JP3397495B2 - 有彩色薄膜の製造方法 - Google Patents

有彩色薄膜の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有彩色薄膜の製造方法
具体的には、樹脂、ガラス、金属、セラミックからなる
物品等の表面に有彩色薄膜を形成する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、メガネ用レンズその他の光学
レンズ、スポーツ用ゴーグル、その他の各種物品に所望
の色相若しくは光学特性を付与するため、物品の表面に
透光性有彩色薄膜を形成することが行われている。この
種の薄膜形成技術としては物理的蒸着法や化学的蒸着法
など種々の方法が開発され実用化されているが、紫外線
遮断効果や装飾効果などを目的とするスキー用ゴーグル
等の場合、排水処理の不要な真空蒸着法やイオンプレー
ティング法などの物理的蒸着法が一般的である。この場
合、単層の薄膜では所望の色相を得ることができないた
め、通常、複数の薄膜形成材料を用い、これらを3〜3
0層、一般的には、8〜12層積層することが行われて
いる。例えば、スキー用ゴーグルの場合、ゴーグル材料
として耐熱性、透明性及び耐候性に優れ寸法安定性の良
いポリカーボネート製基板を用い、この基板を真空容器
の上部に水平に配置する一方、前記基板に対向して真空
容器の下部に薄膜形成材料を入れた坩堝を配設し、坩堝
内の薄膜形成材料を適当な手段で加熱蒸発又は昇華さ
せ、基板表面にコーティングする真空蒸着法が採用され
ている。
【0003】他方、工業的にアルミニウム薄膜を形成す
る手段として高周波励起式イオンプレーティング法が開
発され、樹脂成形品、ガラス、金属、セラミック等の装
飾に適用されている。この方法は、真空容器の中央に蒸
発源を、その周囲に被蒸着材である基板をそれぞれ配設
する一方、蒸発源と基板との間にリング状又はコイル状
の高周波電極を設け、不活性ガス中で抵抗加熱によりA
lを加熱し蒸発させ、その蒸発粒子の一部を高周波電界
によってトロイダル状に回転させて十分にイオン化し、
生成した陽イオンを直流電界により加速して基板表面に
衝突させることにより薄膜を形成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記真
空蒸着法では、真空容器の容積がある以上の大きさを超
えると、薄膜の均一性及び再現性が低下するため、容器
の大きさが制限され、そのため最大でも300mm程度
の基板までしか適用できず、一回当りの処理量が制限さ
れるという問題がある。また、所望の色相を付与するた
め多層コーティングを施す場合、複数の金属を順次蒸発
させるためためには、複数の電子銃るつぼを用い、その
上方に蒸発粒子の流れを制御するシャッター等の特殊な
機構を設ける必要があるため、装置の構造が複雑にな
り、しかも、蒸着速度が2〜5Å/sと極めて遅いため、
薄膜を所望の厚さ(通常、数μm〜数十μm)にするのに
要する時間が非常に長くなるため、量産性に欠け製造コ
ストの増大が避けられないという問題があった。
【0005】他方、高周波励起式イオンプレーティング
は、真空排気処理後、高周波電界によるイオンボンバー
ドで基板表面の洗浄が行われるため、薄膜の密着性及び
再現性が良く、真空容器の内容積を大きくして大きな基
板にも適用できるという利点があるが、基本的に単層コ
ーティング用であるため、多層コーティングに適用する
ためには、薄膜を一層形成する毎に空気を導入して蒸発
源を交換しなければならず、その交換毎に真空容器内に
導入される空気により前工程で形成した薄膜の表面が酸
化し、薄膜間の密着性が低下するという問題がある他、
真空容器の内容積を大きくすればするほど真空排気処理
に要する時間が長くなり、しかも、真空排気処理をコー
ティングする層数だけ反復して行わなければならず、実
用化が困難であるという問題があった。
【0006】従って、本発明は、より少ない層数で所望
の色相を呈する有彩色薄膜、特に、透光性有彩色薄膜を
効率良く、安価に量産できるようにすることを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を解
決する手段として、基本的には、真空容器の略中央に複
数の薄膜形成材料蒸発部を配設して垂直方向に伸張する
