JP3394838B2 - ガラスファイバー用プリフォーム及びガラスファイバーの製造方法 - Google Patents

ガラスファイバー用プリフォーム及びガラスファイバーの製造方法

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JP3394838B2
JP3394838B2 JP08253895A JP8253895A JP3394838B2 JP 3394838 B2 JP3394838 B2 JP 3394838B2 JP 08253895 A JP08253895 A JP 08253895A JP 8253895 A JP8253895 A JP 8253895A JP 3394838 B2 JP3394838 B2 JP 3394838B2
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    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

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  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コア・クラッド一体型
のカルコゲナイドガラスファイバー用プリフォームを製
造する方法に関するものであり、また前記方法で得られ
たプリフォームを用いて赤外光特に1〜14μmの光を
透過するのに好適なカルコゲナイドガラスファイバーを
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カルコゲナイドガラスを用いてコア・ク
ラッド一体型のプリフォームを作成する方法としてキャ
スト法が知られている。このキャスト法はチューブ状に
加工されたクラッドガラスに溶融したコアガラスを流し
込む方法である。
【0003】さらに他の方法として、特開平1−230
440号公報には、底部が閉鎖された石英チューブの中
にクラッドガラスチューブを入れ、さらに該クラッドガ
ラスチューブの中にコアガラスロッドを入れた状態で、
コアガラスロッドとクラッドガラスチューブとの間隙を
減圧にし、かつクラッドガラスチューブと石英チューブ
との間隙を加圧しつつ、石英チューブ外側をリングヒー
ターで加熱することによって、コアガラスとクラッドガ
ラスを合体させ、コア・クラッド一体型のプリフォーム
を作成する方法が提案されている。
【0004】そして上記キャスト法および特開平1−2
30440号公報記載の方法により得られたプリフォー
ムを加熱紡糸することによりカルコゲナイドガラスファ
イバーが得られる。
【0005】一方、コア用ガラスロッドとクラッド用ガ
ラスチューブを用いて、プリフォームを経ずに直接カル
コゲナイドガラスファイバーを製造する方法として、特
開平1−226748号公報には、コア用ロッドを収容
したクラッド用チューブを、下端にクラッド用チューブ
の外径よりも小さい開口部を有する石英チューブの中に
収納し、コア用ロッドとクラッド用チューブとの間隙の
気体圧力よりもクラッド用チューブと石英チューブとの
間隙の気体圧力が高くなるように調節しながら、石英チ
ューブの下端以下の領域を局所的に加熱、紡糸してファ
イバーを得る方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】カルコゲナイドガラス
は熱的に不安定であることは良く知られている。従って
上述のキャスト法によるカルコゲナイドガラスプリフォ
ームの製造方法においては、プリフォームの製造過程で
ガラスが失透するという問題がある。また溶融したコア
ガラスはキャスト中に気泡を取り込みやすく、この気泡
がコアガラス中やコアガラスとクラッドガラスとの界面
に泡として残り、このような泡を含むプリフォームをフ
ァイバーにした場合、伝送損失を悪化させる原因となっ
ていた。またこのキャスト法では、クラッド径に対して
コア径の著しく小さいシングルモードファイバー用プリ
フォームを製造することは不可能であった。
【0007】上記特開平1−230440号公報に記載
