JP3392295B2 - 有機性汚水の処理方法および装置 - Google Patents

有機性汚水の処理方法および装置

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  • Activated Sludge Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は下水などのリン含有
汚水を高度に浄化する有機性汚水の処理方法及び装置に
関し、特に余剰生物汚泥発生量を著しく減少でき、また
リンを従来よりも安定して除去可能な有機性汚水の処理
方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、下水などの汚水のリンを除去
する方法として種々な方法が提案され、利用されてい
る。この汚水のリンを除去する方法として、最も代表的
な技術は生物学的脱リン法である。この汚水処理技術
は、有機性汚水を嫌気槽に供給して返送汚泥中の活性汚
泥(脱リン菌が共存している)からリンを吐き出させた
後、好気槽に供給し脱リン菌にリン摂取を行なわせた
後、活性汚泥を沈殿分離し、沈殿汚泥を嫌気槽にリサイ
クルするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の生物学的脱リン法においては、下記するような欠
点があった。 リンは生物汚泥に取り込まれる以外の形では除去さ
れないので、リンを取り込んだ汚泥を余剰汚泥として積
極的に系外に排出しない限り、リンの物質収支が成立せ
ず、このことから、離脱水性の余剰生物汚泥の発生量が
多くなり、汚泥処理が負担になる。 原水のBOD/P比が減少すると、嫌気槽における
脱リン菌からのリン吐き出しが不十分になり、その結
果、好気槽における脱リン菌へのリン摂取も悪化する。
【0004】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、従来の生物学的脱
リン法の欠点を解決し、余剰汚泥発生量を著しく少なく
でき、安定した高度のリン除去が可能な有機性汚水の処
理方法及び処理装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、生物学的リ
ン除去法のプロセス構成を変革して、生物学的なリンの
摂取、化学的リン除去、オゾンによる汚泥可溶化を新規
な態様で結合することにより上記課題を解決できること
を見いだした。すなわち、本発明の上記目的は、有機性
汚水を活性汚泥法により生物学的に浄化する方法におい
て、活性汚泥を固液分離して曝気槽へ返送するときに、
その返送汚泥の一部をオゾン酸化して可溶化した後に前
記曝気槽に返送する一方、前記返送汚泥の他の一部を嫌
気槽に滞留させてリン酸イオンを汚泥から吐き出させ、
リン酸イオン沈殿生成反応を起こす金属イオンを添加し
てリン酸化合物塩を生成させ、該リンを吐出した汚泥を
前記曝気槽に供給するとともに、オゾン酸化された前記
返送汚泥の一部を前記嫌気槽に流入させることを特徴と
する有機性汚水の処理方法により達成することができ
る。
【0006】
【0007】更に、本発明の上記目的は、有機性汚水を
活性汚泥法により生物学的に浄化する処理装置であっ
て、活性汚泥を固液分離する手段から曝気手段への返送
汚泥の一部をオゾン酸化して可溶化するオゾン酸化手段
と、前記返送汚泥の他の一部を嫌気状態にしてリン酸イ
オンを汚泥から吐さ出させる嫌気部と、前記嫌気部の下
流側にリン酸イオン沈殿生成反応を生じさせる金属イオ
ンの添加部と、前記金属イオン添加領域から前記曝気手
段への返送系の途中に設けられた固液分離手段と、前記
オゾン酸化手段から排出された汚泥を前記嫌気部に流入
させる移送系とを備えてなることを特徴とする有機性汚
水の処理装置によって達成される。
【0008】
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について、処理装置の概略を示した図1を参照して詳細
に説明する。図1において、この処理装置1は、有機性
汚水である原水2を活性汚泥法により生物学的に浄化し
て処理水2Aを排出する処理装置である。
【0010】そして、その特徴的構成は、活性汚泥を固
液分離する固液分離手段である沈殿槽4から曝気手段で
ある曝気槽3への返送汚泥20の一部をオゾン酸化して
可溶化するオゾン酸化槽7を備え、また、前記返送汚泥
20の他のものを嫌気してリン酸イオンを汚泥から吐き
出させる嫌気部として機能する嫌気槽5、該嫌気槽5の
下流側に配置された金属イオン添加部11(リン酸イオ
ン沈殿生成反応を生じさせる金属イオン添加領域として
