいて、ワンタッチSW画面21Iを表示して、所望のワンタッチSWをONすることで、設定した作動モードを実行できるが、その設定実行中にリターンSWをONにすることで、直前のワンタッチSWの作動モードに復帰できる。
【0053】
次に、ゲイン変更器20をTV受像機64に接続した状態において、図8〜図13の画面と、ワンタッチSWモードにおける各SW画面を、ディスプレイ21に代えてTV受像機64に表示させ得るように構成してあり、TV受像機64に表示させる場合には、設定や設定変更の為の種々の説明情報を音声出力できる。
そのため、ゲイン変更器20のROM61には、制御プログラムに付随するデータとして、図22に示すような種々の画面表示データと音声出力データとが格納してある。
画面表示データは、液晶ディスプレイ21,71(図3,図2参照)に表示する為のデータであり、TV出力SW29がONのときには、この画面表示データがCRT表示データに変換され、そのCRT表示データがCRT画像信号発生器58へ出力される。音声出力データは、TV出力SW29がONのときに、音声信号発生装置59に出力される。
【0054】
従って、自宅等において、ゲイン変更器20を作動させるときには、ディスプレイ21に画像のみ表示させたり、TV受像機64に画像を出力させ且つ音声の説明情報を出力させることができる。また、自動車内においては、ゲイン変更装置70の液晶ディスプレイ71に画像のみ表示させることができる。但し、自動車内にTV受像機を有する場合には、そのTV受像機に画像を出力させ且つ音声の説明情報を出力できる。
【0055】
前記ゲイン変更器20のRAM62には、制御の演算処理上のデータを記憶するメモリ類に加えて、図23に示す種々の入力データや設定データを記憶する為のメモリm1〜m20,・・・と、専業者がアクセスポート66にゲイン変更用設定器65を接続して入力した制御ゲイン係数許容範囲(FKe1,FKe2 、FKa1,FKa2 、FKw1,FKw2 、FKw1,FKw2 )及び1次特性の制御ゲイン係数(DKe,DKa,DKw,DKp )の初期データを記憶する為のメモリm30と、制御ゲイン係数許容範囲(FKe1,FKe2 、FKa1,FKa2 、FKw1,FKw2 、FKw1,FKw2 )の更新データを記憶する為のメモリm31など設けられている。
【0056】
制御ゲイン係数(FKe,FKa,FKw,FKp )の初期データとして、1.0 が予めメモリm3,m5に格納され、入力データがメモリm1に格納されると、その入力データを用いて演算された制御ゲイン係数(FKe,FKa,FKw,FKp )のデータがメモリm3に記憶され、メモリm1の入力データを変更したときには、最新の制御ゲイン係数(FKe,FKa,FKw,FKp )のデータがメモリm3に記憶され、前回の制御ゲイン係数(FKe,FKa,FKw,FKp )のデータがメモリm2に記憶される。
ここで、「システム」のモードを介して、制御ゲイン係数を変更しないうちは、メモリm3のデータと同じデータが、メモリm5に記憶される。「システム」のモードを介して、制御ゲイン係数を変更したときには、メモリm5のデータが更新される。そして、メモリm5には、常に最新の制御ゲイン係数(FKe,FKa,FKw,FKp )のデータが記憶され、このメモリm5の制御ゲイン係数のデータに基いて、制御ゲインが変更される。尚、メモリm5のデータが更新されると、前回の制御ゲイン係数(FKe,FKa,FKw,FKp )のデータはメモリm4に記憶される。
【0057】
図23の渋滞SW用のメモリm13と、高速道SW用のメモリm14と、悪路SW用のメモリm15には、各ワンタッチSWのモードで設定された最新の制御ゲイン係数(FKe,FKt,FKa,FKw,FKp )のデータ(後述のように、補正前のデータと補正後のデータ)が、夫々記憶される。
タイトルも含めて設定されるDRIVING SWとそれ以降のSWに関しては、各メモリm16〜m20に、各ワンタッチSWのモードで設定された最新のタイトルのデータと、最新の制御ゲイン係数(FKe,FKt,FKa,FKw,FKp )のデータ(後述のように、補正前のデータと補正後のデータ)とが記憶される。
【0058】
次に、自動車1に設けられたゲイン変更装置70について説明する。
前記ゲイン変更装置70のうちのキーやスイッチ類は、自動車のインストルメントパネルに組み込まれるものである。
図24に示すように、ゲイン変更装置70の制御装置90(CUV)には、センサ類と、スイッチ類と、ゲイン変更器20のキーボードキー40と同様のキーを含むキーボード89と、送信機12と、受信機13と、ROM91と、RAM92と、AVSW76と、空調SW77と、クロックSW78と、液晶ディスプレイ71を制御するディスプレイコントローラ72とが接続されている。
前記センサ類としては、自動車1の車速を検出する車速センサ82、ハンドル舵角を検出する舵角センサ83、路面の摩擦状態を検出する路面摩擦センサ84、自動車1に作用する横加速度を検出する横加速度センサ85、自動車1に作用する上下加速度を検出する上下加速度センサ86、自動車1のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ87、燃料計88等が設けられている。
【0059】
前記スイッチ類としては、ゲイン変更器20のスイッチ類と同様に、電源を投入する為のメインSW74、送信機94を作動させる送信モードを設定する送信SW80、受信機95を作動させる受信モードを設定する受信SW81、ゲイン変更SW75、AVSW76、空調SW77、クロックSW78等が設けられている。
前記キーボード89は、ゲイン変更器20と同様に、開始キー、終了キー、数字キー、アルファベットキー、クリアキー、オールクリアキー、カーソル移動キー、実行キー、メモリキー、データ消去キー、カタカナ変換キー、無変換キー、モード解除キー、前頁キー、次頁キーを含む。
【0060】
前記制御装置90は、図示の如く、エンジン制御装置14、自動変速機制御装置15、アクティブサスペンション制御装置16、パワーステアリング制御装置18、4輪操舵制御装置17、IgSW電気回路97、ライトやランプやウインカやデフォッガを制御するランプ制御装置98、ブレーキ装置11を制御する制動制御装置99、燃料供給系を制御する燃料系制御装置100、電動ミラーやパワーウインド装置やその他の装備機器を制御する装備機器制御装置101、空調装置やデフロスタ等を制御する空調系制御装置102、AV機器(ラジオ、テープレコーダー、CDプレイヤー等)を制御するAV機器制御装置103に接続されている。
【0061】
前記制御装置90は、マイクロコンピュータとI/Oポートとを含み、前記ROM91には、後述のような制御の為の種々の制御プログラムが格納され、また、RAM92には、ROM91の制御プログラムによる演算処理上のデータを記憶するメモリと、ゲイン変更器20から受信した制御プログラムやテーブルやマップを格納する制御プログラムメモリと、同じく受信した種々の画面表示データを格納する画面表示データメモリと、同じく受信した種々の制御ゲイン特性データや機器設定データを格納するデータメモリとが設けられている。
制御装置90は、自動車のバッテリ73から給電され、RAM92はバッテリ73から給電される2次バッテリ93でバックアップされている。尚、制御装置90には、特定事業体の専業者がゲイン変更用設定器65を接続する為のアクセスポート96が設けられている。
【0062】
以上により、ゲイン変更器20、ゲイン変更装置70の構成について説明したので、以下、ゲイン変更器20の制御装置60において実行される制御ゲイン変更及び特定作動状態の為の機器設定の為の制御の制御ルーチンついて説明し、その後、ゲイン変更装置70の制御装置90において実行される制御信号出力制御等の制御ルーチンについて説明する。
【0063】
前述のように、特定事業体の専業者は、オーナードライバーの試験走行に同乗し、その試験走行の結果から判るオーナードライバーの運転技量やオーナードライバーの希望等に基いて、各部制御装置14,16〜18についての制御ゲイン係数許容範囲(FKe1,FKe2、FKa1,FKa2、FKw1,FKw2、FKep,FKp2)及び1次特性の制御ゲイン係数(DKe,DKa,DKw,DKp )を決定する。次に、専業者は、ゲイン変更用設定器65を、ゲイン変更器20の制御装置60のアクセスポート66に接続して、制御ゲイン係数と制御ゲイン係数許容範囲のデータを制御装置60に入力し、RAM62のメモリm30に記憶させる。図25は、この制御ルーチンを示すもので、図中Si(i=1,2,・・・)は各ステップを示す。
【0064】
