JP3397831B2 - 摺動材およびその製造方法並びに加熱定着装置 - Google Patents
摺動材およびその製造方法並びに加熱定着装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、摺動材およびその製
造方法並びに複写機等の電子式写真装置に用いられる加
熱定着装置に関する。
造方法並びに複写機等の電子式写真装置に用いられる加
熱定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、滑り軸受、および滑り軸受に支
持される回転軸などの摺動材には、使用条件に応じて摺
動性と耐久性があること、すなわち低摩擦係数で耐摩耗
性のある特性が要求される。
持される回転軸などの摺動材には、使用条件に応じて摺
動性と耐久性があること、すなわち低摩擦係数で耐摩耗
性のある特性が要求される。
【0003】たとえば、図1に示されるような複写機用
の加熱定着装置は、内蔵するヒータ1によって加熱され
た状態で溶融トナー像を表面に保持するヒートローラ2
を備え、さらに前記トナー像を図外の複写紙に圧着する
加圧ローラ3を対接状態に配置したものである。したが
って、これらヒートローラ2、加圧ローラ3およびこれ
らの軸2a,3aと軸受4,5は、ヒータ1によって直
接または間接に150〜200℃前後にまで加熱される
こととなる。
の加熱定着装置は、内蔵するヒータ1によって加熱され
た状態で溶融トナー像を表面に保持するヒートローラ2
を備え、さらに前記トナー像を図外の複写紙に圧着する
加圧ローラ3を対接状態に配置したものである。したが
って、これらヒートローラ2、加圧ローラ3およびこれ
らの軸2a,3aと軸受4,5は、ヒータ1によって直
接または間接に150〜200℃前後にまで加熱される
こととなる。
【0004】そして、このような加熱定着装置の軸2
a,3aは、前述のような耐熱性と共に、低摩擦特性お
よび耐摩耗性を要求されるので、フッ素樹脂を配合した
耐熱樹脂または、ファインパウダーをペースト押し出し
により焼結したものを摺動面に複合して形成されてい
た。
a,3aは、前述のような耐熱性と共に、低摩擦特性お
よび耐摩耗性を要求されるので、フッ素樹脂を配合した
耐熱樹脂または、ファインパウダーをペースト押し出し
により焼結したものを摺動面に複合して形成されてい
た。
【0005】このような樹脂製摺動材は、マトリックス
内のフッ素樹脂が摺接(エージング)する相手材の表面
に転移することにより、フッ素樹脂被膜を形成し、この
被膜を介して軸受と回転軸が摺接する場合に、安定した
摺動特性を発揮するものである。
内のフッ素樹脂が摺接(エージング)する相手材の表面
に転移することにより、フッ素樹脂被膜を形成し、この
被膜を介して軸受と回転軸が摺接する場合に、安定した
摺動特性を発揮するものである。
【0006】一方、軸受の表面に摺動性のコーティング
を施したプラスチックコーティング軸受も知られてお
り、このものは、耐熱性の良いパーフルオロ化ポリオキ
シアルキル基を骨格とし、有機塗膜に使用する有機バイ
ンダーを末端に有する化合物を被覆したものである(特
開平1−40717号)。
を施したプラスチックコーティング軸受も知られてお
り、このものは、耐熱性の良いパーフルオロ化ポリオキ
シアルキル基を骨格とし、有機塗膜に使用する有機バイ
ンダーを末端に有する化合物を被覆したものである(特
開平1−40717号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記フッ素樹
脂製の摺動材では、摺動開始後の暫くの間、充分な転移
膜が供給されないので、その間の摺動状態(摩擦係数)
が安定しないという欠点がある。
脂製の摺動材では、摺動開始後の暫くの間、充分な転移
膜が供給されないので、その間の摺動状態(摩擦係数)
が安定しないという欠点がある。
【0008】このような欠点を改善するには、摺動材の
フッ素樹脂含有率を可及的に高める手法も考えられる
が、これでは摺動材の耐摩耗性が低下する。さらに、こ
のような摺動材に繊維やウイスカなどの充填材を添加す
れば、耐摩耗性は改善されるが、摺接する相手材が損傷
するといった新たな不具合が生ずる。
フッ素樹脂含有率を可及的に高める手法も考えられる
が、これでは摺動材の耐摩耗性が低下する。さらに、こ
のような摺動材に繊維やウイスカなどの充填材を添加す
