JP3395581B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents
無段変速機の変速制御装置Info
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Description
制御装置に関し、特に手動変速モードを備えた変速制御
装置の改良に関する。
従来からベルト式やトロイダル式のものが考えられてお
り、これら無段変速機の変速制御装置では、車速VSP
とスロットル開度TVO(またはアクセル開度)に応じ
て目標変速比i*を決定する自動変速モードに加えて、
従来のマニュアル変速機と同様に、所定の目標変速比を
設定するマニュアルモードを備えたものが知られてい
る。これはシフトレバーのシフト位置に応じて無段変速
機の目標変速比を設定しており、車速VSPやスロット
ル開度TVOにかかわらず、運転者が所望の変速比を選
択可能としたものである。
のマニュアルモードとして、シフトレバー操作に連動し
て自動変速モードとマニュアルモードを切り換えるマニ
ュアルモード切換スイッチと、マニュアルモードのとき
に作動するUPスイッチおよびDOWNスイッチをそれ
ぞれ設け、シフトレバーの操作に応じて相対的に変速比
(変速段)を変更するものが従来から知られており、こ
れは自動変速モード「D」からシフトレバーを操作して
マニュアルモード切換スイッチをOFFからONにする
ことで従来のマニュアル変速機と同様のマニュアルモー
ドとなり、この状態でシフトレバーを「+」側へストロ
ークさせればUPスイッチがONとなってアップシフト
が指令される一方、同様にシフトレバーを「−」側へス
トロークさせればDOWNスイッチがONとなってダウ
ンシフトが指令され、現在の変速比に対して相対的に変
速比が変更される(このような変速制御を以下シーケン
シャルシフトという)。
変速制御装置においても、自動変速モードに加えて、マ
ニュアルモードとして上記のようなシーケンシャルシフ
トを実現することができ、例えばマニュアルモードの変
速段GPの数を6速とした場合、各変速段GPに応じて
目標変速比i(1)〜i(6)を予め設定しておき、上
述したようなシフトレバーの「+」または「−」側への
操作に応じて、順次相対的に目標変速比i(n)を切り
換えるようにする。マニュアルモードでは、手動で決定
される目標変速比i(n)に応じて、従来のマニュアル
変速機の変速段と同様に操作することができる。
速機の公知文献としては、例えば特開昭60−2566
64号公報がある。
うなマニュアルモードを備えた無段変速機の制御装置に
は次のような問題がある。すなわち、例えばマニュアル
モードでの変速比が4速設定されているものにおいて、
1速から加速を開始して2速へのシフトアップをする
と、エンジンが最大回転数に達してからシフトアップを
したとしても、変速比の減少に伴いエンジン回転数が大
きく低下するため駆動力が階段状に落ちてロスが生じて
加速力が低下してしまう。2速から3速、3速から4速
へのシフトアップのときにも同様である。
のものであり、無段自動変速機の自動変速モードに比較
すると動力性能が劣る結果となってしまう。この問題を
解決するには、駆動力の落差が小さくなるように手動変
速モードにより多くの変速比を設定することが考えられ
るが、そのようにするとこんどは変速操作を頻繁に行わ
なければならず運転がわずらわしいものとなってしま
う。
てなされたもので、手動変速モードでの変速段数を増や
すことなく優れた動力性能を発揮させることのできる無
段変速機の変速制御装置を提供することを目的としてい
る。
したように、車両の運転状態(例えば車速とエンジン負
荷)に応じて無段変速機の目標変速比を設定する自動変
速制御手段Aと、運転者によって操作される手動変速指
令手段Bからの信号に基づいて無段変速機の目標変速比
を予め設定した複数の変速段のうちのひとつに設定する
手動変速制御手段Cと、前記自動変速制御手段Aと手動
変速制御手段Cとを運転者の操作により選択的に切り換
える変速モード切換手段Dとを備えた無段変速機の変速
制御装置において、前記手動変速制御手段Cにより設定
される変速段の目標変速比を、予め定めた高車速域では
高速方向に変化させる変速比調整手段Eを設け、前記変
速比調整手段Eは、目標変速比を高速方向に変化させる
車速が、エンジン負荷が大であるほど高速側に設定され
ているものとする。
