JP3402571B2 - 二酸化炭素検出装置 - Google Patents

二酸化炭素検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の利用分野】この発明は、固体電解質CO2セン
サや金属酸化物半導体の抵抗値や静電容量等を利用した
CO2センサ,NDIR(非分散赤外)CO2センサ等を
用いた二酸化炭素検出装置に関する。これらのCO2セ
ンサの出力は周囲温度への依存性があり、しかもセンサ
出力に様々なドリフトが含まれるため、基準値での補正
が必要である。そして基準値はCO2センサの出力から
発生させる。 【0002】 【従来技術】1日の範囲での固体電解質CO2センサの
起電力の最大値を基準値とし、この基準値でCO2セン
サの起電力を補正して、CO2濃度を求めることが知ら
れている。同様にNDIRCO2センサでの透過光量の
最大値を基準値として、CO2濃度を求めることが知ら
れている。なお起電力の最大値や透過光量の最大値は、
CO2濃度の最小値に対応する。上記の方法はCO2濃度
の変動には1日あるいは1週間を単位とする周期性があ
ることに基づき、1日あるいは1週間でのCO2濃度の
最小値を自然大気中でのCO2濃度(350ppm)と
推定する。 【0003】しかしながらCO2センサの出力の最大値
等を基準値とすることには、様々な問題がある。第1
に、都市部では1日や1週間程度の期間ではCO2濃度
は自然大気中CO2濃度まで低下しない。第2にCO2セ
ンサの出力にノイズが乗ると、ノイズを基準値に用いる
ことになり易い。 【0004】 【発明の課題】この発明の課題は、最大値等のCO2セ
ンサの出力の瞬時値を用いずに、CO2センサの基準値
を発生させることにある。この発明の課題はさらに、C
O2センサの温度依存性の処理を容易にすることにあ
る。 【0005】 【発明の構成】この発明では、出力が周囲温度に依存す
るCO2センサを用い、CO2センサの出力から基準値を
発生させ、CO2センサの信号を該基準値で補正して、
雰囲気中のCO2濃度を検出するための装置において、
サーミスタと、CO2センサの出力をこのサーミスタの
出力で補正してCO2センサの温度補正済み出力を得る
ための温度補正手段と、前記温度補正済み出力の定常値
を検出し、検出した定常値を基準値とするための定常値
検出手段、とを設けたことを特徴とする。 【0006】 【発明の作用と効果】この発明では、CO2センサの出
力をサーミスタの出力で補正する。この段階でCO2セ
ンサの出力は温度補正済みとなり、以下の処理は全て温
度補正済みのCO2センサの出力に基づいて行う。次に
温度補正済みのCO2センサの出力の定常値を検出し、
この定常値を基準値とする。このため、起電力の最大値
等の瞬時値を基準値に用いる必要が無く、信頼性の高い
基準値が得られる。 【0007】 【実施例】図1〜図4に実施例を示す。図1において、
2はCO2センサで、ここでは固体電解質CO2センサと
する。CO2センサ2には、これ以外にNDIRCO2セ
ンサや金属酸化物半導体の抵抗値を用いたCO2セン
サ、あるいは金属酸化物半導体の静電容量を用いたCO
2センサ等を用いても良い。これらのCO2センサにはい
ずれも出力に周囲温度への依存性がある。 【0008】図2にCO2センサ2の構造を示すと、4
はナトリウムイオン導電体で、6は金とアルカリ炭酸塩
や金とアルカリ土類炭酸塩の混合物等からなる作用極
で、8は金等からなる参照極である。10はアルミナ基
板で、12はプラチナヒータ等のヒータで、14は参照
極8を封止するための封止ガラスである。 【0009】図1に戻り、20は周囲温度の補正用のサ
ーミスタで、CO2センサ2とサーミスタ20との間で
応答にずれが生じないように、サーミスタ20をCO2
センサ2の図示しないハウジングの内部に配置する。こ
の結果サーミスタ20はCO2センサ2からの熱を受け
て例えば100℃程度に加熱される。サーミスタ20の
