JP3397547B2 - 抵抗膜式透明タッチパネル - Google Patents

抵抗膜式透明タッチパネル

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JP3397547B2 JP29359695A JP29359695A JP3397547B2 JP 3397547 B2 JP3397547 B2 JP 3397547B2 JP 29359695 A JP29359695 A JP 29359695A JP 29359695 A JP29359695 A JP 29359695A JP 3397547 B2 JP3397547 B2 JP 3397547B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくともディス
プレー側基板に使用する透明導電膜層を有する透明プラ
スチック製シートに、特定の層を密着介在せしめてなる
抵抗膜式透明タッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に抵抗膜式透明タッチパネルは、デ
ィスプレー側基板には透明導電膜層(例えば酸化インジ
ウム・スズ、以下ITOと呼ぶ)を設けたガラス板を用
い、タッチ側基板には同様に透明導電膜層を設けたフレ
キシブルな合成フィルム(例えばポリエチレンテレフタ
レート、以下PETと呼ぶ)を用い、これを絶縁性スペ
ーサを介して透明導電膜層を対向配置してなるものが多
い。最近、ディスプレー側基板に使用するガラス板基材
に関し、重いとか、破損しやすいとか、或いはハンドリ
ング性がよくない等の理由でこれを透明プラスチック基
材に置き換えようとする試みが盛んであり、一部では実
用化も進んでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記、透明プラスチッ
ク基材への置き換えは、ガラス板基材に比較して、確か
に前記する有利な点はあるが、実用の過程で、次のよう
な問題点も顕在化してきており早急に解決すべく要求が
強い。抵抗膜式透明タッチパネルへの情報入力手段が指
先によるよりも、ペンによるタッチ入力が増えている
が、かかる場合、特にディスプレー側基板の透明プラス
チック基材面のITO透明導電膜層に傷が付きやすい。
つまり、ディスプレー側基板のITO透明導電膜層の耐
久性に問題がある。そして、透明プラスチック基材とI
TO透明導電膜層の密着性が十分でないとか、更には、
硬さにおいて従来のガラス板基材よりも軟質であること
は避けられない。この軟かさは、剛性があって硬直であ
ることが必要なディスプレー側基板の基材にとっては好
ましくない。硬直性は、該基材の厚さを厚くすることで
解決は出来るが、これは透明性を低下せしめるのでこれ
には自ら限界がある。
【0004】本発明は、前記する問題点を一挙に解決す
べく鋭意検討した結果、見いだされたものであり、従っ
て、本発明が課題とするところは、少なくともディスプ
レー側基板の透明導電膜層のペン入力に対する耐久性
(摺動による傷等)と該透明導電膜層と透明プラスチッ
ク製シートとの密着性及び可能なかぎり透明でかつ硬直
である透明プラスチック製シートをディスプレー側基板
に用いた抵抗膜式透明タッチパネルを提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題は、次のような
構成を有する抵抗膜式透明タッチパネルによって容易に
達成される。本発明はディスプレー側基板とタッチ側基
板とが、透明導電膜層を有する透明プラスチック製シー
トによって構成される抵抗膜式透明タッチパネルにおい
て、少なくとも該ディスプレー側基板の透明プラスチッ
ク製シートが、該透明導電膜層との間に架橋構造を持つ
ポリオルガノシロキサン層を密着介在せしめることを特
徴とする。
【0006】上記抵抗膜式透明タッチパネルは、ディス
プレー側基板の透明導電膜層を有する透明プラスチック
製シートが、ポリカーボネート又はポリメチルメタアク
リレートを基材として用いることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本願発明に係る抵抗膜式透明タッ
チパネル1は、図1にその要部断面図を示すように、デ
