JP3385156B2 - 連続鋳造用タンデイッシュ内溶鋼のプラズマ加熱方法 - Google Patents

連続鋳造用タンデイッシュ内溶鋼のプラズマ加熱方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、タンデイッシュに
収容された溶鋼をプラズマトーチから発生するプラズマ
アークによって加熱を行う連続鋳造用タンデイッシュ内
溶鋼のプラズマ加熱方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】鋼の連続鋳造では、タンデイッシュ内の
温度低下を補償し、溶鋼の二次精整、介在物の浮上促
進、ノズル詰まりの防止等のためタンデイッシュ内の溶
鋼を加熱することが行われている。この場合の溶鋼加熱
では、溶鋼が汚染することなく、かつ加熱効率のよい加
熱手段を使用することが好ましく、この条件に合う加熱
手段としてプラズマ加熱設備が知られている。一般にプ
ラズマ加熱設備を備えた連鋳機のタンデイッシュでは、
タンデイッシュへの溶鋼受入れ側と排出側との途中に加
熱室を設置し、この加熱室に設けたプラズマトーチを用
いてプラズマアークにより溶鋼を加熱することが行われ
ている。 【0003】加熱室内の雰囲気は、たとえば特開昭59-1
63062 号公報に開示されているように、溶鋼の酸化防
止、プラズマトーチの電極損耗、操業の安定性、コスト
低減、鋳片品質の向上等を考慮してアルゴンガス(Ar
ガス)雰囲気に保たれている。Arガス雰囲気に保たれ
ている加熱室内の溶鋼は、プラズマトーチからの印加電
力によって加熱量が決まるので、印加電力を調整するこ
とにより、タンデイッシュから鋳型に鋳込み時の溶鋼温
度が所定の範囲になるように加熱している。プラズマア
ークの出力がアーク電流と電圧との積により定まるの
で、印加電力の調整には、電流調整と電圧調整との二つ
の手段を使用することになる。一般に、電流調整には、
電力供給装置の電流設定変更により行われ、電圧調整に
は、プラズマトーチの高さ位置を変化させることにより
行われている。 【0004】プラズマトーチを用いた溶鋼の加熱では、
プラズマアークの発生を安定化することが肝要であり、
加熱室内溶鋼を加熱するための電流調整および電圧調整
は、大きな操作要因になっている。印加電流を調整する
場合、プラズマトーチの容量や加熱室の大きさによって
調整範囲が制限され、また、プラズマトーチの電極が溶
損するのを防止するためにも、印加する電流密度を上げ
ることには、自ずと限度がある。一方、プラズマトーチ
と溶鋼との距離を変えることにより、プラズマアークの
特性が決定され、アーク長さは印加電圧に比例して変化
する。 【0005】印加電圧を調整することによりプラズマア
ークの長さを調節する場合、アーク長さを短くするため
電圧を下げ過ぎるとプラズマトーチに溶鋼のスプラッシ
ュが付着し、トーチを損傷する危険がある。逆に、アー
ク長さを長くするため電圧を上げすぎると、加熱室の壁
面を溶損したり、発熱量が低下するばかりでなくアーク
が乱れて不安定になる。したがって、プラズマ出力を制
御するために、電流調整と電圧調整とを併用して操作し
ても、印加電力の調整幅には限度があることが分かる。 【0006】前述のように、溶鋼のプラズマ加熱を行う
場合に、加熱室内の雰囲気ガスとして、安定したプラズ
マアークが得られ、取扱が容易で溶鋼の酸化や窒化を防
止できること等からArガスが一般に使用されていた。
しかしながら、Arガスは、プラズマアークの電位傾度
が小さく、印加する電流と電圧とを併用して調整して
も、プラズマアークによる加熱出力が不足し、溶鋼の温
度補償が十分に行えない場合があった。アーク電圧を高
める手段として、プラズマアークの電位傾度が大きいガ
ス組成にすることが知られている。すなわち、アーク電
圧はアーク長さに比例して変化するが、その電位傾度は
プラズマガス組成や加熱室の雰囲気ガス組成に影響さ
れ、N2 、O2 等の2原子分子ガス濃度が高いほど電位
傾度が大きくなる。 【0007】溶鋼をプラズマ加熱する場合、プラズマト
ーチから吹き込むプラズマ作動用ガスや加熱室内の雰囲
気ガスとして、溶鋼の酸化を防止するため、一般にAr
ガスやN2 ガスが使用され、不可避的に侵入する空気以
外はO2 ガスを使用することはない。このため、2原子
分子ではないArガスを雰囲気ガスとして使用する場合
には、Arガスに2原子分子ガスであるN2 ガスを混合
することによって、プラズマ出力を増加させている。こ
の点に着目して、特開平3-42159 号公報には、加熱室等
の溶鋼上面の雰囲気を、ArガスにCOガスが1〜20
容積%の組成割合になるように混合し、これによりプラ
ズマ電位傾度を高くすることにより、プラズマ出力を向
上するものが開示されている。さらに、特開平5-1317号
公報には、加熱室等の雰囲気ガスとして、ArガスにN
2 ガスを0.8 〜12.0%の範囲になるように混合するもの
が開示されている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】前述のように、連続鋳
造用タンデイッシュの途中に加熱室を配置し、この加熱
室内をArガス雰囲気にして、プラズマトーチから発生
させたプラズマアークにより溶鋼を加熱する場合、Ar
ガスの電位傾度が小さいため、プラズマトーチに印加す
る電流と電圧調整を併用しても、溶鋼を目標温度に加熱
