JP2662466B2 - ポリオレフィン系親水性不織布 - Google Patents

ポリオレフィン系親水性不織布

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JP2662466B2 JP3013740A JP1374091A JP2662466B2 JP 2662466 B2 JP2662466 B2 JP 2662466B2 JP 3013740 A JP3013740 A JP 3013740A JP 1374091 A JP1374091 A JP 1374091A JP 2662466 B2 JP2662466 B2 JP 2662466B2
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Cell Separators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定のエチレン共重合
体を複合繊維の表層に用い、芯成分としてポリプロピレ
ンを用いた熱接着性複合繊維を含むポリオレフィン系親
水性不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン繊維は化学的に安定な繊
維であり、その用途も不織布などとして広く一般的に用
いられているものである。また不織布に形成する際に、
繊維の一体性を向上するために熱接着性に優れた低融点
成分を用いることも一般的である。すなわち、芯成分に
ポリプロピレンを用い、鞘成分にポリエチレンなどの低
融点成分を用いた芯鞘複合繊維(コンジュゲート繊維)
として用いるのである。しかしながら、このような複合
繊維は一般的に親水性に乏しいという欠点があった。す
なわち、親水性を有する不織布は紙オムツ、除湿、消臭
用のエアフィルタ等に用いることができるが、現行のポ
リオレフィン繊維は官能基が無く、親水性を付与するこ
とは困難である。
【0003】また親水性が要求される電池セパレータ用
不織布を代表例として挙げると、特開昭63−3484
9号公報に記されたエチレン−ビニルアルコール共重合
体繊維を用いたものや特開昭58−175256号、特
開昭64−57568号、特開平1−132043号及
び特開平1−132044号公報、EPC公開第031
6916A2号(1989年5月24日)などにみられ
るポリエチレン繊維或いはポリプロピレン繊維をスルホ
ン化処理したもの等を使用する例がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
知例は熱接着性が好ましいものではなく、また親水性付
与という面においても好ましいものではなかったという
課題があった。
【0005】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、熱接着性に優れ、また必要により効率よく所望の
スルホン基を導入でき親水性化できる特定構造のエチレ
ン共重合体を複合繊維(コンジュゲート繊維)の表層に
用い、芯成分としてポリオレフィンを用いた熱接着性複
合繊維を含有するポリオレフィン系親水性不織布を提供
することを目的とする
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のポリオレフィン系親水性不織布は、表層に
位置しかつ相対的に低融点である第1成分と、芯部に位
置しかつ相対的に高融点である第2成分とから少なくと
も構成される熱接着性複合繊維であって、前記第1成分
は少なくとも−[CH2 −CH(COOR)]−(ただ
しCOORはカルボキシル基またはエステルを示す。)
で示されるユニットを含むエチレン共重合体で形成さ
れ、第2成分は融点が250℃未満のポリオレフィンで
形成されてなる熱接着性複合繊維を少なくとも30重量
%含み、前記第1成分の融着により構成繊維を接着して
なる不織布であって、前記ユニット内の第3級炭素がス
ルホン化していることを特徴とする
【0007】また本発明の別のポリオレフィン系親水性
不織布は、表層に位置しかつ相対的に低融点である第1
成分と、芯部に位置しかつ相対的に高融点である第2成
分とから少なくとも構成される熱接着性複合繊維であっ
て、前記第1成分はアクリル酸及びマレイン酸から選ば
れる少なくとも一つのエチレンカルボン酸0.5〜25
重量%、及びアクリル酸エステル0〜24.5重量%
で、これらの合計が0.5〜25重量%であるエチレン
カルボン酸系モノマーと、エチレン99.5〜75重量
%とからなる融点(Tm1 、単位:℃)が、70<Tm
1 <130のエチレン共重合体であり、第2成分の融点
(Tm2 、単位:℃)が、Tm1 +20<Tm2 <25
0のポリオレフィンであり、かつ第1成分が繊維表面の
30%以上を占めてなる熱接着性複合繊維を少なくとも
30重量%含み、前記第1成分の融着により構成繊維を
接着してなる不織布であって、前記ユニット内の第3級
炭素がスルホン化していることを特徴とする
【0008】本発明のポリオレフィン系親水性不織布
は、不織布として有用なものであり、たとえば前記した
複合繊維または前記複合繊維を30重量%以上とその他
の繊維を混合し、前記複合繊維の第1成分を熱接着成分
として用いるとともに、スルホン化して親水性にする。
【0009】
【作用】前記本発明の複合繊維の構成によれば、表層に
位置しかつ相対的に低融点である第1成分と、芯部に位
置しかつ相対的に高融点である第2成分とから少なくと
も構成される熱接着性複合繊維であって、前記第1成分
は少なくとも−[CH2−CH(COOR)]−(ただ
しCOORはカルボキシル基またはエステルを示す。)
で示されるユニットを含むエチレン共重合体で形成さ
れ、第2成分は融点が250℃未満のポリオレフィンで
形成されてなるので、熱接着性に優れ、また前記ユニッ
ト中の第3級炭素にスルホン基を導入し繊維表面に親水
性を付与できる。
【0010】次に、表層に位置しかつ相対的に低融点で
ある第1成分と、芯部に位置しかつ相対的に高融点であ
る第2成分とから少なくとも構成される熱接着性複合繊
維であって、前記第1成分はアクリル酸及びマレイン酸
から選ばれる少なくとも一つのエチレンカルボン酸0.