図25に示すように、所定の指令を入力して制御プログラムを読込み後、メインSW24がONの状態において、アクセスポート66がONか否か(ゲイン変更用設定器65がアクセスポート66に接続されたか否か)判定し、Yes のときは、開始キー41の操作後、数字キー43を操作して、EGI の制御ゲイン係数DKe とEGI の制御ゲイン係数許容範囲(FKe1,FKe2)のデータが入力され(S2)、次にACS の制御ゲイン係数DKa とACS の制御ゲイン係数許容範囲(FKa1,FKa2)のデータが入力され(S3)、次に4WS の制御ゲイン係数DKw と4WS の制御ゲイン係数許容範囲(FKw1,FKw2)のデータが入力され(S4)、次にP/S の制御ゲイン係数DKp とP/S の制御ゲイン係数許容範囲(FKp1,FKp2)のデータが入力され(S5)、次にメモリキー49の操作に応じて入力した許容範囲のデータがRAM62のメモリm30に格納され(S6)、終了キー42の操作に応じてこの演算処理が終了する。
【0065】
ここで、各部制御装置14,16〜18についての制御ゲイン係数許容範囲(FKe1,FKe2、FKa1,FKa2、FKw1,FKw2、FKp1,FKp2)について説明する。
制御ゲイン係数は、各部制御装置14〜18にメーカーにより予め設定されたベース制御ゲインを補正する係数であるが、ゲイン変更器20を介して自動車1の各部制御装置の制御ゲイン特性を変更できるようにした場合に、オーナードライバーの運転技量から許容される範囲内で、制御ゲイン特性の変更を許容することが必要となる。そこで、専業者により、オーナードライバーの運転技量を加味して、各部制御装置14,16〜18の制御ゲイン係数の下限値と上限値とを設定することとした。
前記FKe1、FKa1、FKw1、FKp1は、各部制御装置14,16〜18の制御ゲイン係数の下限値を夫々設定するデータであり、また、前記FKe2、FKt2、FKa2、FKw2、FKp2は、各部制御装置14,16〜18の制御ゲイン係数の上限値を夫々設定するデータである。
【0066】
図26に示すように、制御ゲイン係数最大許容範囲は、0.4 〜1.6 の範囲に設定してあり、オーナードライバーの運転技量が比較的低い場合には、各部制御装置14,16〜18の制御ゲイン係数許容範囲及び制御ゲイン係数(DKe,DKa,DKw,DKp )が、例えば、図示のように設定される。
【0067】
ところで、オーナードライバーがゲイン変更器20を介して設定する制御ゲイン特性が、各部制御装置14,16〜18の制御ゲイン係数許容範囲で規制されることから、制御ゲイン係数許容範囲を固定しておくと、オーナードライバーの運転技量が向上しても、オーナードライバーが設定する制御特性は、自動車購入時に設定した制御ゲイン係数許容範囲の制約を受ける。
そこで、次に説明するように、オーナードライバーの自動車購入後の合計走行距離Dに応じて、制御ゲイン係数許容範囲を拡大変更できるように構成した。
【0068】
図29に示すように、オーナードライバーが所定距離(例えば、約5000Km)走行する毎に、所定の指令を入力して制御プログラムを読込み後、開始キー41が操作され、自動車購入後のオーナードライバーの概略合計走行距離Dのデータを入力して終了キー42を操作すると(S10)、メモリm30から制御ゲイン係数許容範囲(FKe1,FKe2、FKa1,FKa2、FKw1,FKw2、FKp1,FKp2)のデータが読み込まれ(S11)、次に、i=e,a,w,pとして、走行距離Dとメモリm30に記憶している制御ゲイン係数許容範囲FKi1とを図27のマップに適用して、制御ゲイン係数許容範囲の下限値がFKi1=M1(D,FKi1)として演算され、また、走行距離Dとメモリm30に記憶している制御ゲイン係数許容範囲FKi2とを図28のマップに適用して、制御ゲイン係数許容範囲の上限値がFKi2=M2(D,FKi2)として演算され(S12)、次に、S13においてメモリキー49の操作に基いて制御ゲイン係数許容範囲の更新データがメモリm31に更新して記憶され、その後終了する。
図27のマップに示すように、マップM1(D,FKi1)には、メモリm30から読み出す制御ゲイン係数許容範囲の下限値FKi1の初期値が加味され、また、図28に示すように、マップM2(D,FKi2)には、メモリm30から読み出す制御ゲイン係数許容範囲の上限値FKi2の初期値が加味されるように構成されている。
【0069】
次に、ゲイン変更器20に、制御ゲイン変更の為のデータ及び機器設定データを入力設定する制御について説明する。
図30に示すように、所定の指令を入力して制御プログラムを読込み後、SW及びキーからの入力信号が読み込まれ(S20)、クロックSW28がONのときは、ディスプレイ21に図6の年月日時刻を表示する時計画面21Cが表示され、その後リターンする(S21、S22)。
AVSW26がONのときは、ディスプレイ21に図4に示したAV機器操作画面21Aが表示され、次に画面SWで設定されたモードでAV機器が作動するように指令する制御信号が自動車1のAV機器制御装置103に出力される(S23〜S25)。尚、S24とS25は、自動車1内において、ゲイン変更器20を送信モードにし且つゲイン変更装置70を受信モードにした状態において有効である。
次に、空調SW27がONのときは、ディスプレイ21に図5の空調系操作画面21Bが表示され、次に画面SWで設定したモードで空調装置が作動するように指令する制御信号が自動車1の空調系制御装置102に出力される(S26〜S28)。尚、S27とS28は、自動車1内において、ゲイン変更器20を送信モードにし且つゲイン変更装置70を受信モードにした状態で有効である。
【0070】
次に、ゲイン変更SW25がONのときは、S29からS30に移行し、ディスプレイ21に図8の第1メニュー画面21Dが表示され(S30)、その画面において「オーダーメイド」のモードが選択されると(S31:Yes )、図31のS34へ移行する。
S34では、ディスプレイ21に図9に示す第2メニュー画面21Eが表示され、「新規設定」が選択される(S35:Yes )と、S36において図10に示すデータ入力項目画面21Fがディスプレイ21に表示される。そこで、S37では、開始キー41を操作後、カーソル移動キー47を操作してカーソル21aをデータ入力位置にセットしてから、数字キー43を操作して、画面に表示されたデータ入力項目リストに必要なデータを入力して実行キー48をONにする操作を繰り返して、データ入力が実行され、データ入力終了時には、終了キー42を操作する。
【0071】
ここで、前記データ入力項目リストと制御ゲイン係数について説明する。
【表1】
Figure 0003729275
【0072】
【表2】
Figure 0003729275
【0073】
前記データ入力項目リストにおけるA項の5小項目に対応する制御ゲイン係数は、表1に示す通りであり、また、B項の3小項目、C項の2小項目、D項の3小項目に対応する制御ゲイン補正係数は、表2に示す通りであり、表1と表2の内容は、ROM61の制御プログラムに付随するテーブルとして、ROM61に予め格納されている。
基本的に、自動車の特性の大幅な変更を防止する観点から、制御ゲイン係数は、表2からも判るように0.8〜1.2の範囲に設定されている。
【0074】
ここで、EGI とEAT の制御ゲインに関して、制御ゲイン「小」は低燃費方向、制御ゲイン「大」はパワー増大方向である。ACS の制御ゲインに関して、制御ゲイン「小」は乗り心地アップ方向(ソフト方向)、制御ゲイン「大」は操縦安定性アップ方向(ハード方向)である。4WS の制御ゲインに関して、制御ゲイン「小」は小回り性アップ方向(逆相ゲイン増大方向)、制御ゲイン「大」は操縦安定性アップ方向(同相ゲイン増大方向)である。P/S の制御ゲインに関して、制御ゲイン「小」は操舵力が軽くなる方向、制御ゲイン「大」は操舵力が重くなる方向である。
【0075】
表1のA項の5小項目の制御ゲイン係数は、各部制御装置14,16〜18に共通に設定される補正係数であって、表2の制御ゲイン補正係数(制御ゲイン係数)で決まる補正成分を補正する共通制御ゲイン係数に相当し、表2のB項、C項、D項の制御ゲイン係数は、各部制御装置14,16〜18に夫々独立に設定される補正係数であるため、個別制御ゲイン補正係数に相当する。
【0076】
次に、表1に例示する制御ゲイン係数に関して、概略の傾向として、ゲイン係数「小」は制御ゲイン補正量減少方向つまりベース制御ゲインに近づける方向、ゲイン係数「大」は制御ゲイン補正量増加方向つまりベース制御ゲインから遠のく方向であり、女性、若年者、高齢者、車歴1.5年未満の者などは、運転が余り上手でないことに鑑みて、制御ゲイン係数が小さく設定され、また、21〜30才の者や車歴5年以上の者は、運転が上手であることに鑑みて、制御ゲイン係数が大きく設定され、また、保有台数1台の場合やオーナー以外も使用する場合には、複数の者が使用することに鑑み制御ゲイン係数が小さく設定されている。
次に、表2に例示した制御ゲイン係数に関して、寒冷地における低μとオイルの粘性増大に鑑み、また、通勤用のものではサルーンカー感覚を高め、レジャー用のものでは操縦安定性を高めスポーツカー志向を高め、買物用や営業用のものでは低燃費と小回り性を高める等の観点から制御ゲイン係数が設定されている。
【0077】