れば、耐摩耗性は改善されるが、摺接する相手材が損傷
するといった新たな不具合が生ずる。
【0009】また、パーフルオロ化ポリオキシアルキル
基を骨格とする軸受被膜のコーティング方法では、被膜
の耐摩耗性が充分なものではなかった。
基を骨格とする軸受被膜のコーティング方法では、被膜
の耐摩耗性が充分なものではなかった。
【0010】そこでこの発明は、上記した問題点を解決
し、摺動材を、摺動の初期から安定した摩擦特性を発揮
することができ、また摺動相手材を損傷することなく、
しかも耐摩耗性に優れたものとし、さらには加熱定着装
置における摺動材の上記問題点を解消することを課題と
している。
し、摺動材を、摺動の初期から安定した摩擦特性を発揮
することができ、また摺動相手材を損傷することなく、
しかも耐摩耗性に優れたものとし、さらには加熱定着装
置における摺動材の上記問題点を解消することを課題と
している。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、合成樹脂製の摺動基材の表面
に重量平均分子量10万〜100万のフッ素樹脂粉末の
みからなる焼成被膜を形成した摺動材としたのである。
め、この発明においては、合成樹脂製の摺動基材の表面
に重量平均分子量10万〜100万のフッ素樹脂粉末の
みからなる焼成被膜を形成した摺動材としたのである。
【0012】また、このような摺動材は、重量平均分子
量(以下、単に平均分子量と略記する)10万〜100
万のフッ素樹脂粉末のみを水または有機溶媒に分散した
分散液を調製し、この分散液を摺動用基材に被覆し焼成
することによって製造する。
量(以下、単に平均分子量と略記する)10万〜100
万のフッ素樹脂粉末のみを水または有機溶媒に分散した
分散液を調製し、この分散液を摺動用基材に被覆し焼成
することによって製造する。
【0013】または、溶融トナー像を表面に保持するヒ
ートローラと、このトナー像を複写紙に圧着する加圧ロ
ーラとを対接状態に配置した複写機用の加熱定着装置に
おいて、前記ヒートローラの回転軸もしくは加圧ローラ
の回転軸またはこれらの回転軸を支持する滑り軸受のう
ち1以上の部材を、基材の表面に重量平均分子量10万
〜100万のフッ素樹脂粉末のみからなる焼成被膜を形
成した摺動材で形成することもできる。以下、その詳細
を述べる。
ートローラと、このトナー像を複写紙に圧着する加圧ロ
ーラとを対接状態に配置した複写機用の加熱定着装置に
おいて、前記ヒートローラの回転軸もしくは加圧ローラ
の回転軸またはこれらの回転軸を支持する滑り軸受のう
ち1以上の部材を、基材の表面に重量平均分子量10万
〜100万のフッ素樹脂粉末のみからなる焼成被膜を形
成した摺動材で形成することもできる。以下、その詳細
を述べる。
【0014】この発明に用いる摺動基材の樹脂材料は、
摺動材の使用環境に応じて選択使用すればよいため、特
に限定されるものではないが、加熱定着装置用として
は、耐熱温度が200℃以上であることが好ましく、製
造効率的には射出成形が可能な樹脂が好ましい。また、
フッ素樹脂を配合したものは、低摩擦係数であり耐摩耗
性の点でも好ましく、目的に応じて周知の充填剤を添加
したものであってもよいのは勿論である。具体的に好ま
しい摺動基材をその略号と共に例示すると、ポリフェニ
レンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテ
ルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド樹脂(PA
I)、46ポリアミド樹脂(46PA)、ポリエーテル
ニトリル樹脂(PEN)、ポリエーテルケトン樹脂(P
EK)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルサルフ
ォン樹脂(PES)、フェノール樹脂(PH)などがあ
る。このうち、PPSは、耐熱性と共に射出成形性があ
るので好ましい材料であるといえる。
摺動材の使用環境に応じて選択使用すればよいため、特
に限定されるものではないが、加熱定着装置用として
は、耐熱温度が200℃以上であることが好ましく、製
造効率的には射出成形が可能な樹脂が好ましい。また、
フッ素樹脂を配合したものは、低摩擦係数であり耐摩耗
性の点でも好ましく、目的に応じて周知の充填剤を添加
したものであってもよいのは勿論である。具体的に好ま
