JP3400946B2 - チェーンの伸長度診断装置 - Google Patents
チェーンの伸長度診断装置Info
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- JP3400946B2 JP3400946B2 JP20337998A JP20337998A JP3400946B2 JP 3400946 B2 JP3400946 B2 JP 3400946B2 JP 20337998 A JP20337998 A JP 20337998A JP 20337998 A JP20337998 A JP 20337998A JP 3400946 B2 JP3400946 B2 JP 3400946B2
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Description
を診断するチェーンの伸長度診断装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に搬送装置として知られる乗客コン
ベアでは、乗客や物を乗せる踏み段や、乗客が安心して
乗れるようにハンドレールを設けており、これらは駆動
装置により回転駆動される無端状のチェーンと同期して
無端移動するように構成されている。このチェーンは経
時的に伸び、その伸長度は使用時間や負荷条件によって
異なるため定期的な保守点検作業が必要となる。この伸
長度を検出する従来のチェーンの伸長度検出装置は、特
開平7−137976号公報に記載のように、チェーン
に標識を設け、この標識の通過を検出する検出装置によ
ってチェーンの単位当たりの長さを検出するものが提案
されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
チェーンの伸長度検出装置は、上述のようにチェーンの
伸びを検出するためにチェーンに標識を設けていたた
め、既存のチェーンの伸長度を検出するためには新たに
標識を設けなければならず多大な労力と時間が必要であ
った。また新品チェーンの場合でも、標識の取付け精度
が検出結果に大きく影響するため、伸長度を判定する上
での信頼性を確保するのが困難であり、しかも、チェー
ンはスプロケットに噛み合う構造上、標識をチェーンの
側面に設けなければならず、これに合わせて標識を検出
するためのセンサもチェーンの側方から近接して配置し
なければならないが、駆動中のチェーンがその駆動方向
と直角方向に振動するため、所定の位置に固定したセン
サで標識を常に検出するのは非常に困難となっていた。 【0004】またチェーンは、回転駆動するスプロケッ
トに噛み合う際、チェーン初期状態でスプロケットのピ
ッチ円直径がチェーンのローラ中心と合致するが、チェ
ーンが伸びるとチェーンのローラ中心がスプロケットの
ピッチ円直径より大きい位置にずれて回転駆動されるこ
とになる。従って、回転駆動するスプロケットの角速度
は経年により変化しなくても、これに噛み合うチェーン
の周速度は経年により変化し、伸びたチェーンの運転速
度は初期状態と比較して速くなっているため、チェーン
が伸びたとしても初期状態でのチェーン一周の通過時間
とほとんど変わらなくなってしまう。このため、チェー
ンに一定間隔で標識を設けて標識の通過を検出しても、
チェーンの単位当たりの長さを検出することは困難であ
り、チェーンの伸長度を正確に検出するのが難しかっ
た。 【0005】本発明の目的とするところは、チェーンの
異常伸長を正確に診断することができるようにしたチェ
ーンの伸長度診断装置を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】交互に対向配置した内側
リンクプレートおよび外側リンクプレートと、両リンク
プレートの連結部に配置されてスプロケットに係合する
ローラと、このローラに挿入すると共に内側リンクプレ
ートにはめ込んだブッシュと、このブッシュ内に挿入す
ると共に外側リンクプレートにはめ込んだピンとで構成