された、底部が閉鎖された石英チューブの中で圧力調整
下にコアガラスとクラッドガラスを合体させてプリフォ
ームを得る方法は、キャスト法に比べてガラスの失透お
よびコアガラス中またはコアガラス−クラッドガラス界
面での泡の発生の問題がかなり改善されているが、得ら
れたプリフォームは、コアガラスとクラッドガラスとの
間の密着性が十分とは言えず、その改善が望まれてい
た。またこのプリフォーム製造法もクラッド径に対して
コア径の著しく小さいシングルモードファイバー用プリ
フォームを製造することは不可能であった。
【0008】一方、上記特開平1−226748号公報
に記載された、コアガラスロッドとクラッドガラスチュ
ーブから、プリフォームを経ずに直接ガラスファイバー
を製造する方法は、コアガラスロッドを収容したクラッ
ドガラスチューブを始めから高温の紡糸温度に加熱しな
ければならず、このためカルコゲナイドガラスが失透し
やすく、また揮発により組成変化しやすいという問題が
あった。またこのファイバー直接製造法では、クラッド
径に比してコア径の著しく小さいシングルモードファイ
バーが得られにくいという欠点がある。さらにこのファ
イバー直接製造法は、径の異なるファイバーを得ようと
する場合、それぞれ異なる径の紡糸孔を有する石英チュ
ーブを複数個用意しなければならず、また特定の径のフ
ァイバーが必要になった場合、短期間にそのファイバー
を調達することが困難である。
【0009】従って本発明の第1の目的は、上記従来法
で認められるガラスの失透、コアガラス中またはコアガ
ラス−クラッドガラス界面での泡の発生、コアガラス−
クラッドガラス界面の密着性不良などの問題を改善した
カルコゲナイドガラスファイバー用プリフォームの製造
方法を提供することにある。
【0010】また本発明の第2の目的は、クラッド径に
比較してコア径の著しく小さいシングルモードファイバ
ーを得るに好適なカルコゲナイドガラスファイバー用プ
リフォームの製造方法を提供することにある。
【0011】また本発明の第3の目的は、上記第1の目
的または第2の目的を達成するカルコゲナイドガラスフ
ァイバー用プリフォームの製造方法によって得られたプ
リフォームを用いて、異なる径の紡糸孔を有する石英チ
ューブを用いずに、紡糸条件により異なる径のファイバ
ーを失透や揮発による組成変化を起すことなく短期間に
得ることができるカルコゲナイドガラスファイバーの製
造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、コア
用カルコゲナイドガラス材料を収容したクラッド用カル
コゲナイドガラスチューブを、クラッド用ガラスチュー
ブの外径よりも口径が小さい開口部を底部に有する石英
ガラスチューブに収納し、石英ガラスチューブの底部を
紡糸温度よりも40〜150℃低い温度で局所的に加熱
し、コア用ガラス材料を収容したクラッド用ガラスチュ
ーブを前記の開口部より、クラッド用ガラスチューブの
先端におもりを下げた状態で引き出して、前記のコア用
ガラス材料と前記のクラッド用ガラスチューブとを一体
化することを特徴とするカルコゲナイドガラスファイバ
ー用プリフォームの製造方法によって達成された。
【0013】また上記第2の目的は、上記第1の目的を
達成するカルコゲナイドガラスファイバー用プリフォー
ムの製造方法によって得られたプリフォームをコア用ガ
ラス材料とし、これをクラッド用ガラスチューブに収容
して、上記第1の目的を達成するガラスファイバー用プ
リフォームの製造方法を一度以上繰り返し、クラッド径
に比してコア径が極小のシングルモードファイバー用プ
リフォームを得ることを特徴とするカルコゲナイドガラ
スファイバー用プリフォームの製造方法によって達成さ
れた。
【0014】また上記第3の目的は、上記第1の目的ま
たは第2の目的を達成するカルコゲナイドガラスファイ
バー用プリフォームの製造方法により得られたプリフォ
ームを密着被覆材で密着被覆し加熱紡糸することを特徴
とするカルコゲナイドガラスファイバーの製造方法によ
って達成された。
【0015】先ず第1の目的を達成するカルコゲナイド
ガラスファイバー用プリフォームの製造方法(以下プリ
