JP3391528B2 - 自動車のシートの背もたれ前傾装置 - Google Patents

自動車のシートの背もたれ前傾装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、自動車のシートの背も
たれを緩速度で前傾させることができるようにした背も
たれ前傾装置に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車のシートの背もたれを前傾させる
のは、例えば、後部シートの背もたれを前傾させること
によりトランクを車室に連通したり、また、2ドアの自
動車で後部車室に乗り込めるように前部シートの背もた
れを前傾させる場合がある。 【0003】従来の背もたれ前傾装置としては、自動車
のシートの座部に背もたれを前傾可能に軸支して該背も
たれを前傾方向に揺動付勢する付勢バネを、前記背もた
れを常には前記付勢力に抗して起立姿勢に保持し、
の解除により前記付勢力で前傾させるようにしたもの
が知られている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来装置
は、背もたれが付勢力により急速に前傾する構造である
ため、例えばシートの座部に置かれた物品を壊したり、
あるいは、幼児を挟んだりするおそれがあって、安全性
の上で問題があった。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の自動車のシート
の背もたれ前傾装置は、叙上の点に鑑み完成されたもの
であって、背もたれと一体的に回動する傾動支持軸と同
心に円形のケースを固設し、そのケース内に円形のクラ
ッチばねを緊密に嵌装してそのクラッチばねの円周方向
に間隔を空けた両端に内向きの掛止部を形成するととも
に、ケース内に傾動支持軸と一体的に回動可能な中空の
駆動体を嵌装して、その外周に形成した切込溝の円周方
向の両端面をクラッチばねの掛止部に夫々係合可能に対
応させ、駆動体の内周に、円周方向の両端に外向きの係
合片を形成した円弧形のばね体を嵌装して、そのばね体
の背もたれが前傾する場合の回転方向の前端側の係合片
をクラッチばねの一方の掛止部と駆動体の対応する端面
との間に、後端側の係合片をクラッチばねの他方の掛止
部の外側に夫々嵌入した構成とした。 【0006】 【作用】本発明は以下のように作用する。保持を解除す
ると背もたれが付勢ばねの付勢力で前傾しようとし、そ
れに伴い傾動支持軸が回動すると、それと一体的に回動
する駆動体がばね体の前端側の係合片を押してそれを回
動させ、そのばね体の後端側の係合片がクラッチばねの
対応する掛止部を外側から押圧する。それにより、クラ
ッチばねが拡径方向に変形してケースの内周面との摩擦
力が増大することにより回転不能にロックされて、背も
たれの前傾に制動が加えられる。 【0007】引き続き傾動支持軸にトルクが加わると、
ばね体を弾性変形させつつ駆動体が回動して、ばね体の
前端側の係合片がクラッチばねの対応する掛止部を内側
から押圧する。それにより、クラッチばねが縮径方向に
変形してケースの内周面との摩擦力が減少し、駆動体と
もども回動する。その間にばね体が弾性復元する。 【0008】それ以降、上記の動作が繰り返され、背も
たれの前傾中に適宜に制動が加えられて緩やかに前傾さ
れる。 【0009】背もたれを起こす場合は、駆動体が逆方向
に回転するのに伴い、クラッチばねの一方の掛止部を常
に内側から押圧して縮径状態とするので、抵抗を受ける
ことなく背もたれがスムーズに起こされる。 【0010】 【実施例】以下、本発明を自動車の後部シートの背もた
れを前傾させることによりトランクを車室に連通させる
トランクスルーオープナーシステムに適用した一実施例
を図1〜図4に基づいて説明する。 【0011】図1において、符号1は自動車のボディに
据え付けられた後部シートであって、その座部2の後部
側面に固定された下ブラケット5の軸受部に、背もたれ
3の下部側面に固定した上ブラケット6に突設された傾
動支持軸7が嵌装されて、背もたれ3が傾動自由に支持
されており、その傾動支持軸7の回りに装着されたうず
