JP3392274B2 - 生物脱臭方法および充填式生物脱臭塔 - Google Patents

生物脱臭方法および充填式生物脱臭塔

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  • Treating Waste Gases (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオウ系臭気成分
などの臭気成分を含んだ臭気ガスを対象とした生物脱臭
方法および充填式生物脱臭塔に関する。
【0002】
【従来の技術】充填式生物脱臭塔として、たとえば図4
に示したような循環式散水方式のものがある。この充填
式生物脱臭塔は、臭気ガス流入口1と脱臭ガス流出口2
とを形成した脱臭塔3内の上部に、脱臭に関与する微生
物を固定した担体を充填してなる充填層4と、充填層4
に向けて散水する散水装置5とを備え、下部に貯水部6
を備えており、脱臭塔3の外部に、貯水部6内の循環水
を散水装置5に循環供給する循環ポンプ7を備えてい
る。
【0003】このような充填式生物脱臭塔において、下
水処理場で発生した硫化水素等のイオウ系臭気成分を含
んだ臭気ガスを処理する場合には、臭気ガスを塔内に導
入して充填層4を通過させ、充填層4に固定された微生
物によって臭気ガス中に含まれるイオウ系臭気成分を分
解している。そして、充填層4に付着した分解生成物た
る硫酸を、貯水部6に貯留した循環水を散水装置5を通
じて間欠散水することにより、洗い流している。
【0004】散水を行うに際しては、図示したように、
貯水部6内の循環水に水酸化ナトリウムなどのアルカリ
剤を添加して、散水する循環水を中性に維持するととも
に、貯水部6に補給水を供給して、アルカリ剤と硫酸と
の反応で生成したNa2 SO 4 などの塩濃度を1%程度
よりも低く維持し、生物活性の低下を防止するようにし
ている。
【0005】しかし、この方法では、臭気ガス中に高濃
度の硫化水素H2 Sが含まれる場合に、担体の表面に単
体イオウが顆粒状に析出し、微生物の表面が覆われて脱
臭性能が低下するだけでなく、充填層における圧力損失
が経日的に上昇するという問題があった。このような単
体イオウの析出は、イオウ酸化菌によるH2 Sの酸化が
不十分となって中間体である単体イオウが析出したり、
あるいはH2 Sの酸化過程における中間体である亜硫酸
が低pH条件下でSO2 ガスとなり、このSO 2 ガスが
流入するH2 Sガスと反応して単体イオウを生じること
によると考えられる。
【0006】このため、本出願人は先に、循環水にアル
カリ剤を添加して硫酸を中和するとともに、アルカリ剤
と硫酸との反応によって生成する塩の濃度が1〜4%に
なるように循環水の塩濃度を制御する運転方法を提案し
た。(特開平5−261241号)この方法によれば、
塩濃度が4%以下とされることで生物活性の低下が防止
され、塩濃度が1%以上に高められることでpHに対す
る緩衝効果が増加され、充填層におけるpHの低下が抑
制される結果、SO2 ガスの発生が抑制され、かつSO
2 ガスが発生した場合も流入するH2 Sガスとの反応が
阻害されるため、イオウの析出が抑制される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た運転方法は、上述したような循環式散水方式を採用す
ることが前提であり、一過式散水方式の装置においては
実施できないという問題があった。
【0008】本発明は上記問題を解決するもので、一過
式散水方式と循環式散水方式のいずれを採用する場合も
イオウの析出を防止できる生物脱臭方法および充填式生
物脱臭塔を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の生物脱臭方法は、充填式生物脱臭塔におい
て複数の臭気ガス流入口のそれぞれに対応する処理区毎
に臭気ガスを導入して運転し、各処理区の充填層に臭気
ガスを通気して臭気ガス中に含まれるイオウ系臭気成分
の硫化水素を充填層に担持した微生物のイオウ酸化菌で
酸化分解し、硫化水素の分解により生成する硫酸を散水
装置から充填層へ散水して除去する生物脱臭方法であっ
て、各処理区を運転する間にいずれかの処理区の運転を
適当期間停止し、当該処理区の運転時に充填層の表面に
析出した単体イオウを前記微生物のイオウ酸化菌で酸化
分解して析出した単体イオウに由来する圧力損失を解消
するものである。本発明の充填式生物脱臭塔は、臭気ガ
ス流入口と脱臭ガス流出口とを形成した脱臭塔の内部
に、イオウ系臭気成分などの臭気成分を分解する微生物
を担持した充填層と、この充填層に向けて散水する散水
装置とを設けた充填式生物脱臭塔において、前記脱臭塔
の少なくとも2箇所に前記臭気ガス流入口を設け、各臭
気ガス流入口に対応する複数の処理区を並設し、各臭気
ガス流入口に対応する処理区毎に運転と運転停止を行う