フォーム製造方法(I)という)について説明する。
【0016】このプリフォーム製造方法(I)は、コア
用カルコゲナイドガラス材料を収容したクラッド用カル
コゲナイドガラスチューブを、クラッド用ガラスチュー
ブの外径よりも口径が小さい開口部を底部に有する石英
ガラスチューブに収納し、石英ガラスチューブの底部を
紡糸温度よりも40〜150℃低い温度で局所的に加熱
し、コア用ガラス材料を収容したクラッド用ガラスチュ
ーブを前記の開口部より、クラッド用ガラスチューブの
先端におもりを下げた状態で引き出して、前記のコア用
ガラス材料と前記のクラッド用ガラスチューブとを一体
化することによりカルコゲナイドガラスファイバー用プ
リフォームを得るものである。
【0017】このプリフォーム製造方法(I)によれ
ば、コア用ガラス全体を加熱溶融する従来のキャスト法
と異なり、ガラス材料は石英ガラスチューブの底部で局
所的に加熱されるだけであり、従来のキャスト法で見ら
れたガラスの失透やコアガラス中またはコアガラス−ク
ラッドガラス界面での泡の発生の問題が改善される。
【0018】またこのプリフォーム製造方法(I)によ
れば、コア用ガラス材料を収容したクラッドガラスチュ
ーブを加熱した後、石英ガラスチューブの底部の開口部
から引き出すという動的状態で強制的にコアガラスとク
ラッドガラスとが溶融一体化したプリフォームが得られ
る。従って底部に開口部を有しない底部閉鎖型石英ガラ
スチューブ内で、コアガラス材料を収容したクラッドガ
ラスチューブを静的状態で加熱してコアガラスとクラッ
ドガラスを合体させる、上記特開平1−230440号
公報に記載の方法に比べて、このプリフォーム製造方法
(I)は、コアガラスとクラッドガラスの密着性が優れ
たプリフォームが得られるという利点がある。
【0019】プリフォーム製造方法(I)において、コ
ア用ガラス材料とクラッド用ガラスチューブとの間隙
(i)の圧力をクラッド用ガラスチューブと石英ガラスチ
ューブとの間隙(ii)の圧力よりも相対的に低くするのが
好ましく、これによりガラスの失透、コアガラス中また
はコアガラス−クラッドガラス界面での泡の発生の問題
がさらに改善され、コアガラスとクラッドガラスの密着
性もさらに向上したものとなる。特に間隙(i)を減圧状
態とし、間隙(ii)を加圧状態とするのが好ましい。コア
用ガラス材料とクラッド用ガラスチューブとの間隙(i)
の圧力は、15Pa以下が好ましく、1.5Pa以下が
特に好ましい。クラッド用ガラスチューブと石英ガラス
チューブとの間隙(ii)の圧力は2.0×10 4 Pa以上
が好ましく、2.0×10 5 Pa以上が特に好ましい。
【0020】プリフォーム製造方法(I)において、石
英ガラスチューブの底部の加熱温度を紡糸温度よりも低
い温度とするのが好ましい。加熱温度を紡糸温度よりも
低い温度とすることにより、大径のプリフォームを得る
ことが可能となり、またプリフォーム製造時におけるガ
ラスの失透を防止できる。
【0021】石英ガラスチューブの底部の加熱温度(T
H)は、紡糸温度(TF)よりも40〜150℃低い温度
とするのが特に好ましい。その理由は以下のとおりであ
る。TH>(TF−40)未満であって、比較的に高温で
あると、熱的に不安定なカルコゲナイドガラスは失透し
やすく、特にコアガラス内部や、コアガラスとクラッド
ガラスの界面に結晶化を生じやすく、このプリフォーム
を紡糸してファイバーにしたときに、ファイバーの伝送
損失を著しく悪化させてしまい、またガラス成分の揮発
により、組成変化を起こす原因にもなる。一方、TH<
(TF−150)であって、比較的に低温であると、カ
ルコゲナイドガラスが十分に軟化せず、石英ガラスチュ
ーブの開口部からコアガラスと一体となったクラッドガ
ラスを引き出すことが出来なかったり、例え引き出すこ
とができても、コアガラスとクラッドガラスの十分な密
着性が得られず、伝送損失が悪くなったり、ファイバー
強度が低下したりする。
【0022】コア用ガラス材料を収容したクラッド用ガ
ラスチューブを石英ガラスチューブから引き出すとき
に、クラッド用ガラスチューブの先端におもりを下げる
ことが好ましい。おもりを下げた場合には次のような効
果がある。