ィスプレー側基板Aとタッチ側基板Bとが、透明導電膜
層4、4を有する透明プラスチック製シート2、3を備
え、同透明導電膜層4、4が絶縁性スペーサ6、6、6
・・・を介して対向配置される構成を有する。同タッチ
パネル1において、少なくともディスプレー側基板Aの
透明プラスチック製シート2が、透明導電膜層4との間
に架橋構造を持つポリオルガノシロキサン層5を密着介
在せしめる。絶縁性スペーサ6としては、ドットスペー
サが例示されている。以下に、前記構成をより詳細に説
明する。
【0008】一般に抵抗膜式透明タッチパネルは、その
検出機能から大別すると、マトリックス型とアナログ型
及び両混成型があるが、本発明においても同様で、この
各型の何れ形式をも指すものであるのでこれに制限を受
けることはない。参考までに各型式について簡単に説明
しておく。まず、マトリックス型はタッチ側基板とディ
スプレー側基板の透明導電膜層がストライプ状(帯状)
の導体パターンとなっていて、これが交差するように対
向配置されている。そして、アナログ型では箇々の透明
導電膜層が面状の導体パターンになっていて、これが互
いに対向配置されている。また、両混成型では、一方が
ストライプ状の導体パターン、もう一方が面状の導体パ
ターンで、これが交差するように対向配置されている。
【0009】前記タッチパネルにおいて、タッチ側(押
圧側)基板の透明プラスチック製シート状基材は、一般
には厚さ約100〜200μmのPETフィルムが使用
されるが、他に例えばポリエーテルスルホンフィルム、
ポリアリレートフィルム等の非晶性樹脂製フィルム等も
使用される。又、必要に応じて、前記フィルムの表面に
その保護を目的としたシリコン系やアクリル系樹脂等か
らなる硬化被膜を形成しても良い。勿論、後述する架橋
構造を持つポリオルガノシロキサンによる層を保護層と
してフィルムの表面に形成しても良い。タッチ側基板の
該基材としては、透明性が高く(光透過率で90%以上
が好ましい)、タッチ入力しやすく、かつ、特にペンに
よる摺動摩耗(損傷)にも優れるものであれば特に限定
はない。
【0010】また、ディスプレー側基板の透明プラスチ
ック製シート状基材としては、タッチ側基板の該基材と
は勿論透明性の点においては同じであるが、タッチ側か
らの押圧入力を受ける側であるので、少なくとも押圧入
力によって該基材が曲がるとか、へこむようなものであ
ってはならない。つまり、タッチ側基板のように全体が
柔軟であってはならず、硬くて硬直的でなければならな
い。従って、一義的には高い透明性と硬度を有するプラ
スチックが選択される。透明性は素材的には非晶性(又
は結晶化度の小さい)の樹脂を選択することで解決でき
る。硬度については、熱可塑性よりも熱硬化性樹脂の方
がより高く望ましいが、あまりにも高すぎると、逆に破
損とか傷がつきやすいので好ましくない。より望ましい
のは非晶性の熱可塑性樹脂の中から適宜選択するのが良
い。
【0011】例えば、非晶性で適当な硬度範囲にある透
明熱可塑性樹脂としてはポリカーボネート、ジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート、ポリメチルメタア
クリレート、メチルメタアクリレートとスチレンとの共
重合体ポリスチレン、スチレンとアクリルニトリル共重
合体ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、非晶性ポリ
エチレンテレフタレート(一般にAーPETと呼ぶ)、
ポリアリレート等々挙げることが出来るが、特にポリカ
ーボネート、ポリメチルメタアクリレートが好ましい。
これらの樹脂はシート状に成形されるがその厚さは硬直
性と透明性とから最適範囲として求められるので、一義
的に決められないが、一般には約0.5〜2.0mm程度
の範囲である。
【0012】前記する透明プラスチック製シート状基材
へのITO等からなる透明導電膜層の形成は、従来で
は、該基材面に直接該透明導電膜層が形成されている
が、本発明では、少なくともディスプレー側基板の該基
材面に、まず、架橋構造を持つポリオルガノシロキサン
による層を密着形成した後、該層の上に透明導電膜層を
形成せしめるものである。これはポリオルガノシロキサ
