JP3394614B2 - 積層体およびその熱成形品 - Google Patents

積層体およびその熱成形品

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JP3394614B2 JP30650294A JP30650294A JP3394614B2 JP 3394614 B2 JP3394614 B2 JP 3394614B2 JP 30650294 A JP30650294 A JP 30650294A JP 30650294 A JP30650294 A JP 30650294A JP 3394614 B2 JP3394614 B2 JP 3394614B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空成形、圧空成形な
どの熱成形により得られた成形品が剛性、衝撃性に優
れ、且つ高光沢である積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは成形加工性が良好なこ
と、ゴム成分や充填剤の添加により剛性と耐衝撃性のバ
ランスが優れた材料となることなどの優れた特徴があ
り、シート状に成形されたものは、真空成形、圧空成形
等に熱成形されて、各種工業材料、容器等に広く用いら
れている。
【0003】しかし、ポリプロピレンを熱成形した場
合、成形品の内側(非金型側)の光沢が低下する問題が
ある。この低下の程度は、熱成形前のグロスが約90%
を示したものが、熱成形することにより成形品の内側の
グロス値が約20〜30%と約1/3以下の値になって
しまう。このため冷蔵庫内箱等、内側の美粧性が要求さ
れる場合には商品価値の低下を招き、問題となる。
【0004】ポリプロピレンのような結晶性樹脂のシー
トは、熱成形時において再溶融する際に球晶が成長し、
このため表面が荒れて光沢が低下するものと考えられ
る。したがって、真空成形後の光沢を改善するために
は、この球晶成長を抑える必要があり、造核剤を添加す
る方法が考えられる。しかし、剛性と耐衝撃性のバラン
スをとるために無機充填剤を添加した場合、真空成形後
の光沢を改善することはできない。
【0005】また、A層に無機造核剤や分散型有機造核
剤を添加し、B層に垂れ防止のためにエチレン系樹脂を
プロピレン系樹脂5〜85重量%に対して95〜15重
量%配合する方法が提案されている(特公平3−203
31)。しかし、この方法では、熱成形後の非金型側の
グロスが70%を超えることは困難であり、剛性と耐衝
撃性のバランスが充分でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱成形が可
能であり、剛性と耐衝撃のバランスに優れ、かつ、熱成
形後の光沢が良好な積層体を提供することを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、A層および
B層から構成される積層体において、A層はポリプロピ
レン100重量部に対し、溶融型有機造核剤0.01〜
3重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からな
り、B層はプロピレン系樹脂35〜95重量%および高
溶融張力ポリプロピレン5〜65重量%の合計量100
重量部に対し、平均粒径が5μm 以下の無機充填剤5〜
100重量部を含有する樹脂組成物からなる積層体によ
り、解決することができる。本発明によって得られる積
層体は熱成形が可能であり、得られた成形品は剛性と耐
衝撃性のバランスに優れ、熱成形後の非金型側の光沢が
良好であることが特徴である。
【0008】以下、本発明を具体的に説明する。 (a)ポリプロピレン A層のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピ
レン(以下PPと略すこともある)は、プロピレン単独
重合体、プロピレンと20重量%以下のエチレンまたは
炭素数が12個以下のα−オレフィンとをランダム又は
ブロック共重合させることによって得られる共重合体で
あり、それぞれ単独で使用しても、2種類以上使用して
もよい。
【0009】ポリプロピレンのメルトフローレート(J
IS K7210の条件14で測定され、以下、MFR
という)は、通常0.5〜50g/10分であり、0.