されたチェーンの伸長度を診断するチェーンの伸長度診
断装置において、上記内側リンクプレートにある隣り合
うローラのローラ外面からローラ外面までの寸法と、上
記外側リンクプレートにある隣り合うローラのローラ外
面からローラ外面までの寸法をパルス信号にて出力する
チェーン通過検出器と、このチェーン通過検出器のパル
ス信号からそれぞれのパルス周期を測定する測定部と、
この測定部で測定された上記内側リンクプレートにある
隣り合うローラのローラ外面からローラ外面までのパル
ス周期の総和と、上記外側リンクプレートにある隣り合
うローラのローラ外面からローラ外面までのパルス周期
の総和とをそれぞれ求めるとともに、これらパルス周期
の総和の差を求め、この値と設定値を比較して上記チェ
ーンの異常伸長度を診断する判定部とを設けたことを特
徴とする。 【0007】上述したように本発明のチェーンの伸長度
診断装置は、チェーン通過検出器によってチェーンのパ
ルス周期を測定する測定部を設け、この測定部で設定値
を超えたパルス周期を測定した場合、そのリンク部を記
憶部に記憶し、その後、再度同リンク部のパルス周期を
測定部で測定し、これら測定結果からチェーンの異常伸
長を診断する判定部を設けたため、従来のようにチェー
ンに複数の標識を設けることなく、正確な異常伸長を診
断することができるようになる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。図7は、本発明の一実施の形態によ
るチェーンの伸長度診断装置を取り付けたエスカレータ
の要部駆動機構を示す側面図である。機械室に設けられ
たエスカレータ駆動用ドライビングマシン2は、ドライ
ビングチェーン3を介して上部駆動用踏み段チェーンス
プロケット4に連結されている。この上部駆動用踏み段
チェーンスプロケット4と同じシャフト5に軸支された
ハンドレール駆動用スプロケット6は、ハンドレール駆
動用メインチェーン7を介してダブルスプロケット8に
連結されている。このダブルスプロケット8にはハンド
レール駆動用ドライビングチェーン9を介してハンドレ
ール駆動装置10の駆動ローラ11が連結され、この駆
動ローラ11を介して無端状に構成したハンドレール1
を回転移動させている。また、ダブルスプロケット8と
テンションスプロケット14間に位置したハンドレール
駆動用メインチェーン7に対応して、チェーン通過検出
器12を含むチェーンガイド13が配置されている。こ
のチェーンガイド13は、ハンドレール駆動用メインチ
ェーン7に対応した部分に限らず、ハンドレール駆動用
ドライチェーン9やドライビングチェーン3に対応して
取り付けても良いし、設置場所としてはチェーンの噛み
合う二個のスプロケット間であればどこに取り付けても
良い。また、チェーン通過検出器12としては、チェー
ン駆動部分特有の油や塵埃や水に影響されることなく、
鉄鋼部分であるチェーンのローラ部分のみ、つまり金属
の遮へい有無によってのみ信号を出力する磁気センサな
どを用いる。 【0009】図1は、上述したチェーン通過検出器12
を用いて構成したチェーンの伸長度診断装置を示すブロ
ック構成図である。複数のチェーン20A,20B,2
0Cの各々の近傍にチェーン通過検出器12A,12
B,12Cが取り付けられており、これら各チェーン通
過検出器12A〜12Cは切換部16を介してMPU2
4に接続されている。この切換部16は、チェーン通過
検出器12Aがチェーン20Aのパルスを検出し終える
と、次にチェーン通過検出器12Bを検出可能な状態と
し、さらにチェーン通過検出器12Cを検出可能な状態
に切り替えることができる。MPU24は、チェーン通
過検出器12A〜12Cが検出したパルス信号からチェ
ーン20A〜20Cのローラ間のパルス幅を測定する測
定部17と、測定部17が測定したチェーン20A〜2
0Cのローラ間のパルス幅を基にチェーンのパルス周期
を比較演算して異常伸長を診断したり、チェーン20A
〜20Cの伸長度を定量的に判定する判定部18と、判
