JP3406168B2 - 基板の引き上げ乾燥装置 - Google Patents

基板の引き上げ乾燥装置

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JP3406168B2 JP35675996A JP35675996A JP3406168B2 JP 3406168 B2 JP3406168 B2 JP 3406168B2 JP 35675996 A JP35675996 A JP 35675996A JP 35675996 A JP35675996 A JP 35675996A JP 3406168 B2 JP3406168 B2 JP 3406168B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LCD基板や半導
体ウェーハなどの基板を純水中から引き上げて乾燥させ
る基板の引き上げ乾燥装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の基板の引き上げ乾燥装置は、図7
及び図8に示すように、50℃〜60℃の温純水36を
貯える純水タンク1と、この純水タンク1に上下動可能
に設けられた基板ホルダ4とを備え、純水タンク1の温
純水36中から多数のウェーハ5を引き上げて乾燥させ
るようにしている。
【0003】基板ホルダ4は、多数のウェーハ5を整列
搭載可能に構成されており、上下動機構6の作動で上下
動するようになっている。この上下動機構6は、純水タ
ンク1を搭載したケーシング2の後部に立設されたガイ
ドバー7と、ケーシング2の後部に立設され上下動ナッ
ト8を螺合したボールねじ9と、ガイドバー7に案内さ
れて上下動するキャリア10とを備えている。ボールね
じ9は、上下動モータ12の駆動で正転、又は逆転する
よう機能する。また、キャリア10にはキャリアアーム
15の上端部が接続され、このキャリアアーム15の上
部の貫通孔にはボールねじ9に螺合する上下動ナット8
が取り付けられており、キャリアアーム15の下端部に
基板ホルダ4の底部が取り付けられている。
【0004】したがって、濡れた多数のウェーハ5を乾
燥させるには、上下動モータ12を駆動してボールねじ
9を一定の低速度で回転させれば良い。すると、ボール
ねじ9の回転に伴いキャリア10がガイドバー7に案内
されつつ上昇するので、ウェーハ5を搭載した基板ホル
ダ4がゆっくりとした一定の速度で温純水36中から垂
直方向に完全、かつ静かに引き上げられ、その後、ウェ
ーハ5に付着した温純水36が蒸発、除去される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の基板の引き上げ
乾燥装置は、以上のように温純水36を利用してその表
面張力及び粘性Sを小さくし、引き上げ時にウェーハ5
の表面に薄い水膜34を形成するようにしている。しか
しながら、例え温純水36を利用しても、水膜34の上
部においては、冷却作用によりウェーハ5の表面に小さ
い多数の水滴dwが付着し、その結果、水滴化した温純
水36に大気中の微粒子などが溶け込んだり、あるいは
基板の成分が溶けだしたものが析出してウェーハ5が再
度汚染されるという問題があった。
【0006】この問題を図9に基づき説明する。図9に
おいて、S、Sは引き上げ時における水膜34
の表面張力及び粘性Sの強さを示している。ウェーハ5
の表面に形成された薄い水膜34は、ウェーハ5の表面
からの蒸発などにより、下方向から上方向に向かうほど
冷却され、上部側の表面張力及び粘性Sが強く、下
部側の表面張力及び粘性Sが弱くなる。その結果、
水膜34がAの部分で切断されて水滴化し、この水滴化
した状態でウェーハ5が引き上げられることとなる。温
純水36は、一旦小さな水滴dwになると、なかなか蒸
発しないので、時間の経過とともに空気中の微粒子が多
