JP3403293B2 - 溶接熱影響部靭性の優れた鋼板 - Google Patents
溶接熱影響部靭性の優れた鋼板Info
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Description
eat Affected zone:HAZ)靭性の
優れた鋼板であり、建築、橋梁、造船、ラインパイプ、
建設機械、海洋構造物、タンクなどの各種溶接構造物に
用いられる鋼板に関するものである。
のHAZではオーステナイト(γ)粒が数100μmの
大きさに粗大化するため、冷却後のHAZ組織も粗大化
してしまって靭性が劣化する。鋼の加熱γ粒を細粒化す
る方法として、鉄と鋼、62(1976)、1209−
1218「低炭素・低合金鋼のオーステナイト粒度に及
ぼすTiNの分散状態の影響」に記載されているよう
に、高温で安定なTiN粒子を鋼中に微細分散させてγ
粒成長をピンニングすることが知られている。しかしな
がら、鉄と鋼、71(1985)、S1510「溶接再
現熱サイクルにおけるオーステナイト異常粒成長とTi
Nの溶解」にも記載されているように、1400℃以上
に加熱されるようなHAZ粗粒域ではTiN粒子の粗大
化や地鉄中への一部溶解が生じるため、TiN粒子のピ
ンニング効果は低下する。このときピンニングの主体は
酸化物となるが、TiN粒子なみに酸化物を微細分散す
る技術はなく、1400℃以上で細粒なγ粒を得ること
は困難であった。すなわち、従来のTiN利用技術で
は、1400℃以上に加熱される溶融線近傍HAZのγ
粒を安定に細粒化することはできず、この部分において
良好な靭性を得ることは困難であった。溶接入熱量が大
きいほど溶融線近傍HAZのγ粒は粗大化し、HAZ靭
性の劣化が著しくなる。
条件において良好なHAZ靭性を有する引張強度が40
0MPa以上の鋼板を提供することである。
よって構成され、1400℃以上に加熱される溶接熱影
響部において、加熱時に0.05〜0.3μmの大きさ
のTiN粒子が5000個/mm2以上存在する溶接熱
影響部靭性の優れた鋼板である。
温でのTiN粒子の微細分散化を発見し、これに基づい
て良好なHAZ靭性を有する鋼板を発明した。以下に詳
細に説明する。
HAZのTiN粒子分散状態に及ぼす脱酸方法の影響を
示す。図2は1400℃に加熱されたHAZでのTiN
粒子個数に及ぼす1400℃での保定時間の影響を示
す。Al脱酸鋼やTi脱酸鋼に比較してTi−Mg複合
脱酸鋼は1400〜1450℃加熱HAZにおいてTi
N粒子の個数が多く、粒子径が小さい。すなわち、Ti
−Mg複合脱酸によって高温に加熱されたHAZでTi
N粒子が微細分散化する。この新たな冶金現象はTi−
Mg複合によって、
に微細分散化し、かつ
によってTiN粒子の高温安定性が向上することでもた
らされる。図2に示されるように本効果は高温での滞留
時間の長い場合においても発現されることから、大入熱
溶接HAZに対しても有効である。
での加熱γ粒径に及ぼす脱酸方法の影響を示す図であ
る。Al脱酸鋼やTi脱酸鋼に比較してTi−Mg脱酸
鋼のγ粒径は1400℃以上で著しく小さい。これは、
図1に示すようにTi−Mg添加鋼中のTiN粒子は1
400℃以上でも微細分散し、γ粒成長をピンニングし
ているためである。
のほかに粒界上、転位上などに折出するため、酸化物に
比較して圧倒的に微細分散する。従って、本発明のよう
にその高温安定性を増せば、酸化物よりも強力なピンニ
ング効果が得られる。
添加によってTiN粒子を高温においても徽細分散さ
せ、溶融線近傍HAZの加熱γ粒を細粒化し、HAZ組
織を微細化して靭性を向上させる。本発明は高温での滞
留時間が長い大入熱溶接に特に有効である。1400℃
以上に加熱される溶融線近傍HAZにおいて、0.3μ
m以下の大きさのTiN粒子が5000個/mm2以上
存在する必要がある。その理由は、大きさが0.3μm
を超える粗大なTiN粒子が増えると総粒子数が減少し
てTiN粒子間隔が大きくなりピンニング力が弱まる。
また、たとえ0.3μm以下の微細なTiN粒子であっ
ても5000個/mm2未満であると同様の理由でピン