ここで、図10データ入力項目リストにおいて「0」、「1」で入力する欄、つまり、表1のA項および表2のB項の第1小項目とD項については、制御ゲイン係数が、表1と表2からa1〜a5、b1、d1〜d3のように、夫々1つ決まることになるが、「順位」を入力する欄、つまり、表2のB項の第2小項目と第3小項目とC項については、表2の制御ゲイン係数の値を用いて、次のように順位の重みを加味して、制御ゲイン係数が演算により決定される。この場合、1位のものに40%の重み、2位のものに30%の重み、3位のものに20%の重み、4位のものに10%の重みが付与して、制御ゲイン係数が演算される。
【0078】
例えば、B項の第2小項目において、都市部(1位)、近郊部(2位)、田園部(3位)、山間部(4位)の順位とすると、B項の第2小項目の制御ゲイン係数b2は、b21 〜b24 に重み付けを付加して次のように、各部制御装置14,16〜18の各制御ゲイン係数毎に、演算される。
b2=0.4 ×b21 +0.3 ×b22 +0.2 ×b23 +0.1 ×b24
B項の第3小項目の制御ゲイン係数b3も前記同様に順位の重み付けを付加して、EGI,ACS,4WS,P/S の各制御ゲイン係数毎に演算され、また、C項の第1小項目の制御ゲイン係数c1も、係数c11 〜c14 を用いて前記同様に順位の重み付けを付加して、EGI,ACS,4WS,P/S の各制御ゲイン係数毎に演算され、また、C項の第2小項目の制御ゲイン係数c2も、補正係数c21 〜c24 を用いて前記同様に順位の重み付けを付加して、EGI,ACS,4WS,P/S の各制御ゲイン係数毎に演算される。
【0079】
次に、図31のS38において、前記入力されメモリm1に格納されたデータを用いて、EGI,ACS,4WS,P/S の為の、制御ゲイン係数b2e ,b2a ,b2w ,b2p と、制御ゲイン係数b3e ,b3a ,b3w ,b3p と、制御ゲイン係数c1e ,c1a ,c1w ,c1p と、制御ゲイン係数c2e ,c2a ,c2w ,c2p とが、前述のように順位の重み付けを付加して演算される。尚、末尾の添字e,a,w,pは、夫々、EGI,ACS,4WS,P/S に対応する。こうして、入力データとS38の演算結果から、EGI,ACS,4WS,P/S に関する表2の全項目の制御ゲイン係数が決まる。即ち、EGI の全項目の制御ゲイン係数として、b1e ,b2e ,b3e ,c1e ,c2e ,d1e ,d2e ,d3e が決まり、ACS,4WS,P/S の制御ゲイン係数についても同様である。
【0080】
次に、S39において、表2の全項目の制御ゲイン係数を用いて、EGI,ACS,4WS,P/S の複合制御ゲイン係数Ke,Ka,Kw,Kpが次式により演算される。
Ke=b1e ×b2e ×b3e ×c1e ×c2e ×d1e ×d2e ×d3e
Ka=b1a ×b2a ×b3a ×c1a ×c2a ×d1a ×d2a ×d3a
Kw=b1w ×b2w ×b3w ×c1w ×c2w ×d1w ×d2w ×d3w
Kp=b1p ×b2p ×b3p ×c1p ×c2p ×d1p ×d2p ×d3p
【0081】
次に、S40において、複合制御ゲイン係数Ke,Ka,Kw,Kpの補正量成分に、表1の制御ゲイン係数a1〜a5を、夫々乗算することにより、EGI,ACS,4WS,P/S の最終制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp が次式により演算される。
FKe =1.0 +(Ke−1.0 )×a1×a2×a3×a4×a5
FKa =1.0 +(Ka−1.0 )×a1×a2×a3×a4×a5
FKw =1.0 +(Kw−1.0 )×a1×a2×a3×a4×a5
FKp =1.0 +(Kp−1.0 )×a1×a2×a3×a4×a5
【0082】
次に、S41において、最終の制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp が、メモリm31に記憶した制御ゲイン係数許容範囲(FKe1,FKe2 、FKa1,FKa2 、FKw1,FKw2 、FKp1,FKp2 )で夫々規制される。
次に、S42において、データ入力項目リストの入力データがメモリm1に記憶され、制御ゲイン係数許容範囲で規制された制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp のデータがメモリm3に記憶される。但し、メモリm3に前回のデータがあるときには、その前回のデータがメモリm2に転送される。今回の制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp のデータがメモリm5にも記憶されるが、メモリm5に前回のデータがあるときには、そのデータがメモリm4へ転送される。
【0083】
次に、S43において、メモリm4に格納している前回の制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp のデータと、メモリm5に格納している最新の制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp のデータに基いて、ディスプレイ21に図11の制御ゲイン特性画面21Gが表示され、その後演算処理はリターンする。
この制御ゲイン特性画面には、各部制御装置14,16〜18について、前回と今回の最終制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp と、総評のコメントとが、表示される。尚、最終制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp は、夫々棒グラフにて表示され、点線はメーカーにて設定されたベース制御ゲインに相当する「1.0」のレベルであり、「旧」は前回の制御ゲイン係数、「新」は今回の制御ゲイン係数を示す。
【0084】
前記総評コメントを表示する技術に関して、EGI の制御ゲイン係数の小中大に対応して「低燃費」、「普通」、「高出力」、ACS の制御ゲイン係数の小中大に対応して「乗り心地向上」、「普通」、「操安性向上」、4WS の制御ゲイン係数の小中大に対応して「小回り性向上」、「普通」、「操安性向上」、P/S の制御ゲイン係数の小中大に対応して「操舵力軽」、「普通」、「操舵力重」等の表示用データ及び常に表示されるメッセージの表示用データが、ROM61の表示制御プログラムに付随させて予め記憶してあり、制御ゲイン係数に応じて、前記の各種の表示メッセージが選択されて表示されることになる。
以上説明したように、「オーダーメイド」のモードを選択して、オーナードライバーが希望する制御ゲイン特性を設定し、その制御ゲイン特性をディスプレイ21に表示させて確認することができる。
【0085】
ここで、「オーダーメイド」のモードにおいては、データ入力項目リストに入力したデータに基いて、各部制御装置14,16〜18の制御ゲイン特性が間接的に設定されることから、これら各部制御装置の制御ゲイン特性を直接設定できるように構成する必要もある。
そこで、「システム」のモードでは、制御ゲイン特性画面21Gに直接入力することにより、「オーダーメイド」のモードにおいて設定された制御ゲイン特性を変更することができ、また、その変更した制御ゲイン特性を再変更することができる。
図30に示すように、第1メニュー画面21Dにおいて、「システム」のモードを選択すると(S32:Yes )、図32のS47へ移行し、S47以降の制御が実行される。 S47では、メモリm5のデータに基づく制御ゲイン特性画面21Gが表示される。
【0086】
次に、S48においては、開始キー41の操作後、EGI の「新」の棒グラフの所望のレベルの位置にカーソル21aを移動後、実行キー48を操作することで、EGI 制御ゲイン係数FKe が画面入力され、次に、S49においてACS の「新」の棒グラフの所望のレベルの位置にカーソル21aを移動後、実行キー48を操作することで、ACS 制御ゲイン係数FKa が画面入力され、次に、S50において4WS の「新」の棒グラフの所望のレベルの位置にカーソル21aを移動後、実行キー48を操作することで、4WS の制御ゲイン係数FKw が画面入力され、次に、S51においてP/S の「新」の棒グラフの所望のレベルの位置にカーソル21aを移動後、実行キー48を操作することで、P/S の制御ゲイン係数FKp が画面入力され、入力終了時に終了キー42が操作される。
【0087】
次に、S52において、画面入力された制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp が、メモリm31に格納してある最新の制御ゲイン係数許容範囲(FKe1,FKe2 、FKa1,FKa2 、FKw1,FKw2 、FKp1,FKp2 )で夫々規制される。尚、制御ゲイン係数許容範囲を更新する前には、メモリm31には、メモリm30と同じデータが格納され、制御ゲイン係数許容範囲を更新後は、メモリm31には最新の制御ゲイン係数許容範囲のデータが格納される。
【0088】