【0023】(ア)プリフォームが直棒化して、このプリ
フォームを紡糸してファイバーにするときにファイバー
歩留りが向上する。
【0024】(イ)プリフォームの引き出し速度が一定し
て、プリフォーム径が安定して、(ア)と同じ効果(ファ
イバー歩留りの向上)が得られる。
【0025】おもりの重さは適宜定められるが、一般に
50g以上が好ましい。
【0026】次に第2の目的を達成するカルコゲナイド
ガラスファイバー用プリフォームの製造方法(以下プリ
フォーム製造方法(II)という)について説明する。
【0027】このプリフォーム製造方法(II)は、上記
プリフォームの製造方法(I)で得られたカルコゲナイ
ドガラスファイバー用プリフォームをコア用ガラス材料
とし、これをクラッド用ガラスチューブに収容して上記
プリフォーム製造方法(I)を一度以上繰り返すことを
特徴とし、これにより、クラッド径に比較してコア径が
極小のシングルモードファイバー用プリフォームを得る
ことができる。
【0028】このシングルモードファイバー用のプリフ
ォーム製造方法(II)は、基本的に上記プリフォーム製
造方法(I)を繰り返すものであるから、上記プリフォ
ーム製造方法(I)によって得られる利点(失透および
泡の防止、密着性の改善)は、このプリフォーム製造方
法(II)の実施によってももたらされることはもちろん
である。
【0029】上記方法(I)または方法(II)で得られ
たガラスファイバー用プリフォームは、これを常法によ
り紡糸することによりガラスファイバーを得ることがで
き、得られたガラスファイバーを、樹脂を収容した容器
内を通過させることにより、ガラスファイバーに樹脂か
らなる保護被覆層を形成することもできる。用いられる
樹脂としてはUV硬化型樹脂が好ましいが、ファイバー
保護機能を有するものであれば、これに限定されるもの
ではなく、例えば熱硬化型樹脂などを用いることができ
る。
【0030】次に第3の目的を達成するカルコゲナイド
ガラスファイバーの製造方法について説明する。
【0031】このガラスファイバーの製造方法は、上記
プリフォーム製造方法(I)または(II)により得られ
たカルコゲナイドガラスファイバー用プリフォームを密
着被覆材で密着被覆し、加熱紡糸してカルコゲナイドガ
ラスファイバーを得るものである。
【0032】このガラスファイバーの製造方法によれ
ば、プリフォームを密着被覆材で被覆することにより、
紡糸時に高価な石英チューブを使用せず、紡糸温度、紡
糸速度などの加工条件を変えることにより自由にファイ
バー径の異なるファイバーを製造できる。またプリフォ
ームを予め準備しておくことにより、必要な場合に短時
間でファイバーを製造できる。またこのガラスファイバ
ーの製造方法によれば、プリフォームに密着被覆された
密着被覆材により、紡糸時の加熱によるカルコゲナイド
ガラスの揮発による組成変化が抑えられ、所望の性質を
有するカルコゲナイドガラスファイバーを製造すること
ができる。
【0033】この密着被覆材としては、プリフォームと
の密着性が良く、紡糸時の加熱によるカルコゲナイドガ
ラスの揮発を防止し得るものであれば、いかなる材料か
らなるものでもよいが、特に熱収縮チューブを用いるこ
とにより、プリフォームの周囲への密着被覆性が特に良
好なものとなり、プリフォームからのガラス成分の揮発
を著しく抑えることができる。また熱収縮チューブは一
般に石英ガラスチューブと比べて開口部が滑らかなた
め、例えば、プリフォームの先端部を除いた領域を熱収
縮チューブにより密着被覆し、プリフォームを加熱紡糸
する場合、ファイバーに傷が発生することを防止するこ
とができる。
【0034】熱収縮チューブとしては、(a) テフロンF
EP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合
体)、ポリフッ化ビニリデン、テフロンPFA(四フッ
化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合
体)、テフロンTFE(ポリ四フッ化エチレン樹脂)な
どのフッ素樹脂系熱収縮チューブ、(b) シリコーンゴム
系熱収縮チューブ、(c) ネオプレン、バイトンなどの合