整手段Eを、エンジン負荷が大であるほど高速方向への
目標変速比の変化量が大となるように設定されているも
のとした。
整手段Eを、エンジン負荷が予め定めた負荷以上の領域
でのみ目標変速比を高速方向に変化させるように設定さ
れているものとした。
整手段Eを、同一負荷での目標変速比の変化量が低速段
ほど大きく設定されているものとした。
整手段Eを、予め定めた変速段でのみ目標変速比を高速
方向に変化させるように設定されているものとした。
整手段Eを、変化後の目標変速比が隣接する高速側変速
比よりも低速側となるように設定されているものとし
た。
整手段Eを、目標変速比を高速方向に変化させる特性を
複数種類備えると共に、運転者の操作により何れかの特
性に選択的に切り換える手動変速特性切換手段を有する
ものとした。
整手段Eを、目標変速比を高速方向に変化させない特性
を有するものとした。
による変速モードでの運転時において加速しながら所定
の高車速に達するとその変速段での変速比が高速側に変
化する。つまりこの間は高速側に向かって自動変速が行
われる。このようにして高速方向に変速比が変化した状
態で高速側変速段へとシフトアップがされると、それだ
けシフトアップ前後での変速比の差が小さくなっている
ので駆動力の落差も小さくなり、したがってより優れた
加速力が得られる。
高速方向に変化することにより加速力が確保されるの
で、手動変速モードでの変速段数を増やす必要はなく、
したがって変速操作がわずらわしくなるようなおそれも
ない。
負荷が大きいときにはできるだけ高速域まで大きい変速
比のままで加速したほうが良好な加速性能が得られる。
本発明では、目標変速比を高速方向に変化させる車速
が、エンジン負荷が大であるほど高速側に設定されてい
るので、このように高速域まで大きい変速比で加速させ
ることができる。
落差は高速側変速段方向への変速比の変化量を大とする
ほど小さくなり、加速性の点で有利となる。第2の発明
によれば、エンジン負荷が大であるほど高速方向への目
標変速比の変化量が大となるように設定されているの
で、要求負荷に応じて優れた加速性能が得られる。
た負荷以上の領域でのみ目標変速比を高速方向に変化さ
せるように設定されている。こうすることにより、大き
な加速力が要求されない比較的負荷の低い運転域のとき
に隣接する変速段間の変速比の差を大きく保って、手動
変速機らしい節度のある変速感覚をもたせることができ
る。
整手段を、同一負荷での目標変速比の変化量が低速段ほ
ど大きく設定されているものとしている。これにより、
発進加速で多用される低速段での加速力が相対的に高め
られるので、全体としても優れた加速性能が発揮される
ことになる。
標変速比を高速方向に変化させるように設定されてい
る。このような設定とすることにより制御が簡潔になる
とともに、例えば最高速側の変速段の変速比のみを高速
側に変化させるようにすればそれよりも下位の変速段に
ついては固定変速比としつつ相互間の変速比の差を小さ
くしていわゆるクロースレシオとすることができ、これ
により低速段においても違和感のない良好な加速性を確
保することが可能となる。
する高速側変速比よりも低速側となるように設定されて
いる。これはシフト時の駆動力の落差が必ず発生するよ
うにした設定であり、これにより加速性能を改善しなが
ら手動変速の節度感をある程度確保することができる。
させる特性を複数種類備えると共に、運転者の操作によ
り何れかの特性に選択的に切り換える手動変速特性切換
手段を有している。すなわち、この発明によれば、例え
ば上述した各発明の特性が複数備えられ、そのいずれか
を運転者の好みで選択可能となる。もちろん、該特性と
して、第8の発明のように、目標変速比を高速側に変化
させない固定変速比の変速段のみによる変速特性を備え
たものとすることができる。
説明する。
の縦断面構造を示す。これを説明すると、エンジン出力
軸10には流体式伝動装置としてのトルクコンバータ1
2が連結されている。流体式伝動装置としては、トルク
コンバータ12に代えてフルードカップリングが用いら
れる場合もある。
ッチ11を備えており、コンバータ室12cおよびロッ
クアップ油室12dの油圧を相反的に制御することによ
り、入力側のポンプインペラ12aと出力側のタービン
ランナ12bとを機械的に連結しまたは切り離し可能と
している。
3と連結され、回転軸13は前後進切換機構15と連結
されている。前後進切換機構15は、遊星歯車機構1