7〜30g/10分が好ましく、1.0〜20g/10
分が特に好ましい。MFRが0.5g/10分未満で
は、流動性が悪いため、溶融型造核剤を使用しても球晶
の成長を抑えられず、熱成型後のグロスを改善すること
ができない。一方、50g/10分を超えると、熱成形
する際の加熱により、A層が流れてしまい、かえって表
面を荒らし光沢の低下を招く。
【0010】(b)溶融型有機造核剤 A層のポリプロピレン系樹脂組成物に使用される造核剤
は溶融型有機造核剤である。通常使用されている分散型
の有機系造核剤又は無機系造核剤では、熱成形後の光沢
改善効果が弱く、熱成形後のグロスを70%以上とする
ことができない。
【0011】溶融型有機造核剤としては、ソルビトール
系誘導体が挙げられ、その代表例としては、ジベンジリ
デンソルビトール、低級アルキルで置換したビス(p−
メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチル
ベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。
【0012】溶融型有機造核剤の添加量は、ポリプロピ
レン100重量部に対して0.01〜3重量部であり、
0.05〜1重量部が好ましく、0.1〜0.5重量部
が特に好ましい。添加量が0.01重量部未満の場合、
光沢改善剤としての効果が現れない。また添加量が3重
量部を超えても、光沢改善剤としての効果は頭打ちであ
り、かえって他の物性の低下を招くおそれがある。
【0013】(c)プロピレン系樹脂 B層の樹脂組成物に用いられるプロピレン系樹脂は
(a)のポリプロピレンはもとより、エチレンの単独重
合体、エチレンと炭素数が3〜12個のα−オレフィン
との共重合体、炭素数が4〜6個のα‐オレフィンの単
独重合体等とポリプロピレンとの混合物、およびこれら
の樹脂に、不飽和のカルボン酸、ビニルシラン化合物等
分子内に少なくとも1個の二重結合を有する化合物をグ
ラフト重合することによって得られる変性プロピレン系
樹脂も含まれる。これらのプロピレン系樹脂は、単独で
使用してもよく、二種以上使用してもよい。
【0014】プロピレン系樹脂の分子量は、ゲルパーミ
エイションクロマトグラフィー(GPC)法等の一般的
手法により求めた値で数平均分子量(Mn )は通常5,
000〜200,000であり、10,000〜15
0,000が好ましく、15,000〜120,000
が特に好ましい。また、重量平均分子量(Mw )は通常
10,000〜1,000,000であり、50,00
0〜800,000が好ましく、100,000〜60
0,000が特に好ましい。
【0015】Mn が5,000未満かあるいはMw が1
0,000未満では、シート成形時にダイスより押出さ
れた溶融樹脂が垂れてしまい、シート成形が困難である
とともに他の成形法によって得られた成形品も実用的な
物性を有するものが得られない。また、Mn が200,
000を超えるかあるいはMw が1,000,000を
超えると、流動性が悪いために押出成形ができず、シー
ト成形が困難である。
【0016】また、Mw /Mn は通常1〜20であり、
2〜10が好ましい。
【0017】プロピレン系樹脂のMFRは、通常0.0
5〜20g/10分であり、0.1〜10g/10分が
好ましく、0.1〜5g/10分が特に好ましい。MF
Rが0.05g/10分未満では、流動性が悪いために
押出成形ができず、シート化が困難である。一方、20
g/10分を超えると、これらの押出シートを製造する
際にドローダウンが大きく、良好な製品を得ることがで
きない。
【0018】(d)高溶融張力ポリプロピレン B層の樹脂組成物に用いられる高溶融張力ポリプロピレ
ン(以下、HMS−PPともいう)とは上記(a)ポリ
プロピレン、または(c)プロピレン系樹脂に電子線を
照射する等により製造されるプロピレン系樹脂である。
【0019】HMS−PPは、溶融張力測定機能付キャ
ビラリーレオメーターを用いて、温度230℃、ピスト
ン速度15mm/分、L/D=10.0/1.0、引取