次に、S53において、総評コメントが演算されると、S54において、制御ゲイン特性画面21Gに変更前後の制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp が、棒グラフ表示され、総評コメントが文字表示され、次に、S55において、今回変更設定された制御ゲイン係数FKe ,FKa ,FKw ,FKp のデータが、メモリm5に格納され、前回のデータがメモリm4に転送される。
以上のようにして、「システム」のモードにおいて、各部制御装置14,16〜18の制御ゲイン特性を直接変更設定することができる。
【0089】
次に、「ワンタッチSW」のモードにおいて、各部制御装置14〜18の制御特性を設定したり、変更したりする制御について説明する。
図30に示すように、第1メニュー画面21Dにおいて、「ワンタッチSW」のモードを選択すると(S33:Yes )、図33のS56へ移行して第3メニュー画面21Hが表示され、その画面において「新規設定」を選択すると(S57:No、S61: Yes ) 、S62に移行する。
S62では、タイトル及びデータ(三角印)が未記入の、図21に示すようなSW画面21Qが表示されるので、S63では、開始キー41を操作後、カーソル21aをタイトル記入欄へ移動後、アルファベットキー44を操作して、タイトルのデータが入力され、実行キー48が操作される。次に、S64では、EGI の制御ゲイン特性の欄の所望の位置にカーソル21aを移動後実行キー48を操作することで、EGI の制御ゲイン係数FKe が画面入力される。尚、渋滞SW、高速道SW、悪路SWの場合には、タイトルのデータは予め設定されている。
【0090】
次に、S65〜S68においては、S64と同様にして、EAT,ACS,4WS,P/S の制御ゲイン係数FKt ,FKa ,FKw ,FKp が、順次画面入力され、次に、S69において、総合制御ゲイン係数FKg が、S64と同様にして画面入力され、その後終了キー42が操作される。
次に、S70において、前記のように設定した制御ゲイン特性を評価する為に、図37に示す制御ゲイン特性評価画面21Rがディスプレイ21に表示される。この制御ゲイン特性評価画面21Rには、EGI,EAT,ACS,4WS,P/S を5頂点とする5角形の4 本の特性図と、誤設定システムのリストとが表示される。図示の例の場合、EGI の制御ゲイン特性が誤設定であり、全体的に調和の採れた制御ゲイン特性としては、EGI の制御ゲイン係数を1.0 〜1.2 の範囲の値に設定すべきことを示している。
【0091】
次に、S71において、制御ゲイン係数FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp を、総合制御ゲイン係数FKg で以て補正する補正演算が実行される。この補正演算においては、FKe =FKe ×FKg 、FKt =FKt ×FKg 、FKa =FKa ×FKg 、FKw =FKw ×FKg 、FKp =FKp ×FKg の演算処理が実行され、最終制御ゲイン係数FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp が決定される。
この補正演算は、各部制御装置14〜18の制御ゲイン係数に、総合制御ゲイン係数FKg を加味することで、制御特性全体の調和を図る為に行なう。
次に、S72においては、タイトルのデータと、補正前の制御ゲイン係数FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp のデータと、補正後の制御ゲイン係数FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp のデータとが、RAM62のメモリm13〜m20のうちの該当するメモリに格納される。尚、補正前のデータは、各SW画面に表示する為に使用され、また、補正後のデータは、各部制御装置14〜18に出力される制御信号を発生させる為に使用されることになる。
尚、S70において表示される評価画面を参照して再設定しようとする場合には、モード解除キー53を操作すると、S33へ戻ることができる。また、図36の制御ゲイン特性評価画面21Rの代わりに、図38に示すような制御ゲイン特性評価画面21Sを採用してもよい。
【0092】
次に、第3メニュー画面21Hにおいて、「設定変更」を選択したときには、図34のS73に移行し、次にS74においてワンタッチSW画面21Iが表示され、次にS75において所望のワンタッチSWを選択する。
次に、ワンタッチSW画面21IにおいてリターンSWを操作した場合(S76:Yes )には、S61へ移行し、また、メーカー特性SWや1次特性SWやオーダーメイド特性SWを選択した場合(S77:Yes 、S78:Yes )には、S80において、ディスプレイ21にエラーメッセージが表示される。即ち、メーカー特性SWやオーダーメイド特性SWは、「設定実行」のモードにおいて使用されるもので、「ワンタッチSW」のモードにおいて、メーカー特性やオーダーメイド特性を変更できないからである。次に、S79では選択されたワンタッチSWのSW画面がディスプレイ21に表示され、S79からS64へ移行する。
【0093】
図33のS56において、第3メニュー画面21Hが表示された状態において、「設定実行」が選択される(S57:Yes )と、S58へ移行するが、S58〜S60は、自動車1内においてゲイン変更器20を送信モードにしたときにのみ有効である。S58では、ワンタッチSW画面21Iが表示され、次にS59において所望のワンタッチSWを選択すると、S60において、選択されたワンタッチSWに対応する制御ゲイン係数(DKe,DKa,DKw,DKp )のデータ(メモリm30のデータ)又は制御ゲイン係数FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp のデータ(メモリm13〜m20の補正後のデータ)に基づく制御信号(制御ゲイン変更信号)が各部制御装置14〜18に出力され、又は、メモリm6〜m12の何れかのメモリの機器設定データに基づく制御信号が、対応する制御装置97〜103の何れかに出力される。尚、第3メニュー画面21Hにおいて何も選択せずに、所定時間経過すると(S82:Yes )と、S30へ移行する。
【0094】
次に、図30のフローチャートにおいて、ゲイン変更SW25を操作しない場合には、S29から図35のS83へ移行する。
TV出力SW29をONにする(S83:Yes )と、S84においてフラグFtvをセットしてからリターンし、また、送信SW30をONにする(S85:Yes )と、S86においてフラグFseをセットしてからリターンし、また、受信SW31をONにする(S87:Yes )と、S88においてフラグFreをセットしてからリターンし、その他のキーが操作されると、その操作されたキーに対応する処理を実行してからリターンし、また、SWやキーを操作せずに所定時間経過する(S91:Yes )と、操作を促すメッセージがディスプレイ21に表示されてからリターンする。
【0095】
次に、ディスプレイ21の代わりにTV受像機64に画像を出力する場合の制御について説明する。
図36のフローチャートにおいて、TV出力SW29がONで、フラグFtvが1のとき(S100:Yes )には、ディスプレイコントローラ22へ出力される画面表示データが読み込まれ(S101、S102)、次にその画面表示データがCRT表示データに変換され(S103)、次にそのCRT表示データがCRT画像信号発生装置58に出力され(S104)、次に画面表示データに対応する音声出力データが読み込まれ(S105)、次にその音声出力データがTV受像機64の音声信号発生装置59へ出力される(S106)。こうして、TV受像機64に画像と音声とを出力することができる。
【0096】
次に、ゲイン変更器20からゲイン変更装置70の制御装置90に、ROM61の制御プログラムとそれに付随するテーブルのデータと、ROM61の画面表示データと、RAM62の種々の記憶データとを無線送信する送信・受信制御について説明する。
最初に、ゲイン変更器20の制御装置60による送信制御について説明する。
図39に示すように、送信SW30,80と受信SW31,81とがONで、フラグFseとフラグFreとが共にセット状態のとき(S110,S111:Yes )に開始キー41をONにする(S112)ことで実質的に開始される。
【0097】
最初に、送信開始コマンドが送信出力され(S113)、次に制御装置90から送信許可コマンドを受信(S114:Yes )後、全部の制御プログラムとそれに付随するテーブルのデータを読み込んで、それらのコードデータとアドレスデータとを送信出力し(S115)、次に受信コマンドを受信(S116:Yes )後、図22に示す全部の画面表示データを読み込んで、それらのコードデータとアドレスデータとを送信出力し(S117)、次に制御装置90から受信コマンドを受信(S118:Yes )後、RAM62のメモリm1〜m20、m30、m31の全部の記憶データを読み込んで、それらのコードデータとアドレスデータとを送信出力し(S119)、次に制御装置90から受信コマンドを受信(S120:Yes )後、送信完了コマンドが出力され(S121)、次にディスプレイ21に送信完了のメッセージが表示され、その後送信が終了する。