5〜25重量%、及びアクリル酸エステル0〜24.5
重量%で、これらの合計が0.5〜25重量%であるエ
チレンカルボン酸系モノマーと、エチレン99.5〜7
5重量%とからなる融点(Tm1 、単位:℃)が、70
<Tm1 <130のエチレン共重合体であり、第2成分
の融点(Tm2、単位:℃)が、Tm1 +20<Tm2
<250のポリオレフィンであり、かつ第1成分が繊維
表面の30%以上を占めてなる熱接着性複合繊維を少な
くとも30重量%含み、前記第1成分の融着により構成
繊維を接着してなる不織布であって、前記ユニット内の
第3級炭素がスルホン化しているので親水性を付与でき
る。
【0011】前記した複合繊維を100重量%で用いる
か、または前記複合繊維を30重量%以上とその他の繊
維が混合し、前記複合繊維の第1成分を熱接着成分に用
いて不織布を形成すると、熱接着性に優れかつスルホン
基を導入して親水性を付与し得る不織布とすることがで
きる。
【0012】
【実施例】本発明は、−[CH2 −CH(COOR)]
−(ただしRはH,アルキル基、シクロアルキル基、ア
リル基、などの有機基を示す)で示されるユニットをエ
チレンと共重合すると、熱接着性に優れること、及びカ
ルボン酸と結合している第3級炭素がスルホン化するの
に容易なことを見いだしたものである。そしてスルホン
化されたポリエチレン共重合体繊維は耐酸性、耐アルカ
リ性と親水性を合わせ持っていることを見い出した。
【0013】本発明の複合繊維の第1成分の一例である
ビニル或いはビニレンのカルボン酸及びカルボン酸エス
テルからなるエチレンカルボン酸モノマーとエチレンと
の共重合体は融点が130℃未満と低く、自己接着性が
強い。この第1成分を表面に30%以上持つ本発明の複
合繊維は不織布用の熱接着性繊維として有利である。エ
チレンカルボン酸モノマーの含有量が第1成分中に25
重量%以上添加されるとポリマーのペレットの圧着と繊
維間の融着が著しく紡糸工程でトラブルの原因になる。
また、1重量%未満の場合は後に目的とする不織布の接
着性が不充分になる。エチレンカルボン酸モノマーがこ
の範囲内にある第1成分は融点(Tm1℃)が70<T
1 <130の範囲内にあって、260℃以上の温度下
では分解反応を生じやすい。従って、複合繊維の支持体
成分である第2成分は260℃以下好ましくは250℃
未満で紡糸可能でなければならない。
【0014】また、第1成分を溶融させて熱接着成分と
するとき、第2成分は熱的に安定でなければならない
が、そのため第2成分の融点(Tm2 ℃)は第1成分の
融点(Tm1 ℃)より20℃以上高いことを要する。
【0015】第2成分のポリオレフィンとしてはポリプ
ロピレンのホモポリマー、コポリマー、ポリメチルペン
テン−1のコポリマーが好ましい。また、第1成分の融
点より20℃以上高い融点を示す高密度ポリエチレンや
ポリブテン−1のコポリマーも用いることができる。
【0016】複合繊維は熱接着性繊維として用いるた
め、第1成分が繊維表面の30%以上を占めている必要
があり、好ましくは70%以上を占める並列型か、第1
成分が全繊維表面を占める鞘芯型が良い。
【0017】このような本発明の複合繊維は単独で、あ
るいは他の繊維(パルプ、レーヨンなどのセルロース系
繊維、ポリエステル繊維など)と混綿して熱処理をする
ことにより熱接着不織布にすることができる。そしてこ
の不織布は、必要な場合、複合繊維の第1成分によって
容易にスルホン化でき、これによって親水性化できる。
【0018】即ち、第1成分に含まれているカルボキシ
ル基を側鎖にもつエチレン共重合体は、カルボキシル基
が結合している主鎖の第3級炭素の部分にスルホン基が
導入できる。スルホン化反応は不織布を発煙硫酸、濃硫
酸、硫酸、三酸化硫黄ガスまたはクロルスルホン酸等で
処理する。
【0019】このようにして得られる不織布は、前記の
複合繊維を30重量%以上含むポリオレフィン系繊維で
構成され、前記複合繊維の第1成分を熱接着し第1成分