り速度3.0mm/分の条件で測定したときに、溶融張
力が2.0g以上を示すプロピレン系樹脂である。溶融
張力が2.0g未満では、垂れ防止としての効果が弱
く、良好な製品を得ることができない。
【0020】また、HMS−PPは、伸長粘度挙動にお
いて歪み硬化パラメータが一般に0.20以上であり、
0.2〜0.8が好ましく、0.3〜0.5が特に好ま
しい。歪み硬化パラメータが0.20以上であると、熱
成形する再、溶融シートの厚い部分が真空もしくは圧空
により選択的に延伸され、薄い部分は歪み硬化現象によ
り伸長粘度が高くなるため、伸長されにくくなり、成形
品の厚み偏差が少なくなる。硬化パラメータが0.20
未満では成形品の厚み偏差を少なくする効果がない。
【0021】ここで歪み硬化パラメータについて説明す
る。歪み硬化パラメータを求めるためには、まず伸長粘
度の測定を行うことが必要である。直径が均一なストラ
ンド状に作成したHMS−PPを200℃の恒温槽に1
0分間保持したのち、160℃の恒温槽に5分間保持
し、ストランドの両端から一定歪み速度で延伸し、その
際の張力とストランドの径を経時的に求め、これにより
各歪み量における伸長粘度を求める。
【0022】図1は各歪み量における伸長粘度の測定例
である。この測定において得られる粘度曲線には、線形
部1と非線形部2とがある。図2は図1に例示される測
定データを歪み速度0.03/秒および歪み速度0.0
5/秒の2種類の歪み速度で各々測定した場合の例であ
る。歪み速度0.05/秒で測定した場合の粘度曲線は
歪み速度0.03/秒で測定した場合の粘度曲線に比較
し、非線形部3が測定開始から早い時間に現れる。図3
は歪み速度0.03/秒で測定した場合の粘度曲線が線
形部で、歪み速度0.05/秒で測定した場合の粘度曲
線が非線形部である測定時間範囲(図2における4)に
おいて、測定開始から同一時間における歪み速度0.0
3/秒での測定時の粘度に対する歪み速度0.05/秒
での測定時の粘度の比を経時的に測定し、歪み速度0.
05/秒での測定時の歪み量に対してグラフ化したもの
であり、直線関係が成立する。このグラフの勾配が歪み
硬化パラメータである。
【0023】HMS−PPの配合割合は、プロピレン系
樹脂と高溶融張力ポリプロピレン中で5〜65重量%で
あり、10〜50重量%が好ましく、15〜40重量%
が特に好ましい。樹脂成分中に占めるHMS−PPの配
合割合が65重量%を超えると、溶融張力が高すぎ、良
好なシートや容器を得ることが難しい。また、5重量%
未満ではHMS−PPの効果が現れない。
【0024】(e)無機充填剤 B層に使用される樹脂組成物に用いられる無機充填剤
は、一般に合成樹脂およびゴムの分野において広く使わ
れているものである。これらの無機充填剤としては、酸
素および水と反応しない無機化合物であり、混練時およ
び成形時において分解しないものが好んで用いられる。
【0025】該無機充填剤としては、アルミニウム、
銅、鉄、鉛、ニッケル、マグネシウム、カルシウム、バ
リウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブテン、ケイ素、ア
ンチモン、チタン等の金属の酸化物、その水和物(水酸
化物)、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩のごとき化合物、こ
れらの複塩ならびにこれらの混合物に大別される。
【0026】該無機充填剤の代表例としては、前記の酸
化アルミニウム(アルミナ)、その水和物、水酸化カル
シウム、酸化マグネシウム(マグネシア)、水酸化マグ
ネシウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、鉛丹および鉛白のごと
き鉛の酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩
基性炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、アスベス