機能する)、該金属イオン添加部11から前記曝気槽3
への返送系43の途中に設けられた固液分離部6を備え
ている。
【0011】前記返送汚泥20を移送する返送系は、例
えば、適宜配管により構成されている。そして、沈殿槽
4から排出された返送汚泥20を曝気槽3に戻す系統は
下記のような返送系により構成されている。返送系30
は、返送汚泥20を曝気槽3へ直接移送する返送系31
と返送系40とに分岐し、この返送系40は嫌気槽5に
つながった返送系41とオゾン酸化槽7につながった返
送系50とに分岐している。
【0012】嫌気槽5からは分離汚泥21を前記返送系
31に合流させる返送系45ともう一つの返送系42と
が設けられ、この返送系42には金属イオン8を添加す
る金属イオン添加部11が設けられている。金属イオン
8が添加された汚泥は、固液分離部6に移送され、ここ
で汚泥からリン酸化合物塩である回収リン9を分離し、
分離汚泥を返送系43を介して曝気槽3に導く。
【0013】一方、オゾン酸化槽7につながった返送系
50は、このオゾン酸化槽7から曝気槽3につながった
返送系51と、前記嫌気槽5につながった返送系60と
に別れる。この返送系60には開閉弁10が設けられて
おり、該返送系60を使用・不使用ならびに流量調節等
ができるように構成されている。
【0014】以下、処理装置の作用について、図を参照
しつつ説明する。図1の曝気槽3に原水2と沈殿槽4か
らの返送汚泥20および嫌気性リン吐き出し槽から流出
する汚泥を流入させることで、BOD除去とリンの脱リ
ン菌へのリン吸収を行わせることができる。これによ
り、沈殿槽4で沈殿した汚泥の大部分は曝気槽3にリサ
イクルされる。
【0015】沈殿汚泥の一部は、オゾン酸化槽7に導か
れ、リンを豊富に含む汚泥がオゾンにより酸化分解し、
可溶化されて可溶性有機物を溶出する。なお、オゾン酸
化槽7に供給する汚泥としては、曝気槽3から汚泥の一
部を引き抜き、これをオゾン酸化するようにしても良
い。
【0016】オゾン酸化によって可溶化された汚泥を嫌
気槽5に返送し、オゾン酸化汚泥(微生物による生分解
性が向上している)を微生物によって炭酸ガスと水に分
解する。また、沈殿汚泥の他部を固液分離機能を持った
嫌気槽5に導き、適宜滞留させ、活性汚泥に共存する脱
リン菌からリンを吐き出させる。分離汚泥は曝気槽3に
返送し、原水2のリンの摂取に与らせる。
【0017】その後、嫌気槽5からの分離液に、金属イ
オン添加部11において金属イオンを添加する。この添
加する金属イオン8は、例えば、カルシウム、マグネシ
ウム、アルミニウム、鉄などのリン酸イオンと化学的に
沈殿生成反応を起こすものを添加し、リンをヒドロキシ
アパタイトなどのリン酸カルシウム化合物、リン酸マグ
ネシウムアンモン(以下「MAP」と省略する)、リン
酸アルミニウム、リン酸鉄として、固液分離部6におい
て分離回収する。
【0018】おな、この金属イオンのなかでもカルシウ
ムイオンは、リン酸イオンをリン酸カルシウム肥料とし
て回収できるので好適である。また、マグネシウムイオ
ンは、アンモニア、リンの両者をMAPとして回収でき
るので更に好適である。また、MAPは遅効性の肥料と
して著名な有価物である。また、活性汚泥がオゾンによ
り酸化分解される結果、オゾン酸化汚泥には可溶性有機
物(BOD)が豊富に含まれているので、これを嫌気槽
5に添加すると、脱リン菌からのリン吐き出しを活発に
起こさせることが出来るので、さらに効果的な処理を行
うことができる。
【0019】原水2のBOD除去にともなって、増殖し
た活性汚泥はオゾン酸化槽、曝気槽を循環することによ
って炭酸ガス、水に分解されるので、汚水処理系外に排
出すべき余剰汚泥はほぼゼロにすることができる。な
お、オゾン酸化槽7に供給する汚泥量の制御は、曝気槽
3にMLSS濃度計を設置し、活性汚泥量(MLSS)
が一定範囲(例えば3000〜4000mg/リットル
の範囲)に納まるように制御すれば良い。
【0020】本発明は、上記実施の形態に限らず、例え
ば、活性汚泥処理槽に脱窒素槽、硝化槽を設け生物脱リ
ンと生物脱窒素を同時に行なうことも当然可能である。
このように本発明は、「生物学的脱リン法において余剰
汚泥生物量をゼロにすることはリンの物質収支的に不可
能である」との固定観念を初めて打破したものである。
特に、リンを豊富に摂取した活性汚泥をオゾン酸化する
とBODを多量に含む液が生成することに着目し、この
BODを脱リン菌の嫌気槽におけるリン吐き出しの促進
に利用するという思想は従来その例を見ない程顕著な効
