JP3409169B2 - 超極細繊維体及びその製造方法 - Google Patents

超極細繊維体及びその製造方法

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JP3409169B2
JP3409169B2 JP07276094A JP7276094A JP3409169B2 JP 3409169 B2 JP3409169 B2 JP 3409169B2 JP 07276094 A JP07276094 A JP 07276094A JP 7276094 A JP7276094 A JP 7276094A JP 3409169 B2 JP3409169 B2 JP 3409169B2
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登志治 壁谷
登志朗 壁谷
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三登化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、バッテリーセパレー
ター、工業用フィルター、人工皮革、清掃用品材料、及
び衛生用品材料などの産業資材として利用可能な超極細
繊維体及びその製造方法に関する。詳細には軽量化を実
現し、かつ焼却時における有毒ガスの発生を低減化でき
る超極細繊維体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、超極細繊維体としては、ポリ
エステル、アクリル、ナイロンなどを主成分とするもの
が知られている。例えば特公昭59−12763号公報
には、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)を
島成分とし、ポリスチレン及び/又はその共重合体を海
成分とする海島型複合繊維を極細化したものが示されて
いる。特公平4−78727号公報には、アクリル樹脂
を島成分とし、塩化ビニル樹脂を海成分とする海島型複
合繊維を極細化したものが示されている。これらの超極
細繊維体の極細化は、海島型複合繊維から海成分を溶出
除去することで、あるいは海島型複合繊維を引きちぎっ
たり叩いたりして繊維を分割させることでなされてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの超
極細繊維体にあっては、海島型複合繊維から海成分を溶
出除去して極細化する場合、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン等の人体に有害な溶剤を使用するので、同
溶剤が工場内外へ飛散し、環境衛生上の問題を引き起こ
す恐れがあった。又、その使用済み液を処理するための
設備を設ける必要もあった。
【0004】また、これらの超極細繊維体にあっては、
ポリエステル、アクリル、ナイロンなどを主成分とする
ものであり、製品焼却時にアンモニア、アルデヒド、シ
アン化水素などの人体に有害なガスが発生していた。更
に、これらポリエステル、アクリル、ナイロンなど、従
来の超極細繊維体を構成する素材の比重は1.1〜1.
39と重く、軽量化の要求されるバッテリーセパレータ
ーや工業用フィルターではその改善が望まれていた。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
ものであり、製造時に人体に有害な溶剤を使用すること
がなく、軽量化を実現することができ、しかも焼却時に
人体に有害なガスが発生することがない超極細繊維体及
びその製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するため、請求項1記載の発明は、エチレン含有量が1
5モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
を海成分とすると共にオレフィン系樹脂を島成分とする
海島型複合繊維から、前記海成分が塩基性水溶液によっ
て除去されてなる超極細繊維体をその要旨とした。
【0007】
【0008】請求項記載の発明は、島成分たるオレフ
ィン系樹脂がポリプロピレン(ホモポリマー)及び/又
は高密度ポリエチレンであることを特徴とする超極細繊
維体をその要旨とした。
【0009】請求項記載の発明は、エチレン含有量が
15モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
を海成分とすると共にオレフィン系樹脂を島成分とす
る海島型複合繊維により構成された不織布から、前記海
島型複合繊維の海成分が塩基性水溶液によって除去され
てなる超極細繊維体をその要旨とした。
【0010】
【0011】請求項記載の発明は、島成分たるオレフ
ィン系樹脂がポリプロピレン(ホモポリマー)及び/又
は高密度ポリエチレンであることを特徴とする超極細繊
維体をその要旨とした。
【0012】請求項記載の発明は、海成分としてエチ