しい摺動基材をその略号と共に例示すると、ポリフェニ
レンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテ
ルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド樹脂(PA
I)、46ポリアミド樹脂(46PA)、ポリエーテル
ニトリル樹脂(PEN)、ポリエーテルケトン樹脂(P
EK)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルサルフ
ォン樹脂(PES)、フェノール樹脂(PH)などがあ
る。このうち、PPSは、耐熱性と共に射出成形性があ
るので好ましい材料であるといえる。
【0015】この発明に用いるフッ素樹脂粉末は、重量
平均分子量が10万〜100万の範囲のものならば特に
限定するものではなく、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)を代表例として、その他、パーフルオロア
ルコキシ樹脂(PFA)、フルオロエチレンプロピレン
樹脂(FEP)などを用いることができる。
平均分子量が10万〜100万の範囲のものならば特に
限定するものではなく、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)を代表例として、その他、パーフルオロア
ルコキシ樹脂(PFA)、フルオロエチレンプロピレン
樹脂(FEP)などを用いることができる。
【0016】これらのなかで、潤滑性の点からPTFE
が好ましく、さらにPTFEのファインパウダーが特に
好ましい。PTFEのファインパウダーは、テトラフル
オロエチレン・モノマーを乳化重合し、得られた重合物
を凝析し、洗浄した粉末である。但し、乳化重合上がり
の同パウダーの分子量は、約500万〜900万である
ため、このパウダーにγ線照射して分子を切断し、平均
分子量約10万〜100万となるよう低分子量化する。
が好ましく、さらにPTFEのファインパウダーが特に
好ましい。PTFEのファインパウダーは、テトラフル
オロエチレン・モノマーを乳化重合し、得られた重合物
を凝析し、洗浄した粉末である。但し、乳化重合上がり
の同パウダーの分子量は、約500万〜900万である
ため、このパウダーにγ線照射して分子を切断し、平均
分子量約10万〜100万となるよう低分子量化する。
【0017】なぜなら、フッ素樹脂粉末の平均分子量が
10万を下回るものでは、フッ素樹脂の分子鎖が短いた
めに、基材と充分に密着せず耐久性に劣る被膜となる。
また、平均分子量が100万を越えるものでは、フッ素
樹脂粉末同士が固まり易くなって、いわゆる”塗ブツ”
が発生したり、必要以上に厚膜化して安定した被膜が得
られないからである。
10万を下回るものでは、フッ素樹脂の分子鎖が短いた
めに、基材と充分に密着せず耐久性に劣る被膜となる。
また、平均分子量が100万を越えるものでは、フッ素
樹脂粉末同士が固まり易くなって、いわゆる”塗ブツ”
が発生したり、必要以上に厚膜化して安定した被膜が得
られないからである。
【0018】このようなフッ素樹脂粉末を摺動基材に被
覆するには、これを水または有機溶剤に界面活性剤を添
加しながら分散してディスパージョンとし、これに摺動
基材を浸漬するなどして被覆し、さらに焼成する方法で
あれば、均等な膜厚および膜質の被膜が得られる点で好
ましい。また、摺動基材にフッ素樹脂粉末を直接塗る方
法を採用することも可能である。焼成条件は、フッ素樹
脂の融点に応じて設定すればよいが、PTFEでは、2
00〜240℃で約8時間の焼成で所期の性質を有する
被膜を形成することができる。
覆するには、これを水または有機溶剤に界面活性剤を添
加しながら分散してディスパージョンとし、これに摺動
基材を浸漬するなどして被覆し、さらに焼成する方法で
あれば、均等な膜厚および膜質の被膜が得られる点で好
ましい。また、摺動基材にフッ素樹脂粉末を直接塗る方
法を採用することも可能である。焼成条件は、フッ素樹
脂の融点に応じて設定すればよいが、PTFEでは、2
00〜240℃で約8時間の焼成で所期の性質を有する
被膜を形成することができる。
【0019】
【作用】この発明の摺動材は、その表面に被膜化された
所定の分子量のフッ素樹脂粉末を形成したものであるか
ら、フッ素樹脂が摺動相手材に極めて転移し易く、摺動