成ゴム系熱収縮チューブ、(d) 架橋ポリオレフィンなど
のポリオレフィン系熱収縮チューブ、(e) 塩化ビニル系
熱収縮チューブなどを挙げることができるが、融点ない
し軟化点がカルコゲナイドガラスの融点と近い熱収縮チ
ューブを用いると、熱収縮チューブの熱収縮によるプリ
フォームへの密着被覆とファイバーの紡糸を同時に行な
うことができるので好ましい。このような熱収縮チュー
ブとしては、テフロンなどのフッ素系樹脂が挙げられ
る。このフッ素系樹脂は、熱透過性に優れているので石
英ガラスに比べて加熱に要する時間が短縮され、歩留り
を向上させることができる点でも優れている。
【0035】密着被覆材によりプリフォームの周囲の全
領域を被覆してもよく、またプリフォームの周囲の加熱
紡糸する先端部を除く領域を被覆してもよい。前者の場
合には、プリフォームと密着被覆材とが同時に加熱紡糸
され、コアガラス、クラッドガラスおよび密着被覆材の
三層構造のガラスファイバーが得られる。また後者の場
合には、プリフォームのみが加熱紡糸され、コアガラス
およびクラッドガラスの二層構造のガラスファイバーが
得られる。この場合には、紡糸後の二層構造のファイバ
ーを、樹脂を収容した容器内を通過させ、ファイバーに
樹脂からなる保護被覆層を形成することができる。用い
られる樹脂としては既に述べたようにUV硬化型樹脂が
好ましいが、ファイバー保護機能を有するものであれ
ば、これに限定されるものではなく、例えば熱硬化型樹
脂などを用いることができる。
【0036】以上本発明のガラスファイバー用プリフォ
ームの製造方法(I),(II)およびガラスファイバー
の製造方法について説明してきたが、 本明細書におい
て、カルコゲナイドガラスとは、最広義に解するものと
し、周期率表6B族のうちカルコゲン元素S、Se、T
eを主成分とし、As、P、Sb、Si、Ge、Snな
どを含むガラスを総称する。さらにフッ化物ガラスのよ
うに、揮発性を有するガラスに本発明の方法を適用する
ことも可能である。
【0037】
【実施例】
[実施例1] (1)プリフォームの製造例 まず、図1にしたがって実施例を説明する。コアガラス
ロッド2を挿入したクラッドガラスチューブ3を石英ガ
ラスチューブ1の中に封入した。この石英ガラスチュー
ブ1の底部4には、クラッドガラスチューブ3の外径よ
りも口径の小さい開口部5が設けられている。石英ガラ
スチューブ1の上部6に、石英ガラスチューブ1とクラ
ッドガラスチューブ3との間隙8に連結した加圧管7を
取り付け、この加圧管7より極く微量のArガスを流入
し、間隙8をArガス雰囲気とした。一方コアガラスロ
ッド2とクラッドガラスチューブ3との間隙9に連結し
て取り付けた減圧管10より真空ポンプによって間隙9
を圧力1.5Paとして減圧状態とした。
【0038】コアガラスロッド2の組成をat%でGe
5/As42/S53とし、クラッドガラスチューブ3
の組成を同じくat%でGe5/As40/S55とし
た。このとき、クラッドガラスチューブ3の外径は1
2.5mmφ、内径を10.5mmφとし、コアガラス
ロッド2の外径を9.5mmφとし、石英ガラスチュー
ブ1の開口部5の径を9mmφとした。
【0039】石英ガラスチューブ1の開口部5付近をリ
ングヒーター13によって300℃に加熱し、クラッド
ガラスチューブ3の先端が軟化し、開口部5に隙間なく
密着したとき、加圧管7よりArガスを流入し、間隙8
を圧力2×10 5 Paとした。石英ガラスチューブの開
口部5よりプリフォーム11の先端15が押し出されて
きたとき、直ちにプリフォーム11の先端部15に10
0gのおもり16を所定の方法でつり下げた。プリフォ
ーム11は引き出し速度4mm/分で引き出した。得ら
れたプリフォーム11の外径は6mm/φであった。得
られたプリフォーム11は、ガラスの失透およびコアガ
ラス中またはコアガラス−クラッドガラス界面での泡の
発生が認められなかった。またコアガラス−クラッドガ
ラス界面の密着性が優れていた。
【0040】(2)ガラスファイバーの製造例 上記(1)で得られたプリフォームを用いてガラスファ
イバーを得た。
【0041】図2に示すように、上記(1)で得られた