9、前進用クラッチ40、後退用ブレーキ50等から構
成されている。遊星歯車機構19の出力側は回転軸13
の外側に同軸的に嵌装された駆動軸14に連結されてい
る。駆動軸14にはベルト式無段変速機17のプライマ
リプーリ16が設けられている。
16とセカンダリプーリ26と、プライマリプーリ16
の回転力をセカンダリプーリ26に伝達するVベルト2
4などからなっている。
体に回転する固定円錐板18と、固定円錐板18に対向
配置されてV字状プーリ溝を形成すると共にプライマリ
プーリシリンダ室20に作用する油圧によって駆動軸1
4の軸方向に移動可能である可動円錐板22からなって
いる。プライマリプーリシリンダ室20は、この場合室
20aおよび室20bの2室からなっており、後述する
セカンダリプーリシリンダ室32よりも大きな受圧面積
を有している。
設けられている。セカンダリプーリ26は、従動軸28
と一体に回転する固定円錐板30と、固定円錐板30に
対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共にセカン
ダリプーリシリンダ室32に作用する油圧によって従動
軸28の軸方向に移動可能である可動円錐板34とから
なっている。
おり、この駆動ギヤ46はアイドラ軸52上のアイドラ
ギヤ48とかみ合っている。アイドラ軸52に設けられ
たピニオンギア54はファイナルギア44とかみ合って
いる。ファイナルギア44は差動装置56を介して図示
しない車輪に至るプロペラシャフトまたはドライブシャ
フトを駆動する。
力軸10から入力された回転力は、トルクコンバータ1
2および回転軸13を介して前後進切換機構15に伝達
され、前進用クラッチ40が締結されると共に後退用ブ
レーキ50が解放されている場合には一体回転状態とな
っている遊星歯車機構19を介して回転軸13の回転力
が同じ回転方向のまま無段変速機17の駆動軸14に伝
達され、一方前進用クラッチ40が解放されると共に後
退用ブレーキ50が締結されている場合には遊星歯車機
構19の作用により回転軸13の回転力は回転方向が逆
になった状態で駆動軸14に伝達される。
6、Vベルト24、セカンダリプーリ26、従動軸2
8、駆動ギア46、アイドラギア48、アイドラ軸5
2、ピニオンギア54、およびファイナルギア44を介
して差動装置56に伝達される。前進用クラッチ40お
よび後退用ブレーキ50の両方が解放されている場合に
は動力伝達機構は中立状態となる。
プーリ16の可動円錐板22およびセカンダリプーリ2
6の可動円錐板34を軸方向に移動させてVベルト24
との接触位置半径を変えることにより、プライマリプー
リ16とセカンダリプーリ26とのあいだの回転比つま
り変速比(プーリ比ともいう。)を変えることができ
る。例えば、プライマリプーリ16のV字状プーリ溝の
幅を拡大すると共にセカンダリプーリ26のV字状プー
リ溝の幅を縮小すれば、プライマリプーリ16側のVベ
ルト24の接触位置半径は小さくなり、セカンダリプー
リ26側のVベルト24のVベルトの接触位置半径は大
きくなるので、大きな変速比が得られることになる。可
動円錐板22および34を逆方向に移動させれば上記と
は逆に変速比は小さくなる。
ダリプーリ26のV字状プーリ溝の幅を変化させる制御
は、次に述べる制御系統を介してのプライマリプーリシ
リンダ室20(20a,20b)またはセカンダリプー
リシリンダ室32への油圧制御により行われる。
動変速制御手段、変速モード切換手段、および変速比調
整手段の機能を含めて上記した無段自動変速機の基本的
な変速比制御を行う機能を有する制御系統の概略を示
す。なお、図2において図1と対応する機構部分には同
一の符号を付して示してある。
する部分を中心に説明する。図において101はマイク
ロコンピュータ等からなる電子制御部、102は各種油
圧制御弁等からなる油圧制御部を示しており、この制御
系統では上記無段自動変速機の制御手段は主としてこれ
ら電子制御部101および油圧制御部102によって構
成されている。
中央演算部101A、中央演算部101Aにエンジンお
よび車両からの各種の運転状態信号を処理可能な形式に
変換して供給する入力部101B、および中央演算部1
01Aからの制御信号に基づいて油圧制御等のための各
種信号を出力する出力部101Cからなる。
料噴射量や点火時期を電子制御するためのコントロール
モジュール103によって利用される水温信号S1、ス