定部18でのチェーン20A〜20Cの伸長度の判定結
果から、例えば、最新の判定結果を比較して変化量を算
出し、これを経過時間で除して単位時間当たりの変化量
を求めてチェーン20A〜20Cの伸びが異常状態に達
するまでの時間を表すチェーン異常時期やチェーン交換
時期を予測する予測部19とで構成されている。 【0010】このMPU24には、記憶部25および通
信部26を介して監視センタ27が接続されており、こ
の記憶部25は、測定部17での測定結果や、判定部1
8でのチェーン伸長度の判定結果や、予測部19でのチ
ェーン異常時期およびチェーン交換時期や、診断実施時
の日時等の情報を記憶し、通信部26は、記憶部25が
記憶した情報を定期的に監視センタ27に送信したり、
チェーン20A〜20Cが予測部19で異常時期に達し
ていると予測したときチェーン交換指示などを監視セン
タ27に送信する。また、判定部18でのチェーン20
A〜20Cの伸長度の判定結果から、例えばチェーン異
常状態に達していると判定されたとき、判定部18は駆
動制御部28に何等かの指令を与えてチェーン駆動を制
御できるよう構成している。 【0011】ここで、チェーンに伸びが生じる過程を説
明する。チェーンの伸びは、弾性伸び、塑性伸びおよび
摩耗伸びに分類されており、一般にチェーンの伸びと言
われているのは摩耗伸びのことであり、伸びのなかでも
最も大きい比率を占めている。この摩耗伸びについて、
チェーンを中心から外側へ見た場合の断面図である図2
と、図2のB−B線に沿った初期状態を示す断面図であ
る図3と、図2のB−B線に沿った摩耗伸びした状態を
示す断面図である図4を用いて説明する。 【0012】チェーン20は、交互に対向配置した内側
リンクプレート21Bおよび外側リンクプレート21A
と、両リンクプレート21A、21Bの連結部に配置さ
れてスプロケットに係合することになると共に上述のチ
ェーン通過検出器12A〜12Cによって検出されるロ
ーラ15と、このローラ15に挿入すると共に内側リン
クプレート21Bにはめ込んだブッシュ22と、このブ
ッシュ22内に挿入すると共に外側リンクプレート21
Aにはめ込んだピン23で構成されている。ここで、ロ
ーラ15とブッシュ22の間、またブッシュ22とピン
23の間にはそれぞれ隙間が存在し、ローラ15はブッ
シュ22との間で自由に回転するが、ブッシュ22は内
側リンクプレート21Bに固設され、またピン23は外
側リンクプレート21Aに固設されているため、ピン2
3およびブッシュ22自体が回転することはない。チェ
ーンが屈曲したり、スプロケットに噛み合って軌跡が円
弧を描いたりするのは、ブッシュ22とピン23の間に
存在する隙間によってブッシュ22とピン23が揺動し
生じる現象である。 【0013】チェーン20はこのような構成であるた
め、チェーン20が回転駆動しスプロケットとの噛み合
いにより屈曲を重ねると、当然ピン23とブッシュ22
の間の揺動によりピン23の外面とブッシュ22の内面
の摩耗が進み、隙間が拡大する方向に摩耗伸びが生じる
ことになる。チェーン20が摩耗伸びした状態になる
と、チェーン20の駆動中には常に図4の矢印で示す両
側方向に引っ張られるので、ブッシュ22とピン23間
の隙間が片側に寄り、ローラ15の外径面からそれと隣
り合うローラ15の外径面までの距離が変化する。一
方、ブッシュ22が固設された内側リンクプレート21
Bにおけるローラ間寸法j2,j4は変化せず、摩耗伸
びした状態になってもj2=j2´,j4=j4´とな
る。また、ピン23が固設された外側リンクプレート2
1Aにおけるローラ間寸法j1,j3は磨耗伸びした状
態になるとj1からj1´に、j3からj3´にそれぞ
れ拡がり、チェーン20は全体が伸びる。またローラ1
5の直径は、ローラ15の外面がスプロケットに接触し
て磨耗することで減少するが、その磨耗量はピン23と
プッシュ22の間の隙間ほどではなく微少であるため、
ここではその変化量は無視して考えることができる。こ