プリフォーム11の外周を熱収縮性フッ素樹脂(テフロ
ンFEP)からなる熱収縮チューブ12で密着被覆し、
このプリフォーム11の下部周囲をリングヒーター13
によって、390℃に加熱し、紡糸しファイバー14を
得た。
【0042】こうして得られたファイバー14は、コア
ガラス、クラッドガラスおよび熱収縮樹脂の三層構造か
らなり、2.4μmの波長での損失は0.1dB/mで
あった。
【0043】(3)比較製造例 比較のため、上記(1)で用いたと同一組成のコアガラ
スロッドおよびクラッドガラスチューブを用いて、底部
が閉鎖されている石英チューブでコアガラスロッド収容
クラッドガラスチューブを加熱する前記特開平1−23
0440号公報に記載の方法でプリフォームを作成し、
次いで上記(2)と同一の方法で加熱紡糸してガラスフ
ァイバーを得た。得られたガラスファイバーについて上
記(2)と同様に測定した結果、2.4μmの波長での
損失は0.4dB/mであった。
【0044】さらに比較のため上記(1)で用いたと同
一組成のコアガラスロッドおよびクラッドガラスチュー
ブを用い、コアガラスロッドを収容したクラッドガラス
チューブを、底部に開口部を有する石英ガラスチューブ
に収納し、特開平1−226748号公報に記載の方法
に従ってプリフォームを経ずに直接ガラスファイバーを
製造した。このようにして得られたガラスファイバーの
損失は2.4μmの波長で0.3dB/mであった。
【0045】[実施例2] (1)プリフォームの製造例 実施例1の(1)と同様な方法を繰り返したが、但し、
コアガラスロッド2の組成をat%でGe27/As3
0/Se43とし、クラッドガラスチューブ3の組成を
at%でGe25/As29/Se46とした。このと
き、クラッドガラスチューブ3の外径を12.5mm
φ、内径を10.5mmφとし、コアガラスロッド2の
外径を9.5mmφとし、石英ガラスチューブ1の開口
部5の径を9mmφとした。加熱温度は400℃であ
り、引き出しスピードは2mm/分である。得られたプ
リフォーム11は、外径6.5mmφであり、実施例1
で得られたプリフォームと同様に、ガラスの失透および
泡の発生がなく、またコアガラスとクラッドガラスとの
密着性が優れていた。
【0046】(2)ガラスファイバーの製造例 上記(1)で得られたプリフォーム11の外周を熱収縮
フッ素樹脂(フッ化ビニリデン)からなる熱収縮チュー
ブ12で被覆し、このプリフォーム11の下部周囲をリ
ングヒーター13によって、500℃に加熱し、紡糸し
ファイバー14を得た。
【0047】こうして得られたファイバー14の6μm
の波長での損失は、0.4dB/mであった。
【0048】(3)比較製造例 上記(1)で用いたと同一組成のコアガラスロッドおよ
びクラッドガラスチューブを用いて、特開平1−230
440号公報の方法によりプリフォームを作成し、上記
(2)と同一の方法で加熱紡糸してガラスファイバーを
得た。得られたガラスファイバーについて上記(2)と
同様に測定した結果、6μmの波長での損失は0.6d
B/mであった。
【0049】また上記(1)で用いたと同一組成のコア
ガラスロッドとクラッドガラスチューブを用い、特開平
1−226748号公報に記載の方法に従ってプリフォ
ームを経ずに直接ガラスファイバーを得た。得られたフ
ァイバーについて上記(2)と同様に測定した結果、6
μmの波長での損失は0.55dB/mであった。
【0050】[実施例3] (1)プリフォームの製造例 実施例1の(1)と同様な方法を繰り返したが、但し、
コアガラスロッド2の組成をat%でGe24/Se2
1/Te55とし、クラッドガラスチューブ3の組成を
at%でGe23/Se24/Te53とした。このと
き、クラッドガラスチューブ3の外径は12.5mm
φ、内径を10.5mmφとし、コアガラスロッド2の
外径を9.5mmφとし、石英ガラスチューブ1の開口
部5の径を9mmφとした。加熱温度は400℃であ
り、引き出しスピードは2mm/分である。得られたプ
リフォーム11は外径8.0mmφであり、実施例1で
得られたプリフォームと同様に、ガラスの失透および泡
の発生がなく、またコアガラスとクラッドガラスとの密