数の水滴dw中に溶け込んだり、あるいは基板成分が析
出する。その結果、乾燥後にパーティクルとして水滴跡
に凝集付着し、再度の汚染を招くこととなる。さらに、
従来の基板の引き上げ乾燥装置は、基板ホルダ4とウェ
ーハ5の下部との接触部分が十分に乾燥しないという問
題があった。
【0007】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
で、温純水を使用しなくてもウェーハなどの基板を完全
に乾燥させることのできる基板の引き上げ乾燥装置を提
供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の基板の引き上げ乾燥装置の発明は、
純水タンク内に基板を搭載する基板ホルダを昇降可能に
設け、上記純水タンクの純水と気相の境界面近傍で多数
の基板間に近接介在する遠赤外線ヒータと該遠赤外線ヒ
ータの上部に遠赤外線の反射面を形成する形で不活性ガ
ス吹きつけ管とを移動脱出機構を介して配置し、上記遠
赤外線ヒータと不活性ガス吹きつけ管の上方には多数の
基板を保持するチャッキング装置を昇降可能に設けたこ
とを特徴としている。
【0009】また、請求項2の発明は、請求項1記載の
基板の引き上げ乾燥装置において、不活性ガス吹きつけ
管の周壁に放出孔を設けたことを特徴としている。
【0010】請求項1又は2記載の発明によれば、上昇
位置で基板を保持したチャッキング装置が下降して基板
ホルダに基板を移し、基板ホルダが純水タンク内に下降
する。次に、移動脱出機構が動作して純水タンクの開口
部付近に遠赤外線ヒータ及び不活性ガス吹きつけ管をセ
ットし、基板を搭載した基板ホルダが純水中から上昇す
る。この上昇動作により、基板の一部は、次第に水面か
ら浮上するとともに、各遠赤外線ヒータの遠赤外線放射
と不活性ガス吹きつけ管の不活性ガスの吹きつけにより
乾燥する。基板の一部が浮上すると、基板ホルダが停止
し、チャッキング装置は、基板を保持し、上昇して基板
の残部を水面から浮上させる。この上昇動作により、基
板の残部は、水面から引き上げられて浮上するととも
に、各遠赤外線ヒータの遠赤外線放射と不活性ガス吹き
つけ管の不活性ガスの吹きつけにより乾燥する。
【0011】上記乾燥作業の際、基板の表面に形成され
て引き上げられる水膜は、遠赤外線ヒータに近い上部側
が薄い膜厚で、遠赤外線を多く吸収して温度が高くなる
のに対し、遠赤外線ヒータから遠い下部側は膜厚であ
り、遠赤外線をあまり吸収せずに低温となる。つまり、
水膜は、上部側の表面張力及び粘性が弱くなり、下部側
の表面張力及び粘性が強くなって純水の滞在時間が長く
なるので、膜の状態を維持でき、基板の浮上に伴い上部
側が次第に薄くなり、蒸発する。また、基板ホルダが基
板の一部を水面から浮上させた後、チャッキング装置が
基板の残部を水面から浮上させるので、基板ホルダと基
板との接触部分を十分に乾燥させることができる。
【0012】また、不活性ガス吹きつけ管の周壁の放出
孔から基板の表面に不活性ガスを吹きつけるので、純水
の除去を促進したり、純水を除去することができるとと
もに、遠赤外線と温められた基板と気相との接触に伴い
酸化膜などが生じるのを防止できる。また、基板が傾い
て不活性ガス吹きつけ管や他の基板に接近しても、不活
性ガスの吹きつけ作用で過剰な接近や接触を防止するこ
とができ、これを通じて基板と不活性ガス吹きつけ管、
又は隣接する基板の間に一定のすきまを確保することが
できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本実施形態における基板の引き上
げ乾燥装置は、図1や図2に示すように、純水タンク
1、基板ホルダ4、移動脱出機構16、遠赤外線ヒータ
19、噴射パイプ22及びチャッキング装置24を備
え、フルオートのウェットステーション(図示せず)の