の磨耗伸びの現象は、チェーン一周分において同様の傾
向を示し、内側リンクプレート21Bでのローラ間寸法
がj2,j4からj2´,j4´になってもj2=j2
´,j4=j4´の関係がほぼ変化せずに成立し、外側
リンクプレート21Aのローラ間寸法がj1,j3から
j1´,j3´に拡大してj1<j1´またはj3<j
3´の関係が成立する。 【0014】次に、上述した磨耗伸びの特性を利用した
チェーンの伸長度診断装置の動作原理を、図3に示した
初期状態のチェーンの出力信号の波形図である図5と、
図4に示した磨耗伸びした状態のチェーンの出力信号の
波形図である図6を用いて説明する。図5において、波
形の山部を形成しているパルスの立ち上がりから立ち下
がりまでのパルス幅H1,H2,H3,H4は、図3に
示したローラ15の外径部分h1,h2,h3,h4の
通過時間に対応し、また谷部を形成しているパルスの立
ち下がりから立ち上がりまでのパルス間隔J1,J2,
J3,J4は、図3に示したローラ15の外面から隣り
合うローラ15の外面までの寸法j1,j2,j3,j
4の通過時間に対応している。ローラ15の直径はh1
=h2=h3=h4であるため、それに対応する通過時
間のパルス幅もH1=H2=H3=H4となる。また初
期状態のチェーンは磨耗伸びがないためローラ外面から
隣り合うローラ外面までの寸法j1=j2=j3=j4
であり、それに対応するパルス間隔もJ1=J2=J3
=J4となる。 【0015】チェーンが図3の初期状態から図4の磨耗
伸びした状態になるとチェーンの全体長さは長くなる
が、回転駆動するスプロケットに噛み合う際に初期状態
のチェーンではスプロケットのピッチ円直径が噛み合う
チェーンのローラ中心と合致するが、磨耗伸びしたチェ
ーンは噛み合うチェーンのローラ中心がスプロケットの
ピッチ円直径より大きい位置にずれて回転駆動する。こ
のため、回転駆動するスプロケットの角速度は経年によ
り変化しなくても、スプロケットに噛み合うチェーンの
周速度はチェーンの初期状態と伸びた状態では異なり、
磨耗伸びした状態のチェーン運転速度は初期状態のそれ
と比較して速くなる。その結果、チェーンは伸びたとし
ても初期状態と伸びた状態でのチェーン一周の通過時間
はほとんど変わらない。チェーンのローラ15の直径
は、図3の初期状態から図4の磨耗伸びした状態になっ
たとしても変わらないが、上述した理由でチェーンの運
転速度は磨耗伸びすると初期状態と比較して速くなり、
初期状態でのパルス幅H1〜H4は磨耗伸びした状態で
H1´〜H4´となり通過時間が小さくなる。 【0016】ここで、ローラ15の直径の磨耗量は微少
であるためチェーンが磨耗伸びしても変わらないとすれ
ば、図3の外側リンクプレート21Aに支持された隣り
合うローラ15のローラ中心からローラ中心までの寸法
は、図3での寸法K1,K2から、図4での寸法K1
´,K2´となり、また内側リンクプレート21Bに支
持された隣り合うローラ15のローラ中心からローラ中
心までの寸法は、図3での寸法L1,L2から、図4で
の寸法L1´,L2´となる。図3の寸法K1は図5の
出力信号では通過時間F1、寸法K2は通過時間F2、
寸法L1は通過時間G1、寸法L2は通過時間G2とな
り、図4の寸法K1´は図6の出力信号では通過時間F
1´、寸法K2´は通過時間F2´、寸法L1´は通過
時間G1´、寸法L2´は通過時間G2´となる。 【0017】チェーンは初期状態から磨耗した状態にな
ると、チェーンの運転速度は速くなることで、内側リン
クプレート21Bに支持された隣り合うローラ15の外
面から外面までの間隔は変化しなくても、通過時間J2
は通過時間J2´へ、また通過時間J4は通過時間J4
´へと小さくなり、一方、外側リンクプレート21Aに
支持された隣り合うローラ15の外面から外面までの間
隔は拡がるので、通過時間J1は通過時間J1´へ、ま
た通過時間J3は通過時間J3´へと大きくなる。この
ようにチェーン通過検出器12A〜12Cの出力信号で
の初期状態と磨耗伸びした状態の時間通過を比較してみ
