JP3403102B2 - 焼き洋菓子用離型膜の形成方法 - Google Patents

焼き洋菓子用離型膜の形成方法

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JP3403102B2 JP36236698A JP36236698A JP3403102B2 JP 3403102 B2 JP3403102 B2 JP 3403102B2 JP 36236698 A JP36236698 A JP 36236698A JP 36236698 A JP36236698 A JP 36236698A JP 3403102 B2 JP3403102 B2 JP 3403102B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、食型等の被塗布体
表面に焼き洋菓子用に好適な離型膜を形成させる方法に
関し、特に、静電塗油装置を用いて、焼成後の型離れが
よく、きめの細かい均一表面をもつ焼き洋菓子を製造す
るのに好適な離型膜を被塗布体表面に形成させる方法に
関する。 【0002】 【従来の技術】スポンジケ−キやクッキ−のような焼き
洋菓子には、比較的多量の糖分や蛋白質(卵)等が含ま
れるので、加熱焼成された焼き洋菓子の型離れが悪く、
外表面が部分的に剥がれたり形崩れして、しばしば商品
価値の低下を招く。その型離れをよくする手段として、
食型に離型油を塗布することが広く行われている。離型
油には、液状,流動状及び固形のタイプがあり、グリ−
サ−による噴霧や刷毛などによる手塗りで使用される。
特に、機械的な離型油塗布方式としては、例えば、旭サ
ナック社製のピ−クベア・ホットAP1224H,アネスト
岩田社製のエアレス噴霧装置,マルチ・アルファとスプ
レ−装置を組合せたもの等のエア式スプレ−装置等が一
般に知られている。しかし、手塗り方式は勿論のことグ
リ−サ−噴霧方式でも、食型面に液だれ現象を伴わない
塗布量、例えば、7mg/cm以下にすることが実質的に
不可能なため、離型油の液だれ現象が避けられず、焼き
洋菓子の品質に各種の不利益がもたらされる。 【0003】そのような液だれ現象を抑制する手段とし
て、離型油の粘度を高めて適度の流動性と付着性を付与
させるための微粒状ワックスのような増粘剤や離型性能
を向上させるための粉体、例えば、粉末状でん粉,粉末
セルロ−ス、粉末状多糖類,あるいは炭酸カルシウムや
二酸化珪素等の無機質粉体等を添加分散させることが行
われた。しかし、このような高粘度離型油組成物は、噴
霧装置により微細粒状に噴霧することが極めて困難であ
って、塗布は、もっぱら布に含浸させたり刷毛等を用い
て行われている。かかる塗布は作業性が劣るだけでな
く、単位面積当たりの塗布量が更に多くなるので液だれ
現象は一層激しく、また、均等な塗布も困難である。そ
のため、焼き洋菓子の外観と風味は損なわれ、しかもコ
ストアップは避けられない。 【0004】一方、離型油の塗布なし、又はごく少量の
塗布でも離型性能を付与させることを主な目的として食
型表面にふっ素樹脂やシリコ−ン樹脂加工を施すことが
試みられたが、実質的には離型油の塗布なしでの離型は
不良であった。また、これを補うために離型油の塗布を
行った場合、食型表面に被覆加工されたふっ素樹脂やシ
リコ−ン樹脂の皮膜により離型油がはじかれてしまい、
油滴が凝集して大粒化するので液だれを起こし、あるい
は液切れ部分が生じて、満足し得る離型効果は得られな
い。 【0005】近年、離型油を微粒子状に噴出させて被塗
布体表面に薄い離型油層(離型膜)を形成させる静電塗
油装置が開発された。その静電塗油装置は、離型油を圧
縮空気等の物理的圧力を用いて噴霧して、その微粒子を
高電圧帯電させるエア霧化式と、高電圧電気の作用で霧
化し粒子を帯電させる電気霧化式の静電塗油装置とに大
別される。前者のエア霧化式静電塗油装置の代表的なも
のは、加圧空気で霧化させた各微細粒子を直流高電圧電
場でマイナスに帯電させる方式のものであり、後者の電