蒸発面を形成させ、該蒸発面に対向して被蒸着物を配置
し、前記薄膜形成材料蒸発部の薄膜形成材料を抵抗発熱
により加熱蒸発させて前記蒸発面から粒子の形態で略水
平方向に放出させ、その蒸発粒子の少なくとも一部を高
周波電界によりイオン化すると同時に、薄膜形成材料蒸
発部と被蒸着物との間に印加される直流電界により蒸発
粒子を加速して被蒸着物表面に薄膜を形成する高周波励
起式イオンプレーティングを行う有彩色薄膜の製造方法
であって、前記複数の薄膜形成材料蒸発部を無彩色薄膜
形成材料及び有彩色薄膜形成材料で構成して前記蒸発面
を相互に異なる薄膜形成材料を蒸発させる蒸発面とな
し、前記無彩色薄膜形成材料を不活性ガス雰囲気中で加
熱蒸発させて高周波励起式イオンプレーティンを行い2
00〜1200Å厚の無彩色の下地層を形成し、それに
引き続き前記真空容器の雰囲気を酸化性雰囲気にして当
該酸化性雰囲気中で前記有彩色薄膜形成材料を加熱蒸発
させて高周波励起式イオンプレーティングを行い100
〜1000Å厚の金属酸化物からなる有彩色薄膜を形成
する工程を含んでなることを特徴とする有彩色薄膜の製
造方法を提供するものである。
【0008】前記薄膜は、一種の薄膜形成材料で形成し
ても良く、また、2種の薄膜形成材料を組合わせて形成
しても良い。この薄膜形成材料としては、ゲルマニウ
ム、シリコンなどの半導体、亜鉛、チタン、鉄、アルミ
ニウム、セリウムその他の金属若しくはそれらの合金又
は金属間化合物などが挙げられ、これらは単独で又は2
種を組合わせて使用することができる。前記金属酸化物
薄膜を形成する場合、金属酸化物を薄膜形成材料として
使用する必要はなく、その原料として金属を用い、これ
を真空容器内で酸化させて薄膜を形成するのが好適であ
る。また、抵抗発熱素子の材料としては、使用する薄膜
形成材料に応じて適宜選択できるが、一般的には、タン
グステン、モリブデン、タンタルなど高融点金属材料を
使用するのが好適である。
【0009】前記方法は、ベースプレートと、該ベース
プレートに搭載され真空空間を形成する真空容器と、前
記ベースプレートの中央に立設され、薄膜形成材料を蒸
発させる蒸発部と、前記ベースプレート上に回転可能に
配設され自転しながら前記蒸発部の回りを回転する被蒸
着物保持手段と、前記蒸発部に隣接して配設された高周
波電極とからなり、前記蒸発部が抵抗発熱源と該抵抗発
熱源に保持された薄膜形成材料とからなる複数の蒸発電
極で構成され、該蒸発電極を垂直面上に相互に所定間隔
をおいて配列して垂直蒸発面を形成させてなることを特
徴とする有彩色薄膜形成装置を用いることにより実施で
きる。
【0010】好ましい実施態様においては、前記前記蒸
発部が、相対して配設され、相互に異なる薄膜形成材料
を蒸発させる二つの垂直蒸発面を有し、各垂直蒸発面を
形成する一群の蒸発電極が電力制御手段に接続され
電力制御手段により一群の蒸発電極に通電して一種の薄
膜形成材料を加熱蒸発させて下地層を形成した後、他方
の一群の蒸発電極に通電して前記薄膜形成材料と異なる
薄膜形成材料を加熱蒸発させて下地層の上に異種の薄膜
形成材料からなる薄膜を積層して、2層からなる有彩色
薄膜の形成が行われる。被蒸着物が透明である場合、薄
膜の色相付与効果を高めるため無彩色の下地層を形成す
るのが好ましい。この下地層の材料としては、無彩色の
ものであれば任意のものを使用できるが、汎用性及び価
格の点からステンレス鋼を採用するのが好ましいこの
下地層は、通常、200〜1200Å厚に形成するのが
好適である。これは、200Å未満では、その効果がさ
ほど期待できず、1200Åを超えると、透光性を低下
させるからである。また、有彩色薄膜は、通常、100
〜1000Å厚に形成される。これは、100Å未満で
は、その効果がさほど期待できず、1000Åを超える
と、透光性を低下させるからである。
【0011】以下、本発明に係る高周波励起式イオンプ
レーティング装置を示す添付の図面を参照して、本発明
を説明する。図示の装置は、基本的には、円板状ベース
プレート1と、真空容器2と、ベースプレート1の中央
に立設され薄膜形成材料を蒸発させる蒸発部3と、前記
ベースプレート1上に回転可能に配設され、自転しなが
ら前記蒸発部3の回りを回転する被蒸着物保持手段4
と、前記蒸発部3に隣接して配設された高周波電極5と