レン含有量が15モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物と、島成分としてのオレフィン系樹脂と
を混合して溶融紡糸し、次いで、得られた海島型複合繊
維から前記海成分を塩基性水溶液によって除去すること
を特徴とする超極細繊維体の製造方法をその要旨とし
た。
【0013】
【0014】請求項記載の発明は、島成分たるオレフ
ィン系樹脂がポリプロピレン(ホモポリマー)及び/又
は高密度ポリエチレンであることを特徴とする超極細繊
維体の製造方法をその要旨とした。
【0015】請求項記載の発明は、海成分としてエチ
レン含有量が15モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物と、島成分としてのオレフィン系樹脂と
を混合して溶融紡糸し、次いで、得られた海島型複合繊
維により繊維ウェブを形成し繊維相互を結合した後、得
られた不織布から前記海島型複合繊維の海成分を塩基性
水溶液によって除去することを特徴とする超極細繊維体
の製造方法をその要旨とした。
【0016】
【0017】請求項記載の発明は、島成分たるオレフ
ィン系樹脂がポリプロピレン(ホモポリマー)及び/又
は高密度ポリエチレンであることを特徴とする超極細繊
維体の製造方法をその要旨とした。
【0018】以下、本発明の超極細繊維体及びその製造
方法について更に詳しく説明する。本発明の超極細繊維
体は、エチレン含有量が15モル%以上のエチレン−酢
酸ビニル共重合体ケン化物を海成分とすると共にオレフ
ィン系樹脂を島成分とする海島型複合繊維から前記海成
分が除去されてなるものである。
【0019】海成分たるエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物は、エチレン含有量が15モル%以上のもの
が、塩基性熱処理を行うことにおいては好ましい。
【0020】島成分たるオレフィン系樹脂としては、ポ
リプロピレン(ホモポリマー)及び/又は高密度ポリエ
チレンを挙げることができる。イソタクチック、アタク
チック重合物、中低圧法による高密度ポリエチレンは、
成型性が良く、これにより製造された製品はしなやかな
感触を持つようになる点で好ましい。又、イソタクチッ
クポリプロピレンホモポリマーは軽く、撥水性に豊むう
え、製品に腰があり、成型性に優れるという点で好まし
く、フィルター材として最適である。
【0021】本発明の超極細繊維体は、上記海成分と島
成分とからなる海島型複合繊維から塩基性水溶液によっ
て海成分が除かれたものである。塩基性水溶液として
は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の酸化物、
水酸化物もしくは炭酸塩などの弱酸塩を水に溶解するこ
とで得られ、ガラス電極pHメーターで8.0以上、好
ましくは9.0以上の塩基性を有するものである。これ
らのアルカリ金属化合物としては、例えば苛性ソーダ、
炭酸カリ、重炭酸ソーダ、ソーダ灰、酢酸カリなどを挙
げることができ、特に苛性ソーダは比較的安価であり、
液状で入手ができ取り扱い性が良く、さらに強アルカリ
性であり、浸透性に優れるという点で好ましい。水に対
する添加量としては特に制限されず、1重量%以上、好
ましくは5〜7重量%である。またこの塩基性水溶液に
洗浄性を付与する目的でHBL7以上の非イオン系もし
くは/及びアニオン系界面活性剤を添加することもでき
る。これらの界面活性剤の具体的例としては、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル(商品名 ノニポー
ル200、三洋化成工業株式会社).n−アルキルベン
ゼンスルホン酸ソーダなどが挙げられ、好ましくはポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテルである。これら
の界面活性剤の水に対する添加量は、0.1〜10%、
好ましくは0.5〜3%である。
【0022】この塩基性水溶液は、上記海成分と島成分
とからなる海島型複合繊維に対し、通常の無添加熱水に
比べ、海成分が水溶するのを促進し、水溶するスピード
を早めるという作用を有するので、海成分の除去作業効
率は向上し、かつ島成分における繊維細分化の促進が可
能となる。
【0023】上記塩基性水溶液によって海島型複合繊維
から海成分を除去することで得られる超極細繊維体は、
0.01〜0.1μmの糸径を有し、図1及び図2に示
すように、島成分たるオレフィン系樹脂が撥水性に富む
しなやかな超極細の繊維集合体を造り出している。
【0024】次に、請求項記載の超極細繊維体につい
て説明する。尚、海成分、島成分、海島型複合繊維から
海成分を除去する塩基性水溶液については、前述の超極
細繊維体の箇所で説明したものと同じであるため、ここ
での説明は割愛する。この超極細繊維体は、エチレン含