ン層の形成によって、タッチ側からのペン入力の押圧に
よる透明導電膜層の損傷が大幅に改善されるので、最終
的に得られる抵抗膜式透明タッチパネル自身の耐久性を
向上せしめることになる。そしてまた、該基材自身の透
明導電膜層との密着性がより向上すると共に、該基材自
身の硬度(硬直性)が補強される効果もあるからであ
る。従ってこれらの有効な点は、他の例えばアクリル系
又はエポキシ系の硬化型樹脂による該層の形成では同時
に発現することは不可能である。
【0013】前記架橋構造を持つポリオルガノシロキサ
ン層を密着形成せしめる方法について説明する。ポリオ
ルガノシロキサン自身は、3〜4官能性のシラノールつ
まり4価のケイ素原子に3〜4個の水酸基が結合された
シラノール単量体を加熱(場合によっては触媒存在下
で)する。その結果、脱水縮合して直鎖状に重合しつ
つ、架橋反応も進行し、全体として強靱でかつ硬い高分
子物質に変化する。従って、該シラノールの所定量を有
機溶媒例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、グリコールエーテル等の脱脂族系アルコールに溶
解して溶液状となし、これを、スピンコート、ロールコ
ート、スプレーコート、ディップコート等のコーティン
グ手段によって、前記少なくともディスプレー側基板の
透明プラスチック製シート状基材の片面、又は両面にコ
ーティングし、脱水縮合反応をすれば該基材に密着しつ
つ、強靱で硬いポリオルガノシロキサン層が形成され
る。
【0014】前記シラノール単量体の有機溶媒濃度は任
意であるが、1回のコーティングで所定の膜厚を得るな
らば、溶液粘度4〜8cps(固形分濃度約15〜30
重量%)程度がよい。これにより最終的に得られる前記
ポリオルガノシロキサン層の厚さは約2〜10μm程度
である。なお、コーティング後の加熱は100℃前後で
1〜3時間程度で完結する。
【0015】前記シラノール単量体は、完全に単量体の
状態でなくてもよい。若干縮合反応せしめたオリゴマー
であってもよい。勿論、該モノマーとオリゴマーとが混
合されていてもよい。そして、また、該シラノール単量
体中の水酸基数は架橋密度を左右する。つまり多い程、
該密度は高くなるので得られたポリオルガノシロキサン
はより高硬度層になる。しかし、硬さの点ではより望ま
しいことではあるが該層自身にもろさが加わると同時に
前記基体との間の熱膨張係数の差が大きくなるので、熱
変化によるクラックが入りやすい危険性がある。従っ
て、4官能性のシラノールよりも3官能性シラノールを
選択する方が望ましい。これを2官能性シラノールと4
官能性シラノールとを適宜併用して調整してもよい。ま
た2〜3個の水酸基がケイ素に結合する場合、残る1〜
2個は一般にメチル又はフェニルの基が結合されるが、
該基も得られる層の性質に若干の影響を及ぼし、フェニ
ル基の方が強靱で硬度と共に耐熱性も高い。かかる要因
を考慮して製造され上市もされているシラノール系コー
ティング剤に例えば、日本精化株式会社製の品種NSC
−1880、1274、2705、2319、127
4、3456ー1、2451等がある。
【0016】前記ポリオルガノシロキサン層は、ディス
プレー側基板の透明プラスチック製シート状基材への形
成は必須とするが、タッチ側基板の該基材に対しては必
ずしも該層を設ける必要はなく、他のアクリル系樹脂層
を用いてもよい。
【0017】次に前記得られた架橋構造を持つポリオル
ガノシロキサン層を設けてなる透明プラスチック製シー
ト状基材には、透明導体パターン形成のため透明導電膜
層を該ポリオルガノシロキサン層全面上に形成せしめる
必要がある。ここで透明導電膜層は透明(光透過率80
%以上が望ましい)で、かつ、導電性(約1kΩ/□以
下)を得られる物質であればその材質は問わない。例え
ば金、銀、銅、クロム等の金属単体層や、窒化チタンや
窒化ジルコニウム等の窒化物層でもよいが、より透明で
高耐久性、更には安定して均一な薄膜層を容易に得るこ
とのできる点から酸化物半導体による薄膜層が好まし
い。かかる薄膜層を形成せしめる酸化物半導体としては
酸化インジウム、二酸化錫、酸化亜鉛、二酸化チタン、
酸化カドミウム等があるが前記するITOの他に、二酸
化錫にアンチモンを添加したもの(ATO)、二酸化錫
