JP3406709B2 - 内視鏡の先端部 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】この発明は、先端部本体に対して
着脱自在に設けられた先端キャップにノズルが形成され
た内視鏡の先端部に関する。 【０００２】 【従来の技術】先端キャップは一般にプラスチック材料
によって形成されていて、先端部本体に対して着脱自在
に設けられている。 【０００３】以前は、先端キャップをゴムで形成してい
たこともあったが、外径を細くするために先端キャップ
を薄肉化すると、ゴム製の先端キャップではふにゃふに
ゃになって、先端部本体への取り付けが非常にやり難く
なってしまうので、薄肉化に伴ってプラスチック化され
ている。 【０００４】また、観察窓の表面に水や空気等の流体を
吹きつけるためのノズルは、かっては先端部本体に突設
されていたが、内視鏡使用によって汚染されるノズル内
の掃除が困難なことから、先端キャップにノズルを形成
するようになってきている。 【０００５】そのようなノズル付きの先端キャップを先
端部本体に着脱自在に取り付けるために、一般に、先端
キャップを先端部本体に取り付けたときに抜け止めとし
て互いに係合する凹凸部が先端部本体と先端キャップと
に形成されていて、先端キャップを弾性変形させながら
先端部本体に対して着脱するようになっている。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】しかし、そのようにし
てプラスチック製の先端キャップを弾性変形させながら
先端部本体に着脱すると、装着作業時は比較的問題ない
が、取り外し作業時には、凹凸部の係合を外すために先
端キャップを強く引っ張りすぎて、先端キャップが弾性
限界を越えて変形し、破損してしまうことがあった。 【０００７】そこで本発明は、ノズル付きの先端キャッ
プを破損させることなく先端部本体に対して容易に着脱
することのできる内視鏡の先端部を提供することを目的
とする。 【０００８】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の内視鏡の先端部は、挿入部先端の先端部本
体に設けられた観察窓の表面に流体を吹きつけるための
ノズルが形成された先端キャップを上記先端部本体に対
して着脱自在に設けて、上記先端キャップを上記先端部
本体に取り付けたときに抜け止めとして互いに係合する
凹凸部を上記先端部本体と上記先端キャップとに形成し
た内視鏡の先端部において、上記先端キャップに、上記
先端部本体に被さる形状を保持するように弾力性のない
材料で形成された非変形部を設けると共に、少なくとも
上記先端キャップの凹凸部を、弾力性のある材料で形成
したことを特徴とする。 【０００９】 【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図２は内
視鏡の先端部の正面図であり、図１はそのＡＢＣＤＥＦ
ＧＨ断面を示している。図３は斜視図である。 【００１０】図１に示されるように、先端部本体１は、
細長い可撓管によって形成された挿入部の先端に遠隔操
作によって屈曲自在に設けられた湾曲部２の先端部分に
連結されている。 【００１１】湾曲部２は、多数の節輪３をリベット４に
よって回動自在に連結し、その外周に網状管５を被覆し
て、さらにゴムチューブ６等によって外装し、その端部
を先端部本体１の外周面に緊縛、接合させて構成されて
いる。７は操作ワイヤである。 【００１２】先端部本体１は、湾曲部２の先端に連結さ
れて外面には露出しないステンレス鋼製の金属ブロック
部１ａと、金属ブロック部１ａの前側に固着されて外面
に露出するプラスチックブロック部１ｂとによって形成
されている。 【００１３】本実施例の内視鏡は、管軸の前方を観察す
るようにしたいわゆる前方視型内視鏡であり、図２及び
図３に示されるように、先端部本体１の先端面に観察窓
１１、照明窓１２及び鉗子チャンネル出口孔１３が配置
されると共に、観察窓１１に向けて開口する送気送水ノ
ズル１４が設けられている。 【００１４】図１に示されるように、観察窓１１の内側
には、対物光学系１６が金属製の鏡枠１７内に固着され
て配置されている。表面の第１レンズ１６ａは、その外
周面の途中に形成された段差部において、鏡枠１７にカ