巻ばねからなる付勢ばね9の内端が支持軸7の先端面に
形成された割り溝に嵌着され、外端が下ブラケツト5に
突設された掛止ピン10に掛止されて、背もたれ3は付
勢ばね9の弾力により前傾方向に付勢されている。 【0012】傾動支持軸7には2つの切り欠き12を形
成した爪車11が固定されているとともに、下ブラケッ
ト5に、その切り欠き12に掛止する鈎部を上端に設け
た掛止レバー14が軸15により揺動自由に支持され
て、軸15よりも下方と下ブラケット5の前部に形成さ
れた舌片16との間に装着された引っ張りばね17の弾
力により時計方向の揺動力が付勢されている。 【0013】符号19は可撓性を有するアウタチューブ
20内にインナケーブル21を挿通したコントロールケ
ーブルであって、アウタチューブ20の一端は下ブラケ
ット5に、他端はトランク23の開口付近の内側に夫々
固定具24、25によって固定されており、アウタチュ
ーブ20の一端から突出したインナケーブル21は上記
の掛止レバー14の下端に連結され、他端から突出した
インナケーブル21にはノブ26が取り付けられてい
て、ノブ26と固定具25の間に圧縮ばね27が装着さ
れてインナケーブル21に張力を付与している。 【0014】背もたれ3は、常には掛止レバー14の鈎
部が爪車11の下側の切り欠き12に掛止することによ
って起立姿勢に保持されており、トランク23を開いて
ノブ26を引っ張ると、インナケーブル21が引っ張ら
れて掛止片14が反時計方向に揺動し、爪車11のラッ
チが解除されて、背もたれ3が付勢ばね9の弾力で前傾
するようになっている。 【0015】続いて、背もたれ3を緩やかに前傾させる
部分の機構について、図2〜図4によって説明する。 【0016】後部シート1の反対側の側面では、上記と
同じように、座部2に下ブラケット5aが、背もたれ3
に上ブラケット6aが夫々固定され、上ブラケット6a
に先端側にセレーションを形成した傾動支持軸7aが突
設されて、下ブラケット5aの軸受孔30に嵌装されて
いる。 【0017】下ブラケット5aの表面には、一面側を開
口した円形のケース31が傾動支持軸7aと同心に固定
されている。そのケース31内には、ねじりばねからな
るクラッチばね32が緊密に嵌装され、その円周方向に
間隔を空けた両端に、内向きの掛止部33a、33bが
形成されている。 【0018】また、ケース31内には、基板36の前面
に軸部37を突成してなる駆動体35が、その軸部37
の先端面に穿設したセレーション孔38内に上記の傾動
支持軸7aのセレーション部を嵌合し、また、基板36
の後面に突設した軸39をケース31の軸受孔40に嵌
装して、傾動支持軸7aと一体回転可能に嵌装されてい
る。 【0019】その駆動体35の基板36の前面には、断
面略扇形をなす2つの突片41a、41bが軸心を挟ん
だ反対側の位置に形成されており、各突片41a、41
bの間の一方の切込溝42を挟んで互いに隣接する面4
3a、43bが、夫々上記したクラッチばね32の各掛
止部33a、33bと係合可能に対応する係合面となっ
ている。 【0020】その駆動体35の両突片41a、41bの
内周には、板ばねを円弧形に曲成してその円周方向の両
端に外向きの係合片46a、46bを形成したばね体4
5が嵌装され、一方の係合片46aがクラッチばね32
の一方の掛止部33aとそれと対応した駆動体35の係
合面43aとの間に、また、他方の係合片46bがクラ
ッチばね32の他方の掛止部33bの外側に夫々嵌入さ
れている。 【0021】次に、本実施例の作動を説明する。既述し
たように、トランク23を開いてノブ26を引っ張る
と、爪車11のラッチが解除されて、起立姿勢にあった
背もたれ3が付勢ばね9の弾力で前傾しようとし、それ
に伴いその傾動支持軸7aが図4(A)の反時計方向に
回動すると、セレーション結合された駆動体35が同方
向に回動し、一方の突片41aの係合面43aがばね体
45の一方の係合片46aを押してばね体45を同方向
に回動させ、そのばね体45の他方の係合片46bがク
ラッチばね32の他方の掛止部33bを外側から押圧す
る。 【0022】それにより、クラッチばね32が拡径方向