の第3級炭素にスルホン基を導入してなるものである
【0020】複合繊維は少なくとも30重量%あれば不
織布の形状を保つだけの接着強力が得られる。他の混綿
するポリオレフィン系繊維は、複合繊維の第2成分の融
点と同等以上の融点を持っているもので、例えばポリプ
ロピレン、ポリメチルペンテン−1、高密度ポリエチレ
ンのホモポリマー或いはコポリマーである。不織布形成
は、これらのステープルファイバーを常法によりカード
やランダムウェバーでウェブとし、これを押圧しつつロ
ール加熱する方法や、短カット繊維を抄造法により抄紙
して熱処理する。熱接着加工温度は複合繊維の第1成分
の軟化点より高くかつ第2成分及び混綿する他のポリオ
レフィン系繊維の融点より低い温度である。
【0021】本発明の前記複合繊維を原料とする不織布
は、紙、フェルトなどに形成することができ、更にこれ
らをスルホン化処理して親水性を付与する。これによ
り、優れた吸水性、吸湿性、保水能力、耐久性を有して
いる。
【0022】不織布中の複合繊維の鞘成分中に含まれる
カルボキシル基が付加したエチレンカルボン酸は、0.
4〜20モル%の範囲が好ましい。また上記不織布のス
ルホン化処理は複合繊維の第1成分に於けるカルボキシ
ル基が結合する主鎖の第3級炭素原子(不斉炭素)が電
子吸引性を有するカルボキシル基の感応効果(I効果)
により電子密度は減少状態にあり、スルホン基の置換反
応性は単なるポリエチレンやポリプロピレンに比較して
増大するものと推測される。
【0023】また低温度域での反応が可能であるため、
作業性もよく、加工装置の損傷及び繊維強度の劣化等を
きたすことなく、効率よく極めて再現性に優れた処理方
法を見出したものである。スルホン化処理後の水洗液は
アルカリ金属等の陽イオンを含まないもので行う。特に
スルホン化度の高いものの水洗は注意を要する。
【0024】以下具体的実施例を用いて説明する。なお
本発明は下記の実施例に限定して解釈されるものではな
い。
【0025】実施例1〜5 鞘成分として表1に示すエチレン共重合体を、芯成分と
してMFR(メルトフロー値)が30g/10分(温度
230℃)のポリプロピレンを用いて、鞘成分と芯成分
の複合比を40:60とした複合繊維を、紡糸温度26
0℃で溶融紡糸した。紡糸後、60℃の温水中で2.3
倍に延伸した。これらの繊維に機械捲縮を付与し51mm
長に切断した。また機械捲縮を付与せず5mm長に切断
し、抄紙用短カット繊維とした。鞘成分の組成と得られ
た繊維の強伸度を表1に示す。
【0026】比較例1〜3 比較例1において鞘成分にエチレン比の少ないエチレン
共重合体、ポリエチレン及びポリプロピレンを各々用い
たほかは実施例1と同様にして複合繊維を紡糸した。鞘
成分の組成と得られた繊維の強伸度を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1から明らかな通り、本発明の実施例の
ものは紡糸性がよくまた低融点で、熱接着性に優れてい
ることがわかる。
【0029】実施例6〜11 実施例1、4で得られた繊維をローラーカードでウェブ
として120℃の熱風貫通型加工機で鞘成分を溶融し、
繊維間を熱接着させて目付40g/m2 の不織布を得
た。また短カット繊維を抄紙し、温度110℃で乾燥し
て、坪量20g/m2 の紙を得た。不織布、紙の混綿の
割合及び強度を表2に示す。
【0030】比較例4、5 繊維製造例4の繊維を20%、比較例3の繊維を80%
からなる不織布を実施例1と同様にして製造した。ま
た、比較例2の繊維100%の不織布と紙を各々製造し
た。得られた不織布、紙の強度を表2に示す。
【0031】
【表2】 なお、上記実施例6〜11、比較例4〜5の不織布の強
力は次のようにして測定した。巾50mm、つかみ長10
0mm試料を引っ張り、速度300mm/分で破断強力
(g)を測定し、下記の式より算出される裂断長で表
す。 裂断長(Km)=引っ張り破断強力(g)/{50×目付(g/m2 )} 以上、表2から明らかな通り、本発明の実施例のものは