にフッ素を添加したもの(FTO)、酸化亜鉛にアルミ
ニウムを添加したもの(AZO)等が望ましい。
【0018】透明導電膜を層状に形成せしめる手段は、
一般的には熱蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、
化学的気相成長、有機薄膜の各方法のいずれかによって
行われるが、本発明においては前記の如く、基体がプラ
スチック製シート状物であるので、高い温度を使う手段
には自ずから制限がある。より低温で効率的(迅速)に
行うことの可能な方法を選択するのが良いが、中でもス
パッタ特に100℃程度以下の低温でも低抵抗の透明導
電膜層を効率的に形成せしめることのできる直流マグネ
トロンスパッタ法が望ましい。該スパッタ法でITOを
蒸発させ、これを100℃前後に加熱された前記ポリオ
ルガノシロキサン層上で冷却すると均一な膜厚の層が密
着形成される。このようにして得られる透明導電膜によ
る層は一般には100〜300オングストローム程度の
極めて薄い層であり、かかる厚さで抵抗値は1kΩ/□
以下であり、透明性は80〜90%程度である。
【0019】かくして得られた透明導電膜層を有する透
明プラスチック製シートは、目的とする抵抗膜式透明タ
ッチパネルに併せられるが、該シートを使って、タッチ
パネルに加工する手段には、例えば次のような方法があ
る。例えばマトリックス型のタッチパネルでは、まず、
写真製版方法によってタッチ側基板とディスプレー側基
板の透明導電膜層を所定ピッチをもった所定幅を有する
導体パターンに形成する。そして、該パターンの一端に
銀ペースト等によって引出し電極を設けると共にディス
プレー側基板の導体パターン面に絶縁性スペーサを設け
る。そして、該スペーサを介してマトリックス状(交差
状)に透明導電膜層を対向配置し、周囲を絶縁性両面テ
ープ等で接着固定する。
【0020】なお、本発明の架橋構造を持つポリオルガ
ノシロキサン層の密着介在によって得られる透明プラス
チック製抵抗膜式透明タッチパネルの効果の発現を作用
の点から説明しておく。まず、タッチ側基板をペンによ
って押して摺動させてもディスプレー側の損傷寿命が長
いのは、つまりディスプレー側基板の耐久性が優れてい
るのは、主として硬度の高いポリオルガノシロキサン層
の下にこれよりも硬度の低い透明プラスチック(非晶
質)層があり、これが上からの摺動押圧を適当に吸収す
るためと考えられる。
【0021】透明導電膜層がポリオルガノシロキサンと
十分な密着性を持っているのは、ポリオルガノシロキサ
ンに残存する水酸基の活性水素が、例えばITO等の金
属酸化物半導体の場合、存在する酸素原子と水素結合す
ることが考えられる。このことから、透明プラスチック
(非晶質)層とポリオルガノシロキサン層との優れた密
着力も同様の作用機構によるものと考えられる。勿論、
前記耐久性はこれら優れた密着作用も相乗して発現して
いる。
【0022】また、前記ディスプレー側基板の透明プラ
スチック製シート状基材の素材として例示する非晶質性
熱可塑性樹脂の硬度は、鉛筆硬度で一般にはHB硬度で
あるに対して本発明の前記ポリオルガノシロキサン層は
H硬度である。従って、該ポリオルガノシロキサン層が
該シート状基材に強固に密着することによって、シート
状基材全体の硬直性がより向上するものと考えられる。
【0023】なお、本発明における透明シート状基材
に、他の例えば架橋構造を持つ多官能性アクリル系コー
ティング剤を同様に塗布し、これにITO等の透明導電
膜層を形成し、ディスプレー側基板として使用しても本
発明のように優れた摺動耐久性は得られない。これはあ
まりにも硬度が高くなると共に、コーティング層と基材
との密着力、又は導電膜層との密着力のいずれかが劣る
ことによるものと考えられる。
【0024】
【実施例】以下に比較例と共に実施例によって更に記述
する。なお、実施例、比較例中の評価結果として記載す
る各値は次の方法によって測定されたものである。表面
抵抗値(Ω/□)は四端針法で、光透過率(%)は、波
長550nmにおける可視光線透過率を自記分光光度計
で、密着力は繰り返しを5回行うセロテープによる剥離
テストでの碁盤目(1mm□×100個)の剥離した数、
従って0であれば剥離なしで0/100と記載する。更