気霧化式静電塗油装置の代表的なものは、離型油を装置
のノズルの中の電極板に作られた分配溝を通過させて高
電圧をかけ、静電気の反発力でマイナス帯電微細粒子を
霧状に吐出させ、静電気の吸引力で被塗布体に油を吸着
させる方式のものである。これらの静電塗油装置は、い
ずれも離型油を微細粒子状に噴出させて被塗布体表面に
全面的に薄く均一に塗布することができるので、食型の
表面加工方法を問わず、実質的に液だれ現象のない離型
油層を形成させるのに極めて望ましい塗布装置である。 【0006】上記のように、静電塗油装置により離型油
を噴霧する塗布は、実質的に液だれ現象のない望ましい
離型膜を容易且つ効率的に形成させることができるが、
エア霧化式装置による噴霧粒子は、高圧力で吐出させる
ため電気霧化式に比べてオ−バ−スプレ−が多く、所定
の被塗布体面量域への塗着効率は若干低い。また、噴霧
粒子もやゝ粗目であるが、高粘性液体を噴霧することが
できる利点を有する。他方、電気霧化式装置は、噴霧粒
子が微細で、また低圧力での吐出のため、高い塗油効率
を有するが、従来の高粘性離型油の噴霧には不適切であ
り、そのまゝ適用することは実質的に不可能である。た
とえ、高粘性離型油を加熱し、あるいは低粘度油を加え
て粘度を調整して適用することができたとしても、その
調整の結果生ずる作業性の低下や操作上の不利は避けら
れず、また、離型性能にも影響を与えることがあるの
で、従来の離型油を静電塗油装置に適用することは困難
であり、改善がまたれる。 【0007】製パン用型の離型には、ベ−ス油に、例え
ば、1〜2%程度のレシチンを配合した離型油をエア式
又はエアレス式の塗油装置で噴霧する離型膜の形成が行
われているが、焼き洋菓子の場合には、その生地に食型
にくっつき易い多量の焼き付き成分を含有することや食
型形状の複雑さに関連して、一層型離れのよい離型膜を
提供する離型油の開発が要望されている。特に、静電塗
油装置を使用して噴霧するのに好適な離型油について
は、まだ開発されていないし提案も示唆もない。本発明
者らは、比較的多量の糖類及び蛋白質類を含有する焼き
洋菓子の離型油に関し、特に、静電塗油装置用の離型油
に着目して、各種組成の離型油を試作し、開発研究を行
った。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、特に、静電塗油装置を用いて、実質的に液だれがな
く、離型のよい焼き洋菓子製造用離型膜を食型等に形成
させる方法を提供することにある。また、本発明の他の
課題は、焼きあがりの肌のきめが細かで見栄えのよい商
品価値の高い焼き洋菓子を商業的に有利に製造する方法
を提供することにある。本発明のその他の課題ないし技
術的特徴は、以下の記載から更に明らかになるであろ
う。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記特許請求
の範囲の請求項1に記載の要件から成る食型やスチ−ル
バンド等の被塗布体表面に離型性の優れた焼き洋菓子用
離型膜を形成させる方法を要旨とするものである。しか
して、本発明の方法は、特定組成の離型油を静電塗油装
置で食型等に噴霧する組合せに技術的特徴があり、本発
明は、特に、常温で液状の油脂をベ−ス油としてレシチ
ン等の特定範囲量の乳化剤を添加溶解させた比較的単純
組成の離型油を静電塗油装置に適用することにより、極
めて望ましい離型膜を提供し得ることの発見に基づいて
いる。このような単純組成の離型油が、焼き洋菓子製造
用離型膜の形成に極めて好適であることは、焼き洋菓子
生地の成分構成及びその焼成による製造条件を考慮すれ
ば、これまでの技術的概念からは到底考えられなかった
ことであり、全く意外な発見であった。 【0010】 【発明の実施の形態】 本発明の方法には、エア霧化式
と電気霧化式のいずれの静電式塗油装置を使用すること
もできる。前者のエア霧化式静電式塗油装置は、例え
ば、Burford社から販売されているMODEL 7200
が代表的であり、また,後者の電気霧化式静電式塗油装
置は、ルブテックUSA社製の菓子天板用フードスタッ