乾燥工程部に設置されている。
【0014】純水タンク1は、機械的強度や耐酸性に優
れたステンレス鋼、石英ガラス、又はPTFEなどを材
料として構成され、ケーシング2上に設置されており、
ほぼ常温前後の純水3又は常温以下の純水3を貯える。
また、基板ホルダ4は、PFAなどを材料として構成さ
れ、半円形に湾曲した表面が多数(例えば、25枚又は
26枚)のウェーハ5を整列搭載可能なよう多数の凹凸
に構成されており、上下動機構6の作動で上下動するよ
うになっている。
【0015】上下動機構6は、ケーシング2の表面後部
(図2の右側)に立設されたガイドバー7と、ケーシン
グ2の表面後部に回転可能に立設され上下動ナット8を
螺合した第1のボールねじ9と、ガイドバー7に案内さ
れて上下動するキャリア10とを備えている。第1のボ
ールねじ9は、その下端部にプーリ11が固着されてお
り、このプーリ11とケーシング2に内蔵された上下動
モータ12の出力軸におけるプーリ13との間にはエン
ドレスのベルト14が巻回されている。また、キャリア
10にはほぼZ字形のキャリアアーム15の上端部が接
続され、このキャリアアーム15の上部の貫通孔には第
1のボールねじ9に螺合する上下動ナット8が取り付け
られており、キャリアアーム15の下端部に基板ホルダ
4の底部が取り付けられている。
【0016】また、移動脱出機構16は、図3に示すよ
うな金属や合成樹脂などを材料として形成された方形の
ユニット枠17と、このユニット枠17を純水タンク1
の開口部の側端において回動可能に支持する回転駆動軸
18とを備え、図示しないシリンダのピストン部の往復
動でユニット枠17が回動するようになっている。ユニ
ット枠17の側部には図示しないガス供給管が取り付け
られており、このガス供給管に後述する多数の噴射パイ
プ22の端部が接続されている。なお、本実施形態では
ユニット枠17が回転するスイング式の位置移動装置を
示すが、なんらこの構造に限定されるものではない。例
えば、XYZの少なくともいずれか一の方向に移動する
ものでも良い。また、ガイドレール、カム機構、ねじ機
構、歯車機構、リンク機構及び/又は各種のモータを適
宜組み合わせて構成することも可能である。
【0017】また、各遠赤外線ヒータ19は、図6に示
すように、断面円形で棒形のヒータ20と、このヒータ
20の周囲に焼き付けコーティングされた円筒形のセラ
ミックス21とを備え、ユニット枠17の左右両側壁間
に架設されるとともに、前後方向に等間隔に並べて配列
されている。なお、本実施形態ではヒータ20やセラミ
ックス21を断面円形、又は円筒形としたが、なんらこ
れらに限定されるものではない。例えば、小判形、楕円
形、台形、多角形、又は方形などの形のヒータ20やセ
ラミックス21としても良い。
【0018】また、各噴射パイプ22は、図6に示すよ
うに、断面方形に形成され、下部両端の隅部に斜め下方
に指向する複数の噴射孔23が、前後壁(図6の左右方
向における周壁)の中央部には複数の噴射孔23がそれ
ぞれ開けられており、図示しないガス源から供給された
窒素ガス(矢印参照)を各噴射孔23から噴射するよう
になっている。そして、ユニット枠17の左右両側壁間
に架設されるとともに、前後方向に等間隔に並べて配列
され、各遠赤外線ヒータ19の上部に一体的に設置され
て遠赤外線の反射面を形成している。
【0019】なお、本実施形態では噴射パイプ22を断
面方形としたが、円形、小判形、楕円形、台形、又は多
角形などの形の噴射パイプ22でも良い。また、噴射孔
23を設ける箇所は適宜変更することが可能である。例
えば、噴射パイプ22の前後壁に噴射孔23があれば、
下部両端の隅部における噴射孔23を省略しても良いの
はいうまでもない。また、本実施形態では窒素ガスを使
用するものを示すが、ヘリウムガスなどを使用しても良
い。
【0020】また、チャッキング装置24は、ガイドバ
