JP3405196B2 - 大豆胚軸加工品を含有する食品 - Google Patents
大豆胚軸加工品を含有する食品Info
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Description
品、とりわけイソフラボンを簡便に摂取できる食品に関
する。 【0002】 【従来の技術】大豆にはダイゼイン、ゲニステイン、グ
リシテインをはじめとするイソフラボンが含まれてい
る。特にダイゼイン、ゲニステインはエストロゲン作用
をはじめチロシンキナーゼ阻害作用、血管新生阻害作
用、抗酸化作用などの生理作用を有することが知られ、
がん予防などの観点から世界的に注目されている(S.Ba
rnes et.al. ,Nutr.Cancer ,21,113,199
4)。また、イソフラボン類には骨のカルシウムの過剰
な溶出を抑え、カルシウム代謝を正常に保つ作用があ
り、骨粗鬆症等の予防に効果があることも知られてお
り、骨粗鬆症治療食品として、豆科の補骨脂成分(豆科
の一年性植物オランダビユの種より抽出されるクマリン
類、フラボノイド類等)等の提案がなされている。 【0003】一方、イソフラボンは大豆の中でも発芽時
に幼芽、幼根となる胚軸部分に多量に含まれていること
が知られているが、独特の苦味を有するため、大豆加工
食品製造時にはむしろ積極的に除去されることが多い。 【0004】本発明者らは、先に焙煎した大豆胚軸とト
レハロースを併用することにより風味良好な錠菓となる
ことを出願した(特願平09−230823)。しか
し、原料由来の油分を含有しているためか風味の保存性
に改善の余地がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大豆
胚軸より抽出した低油分の大豆胚軸抽出物を使用し保存
性が高く、イソフラボンとカルシウムを簡便に摂取で
き、かつ、風味良好な食品を提供するものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、食品中に、大
豆胚軸加工品である胚軸抽出物を乾燥固形分換算で1〜
40重量%含有することを特徴とする食品である。詳し
くは、食品を製造する際に、大豆胚軸を乾熱加熱した
後、水性溶媒で抽出して得た大豆胚軸抽出物を用い、そ
の添加量が乾燥固形分換算で1〜40重量%とする時
に、イソフラボンを豊富に含み、風味良好で風味保存が
長持ちする食品が得られることを見出し本発明を完成さ
せた。 【0007】 【本発明の実施の形態】本発明で用いる用語を先ず説明
する。本発明で言う大豆胚軸加工品とは、大豆胚軸を乾
熱加熱した後、水性溶媒で抽出して得る大豆胚軸抽出物
を意味している。本発明で言う食品とは、大豆胚軸抽出
物を1〜40重量%、カルシウムを1〜15重量%、サ
イクロデキストリンを1〜30重量%添加し、必要に応
じ、糖質、乳製品、甘味料、乳化剤、着香料等の副原料
を添加・混合した粉末や、それらを造粒して得られる顆
粒、又は打錠工程を経て得られる錠菓などを指し、更に
公知の方法による成形されたものであってもよい。この
場合に使用する糖質としては、特に限定されないが、例
えば、砂糖、乳糖、トレハロース、ソルビトール、キシ
リトール等が挙げられる。本発明の食品にはカルシウム
の吸収を促進させるために、カゼインホスホペプチド
類、グルコン酸、グルコン酸誘導体や、ビタミン類、マ
グネシウム源等を添加することができる。また、その他
の原料として香辛料、油脂成分、機能性成分として、特
定保健用食品素材や、茶抽出物等の天然素材、オリゴ
糖、食物繊維、鉄等ミネラル類を必要に応じて添加する
ことも可能である。 【0008】本発明で用いる大豆胚軸加工品は、大豆胚
軸より抽出工程を経て得られる物であり、特許平10−
119184号に記載の方法にて調製する。すなわち、
大豆胚軸を色差計L値25〜55、好ましくは30〜5
0になるように加熱処理した後、水又は含水アルコール
等の水性溶媒で抽出する方法や、同じ加熱胚軸を抽出前
に抽出温度より低い水又は塩溶液或いは緩衝液等の水性
溶媒で洗浄することによりイソフラボン以外の可溶性成
分を優先的に除去した上で、水又は含水アルコール等の
水性溶媒で抽出する方法等が挙げられる。L値は、色調
の明るさであり、加熱大豆胚軸をそのまま用いてZ−2
−OPTICAL SENSOR(日本電色工業株式会
社製)にて測定する。 【0009】本発明で言う乾燥固形分とは、一般の乾燥
減量法(105°Cで4時間)による乾燥固形分の重量
%である。 【0010】本発明で使用するカルシウムは、食品とし
て利用できるものであれば特に限定されず、水溶性、不
溶性の何れでも用いることができる。例えば、卵殻カル
シウム、骨粉カルシウム、ミルクカルシウム、サンゴカ
ルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等の
カルシウム含有物が挙げられる。これらは各々、カルシ
ウム含有率が異なるので本発明の食品用の配合ではカル
シウムとしての配合割合で設定するのが便利である。 【0011】一方、サイクロデキストリンは、澱粉に酵
素を作用させることにより製造される非還元性の環状オ
リゴ糖で、本発明では、一般的なグルコースが6〜8個
結合したものが風味改善などの点で効果を発揮する。 【0012】本発明で言うイソフラボンとは、ダイジ