シメ固定されている。１８は明るさ絞り、１９はスペー
サである。 【００１５】鏡枠１７の前半部外周部分には、電気絶縁
性のプラスチック材からなる絶縁環２１が接合されてい
て、鏡枠１７の前端部分が露出しないように形成された
凹部内に、脱泡したエポキシ系接着剤２２が充填されて
いる。絶縁環２１の外周面は、先端部本体１のプラスチ
ックブロック部１ｂに形成された孔内に嵌合していて、
その嵌合部にはシール用のＯリング２３が装着されてい
る。 【００１６】鏡枠１７の後部外周部には、金属製のシー
ルドパイプ２５が嵌着、接合されていて、シールドパイ
プ２５内に例えば電荷結合素子（ＣＣＤ）からなる固体
撮像素子２６が受像面を前向きにして固定されている。 【００１７】そして、その前側には、透明なカバーガラ
ス２７が密着して配置され、さらにその前面にＹＡＧレ
ーザ光カットフィルタ２８が貼着されている。このよう
な透明部材２７，２８を通って、対物光学系１６によっ
て観察光像が固体撮像素子２６の受像面に結像する。２
９は遮光用マスクである。 【００１８】シールドパイプ２５内には、固体撮像素子
２６の後側に、固体撮像素子２６に入出力される信号を
処理するための電子部品３１が配線基板３２に取り付け
て配置され、信号ケーブル３３がそこから後方に引き通
されている。 【００１９】シールドパイプ２５内に配置された部品の
外周面とシールドパイプ２５の外周面には、各々絶縁テ
ープ３４，３５が巻き付けられていて、シールドパイプ
２５とその内外との間を電気絶縁している。シールドパ
イプ２５外面側の絶縁テープ３５の後端は、信号ケーブ
ル３３の前端外周面まで連続的に被覆している。 【００２０】なお本発明は、このような固体撮像素子２
６を用いた電子的像伝送手段に代えて、イメージガイド
ファイババンドルを用いた光学的像伝送手段を用いた内
視鏡に適用してもよく、硬性内視鏡に適用してもよい。 【００２１】照明光の配光角を拡げるために照明窓１２
に取り付けられた凹レンズ３７の内側には、内視鏡挿入
部内に通された照明用ライトガイドファイババンドル３
８の出射端が配置されている。 【００２２】５０は、先端部本体１に対して着脱自在に
設けられた先端キャップであり、先端部本体１のプラス
チックブロック部１ｂの外周面に、先端部本体１の先端
側から被せて取り付けられている。図３に示される１０
０は、先端キャップ５０を先端部本体１から取り外すた
めに使用される取り外し治具であり、着脱動作について
の説明と共に後述する。 【００２３】先端キャップ５０は、外径寸法が先端部本
体１の外径寸法と略同寸法の略円筒状に形成されてい
て、その後端は筒状に開放されているが、前端は送気送
水ノズル１４部分が端面部分に形成されて先端部本体１
の前端面に被さっている。また、先端キャップ５０の総
ての稜線は患者の体腔内粘膜を傷付けないよう、滑らか
に丸めて形成されている。 【００２４】図４は、図２におけるＩＪ断面を示してお
り、挿入部内に挿通された送気チューブ４１と送水チュ
ーブ４２の先端が、先端部本体１に管軸方向に真直に穿
設された孔内に後方から差し込まれて固着されている。 【００２５】両チューブ４１，４２とも、四フッ化エチ
レン樹脂製チューブが用いられており、湾曲部２内では
それらの外周にらせん溝が形成されていて、座屈防止用
の細いスプリング線４３，４４がそのらせん溝に沿って
巻回されている。 【００２６】送気チューブ４１と送水チューブ４２に連
通して先端部本体１内に形成された送気孔４６と送水孔
４７は、図４に示されるように最先端部で一つに合流し
ていて、先端キャップ５０が外された状態の先端部本体
１の正面図である図５に示されるように、前方に向けて
長円の断面形状で先端部本体１に開口している。 【００２７】一方、先端キャップ５０の送気送水ノズル
１４の部分は、図４及びＥＫ断面を示す図６に示される
ように、先端キャップ５０の前方に突出形成されてい
て、送気孔４６と送水孔４７を送気送水ノズル１４に連
通させる送気送水路１５がその裏側に形成されている。 【００２８】なお、図４に示されるように、先端キャッ
プ５０は送気送水路１５が形成された部分が後方に向か
って突出していて、先端部本体１側の孔内に嵌め込まれ
ている。５２がその突出部である。したがって、この部
分から水漏れや空気漏れが生じない。 【００２９】このような構成により、送気チューブ４１