ニングが不十分となる。このような高温で存在するTi
N粒子の大きさの下限は0.05μmであり、従来ピン
ニングに有効とされるTiN粒子の大きさよりも大き
い。
ば、急冷した鋼から作製した抽出レプリカ試料について
透過電子顕微鏡観察(倍率:l万〜5万)によってTi
N粒子の大きさと個数を測定される。TiN粒子は複合
体として存在してもピンニングに有効であることから、
本発明ではこれらの複合体もピンニング粒子(TiN粒
子)とみなす。
強度、靭性を確保するための最小量である。しかし、C
が多すぎると母材及びHAZの靭性を低下させるととも
に溶接性を劣化させるのでその上限を0.20%とし
た。
すぎると溶接性およびHAZ靭性が劣化するため、上限
を0.4%とした。鋼の脱酸はTiだけでも十分可能で
あり、良好なHAZ靭性を得るためには0.3%以下の
Siとするのが望ましい。
するために不可欠であるため下限を0.5%とした。し
かし、Mnが多すぎるとHAZ靭性を劣化させ、スラブ
の中心偏折を助長し、溶接性を劣化させるので上限を
2.0%とした。
をそれぞれ0.015%以下、0.006%以下とした
理由はスラブ中心偏折の軽減などを通じて母材およびH
AZの機械的性質を改善するためである。Pの低減はH
AZの粒界破壊を抑制し、Sの低減はMnSの減少を通
じて母材およびHAZの板厚方向材質を向上させる。好
ましいP,Sはそれぞれ0.01%以下、0.003%
以下である。
り、0.006%以下とした。これは、Alが0.00
6%を超えると1850℃以上の高温で存在するTiN
粒子の個数が減少するため、本発明鋼の特徴であるγ粒
成長のピンニング効果が弱まるためである。この理由は
AlNの生成によってTiN粒子の生成が抑制され、T
iN粒子の高温安定性も低下するためである。
ング粒子の主体であるTiN粒子を十分な量形成するた
めに0.005%以上必要である。しかし、Tiが0.
03%を超えると過剰なTiCの析出によってHAZ脆
化が起こる。
iと複合的に添加することでTiN粒子の高温安定性を
向上させる。Mgが0.0005%未満であるとTiN
粒子の高温安定性に顕著な効果がなく、0.005%を
超えるとその効果がほぼ飽和する。
て微細な酸化物を形成し、高温でのピンニングに寄与す
る。従って、0.001%以上含有することがγ粒のピ
ンニングに有効である。しかし、大きい酸化物は脆性破
壊の発生起点となるため、酸化物の粗大化抑制と大きな
酸化物の個数減少のために上限を0.005%とした。
てHAZ加熱γ粒を細粒化する。十分な量のTiNを得
るために0.002%以上のNが必要であるが、Nが過
剰であると固溶NによってHAZ脆化が生じるため、上
限を0.006%とする必要がある。
V,Ca,REM,B,Nを添加する理由について説明
する。
響を及ぼすことなく母材の強度、靭性を向上させる。各
元素の上限は溶接性およびHAZ靭性の劣化を防止する
ためである。
かしその添加量が0.5%を超えると母材靭性、溶接性
およびHAZ靭性を損なう。
の添加量が0.5%を超えると母材靭性、溶接性および
HAZ靭性を損なう。
り、鋼の強度、靭性を向上させる。しかしその添加量が
0.05%を超えるとHAZ靭性が劣化する。
を超えると溶接性およびHAZ靭性を損なう。
(MnS)の形態を制御して靭性を向上させるためであ
る。しかしながら、これらの添加量が0.0050%を
超えると粗大な酸化物が多量に生成して母材およびHA
Zの靭性を劣化させる。
強度、靭性を向上させる。しかし0.0015%を超え
て添加するとHAZ靭性や溶接性を劣化させる。
や連続鋳造のタンディッシュあるいはモールドにおいて
溶鋼中にMg合金を添加し、連続鋳造によってスラブを
造り、これを1250℃以下に再加熱して制御圧延、加
速冷却、焼入、焼戻などの加工熱処理することで製造さ
れる。TiNの初期分散状態をより微細にするためには
スラブの冷却速度を高めることが効果的である。
を、表2に鋼板の母材材質、HAZ靭性ならびに140
0℃加熱HAZでのTiN粒子個数と加熱γ粒径を示
す。0.3μm以下のTiN粒子の個数は抽出レプリカ
試料の透過電子顕微鏡観察(倍率:2万、測定視野:4
