JP3399656B2 - 舗装路面巡視装置 - Google Patents

舗装路面巡視装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、舗装路面巡視装置、特
に高速道路などの路上巡回点検を、カメラや加速度計、
レーザ光等を用いて路面性状の把握を自動機械化、シス
テム化し、点検員の作業環境の改善、安全性の確保、判
定基準の統一および点検業務の効率化を図る舗装路面巡
視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、路上点検は、点検員が目視による
巡視を行なうため、巡視作業は、その作業内容を熟知し
た点検員が行ない、そのような点検員が少ない場合で
も、点検員の交代を効率良く行なうことによって点検作
業の遂行を行なっていた。また、熟練点検員においても
路面の損傷具合の判定基準を統一することは難しいた
め、点検員は経験を積み重ね、できる限り統一的な判定
基準に沿うように努力している。また、実際の路上点検
作業は車両からの巡視(目視)によって行ない、このた
め高速道路においても走行する車両から目視ができるよ
う、車両を低速で走行させて行なっている。また、従来
の自動検測車ではフィルム式のカメラを用いているため
に現像作業が必要となり、わだち掘れ計測においては光
源に白色光を用いていているために昼間の検測が不可能
であるから、夜間の作業として行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の舗装路面巡視作業にあっては、点検員が路
面巡視を行なう場合、目視による点検を行なうことによ
る判定基準のばらつきがあり、精度に信頼性が欠けると
いう不具合がある。また高速道路における低速走行によ
る危険性がある。また路面巡視を行なった後カメラから
フィルムを取り出して現像しなければならないという作
業上の繁雑さがある。さらに光源として白色光を用いて
いるために昼間には点検、計測ができないという問題が
あった。
【0004】本発明はこのような従来の問題を解決する
ものであり、その目的は、巡視作業が安全且つ簡単であ
り、しかも昼間、夜間の別なく巡視作業を行なうことの
できる舗装路面巡視装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、路面を撮像する撮像部と、路面のわだ
ち掘れを計測するため、このわだち掘れにレーザ光を照
射するレーザ発光部と、反射レーザ光によりわだち掘れ
を撮像するレーザ撮像部と、高速シャッター機能を有す
る撮像部およびレーザ撮像部からの画像信号をA/D変
換した後、正規化、平滑化などの処理をし、路面のポッ
トホール、ひび割れ等の抽出を行ない、またレーザの線
条光の歪計算処理を行なう画像処理部と、路面のジョイ
ント等における段差を車軸加速度により把握する加速度
センサー部と、路面のジョイント等における段差を衝撃
音またはロードノイズにより把握する音響センサー部
と、これら加速度センサー部および音響センサー部から
の信号をA/D変換した後、波形処理する波形解析部
と、路面損傷異常と判定したときの現在位置を把握する
ためのGPS部と、前記画像処理部、波形処理部および
GPS部からのデータを収集、記録するデータ収集部
、前記2値化して得られた白画像の集まりを抽出して
元の撮像画像に重ね合わせ、舗装路面のポットホール、
ひび割れ等の程度およびその位置を表示する表示手段と
を備え、前記画像処理部は、前記抽出されたひび割れ
幅、ポットホール径の大きさを計測し、これらの値が補
修レベル以上である場合、そのときの舗装路面画像を前
記データ収集部に転送することを特徴とする、車両に搭
載されて舗装路面を巡視する舗装路面巡視装置を要旨と
する。
【0006】
【作用】本発明は、上記構成により、路面を巡視するた
めに車両を運転しながら目視による確認と、ときには車
両を停止させ降車して実際に確認していたことが画像処
理と各種センサーからの信号の波形処理を用いて自動認
識することによりその位置情報とともにデータ収集装置
に記録される。したがって、点検員は、車両を制限速度
で運転するだけで自動的に損傷箇所を抽出することがで
きるため、安全な巡視作業が行なえさらに巡視作業の負
荷を低減することができる。
【0007】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の実施例について説明する。
図1は本発明による舗装路面巡視装置の実施例の構成を
示す概略ブロック図である。図1において、1は路面の
状況を撮像する撮像部、2は路面のわだち掘れを計測す
るためのレーザ発光部、3は路面に投影したレーザ光を