と送水チューブ４２を通って選択的に送られてくる空気
と水が、送気送水ノズル１４から観察窓１１の表面に向
かって吹き付けられる。 【００３０】図１及び、先端部本体１から先端キャップ
５０が取り外された状態を示す図７にも示されるよう
に、先端部本体１のプラスチックブロック部１ｂの外周
面には、凹溝（係止用凹溝）９が周方向に形成されてい
て、先端キャップ５０の内周面の後半部には、その係止
用凹溝９にちょうど嵌まり込む大きさの突起（係止用突
起）５１が、内方に向けて周状に突設されている。 【００３１】そして、先端キャップ５０の側面部分断面
図である図８にも示されるように、先端キャップ５０
は、先端部本体１の先端面付近の外周に被さる先側の部
分は、ほとんど弾力性のない例えばポリカーボネート樹
脂などのプラスチック材料で形成され（プラスチック材
料部分５０ａ）、係止用突起５１のある後半部分は、弾
力性のある例えばポリウレタンゴムなどのゴム材料で形
成されている（ゴム材料部分５０ｂ）。図９及び図１０
は、先端キャップ５０の正面図と背面図である。 【００３２】このような、先端キャップ５０を形成する
プラスチック材料部分５０ａとゴム材料部分５０ｂと
は、しっかりと結合するようにフック状にかみ合わされ
てその部分で接合されている。なお、両部分を同じ金型
で一体成形により形成してもよい。 【００３３】このような先端キャップ５０を先端部本体
１に取り付ける際には、先端キャップ５０の内面の係止
用突起５１を先端部本体１の外周面に沿わせて、先端キ
ャップ５０のゴム材料部分５０ｂを押し拡げるように弾
性変形させた状態で、先端部本体１に対して先端から押
し込む。 【００３４】その際、先端キャップ５０のプラスチック
材料部分５０ａは変形をせず、先端部本体１の外周面に
被さる本来の断面形状を保持するので、先端キャップ５
０を先端部本体１に容易に被せることができる。 【００３５】その結果、弾力性のある先端キャップ５０
の係止用突起５１部分が押し広げられた状態で先端キャ
ップ５０内に先端部本体１が入って行き、係止用突起５
１が先端部本体１の外周面の係止用凹溝９に嵌まり込む
と、先端キャップ５０が自己の弾性力で図１に示される
ような元の形状に戻り、先端部本体１から抜け出さない
状態に係止される。そしてこの状態では、先端キャップ
５０の外表面は先端部本体１の外表面から全く出っ張ら
ない。 【００３６】先端キャップ５０の外周面の後半部には、
周方向に間隔をあけて一対の凹み５５，５５が形成され
ている。この各凹み５５，５５の形状は、正面から見る
と図２に示されるように角部が滑らかに丸められたＬ字
形である。 【００３７】凹み５５，５５の部分を側面から見ると、
図１に示されるように、前端には先端キャップ５０の外
周面に対して略垂直の段差を形成する壁面５５ａが形成
され、後端は凹んだままの形状で先端キャップ５０の後
端に達している。 【００３８】そして、先端キャップ５０を先端部本体１
に着脱する際にこの凹み５５，５５部分が先端部本体１
と干渉しないように、先端部本体１には、図５及び図７
に示されるように、先端キャップ５０の凹み５５，５５
部分と同断面形状の凹み８，８が先端面から真直に後方
に形成されている。 【００３９】また、先端キャップ５０の前半部分には凹
み５５は形成されていないが、先端キャップ５０の内周
面が、先端部本体１表面の凹み８に嵌まり合うように、
凹み５５部分と同じ形状に内方に突出した形状に形成さ
れている。 【００４０】このように形成したことにより、先端キャ
ップ５０を先端部本体１に取り付ける際には、両者の凹
み５５，８どうしの位置を合わせることによって位置決
めがされ、先端キャップ５０が先端部本体１に取り付い
た状態では、それらが嵌め合わされて係合することによ
り、先端キャップ５０が先端部本体１に対して軸回りに
回転するのを阻止する回転止めとなる。 【００４１】この先端キャップ５０の凹み５５，５５に
は、図３に示されるように、先端部本体１から先端キャ
ップ５０を取り外すための取り外し治具１００の先端１
０１，１０１が係合する。 【００４２】取り外し治具１００は、金属又は硬質のプ
ラスチック製であり、先端１０１，１０１が先端キャッ
プ５０の凹み５５，５５内にちょうど係合するように突