ー7の上部に回転可能に支持され昇降ナット25を螺合
した第2のボールねじ26と、ガイドバー7に案内され
て昇降するチャック機構27とを備えている。ガイドバ
ー7の上端部には昇降モータ28が設置されており、こ
の昇降モータ28の出力軸にはプーリ29が固着されて
いる。また、第2のボールねじ26の上端部にはプーリ
30が固着されており、このプーリ30と昇降モータ2
8のプーリ29との間にはエンドレスのベルト31が巻
回されている。また、チャック機構27は、昇降ナット
25が設けられたキャリア32と、このキャリア32の
正面両側(図の左右方向)にそれぞれ開閉可能に支持さ
れた合成樹脂製のチャックアーム33とを備え、基板ホ
ルダ4の上方に位置している。一対のチャックアーム3
3の対向面の下部には多数のチャック溝33aがそれぞ
れ整列して形成され、各チャック溝33aにウェーハ5
の下部周縁が保持されるようになっている。
【0021】次に、図1に基づいて動作を説明する。先
ず、準備段階として移動脱出機構16のユニット枠17
を起立させ、上下動機構6の上下動モータ12が駆動し
て基板ホルダ4を水面近くの位置、換言すれば、図のH
の位置に上昇させて待機させる。この状態でウェッ
トステーションの水リンス工程部から乾燥工程部に多数
のウェーハ5が整列して搬送されてくると、チャック機
構27は、図のCの位置においてウェーハ5をチャッ
クアーム33でメカニカルチャックし、図のCの位
置に下降して基板ホルダ4にウェーハ5を移載し、その
後、元のCの位置に上昇復帰する。基板ホルダ4がウ
ェーハ5を整列搭載すると、上下動機構6の上下動モー
タ12が駆動して基板ホルダ4を純水タンク1の底部、
換言すれば、図のHの位置に下降させる。
【0022】次いで、移動脱出機構16が動作してユニ
ット枠17を90°回転させ、純水タンク1の開口部付
近に多数の遠赤外線ヒータ19及び噴射パイプ22をセ
ットする。この際、各遠赤外線ヒータ19のセラミック
ス21は、水面から4〜8mm程度の高さでセットされ
る。こうしてセットが終了すると、上下動モータ12が
駆動してボールねじ9を一定の低速度で回転させ、ウェ
ーハ5を搭載した基板ホルダ4がゆっくりとした一定の
速度(例えば、1〜3mm/sec)で純水3中から静
かに上昇する。この際、各遠赤外線ヒータ19及び噴射
パイプ22は、多数のウェーハ5の間に介在配置され
る。
【0023】この上昇動作により、ウェーハ5の上方部
は、次第に水面から浮上するとともに、各遠赤外線ヒー
タ19の遠赤外線放射と各噴射パイプ22の窒素ガスの
噴射作用の併用により徐々に乾燥する(乾燥に要する時
間は、例えば8インチのウェーハで100sec〜20
0secである)。この際、各遠赤外線ヒータ19のセ
ラミックス21と各噴射パイプ22の噴射パイプ22
は、ウェーハ5の表面から1〜3mm程度のギャップを
おいて対向する。したがって、各ウェーハ5は、配列さ
れた遠赤外線ヒータ19及び噴射パイプ22と他の遠赤
外線ヒータ19及び噴射パイプ22の間のギャップを上
昇突出することとなる。なお、乾燥作業と平行して昇降
モータ28が駆動し、チャック機構27が図のC
位置から図のCの位置に下降する。
【0024】基板ホルダ4が上昇して図のHの位置
で達し、ウェーハ5の上方部が水面から浮上すると、基
板ホルダ4が停止し、チャック機構27は、ウェーハ5
の乾燥した上方部をチャックアーム33でメカニカルチ
ャックし、ゆっくりとした一定の速度(例えば、1〜5
mm/sec)で図のCの位置まで上昇してウェー
ハ5の下方部を水面から静かに浮上させる。この上昇動
作により、ウェーハ5の下方部は、次第に水面から引き
上げられて浮上するとともに、各遠赤外線ヒータ19の
遠赤外線放射と各噴射パイプ22の窒素ガスの噴射作用
の併用により乾燥する(乾燥に要する時間は、例えば8