温度は周囲温度に連動して変動し、周囲温度の変動をサ
ーミスタ20で測定する。22はCO2センサ2の出力
(電極6/8間の起電力)を増幅するためのバッファア
ンプ、24は差動アンプである。26は感度調整アンプ
で無くても良く、30は信号処理用のマイクロコンピュ
ータである。 【0010】マイクロコンピュータ30において、32
はバスで、34はADコンバータ、36は温度補正部
で、温度補正用の基準温度TSTDを記憶し、CO2センサ
2の起電力EMFをサーミスタ20の出力で温度補正
し、温度補正済み起電力EMF*とする。温度補正は基
準温度TSTDからの変化に対して行い、基準温度TSTDは
例えばCO2センサ2の温度補正済み基準値EMF*STD
の変更毎に変更する。38はEMF*の定常値を検出す
るための定常値検出手段で、例えば1時間〜8時間程度
のタイマを内蔵して、タイマの動作期間Hの間、温度補
正済み起電力EMF*とタイマスタート時の温度補正済
み起電力Fの差の絶対値を監視する。そしてタイマの動
作時間Hが経過するまで、差の絶対値が許容値K以下の
場合、Fを用いて新たな基準値を発生させる。 【0011】40はDAコンバータで、差動増幅用の基
準電圧Cを差動アンプ24の正入力側に加え、CO2セ
ンサ2の出力と基準電圧Cとの差がADコンバータ34
でAD変換されるようにする。基準電圧Cは、基準値E
MF*STDを基に決定する。42はCO2検出部で、CO2
濃度を文字通りに求めて出力し、あるいはEMF*をE
MF*STD等と比較して、換気等の制御信号を発生する。 【0012】図3,図4に、実施例の動作を示す。CO
2センサ2の起電力はヒータ12の動作開始から数時間
程度の間不安定で、電源投入から8時間経過するのを待
つ。8時間経過すると例えばその時点でのサーミスタ2
0の温度を基準温度をTSTDとし、その時点でのEMF*
を基準値EMF*STDとする。次にEMF*STD+小さな定
数Jを基準電圧Cとする。 【0013】この後、例えば1秒ごとに起電力EMFを
サンプリングし、サンプリングの都度、AD変換した起
電力EMFADを式(1)で復号して差動増幅の影響を除
き、式(2),(3)で温度補正する。 EMF=EMFAD+(C−M) (1) EMF: AD変換した起電力EMFADを、差動増幅用の基準電 圧C(EMF*STD+小さな定数J)と定数Mを用いて、元の起電力に線形に復元 した起電力 EMF*=EMF−A・△T (2) △T=T−TSTD (3) EMF*: EMFを温度補正した起電力 A: CO2センサの温度依存性の1次の係数 △T: サーミスタ20の温度Tと基準温度TSTDとの差 【0014】基準値とEMF*からのCO2濃度への換算
は式(4)で行う。 EMF*STD−EMF*=B・Ln(PCO2/PCO2STD) (4) B: 起電力とCO2濃度との換算係数 PCO2: CO2濃度 PCO2STD: 基準CO2濃度(400ppm) 【0015】DAコンバータ40では、基準電圧Cを発
生させ、差動アンプ24で基準電圧CとCO2センサ2
の出力の差を差動増幅し、ADコンバータ34でAD変
換して起電力EMFADとする。次に温度補正部36でE
MFADをEMFに復元し、その時点でのサーミスタ温度
と基準温度TSTDとの差△Tを用いて温度補正し、温度
補正済みの起電力EMF*を得る。差動増幅により例え
ばAD変換の精度は16倍程度向上する。基準値とEM
F*との差から、式(5)に従いCO2濃度が定まる。そこ
でこのCO2濃度をCO2検出部42で求め出力する。 【0016】定常値の検出では、EMF*をサンプリン
グする都度、定常値の検出用のタイマがスタート済みか
否かをチェックし、未スタートであれば、タイマをリセ
ットしてスタートさせ、同時にその時点での温度補正済
み起電力EMF*を定常値の候補Fとする。タイマがス
タート済みの場合、FとEMF*との差の絶対値が許容
範囲K以内か否かをチェックし、許容範囲外で有ればタ
イマをリセットして、Fをその時点の温度補正済み起電