で構成されている。
【0012】円板状ベースプレート1はその中央に真空
ポンプ(図示せず)に接続される排気口6を有し、その
排気口6を挟んで2本のガイドレール7が配設され、該
ガイドレール7上に円形台車8が搭載されている。円形
台車8は、その円形テーブルの中央部に薄膜形成材料蒸
発部3が設置され、その外周部には後述の自転用歯車と
噛み合う歯が形成されている。真空容器2はベルジャー
型のもので、ベースプレート1の上方に昇降可能に配設
され、その正面側に覗き窓10が形成され、その頂部に
形成された開口2aを閉鎖する蓋11に高周波電極11
が装着されている。この高周波電極11は、図3に示す
ように、U字状の形態を有し、薄膜形成材料蒸発部3を
挟んで相対して配設されている。
【0013】前記薄膜形成材料蒸発部3は、2対の電極
ホルダー12と、対の電極ホルダーに取り付けられた複
数の蒸発電極13とからなり、各電極ホルダー12は導
電性支柱14A、14A’、14B、14B’と、各支
柱にその長手方向に所定間隔をおいて相互に平行に固定
された複数の導電性アーム15A、15A’、15B、
15B’とで構成され、支柱14Aは支柱14A’と対
をなし、支柱14Bは支柱14B’と対をなしている。
これらの支柱は台車8のテーブル8a上に一列に立設さ
れ、その上端部は絶縁プレート16で相互に連結して固
定されている。
【0014】各蒸発電極13は、抵抗発熱源17と蒸発
源18とで構成されるが、本実施例では、図4に示すよ
うに、複数の高融点金属材料からなる抵抗ワイヤーを撚
りあわせ、その略中央部分に薄膜形成材料製ワイヤーを
巻き付けた構造にし、両端をそれぞれアーム15の先端
に設けた一対の舌片15a間に挟んで容易に着脱できる
ようにしてある。なお、蒸発電極13は、必ずしも図4
に示す形態のものに限られず、任意の形態のものを使用
でき、例えば、図5に示すように、高融点金属材料で箱
形容器17を形成する一方、その上部に流動規制板19
を設け、その内部に収容された薄膜形成材料18の蒸気
を水平方向に放出させるようにしたものでも良い。
【0015】また、前記台車8上にはそれと同軸にリン
グプレート20が回転可能に配設され、このリングプレ
ート20は、その外周に形成された歯21を歯車22と
噛み合わせることにより駆動モータ30に連結されてい
る。リングプレート20は、その下側に複数の歯車23
が台車テーブル8aの外径より大径の円に沿って配設さ
れ、これらを台車テーブル8aの外周に形成された歯と
噛み合わせることによってガイドされ、プレートリング
20の回転により歯車23をそのシャフトと共に回転さ
せ、そのシャフトに取り付けられた歯車24と噛み合う
歯車25を駆動し、歯車25に取り付けられた被蒸着物
保持手段としての被蒸着物駆動シャフト26を回転させ
るようにしてある。従って、駆動モータ30を回転させ
ると、リングプレート20が装置の中心軸回りに回転
し、それによって歯車23が駆動され、歯車24及び2
5を介して被蒸着物駆動シャフト26が回転させられる
ため、被蒸着物は自転しながら蒸発部3の回りを回転す
ることになる。
【0016】
【作用】高周波電界を印加しながら、抵抗発熱により蒸
発源から薄膜形成材料を蒸発させると、蒸発粒子は高周
波電界によって10−4Torr程度の比較的高いガス圧で
も高効率でイオン化され、そのイオンは蒸発源と被蒸着
物との間に印加される直流電界によって被蒸着物側へ加
速され、被蒸着物の表面に衝突、付着し、薄膜を形成す
る。高周波電界によるイオン化と直流電界による加速と
の相乗作用により蒸発粒子の被蒸着物への密着力が高め
られ、雰囲気のガス圧が比較的高くても薄膜を形成でき
るため、真空容器を大きくすることが可能となり、大寸
法の被蒸着物にも薄膜を形成することが可能となる。ま
た、被蒸着物の温度を変化させることにより薄膜の結晶
構造を調整できるため、酸化性雰囲気にして金属酸化物
系薄膜若しくはセラミックス系薄膜を形成することも可
能にしている。さらに、被蒸着物は自転させながら蒸発
源の回りを回転させることにより、表面全体に均一に薄
膜を形成することを可能にしている。
【0017】
【実施例1】薄膜の下地層形成材料としてステンレス鋼
ワイヤを、色相付与材料としてTiワイヤをそれぞれ薄
膜形成材料蒸発源18として用い、これらをタングステ