ると、初期状態のチェーン一周分の外側リンクプレート
21Aに支持された隣り合うローラ15の中心間寸法の
パルス周期の総和F、また内側リンクプレート21Bに
支持された隣り合うローラ15の中心間寸法のパルス周
期の総和Gは、それぞれ次の数式(1)および数式
(2)で表され、その差M=F−Gはほぼ零に等しい。 F1+F2+F3……=F(1) G1+G2+G3……=G(2) 一方、磨耗伸びした状態におけるチェーン一周分の外側
リンクプレート21Aに支持された隣り合うローラ15
の中心間寸法のパルス周期の総和F´、また内側リンク
プレート21Bに支持された隣り合うローラ15の中心
間寸法のパルス周期の総和G´は、それぞれ次の数式
(3)および数式(4)で表され、その差M´はF´−
G´となる。 F1´+F2´+F3……=F´(3) G1´+G2´+G3……=G´(4) ここで、初期状態での差Mは磨耗伸びした状態で差M´
となり、磨耗伸びが大きくなるに従って差M´も大きく
なるため、初期状態のパルス周期の差Mと、磨耗伸びし
た状態のパルス周期の差M´を比較演算し、差M´と差
Mの差が予め設定した設定値に達しているか否かでチェ
ーンの異常伸長を判定することが可能となる。また、初
期状態でのパルス幅H1〜H4は、磨耗した状態ではチ
ェーン運転速度が速くなってH1´〜H4´に変化する
ので、その差H1”=H1−H1´を比較演算したり、
または初期状態でのパルス幅の総和Hと、磨耗した状態
でのパルス幅の総和H´を数式(5)および数式(6)
で求め、その差H”=H−H´を比較演算して、H”が
予め設定した設定値に達しているか否かでチェーン全体
の伸長度を定量的に判定することも可能となる。 H=H1+H2+H3+H4+……+Hn(5) H´=H´1+H´2+H´3+H´4+……+H´n(6) つまり、チェーン運転速度の変化からチェーン全体の伸
長度を判定することができる。次いで、この伸長度結果
を記憶しチェーン駆動経過時間で除して演算すれば、現
時点でのチェーンの伸長度や、単位時間当たりの伸び量
や、チェーン駆動数時間経過後のチェーン伸長度を定量
的に判定し予測することができるので、異常状態時期を
予測することも可能となる。 【0018】図8は、上述したチェーンの伸長度診断装
置の診断手順を示すフローチャートである。先ず、ステ
ップS1で伸長度を測定し判定するチェーン20A〜2
0Cのチェーン通過検出器12A〜12Cを選択し、こ
こでは最初に切換部16によりチェーン通過検出器12
Aを選択する。ステップS2で選択したチェーンの1リ
ンク毎のパルスの検出を開始し、チェーンの1リンク毎
のパルス周期、つまり通過時間Tを測定する。次に、ス
テップS3である設定値を超えた特定の通過時間を検出
し、ステップS4でその記憶を行なう。つまり、図9に
示すように横軸にチェーン一周を1リンク毎に順番に配
置し、縦軸に通過時間を表すと、初期状態においては1
リンク毎のパルス周期にTmaxを超えたものは発生し
ない。このTmaxとは、これを超えた場合にそのリン
クが局所的な異常伸びを起こしていると判断する判定値
であり、これ以下では正常な状態を保っていると判断す
る。しかし、局所的な異常伸びを起こしていると、その
部分ではTmaxを超えて検出されるので、その判定を
図8のステップS3で行ない、Tmaxを超えて検出さ
れたリンクの順番と通過時間TsをステップS4で記憶
する。 【0019】その後、ステップS5で、測定した1リン
クのパルス周期が偶数番目かどうかを判定し、最初に検
出したパルスは一番目なので、伸び発生状態の診断であ
れば図6の通過時間F1´で示したパルス周期を奇数番
目の通過時間としてステップS6で記録する。次に、二
番目に検出したパルス周期は、伸び発生状態の診断であ
れば図6に示した通過時間G1´の偶数番目の通過時間
としてステップS7で記録する。 【0020】このように1リンク毎のパルス周期である
通過時間を1リンク毎に奇数番目と偶数番目に区別して
記録してゆき、ステップS8で測定中のチェーンの一周