ト(FOOD STAT)が代表的である。前記したよ
うに、前者の装置は、エアスプレー等によって形成され
た離型油微細粒子を高電場でマイナスに帯電させる方式
であり、後者の装置は、静電気の反発力で電気的にマイ
ナスに帯電した離型油粒子をノズル先端から噴霧状に吐
出させる方式であるが、マイナスに帯電した離型油の微
細粒子を食型等の表面に吹き付けることが重要であっ
て、いずれの方式も採用できる。比較的小型の食型に対
しては、特に、この電気霧化式塗油装置が好適に使用さ
れる。 【0011】前者のエア霧化式静電塗油装置による帯電
微細粒子の被塗布体目標領域への塗着率は、例えば、50
〜70%程度であるが、食型の大きさや形状によっては、
更に高い塗着効率が得られる。これに対し、後者の電気
霧化式の静電塗油装置の代表的なものは、水圧,油圧等
の機械的なスプレ−ではなく、装置のノズル中の電極板
に作られた分配溝を通過する際にマイナスの直流高電圧
で帯電させて、油の反発力で電気的に吐出させたマイナ
ス帯電離型油微細粒子をプラスに帯電する食型や天板面
等の被塗布体に効率的に吸着させる静電塗油方式であっ
て、その被塗布体面に対する塗着効率は80〜95%あるい
はそれ以上にも達する。従って、離型油のロスは極めて
少なく、装置の操作効率も高く保持されるので、離型油
の制限された領域への塗布には極めて有用である。 【0012】本発明の方法に使用される静電塗油装置に
適用される離型油は、常温で液状の油脂(ベ−ス油)
に、そのベ−ス油 100重量部当たり、レシチン単独又は
レシチンと油溶性乳化剤混合物を 0.1〜30重量部添加し
溶解させて調製される。ベ−ス油は、食品用として認め
られた各種油脂類から選択使用されるが、本発明方法に
おいては、特に、常温で液状のベ−ス油が有利に使用さ
れる。高粘性の流動状油脂や固形脂のような非液状油脂
では、レシチン等を加えて調製される離型油を静電塗油
装置に適用するための噴霧粘度の調整及び操作条件に各
種の制約を受けるので本発明方法の実施には不適切であ
り、実用上採用し難い。 【0013】常温で液状の油脂としては、例えば、米
油,菜種油,大豆油,ごま油,オリ−ブ油,パ−ムオレ
イン,綿実油,ひまわり油及びコ−ン油等の植物性油脂
並びに各種の魚油類や中鎖脂肪酸トリグリセライド等が
包含される。これら油脂類は、単独で使用しても二種以
上を組合せて使用してもよい。実用的に好ましい油脂類
は、製品の風味を考慮すれば、菜種油,米油,コ−ン油
及び中鎖脂肪酸トリグリセライドである。また、本発明
に係る離型油には、ベ−ス油に他の動物性油脂、例え
ば、ラ−ドや牛脂,豚その他の魚油などの少量を添加す
ることができるが、その量は、装置の好ましい適用粘度
や焼きあがり風味が考慮される。 【0014】 上記ベース油に添加されるレシチンと油
溶性乳化剤は、いずれもベース油に溶解することが重要
で、添加によって実質的に透明な離型油に調製される。
添加されるレシチン又はレシチンと油溶性乳化剤混合物
の量は、ベース油100重量部に対し、〜30重量部の範
囲である。添加量が、重量部未満では、微細な噴霧粒
子が形成されず、塗油状態がむらになる。また、30重量
部を超えると離型油の粘性が増大して噴霧条件が悪くな
るだけでなく、多量のレシチン等乳化剤のためにケーキ
の風味が悪くなるので好ましくない。レシチン等乳化剤
の望ましい使用量は、生地の組成や噴霧の条件あるいは
食型の形状及び離型油の種類と組成に関連するが、10重
量部以下である。 【0015】レシチンは、動植物界に広く存在する界面
活性能を有する数種の燐脂質の混合物であって、構成成
分は抽出対象物によって異なるが、いずれのレシチンも
好適に使用できる。例えば、大豆レシチンには、ホスフ
ァチジルコリン,ホスファチジルエタノ−ルアミン,ホ
スファチジルイノシト−ルやホスファチジルセリン等の
燐脂質が混合状態で含まれている。また、市販されてい
るレシチンとしては、クル−ドレシチンが有利に使用さ
れるが、これを脱油した精製粉末レシチンや大豆レシチ