に、摺動耐久性はタッチ側基板とディスプレー側基板の
各々の透明プラスチックシートの透明導電膜層を対向さ
せ、周囲を両面テープ(厚さ20μm)で接着固定した
ものをテスト用サンプルとし、このテスト用サンプルの
タッチ側基板の上からポリアセタール樹脂製のペン先
(先端0.4mm丸形による半球状で径は0.8mmφ)を
持つペンスライダー装置を用い、該装置に290gの一
定荷重を負荷しつつ6cm/秒の速度で同一場所を摺動
する。一定の摺動回数の後、タッチ側基板及びディスプ
レー側基板の透明導電膜層の損傷具合を目視した。
【0025】
【実施例1】タッチ側基板の透明プラスチック製シート
としてPETフィルム(厚さ188μm、光透過率90
%)を、ディスプレー側基板の透明プラスチック製シー
トとしてポリカーボネート板(厚さ1.0mm、光透過率
90%、以下PC板と呼ぶ)を各々使用し、これに次の
条件で架橋ポリオルガノシロキサン層を形成した。
【0026】前記、PETフィルム4枚を準備し、その
片面をアルコールにて脱脂洗浄後、日本精化株式会社製
の品種NSC−3456ー1(不揮発分26%、他はエ
タノール、イソプロパノール混合溶媒)のシラノール溶
液(硬化触媒添加)をバーコーターを用いて両面にコー
ティングし、130℃の熱風乾燥機に入れて30分間加
熱硬化し表面保護層を形成した。得られた層の表面は平
滑であり、かつ滑性もあった。形成された層の厚さはい
ずれも1.6±0.05μmであり、光透過率は91%
であった。その中の一枚について碁盤目セロテープ剥離
テストをしたところ0/100であった。残り3枚を以
下CーPETフィルムと呼ぶ。
【0027】一方、PC板は2枚準備し、その両面をア
ルコールにて脱脂洗浄後、日本精化株式会社製の品種N
SC−1274(不揮発分25重量%、他はアルコー
ル、グリコールエーテル系混合溶媒)のシラノール溶液
(硬化触媒添加)中に浸漬し、20cm/分の速度で引
き上げ、これを120℃の熱風乾燥機に入れて120分
間加熱硬化した。得られた層の表面は平滑でかつ滑性も
あり、また、原PC板よりも全体に若干硬直性が良化し
た。形成された層の厚さはいずれも2.0μmで光透過
率は93%であった。また、この一枚につき碁盤目セロ
テープ剥離テストをしたところ0/100の結果を得
た。残る一枚を以下C−PC板と呼ぶ。
【0028】次に前記CーPETフィルムとC−PC板
についてその片面(C−PETフィルムについては表面
保護層の反対側)に次の条件でITO透明導電膜層を直
流マグネトロンスパッタ法にて各々形成せしめた。到達
真空度2×10ー5トール、3%酸素含有アルゴンガスに
よる動作圧2×10ー3トール、基板温度100℃、印加
電力760W、スパッタ時間10秒で行った。得られた
透明導電膜層の厚さは両方とも150オングストローム
であった。また、表面抵抗値はいずれも500(Ω/
□)であり、光透過率はCーPETフィルムは89%、
C−PC板については91%であった。
【0029】次に前記C−PC板のITO透明導電膜層
上に直径40μm、高さ5μmの絶縁スペーサを、光硬
化型のアクリル樹脂によって2mmピッチで格子状に全面
に設けた。最後に前記得られたITO透明導電膜層付き
のCーPETフィルムとC−PC板とを該層を内側にし
て厚さ20μmの両面テープで周囲を接着固定してタッ
チパネル形式となし、該CーPETフィルム側からの摺
動耐久性テストを行った。その結果、5万回でもタッチ
側基板及びディスプレー側基板の透明導電膜層の損傷は
一切なかった。なお、光透過率は81%であった。
【0030】
【実施例2】実施例1におけるディスプレー側基板の透
明プラスチック製シートにおいて、PC板の代わりに2
枚のポリメチルメタアクリレート板(厚さ1.0mm、光
透過率92%、以下PMMA板と呼ぶ)を用い、そし
て、架橋ポリオルガノシロキサン層形成用のシラノール
溶液として日本精化株式会社製の品種NSC−1880
(不揮発分22重量%、他はエチルアルコール、イソプ
ロピルアルコール等の混合溶媒)を用いる以外は、同様
にコーティングおよびITOスパッタを行い、ITO透
明導電膜層付きのPMMA板を得た。該板の一枚に付き
碁盤目セロテープ剥離テストを行ったところ0/100