のリンク数に達したかを判定し、チェーン一周の通過時
間の検出や測定の結果を記録を終えたなら、ステップS
9でTmaxを超えた通過時間Tsがあったかどうかを
判断する。該当するものがあった場合、ステップS10
で図9の通過時間Tsが発生したA点のリンクについて
通過時間を再度検出し測定する。ステップS11でその
測定結果をTmaxと比較し、図9のB点のように再度
Tmaxを超えていたら、ステップS12でそのリンク
部は局所的な異常伸びを発生していると判断する。ここ
で、図9のA点のリンク部で局所的な伸びが発生してい
るかどうかを確実に判定するために、A点の検出後に同
リンク部のパルス周期を複数回にわたって測定すること
もできる。 【0021】その後、ステップS13でチェーン一周分
の奇数番目のパルス周期の総和と、偶数番目のパルス周
期の総和を算出する。伸び発生状態であれば図6に従っ
て奇数番目のパルス周期の総和F´は数式(3)で表さ
れ、偶数番目のパルス周期の総和G´は数式(4)でそ
れぞれ表される。次にステップS14で、奇数番目のパ
ルス周期の総和F´と偶数番目のパルス周期の総和G´
とを比較する。その結果、奇数番目のパルス周期の総和
F´の方が大きい場合、ステップS16で奇数番目は外
リンク部のパルス周期であり、偶数番目は内リンク部の
パルス周期であると判定する。一方、ステップS14の
判定で偶数番目のパルス周期の総和G´が奇数番目のパ
ルス周期の総和F´を超えている場合、ステップS15
で偶数番目は外リンク部のパルス周期であり、奇数番目
は内リンク部のパルス周期であると判定する。 【0022】次にステップS17で、外リンク部と内リ
ンク部のパルス周期の総和の差からチェーン全体の伸び
率を計算する。上述したようにチェーンの伸びる過程の
特性により、チェーンは伸びるにつれて速度が速くなり
外リンク部分の距離間隔のみが広がるため、外リンク部
のパルス周期の総和は大きくなり、内リンク部のパルス
周期の総和は小さくなる。従って、外リンク部のパルス
周期の総和から内リンク部のパルス周期の総和を引いた
値は大きくなるので、ステップS17でチェーン全体の
伸び率を計算することができる。 【0023】またステップS18で、ステップS17で
算出したチェーン全体の伸び率が使用限度に達している
かどうかを予め定めた設定値と比較して判定する。この
ステップS18で使用限度に達していないと判定したな
ら、ステップS20でチェーンの異常状態時期や適正な
チェーン交換時期を予測部19で予測し、その後、ステ
ップS21で測定結果やチェーン伸長度の判定結果やチ
ェーン異常状態予測時期やチェーン交換適正予測時期や
診断実施時の日時等の情報を記憶部25に記憶する。こ
の記憶部25に記憶した情報は、定期的に通信部26か
ら監視センタ27に送信する。一方、ステップS18で
使用限度に達していると判定したなら、ステップS19
で図1に示した駆動制御部28に何等かの指令を与えて
駆動を停止させるなどして、チェーン交換指示などを通
信部26から監視センタ27に送信する。 【0024】このように本実施の形態によるチェーンの
伸長度診断装置によれば、チェーンの近傍にチェーン通
過検出器12A〜12Cを設けてローラ15の鉄鋼部分
を検出し、測定したチェーンのパルス周期から設定値を
超えたものを測定した場合、そのリンク部を記憶し、そ
の後、再度同リンク部のパルス周期を測定し、これら測
定結果からチェーンの異常伸長を診断するようにしたた
め、従来のようにチェーンの複数の標識を設けることな
く、正確な異常伸長を診断することができる。しかも、
保守員を介在することなくチェーンの始動時期から定期
的な計測を行なってチェーン伸びを予測して適切な時期
に点検や調整作業を行なうこともできる。またチェーン
伸びを予測することができるので、異常が生じるのを未
然に防ぐこともでき、搬送装置の信頼性を向上させるこ
とができる。さらに、エスカレータなどの乗客コンベア
では保守点検のための稼動停止時間を削減することがで