ン、ゲニスチン、ダイゼイン、ゲニステインの合計量と
した。また、その定量を行う場合は一定量の抽出粉末を
メタノールで還流抽出し高速液体クロマトグラフィ法に
て各成分を定量し、その合計量を算出する。 【0013】本発明で添加する大豆胚軸抽出物は、食品
中、1重量%未満ではイソフラボンの摂取として効果が
あまり期待できず、40重量%を越えると苦味が出て食
品の風味が悪くなる。また、カルシウムは1重量%未満
ではカルシウムの摂取として効果があまり期待できず、
15重量%を越えると灰分臭さが出て風味の点で好まし
くない。また、サイクロデキストリンの添加量は1重量
%未満では風味改善効果が不十分であり、30重量%を
越えて添加しても、それ以上の風味改善効果は望めな
い。 【0014】このようにして得られた大豆胚軸加工品含
有食品はイソフラボンとカルシウムを簡便に摂取でき、
かつ、苦味、エグ味もなく風味も良好なものとなる。 【0015】 【実施例】次に実施例等により本発明を具体的に説明す
るが、これらによって本発明の技術思想が限定されるも
のではない。なお、実施例中、%は特に断らない限り重
量基準である。 【0016】試料の調製1 大豆胚軸50kgをガスロースター(フジローヤル株式
会社製)を用いて140℃の熱風で20分間乾熱加熱処
理した。加熱処理した大豆胚軸10kgに熱水50kg
を加え98℃で10分間加熱抽出した。その後抽出液を
分離し、残渣に熱水50kgを加え再度98℃で10分
間加熱抽出した。次いで両抽出液を混合し、減圧濃縮後
スプレー乾燥により抽出粉末3kgを得た。 【0017】試料の調製2 大豆胚軸50kgを「試料の調製1」と同様にガスロー
スターを用いて140℃の熱風で20分間乾熱加熱処理
した。加熱処理した大豆胚軸10kgに20℃の水50
kgを加え、4時間浸漬洗浄した。残渣に熱水50kg
を加え98℃で10分間加熱抽出した。その後抽出液を
分離し、残渣に熱水50kgを加え再度98℃で10分
間加熱抽出した。次いで両抽出液を混合し、減圧濃縮後
スプレー乾燥により抽出粉末を1. 5kg得た。 【0018】実施例1 表1に示す配合で原料を混合し、グァーガムをバインダ
ーとして造粒を行い、胚軸抽出物含有顆粒を得た。原料
中の大豆胚軸抽出物は「試料の調製1」で得たものを使
用した。使用した原料で、キシリトールは「キシリッ
ト」(東和化成製)、サイクロデキストリンは「セルデ
ックスB−100」(日本食品加工製)、トレハロース
は「トレハオース」(林原化学製)、卵殻カルシウムは
「卵カルシウム」(キューピー製。カルシウム含有率3
4%)、ミルクカルシウムは「ミルクカルシウム28」
(雪印食品製。カルシウム含有率28%)、骨粉カルシ
ウムは「ボニカル」(焼津水産化学製。カルシウム含有
率20%)、シュガーエステルは「DKエステル」(第
一工業製薬製)、香料は必要に応じて選定し、乳糖と全
脂粉乳は市販一般品、などを使用した。以上、表1、表
2、表3、表4などの使用原料を一括して記述した。官
能評価の方法は、食品として特に苦味が無く風味が良い
ものは◎、やや良いは○、やや劣るは△、悪いを×、の
4段階の評価とした。以下の実施例、比較例においても
同様の官能評価の方法を用いた。 【0019】 表1。大豆胚軸抽出物の量とその顆粒の品質(官能)評価結果。 ───────────────────────────────── 実験NO. 1 2 3 比較例1 ───────────────────────────────── 大豆胚軸抽出物 15 30 40 50 キシリトール 55 40 30 20 サイクロデキストリン 12 12 12 12 卵殻カルシウム 15 15 15 15 香料 3 3 3 3 ───────────────────────────────── 計 100 100 100 100 ───────────────────────────────── 官能評価 ◎ ◎ ○ × 苦味が強い ───────────────────────────────── 【0020】実施例2 表2で示す配合で原料を混合し、胚軸抽出物含有粉末を
作成した。原料中の胚軸抽出物は「試料の調製1」で得
たものを使用した。 【0021】 表2。カルシウムの量とその粉末の品質(官能)評価結果。 ───────────────────────────────── 実験NO. 1 比較例2 ───────────────────────────────── 大豆胚軸抽出物 15 15 乳糖 55.5 29 サイクロデキストリン 5 5 卵殻カルシウム 23.5 50 香料 1 1 ───────────────────────────────── 計 100 100 ───────────────────────────────── 官能評価 ◎ × 灰分の臭みを感じる ───────────────────────────────── 【0022】実施例3 表3で示す配合で原料を混合、打錠し、1g/個の錠菓
を得た。原料中の大豆胚軸抽出物は「試料の調製2」で