ト、マイカ、タルク、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラス
ビーズ、クレー、ケイソウ土、シリカ、ワラストナイ
ト、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化チタン(チタニ
ア)、リトボン、軽石粉、硫酸アルミニウム(石膏な
ど)、ケイサンジルコニウム、酸化ジリコニウム、炭酸
バリウム、ドロマイト、二硫化モリブテンおよび砂鉄が
あげられる。これらの無機充填剤のうち特に炭酸カルシ
ウム、ホワイトカーボン、シリカ、タルクが好適であ
る。
【0027】これらの無機充填剤のうち、粉末状のもの
はその平均粒径が5μm 以下(好適には1μm 以下)の
ものが好ましい。また、平板状(フレーク状)のものは
その平均粒径が5μm 以下(好適には1μm 以下)のも
のが好ましい。平均粒子径が5μm より大きい無機充填
剤を組成物に添加した場合、耐衝撃性が著しく低下す
る。これらの無機充填剤のうち、特に粉末状のものが好
適である。
【0028】これらの無機充填剤は、それぞれ単独で使
用して良く、二種類以上使用しても良い。
【0029】無機充填剤をB層に使用される樹脂組成物
に配合する場合、無機充填剤の配合割合は、プロピレン
系樹脂および高溶融張力ポリプロピレンの合計量100
重量部に対し、5〜100重量部であり、5〜60重量
部が好ましく、10〜40重量%が特に好ましい。無機
充填剤の配合割合が100重量部を超えると、シート成
形が難しく良好なシートが得られない。また、5重量部
未満では剛性の向上が期待出来ない。
【0030】(f)エチレン系樹脂 本発明のB層組成物には必要に応じてエチレン系樹脂を
配合することができる。本発明に使用されるエチレン系
樹脂は、エチレンの単独重合体、もしくはエチレンとα
−オレフィンの共重合体でエチレン含量が70重量%以
上のもので密度が0.915g/cm3 以上のものあ
る。エチレン含量が70重量%未満のエチレン系樹脂で
は垂れ防止の効果を得ることが出来ない。また密度が
0.915g/cm3 未満のエチレン系樹脂では、剛性
の低下が大きく良好な成形品を得ることが出来ない。
【0031】エチレン系樹脂をB層組成物に配合する場
合、プロピレン系樹脂とHMS−PPの樹脂組成分10
0重量部に対して1〜10重量部が好ましく、特に5〜
7重量部が好適である。エチレン系樹脂の割合が10重
量部を超えると、シートの剛性が著しく低下し好ましく
ない。また、1重量部未満では垂れ防止の効果が少な
い。
【0032】(組成物の製造方法)本発明にかかる組成
物は、ポリオレフィンの業界において一般的に使用され
ているヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの混
合装置を用いてドライブレンドしてもよく、バンバリー
ミキサー、ニーダ、ロールミル、単軸もしくは二軸の押
出機等により溶融混練することによっても得ることがで
きる。この際、あらかじめドライブレンドしてから、溶
融混練することにより、より均一な樹脂組成物を得るこ
とができる。溶融混練の場合は、ペレット状に形状にす
るのが、一般的である。
【0033】樹脂組成物を製造するとき、全組成成分を
同時に混合してもよく、一部をあらかじめ混合してマス
ターバッチを作成し、得られたマスターバッチに残りの
組成成分を混合してもよい。
【0034】(積層体の成形)本発明の積層体は、一般
のシート分野で用いられている共押出Tダイ法や、Tダ
イ法、サーキュラーダイ法、カレンダー法などの成形法
よりフィルムまたはシートを成形してB層とし、Tダイ
法で成形したフィルムをA層として張り合わせるサーマ
ルラミ法等により製造することができる。
【0035】このようにして得られたシートの厚さは通
常0.1〜7.0mmであり、0.2〜4.0mmが好まし
く、0.3〜3.5mmが特に好ましい。シートの厚さが
0.1mm未満では、剛性が不足して熱成形品を製造する
ことが難しい。一方7.0mmを超えると、熱成形する
際、均一にシートを加熱することが困難であり、良好な