インチのウェーハで100sec〜200secであ
る)。こうして乾燥作業が完全に終了すると、多数のウ
ェーハ5は次工程に送られる。また、移動脱出機構16
が動作してユニット枠17を再度起立させ、以下、上記
動作が繰り返される。
【0025】上記構成によれば、純水3の水面と空気と
の界面付近に遠赤外線ヒータ19をセットし、この遠赤
外線ヒータ19から純水3に吸収されやすい遠赤外線を
放射するので、水膜34がAの部分でちぎれて水滴化す
るのを防止することが可能となる。以下、この効果を図
5及び図6に基づいて説明する。図5は水膜34の表面
張力及び粘性Sの強さ分布を模式的に示す説明図、図6
は遠赤外線の放射密度分布を模式的に示す説明図で、S
、S、S、S、S、S、S
は水膜34の表面張力及び粘性Sの強さが連続的に変化
しているのを示している。
【0026】図5及び図6からも明らかなように、ウェ
ーハ5の表面に形成されて引き上げられる水膜34の上
部と下部とを比較すると、遠赤外線ヒータ19に近い上
部側が薄い膜厚で、遠赤外線を多く吸収して温度が高く
なる(上方に向かうほど遠赤外線の放射密度が高くな
る)のに対し、遠赤外線ヒータ19から遠い下部側は膜
厚であり、遠赤外線をあまり吸収せずに低温となる。す
なわち、水膜34は、上部側の表面張力及び粘性S
が最も弱く、この上部側から下部側に向かうにつれて連
続的に変化して下部側の表面張力及び粘性Sが最も
強くなる。つまり、水膜34は、その下部側の表面張力
及び粘性Sが最も強くなるので、ちぎれることなく
膜の状態を維持することができ、ウェーハ5の浮上に伴
い上部側が次第に薄くなり、遂には自然蒸発することと
なる。したがって、水膜34がAの部分で切れて水滴化
することがなく、水滴跡に異物集合体の生じることがな
く、ウォータマークの発生防止が容易に期待できる。
【0027】また、基板ホルダ4がウェーハ5の上方部
を水面から浮上させた後、チャック機構27がウェーハ
5の下方部を水面から浮上させるので、この連携動作に
より基板ホルダ4とウェーハ5の下部との接触部分を十
分に乾燥させることができる。また、基板ホルダ4とウ
ェーハ5の下部との間に微小なギャップ35が存在して
も、このギャップ35の存在に伴う純水3の残存や水滴
化を有効に防止することが可能になる。また、蒸気によ
る水滴dwの発生という悪影響を有効に防止することが
できる。また、乾燥作業時に各噴射パイプ22からウェ
ーハ5の表面に窒素ガスを噴射するので、純水3の蒸発
促進を期待することができるとともに、浮上の途中にウ
ェーハ5が傾斜して噴射パイプ22や他のウェーハ5に
接触するのを防止することが可能となる。また、引き上
げ乾燥の境界部の温度、湿度の上昇した部分を窒素ガス
で覆うので、シリコンウェーハなどのウェーハ5に酸化
膜が生じるのを有効に防止することができる。
【0028】また、50℃〜60℃の温純水36ではな
く、常温前後の温度の純水3を使用するので、ウェーハ
5に熱の悪影響が生じず、浮上時に水膜34に切断が生
じるのを有効に防止することが可能になる。また、各遠
赤外線ヒータ19の上部に噴射パイプ22を一体的に積
層設置するので、各遠赤外線ヒータ19からウェーハ5
の乾燥した上方部に遠赤外線が作用するのを有効に防止
することができ、これを通じてウェーハ5の乾燥部分の
温度が必要以上に上昇したり、あるいはウェーハ5の乾
燥部分に対する蒸気の悪影響を防止することができる。
また、ウェーハ5の引き上げ面には表面張力及び粘性S
による連続的な勾配が生じて対流が発生するので、この
対流作用によりパーティクルの除去が期待できる。
【0029】さらに、基板が深いみぞを備えたLCD基
板(図示せず)などの場合、パターンのみぞに純水3が
残存するが、純水3の水面と空気との界面付近に遠赤外
線ヒータ19をセットしてその円筒形のセラミックス2
1から波長の長い遠赤外線を放射するので、みぞ内に溜