の初期から安定した低摩擦係数の摺動状態が得られる。
また、摺動基材に多量のフッ素樹脂を配合する必要が無
くなるので、摺動相手材を損傷するような充填材を含有
するものでなく、しかも前記所定のフッ素樹脂は、摺動
基材上によく密着して耐摩耗性に優れる。
所定の分子量のフッ素樹脂粉末を形成したものであるか
ら、フッ素樹脂が摺動相手材に極めて転移し易く、摺動
の初期から安定した低摩擦係数の摺動状態が得られる。
また、摺動基材に多量のフッ素樹脂を配合する必要が無
くなるので、摺動相手材を損傷するような充填材を含有
するものでなく、しかも前記所定のフッ素樹脂は、摺動
基材上によく密着して耐摩耗性に優れる。
【0020】したがって、このような摺動材をヒートロ
ーラおよび加圧ローラの軸受または回転軸として装着し
た加熱定着装置においても、それらの初期トルクを低減
することが可能となる。
ーラおよび加圧ローラの軸受または回転軸として装着し
た加熱定着装置においても、それらの初期トルクを低減
することが可能となる。
【0021】また、前記摺動材の製造は、フッ素樹脂粉
末分散液を被覆し焼成するという比較的簡単な方法によ
るため、製造コストの低減も可能となる。
末分散液を被覆し焼成するという比較的簡単な方法によ
るため、製造コストの低減も可能となる。
【0022】
〔実施例1〕加熱定着装置のヒートローラ用軸受を形成
する摺動材の摺動基材として、PPS(東ソーサスティ
ール社製:#160)70重量%、PTFE(三井フロ
ロケミカル社製:テフロン7J)20重量%、芳香族ポ
リエステル樹脂(住友化学社製:エコノールE101S
2)10重量%からなる樹脂組成物を用いた。すなわ
ち、上記樹脂組成物を射出成形機にてシリンダー温度3
10℃、射出圧力800kgf/cm2 、金型温度140℃
の条件で成形し、ヒートローラ軸受用の滑り軸受基材と
した。
する摺動材の摺動基材として、PPS(東ソーサスティ
ール社製:#160)70重量%、PTFE(三井フロ
ロケミカル社製:テフロン7J)20重量%、芳香族ポ
リエステル樹脂(住友化学社製:エコノールE101S
2)10重量%からなる樹脂組成物を用いた。すなわ
ち、上記樹脂組成物を射出成形機にてシリンダー温度3
10℃、射出圧力800kgf/cm2 、金型温度140℃
の条件で成形し、ヒートローラ軸受用の滑り軸受基材と
した。
【0023】この基材を、平均分子量10万〜100万
のPTFE10重量%を脱イオン水中に分散した分散液
(喜多村社製:KD−100AS)に浸漬し、次いで8
0mm/ 分の速度で引き上げた。
のPTFE10重量%を脱イオン水中に分散した分散液
(喜多村社製:KD−100AS)に浸漬し、次いで8
0mm/ 分の速度で引き上げた。
【0024】このようにしてPTFE分散液を被覆した
基材を、次に230℃で8時間焼成して、滑り軸受基材
の表面にフッ素樹脂ファインパウダーの薄膜が形成され
た摺動材を得た。
基材を、次に230℃で8時間焼成して、滑り軸受基材
の表面にフッ素樹脂ファインパウダーの薄膜が形成され
た摺動材を得た。
【0025】得られた摺動材を試験片として用い、下記
に示すような(a) 高温ラジアル試験によって摩擦係数を
測定し、また(b) 耐摩耗性および(c)相手材の損傷(摩
耗)性を調べて結果を表1にまとめて示した。
に示すような(a) 高温ラジアル試験によって摩擦係数を
測定し、また(b) 耐摩耗性および(c)相手材の損傷(摩
耗)性を調べて結果を表1にまとめて示した。
【0026】(a) 高温ラジアル試験:図2に示すような
高温ラジアル試験機(NTN精密樹脂社製)で、動摩擦
係数および静摩擦係数を測定した。すなわち、円筒状の
摺動材(滑り軸受)Aをアルミニウム(A5056)製
ローラ6の外周に嵌め、さらに荷重負荷用のリング7を
嵌め、ローラ6の両端をテーパ付き軸8で挟持してこの
軸をモータ10で回転させた。また、一方のテーパ付き
軸8は中空として、内部に棒状のカートリッジヒータ9
を挿入してローラ6の内部を加熱した。
高温ラジアル試験機(NTN精密樹脂社製)で、動摩擦
係数および静摩擦係数を測定した。すなわち、円筒状の
摺動材(滑り軸受)Aをアルミニウム(A5056)製
ローラ6の外周に嵌め、さらに荷重負荷用のリング7を
嵌め、ローラ6の両端をテーパ付き軸8で挟持してこの
軸をモータ10で回転させた。また、一方のテーパ付き
軸8は中空として、内部に棒状のカートリッジヒータ9