ンの成分を分画した分画レシチン、あるいは更にレシチ
ンに酵素を作用させた酵素処理レシチン等も使用でき
る。これらのレシチンは、ベ−ス油に透明に溶解するな
らばすべて好適に使用できる。工業的には、大豆,菜種
及び卵黄から得られるレシチンが好ましい。 【0016】また、レシチンと組合せて混合使用される
油溶性乳化剤は、食品衛生法で食品用としての使用が認
められている界面活性剤類であって、使用されるベ−ス
油に透明に溶解するものが選択使用される。そのような
油溶性乳化剤としては、例えば、蔗糖脂肪酸エステル
類,ソルビタン脂肪酸エステル類,プロピレングリコ−
ル脂肪酸エステルあるいはグリセリン脂肪酸エステル類
等が包含される。これらのエステル類を構成する脂肪酸
類の炭素原子数は、特に制限はないが、例えば、炭素原
子数が8〜22個程度の脂肪酸が好ましい。また、飽和脂
肪酸よりも常温で液状の不飽和脂肪酸のエステル類が好
適に使用される。ベ−ス油に溶解させるこれらのレシチ
ンや油溶性乳化剤は、ベ−ス油への溶解性と装置への適
用性から、1〜10の範囲内のHLBを有する比較的親油
性の強いものが望ましい。これらの各種油溶性乳化剤
は、二種以上を組合せて使用することができる。その油
溶性乳化剤のレシチンへの添加量は、レシチン100 重量
部に対して 300重量部以下、好ましくは、1〜50重量部
の範囲である。 【0017】離型油は、静電塗油装置のノズルから微細
粒子状に噴出するように粘度調整される。装置への適用
粘度は、通常、1000cS以下であって、好ましくは300
cS以下に調整される。この離型油の適用粘度は、各静
電塗油装置の噴霧能とエア霧化式又は電気霧化式スプレ
−によって噴霧される粒子の径、あるいは食型面への単
位面積当たりの塗布量及び食型の形状等に関連して選択
的に調整される。その離型油の粘度調整は、常温で液状
の油脂とレシチン等の乳化剤の種類と添加量を選択する
ことにより行われるが、低粘性の油脂や溶剤等の少量を
加えたり、若干の加熱昇温により行うこともできる。例
えば、中鎖トリグリセライドベ−ス油に溶剤エタノ−ル
を添加して粘度を調整したものは高い実用性を有する。
また、本発明方法に使用する離型油には、風味付けや色
付けのための食品用香料及び着色用色素等の少量を添加
することができる。 【0018】次に、本発明の方法を、ルブテック社の菓
子天板用静電塗油装置のフ−ドスタット(同社商標)を
使用する例について概要を説明する。この静電塗油装置
は、油を噴霧するスプレ−ノズル構造が特異であり、一
列横隊の多数のスリット型ノズルを備え、離型油は、そ
の各ノズルの中の電極板に作られた分配溝に供給され
る。その電極板間において、例えば、60〜70KVのマイ
ナス直流高電圧がかけられて、静電的に帯電された微細
油粒子は、その静電気を利用してノズルのスリットから
噴出され塗布が行われる。この装置によれば、例えば、
粒子径が50〜100μm程度に調整されたマイナス帯電粒
子がノズルの先端から勢いよく噴出し、マイナスに帯電
した粒子は、プラスに帯電した金属製の被塗布体面に大
きく広がることなく噴霧される。従って、この静電塗油
装置によれば、目標とする被塗布体面への付着率は、95
%あるいはそれ以上の高い塗着率が達成される。また、
偏向誘導棒(インダクタ−バ−)を設置して液体油の粒
子流の方向をコントロ−ルすることにより、装置への塗
着効率は一層高められる。 【0019】本発明の方法は、焼き洋菓子の製造におけ
る食型面に薄い均一な離型膜を効果的に形成させる好適
手段であるが、洋菓子用掛け油を洋菓子の表面に塗布し
て表面肌を更にきれいに仕上げるのに本発明の塗布技術
を利用することもでき、本発明の方法は、かかる応用手
段を包含する。 【0020】 【実施例】次に、具体例により、本発明の特徴を更に詳
細に説明する。なお、例中の部数及び%は、特に記載が
ない限り重量による。 【0021】実施例 1 食用菜種油 100部にレシチン5部(日清製油社製の商品
名日清レシチンDX)を加えて加温溶解させたのち、室
温まで冷却して離型油を作製した。これをルブテック社