撮像するレーザ撮像部。4は路面の段差を衝撃音によっ
て把握するための音響センサー部、5は路面の段差を車
両の車軸加速度により把握する加速度センサー部、6は
現在の位置をリアルタイムで把握するためのGPS部、
7は撮像部1とレーザ撮像部3からの映像信号(アナロ
グ画像)をデジタル画像に変換してひび割れ、ポットホ
ール、わだち掘れの検出および計測を行なう画像処理
部、8は音響センサー部4および速度センサー部5から
の波形の処理を行なう波形解析部、9は画像処理部7、
波形解析部8およびGPS部6からのデータの収集、記
録を行なうデータ収集部である。これらすべての装置は
路面巡視用の車両に搭載される。撮像部1は高速シャッ
ター機能を有している。加速度センサー5は車両の車軸
付近に設置され、また音響センサー4は車内に設置され
ている。
【0008】かかる構成を有する舗装路面巡視装置の動
作について以下説明する。画像処理による路面解析の動
作が図2にフロー図として説明してある。この処理動作
においては、処理ステップ(以下単にステップという)
21において、撮像部1から路面の映像信号(アナログ
画像)を入力し、このアナログ画像信号を画像処理部7
においてA/D変換を行ない、デジタル画像とする。次
に画像処理部7では、ステップ22において路面のデジ
タル画像に対して正規化処理を行なうとともに、ステッ
プ23において平滑化処理を施し、さらにステップ24
において微分処理を施してポットホール、ひび割れ等を
抽出する。上記正規化処理(ステップ22)は、屋外に
おける路面撮像においてサンプリングしたすべての画像
に対して暗すぎたり明るすぎたりしないように安定した
画像を得るために行なう。上記平滑化処理(ステップ2
3)は微分処理を施す前処理としてノイズ除去を目的と
して行なう。また、上記微分処理(ステップ24)では
路面上にひび割れ、ポットホールが存在する場合、正常
路面との明暗の差から、その境界部分で微分値が大きく
なる。
【0009】このため、上記微分処理を施した画像に対
しては、ステップ25において2値化処理を行なうこと
により抽出が可能となる。図3に撮像部1で撮像した画
像から2値化処理によってひび割れの画像を抽出する例
を示す。図3(a)は路面巡視車両に搭載された撮像部
1によって撮影された舗装路面の一例を表す。この図に
おいて符号30は舗装路面、31はセンターライン、3
2は左側ラインである。また33は舗装路面30を横断
して亀裂状にできたひび割れ部である。このような撮影
画像に上記のように平滑化処理(ステップ23)および
微分処理(ステップ24)を施した後2値化処理を行な
う(ステップ25)と、図3(b)のような2値化画像
(白黒画像)が得られる。この図において、31aはセ
ンターラインの2値化画像で白画像として表れる。32
aは左側ラインの2値化画像で、これも白画像として表
れる。また、33aはひび割れ部の2値化画像で、これ
もまた白画像として表れる。しかし、舗装路面30の正
常路面は明暗の差が生じないから2値化処理において黒
画像として表れる(図3(b)中斜線で示された範
囲)。そして、上記のようにして得られた2値化画像に
おいて、舗装路面30のセンター寄りの範囲30b(図
3(b)中、2点鎖線で囲まれた範囲)について、白画
像の分布を画面の横軸(X軸)および縦軸(Y軸)につ
いて検索する。すると、横軸については舗装路面30の
センター寄りの範囲30bに、この舗装路面30を横断
して白画像の集まり34が認められ、縦軸については舗
装路面30の撮像画面(図3(a))ひび割れ33に相
当する範囲に、補修レベルMを超えて鋭角的なピークを
描く白画像の集まり35(白画像が集中している)が認
められる。したがって、この2値化して得られた白画像
の集まりを抽出して元の撮像画像に重ね合わせ、図3
(c)のように舗装路面30のひび割れの程度およびそ
の位置を表示する。
【0010】この処理によって抽出した結果を基に、ス
テップ26においてひび割れ幅、ポットホール径の大き
さが計測され、これらの値が補修レベル以上である場
合、そのときの舗装路面画像を画像処理部7において圧
縮処理してからデータ収集部9に転送する。データ収集
部9では、転送されてきた舗装路面の画像データにGP
S部6から転送されてきた位置データを付加して記録処
理を行ない、一連の路面解析の処理動作を終了する(ス
テップ27)。
【0011】(実施例2)次に本発明の第2の実施例と
してわだち掘れ計測について説明する。図4および図5
はわだち掘れ計測の原理について説明する図である。図
4において、2は舗装路面に対して撮影用のレーザ光線
を照射するレーザ発光部、3は舗装路面から反射したレ