熱成形品を得ることが難しい。
【0036】本発明の積層体におけるA層の厚みは、A
層とB層の厚みの総和に対し0.05〜20%の範囲で
あり、0.1〜15%が好ましく、0.5〜10%が特
に好ましい。A層の厚みが20%を超えると、垂れ性
(ドローダウン特性)、耐衝撃性の低下を招き好ましく
ない。一方0.05%未満ではA層の厚みが均一となら
ず、光沢が低下するので好ましくない。
【0037】(熱成形品の製造)上記積層体から熱成形
品を製造するには、プロピレン系樹脂のシート分野にお
いて通常用いられている真空成形法、圧空成形法、真空
圧空成形法等を使用すればよい。この場合、成形条件は
シート加熱温度としてはシート中心温度がプロピレン系
樹脂の融点以上であり、溶融型有機造核剤の分解温度以
下である。成形温度としてはシート表面温度がプロピレ
ン系樹脂の結晶化温度以上であり、溶融型有機造核剤の
融点以下が好ましい。また、金型温度は一般的に樹脂の
結晶化温度以下であるが、熱成形して得られた成形品に
おいて、非金型側の光沢が70%以上とするためには、
プロピレン系樹脂の結晶化温度より30℃以上低いこと
が好ましい。例えば、真空成形法の場合はシート加熱温
度がシート中心温度で150〜240℃であり、160
〜210℃が好ましく、180〜200℃が特に好まし
い。シート加熱温度が150℃未満ではシートが完全に
溶融せず、厚み偏差が少ない成形品を得ることが難し
い。シート加熱温度が240℃より高ければ非金型側の
A層に含まれている溶融型有機造核剤が分解し光沢良好
な成形品を得ることが難しい。成形温度はシート表面温
度で120〜240℃であり、150〜210℃が好ま
しく、160〜200℃が特に好ましい。成形温度が1
20℃未満では溶融シートが固化し真空成形することが
難しい。金型温度は30〜90℃であり、40〜80℃
が好ましく、50〜70℃が特に好ましい。金型温度が
30℃未満では、冷却固化が速くなりすぎ成形品のコー
ナー部の賦形性があまくなる。金型温度が90℃より高
ければ光沢良好な成形品を得ることが難しい。
【0038】
【実施例】以下、実施例、比較例によって本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例等によ
り限定されるものではない。
【0039】実施例および比較例において用いた評価方
法は以下の通りである。 (光沢度)厚さ1mmの積層体を成形し、A層側を非金型
面として絞り比0.3のトレイを真空成形で成形し、J
IS K7105に従い60度鏡面法でA層側の光沢度
を成形前後について測定した。
【0040】(曲げ弾性)厚さ1mmの積層体について、
JIS K7203に従い測定した。
【0041】(耐衝撃性)厚さ1mmの積層体について、
JIS K7124に従いA層側を衝撃面とし−20℃
で測定した。
【0042】(真空成形性)厚さ1mmの積層体を成形
し、ドローダウン特性、絞り性を測定、評価した。ドロ
ーダウン特性は、雰囲気温度が210℃のオーブン中
に、30cm×30cmの枠に積層体を固定し、完全に溶融
してから15mm垂れるまでの時間を測定した。絞り性
は、プラグアシスト真空成形により、絞り比が0.8と
1.0のプリンカップを成形し、絞り比1.0のプリン
カップが成形できたものを○、絞り比が0.8まで成形
できたものを△、成形できなかったものを×として評価
した。
【0043】 (実施例1)A層にホモポリプロピレン
であるSMA210−3(昭和電工社製 MFR3.5
g/10分)100重量部に、溶融型有機造核剤として
ゲルオールMDR(新日本理化社製)を0.3重量部添
加したポリプロピレン系樹脂組成物を使用した。B層に
プロピレン系樹脂としてブロックポリプロピレンである
SK711−3(昭和電工社製 MFR0.7g/10
分)が85重量%およびHMS−PPとして023S
(ハイモント社製 MFR0.5g/10分 溶融張力
4.9g歪み硬化パラメータ0.40)15重量%の合
計量100重量部に対し、無機充填剤としてタルク(林
化成社製 ミクロン ホワイト #5000S 平均粒径2.