ロットル開度信号S2、エンジン回転信号S3、ABS
(アンチロックブレーキシステム)制御装置104から
のABS作動信号S4、車両の制動装置作動時に発せら
れる制動信号S5、セレクタレバー105の操作位置を
示す信号としてインヒビタスイッチから発せられるセレ
クタ位置信号S6、プライマリプーリ16の回転速度信
号S7、セカンダリプーリ26の回転速度信号S8など
が入力し、これらの信号を必要に応じて中央演算部10
1Aに供給する。
6、ライン圧制御部107、ロックアップ制御部108
からなり、それぞれ上記各種信号中から必要な所定の信
号を用いて制御信号を演算し、出力部101Cを構成す
るステップモータ駆動回路109、ライン圧ソレノイド
駆動回路110、ロックアップソレノイド駆動回路11
1を駆動することにより、無段変速機17の変速比、ラ
イン圧、ロックアップクラッチ11を制御する。
ル開度に代表されるエンジン負荷(TVO)や車速等に
応じて予め定められたパターンに従って変速が行われる
ようにステップモータ駆動回路109に制御信号を出力
する。この制御信号に基づき、ステップモータ駆動回路
109は油圧制御部102の変速制御弁112に連結し
たステップモータ113を駆動する。
モータ駆動回路109からの信号に対応した目標変速比
となるように変速制御弁112を駆動し、プライマリプ
ーリシリンダ室20とセカンダリプーリシリンダ室32
(図1参照)に供給するライン圧を相反的に増減させ
る。変速制御弁112にはリンク114を介してプライ
マリプーリ16の変位つまり変速比がフィードバックさ
れ、ステップモータ113の位置に応じた目標とする変
速比となったところで各プーリシリンダ室20,32へ
の油圧分配が一定化して当該目標変速比に安定するよう
になっている。
圧制御部102のライン圧ソレノイド115の位置を駆
動回路110からの制御信号に応じて制御し、これに応
じてライン圧ソレノイド115は、図示しない油圧ポン
プからの油圧力を、モディファイア(圧力制御弁)11
6およびレギュレータ(定圧弁)117を介して目標と
する適切なライン圧に調整して変速制御弁112ないし
各プーリ16,26に供給させる。
てロックアップソレノイド駆動回路111を介して油圧
制御部102のロックアップソレノイド118を駆動
し、これによりロックアップ制御弁119を切換制御す
る。
手段にあたるセレクタレバー105に連動する手動制御
弁であり、この手動制御弁120の位置に応じて、運転
者が指定した特定変速比ないし変速パターンに制御され
る状態(手動変速モード)、または電子制御部101に
よって運転状態に応じて決定された変速比に自動的に変
速制御される状態(自動変速モード)に油圧制御部10
2の回路が切り換えられる。
例を示したものであり、本発明ではこのような無段変速
機が手動変速モードで用いられる場合の加速性能を改善
することを要旨とするものである。次に、この点を変速
特性線図等を参照しながら詳述する。
制御特性線を示している。図に示されるように、この変
速制御では手動変速による変速段は第1〜4速の4段で
あり、変速比は基本的に各速の左側の特性線(以下「基
本特性線}という。)で表される。ただし、各速の変速
比は固定ではなく、前記基本特性線に沿って加速して行
く過程である車速に達すると同一エンジン回転速度(こ
の場合、プライマリプーリ回転速度で表す)を維持した
まま高速側つまり車速が増大する方向に変化しうる。
合スロットル開度TVOによって決められ、TVOが大
きいときほど高車速にて変速比が変化する。例えば、図
3においてTVO=3/8のときよりも、TVO=4/
8のときのほうが変速比が高速側に変化する車速が高
い。なお図ではTVOは便宜上n/8単位(n=0〜
8)で示してあるが、これらの中間のTVOにおいても
変速比が変化することは言うまでもない。
合基本特性線から隣接する変速比との中間値程度までに
設定されている。ただしトップギヤである第4速につい
てはそれ以上の変速段はないので、車両に求められる高
速性能や燃費性能あるいはエンジンの余裕出力等を考慮
して適宜定められることになる。
を図4に示す。この制御では、まずステップ(符号Sに
て示す。以下同様。)1にて、上述したセレクタレバー
105の位置検出に基づき、運転者により手動変速モー
ドまたは自動変速モードの何れが選択されているかが判
定される。手動変速モードとは運転者が選択した変速段
による固定的な変速特性で運転されるモード、自動変速