ーザ光を撮像するレーザ撮像部、Sは舗装路面の路面表
面をそれぞれ示す。この実施例においては、路面表面S
にレーザ発光部2から発射されたレーザの線条光を投射
する。これに用いるレーザ光は赤外発光レーザを用い、
太陽光の影響を受けないようにする。したがって、レー
ザ撮像部3には、レーザの発光波長に合わせた干渉フィ
ルタを装着する。投射された路面表面Sでは、わだち掘
れ量に応じてレーザの線条光が歪む。この線条光の歪を
レーザ撮像部3で撮像する。レーザ撮像部3からの画像
は画像処理部7にてA/D変換され、レーザ光部分を2
値化処理により抽出し歪み量が計算される。図6に画像
処理による歪み量計算方法を示す。図6に示すように、
わだち掘れ量(dとする)は歪み量(Lとする)から、
次式によって求めることができる。 d=L・tanθ ……………(1)
【0012】この歪み量Lが補修レベル以上であった場
合、計測したわだち掘れ量と撮像部1から得られる同じ
場所の路面画像を画像圧縮してからデータ収集部9に転
送する。転送された画像データには、GPS部6からの
位置データを付加して記録される。
【0013】(実施例3)図7は加速度センサー部5を
用いた路面性状の解析についての処理手順を示したフロ
ー図である。この処理動作において、車両の車軸付近に
設置された加速度センサー部5は、ステップ61におい
て車両が道路の段差を横断することによる衝撃の波形を
加速度として計測する。この加速度センサー部5から出
力された信号は、ステップ62において波形解析部8に
入力されてここでA/D変換され、且つ波形解析処理さ
れる。図9(a)は波形解析による異常判定方法につい
て示す。波形解析の結果、正常時の加速度とはまったく
違った値を示した場合は段差量の増加、路面表面Sの劣
化によるものと考えられるため、異常として判定を行な
う。加速度データについては、ジョイント部横断時の加
速度値が最大となるから、ステップ63においてこのと
きの加速度を抽出して加速度最大値を検出し、図9
(a)に示す加速度判定グラフにおいて出力頻度から異
常範囲の値となった場合、ステップ64において異常判
定を行ない、その後一連の加速度センサー部5を用いた
路面性状の解析動作を終了する(ステップ65)。
【0014】波形解析部8において異常と判定した場
合、データ収集部9に加速度センサー部5からのデータ
を転送して、上述の他の処理の場合と同じようにGPS
部6からの位置データを付加して記録する。
【0015】図8は音響センサー部4を用いた路面性状
の解析についての処理手順を示したフロー図である。音
響センサー部4は、ステップ66において車内に設置し
て舗装路面のジョイント部やひび割れ部を横断するとき
の衝撃音、ロードノイズ等を集音し波形入力を行なう。
この音響センサー部4から出力された信号は、ステップ
67において波形解析部8に入力されてここでA/D変
換され、且つ波形解析処理される。音響データについて
は、ステップ68において入力波形に対して周波数変換
を行ない周波数解析する。そして、ステップ69におい
て図9(b)に示すような周波数分布の違いから異常判
定を行なう。図9(b)は波形解析による異常判定方法
について示す。波形解析の結果、正常時の音とはまった
く違った値を示した場合は段差量の増加、路面表面Sの
劣化によるものと考えられるため、異常として判定を行
なう。音響による場合の解析では、図9(b)に示すよ
うな周波数分布の違いから異常判定を行ない、その後一
連の音響センサー部5を用いた路面性状の解析動作を終
了する(ステップ70)。
【0016】波形解析部8において異常と判定した場
合、データ収集部9に音響センサー部4からのデータを
転送して、上述の他の処理の場合と同じようにGPS部
6からの位置データを付加して記録する。
【0017】
【発明の効果】本発明は、上記実施例から明らかなよう
に、路面を画像処理、加速度センサー部、音響センサー
部、レーザ光を用いそれぞれの解析結果から路面性状を
把握し、画像処理部で2値化して得られた白画像の集ま
りを抽出して元の撮像画像に重ね合わせ、舗装路面のポ
ットホール、ひび割れ等の程度およびその位置を表示す
るとともに、抽出されたひび割れ幅、ポットホール径の
大きさを計測し、これらの値が補修レベル以上である場
合、そのときの舗装路面画像をデータ収集部に転送し、
またGPSを用いることによって損傷箇所の位置情報を
得るから、安全な巡視作業が行なえさらに巡視作業の
負荷を低減することができる。また、路面の正常、或い
は異常を画像処理や波形処理により判定するから判定基
準の統一化が図れ、また点検業務の効率化を図るという