きるので、顧客の利用度を高めることができる。 【0025】尚、上述の実施の形態では、チェーン1周
分のパルス周期からチェーン伸長度を算出するようにし
たが、所定の区分毎にパルス周期からチェーン伸長度を
算出するようにしても良い。また搬送装置としてエスカ
レータを例示したが、動く歩道やオートラインその他の
搬送装置でもチェーンを用いた駆動機構を採用していれ
ば同様に適用することができる。 【0026】 【発明の効果】以上説明したように本発明のチェーンの
伸長度診断装置は、チェーンの近傍にチェーン通過検出
器を設けてチェーンのパルス周期を測定する測定部を設
け、この測定部で設定値を超えたパルス周期を測定した
場合、そのリンク部を記憶部に記憶し、その後、再度同
リンク部のパルス周期を測定部で測定し、これら測定結
果からチェーンの異常伸長を診断する判定部を設けたた
め、従来のようにチェーンに複数の標識を設けることな
く、正確な異常伸長を診断することができるようにな
る。
診断装置を示すブロック図である。 【図2】図1に示したチェーンの伸長度診断装置を適用
するチェーンの断面図である。 【図3】図2に示したチェーンのB−B線に沿った初期
状態の断面図である。 【図4】図2に示したチェーンのB−B線に沿った磨耗
伸びした状態の断面図である。 【図5】図1に示したチェーンの伸長度診断装置を初期
状態のチェーンに用いたときの出力信号の波形図であ
る。 【図6】図1に示したチェーンの伸長度診断装置を磨耗
伸びしたチェーンに用いたときの出力信号の波形図であ
る。 【図7】図1に示したチェーンの伸長度診断装置を取り
付けた状態のエスカレータの要部を示す側面図である。 【図8】図1に示したチェーンの伸長度診断装置による
診断手順を示すフローチャートである。 【図9】図1に示したチェーンの伸長度診断装置による
磨耗伸びしたチェーンのパルス周期の分布特性図であ
る。 【符号の説明】 12A,12B,12C チェーン通過検出器 17 測定部 18 判定部 19 予測部 20A,20B,20C チェーン 21A 外側リンクプレート 21B 内側リンクプレート 24 MPU 25 記憶部 26 通信部
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 交互に対向配置した内側リンクプレート
および外側リンクプレートと、両リンクプレートの連結
部に配置されてスプロケットに係合するローラと、この
ローラに挿入すると共に内側リンクプレートにはめ込ん
だブッシュと、このブッシュ内に挿入すると共に外側リ
ンクプレートにはめ込んだピンとで構成されたチェーン
の伸長度を診断するチェーンの伸長度診断装置におい
て、 上記内側リンクプレートにある隣り合うローラのローラ
外面からローラ外面までの寸法と、上記外側リンクプレ
ートにある隣り合うローラのローラ外面からローラ外面
までの寸法をパルス信号にて出力するチェーン通過検出
器と、このチェーン通過検出器のパルス信号からそれぞ
れのパルス周期を測定する測定部と、この測定部で測定
された上記内側リンクプレートにある隣り合うローラの
ローラ外面からローラ外面までのパルス周期の総和と、
上記外側リンクプレートにある隣り合うローラのローラ
外面からローラ外面までのパルス周期の総和とをそれぞ
れ求めるとともに、これらパルス周期の総和の差を求
め、この値と設定値を比較して上記チェーンの異常伸長
度を診断する判定部とを設けたことを特徴とするチェー
ンの伸長度診断装置。
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JP20337998A JP3400946B2 (ja) | 1998-07-17 | 1998-07-17 | チェーンの伸長度診断装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1998
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