モードとは車速及びエンジン負荷等に応じて変速比が自
動的に決定されるモードである。
は自動変速モードでの制御となり、この場合には上述し
たように発進から最高速度に至るまで車両の変速比は自
動的に決定される状態となる。これに対して、手動変速
モードが選択されている場合には、次に運転者による変
速段指令位置(この場合手動変速弁120の位置に応じ
て定まる第1速〜第4速のいずれか)、負荷代表値とし
てのスロットル開度TVO、車速、現在のプーリ比ip
が検出されまたは読み込まれる(S2)。
る(S3)。可変比条件とは、図3に示したように目標
変速比ip’を基本特性線から高速側へと変化させる特
性を用いる条件(S4)である。これに対して、固定比
条件とは基本特性線のみに従って目標変速比ip’が決
められる条件(S5)である。これは、手動変速モード
において運転者の意思に応じていずれかを選択しうるよ
うにしたものを想定しているが、この他にもエンジン負
荷等の運転状態に応じて何れかの条件が自動的に選択さ
れるような構成とすることも可能である。なお、これら
の特性の切換えは、スロットル開度および車速に応じて
所定の目標変速比ip’が得られるようなマップをメモ
リ上に複数形成しておくことにより容易に実現できる。
ると、次にこれを現プーリ比ipと比較し(S6)、i
p=ip’であれば目標値通りの実変速比となっている
ので該変速比を維持べくip’をそのまま変速比制御部
に出力する(S7〜S8)。これに対して、ip≠i
p’の場合、これは自動変速モードから手動変速モード
に移行した直後、あるいは手動変速モードにおいてアッ
プダウンのシフトを行った直後には目標値ip’と現プ
ーリ比ipとは通常は一致しないので、そのときの現i
pに対して最寄りの変速段の変速比を目標変速比ip’
として設定し出力するのである(S8〜S9)。
段において図3に示したようなプーリ比が可変となる手
動変速モードでの変速比が設定される。変速制御部10
6では、このようにして決定された目標変速比ip’に
基づき、既述したとおり、プライマリプーリ16の位置
をフィードバックしながらステップモータ113および
変速制御弁112を駆動して実際のプーリ比が目標値と
なるように変速比制御を行う。
比可変制御による効果について、図5を参照しながら説
明する。これは一例としてTVO=4/8一定で第1速
から第2速へとシフトアップしたときの変速比と車速の
変化を示している。加速の当初は第1速の基本特性線に
沿って一定の変速比で加速が行われる。この加速の途中
でTVO=4/8での変速比変化開始点(A点)、車速
にして約45km/hに達すると、変速比は高速側に向かっ
て変化し、これに伴いプライマリプーリ回転速度はほぼ
一定のまま車速のみ増加して行く。
られた運転点であり、この点に達した後も第1速のまま
加速を続けると、B点での変速比を保ったままプライマ
リプーリ回転速度及び車速が上昇して行く。これに対し
て、B点の付近で第2速にシフトアップがされたとする
と、第2速の基本特性線での変速比に移行するためにプ
ライマリープーリ回転速度は一時的に第2速でのそのと
きの車速に対応するC点にまで降下したのち加速が続け
られる。
したのち、該第2速の基本特性線での加速の過程で再び
TVO=4/8での変速比変化開始点(D点)、車速に
して約95km/hに達すると、変速比は高速側に変化し、
これに伴いプライマリプーリ回転速度がほぼ一定のまま
変速比変化の上限であるE点に向かって車速を上昇させ
てゆく。E点以降は、第2速のままとすれば変化後の変
速比の上限を保ったまま、エンジンの余裕出力ないし回
転限界で決まる速度までF点に向かって加速が続けられ
ることになる。
線上のA点で第2速へのシフトアップをしたとすると、
このときの車速での第2速の基本特性線上の点はC’で
あり、A−C’間でプライマリプーリ回転速度にして約
2500rpmもの落差を生じる。これは基本特性線に
変速比が固定されている特性下での手動変速を行った場
合に相当し、前述の通り大きな回転数落差が生じて低速
回転速度からの加速となる。これに対して、本発明では
A点よりも高車速であるB点にてシフトアップをするこ
とができ、この場合は第2速の基本特性線上のC点との
回転数差は1500rpmほどであり、それだけ高回転
からの加速となるので、より優れた加速性能が得られ
る。
図3に示したようにスロットル開度TVOが大であるほ