着性に優れていた。
【0051】(2)ガラスファイバーの製造例 上記(1)で得られたプリフォーム11の外周を熱収縮
フッ素樹脂(テフロンFEP)からなる熱収縮チューブ
12で被覆し、このプリフォーム11の下部周囲をリン
グヒーター13によって、440℃に加熱し、紡糸しフ
ァイバー14を得た。
【0052】こうして得られたファイバー14の8μm
の波長での損失は0.4dB/mであった。
【0053】(3)比較製造例 上記(1)で用いたと同一組成のコアガラスロッドおよ
びクラッドガラスチューブを用いて、特開平1−230
440号公報の方法によりプリフォームを作成し、上記
(2)と同一の方法で加熱紡糸してガラスファイバーを
得た。得られたガラスファイバーについて上記(2)と
同様に測定した結果、8μmの波長での損失は0.6d
B/mであった。
【0054】また上記(1)で用いたと同一組成のコア
ガラスロッドとクラッドガラスチューブを用い、特開平
1−226748号公報に記載の方法に従ってプリフォ
ームを経ずに直接ガラスファイバーを得た。得られたフ
ァイバーについて上記(2)と同様に測定した結果、8
μmの波長での損失は0.55dB/mであった。
【0055】[実施例4] (1)プリフォームの製造例 実施例1の(1)と同様な方法を繰り返したが、但し、
コアガラスロッド2の組成をat%でAs40/S60
とし、クラッドガラスチューブ3の組成をat%でGe
2/As37/S61(第一組成)とした。このとき、
クラッドガラスチューブ3の外径は15.5mmφ、内
径を8.0mmφとし、コアガラスロッド2の外径を
7.5mmφとし、石英ガラスチューブ1の開口部5の
径を8mmφとした。加熱温度は310℃であり、引き
出しスピードは2mm/分である。得られたプリフォー
ム11は外径6.5mmφであり、実施例1で得られた
プリフォームと同様に、ガラスの失透および泡の発生が
なく、またコアガラスとクラッドガラスとの密着性に優
れていた。
【0056】さらに、得られたプリフォーム11をコア
ガラスロッド2として、クラッドガラスチューブ3の組
成をat%でGe2/As37/S61(第一組成)と
して上述の方法を繰り返した。このとき、クラッドガラ
スチューブ3の外径は15.5mmφ、内径を7.5m
mφとし、コアガラスロッド2の外径を6.5mmφと
し、石英ガラスチューブ1の開口部5の径を8mmφと
した。加熱温度は310℃であり、引き出しスピードは
2mm/分である。得られたプリフォーム11は外径
6.5mmφであり、実施例1で得られたプリフォーム
と同様に、ガラスの失透および泡の発生がなく、またコ
アガラスとクラッドガラスとの密着性に優れていた。
【0057】同様に得られたプリフォーム11をコアガ
ラスロッド2として上述の方法を2回繰り返した。この
様にして得られたプリフォーム11をさらにコアガラス
ロッド2として、クラッドガラスチューブ3の組成をa
t%でGe1.5/As38/S60.5(第二組成)
として上述の方法を繰り返した。得られたプリフォーム
11は外径6.5mmφであり、実施例1で得られたプ
リフォームと同様に、ガラスの失透および泡の発生がな
く、またコアガラスとクラッドガラスとの密着性に優れ
ていた。
【0058】以上、合計5回のプリフォームの製造を繰
り返すことによって図3に示す様なコアガラス17の径
が0.12mmφ、4層からなる第一組成のクラッドガ
ラス18の径が2.6mmφ、第二組成のクラッドガラ
ス19の径が6.5mmφのプリフォーム11が得られ
た。
【0059】(2)ガラスファイバーの製造例 上記(1)で得られたプリフォーム11の外周を熱収縮
フッ素樹脂(テフロンFEP)からなる熱収縮チューブ
12で被覆し、このプリフォーム11の下部周囲をリン
グヒーター13によって390℃に加熱し、紡糸しファ
イバー14を得た。ファイバー14の断面図を図4に示
す。図4よりコアガラス17の径が2.3μm、第一組
成のクラッドガラス18の径が50μm、第二組成のク
ラッドガラス19の径が125μm、熱収縮樹脂層20
を含む径が135μmであるシングルモードのファイバ
ーが得られた。こうして得られたファイバー14の2.