8μm )18重量部を配合した樹脂組成物を使用した。
共押出Tダイ法でA層の厚みが0.1mmで、B層の厚み
が0.9mmの2種2層積層体を成形し、物性を評価し
た。結果を表1に示す。
【0044】(実施例2)B層にプロピレン系樹脂とし
てホモポリプロピレンであるSSA510−3(昭和電
工社製 MFR0.5g/10分)70重量%とEPR
であるタフマーP0680(三井石油化学(株)社製)
10重量%およびHMS−PPとして023Sを20重
量%の合計量100重量部に対し、無機充填剤として炭
酸カルシウム(白石カルシウム社製 カルシテック ス
タビゴット−15 平均粒径0.15μm )67重量部
を配合した樹脂組成物を使用した以外は実施例1と同様
に積層体を成形し、物性を評価した。結果を表1に示
す。
【0045】(実施例3)B層にプロピレン系樹脂とし
てSSA510−3を75重量%とタフマーP0680
を10重量%およびHMS−PPとして023Sを15
重量%の合計量100重量部に対し、無機充填剤として
炭酸カルシウムを17重量部を配合した樹脂組成物を使
用した以外は実施例1と同様に積層体を成形し、物性を
評価した。結果を表1に示す。
【0046】(実施例4)B層にプロピレン系樹脂とし
てSSA510−3を32.5重量%とSK711−3
を52.5重量%およびHMS−PPとして023Sを
15重量%の合計量100重量部に対し、無機充填剤と
して炭酸カルシウムを18.5重量部とタルクを6.5
重量部を配合した樹脂組成物を使用した以外は実施例1
と同様に積層体を成形し、物性を評価した。結果を表1
に示す。
【0047】(実施例5)A層のプロピレン系樹脂にホ
モポリプロピレンであるMA410(昭和電工社製 M
FR8.0g/10分)を使用した以外は実施例4と同
様に操作を行った。結果を表1に示す。
【0048】(比較例1)A層に造核剤を添加しなかっ
た以外は実施例4と同様に操作を行った。結果を表1に
示す。
【0049】(比較例2)A層に造核剤としてNA−1
1(旭電化工業社製)を使用した以外は実施例4と同様
に操作を行った。結果を表1に示す。
【0050】(比較例3)A層に造核剤としてAL−P
TBBA(シェルジャパン社製)を使用した以外は実施
例3と同様に操作を行った。結果を表1に示す。
【0051】 (比較例4)B層にプロピレン系樹脂と
してSSA510−3を47.5重量%とSK711−
3を52.5重量%の合計量100重量部に対し、無機
充填剤として炭酸カルシウムを18.5重量部とタルク
を6.5重量部を配合した樹脂組成物を使用した以外は
実施例1と同様に操作を行った。結果を表1に示す。
【0052】(比較例5)B層にLDPEをブレンドし
たポリプロピレンであるSR514(昭和電工社製 M
FR0.5g/10分)100重量部に、炭酸カルシウ
ムを25重量部を配合した樹脂組成物を使用した以外は
実施例1と同様に操作を行った。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明によって得られるシートは、熱成
形が可能であり、得られた成形品は剛性と耐衝撃性のバ
ランスに優れ、かつ成形品内側の光沢が良好である。し
たがって成形品の内側の美粧性が要求される包装材料、
家電部品、自動車部品及び各種工業部品等に用いること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各歪み量における伸長粘度の測定例である。
【図2】歪み速度0.03/秒および0.05/秒で測
定した伸長粘度の測定例である。
【図3】粘度比を経時的に測定し、歪み速度0.05/
秒で測定した歪み量に対してグラフ化したものである。
【符号の説明】
1 線形部 2 非線形部 3 非線形部 4 歪み速度0.03/秒で測定した場合の粘度曲線が
線形部であり、歪み速度0.05/秒で測定した場合の
粘度曲線が非線形部である測定時間範囲。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 9:00 B29L 9:00 (72)発明者 小谷 輝充 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭和電工株式会社 川崎樹脂研究所内 (72)発明者 野原 康裕 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭和電工株式会社 川崎樹脂研究所内 (56)参考文献 特開 平5−38792(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A層およびB層から構成される積層体にお
    いて、A層はポリプロピレン100重量部に対し、溶融
    型有機造核剤0.01〜3重量部を含有するポリプロピ
    レン系樹脂組成物からなり、B層はプロピレン系樹脂3
    5〜95重量%および溶融張力が2.0g以上のポリプ
    ロピレン5〜65重量%の合計量100重量部に対し、
    平均粒径が5μm以下の無機充填剤5〜100重量部を
    含有する樹脂組成物からなる積層体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の積層体において、B層を構
    成する樹脂組成物100重量部に対して、エチレン系樹
    脂1〜10重量部を配合したことを特徴とする積層体。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載の積層体を、
    A層を非金型側、B層を金型側として熱成形して得られ
    る成形品において、A層の光沢が70%以上であること
    を特徴とする熱成形品。
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