ものである。
【0010】複数の処理区を並設するには、脱臭塔の内
部を上下方向の仕切壁によって複数の区画に区分するの
が好都合である。これにより、臭気ガス流入口と脱臭ガ
ス流出口の両者を備えた区画が並列に並んでなる複数の
処理区、あるいは、臭気ガス流入口を備えた区画と脱臭
ガス流出口を備えた区画とが直列につながった処理区を
含んだ複数の処理区を並設することができる。
【0011】このような構成によれば、脱臭塔の内部に
導入された臭気ガスはいずれかの処理区を通過し、その
間に、臭気ガス中に含まれるH2 Sなどのイオウ系臭気
成分は充填層に担持された微生物により分解される。充
填層に付着した分解生成物たる硫酸は、散水装置からの
散水により適宜除去される。
【0012】臭気ガス中にH2 Sが高濃度に含まれる場
合は、H2 Sからイオウが析出し、それにより充填層に
圧力損失が生じるので、圧力損失が所定値以上に達した
時に、あるいは定期的に、いずれかの臭気ガス流入口が
適当期間閉塞され、対応する処理区の運転が停止され
る。
【0013】運転停止された処理区においては、充填層
の表面に析出したイオウが微生物により酸化分解され、
圧力損失が低下されるとともに、微生物の脱臭性能が回
復するので、適当時間後に、この臭気ガス流入口が開放
され、対応する処理区の運転が再開される。
【0014】上記した処理区の運転が停止されている間
は、その他の臭気ガス流入口は開放され、対応する処理
区の運転は維持されており、上記した処理区の運転が再
開された後の適当時に、その他のいずれかの臭気ガス流
入口が適当期間閉塞され、対応する処理区の運転が停止
される。
【0015】このようにして、各処理区の運転・停止が
交互に行われ、充填層の表面に析出したイオウが分解さ
れるので、従来のような、イオウ析出の防止を目的とす
る散水のpH調整や塩濃度調整は必要なく、循環式散水
方式と一過式散水方式のいずれをも実施可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1において、充填式生物脱
臭塔は、脱臭塔11の内部が上下方向の仕切壁12,1
3によって3つの区画14,15,16に分割されてお
り、各区画14,15,16に、イオウ系臭気成分など
の臭気成分を分解する微生物を担持した充填層17,1
8,19が配設され、各充填層17,18,19の上方
に、脱臭塔11の外部の給水手段(図示せず)に接続し
たスプレーノズル20が設けられている。
【0017】脱臭塔11には、区画14,16に配設さ
れた充填層17,19より下方の箇所に臭気ガス流入口
21,22が形成され、区画15に配設された充填層1
8より下方の箇所に脱臭ガス流出口(図示せず)が形成
されていて、これにより、脱臭塔11の内部に、臭気ガ
ス流入口21から区画14,15を通って脱臭ガス流出
口へ至る第1処理区と、臭気ガス流入口22から区画1
6,15を通って脱臭ガス流出口へ至る第2処理区とが
並設されている。
【0018】臭気ガス流入口21,22にはそれぞれ、
開閉弁23a,24aを備えた臭気ガス導入管23,2
4が接続し、脱臭ガス流出口には脱臭ガス排出管25が
接続している。
【0019】脱臭塔11の底部は、スプレーノズル20
より散水された水を回収する貯水部26となっている。
上記した構成における作用を説明する。
【0020】臭気ガス導入管23,24を通じて脱臭塔
11の内部に臭気ガスを導入すると、導入された臭気ガ
スは第1処理区(区画14,15)または第2処理区
(区画16,15)を通った後に脱臭ガス排出管25を
通じて流出し、その間に、臭気ガス中に含まれるH2
などのイオウ系臭気成分は充填層17,18または1
9,18に担持された微生物により分解される。
【0021】このとき、イオウ系臭気成分の分解により
硫酸が生じて充填層17,18,19に付着するので、
スプレーノズル20より間欠的に散水して硫酸を除去す
る。しかるに、臭気ガス中にH2 Sが高濃度に含まれる
場合は、前述の機構によってH2 Sから顆粒状の単体イ
オウが析出し、それにより特に充填層17,19に圧力
損失が生じるので、圧力損失が所定値以上に達した時
に、あるいは定期的に、たとえば開閉弁23aを閉動し
て臭気ガス流入口21を適当期間閉塞し、対応する第1
処理区(区画14,15)の運転を停止する。
【0022】図2は区画14,15における運転経過日
数と圧力損失との関係を示したグラフであり、グラフか
らわかるように、運転停止後に区画14の圧力損失が低
下しており、これは、区画14に配設された充填層17
の表面に析出した単体イオウが微生物により酸化分解さ
れたからである。このとき、微生物の脱臭性能も回復す
る。
【0023】このように単体イオウが酸化分解され、圧
力損失が解消されたら、開閉弁23aを開動して臭気ガ
ス流入口21を開放し、対応する第1処理区(区画1