【0098】
次に、ゲイン変更装置70の制御装置90で実行される受信制御について説明する。
図40に示すように、送信SW30,80と受信SW31,81とがONであるとき(S130:Yes )に、送信開始コマンドを受信したときには(S131:Yes )、送信許可コマンドを送信し(S132)、次に制御プログラムとそれに付随するテーブルのコードデータとアドレスデータとを受信して、RAM92に格納し(S133)、次に受信コマンドを送信(S134)後、画面表示データのコードデータとアドレスデータとを受信して、RAM92に格納し(S135)、次に受信コマンドを送信(S136)後、RAM62の記憶データのコードデータとアドレスデータとを受信して、RAM92に格納し(S137)、次に受信コマンドを送信し(S138)、且つ送信完了コマンドを受信し(S139)、これにより、受信制御が完了する。
【0099】
次に、ゲイン変更装置70の制御装置90において実行される制御ゲイン特性等の設定制御について説明する。
図41に示すように、IgSWがONでエンジンがOFFのアクセサリモードか否か判定され(S150)、その判定結果がYes のときは、必要に応じて、S151において、オーダーメイド特性の設定、及び/又は、システム特性の設定、及び/又はワンタッチSW用機器設定が、前記図30〜図34のS29〜S82と同様に実行され、その後終了する。
一方、S150の判定の結果、アクセサリモードでないときには、S152において、オーダーメイド特性の設定と、システム特性の設定と、ワンタッチSW用機器設定とが禁止され、次にS153において設定禁止のメッセージがディスプレイ71に表示され、その後終了する。
【0100】
ここで、ゲイン変更器20において設定した全てのデータを制御装置90に送信して移植するので、ゲイン変更器20において設定した特性のみを活用する場合には、制御装置90においてS151の設定を実行する必要がない。しかし、制御装置90にデータを移植後、実際に走行してみてから制御ゲイン特性を変更したい場合には、このS151の制御ゲイン特性等の設定制御を介して、制御ゲイン特性等を変更できる。また、ゲイン変更器20から受信したデータを、データ消去キーを操作することで消去できるが、この場合にも、この制御ゲイン特性等の設定制御を介して、制御ゲイン特性等を設定することができる。
尚、販社が自動車を下取りした場合に、元のオーナードライバーが設定したデータを、データ消去キーを操作することで消去することができ、ゲイン変更器20においても同様である。
【0101】
次に、ゲイン変更装置70の制御装置90で実行する制御特性選択制御について説明する。
図42に示すように、最初に以下の制御において必要な各種信号が読み込まれると(S160)、車速Vが所定値V0以上か否かの判定(S161)と、横加速度Gが所定値以上か否かの判定(S162)と、路面摩擦が低摩擦(低μ)か否かの判定(S163)と、上下加速度センサ86からの検出信号に基づく悪路か否かの判定(S164)と、システムフェイルか否かの判定(S165)と、燃料残量が少ないか否かの判定(S166)とがなされる。尚、システムフェイルとは、ゲイン変更装置70に異状が発生したことであり、所定のシステム診断制御により、自動車の走行中には常時システムフェイル発生の有無が判定され、その判定結果に基いて、S165の判定がなされる。
【0102】
車速V<V0であること、横加速度G<G0であること、低μ路でないこと、悪路でないこと、システムフェイルでないこと、燃料残量が少なくないこと、の全ての条件が充足された場合には、S167において、1次制御特性とオーダーメイド制御特性適用許可と決定され、S168においてフラグFMが0にリセットされる。
次に、S169において、ワンタッチSWモードの設定実行のモードになった場合には、ワンタッチSW画面に全部のワンタッチSWの表示が許可され、その後リターンする。
また、前記全ての条件が充足された場合以外の場合には、S170において1次制御特性とオーダーメイド制御特性適用禁止(メーカー設定による制御特性を適用)と決定され、S171においてフラグFMが1にセットされ、次に、S172において、ワンタッチSWモードの設定実行のモードになった場合には、ワンタッチSW画面に1次特性SWとオーダーメイド特性SWのワンタッチSWの表示が禁止され、その後リターンする。
尚、この制御特性選択制御は、自動車の作動中には、常時実行され、フラグFMは、前記のような判定に応じて常時変更されることになる。
【0103】
このように、S161〜S166の判定においてYes となるような特殊走行状態下において、1次制御特性とオーダーメイド制御特性を適用することは不可能ではないが、オーダーメイド制御特性には不適切な設定等が含まれる可能性があるため、操縦安定性等の観点から、前記特殊走行状態下においては、1次制御特性とオーダーメイド制御特性の適用を禁止するように構成してある。
【0104】
次に、ゲイン変更装置70の制御装置90で実行される制御信号出力制御について説明する。
図43に示すように、自動車の作動開始に伴って制御の開始後、以下の制御に必要な各種信号が読み込まれ(S180)、次に車速Vが0か否かの判定がなされ(S181)、そのS181の判定の結果、車速Vが0でないときには、前記ゲイン変更器20の場合と同様に、ワンタッチSWモードの設定実行のモードにおいて、ワンタッチSW画面におけるスイッチ操作に応じたフラグの設定が実行される。
【0105】
この場合、トンネルSWがONになるとフラグFtが1にセットされ、視界改善SWがONになるとフラグFsが1にセットされ、雨天SWがONになるとフラグFrが1にセットされ、渋滞SWがONになるとフラグFcが1にセットされ、高速道SWがONになるとフラグFhが1にセットされ、悪路SWがONになるとフラグFbが1にセットされ、メーカー特性SWがONになるとフラグFmが1にセットされ、1次特性SWがONになるとフラグFfcが1にセットされ、オーダーメイドSWがONになるとフラグFoが1にセットされ、DRIVING SWがONになるとフラグFdが1にセットされ、また、SHOPPINGSWがONになるとフラグFshが1にセットされ、OWNER SWがONになるとフラグFwnが1にセットされ、WIFESWがONになるとフラグFwfが1にセットされ、SON SWがONになるとフラグFsnが1にセットされる。
尚、前記各種フラグは、複数セットされることもあるが、複数のフラグは時系列的にメモリに記憶され、最新にセットされたフラグに基づく制御が実行される。そして、リターンSWの操作により最新のフラグがリセットされると、その最新のフラグの直前のフラグが最新のフラグに更新される。但し、モード解除キーを操作すると、セットされている全てのフラグがリセットされる。
【0106】
S182の後のS183において、各種フラグに対応する制御信号を出力する制御信号出力処理が実行され、その後リターンする。
一方、S181の判定の結果、車速Vが0のときには、S184において、ワンタッチSW画面21Iにおけるスイッチ操作に応じたフラグの設定が実行される。この場合、始動SWがONになると、フラグFisが1にセットされ、始動点検SWがONになると、フラグFstが1にセットされ、パーキングSWがONになると、フラグFpkが1にセットされ、給油SWがONになると、フラグFfsが1にセットされる。そして、S184の次に、各種フラグFis,Fst,Fpk,Ffsに対応する制御信号を出力する制御信号出力処理が実行され、その後リターンする。尚、前記各種フラグFis,Fst,Fpk,Ffsは、前記同様に、必要に応じてリターンSWやモード解除キーの操作により、夫々0にリセットされる。
【0107】
次に、前記S183の制御信号出力処理について説明する。
図44に示すように、前記フラグFMが1のとき(S190:Yes )、また、フラグFMが0であっても、フラグFmが1のとき(S191:Yes )には、S192において、メーカーが設定した制御ゲインを適用するように決定され、この場合、各部制御装置14〜18へ制御ゲインを変更する制御信号が出力されないため、各部制御装置14〜18では、予めメーカーにて夫々設定されベース制御ゲインによる制御が実行される。
【0108】
次に、フラグFcが1のとき(S193:Yes )には、S194において、メモリm13に記憶されている渋滞用の制御ゲイン係数(FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp ) のデータが読み込まれ、その後S203へ移行する。
フラグFhが1のとき(S195:Yes )には、S196において、メモリm14に記憶されている高速道用の制御ゲイン係数(FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp ) のデータが読み込まれ、その後S203へ移行する。