有量が15モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物を海成分とすると共にオレフィン系樹脂を島成
分とする海島型複合繊維により構成された不織布から、
前記海成分が塩基性水溶液によって除去されてなるもの
である。
【0025】不織布は、海島型複合繊維により繊維ウェ
ブを形成し、この繊維ウェブをニールドルパンチ法など
の絡合処理により繊維相互を結合させてなるものであ
る。本発明の超極細繊維体は、この不織布を構成する海
島型複合繊維から塩基性水溶液によって海成分を除去す
ることで得られたものである。得られた超極細繊維体
は、図3及び図4に示すように、海島型複合繊維から海
成分を除去することによって得られた島成分のみからな
る超極細の繊維を構成繊維とする不織布であり、撥水性
に富むしなやかな超極細の繊維集合体を造り出してい
る。
【0026】次に、請求項記載の超極細繊維体の製造
方法について説明する。尚、海成分、島成分、海島型複
合繊維から海成分を除去する塩基性水溶液については、
前述の請求項1、の超極細繊維体の箇所で説明したも
のと同じであるため、ここでの説明は割愛する。本発明
の超極細繊維体の製造方法は、海成分としてエチレン含
有量が15モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物と、島成分としてのオレフィン系樹脂とを混合
して溶融紡糸して海島型複合繊維を製造する工程と、得
られた海島型複合繊維から塩基性水溶液により前記海成
分を除去する工程とからなる。
【0027】海島型複合繊維を製造する工程は、海成分
と島成分とを混合する工程と、これらの混合物を溶融紡
糸する工程とからなる。前述した如く、海成分はエチレ
ン含有量が15モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化物よりなり、これにポリプロピレン(ホモポ
リマー)及び/又は高密度ポリエチレンなどのオレフィ
ン系樹脂よりなる島成分を混合するのである。
【0028】海成分たるエチレン含有量が15モル%以
上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と島成分た
るオレフィン系樹脂とを混合する場合、その混合比は、
10〜90:90〜10であり、好ましくは50〜9
0:50〜10、特に好ましくは60〜80:40〜2
0である。上記の如く基本的には海成分の多い方が超極
細繊維体を製造する上で好ましいのであるが、島成分の
比率が余りに少なく海成分の比率が多い場合には、細い
繊維を得ることができる反面、繊維が細くなり過ぎて十
分な機械的強度を持たず、実用に耐えないものとなる。
又、島成分の比率が余りに多く、海成分の比率が少ない
場合には、十分な機械的強度を持ち、優れた撥水性を呈
するようになる反面、繊維径が太くなり、軽量化など、
当初の目的に沿ったのものを得ることができなくなる。
このため、海成分と島成分の混合比は用途や使用形態な
どを考慮して決定するのがよい。又、前記海成分と島成
分は、粉末状またはペレット状で混合することができ
る。
【0029】次に、この混合物を、通常溶融温度190
〜250℃の温度範囲で熱溶融させて混練し、押し出
し、紡糸することで海島型複合繊維を得ることができ
る。尚、混合物を熱溶融させて混練し、押し出し、直接
紡糸せず、押し出した後に一旦ペレット化し、得られた
ペレットを紡糸するという方法を採ることもできる。
【0030】紡糸に使用するノズルの径としては、通常
0.2〜2.0mm¢がよく、200〜240℃のノズ
ル温度で紡糸する。紡糸の際の巻き取り速度と紡糸流出
速度の比であるドラフト率は、50〜3000の範囲内
がよい。
【0031】かくして得られた繊維は冷却されながら延
伸されて海島型の複合繊維となる。尚、溶融紡糸後、ふ
とん綿や緩衝材など強度を要求されない用途に用いるも
のにあっては、延伸処理を省くこともできる。
【0032】次に、得られた海島型複合繊維から前記海
成分を除去する工程について説明する。海島型複合繊維
から海成分を除去する方法としては、塩基性水溶液を用
いたアルカリ精錬法「(株)日本繊維センター発行の加
工技術動向編3項(1974年9月1日)に記載」があ
る。アルカリ精錬法には連続法とバッチ法がある。連続
法には、スチーム方式とオープンソーバー法とがあり、
オープンソーバー法には、Jボックス法とLボックス法
がある。処理温度としては、40℃〜100℃、好まし
くは90〜100℃。処理時間としては、4〜10分、
好ましくは6〜10分で、圧力は常圧である。浴比とし
ては、被除去体に対し1:10〜100、好ましくは2
0〜50である。
【0033】この塩基性水溶液を用いたアルカリ精錬法
によって海島型複合繊維から海成分を除去するようにし
た場合、通常の無添加熱水に比べ、海成分が水溶するの
を促進し、水溶するスピードを早めるという作用を有す
るので、海成分の除去作業効率は向上し、かつ島成分に