4,15)の運転を再開する。
【0024】なお、臭気ガス流入口21を閉塞して対応
する第1処理区(区画14,15)の運転を停止する間
は、臭気ガス流入口22は開放して対応する第2処理区
(区画16,15)の運転を維持しておき、第1処理区
(区画14,15)の運転を再開した後の適当時に、開
閉弁24aを閉動して臭気ガス流入口22を適当期間閉
塞し、対応する第2処理区(区画16,15)の運転を
停止する。
【0025】図2からわかるように、臭気ガス流入口2
1,22から遠い区画15にはイオウはほとんど析出し
ないので、区画15の停止は必要ではない。図3は、圧
力損失の上昇に基づいて第1処理区と第2処理区の運転
・停止を切り換える運転状態を示したものであり、この
ようにして運転することにより、脱臭処理を停止するこ
となく、第1処理区(区画14,15)と第2処理区
(区画16,15)を圧力損失が小さい状態(すなわち
イオウの析出が少ない状態)に戻して、安定した脱臭運
転を行える。
【0026】したがって、従来のように散水する水のp
Hや塩濃度を必ずしも所定値に調整する必要はなく、一
過式散水方式と循環式散水方式のいずれをも採用でき
る。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明の充填式生物脱臭
塔によれば、脱臭塔の少なくとも2箇所に臭気ガス流入
口を設け、各臭気ガス流入口に対応する複数の処理区を
並設することにより、各処理区の運転・停止を交互に行
い、運転停止する間に、運転中に析出したイオウを分解
できるようにしたので、従来のように散水する水のpH
や塩濃度を必ずしも所定値に調整する必要はなく、散水
方式が一過式と循環式のいずれであっても、充填層の圧
損上昇を防止し、安定した脱臭運転を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の充填式生物脱臭塔の全体
構成を示した説明図である。
【図2】図1に示した充填式生物脱臭塔における運転経
過日数と圧力損失との関係を示したグラフである。
【図3】図1の充填式生物脱臭塔における各処理区の運
転切換えを示した説明図である。
【図4】従来の充填式生物脱臭塔の全体構成および作用
を示した説明図である。
【符号の説明】
11 脱臭塔 12,13 仕切壁 14,15,16 区画 17,18,19 充填層 20 スプレーノズル 21,22 臭気ガス流入口 23,24 臭気ガス導入管 23a,24a 開閉弁 25 脱臭ガス排出管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−98360(JP,A) 特開 平3−221118(JP,A) 特開 平7−303816(JP,A) 特開 平5−261241(JP,A) 特開 平6−99192(JP,A) 特開 平7−136454(JP,A) 実開 平6−15724(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/34 - 53/85 B01D 53/14 - 53/18 A61L 9/00 - 9/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単体イオウが析出するほどに高濃度の硫
    化水素が含まれる臭気ガスを充填式生物脱臭塔で処理す
    るものであり、複数の臭気ガス流入口のそれぞれに対応
    する処理区毎に臭気ガスを導入して運転し、各処理区の
    充填層に臭気ガスを通気して臭気ガス中に含まれるイオ
    ウ系臭気成分の硫化水素を充填層に担持した微生物のイ
    オウ酸化菌で酸化分解し、硫化水素の分解により生成す
    る硫酸を散水装置から充填層へ散水して除去する生物脱
    臭方法であって、各処理区を運転する間にいずれかの処
    理区の運転を適当期間停止し、当該処理区の運転時に充
    填層の表面に析出した単体イオウを前記微生物のイオウ
    酸化菌で酸化分解することを特徴とする生物脱臭方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する生物脱臭方法に用い
    る充填式生物脱臭塔であって、臭気ガス流入口と脱臭ガ
    ス流出口とを形成した脱臭塔の内部に、イオウ系臭気成
    分などの臭気成分を分解する微生物を担持した充填層
    と、この充填層に向けて散水する散水装置とを設けた充
    填式生物脱臭塔において、前記脱臭塔の少なくとも2箇
    所に前記臭気ガス流入口を設け、各臭気ガス流入口に対
    応する複数の処理区を並設し、各臭気ガス流入口に対応
    する処理区毎に運転と運転停止を行うことを特徴とする
    充填式生物脱臭塔。
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