フラグFbが1のとき(S197:Yes )には、S198において、メモリm15に記憶されている悪路用制御ゲイン係数(FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp ) のデータが読み込まれ、その後S203へ移行する。
【0109】
フラグFoが1のとき(S199:Yes )には、S200において、メモリm5に記憶されているオーダーメイド制御ゲイン係数(FKe ,FKa ,FKw ,FKp ) のデータが読み込まれ、その後S204へ移行する。
フラグFd、Fsh、Fwn、Fwf、Fsnのうちの何れか1つが1にセットされているとき(S201:Yes )には、そのセットされている該当のフラグに対応する制御ゲイン係数(FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp ) のデータが、メモリm16〜m20から読み込まれ、その後S203へ移行する。
フラグFfcが1にセットされているとき(S205:Yes )には、制御ゲイン係数(DKe,DKa,DKw,DKp )のデータがメモリm30から読み込まれ(S206)、その後S204へ移行する。
【0110】
次に、S203においては、制御ゲイン係数(FKe ,FKt ,FKa ,FKw ,FKp ) に相当する制御ゲイン変更信号が、各部制御装置14〜18(EGI,EAT,ACS,4WS,P/S )に出力され、その後リターンする。
次に、S204においては、1次特性の制御ゲイン係数(DKe,DKa,DKw,DKp )又はオーダーメイドの制御ゲイン係数(FKe ,FKa ,FKw ,FKp ) に相当する制御ゲイン変更信号が、各部制御装置14,16〜18(EGI,,ACS,4WS,P/S)に出力され、その後リターンする。尚、この制御信号出力処理は、自動車1の作動中には常時実行される。
【0111】
次に、前記S184の制御信号出力処理について説明する。
図45に示すように、S210において、フラグFisが1か否か判定し、Yes のときはS211において始動用機器設定データがメモリm6から読み込まれ、S212においてその設定データに基づく制御信号が該当する制御装置に出力され、その後リターンする。
次に、S210の判定の結果 No のときは、S213においてフラグFstが1か否か判定し、Yes のときはS214において、始動点検用機器設定データがメモリm7から読み込まれ、S215においてその設定データに基づく制御信号が該当する制御装置に出力され、その後リターンする。S213の判定の結果 No のときは、S216においてフラグFpkが1か否か判定し、Yes のときはS217において、パーキング用機器設定データがメモリm8から読み込まれ、S218においてその設定データに基づく制御信号が該当する制御装置に出力され、その後リターンする。
【0112】
S216の判定の結果 No のときは、S219においてフラグFfsが1か否か判定し、Yes のときはS220において、給油用機器設定データがメモリm9から読み込まれ、S221においてその設定データに基づく制御信号が該当する制御装置に出力され、その後リターンする。また、S219の判定結果が No のときは、S222において、Ft,Fs,Fr の何れか1つが1か否か判定し、Yes のときは該当するフラグに対応する機器設定データがメモリm10〜12から読み込まれ、S224においてその設定データに基づく制御信号が該当する制御装置に出力され、その後リターンする。
一方、フラグFt,Fs,Fr,Fis,Fst,Fpk,Ffsが何れも1でないときは、制御信号を出力することなくそのままリターンする。
【0113】
以上説明した自動車の制御装置の制御ゲイン変更システム及び制御ゲイン変更方法においては、オーナードライバーの運転に関連する特性や使用状態に関する複数項目のドライバー固有のデータに基いて、EGI、ACS、4WS、P/Sのベース制御ゲインを変更して、自動車の制御特性をオーナードライバーにマッチするように変更することができるため、オーナードライバーが希望するイージーオーダー的な特性にすることができる。
しかも、オーナードライバーは、自宅等において、ゲイン変更器20に、ドライバー固有のデータを入力し、その入力データに基いて演算された制御ゲイン係数のデータを自動車のゲイン変更装置70に無線送信にて移植できるため、学習制御方式と比較して格段に簡単な装置でもって低コストで、略同等の技術的効果が得られる。
【0114】
また、この制御ゲイン変更システムでは、設定した各部制御装置の制御ゲイン特性を、ディスプレイ21に表示させて確認できるし、その制御ゲイン特性を変更したい場合には適宜変更できるので、実用性に優れる。
しかも、オーナードライバー用に設定した制御ゲイン特性については、自動車購入時の試験運転を観察して専業者が設定する制御ゲイン変更許容範囲で規制するように構成したので、オーナードライバーが制御ゲイン特性を不適切に設定した場合にも、オーナードライバーの運転技量に適合した制御ゲイン特性が得られる。前記専業者により、オーナードライバーの運転技量や希望等に基いて1次特性の制御ゲイン係数を設定し、この制御ゲイン係数をも選択可能にしたので、オーナードライバーに適合した制御ゲイン変更幅の大きな1次特性を採用となる。
【0115】
更に、この制御ゲイン変更システムでは、「ワンタッチSW」のモードを設け、オーナードライバー以外のドライバーの各々が希望する制御ゲイン特性や自動車の使用状態に適した制御ゲイン特性を適宜複数通り設定できるため、汎用性に優れる。
更に、この制御ゲイン変更システムでは、「ワンタッチSW」のモードを設け、自動車の複数の特定作動状態(始動点検、パーキング、・・等々)の各々における複数の機器の作動モードを設定して記憶させ、ワンタッチSWを操作することで、複数の機器を同時に作動させることができるため、操作性に優れ使い易いものとなる。
【0116】
更に、ゲイン変更器20から無線送信方式にて制御装置90へデータを送信できるため、ゲイン変更器20を自動車の内部や自動車の近くで操作することで、ゲイン変更器20からの指令信号を制御装置90へ供給することができる。
また、制御装置90において設定したデータを、ゲイン変更器20へ送信できるため、自動車の運転終了後に、制御ゲイン特性のデータをゲイン変更器20へ転送し、自宅等においてゲイン変更器20を介して、制御ゲイン特性を適宜変更することも可能になる。
しかも、ゲイン変更器20からTV受像機に表示出力できるため、テレビ画面を見ながら、制御ゲイン特性の設定や変更が可能になるし、この場合、音声にて説明情報を出力できるため、制御ゲイン特性の設定や変更が容易になる。
【0117】
次に、前記実施例の一部を変更した種々の変更例について説明する。
1〕 図10のデータ入力項目画面に示すデータ入力項目リストの代わりに、図46に図示のデータ入力項目画面21Tに示すデータ入力項目リストを採用することもできる。
このデータ入力項目リストは、制御ゲイン係数を直接入力設定する方式のもので、自動車に関してかなりの知識を有するドライバーに適したものであり、図示のように、エンジン特性(吸気量、燃料噴射量、点火時期)、自動変速機の変速特性、ブレーキ特性、トラクション制御のTCS制御特性、アンチロックブレーキ制御のABS特性、パワーステアリング特性、後輪操舵特性、空調特性、等の項目の夫々には、0.8 、0.9 、1.0 、1.1 、1.2 の全部又は一部の制御ゲイン係数が列挙してあり、各項目毎に1つの制御ゲイン係数を選択的に入力するようになっている。
【0118】
ディスプレイに表示した状態においてデータを入力する場合には、所望の制御ゲイン係数をカーソルで指示し、実行キーを操作して入力するものとする。
そして、A項〜H項のデータ入力完了後には、設定された制御ゲイン係数が、RAM62に記憶され、そのデータが制御装置90に送信出力され、制御装置90のRAM92に格納される。制御装置90は、前記制御ゲイン係数に相当する制御ゲイン変更信号を夫々各部制御装置14〜18、制動制御装置99、空調系制御装置103 へ供給することになる。
【0119】
このデータ入力項目リストを適用する場合には、制御ゲイン特性画面21Gの表示内容も変更され、前記エンジン特性、自動変速機の変速特性、ブレーキ特性、トラクション制御のTCS制御特性、アンチロックブレーキ制御のABS特性、パワーステアリング特性、後輪操舵特性、空調特性、等をグラフ表示するように構成されるものとする。
そして、図10のデータ入力項目リスト及び図11の制御ゲイン特性画面と、図46のデータ入力項目リスト及びこれに対応する制御ゲイン特性画面とを選択的に活用できるように構成してもよい。
【0120】
2〕 前記ゲイン変更器20から、ゲイン変更装置70へデータ送信可能に構成してあるので、ゲイン変更装置70に、必ずしも、ゲイン変更器20と同じ機能を付与する必要はないことから、ゲイン変更装置70におけるSWやキー類の一部(キーボード89、AVSW76、空調SW77、クロックSW78、ゲイン変更SW75等)を省略してもよい。