出して形成されている。 【００４３】このような取り外し治具１００によって先
端キャップ５０を先端部本体１から取り外すには、取り
外し治具１００の先端１０１，１０１を先端キャップ５
０の凹み５５，５５内に係合させた状態で、先端部本体
１の後半部分を指先などで摘んで後方に引張ればよい。 【００４４】すると、取り外し治具１００によって軸方
向への移動が規制された先端キャップ５０は移動せず
に、先端部本体１だけが後方に移動するので先端キャッ
プ５０が先端部本体１から外れる。 【００４５】先端キャップ５０が先端部本体１から外れ
る際には、先端キャップ５０の内周面の係止用突起５１
が先端部本体１の外周面を乗り越えるので、先端キャッ
プ５０のゴム材料部分５０ｂが弾性変形をする。 【００４６】図１１ないし図１３は本発明を側方視型の
内視鏡の先端部に適用した場合の実施例を示しており、
図１１はその側面断面図、図１２は先端キャップ５０が
取り外された状態の先端部本体１を示し、図１３は先端
キャップ５０を示している。 【００４７】この実施例においては、観察方向が側方を
向いているので各部材の形状は第１の実施例と異なる
が、機能的にはほとんど異なることがないので、各部材
に第１の実施例と同一符号を付して、それらの詳細な説
明は省略する。ただし先端部本体１はすべて金属によっ
て形成されている。 【００４８】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明を例えば斜視型の内視鏡の先端部に
適用してもよく、また、内視鏡には、観察窓１１の表面
に向かう送気送水ノズル１４を設けるだけでなく、前方
へ水を噴出させるためのいわゆるジェット噴射ノズルな
どを設けてもよい。 【００４９】 【発明の効果】本発明によれば、先端キャップに、先端
部本体に被さる形状を保持するように弾力性のない材料
で形成された非変形部を設けると共に、先端部本体に対
して抜け止めとして係合する先端キャップの凹凸部分は
弾力性のある材料で形成したことにより、先端キャップ
を先端部本体に着脱する際には、凹凸部分が容易に変形
し且つ先端キャップの断面形状が非変形部分によって本
来の形状に維持されるので、先端キャップを破損させる
ことなく先端部本体に対して容易に着脱させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の第１の実施例の側面（ＡＢＣＤＥＦＧ
Ｈ）断面図である。 【図２】本発明の第１の実施例の正面図である。 【図３】本発明の第１の実施例の斜視図である。 【図４】本発明の第１の実施例のＩＪ断面図である。 【図５】本発明の第１の実施例の先端部本体の正面図で
ある。 【図６】本発明の第１の実施例のＥＫ断面図である。 【図７】本発明の第１の実施例の先端部本体から先端キ
ャップを取り外した状態の側面図である。 【図８】本発明の第１の実施例の先端キャップの側面部
分断面図である。 【図９】本発明の第１の実施例の先端キャップの正面図
である。 【図１０】本発明の第１の実施例の先端キャップの背面
図である。 【図１１】本発明の第２の実施例の側面断面図である。 【図１２】本発明の第２の実施例の先端部本体の側面部
分断面図である。 【図１３】本発明の第２の実施例の先端キャップの側面
断面図である。 【符号の説明】 １ 先端部本体 ９ 係止用凹溝 １１ 観察窓 １４ 送気送水ノズル ５０ 先端キャップ ５０ａ プラスチック材料部分 ５０ｂ ゴム材料部分 ５１ 係止用突起

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】挿入部先端の先端部本体に設けられた観察
   窓の表面に流体を吹きつけるためのノズルが形成された
   先端キャップを上記先端部本体に対して着脱自在に設け
   て、上記先端キャップを上記先端部本体に取り付けたと
   きに抜け止めとして互いに係合する凹凸部を上記先端部
   本体と上記先端キャップとに形成した内視鏡の先端部に
   おいて、 上記先端キャップに、上記先端部本体に被さる形状を保
   持するように弾力性のない材料で形成された非変形部を
   設けて、上記ノズルを上記先端キャップの非変形部自体
   で形成すると共に、少なくとも上記先端キャップの凹凸
   部を弾力性のある材料で形成したことを特徴とする内視
   鏡の先端部。