を挿入してローラ6の内部を加熱した。
【0027】測定時の条件は、荷重9kgf/2Brg 、回
転数45rpm 、軸温度220℃とし、20秒運転後、1
秒停止の間欠回転を100時間行なった。そして、運転
開始時および20時間毎の動摩擦係数、運転開始直後お
よび運転終了後の静摩擦係数を求めた。
転数45rpm 、軸温度220℃とし、20秒運転後、1
秒停止の間欠回転を100時間行なった。そして、運転
開始時および20時間毎の動摩擦係数、運転開始直後お
よび運転終了後の静摩擦係数を求めた。
【0028】(b) 耐摩耗性:上記した(a) の試験に用い
た高温ラジアル試験機を用い、(a) の試験条件と全く同
様にして試験機を100時間運転し、試験前後の軸受の
摩耗量(重量変化量)を調べた。そして、摩耗量が0.
30mg以下のものを☆印、0.31〜0.80mgの
ものを○印、0.81mg以上のものを×印として3段
階に評価した。
た高温ラジアル試験機を用い、(a) の試験条件と全く同
様にして試験機を100時間運転し、試験前後の軸受の
摩耗量(重量変化量)を調べた。そして、摩耗量が0.
30mg以下のものを☆印、0.31〜0.80mgの
ものを○印、0.81mg以上のものを×印として3段
階に評価した。
【0029】(c)相手材の摩耗:上記した(a) の試験に
用いた高温ラジアル試験機を用い、(a) の試験条件と全
く同様にして試験機を100時間運転し、試験前後の摺
動相手材であるローラ6の摩耗量(重量変化量)を調べ
た。そして、摩耗量が0.05mg以下のものを☆印、
0.06〜0.09mgのものを○印、0.10mg以
上のものを×印として3段階に評価した。
用いた高温ラジアル試験機を用い、(a) の試験条件と全
く同様にして試験機を100時間運転し、試験前後の摺
動相手材であるローラ6の摩耗量(重量変化量)を調べ
た。そして、摩耗量が0.05mg以下のものを☆印、
0.06〜0.09mgのものを○印、0.10mg以
上のものを×印として3段階に評価した。
【0030】
【表1】
【0031】〔比較例1〕フッ素樹脂粉末の被膜を形成
しないこと以外は、実施例1と全く同様にしてヒートロ
ーラ軸受用の滑り軸受基材を形成し、これを前記(a) 、
(b) 、(c)の各試験にて評価し、結果を表1中に併記し
た。
しないこと以外は、実施例1と全く同様にしてヒートロ
ーラ軸受用の滑り軸受基材を形成し、これを前記(a) 、
(b) 、(c)の各試験にて評価し、結果を表1中に併記し
た。
【0032】〔比較例2〕実施例1と全く同様にしてヒ
ートローラ軸受用の滑り軸受基材を形成し、これを、フ
ッ素短鎖重合体(デュポン社製:バイダックスAR、平
均分子量約3000〜10000)10重量%を有機溶
剤に分散した分散液に浸漬し、80mm/ 分の速度で引き
上げた。
ートローラ軸受用の滑り軸受基材を形成し、これを、フ
ッ素短鎖重合体(デュポン社製:バイダックスAR、平
均分子量約3000〜10000)10重量%を有機溶
剤に分散した分散液に浸漬し、80mm/ 分の速度で引き
上げた。
【0033】次に、これを230℃で8時間焼成して滑
り軸受基材の表面に、フッ素樹脂パウダー(短鎖重合
体)の薄膜が形成された摺動材を得た。そして、これを
試験片として前記(a) 、(b) 、(c)の各試験にて評価
し、結果を表1中に併記した。
り軸受基材の表面に、フッ素樹脂パウダー(短鎖重合
体)の薄膜が形成された摺動材を得た。そして、これを
試験片として前記(a) 、(b) 、(c)の各試験にて評価
し、結果を表1中に併記した。
【0034】〔比較例3〕実施例1と全く同様にしてヒ
ートローラ軸受用の滑り軸受基材を形成し、これを、フ
ッ素樹脂(PTFE)ファインパウダーディスパージョ
ン(ダイキン社製:D−1、平均分子量約500万〜8
00万)20重量%を脱イオン水中に分散した分散液に
浸漬し、80mm/ 分の速度で引き上げた。
ートローラ軸受用の滑り軸受基材を形成し、これを、フ
ッ素樹脂(PTFE)ファインパウダーディスパージョ
ン(ダイキン社製:D−1、平均分子量約500万〜8
00万)20重量%を脱イオン水中に分散した分散液に
浸漬し、80mm/ 分の速度で引き上げた。
【0035】次に、これを230℃で8時間焼成して滑
り軸受基材の表面に、フッ素樹脂ファインパウダーの薄
膜が形成された摺動材を得た。そして、これを試験片と
して前記(a) 、(b) 、(c)の各試験にて評価し、結果を