【0121】
3〕 前記ゲイン変更器20からゲイン変更装置70に種々のデータを送信する方式に代えて、ゲイン変更器29と自動車の装着部にコネクタを設け、ゲイン変更器20を装着部に装着した状態においてゲイン変更器20と制御装置90とがコネクタを介してケーブル接続されるように構成してもよい。この場合、ゲイン変更器20の送信機及び受信機と、ゲイン変更装置70の送信機及び受信機とを省略することが可能になる。
【0122】
4〕 前記ゲイン変更用設定器65から制御ゲイン係数許容範囲のデータを入力して制御ゲイン係数の下限値と上限値とを規制する方式において、前記自動車の使用目的に基いて各部制御装置の制御ゲイン係数の下限値と上限値とを設定したり、また、オーナードライバーの運転経歴に基いて各部制御装置の制御ゲイン係数の下限値と上限値とを設定したり、また、オーナードライバーの運転経歴や運転技量に、オーナードライバーの所望の特性を加味して各部制御装置の制御ゲイン係数の下限値と上限値とを設定したりする等の方式も採用可能である。
【0123】
前記前記自動車の使用目的に基いて各部制御装置の制御ゲイン係数の下限値と上限値とを設定する場合、自動車の使用目的を、例えば、営業用、通勤用、日常近距離走行用、レジャー用等に分類するものとして、営業用や通勤用では、駆動系については出力よりも燃料消費率を重視してFKe1〜FKe2を0.4 〜1.0 程度に設定し、懸架系についてはソフトとハードの中間となるようにFKa1〜FKa2を0.8 〜1.2 程度に設定し、操舵系については安定性を高めるようにFKw1〜FKw2を1.0 〜1.4 程度に、また、FKp1〜FKp2を1.0 〜1.4 程度に設定する。
日常近距離走行用では、駆動系については出力よりも燃料消費率を重視してFKe1〜FKe2を0.4 〜1.0 程度に設定し、懸架系についてはソフトとなるようにFKa1〜FKa2を0.4 〜1.0 程度に設定し、操舵系については小回り性を高めるようにFKw1〜FKw2を0.4 〜1.0 程度に、また、FKp1〜FKp2を0.4 〜1.0 程度に設定する。レジャー用では、駆動系については出力を重視しFKe1〜FKe2を1.0 〜1.4 程度に、懸架系についてはハードとなるようにFKa1〜FKa2を1.0 〜1.4 程度に設定し、操舵系については安定性を高めるようにFKw1〜FKw2を1.0 〜1.4 程度に、また、FKp1〜FKp2を1.0 〜1.4 程度に設定する。
【0124】
5〕 前記ゲイン変更用設定器65から制御ゲイン係数許容範囲のデータを入力して制御ゲイン係数の下限値と上限値とを規制する方式に代えて、オーナードライバーの運転経歴や運転技量を加味して、各部制御装置の制御ゲイン係数を補正する為の補正係数αe,αa,αw,αp をゲイン変更器20に入力設定し、オーダーメイドのモードやシステムのモードで設定された制御ゲイン係数(FKe,FKa,FKw,FKp)の補正成分に補正係数αを乗算することで制御ゲイン係数(FKe,FKa,FKw,FKp)を決定する。
【0125】
即ち、制御ゲイン係数FKe を例として説明すると、次式のように設定する。
制御ゲイン係数FKe =1.0 +(FKe −1.0 )×αe
更に、特定事業帯の専業者により、オーナードライバー以外のドライバーの運転経歴や運転技量に基いて、これらのドライバーの補正係数をもゲイン変更器20に入力設定し、ワンタッチSWのモードにおいて、これらのドライバー用に設定する制御特性についても、その補正係数で以て補正することもできる。
【0126】
6〕 前記ゲイン変更用設定器65から制御ゲイン係数許容範囲のデータを入力して制御ゲイン係数の下限値と上限値とを規制する方式に代えて、特定事業体において比較的大きな制御ゲイン係数を設定する為に、前記最終制御ゲイン係数FKi (但し、i=e,a,w,p)を、次式のように設定する。
FKi =1.0 + (Ki-1.0)×3 ×a1×a2×a3×a4×a5×β×γ
前式において、a1〜a5は、表1に示す制御ゲイン補正係数であり、βは図47のマップに示す係数、γは図48のマップに示す係数である。
【0127】
ここで、係数a1〜a5と、Kiには、前述の如くデータ入力項目リストに記載の種々の情報が加味されているが、各オーナードライバーの運転技量や性格については、十分に加味されていない。
そこで、特定事業体の専業者が、オーナードライバーの数時間にわたる試験運転に同乗して、そのドライバーの運転技量をA〜Eの5段階にランク付けし、そのランクを図47のマップに適用して係数βを決定するとともに、前記試験運転とオーナードライバーからの聴き取り情報に基いて、そのドライバーの性格をA1〜E1の5段階にランク付けし、そのランクを図48のマップに適用して係数γを決定する。尚、オーナードライバーの運転技量の向上に応じて、係数βを大きく修正することが望ましいことから、所定期間毎に、又は、オーナードライバーの所定走行距離(例えば、5000Km)毎に、係数βを所定の演算式やマップに基いて変更するように構成することが望ましい。
【0128】
ドライバーの運転技量が最低ランクEでは、β=1/3 であり、最高ランクAではβ=1.0である。つまり、運転技量の高いドライバー程、最終制御ゲイン係数の補正成分が拡大されるようになっている。
また、ドライバーの性格(通常の性格だけでなく、精神的な情緒や生理的な要因による情緒も含むものとする)が最も不安定のランクE1ではγ=1/3 であり、最も安定なランクA1ではγ=1.0 である。つまり、性格が安定しているドライバー程、最終制御ゲイン係数の補正成分が拡大されるようになっている。
前記専業者により、ゲイン変更用設定器65を制御装置60のアクセスポートに接続して前記係数βとγとが入力され、RAM62のメモリに記憶される。
【0129】
更に、ゲイン変更器20の前記ワンタッチSW画面21Iには、前記の式で決定される制御ゲイン係数(これを1次制御特性とする)を選択する為の1次特性SWが設けられ、この1次特性SWで1次制御特性を選択して各部制御装置(EGI,ACS,4WS,ACS )の制御ゲインを変更できるように構成する。
従って、オーナードライバーは、制御ゲインを大きく変更したい場合には、1次特性SWで1次制御特性を選択し、また、制御ゲインを比較小さく変更したい場合には、オーダーメイド特性SWでオーダーメイドの制御特性を選択できる。
尚、前記係数βとγは、ゲイン変更用設定器65を、ゲイン変更装置70の制御装置90のアクセスポートに接続して入力記憶させることも可能である。
このように、1次制御特性は、オーナードライバーの運転技量を加味した係数βと、性格を加味した係数γとで補正されているため、操縦安定性を損なうことなく、制御ゲインの変更幅を大きく設定することができる。
【0130】
7〕 前記ゲイン変更器20には、データ入力項目リストのデータ入力項目に対応するキーを設けることも可能であり、その場合データの入力が簡単になる。但し、タイトル等の入力の為に、数字キーや文字キーを設けることが望ましい。
ゲイン変更器20としては、種々の態様のものを採用可能であるが、表示機能と、データ入力機能と、演算処理機能と、データ記憶機能と、無線送信・受信機能、等を具備していればよく、TV受像機に限らず、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイを備えたパーソナルコンピュータ等に接続可能に構成することも有り得る。
【0131】
8〕 前記ワンタッチSW画面に例示したワンタッチSWは、例示に過ぎず、例えば、自動車が走行する市街地、市外地、山道、低μ路、雪道、等の道路の種類に対応するワンタッチSW、種々の使用目的や使用時間帯に対応するワンタッチSW、運転するドライバーに対応するワンタッチSW、等も適宜設けることもできる。
更に、複数のワンタッチSWを、(a)特定作動状態(始動、始動点検、パーキング、給油、トンネル、視界改善、雨天、・・等々)、(b)走行する道路の種類(渋滞、高速道、一般道、市街地、市外地、山道、低μ路、雪道、・・等々)、(c)運転するドライバー(オーナードライバー、妻、息子、娘、・・等々)等に分類し、(a)〜(c)の各群毎に1つのSWを設け、各SWを操作する毎に、SW名称をディスプレイにサイクリックに表示するように構成することもあり得る。例えば、(a)群では、a群SWを操作する毎に、始動点検、パーキング、給油、トンネル、視界改善、雨天、・・等々の順にサイクリックに表示するように構成する。
【0132】
9〕 前記ワンタッチSWは、必ずしもディスプレイの画面SWで構成する必要はなく、ゲイン変更器20及び/又は自動車のインストルメントパネルに付設される複数のSWで構成することも有り得る。
そして、ゲイン変更器20と制御装置90とをケーブル接続可能の場合には、それらの複数のSWをゲイン変更器20のみに設けてもよい。