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による舗装路面巡視装置の構成
を示す概略ブロック図
【図2】前記実施例における路面解析の処理動作を説明
するためのフロー図
【図3】(a)路面巡視車両に搭載された撮像部によっ
て撮影された舗装路面を表示する撮像画像の一例を示す
図 (b)図2に示した路面解析の処理動作中において図3
(a)の撮像画像を2値化処理して得られた画像を表す
図 (c)上記2値化処理によってひび割れの画像を抽出し
元の撮像画像に重ね合わせた画像を示す図
【図4】本発明の第2の実施例におけるわだち掘れ量の
検出方法を説明するための原理図
【図5】前記第2の実施例におけるわだち掘れ量の検出
方法を説明するための原理斜視図
【図6】前記第2の実施例におけるわだち掘れ量の検出
に際して画像処理による歪み量計算方法を説明する図
【図7】本発明における加速度センサーを使った路面性
状解析についてのフロー図
【図8】本発明における音響センサーを使った路面性状
解析についてのフロー図
【図9】(a)本発明で加速度センサーを使った路面性
状解析における異常判定グラフ図 (b)本発明で音響センサーを使った路面性状解析にお
ける異常判定グラフ図
【符号の説明】
1 撮像部 2 レーザ発光部 3 レーザ撮像部 4 音響センサー部 5 加速度センサー部 6 GPS部 7 画像処理部 8 波形解析部 9 データ収集部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉 江 功 大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目1番 3号 阪神高速道路公団内 (72)発明者 桃 澤 宗 夫 大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目1番 3号 阪神高速道路公団内 (56)参考文献 特開 平3−160349(JP,A) 特開 平5−66130(JP,A) 特開 平4−32705(JP,A) 特開 平3−273967(JP,A) 特開 平3−189259(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 7/04 G01B 11/30 G01N 21/88 G01B 21/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 路面を撮像する撮像部と、前記撮像部か
    らの画像信号をA/D変換した後、正規化、平滑化、2
    値化の処理を行ない路面のポットホール、ひび割れを
    出する画像処理部と、現在位置を把握するためのGPS
    部と、前記画像処理部および前記GPS部からのデータ
    を収集、記録するデータ収集部と、前記2値化して得ら
    れた白画像の集まりを抽出して元の撮像画像に重ね合わ
    せ、舗装路面のポットホール、ひび割れおよびその位置
    を表示する表示手段とを備え、前記画像処理部は、前記
    抽出されたひび割れ幅、ポットホール径の大きさを計測
    し、これらの値が予め設定した補修レベル以上である場
    合、そのときの舗装路面画像を前記データ収集部に転送
    することを特徴とする、車両に搭載されて舗装路面を巡
    視する舗装路面巡視装置。
  2. 【請求項2】 わだち掘れにレーザ光を照射するレーザ
    発光部と、反射レーザ光によりわだち掘れを撮像するレ
    ーザ撮像部とを備え、前記画像処理部は、前記レーザ撮
    像部からの画像信号をA/D変換し、2値化処理し
    後、レーザの線条光の歪み量を計算し、前記歪み量が予
    め設定した補修レベル以上であった場合、計測したわだ
    ち掘れ量と前記撮像部から得られる同じ場所の路面画像
    を前記データ収集部に転送することを特徴とする請求項
    1記載の舗装路面巡視装置。
  3. 【請求項3】 路面の段差を車軸加速度により把握する
    加速度センサー部と、路面の段差を衝撃音またはロード
    ノイズにより把握する音響センサー部と、これら加速度
    センサー部および音響センサー部からの信号をA/D変
    換した後、波形処理して異常を判定する波形解析部と
    備え、前記波形解析部において異常と判定した場合、前
    記加速度センサーおよび音響センサー部からのデータを
    前記データ収集部に転送することを特徴とする請求項1
    または2記載の舗装路面巡視装置。
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