力EMF*に変更する。差の絶対値が許容範囲内の場
合、タイマが所定の時間H動作済みか否かをチェック
し、動作済みで有れば、即ち時間Hの間前記の絶対値の
差がK以下であれば、定常値を検出したものとする。 【0017】定常値を検出すると、基準温度TSTDをそ
の時点の温度に変更し、その時点での温度補正済み起電
力EMF*または前記の候補Fを基に、新たな基準値を
発生させる。EMF*を温度補正した時点と、前の基準
温度を定めた時点とでは温度が異なるので、式(5)によ
り基準温度の変更に伴う処理をして、新しい基準値を発
生させる。 EMF*STDNew=EMF*の定常値+A・△(TSTDnew−TSTDOld) (5) EMF*STDNew: 新しい基準値 EMF*STDNeW: 新しい基準温度(基準値の変更時の温度) TSTDOLD: 古い基準温度 【0018】図4に定常値の検出動作を示すと、ビルや
家屋では深夜は人の活動が少なく、CO2濃度は自然大
気中CO2濃度へと近づく。また深夜には人の活動が少
ないので、ノイズが少なく、起電力は安定する。ただし
夜間でも気温の変動はあり、起電力自体は定常値を示さ
ないが、温度補正済み起電力は定常値を示す。前記のタ
イマの時間を例えば6時間とし、この間温度補正済み起
電力がほぼ一定で有れば、基準値を変更する。このよう
にすると、ほぼ1日に1回基準値が変更される。このた
め、CO2濃度が低い状態での起電力を基準値とするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 実施例の二酸化炭素検出装置のブロック図 【図2】 実施例で用いた二酸化炭素センサの断面図 【図3】 実施例の二酸化炭素検出装置の動作フロー
チャート 【図4】 実施例の動作を示す特性図 【符号の説明】 2 CO2センサ 4 ナトリウムイオン導電体 6 作用極 8 参照極 10 アルミナ基板 12 ヒータ 14 封止ガラス 20 サーミスタ 22 バッファアンプ 24 差動アンプ 26 感度調整アンプ 30 マイクロコンピュータ 32 バス 34 ADコンバータ 36 温度補正部 38 定常値検出部 40 DAコンバータ 42 CO2検出部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 27/406 G01N 27/58 Z (56)参考文献 特開 平5−249073(JP,A) 特開 平3−162659(JP,A) 特開 平3−226665(JP,A) 特開 平5−249074(JP,A) 特開 平5−307018(JP,A) 特開 平6−11477(JP,A) 特開 平10−332615(JP,A) 特開 平11−14586(JP,A) 特開 平6−308073(JP,A) 特開 平9−329559(JP,A) 特開 平10−142192(JP,A) 特開 平11−14583(JP,A) 特開 平11−14591(JP,A) 特開 平11−14590(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/00 - 27/49 G01N 21/61

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 出力が周囲温度に依存するCO2センサ
    を用い、CO2センサの出力から基準値を発生させ、C
    O2センサの信号を該基準値で補正して、雰囲気中のC
    O2濃度を検出するための装置において、 サーミスタと、CO2センサの出力をこのサーミスタの
    出力で補正してCO2センサの温度補正済み出力を得る
    ための温度補正手段と、 前記温度補正済み出力の定常値を検出し、検出した定常
    値を基準値とするための定常値検出手段、とを設けたこ
    とを特徴とする、二酸化炭素検出装置。
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