ン製ワイヤを2本撚りあわせた抵抗発熱源17にそれぞ
れ巻き付けて蒸発電極13A、13Bを形成し、蒸発電
極13Aを図1の装置の電極ホルダー12Aを構成する
支柱対14A、14A’のアーム間に取り付ける一方、
蒸発電極13Bを他方の支柱対14B、14B’にそれ
ぞれ取り付け、ポリカーボネート製基板を被蒸着物とし
て被蒸着物駆動シャフト26に取り付けた後、真空容器
を降下させて密閉する。
【0018】次に、真空ポンプで真空容器内を1×10
−4Torrまで排気したのち、駆動モータによりリング
プレートを回転させて基板を自転させながら蒸発源の回
りを回転させる。真空容器内にアルゴンガスを導入して
3×10−4Torrに調整した後、高周波電極に高周波
を印加してイオンボンバードを行って基板表面を清浄化
する。次いで、高周波を印加した状態で、電極ホルダー
12Aを介して蒸発電極13Aに通電してステンレス鋼
を蒸発させ、ステンレス鋼のイオンプレーティングを約
2分間行い、500Å厚のステンレス鋼薄膜を形成した
後、蒸発電極Aへの通電を停止する。通電停止後、真空
容器内を再び1×10−4Torrまで減圧し、アルゴン
ガスを導入して2×10−4Torrに調整した後、酸素
ガスを導入して6×10−4Torrに調整する。真空容
器内にアルゴンガスと酸素ガスを供給して真空容器内の
真空度を3×10−4Torrに維持しながら、支柱対1
4B、14B’を介して蒸発電極13Bに通電してチタ
ンを蒸発させ、イオンプレーティングを10分間行い、
250Å厚の酸化チタン薄膜を形成した。イオンプレー
ティング中、真空容器内を3×10−4Torrの酸化性
雰囲気に維持することによりチタンの酸化率が一定に維
持され、基板表面に形成される薄膜は、ゴールド系→レ
ッド系→ブルー系の順で発色をくり返す。真空容器の覗
き窓10から観察して、基板表面が所望の色合いになっ
た時点で蒸発電極13B及び高周波電極5への通電を停
止させると同時に、アルゴンガス及び酸素ガスの供給を
停止させ、イオンプレーティングを終了させ、真空容器
内に空気を導入してその内部圧力を大気圧に戻し、駆動
モータ30を停止させた後、真空容器から基板を取り出
して、有彩色薄膜の試料を得た。有彩色薄膜の色は観察
する角度によって黄、赤、青ないしそれらの中間色にま
で種々に変化した。
【0019】
【参考例】 薄膜形成材料として硫化亜鉛(ZnS)粉末
を用い、これを図5に示す箱形のモリブデン製抵抗発熱
源17に入れて蒸発電極13を形成し、この蒸発電極1
3を図1の装置の電極ホルダー12Aを構成する支柱対
14A、14A’の各対のアーム間にそれぞれ取り付け
た後、ポリカーボネート製基板を被蒸着物駆動シャフト
26に取り付け、真空容器を降下させて密閉した。
【0020】次に、真空ポンプで真空容器内を1×10
−4Torrまで排気したのち、駆動モータによりリング
プレートを回転させて基板を自転させながら蒸発源の回
りを回転させる。真空容器内にアルゴンガスを導入して
3×10−4Torrに調整した後、高周波電極に高周波
を印加してイオンボンバードを行って基板表面を清浄化
し、続いて、電極ホルダー12Aを介して蒸発電極13
に通電して硫化亜鉛を加熱昇華させ、イオンプレーティ
ングを約5分間行い、300Å厚の有彩色薄膜を得た。
【0021】得られた有彩色薄膜について、分光光度計
(島津製作所製UV2100)を用いて200〜800
nmの波長域で光の透過率を測定した。その結果を比較例
(薄膜を形成してない基板単体)についての結果と共に
図6に示す。同図から、明らかなように、本発明方法に
よりコーティングしたものは、440nm及び680nmの
近傍で吸収のピークを示し、色は観察する角度によって
変化し、黄、赤、青ないしそれらの中間色にまで種々に
変化した。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、高周波電界を印加しながら、抵抗発熱により
蒸発源から薄膜形成材料の粒子を水平方向に放出させ、
高周波電界によってイオン化させるようにしたので、1
−4Torr程度の比較的高いガス圧でも蒸発粒子を高効
率でイオン化でき、しかも、生成したイオンを蒸発粒子
と共に直流電界によって被蒸着物側へ加速するようにし
たので、密着度の高く均質な有彩色薄膜を形成できる。