4μmの波長での損失は0.08dB/mであった。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、従来法で認められたガ
ラスの失透、コアガラス中またはコアガラス−クラッド
ガラス界面での泡の発生、コアガラスとクラッドガラス
の密着性不良の問題が改善されたカルコゲナイドガラス
ファイバー用プリフォームの製造方法が提供された。
【0061】また本発明によれば、シングルモードファ
イバーを得るに好適なカルコゲナイドガラスファイバー
用プリフォームの製造方法が提供された。
【0062】さらに本発明によれば、上記プリフォーム
を用いて、異なる径の紡糸孔を有する石英チューブを用
いずに、紡糸条件により異なる径のファイバーを失透や
揮発による組成変化を起すことなく得ることができるカ
ルコゲナイドガラスファイバーの製造方法が提供され
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリフォームの製造方法を示す断面図
である。
【図2】本発明のファイバーの製造方法を示す断面図で
ある。
【図3】実施例4で得られたプリフォームの断面図であ
る。
【図4】実施例4で得られたファイバーの断面図であ
る。
【符号の説明】
1 石英ガラスチューブ 2 コアガラスロッド 3 クラッドガラスチューブ 4 石英ガラスチューブの底部 5 開口部 6 石英ガラスチューブの上部 7 加圧管 8 石英ガラスチューブとクラッドガラスチューブとの
間隙 9 クラッドガラスチューブとコアガラスロッドとの間
隙 10 減圧管 11 プリフォーム 12 熱収縮樹脂チューブ 13 リングヒーター 14 ファイバー 15 プリフォームの先端 16 おもり 17 コアガラス 18 第一組成のクラッドガラス 19 第二組成のクラットガラス 20 熱収縮樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 詔三 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11 号 日本板硝子株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−230440(JP,A) 特開 平1−226748(JP,A) 特開 昭63−236728(JP,A) 特開 平2−188438(JP,A) 特開 平2−124738(JP,A) 特開 昭55−10458(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 37/00 - 37/16

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア用カルコゲナイドガラス材料を収容
    したクラッド用カルコゲナイドガラスチューブを、クラ
    ッド用ガラスチューブの外径よりも口径が小さい開口部
    を底部に有する石英ガラスチューブに収納し、石英ガラ
    スチューブの底部を紡糸温度よりも40〜150℃低い
    温度で局所的に加熱し、コア用ガラス材料を収容したク
    ラッド用ガラスチューブを前記の開口部より、クラッド
    用ガラスチューブの先端におもりを下げた状態で引き出
    して、前記のコア用ガラス材料と前記のクラッド用ガラ
    スチューブとを一体化することを特徴とするカルコゲナ
    イドガラスファイバー用プリフォームの製造方法。
  2. 【請求項2】 コア用ガラス材料とクラッド用ガラスチ
    ューブとの間隙の圧力をクラッド用ガラスチューブと石
    英ガラスチューブとの間隙の圧力よりも相対的に低くす
    ることを特徴とする請求項に記載のカルコゲナイドガ
    ラスファイバー用プリフォームの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法により得
    られたカルコゲナイドガラスファイバー用プリフォーム
    をコア用ガラス材料とし、これをクラッド用ガラスチュ
    ーブに収容して請求項1または2のいずれか一項に記載
    の方法を一度以上繰り返し、クラッド径に比較してコア
    径が極小のシングルモードファイバー用プリフォームを
    得ることを特徴とするカルコゲナイドガラスファイバー
    用プリフォームの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜のいずれか一項に記載の方
    法により得られたカルコゲナイドガラスファイバー用プ
    リフォームを密着被覆材で密着被覆し、加熱紡糸するこ
    とを特徴とするカルコゲナイドガラスファイバーの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 プリフォームの周囲の全領域を密着被覆
    材で密着被覆し、加熱紡糸して、コアガラス、クラッド
    ガラスおよび密着被覆材の三層構造のガラスファイバー
    を得ることを特徴とする請求項に記載のカルコゲナイ
    ドガラスファイバーの製造方法。
  6. 【請求項6】 プリフォームの周囲の加熱紡糸する先端
    部を除く領域を密着被覆材で密着被覆し、加熱紡糸し
    て、コアガラスおよびクラッドガラスの二層構造のガラ
    スファイバーを得ることを特徴とする請求項に記載の
    カルコゲナイドガラスファイバーの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜で得られたカルコゲナイド
    ガラスファイバー用プリフォームを紡糸することにより
    得られたガラスファイバーまたは請求項で得られたカ
    ルコゲナイドガラスファイバーを、樹脂を収容した容器
    内を通過させ、上記ガラスファイバーに樹脂からなる保
    護被覆層を形成することを特徴とする保護被覆層付きカ
    ルコゲナイドガラスファイバーの製造方法。
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