おける繊維細分化の促進が可能となる。
【0034】尚、過硫酸ナトリウム、過リン酸ナトリウ
ム、亜臭素酸ナトリウム、過酸化水素などの酸化剤を添
加した水溶液を塩基性水溶液と併用することもできる。
この場合、漂白作用の付与、海成分の除去効果の均一性
付与といった作用効果を得ることができる。
【0035】次に、請求項記載の超極細繊維体の製造
方法について説明する。この超極細繊維体の製造方法
は、海成分としてエチレン含有量が15モル%以上のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と、島成分として
のオレフィン系樹脂とを混合して溶融紡糸する工程と、
得られた海島型複合繊維により繊維ウェブを形成し繊維
相互を結合する工程と、得られた不織布から塩基性水溶
液により前記海成分を除去する工程とからなる。尚、海
成分としてエチレン含有量が15モル%以上のエチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物と、島成分としてのオレ
フィン系樹脂とを混合して溶融紡糸する工程は請求項
記載の方法と同じであるため、ここでの説明は割愛す
る。
【0036】溶融紡糸して得られた海島型複合繊維によ
り繊維ウェブを形成し繊維相互を結合する工程は、海島
型複合繊維により繊維ウェブを形成する工程と、繊維ウ
ェブの構成繊維相互を結合する工程とからなる。繊維ウ
ェブは、紡糸された海島型複合繊維を所定長に切断した
後、ローラ・カードを使用することにより、空気流を利
用してケージにランダムに集積することにより、あるい
はノズルから繊維を紡糸するときに空気を吹き付けるこ
とにより形成することができる。この後、形成された繊
維ウェブの構成繊維相互を結合する。繊維の結合は、接
着剤により接着したり、ニードルパンチ、水流絡合など
の繊維相互を絡ませたりすることにより行うことができ
るが、繊維が結合された後、ウェブ内に海島型複合繊維
のみが存在するようにするため、後者の繊維相互を絡ま
せる方法が好ましい。
【0037】次に、上記の如くして得られた不織布を構
成する海島型複合繊維の海成分を塩基性水溶液により除
去する。海成分の除去には、請求項の製造方法の箇所
で述べた如く、塩基性水溶液を用いたアルカリ精錬法
「(株)日本繊維センター発行の加工技術動向編3項
(1974年9月1日)に記載」を用いるのがよい。こ
の方法を用いた場合、通常の無添加熱水に比べ、海成分
(例えばポリビニルアルコールなど)が水溶するのを促
進し、水溶するスピードを早めるという作用を有するの
で、海成分の除去作業効率は向上し、かつ島成分におけ
る繊維細分化の促進が可能となる。
【0038】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
【0039】実施例1 海成分として、210℃で溶融粘度が0.5×104
イズであるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物でエ
チレン含量が15%モル以上のポリマー(エコマティー
AX#2000、日本合成化学社製)を用いた。また、
島成分として210℃での溶融粘度が0.3×104
イズであるポリプロピレンホモポリマー(4700E、
三菱化成社製)を用いた。ペレット状の両者を各25k
gずつポッパーブレンドした後、径0.5mm¢のノズ
ルから220℃で紡糸し、約50デニールの海島型複合
繊維を得た。この時のドラフト率は300であった。次
に得られた複合繊維を、苛性ソーダ5%及びn−アルキ
ルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5%添加の塩基性水溶
液に95℃、10分間バッチ法にて処理後、乾燥した。
得られた超極細繊維体は、図1、図2に示す通り、ポリ
プロピレンホモポリマー樹脂よりなり、0.01〜1μ
の糸径を有する超極細繊維の集合物であり、撥水性に優
れ、しなやかな風合いを有していた。
【0040】実施例2 海成分として、210℃で溶融粘度が0.5×104
イズであるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物でエ
チレン含量が15%モル以上のポリマー(エコマティー
AX#2000、日本合成化学社製)を用いた。また、
島成分として210℃での溶融粘度が0.3×104
イズであるポリプロピレンホモポリマー(4700E、
三菱化成社製)を用いた。ペレット状の両者を海成分:
島成分=7:3の割合でポッパーブレンドした後、径
0.5mm¢のノズルから220℃で紡糸し、約40デ
ニールの海島型複合繊維を得た。これをギアボックス法
にて80℃、常圧下巻縮性を付与し、51mmの寸法に
てカット、短繊維化の上、繊維ウェブを形成し、ニード
ルパンチ法にて目付300g/m2 の不織布とした。こ
れを苛性ソーダ5%及びアニオン系界面活性剤0.5%
添加の塩基性水溶液に95℃、15分間バッチ法にて処