得たものを使用した。 【0023】 表3。サイクロデキストリンの量とその錠菓の品質(官能)評価結果。 ───────────────────────────────── 実験NO. 1 比較例3 比較例4 ───────────────────────────────── 大豆胚軸抽出物 30 30 30 乳糖 30 49.5 10 サイクロデキストリン 20 0.5 40 ミルクカルシウム 10 10 10 全脂粉乳 6 6 6 香料 3 3 3 シュガーエステル 1 1 1 ───────────────────────────────── 計 100 100 100 ───────────────────────────────── 官能評価 ◎ × ◎ 苦味強い 打錠特性 ○ ○ × ───────────────────────────────── 【0024】実施例4 表4で示す配合で原料を混合、打錠し、1g/個の錠菓
を作成し、作成直後と、室温(25℃)で7ヶ月間保存
後、官能評価を行い風味を比較した。原料中の大豆胚軸
抽出物は「試料の調製1」で得たものを使用した。 【0025】 表4。大豆胚軸の抽出物と非抽出物の差による錠菓の品質(官能)評価結果。 ───────────────────────────────── 実験NO. 1 比較例5 ───────────────────────────────── 大豆胚軸抽出物 10 0 焙煎大豆胚軸粉末 0 10 乳糖 32 32 サイクロデキストリン 10 10 トレハロース 20 20 骨粉カルシウム 20 20 シュガーエステル 5 5 香料 3 3 ───────────────────────────────── 計 100 100 ───────────────────────────────── 官能評価 作成直後 ◎ ◎ 25°C で3ヶ月間後 ◎ ○ 25°C で7ヶ月間後 ◎ × オイル臭を感じた。 ───────────────────────────────── 【0026】試料の調製1、試料の調製2、実施例1、
実施例2、実施例3、実施例4などからの総合評価。表
1から、官能(風味)評価において、食品中での大豆胚
軸抽出物15%、30%、40%は良かったが50%
(比較例1)は苦味が強く悪かった。前記の判断も含め
て、食品中での大豆胚軸抽出物は乾燥固形分換算で1〜
40%が良いと設定した。表2からは、官能(風味)評
価において、食品中のカルシウムとしての含量が8%の
もの(実験NO.1)は良かったが、17%のもの(比
較例2)は灰分の臭みを感じ風味は悪かった。前記の判
断も含めて食品中でのカルシウム含量はカルシウムとし
て1〜15%が良いと設定した。表3からは、官能(風
味)評価において、食品中のサイクロデキストリンが2
0%は良かったが0.5%(比較例3)は苦味が強くて
悪く、40%(比較例4)は風味は良好であったが、打
錠の際の作業性に問題があった。前記の判断も含めて食
品中のサイクロデキストリンは1〜30重量%が良いと
設定した。表4からは、官能(風味)評価において、食
品中の大豆胚軸抽出物10%、焙煎大豆胚軸粉末(非抽
出)10%は共に食品の調製時の風味は良かったが、2
5°Cで7ケ月間後は前者が調製時と変わらずに良かっ
たのに対して、後者(比較例5)はオイル臭が感じら
れ、悪かった。この良い風味の持続性(保存性)の差は
前者の大豆胚軸抽出物の油分が0.9%に対し、後者の
焙煎大豆胚軸粉末の油分が10.9%と多いことによる
のかとも推察される。前記の判断も含めて、食品の風味
の持続性は大豆胚軸抽出物の方が良くて優れていると設
定した。 【0027】 【発明の効果】本発明の食品を製造する際に、大豆胚軸
抽出物を添加、又はカルシウムを添加するか或いは添加
せずに、加工することにより、イソフラボン及び又はカ
ルシウムを簡便に摂取でき、かつ、風味良好で風味持続
性のある食品を提供することが可能になった。これによ
り、公衆の保健などに貢献することが出来る。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】食品中に、大豆胚軸加工品である胚軸水性
溶媒抽出物を乾燥固形分換算で1〜40重量%、カルシ
ウムを1〜15重量%及びサイクロデキストリンを1〜
30重量%含有することを特徴とする粉末、顆粒、又は
錠菓の食品。
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---|---|---|---|
JP14940498A JP3405196B2 (ja) | 1998-05-29 | 1998-05-29 | 大豆胚軸加工品を含有する食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP14940498A JP3405196B2 (ja) | 1998-05-29 | 1998-05-29 | 大豆胚軸加工品を含有する食品 |
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JPH11332512A JPH11332512A (ja) | 1999-12-07 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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-
1998
- 1998-05-29 JP JP14940498A patent/JP3405196B2/ja not_active Expired - Fee Related
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