であった。また、表面抵抗値は500(Ω/□)であ
り、光透過率は91%であった。
【0031】次に実施例1で得たITO透明導電膜層付
きのCーPETフィルムの他の一枚と前記残る一枚のI
TO透明導電膜層付きのPMMA板とを該層を内側にし
て厚さ20μmの両面テープで周囲を接着固定してタッ
チパネル形式となし、同様に摺動耐久性テストを行った
ところ実施例1と同様の結果を得た。なお、光透過率は
81%であった。
【0032】
【比較例1】実施例1においてPC板に該シラノール溶
液をコーティングせずに、ITOのスパッタを行ってI
TO透明導電膜層付きのPC板を作製した。該膜層の厚
さは150オングストロームであり、表面抵抗値は50
0(Ω/□)、光透過率は88%であった。そして、実
施例1と同様にして絶縁スペーサを設けたこのPC板を
ディスプレー側基板とし、実施例1で得たもう一枚のI
TO透明導電膜層付きのCーPETフィルムをタッチ側
基板として、同様に両面テープで周囲を接着固定し、同
様に摺動耐久性テストを行ったところ、1万回でディス
プレー側のPC板のITO透明導電膜層が損傷した。た
だし、タッチ側基板には両面ともに摺動による損傷はな
かった。なお、該ITO透明導電膜層付きのPC板自身
の碁盤目セロテープ剥離テストを行ったところ5/10
0であった
【0033】
【発明の効果】本発明は前記に記載する様に構成される
ので、次のような効果を奉ずる。まずディスプレー側の
透明導電膜層のタッチ側基板からのペンによる摺動耐久
性が顕著に改善される。
【0034】架橋ポリオルガノシロキサン層の介在によ
って透明プラスチック製シート基材と透明導電膜層との
密着性が著しく向上する。勿論、これによる透明性の低
下はみられず、逆に若干の向上がみられる。
【0035】また、架橋ポリオルガノシロキサン層の介
在によってディスプレー側基板の透明導電膜層付きの透
明プラスチック製シートの硬直性も良化する。
【0036】なお、本架橋ポリオルガノシロキサン層
は、LCD、ELD、ECD等のフラットディスプレ
ー、太陽電池、液晶又はエレクトロクロミック調光デバ
イスにおける透明導電膜層の下地層として使用すること
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る抵抗膜式透明タッチパネルの一実
施例の要部断面図である。
【符号の説明】
1 抵抗膜式透明タッチパネル 2 透明プラスチック製シート 3 透明プラスチック製シート 4 透明導電膜層 5 ポリオルガノシロキサン層 6 絶縁性スペーサ A ディスプレー側基板 B タッチ側基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 雪雄 滋賀県守山市森川原町163番地 グンゼ 株式会社開発事業部 電子機能材料セン ター内 (56)参考文献 特開 平7−21878(JP,A) 特開 平6−275132(JP,A) 特開 平7−235236(JP,A) 特開 平6−309101(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 13/70 G06F 3/033 360 G09F 9/00 366

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディスプレー側基板とタッチ側基板とが、
    互いに対向する透明導電膜層を有するプラスチック製透
    明シートによって構成される抵抗膜式透明タッチパネル
    において、前記ディスプレー側基板は、透明導電膜層の
    シート抵抗値が1KΩ/□以下であり、透明プラスチッ
    ク製シートと、透明導電膜層との間に架橋構造を持つポ
    リオルガノシロキサン層を密着介在せしめてなることを
    特徴とする抵抗膜式透明タッチパネル。
  2. 【請求項2】ディスプレー側基板の透明導電膜層が、酸
    化インジウム・錫、酸化インジウム、二酸化錫、酸化亜
    鉛、二酸化チタン、酸化カドミウムの何れかの酸化物半
    導体薄膜層を含むことを特徴とする請求項1に記載の抵
    抗膜式透明タッチパネル。
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