製の静電塗油装置の菓子天板用フ−ドスタットを用い、
次の条件で食型に噴霧した。食型としては型の表面にシ
リコ−ン樹脂加工を施した半球状の食型(φ96mm×高さ
47mm)12個を型面を上に向けてコンベア上に連続状に並
べ、コンベアを毎分2mの速度で移動させた。前記装置
の噴霧ノズル先端を食型の上方約20cmの位置にセット
し、離型油を食型1個当たり約 0.1gの割合に噴霧して
食型面に離型膜を形成させた。この離型膜が形成された
各食型に下記重量割合の食材を配合したスポンジケ−キ
生地(比重:約 0.5)をそれぞれ20g入れてセラミック
オ−ブン内で150〜160℃の温度にて約20分間焼成した。
焼成ケ−キは12個の型からすべてきれいに離型し、表面
に焼きむらも色むらもないきめの細かな表面を有する高
品質のスポンジケ−キが得られた。 【0022】配 合 生 地 薄力粉 100 強力粉 60 起泡剤 20 全 卵 300 蜂 蜜 50 砂 糖 185 水 飴 40 ベ−キングパウダ− 1 液状ショ−トニング 32 【0023】比較例 1 実施例1において、静電塗油装置フ−ドスタットを使用
しないで、従来使用されているエア式のスプレ−で離型
油を塗布したほかは同様に操作して食型に離型膜を形成
させた。しかし、型の全面に緻密に塗布された離型油の
塗布量は、食型1個当たり約2g程度となり、型の立面
部に液だれ及び液切れ現象の著しい不均一な離型膜が形
成された。これに同様のスポンジケ−キ生地を入れて焼
成したところ、焼き菓子の離型性は悪く、食型の上方部
分で生地がくっついて剥がれ、また、底部の消泡は激し
く、表面状態の粗い低品質の焼き洋菓子が得られた。 【0024】実施例 2 食用パ−ム油(パ−ムオレイン)100 部に精製レシチン
(理研ビタミン社製のレシオンP)2部及びグリセリン脂
肪酸エステル(理研ビタミン社製のエマルジ−MU)1
部を加えて加熱溶解させ、室温まで冷却した。ルブテッ
ク社製静電塗油装置を用い、パウンドケ−キ用食型(60
mm×60mm×250mm,ふっ素樹脂加工)1個に約 0.5gの
離型油を噴霧し、離型膜が形成された型に下記成分配合
の焼き洋菓子生地(比重約 0.8)を入れて175 ℃の温度
で焼成した。焼成後、ケ−キはきれいに離型し、きめの
細かな表面を有し、角のくずれもないパウンドケ−キを
得た。静電塗油装置に代えてエアスプレ−で離型油を噴
霧したところ、オ−バ−スプレ−になって液だれ現象が
著しく、液切れした部分もあって部分的に不均質な離型
膜が形成され、その部分は離型が悪く、また、焼成され
たケ−キの底部、特にその角部の消泡が激しく表面状態
の粗いパウンドケ−キが得られた。 【0025】 【0026】実施例 3〜11下掲表1に記載されるよ
うに、各種のベ−ス油に、該ベ−ス油 100部に対し、レ
シチンと油溶性乳化剤の各種の量を添加し、得られたそ
れぞれの離型油を、ルブテック社製の静電塗油装置の菓
子天板用フ−ドスタットを使用して食型に噴霧し離型膜
を形成させた。いずれの離型油も微細な粒子に噴霧され
て良好な離型膜を形成した。この食型に、実施例2に記
載のパウンドケ−キ生地を入れて、実施例2と同様の条
件で約175 ℃の温度で焼成した。各食型で焼かれたパウ
ンドケ−キは、すべて離型性が極めてよく、きめの細か
な肌合いをもつ高品質のものであった。なお、表中の各
種油溶性乳化剤の略号は、次の通りである。 【0027】 蔗糖オレイン酸エステル: SO オレイン酸モノグリセライド: OMG ポリグリセリンリシノ−ル酸エステル: PGR 蔗糖エルカ酸エステル: SE ソルビタントリオレイン酸エステル: SorTO カプリル酸モノグリセライド: CMG リノ−ル酸モノグリセライド: LMG 【0028】 (表1) 実施例 ベ−ス油 レシチン (部油溶性乳化剤(部) 3 菜種油 クル−ド品 5 − 4 〃 〃 2 SO 1 5 〃 精製品 1 OMG 2 6 米 油 クル−ド品 30 − 7 〃 〃 0.2 PGR 1 8 コ−ン油 〃 2 SE 0.5 9 〃 〃 2 SorTO 2 10 部分水添菜種分別油 〃 10 CMG 1 11 〃 〃 2 LMG 1 【0029】比較例 2〜6 実施例3において、静電塗油装置に代えて従来使用され