更に、また、ワンタッチSWのうちの、始動SW、始動点検SW、パーキングSW、給油SW、トンネルSW、視界改善SW、雨天SW等の機器設定用SWについては、専業者がオーナードライバーの希望に基いて、これらの各SWモードにおける操作対象機器の作動モードを設定するように構成することもできる。
【0133】
10〕 前記実施例では、オーダーメイド特性においては、EATの制御ゲイン特性を変更するように構成するように構成してないが、EGI,ACS,4WS,P/S の制御ゲイン特性と同様に、EAT の制御ゲイン特性を変更するように構成してもよい。
11〕 前記実施例では、アンチロックブレーキング装置を制御するABS制御装置及びトラクションコントロール装置を制御するTCS制御装置の制御ゲイン特性を格別に設定するようには構成していないが、これらの制御ゲイン特性についても、各部制御装置14〜18の制御ゲイン特性と同様に設定するように構成してもよい。
更に、自動車のシート装置の前後方向位置、高さ位置、シートバックの傾き、等を自動調節可能なシート調節装置を設け、ワンタッチSWを介して、各ドライバーの設定に応じてシート装置を調節可能に構成することもできる。
12〕 本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、既存の技術や当業者にとり自明の技術に基いて、本発明の制御ゲイン変更システムに種々の変更を付加することもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る自動車の制御装置の構成図である。
【図2】図1の自動車の制御ゲイン変更システムのゲイン変更器の斜視図である。
【図3】図2のゲイン変更器の制御系のブロック図である。
【図4】ゲイン変更器のディスプレイに表示されたAV機器操作画面の説明図である。
【図5】前記ディスプレイに表示された空調系操作画面の説明図である。
【図6】前記ディスプレイに表示された時計画面の説明図である。
【図7】ゲイン変更器の作動モードの階層構造の説明図である。
【図8】前記ディスプレイに表示された第1メニュー画面の説明図である。
【図9】前記ディスプレイに表示された第2メニュー画面の説明図である。
【図10】前記ディスプレイに表示されたデータ入力項目画面の説明図である。
【図11】前記ディスプレイに表示された制御ゲイン特性画面の説明図である。
【図12】前記ディスプレイに表示された第3メニュー画面の説明図である。
【図13】前記ディスプレイに表示されたワンタッチSW画面の説明図である。
【図14】前記ディスプレイに表示された始動SW画面の説明図である。
【図15】前記ディスプレイに表示された始動点検SW画面の説明図である。
【図16】前記ディスプレイに表示されたパーキングSW画面の説明図である。
【図17】前記ディスプレイに表示された給油SW画面の説明図である。
【図18】前記ディスプレイに表示されたトンネルSW画面の説明図である。
【図19】前記ディスプレイに表示された視界改善SW画面の説明図である。
【図20】前記ディスプレイに表示された雨天SW画面の説明図である。
【図21】前記ディスプレイに表示された高速道SW画面の説明図である。
【図22】ゲイン変更器のROMの画面表示データと音声出力データを示す図表である。
【図23】ゲイン変更器のRAMに記憶されるデータを示す図表である。
【図24】図1の自動車のゲイン変更装置の構成を示すブロック図である。
【図25】1次特性の制御ゲイン係数と制御ゲイン変更許容範囲のデータ入力制御のフローチャートである。
【図26】1次特性の制御ゲイン係数と制御ゲイン変更許容範囲の設定例の説明図である。
【図27】制御ゲイン変更許容範囲の下限値のマップを示す線図である。
【図28】制御ゲイン変更許容範囲の上限値のマップを示す線図である。
【図29】制御ゲイン変更許容範囲変更制御のフローチャートである。
【図30】ゲイン変更器における制御ゲイン係数変更制御のフローチャートの一部である。
【図31】ゲイン変更器における制御ゲイン係数変更制御のフローチャートの一部(オーダーメイドのモード)である。
【図32】ゲイン変更器における制御ゲイン係数変更制御のフローチャートの一部(システムのモード)である。
【図33】ゲイン変更器における制御ゲイン係数変更制御のフローチャートの一部(ワンタッチSWのモード)の一部である。
【図34】ゲイン変更器における制御ゲイン係数変更制御のフローチャートの一部(ワンタッチSWのモード)の一部である。
【図35】ゲイン変更器における制御ゲイン係数変更制御のフローチャートの残部である。
【図36】TV受像機への画像音声出力制御のフローチャートである。
【図37】前記ディスプレイに表示された制御ゲイン特性評価画面の説明図である。
【図38】前記ディスプレイに表示された制御ゲイン特性評価画面の説明図である。
【図39】ゲイン変更器からゲイン変更装置への制御プログラム及び記憶データ送信制御のフローチャートである。
【図40】ゲイン変更装置における制御プログラム及び記憶データ受信制御のフローチャートである。
【図41】ゲイン変更装置における制御特性等の設定制御のフローチャートである。
【図42】ゲイン変更装置における制御特性選択制御のフローチャートである。
【図43】ゲイン変更装置における制御信号出力制御のフローチャートである。
【図44】図42のS183の制御信号出力処理のフローチャートである。
【図45】図42のS184の制御信号出力処理のフローチャートである。
【図46】変形例のデータ入力項目リストを表示したデータ入力項目画面の説明図である。
【図47】変形例に係る1次制御特性における係数βのマップの説明図である。
【図48】変形例に係る1次制御特性における係数γのマップの説明図である。
【符号の説明】
1 自動車
14 エンジン制御装置(EGI)
15 自動変速機制御装置(EAT)
16 アクティブサスペンション制御装置(ACS)
17 4輪操舵制御装置(4WS)
18 パワーステアリング制御装置(P/S)
20 ゲイン変更器
21 ディスプレイ
22 ディスプレイコントローラ
25 ゲイン変更SW
60 制御装置
61 ROM
62 RAM
65 ゲイン変更用設定器
70 ゲイン変更装置
71 ディスプレイ
72 ディスプレイコントローラ
90 制御装置
91 ROM
92 RAM

Claims (7)

  1. 車両の制御ゲインを変更可能な複数の制御装置の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更方法において、
    前記複数の制御装置に車両メーカーが予め設定した変更不可能なメーカー設定制御ゲインと、前記複数の制御装置にドライバーの特性に応じて変更可能に設定されるオーダーメイド制御ゲインとを備え、
    車両のディーラー又はディーラーから委託された者が、前記複数の制御装置の前記オーダーメイド制御ゲインを、第1変更許容範囲内で変更する第1ゲイン変更方法と、
    車両を購入した購入者が、前記複数の制御装置の前記オーダーメイド制御ゲインを、第1変更許容範囲よりも狭い第2変更許容範囲内で変更する第2ゲイン変更方法と、
    を含むことを特徴とする車両の制御ゲイン変更方法。
  2. 前記第1ゲイン変更方法は、車両の主なる使用目的に応じて各制御装置の制御ゲインを変更することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御ゲイン変更方法。
  3. 前記第1ゲイン変更方法は、車両を購入した購入者の運転経歴や運転技量を加味して制御ゲインを変更することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御ゲイン変更方法。
  4. 前記第2ゲイン変更方法は、車両の性能を変える為に、各制御装置の制御ゲインを変更することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御ゲイン変更方法。
  5. 前記第1及び第2ゲイン変更方法による変更結果を、前記複数の制御装置に信号授受可能な制御手段に夫々記憶させ、所定の指令信号により、前記制御手段に、第1ゲイン変更方法による変更結果と、第2ゲイン変更方法による変更結果とを択一的に選択させることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御ゲイン変更方法。
  6. 前記複数の制御装置は、車両の駆動系、懸架系、操舵系を制御する装置であることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御ゲイン変更方法。
  7. 前記第1ゲイン変更方法により前記複数の制御装置の制御ゲインを変更後、前記第2ゲイン変更方法により前記複数の制御装置の制御ゲインを変更することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御ゲイン変更方法。
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