また、高周波電界によるイオン化と直流電界による加速
との相乗作用により蒸発粒子の被蒸着物への密着力が高
められ、雰囲気のガス圧が比較的高くても薄膜を形成で
きるため、真空容器を大きくすることが可能となり、大
寸法のものにも有彩色薄膜を形成することができる。ま
た、被蒸着物の温度を変化させることにより薄膜の結晶
構造を調整できるため、一種の材料で有彩色薄膜を形成
でき、しかも、金属を薄膜生成材料として用い酸化性雰
囲気中でプレーティングを行うと、金属酸化物系薄膜若
しくはセラミックス系薄膜からなる有彩色薄膜を形成す
るができる。さらに、被蒸着物は自転させながら蒸発源
の回りを回転させることにより、表面全体に均一に薄膜
を形成することができる、薄膜材料の選択の自由度が高
く、基板温度を低温から高温まで任意に変化させること
によって薄膜の結晶構造を制御できるため、単層又は2
層構造でも任意の色彩を得ることができるなど、優れた
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る高周波励起式イオンプレーティ
ング装置の概略断面図、
【図2】 図1のA−A線における断面平面図、
【図3】 図1の装置の要部斜視図、
【図4】 蒸発電極の構造の一例を示す平面図、
【図5】 蒸発電極の構造の他の例を示す斜視図、
【図6】 参考例により製造した有彩色薄膜の光透過率
を示すグラフである。
【符号の説明】
1: ベースプレート 2: 真空容器 3: 蒸発部 4: 被蒸着物保持手段 5: 高周波電極 13: 蒸発電極 17: 抵抗発熱源 18: 蒸発源

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器の略中央に複数の薄膜形成材料
    蒸発部を配設して垂直方向に伸張する蒸発面を形成さ
    せ、該蒸発面に対向して被蒸着物を配置し、前記薄膜形
    成材料蒸発部の薄膜形成材料を抵抗発熱により加熱蒸発
    させて前記蒸発面から粒子の形態で略水平方向に放出さ
    せ、その蒸発粒子の少なくとも一部を高周波電界により
    イオン化すると同時に、薄膜形成材料蒸発部と被蒸着物
    との間に印加される直流電界により蒸発粒子を加速して
    被蒸着物表面に薄膜を形成する高周波励起式イオンプレ
    ーティングを行う有彩色薄膜の製造方法であって、前記
    複数の薄膜形成材料蒸発部を無彩色薄膜形成材料及び有
    彩色薄膜形成材料で構成して前記蒸発面を相互に異なる
    薄膜形成材料を蒸発させる蒸発面となし、前記無彩色薄
    膜形成材料を不活性ガス雰囲気中で加熱蒸発させて高周
    波励起式イオンプレーティンを行い200〜1200Å
    厚の無彩色の下地層を形成し、それに引き続き前記真空
    容器の雰囲気を酸化性雰囲気にして当該酸化性雰囲気中
    で前記有彩色薄膜形成材料を加熱蒸発させて高周波励起
    式イオンプレーティングを行い100〜1000Å厚の
    金属酸化物からなる有彩色薄膜を形成する工程を含んで
    なることを特徴とする有彩色薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記有彩色薄膜形成材料がゲルマニウ
    ム、シリコン、亜鉛、チタン、鉄、アルミニウム、セリ
    ウム若しくはそれらの合金又は金属間化合物からなる群
    から選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記無彩色薄膜形成材料としてステンレ
    ス鋼を用いる一方、前記有彩色薄膜形成材料として金属
    チタンを用い、初めに不活性ガス雰囲気中でステンレス
    鋼を薄膜形成材料として高周波励起式イオン・プレーテ
    ィングを行い被蒸着物表面にステンレス鋼薄膜を形成
    し、次いで酸化性雰囲気中でチタンを薄膜形成材料とし
    て高周波イオン・プレーティングを行うことによりチタ
    ン酸化物薄膜を前記ステンレス鋼薄膜上に積層すること
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
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