ているエア式の噴霧装置を使用し、食型に噴霧し離型膜
を形成した。レシチン及び油溶性乳化剤を全く加えなか
った離型油は、噴霧粒子が粗く、まだらな離型膜であっ
た。また、レシチンを加えた離型油又はこれに更に油溶
性乳化剤を加えた離型油も、スプレ−によって粗い噴霧
粒子しか形成されず、食型に均一な塗布を行うには過量
の塗布が必要であり、いずれの型も液だれが観察され
た。それらの食型で焼いたパウンドケ−キの状態を各種
離型油組成と共に、下掲表2に併記した。 【0030】 (表2)比較例 ベ−ス油 レシチン(部乳化剤(部離型性 ケ−キの状態 2 菜種油 − − 不 良 不良(離型せず) 3 〃 クルド品 5 − 〃 風味不良 4 〃 〃 2 SO 1 〃 外観不良 5 〃 精製品 1 OMG 2 〃 〃 6 〃 〃 1 PGR 5 〃 〃 【0031】なお、表中の比較例2の離型性の不良は、
食型全体にパウンドケ−キの接触面が全面的にくっつ
き、また、比較例3では、接触面が部分的にくっついて
型離れが悪く、それらのくっつき部分はすべて皮が剥が
れて不良品となった。また、風味も悪かった。比較例4
〜6は、焼成されたパウンドケ−キがすべて底部の角部
分が天ぷら化して消泡した角の部分が欠けたケ−キとな
り、すべて商品価値の低いものであった。 【0032】比較例 7〜8 ひまわり油100 部にクル−ドレシチン0.05部を添加溶解
させた離型油(比較例7)及びパ−ムオレイン100 部に
クル−ドレシチン35部を添加溶解させた離型油(比較例
8)を用いて、菓子天板用フ−ドスタット静電塗油機に
より、それぞれ実施例1の噴霧操作を行って離型膜を形
成させ、これに実施例2のパウンドケ−キ生地を入れて
焼成した。ひまわり油の離型油では、離型性が不良でケ
−キの皮は筋状に剥がれた。また、パ−ムオレインの離
型油では、離型性は良好であったが、クル−ドレシチン
臭が強く、焼きあがったケ−キは風味不良となり、ケ−
キとしては低い品質のものであった。 【0033】 【発明の効果】本発明の方法によれば、離型油のオ−バ
−スプレ−が少ないので、作業環境が汚染されず、ま
た、被塗布体に緻密で薄い均一な離型膜を容易且つ効率
的に形成させることができるので、塗布面における離型
油の液だれ現象はなく、また焼き洋菓子の型離れがよ
く、きめの細かい焼きむらのない表面をもった風味の良
い商品価値の高い焼き洋菓子が工業的に有利に得られ
る。 整理番号 P11400
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅 裕人 神奈川県横浜市西区南浅間町1番地の1 横浜油脂工業株式会社内 (72)発明者 鈴木 鉄也 神奈川県横浜市西区南浅間町1番地の1 横浜油脂工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−15597(JP,A) 特開 平5−30905(JP,A) 特開 平9−38530(JP,A) 実開 平4−30064(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21D 8/08 A21B 3/16 A23G 3/00 - 3/02 B05B 5/14

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 常温で液状の油脂に、レシチン又はレシ
    チンと油溶性乳化剤混合物を前記油脂100重量部当たり
    1〜30重量部加えて溶解した離型油組成物を静電塗油装
    置のノズルから噴霧して、マイナスに帯電させその微
    細粒子を焼き洋菓子用食型表面に塗布することを特徴と
    する食型表面への焼き洋菓子用離型膜の形成方法。
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