熱接着性に優れ、不織布性能(裂断長)に優れているこ
とが確認できた。
【0032】以上説明した通り本発明の実施例によれ
ば、−[CH2 −CH(COOR)]−で示されるユニ
ットを含むエチレン共重合体を複合繊維の表層に用い、
芯成分としてポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維
を芯成分に用いることにより、熱接着性に優れた複合繊
維及び不織布とすることができる。更に、必要により、
発煙硫酸や濃硫酸などで処理すれば容易にスルホン基を
導入でき、−[CH2 −C(SO3 H)(COOH)]
−で示されるユニットを含むコポリマーとすることがで
き、これにより本発明のポリオレフィン系親水性不織布
を得る。たとえば、実施例6の不織布を温度25℃の発
煙硫酸に10分間浸潰した後水洗し、60℃の乾燥機中
で1時間乾燥し、スルホン化処理した。この不織布を水
面に落としたところ全く撥水性を示さず、たちまち全体
が浸潤した。なお、同時にスルホン化処理前の不織布を
水面に落としたが、こちらは全面に著しい撥水性を示
し、10分後も不織布表面は湿らなかった。また、前記
実施例1〜11の複合繊維及び不織布を用いて、実施例
12と同様のスルホン化処理したところ、鞘成分に容易
にスルホン基を導入することができた。また濃硫酸によ
ってもスルホン基を導入できた。
【0033】なお本発明のポリオレフィン系親水性不織
は前記した不織布以外に、メルトブロー不織布であっ
ても同様の効果を発揮できる
【0034】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系親水性不織布
は、親水性やアンモニア及びアミン等アルカリ性ガス化
学的に除去する機能を持ち、除湿、消臭用のエアフィル
タ等に用いることができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表層に位置しかつ相対的に低融点である
    第1成分と、芯部に位置しかつ相対的に高融点である第
    2成分とから少なくとも構成される熱接着性複合繊維で
    あって、前記第1成分は少なくとも−[CH2 −CH
    (COOR)]−(ただしCOORはカルボキシル基ま
    たはエステルを示す。)で示されるユニットを含むエチ
    レン共重合体で形成され、第2成分は融点が250℃未
    満のポリオレフィンで形成されてなる熱接着性複合繊維
    を少なくとも30重量%含み、前記第1成分の融着によ
    り構成繊維を接着してなる不織布であって、前記ユニッ
    ト内の第3級炭素がスルホン化していることを特徴とす
    るポリオレフィン系親水性不織布
  2. 【請求項2】 表層に位置しかつ相対的に低融点である
    第1成分と、芯部に位置しかつ相対的に高融点である第
    2成分とから少なくとも構成される熱接着性複合繊維で
    あって、前記第1成分はアクリル酸及びマレイン酸から
    選ばれる少なくとも一つのエチレンカルボン酸0.5〜
    25重量%、及びアクリル酸エステル0〜24.5重量
    %で、これらの合計が0.5〜25重量%であるエチレ
    ンカルボン酸系モノマーと、エチレン99.5〜75重
    量%とからなる融点(Tm1 、単位:℃)が、70<T
    1 <130のエチレン共重合体であり、第2成分の融
    点(Tm2 、単位:℃)が、Tm1 +20<Tm2 <2
    50のポリオレフィンであり、かつ第1成分が繊維表面
    の30%以上を占めてなる熱接着性複合繊維を少なくと
    も30重量%含み、前記第1成分の融着により構成繊維
    を接着してなる不織布であって、前記ユニット内の第3
    級炭素がスルホン化していることを特徴とするポリオレ
    フィン系親水性不織布
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