理後、乾燥した。得られた不織布は、図3.4に示す通
り、ポリプロピレンホモポリマー樹脂よりなり、0.0
1〜1μの糸径を有する超極細繊維の集合物を構成繊維
とする不織布であった。その布は、しなやかな風合いを
有し且つ撥水性を示すものであった。
【0041】
【発明の効果】上記構成を備えたことにより、請求項1
又は2記載の超極細繊維体は、エチレン含有量が15モ
ル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を海
成分とする海島型複合繊維から、塩基性水溶液によって
海成分を除去することにより得られたものであるから、
海成分の除去時にシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン
等の人体に有害な溶剤を使用せず、環境に悪影響を与え
ることがない。
【0042】また、この超極細繊維体は、比重が0.9
〜0.93のポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリ
オレフィン系樹脂よりなるので、従来の比重が1.1〜
1.39のポリエステル、ナイロンなどの樹脂からなる
繊維体に比べて軽いので、例えばバッテリーセパレータ
や工業用フィルター、車両関連部品などの軽量化に対す
る要求の高い分野に最適である。
【0043】また、この超極細繊維体は、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂を素材と
する超極細繊維の集合体であるので、焼却時にアンモニ
ア、アルデヒド、シアン化水素などの人体に有害なガス
が発生することがない。特に家庭用換気扇用フィルター
は、使用後可燃ゴミとして頻繁に排出されるので、ゴミ
焼却時における有害ガスの発生を低減することができる
点できわめて有用である。
【0044】また、この超極細繊維体は、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂を素材と
している為、フィルターやガイド材に多用されている材
料と共通し、ゴミ分別の簡略化及び強いては原料回収に
於けるリサイクル化の促進の一助となり得る。又、現
行、清掃用品としては、綿やポリプロピレン繊維が使用
されているが、本発明による超極細繊維体をこの用途に
適用した場合、吸塵性、吸水性に優れかつ上記記載の軽
量化並びに焼却時の有害ガス発生問題の解決及び付属部
品との原料共通化など、その効果は計り知れない。
【0045】請求項3又は4記載の超極細繊維体は、
チレン含有量が15モル%以上のエチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物を海成分とすると共にオレフィン系樹
脂を島成分とする海島型複合繊維により構成された不織
布から、前記海島型複合繊維の海成分が塩基性水溶液に
よって除去されてなるものであることから、海成分の除
去時にシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の人体に
有害な溶剤を使用せず、環境に悪影響を与えることがな
い。
【0046】また、この超極細繊維体は、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂を素材と
する繊維集合体を構成繊維とする不織布であるので、軽
く、例えばバッテリーセパレータや工業用フィルター、
車両関連部品などの軽量化に対する要求の高い分野に最
適である。
【0047】また、この超極細繊維体は、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂を素材と
する繊維集合体を構成繊維とする不織布であるので、焼
却時にアンモニア、アルデヒド、シアン化水素などの人
体に有害なガスが発生することがない。
【0048】請求項5又は6記載の超極細繊維体の製造
方法は、海成分としてエチレン含有量が15モル%以上
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と、島成分と
してのオレフィン系樹脂とを混合して溶融紡糸し、次い
で、得られた海島型複合繊維から前記海成分を塩基性水
溶液によって除去する方法であるので、海成分の除去に
シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の人体に有害な
溶剤を使用せず、環境に悪影響を与えることがない。
【0049】また、この超極細繊維体の製造方法は、ポ
リプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹
脂を素材とする軽量で、しかも焼却時にアンモニア、ア
ルデヒド、シアン化水素などの人体に有害なガスが発生
することがない超極細繊維の集合体を得ることができ
る。
【0050】請求項7又は8記載の超極細繊維体の製造
方法は、海成分としてエチレン含有量が15モル%以上