果を奏するものである。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例により、その効果をよ
り明らかにすることができる。 〔実施例〕本実施例は、図1の工程にしたがって下水
(平均水質を表1に示す)を原水として、本発明の実証
試験を行なった。表2に試験条件を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】上記条件に下での実験の結果、処理開始後
2カ月後に処理状況が安定状態になってからの沈殿槽か
らの処理水水質の平均は、表3のように高度にリン、B
ODが除去されていた。また余剰汚泥は1年間の試験の
間、引き抜かなかったが好気槽のMLSSは3600〜
4000mg/リットルを維持したことから余剰汚泥の
発生は無視少であることが判明した。
【0025】
【表3】
【0026】〔比較例〕前記実施例において、嫌気槽を
省略した以外は同一条件で試験した結果、余剰汚泥削減
効果は本発明法の実施例と同等であったが、リン除去効
果が極めて悪化し、処理水リン濃度は5.4mg/リッ
トルとなりリン除去率はゼロであった。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、活性汚泥
を固液分離部して曝気槽へ返送するときに、その返送汚
泥の一部をオゾン酸化して可溶化した後に前記曝気槽に
返送する一方、前記返送汚泥の他のものを嫌気槽に滞留
させてリン酸イオンを汚泥から吐き出させ、リン酸イオ
ン沈殿生成反応を起こす金属イオンを添加してリンを生
成させ、該リンを除去した汚泥を前記曝気槽に供給する
ので、又、オゾン酸化された前記返送汚泥の一部を前記
嫌気槽に流入させるものである。したがって、このよう
に、オゾンによる汚泥可溶化法、生物学的リン法と化学
的なリン除去法を新規な思想で結合した結果、余剰汚泥
の発生量をほぼゼロにでき、かつリン除去が安定して行
なわれる。
【0028】また、本発明によれば、余剰汚泥が発生し
ないだけでなく、脱リン菌に摂取されたリンをMAP、
ヒドロキシアパタイトなどの肥料のための有価資源とし
て回収できると云う極めて有用な効果を奏することがで
きる。さらまた、本発明によれば、脱リン菌の嫌気槽に
おけるリン吐き出しに、汚泥のオゾンによって生成した
BODを利用したので、安定したリン吐き出し作用が行
なわれ、安定かつ良好な汚水処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理装置の概略構成を示した図であ
る。
【符号の説明】
1 処理装置 2A 処理水 2 原水 3 曝気槽 4 沈殿槽 5 嫌気槽 6 固液分離部 7 オゾン酸化槽 8 金属イオン 9 回収リン 10 開閉弁 11 金属イオン添加部 20 返送汚泥 21 分離汚泥 30、31、40、41、42、43、50、51、6
0 返送系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/12 C02F 3/28 - 3/34 C02F 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性汚水を活性汚泥法により生物学的
    に浄化する方法において、 活性汚泥を固液分離して曝気槽へ返送するときに、その
    返送汚泥の一部をオゾン酸化して可溶化した後に前記曝
    気槽に返送する一方、前記返送汚泥の他の一部を嫌気槽
    に滞留させてリン酸イオンを汚泥から吐き出させ、リン
    酸イオン沈殿生成反応を起こす金属イオンを添加してリ
    ン酸化合物塩を生成させ、該リンを吐出した汚泥を前記
    曝気槽に供給するとともに、オゾン酸化された前記返送
    汚泥の一部を前記嫌気槽に流入させることを特徴とする
    有機性汚水の処理方法。
  2. 【請求項2】 有機性汚水を活性汚泥法により生物学的
    に浄化する処理装置であって、 活性汚泥を固液分離する手段から曝気手段への返送汚泥
    の一部をオゾン酸化して可溶化するオゾン酸化手段と、 前記返送汚泥の他の一部を嫌気状態にしてリン酸イオン
    を汚泥から吐さ出させる嫌気部と、 前記嫌気部の下流側にリン酸イオン沈殿生成反応を生じ
    させる金属イオンの添加部と、 前記金属イオン添加領域から前記曝気手段への返送系の
    途中に設けられた固液分離手段と、前記オゾン酸化手段から排出された汚泥を前記嫌気部に
    流入させる移送系と を備えてなることを特徴とする有機
    性汚水の処理装置。
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