表1中に併記した。
り軸受基材の表面に、フッ素樹脂ファインパウダーの薄
膜が形成された摺動材を得た。そして、これを試験片と
して前記(a) 、(b) 、(c)の各試験にて評価し、結果を
表1中に併記した。
【0036】表1の結果から明らかなように、所定の分
子量のPTFEファインパウダーを用いて被膜を形成し
た実施例1は、摺動の初期から安定して低い動摩擦係数
であり、静摩擦係数についても、運転開始直後および運
転終了後とも低い値であった。また実施例1は、相手材
の摩耗量をほとんど確認できず、耐摩耗性にも優れたも
のであった。
子量のPTFEファインパウダーを用いて被膜を形成し
た実施例1は、摺動の初期から安定して低い動摩擦係数
であり、静摩擦係数についても、運転開始直後および運
転終了後とも低い値であった。また実施例1は、相手材
の摩耗量をほとんど確認できず、耐摩耗性にも優れたも
のであった。
【0037】これに対して、被膜を有しない比較例1
は、運転開始直後から静摩擦係数が高く、次第に増大す
る傾向を示した。また比較例1の動摩擦係数は、運転開
始直後は低いが、60〜100時間後は高い値であっ
た。
は、運転開始直後から静摩擦係数が高く、次第に増大す
る傾向を示した。また比較例1の動摩擦係数は、運転開
始直後は低いが、60〜100時間後は高い値であっ
た。
【0038】比較例2では、静摩擦係数、動摩擦係数と
も運転時間の経過とともに増大した。また、フッ素樹脂
被膜の分子量が所定範囲を越える比較例3では、膜厚が
厚くまたは塗ブツを有するものとなって、静・動摩擦が
運転の経時により不安定であった。
も運転時間の経過とともに増大した。また、フッ素樹脂
被膜の分子量が所定範囲を越える比較例3では、膜厚が
厚くまたは塗ブツを有するものとなって、静・動摩擦が
運転の経時により不安定であった。
【0039】
【効果】この発明は、以上説明したように、表面に所定
の分子量のフッ素樹脂粉末を被覆形成した摺動材とした
から、摺動開始当初から安定した低摩擦係数が得られ、
また、摺動基材を殊更に強化する必要がないので、摺動
相手材を損傷しない。しかも、この摺動材は、所定のフ
ッ素樹脂が摺動基材上によく密着しているので、耐摩耗
性に優れたものとなる利点がある。そして、このような
摺動材をヒートローラおよび加圧ローラの軸受または回
転軸として装着した加熱定着装置は、それら摺動部分の
始動時のトルクが低減して、性能が改良される。
の分子量のフッ素樹脂粉末を被覆形成した摺動材とした
から、摺動開始当初から安定した低摩擦係数が得られ、
また、摺動基材を殊更に強化する必要がないので、摺動
相手材を損傷しない。しかも、この摺動材は、所定のフ
ッ素樹脂が摺動基材上によく密着しているので、耐摩耗
性に優れたものとなる利点がある。そして、このような
摺動材をヒートローラおよび加圧ローラの軸受または回
転軸として装着した加熱定着装置は、それら摺動部分の
始動時のトルクが低減して、性能が改良される。
【0040】また、前記摺動材の製造として、フッ素樹
脂粉末分散液を被覆し、焼成するという比較的簡単な方
法を採用できるため、低コストに製造できる利点もあ
る。
脂粉末分散液を被覆し、焼成するという比較的簡単な方
法を採用できるため、低コストに製造できる利点もあ
る。
【図1】加熱定着装置の構造を説明する縦断面図
【図2】高温ラジアル試験装置を示す縦断面図
1 ヒータ、
2 ヒートローラ、
3 加圧ローラ、
2a、3a 軸
4、5 軸受
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
C10N 40:02 C10N 40:02
50:02 50:02
50:08 50:08
70:00 70:00
(56)参考文献 特開 昭60−38440(JP,A)
特開 昭53−97075(JP,A)
特開 昭55−120633(JP,A)
特開 平1−169200(JP,A)
特開 平4−134386(JP,A)
特開 昭64−40717(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C10M 107/38
C10M 177/00
C10N 20:04
C10N 40:02
C10N 50:02
C10N 50:08
C10N 70:00
F16C 33/20
G03G 15/20
Claims (3)