に変形してケース31の内周面との摩擦力が増大するこ
とにより回転不能にロックされて、背もたれ3の前傾に
制動が加えられる。 【0023】引き続き傾動支持軸7aにトルクが加わる
と、同図(B)に示すように、ばね体45を弾性変形さ
せつつ駆動体35が反時計方向に回動して、ばね体45
の一方の係合片46aがクラッチばね32の一方の掛止
部33aを内側から押圧する。それにより、クラッチば
ね32が縮径方向に変形してケース31の内周面との摩
擦力が減少し、駆動体35ともども回転可能する。その
間にばね体45が弾性復元する。 【0024】それ以降、上記の動作が繰り返され、背も
たれ3の前傾中に適宜に制動が加えられて緩やかに前傾
される。 【0025】背もたれ3を起こす場合は、駆動体35が
図4の時計方向に回転し、それに伴い、駆動体35の他
方の突片41bの係合面43bがクラッチばね32の他
方の掛止部33bを常に内側から押圧して縮径状態とす
るので、駆動体35がクラッチばね32、ばね体45と
もども抵抗を受けることなく回動して、背もたれ3がス
ムーズに起こされる。 【0026】なお、上記実施例では、背もたれ3の前傾
付勢の機構と、前傾を緩速度に抑制する機構とを後部シ
ート1の両側に各別に設けたが、シート1の一側におい
て連設することも可能である。 【0027】また、本発明は、2ドアの自動車で後部車
室に乗り込めるように前部シートの背もたれを前傾させ
る装置にも同様に適用することができる。 【0028】 【発明の効果】以上具体的に説明したように、本発明に
よれば、シートの背もたれを緩速度で前傾させることが
でき、急速度で前傾された場合のように座部に置かれた
物品を壊したり、幼児を挟んだりするのが防止できて、
安全性を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例の背もたれの前傾付勢機構を
示す斜視図である。 【図2】前傾の速度抑制機構部分の断面図である。 【図3】その内部構成部品の分解斜視図である。 【図4】その作動説明図である。 【符号の説明】 1:後部シート 2:座部 3:背もたれ 5、5a:
下ブラケット 6、6a:上ブラケット 7、7a:傾
動支持軸 9:付勢ばね 11:爪車 14:掛止レバ
ー 19:コントロールケーブル 31:ケース 3
2:クラッチばね 33a、33b:掛止部 35:駆動体 41a、41
b:突片 42:切込溝 43a、43b:係合面 4
5:ばね体 46a、46b:係合片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60N 2/00 - 2/72

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】自動車のシートの座部に背もたれを前傾可
    能に軸支して該背もたれを前傾方向に揺動付勢する付勢
    バネを前記背もたれを常には前記付勢力に抗して起立姿
    勢に保持し、保持の解除により前記付勢力で前傾させ
    るようにした自動車のシートの背もたれ前傾装置におい
    て、 前記背もたれと一体的に回動する傾動支持軸と同心に円
    形のケースを固設し、該ケース内に円形のクラッチばね
    を緊密に嵌装して該クラッチばねの円周方向に間隔を空
    けた両端に内向きの掛止部を形成するとともに、前記ケ
    ース内に前記傾動支持軸と一体的に回動可能な中空の駆
    動体を嵌装して、その外周に形成した切込溝の円周方向
    の両端面を前記クラッチばねの前記掛止部に夫々係合可
    能に対応させ、前記駆動体の内周に、円周方向の両端に
    外向きの係合片を形成した円弧形のばね体を嵌装して、
    該ばね体の前記背もたれが前傾する場合の回転方向の前
    端側の前記係合片を前記クラッチばねの一方の掛止部と
    前記駆動体の対応する端面との間に、後端側の前記係合
    片を前記クラッチばねの他方の掛止部の外側に夫々嵌入
    したことを特徴とする自動車のシートの背もたれ前傾装
    置。
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