ど高速側に設定されている。したがって、加速要求の強
い高負荷時ほど低速側の変速比で加速される時間が長く
なり、要求に見合った加速性能が発揮されることにな
る。
幅は隣接する変速段の基本特性線よりも低速側にて設定
されているが、この設定により変速したときに必ず回転
数の落差が生じることになり、これにより手動変速に特
有の節度感が得られる。ただし、変速比の変化幅が隣接
する変速段の基本特性線に重複するような設定とするこ
とも可能であり、この場合にはシフトアップ時の回転数
落差をゼロにできるので、前述の節度感が少なくなる代
わりに加速性能は最高となる。
特性を示したものである。これは所定の負荷、この場合
スロットル開度TVOが4/8以上の領域でのみ変速比
を変化させるようにしたものである。これは例えば図4
のS3での条件判定においてTVO≧4/8の判定条件
を設定することにより容易に実現することができる。こ
のように比較的負荷の高い運転域でのみ変速比を変化さ
せるものとすることにより、それほど加速力が要求され
ない比較的負荷の低い運転域のときに隣接する変速段間
の変速比の差を大きく保って、手動変速機らしい節度の
ある変速感覚をもたせることができる。
特性を示したもので、トップギヤである第4でのみ変速
比を高速側に変化させるようにしたものである。こうす
ると、第4速での加速幅ないしは車速の伸びが大きくな
るので、その分だけ第4速の基本特性線の変速比および
第1〜第3速の変速段の変速比を低速側に設定すること
ができ、これにより第1〜第3速さらには第4速の基本
特性線の変速比の差を小さくしてクロースレシオとする
ことができ、固定変速比とした第1〜第3速の低速段に
おいても良好な加速性を確保することが可能となる。
断面図。
Claims (8)
- 【請求項1】 車両の運転状態に応じて無段変速機の目
標変速比を設定する自動変速制御手段と、 運転者によって操作される手動変速指令手段からの信号
に基づいて無段変速機の目標変速比を予め設定した複数
の変速段のうちのひとつに設定する手動変速制御手段
と、 前記自動変速制御手段と手動変速制御手段とを運転者の
操作により選択的に切り換える変速モード切換手段とを
備えた無段変速機の変速制御装置において、 前記手動変速制御手段により設定される変速段の目標変
速比を、予め定めた高車速域では高速方向に変化させる
変速比調整手段を設け、かつ前記変速比調整手段は、目
標変速比を高速側に変化させる車速が、エンジン負荷が
大であるほど高速側に設定されていることを特徴とする
無段変速機の変速制御装置。 - 【請求項2】 変速比調整手段は、エンジン負荷が大で
あるほど高速方向への目標変速比の変化量が大となるよ
うに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の
無段変速機の変速制御装置。 - 【請求項3】 変速比調整手段は、エンジン負荷が予め
定めた負荷以上の領域でのみ目標変速比を高速方向に変
化させるように設定されていることを特徴とする請求項
1に記載の無段変速機の変速制御装置。 - 【請求項4】 変速比調整手段は、同一負荷での目標変
速比の変化量が低速段ほど大きく設定されていることを
特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装
置。 - 【請求項5】 変速比調整手段は、予め定めた変速段で
のみ目標変速比を高速方向に変化させるように設定され
ていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の
変速制御装置。 - 【請求項6】 変速比調整手段は、変化後の目標変速比
が隣接する高速側変速比よりも低速側となるように設定
されていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速
機の変速制御装置。 - 【請求項7】 変速比調整手段は、目標変速比を高速側
に変化させる特性を複数種類備えると共に、運転者の操
作により何れかの特性に選択的に切り換える手動変速特
性切換手段を有することを特徴とする請求項1に記載の
無段変速機の変速制御装置。 - 【請求項8】 変速比調整手段は、目標変速比を高速方
向に変化させない特性を有することを特徴とする請求項
7に記載の無段変速機の変速制御装置。
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