- 【請求項1】 合成樹脂製の摺動基材の表面に重量平均
分子量10万〜100万のフッ素樹脂粉末のみからなる
焼成被膜を形成してなる摺動材。 - 【請求項2】 重量平均分子量10万〜100万のフッ
素樹脂粉末のみを水または有機溶媒に分散した分散液を
調製し、この分散液を摺動用基材に被覆し焼成すること
からなる摺動材の製造方法。 - 【請求項3】 溶融トナー像を表面に保持するヒートロ
ーラと、このトナー像を複写紙に圧着する加圧ローラと
を対接状態に配置した複写機用の加熱定着装置におい
て、 前記ヒートローラの回転軸もしくは加圧ローラの回転軸
またはこれらの回転軸を支持する滑り軸受のうち1以上
の部材を、基材の表面に重量平均分子量10万〜100
万のフッ素樹脂粉末のみからなる焼成被膜を形成した摺
動材で形成したことを特徴とする加熱定着装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10219493A JP3397831B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-04-28 | 摺動材およびその製造方法並びに加熱定着装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-37909 | 1993-02-26 | ||
JP3790993 | 1993-02-26 | ||
JP10219493A JP3397831B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-04-28 | 摺動材およびその製造方法並びに加熱定着装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06306381A JPH06306381A (ja) | 1994-11-01 |
JP3397831B2 true JP3397831B2 (ja) | 2003-04-21 |
Family
ID=26377080
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10219493A Expired - Fee Related JP3397831B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-04-28 | 摺動材およびその製造方法並びに加熱定着装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3397831B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
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---|---|---|---|---|
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JPH10186923A (ja) * | 1996-10-28 | 1998-07-14 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 定着用回転体 |
JPH10246234A (ja) * | 1997-03-06 | 1998-09-14 | Oshitani Felt Kasei Kk | 空調機用室内機 |
JPH1115315A (ja) * | 1997-06-23 | 1999-01-22 | Fuji Xerox Co Ltd | 定着用部材およびそれを用いた定着装置ならびに画像形成方法 |
JP6889519B2 (ja) * | 2015-06-30 | 2021-06-18 | 株式会社リコー | 画像形成装置 |
JP6877701B2 (ja) * | 2019-08-26 | 2021-05-26 | 株式会社リコー | 定着装置、定着方法及び画像形成装置 |
-
1993
- 1993-04-28 JP JP10219493A patent/JP3397831B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06306381A (ja) | 1994-11-01 |
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