まった純水3に遠赤外線を直角、かつ直接に作用させる
ことが可能になる。
【0030】なお、上記実施形態では基板としてウェー
ハ5やLCD基板を示したが、なんらこれらに限定され
るものではなく、他の精密基板、電気基板、又は電子基
板などでも良い。
【0031】
【発明の効果】以上のように請求項1又は2記載の発明
によれば、温純水を使用しなくても、ウェーハなどの基
板を完全に乾燥させ、しかも、再度の汚染を防止するこ
とのできる基板の引き上げ乾燥装置を提供することがで
きるという効果がある。また、純水の除去を促進した
り、あるいは純水を除去することができるとともに、基
板に酸化膜などが生じるのを防止抑制することが可能に
なる。さらに、不活性ガスの吹きつけにより基板の姿勢
制御が可能となるので、基板が傾いて不活性ガス吹きつ
け管や他の基板に接触するのを防止できるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板の引き上げ乾燥装置の実施の
形態を示す正面説明図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明に係る移動脱出機構、ヒータ及び噴射パ
イプを示す正面説明図である。
【図4】乾燥作業時における遠赤外線ヒータ及び噴射パ
イプを示す側面説明図である。
【図5】水膜の表面張力及び粘性の強さ分布を模式的に
示す説明図である。
【図6】本発明に係る遠赤外線ヒータ及び噴射パイプの
詳細と遠赤外線の放射密度分布を模式的に示す説明図で
ある。
【図7】従来の基板の引き上げ乾燥装置を示す正面説明
図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】従来の基板の引き上げ乾燥装置における水膜の
表面張力及び粘性の強さ分布を模式的に示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1…純水タンク 3…純水 4…基板ホルダ 5…ウェーハ(基板) 6…上下機構 16…移動脱出機構 19…遠赤外線ヒータ 20…ヒータ 21…セラミックス(遠赤外線放射物質) 22…噴射パイプ(不活性ガス吹きつけ管) 23…噴射孔(放出孔) 24…チャッキング装置 34…水膜 35…ギャップ 36…温純水 dw…水滴 S…表面張力及び粘性 S、S、S、S、S、S、S
…水膜の表面張力及び粘性の強さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−36668(JP,A) 特開 平4−199620(JP,A) 特開 平3−147325(JP,A) 特開 平1−120828(JP,A) 特開 平1−300525(JP,A) 特開 昭61−121337(JP,A) 実開 昭61−153340(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/304

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純水タンク内に基板を搭載する基板ホル
    ダを昇降可能に設け、上記純水タンクの純水と気相の境
    界面近傍で多数の基板間に近接介在する遠赤外線ヒータ
    と該遠赤外線ヒータの上部に遠赤外線の反射面を形成す
    る形で不活性ガス吹きつけ管とを移動脱出機構を介して
    配置し、上記遠赤外線ヒータと不活性ガス吹きつけ管の
    上方には多数の基板を保持するチャッキング装置を昇降
    可能に設けたことを特徴とする基板の引き上げ乾燥装
    置。
  2. 【請求項2】 不活性ガス吹きつけ管の周壁に放出孔を
    設けた請求項1記載の基板の引き上げ乾燥装置。
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