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と、島成分と
してのオレフィン系樹脂とを混合して溶融紡糸し、次い
で、得られた海島型複合繊維により繊維ウェブを形成し
繊維相互を結合した後、得られた不織布から前記海島型
複合繊維の海成分を塩基性水溶液によって除去する方法
であるので、海成分の除去にシクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン等の人体に有害な溶剤を使用せず、環境に
悪影響を与えることがない。
【0051】また、この超極細繊維体の製造方法は、ポ
リプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹
脂を素材とする軽量で、しかも焼却時にアンモニア、ア
ルデヒド、シアン化水素などの人体に有害なガスが発生
することがない超極細繊維の集合体を構成繊維とする不
織布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた超極細繊維体断面部の電子
顕微鏡写真。
【図2】同じく実施例1で得られた超極細繊維体の側面
部の電子顕微鏡写真。
【図3】超極細繊維体と約20μ径繊維とを比較した電
子顕微鏡写真。
【図4】実施例2で得られた超極細繊維体からなる不織
布内部の電子顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深堀 正昭 愛知県春日井市上条町5丁目6番 プレ セジュール春紀A棟202号 (56)参考文献 特開 平4−194013(JP,A) 特開 平5−71006(JP,A) 特開 平7−3529(JP,A) 特開 昭52−5318(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 11/38 D01F 8/10

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量が15モル%以上のエチ
    レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を海成分とすると共
    にオレフィン系樹脂を島成分とする海島型複合繊維か
    ら、前記海成分が塩基性水溶液によって除去されてなる
    超極細繊維体。
  2. 【請求項2】 島成分たるオレフィン系樹脂がポリプロ
    ピレン(ホモポリマー)及び/又は高密度ポリエチレン
    であることを特徴とする請求項1記載の超極細繊維体。
  3. 【請求項3】 エチレン含有量が15モル%以上のエチ
    レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を海成分とすると共
    にオレフィン系樹脂を島成分とする海島型複合繊維によ
    り構成された不織布から、前記海島型複合繊維の海成分
    が塩基性水溶液によって除去されてなる超極細繊維体。
  4. 【請求項4】 島成分たるオレフィン系樹脂がポリプロ
    ピレン(ホモポリマー)及び/又は高密度ポリエチレン
    であることを特徴とする請求項3記載の超極細繊維体。
  5. 【請求項5】 海成分としてエチレン含有量が15モル
    %以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と、島
    成分としてのオレフィン系樹脂とを混合して溶融紡糸
    し、次いで、得られた海島型複合繊維から前記海成分を
    塩基性水溶液によって除去することを特徴とする超極細
    繊維体の製造方法。
  6. 【請求項6】 島成分たるオレフィン系樹脂がポリプロ
    ピレン(ホモポリマー)及び/又は高密度ポリエチレン
    であることを特徴とする請求項5記載の超極細繊維体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 海成分としてエチレン含有量が15モル
    %以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物と、島
    成分としてのオレフィン系樹脂とを混合して溶融紡糸
    し、次いで、得られた海島型複合繊維により繊維ウェブ
    を形成し繊維相互を結合した後、得られた不織布から前
    記海島型複合繊維の海成分を塩基性水溶液によって除去
    することを特徴とすることを特徴とする超極細繊維体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 島成分たるオレフィン系樹脂がポリプロ
    ピレン(ホモポリマー)及び/又は高密度ポリエチレン
    であることを特徴とする請求項7記載の超極細繊維体の
    製造方法。
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