mm2)によって測定された。種々の溶接条件で鋼板を
溶接し、HAZの最脆化部である溶融線(FL)のシャ
ルピー試験を実施した。
VE(−80℃)が270J以上の良好な母材材質を有
し、溶接入熱量がl00〜700kJ/cmであるHA
ZのFLにてVe(−20℃)が100J以上の良好な
HAZ靭性を有する。一方、比較鋼は化学成分およびT
iN粒子の分散状態が適当でないためにHAZ靭性が劣
っている。鋼8はAlが多すぎるためにTiN粒子が微
細分散せず、加熱γ粒が粗大化してHAZ靭性が劣って
いる。鋼9はTiが少なすぎるために十分な量のTiN
粒子が生成せず、加熱γ粒が粗大化してHAZ靭性が劣
っている。
はたくさん存在して加熱γ粒は細粒であるものの、Ti
Cの析出が著しくHAZ靭性が劣っている。
微細分散が不十分となり、加熱γ粒が粗大化してHAZ
靭性が劣っている。鋼12は酸素か多すぎるために酸化
物が粗大化し、脆性破壊起点が増加することでHAZ靭
性が劣っている。鋼13はNが少なすぎるために十分な
量のTiNが生成せず、加熱γが粗大化してHAZ靭性
が劣っている。鋼14はNが多すぎるため、加熱γは細
粒であるものの、固溶Nが増加してHAZ靭性が劣って
いる。
され、各種の溶接構造物の安全性が格段に向上した。特
に、溶接入熱量の大きな場合にも良好なHAZ靭性が達
成された。
子分散状態に及ぼす脱酸方法の影響を示す図である。
数に及ぼす1400℃での保定時間の影響を示す図であ
る。
径に及ぼす脱酸方法の影響を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.03〜0.20% Si:0.4%以下 Mn:0.5〜2.0% P:0.015%以下 S:0.006%以下 Al:0.006%以下 Ti:0.005〜0.03% Mg:0.0005〜0.005% O:0.001〜0.005% N:0.002〜0.006% を含有し、残部が鉄および不可避的不純物によって構成
され、1400℃以上に加熱される溶接熱影響部におい
て加熱時に0.05〜0.3μmの大きさのTiN粒子
が5000個/mm2以上存在する溶接熱影響部靭性の
優れた鋼板。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.03〜0.20% Si:0.4%以下 Mn:0.5〜2.0% P:0.015%以下 S:0.006%以下 Al:0.006%以下 Ti:0.005〜0.03% Mg:0.0005〜0.005% O:0.001〜0.005% N:0.002〜0.006% を含有し、さらに、 Cu:1.5%以下 Ni:l.5%以下 Cr:0.5%以下 Mo:0.5%以下 Nb:0.05%以下 V:0.05%以下 Ca:0.005%以下 REM:0.005%以下 B:0.0015%以下 の一種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物に
よって構成され、1400℃以上に加熱される溶接熱影
響部において、加熱時に0.05〜0.3μmの大きさ
のTiN粒子が5000個/mm2以上存在する溶接熱
影響部靭性の優れた鋼板。
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JP22735596A JP3403293B2 (ja) | 1996-08-12 | 1996-08-12 | 溶接熱影響部靭性の優れた鋼板 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1053838A JPH1053838A (ja) | 1998-02-24 |
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1996
- 1996-08-12 JP JP22735596A patent/JP3403293B2/ja not_active Expired - Fee Related
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