するに足るプラズマの出力範囲が不足し、温度補償が十
分に得られないという問題点があった。また、加熱室内
の雰囲気を電位傾度の高いガス組成に保つため、前記特
開平3-42159 号公報に開示されているようにArガスに
COガスを混合する場合には、プラズマトーチの電極消
耗が激しくなるという問題点があった。 【0009】ところで、加熱室内の溶鋼をプラズマアー
クにより加熱する場合には、もともとArガス雰囲気に
することを前提にして出発している。このため、加熱室
に侵入する空気中の酸素により、溶鋼が酸化される以外
に酸化される可能性がないので加熱室内の溶鋼は、表面
が裸湯となっている。したがって、前記特開平5-1317号
公報に開示されているように加熱室内の雰囲気として、
ArガスにN2 ガスを0.8 〜12.0%混合したものを使用
する場合、溶鋼への窒素ピックアップが避けられず、鋳
片品質を低下させてしまうという問題点があった。 【0010】本発明は、前記従来技術の問題点を解消
し、Arガス雰囲気とした加熱室内に比較的電位傾度が
高く、安価でプラズマトーチの電極損耗の小さいN2
スを混合し、ArとN2 ガスとの混合ガス雰囲気にする
ことによりプラズマ出力範囲を拡大すると同時に、溶鋼
の窒素ピックアップを抑制および溶鋼の保温促進を達成
できる連続鋳造用タンデイッシュ内溶鋼のプラズマ加熱
方法を提供することを目的とするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】図2に、プラズマトーチ
から発生させたプラズマのアーク長さ(mm)とプラズマ出
力(MW) との関係を、ArガスとN2 ガスとの混合割合
を変化させた場合について比較して示す。図2に示すよ
うに、加熱室がArガス雰囲気にあってもアーク長さの
増大と共にプラズマ出力が増加していくが、Arガス雰
囲気にN2 ガス成分を加えると、N2 の増加と共に、さ
らにプラズマ出力範囲が拡大することができることが分
かる。また、図3に、加熱室内のArガス雰囲気に混合
するN2成分率(%)と溶鋼の裸湯面での窒素ピックア
ップ量Δ〔N〕%との関係を示す。図3に示すように、
2 成分率(%)の増加と共に窒素ピックアップ量Δ
〔N〕は増大し、鋳片の品質低下を招くことを示してい
る。 【0012】本発明は、前記のように連続鋳造時におい
て、タンデイッシュの途中に設置した加熱室内の雰囲気
ガス成分を、Arガスのみとした場合に比べ、ArにN
2 を混合する場合には、プラズマ出力が増加し、その出
力増加はN2 の増加と共に増大するというメリットが得
られる。しかしながら、加熱室内のN2 成分率が大きく
なるにつれて溶鋼の窒素ピックアップ量ΔNが増え、鋳
片の品質の劣化に大きな影響を及ぼすというデメリット
が生じる。 【0013】本発明は、前記のような加熱室内のArガ
ス雰囲気にN2 ガスを混合するとプラズマ出力がアップ
するというメリットを生かすと共に、溶鋼が窒素をピッ
クアップするというデメリットを抑制することができる
方法について検討を重ねた結果により達成されたもので
ある。前記目的を達成するための本発明は、連続鋳造用
タンデイッシュの途中にプラズマトーチを備えた加熱室
を配置し、この加熱室内をアルゴンガス雰囲気にすると
共に、プラズマトーチから発生させたプラズマアークに
より溶鋼を加熱する方法において、前記加熱室内のアル
ゴンガス雰囲気中に窒素ガスを混合すると共に、プラズ
マ作動用ガスを前記加熱室内のアルゴンガスと窒素ガス
の混合比率と同等になるようにして前記プラズマトーチ
に供給し、さらに、当該加熱室内の溶鋼上にタンイッ
シュパウダを添加することにより、溶鋼の窒素ピックア
ップを防止しつつプラズマアークにより溶鋼を加熱する
ことを特徴とするタンデイッシュ内溶鋼のプラズマ加熱
方法である。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の態様を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施態様を示
し、プラズマ加熱設備を具備したタンデイッシュ1の溶
鋼受入れ側と排出側との途中に加熱室2が設置してあ
る。加熱室2の下部は、タンデイッシュ1内の溶鋼3に
垂直に浸漬する上流側壁4と下流側壁5とを備えてい
る。加熱室2を構成する天井壁6の中央部には、支持フ
レーム10に昇降自在に支持されたプラズマトーチ7が垂
直に炉内に臨んでおり、このプラズマトーチ7にはアル
ゴンガス供給管8と窒素ガス供給管9とを合流したガス
供給管28が接続してある。また、天井壁6には、ガス供
給管28が炉内に向けて開口していると共に、パウダ供給
用ホッパ11が配置してある。 【0015】連続鋳造に先立って、タンデイッシュ1内
は、予熱装置(図示せず)によって予熱されると共に、
加熱室2内にまずアルゴンガス供給管8からガス供給管
28を経由してArガスが供給され、空気との置換を行っ
て、加熱室2内をArガス雰囲気にする。連続鋳造を開
始するに際しては、加熱室2内をArガス雰囲気にし
て、取鍋12の底部に設けたスライディングノズル15を開
口し、取鍋12内の溶鋼3を、ロングノズル13を介してタ
ンデイッシュ1の受入れ側に注入し、溶鋼3の酸化や窒
素ピックアップを防止する。タンデイッシュ1内に所定
量の溶鋼3が溜まった時点で、パウダ供給用ホッパ11か
ら所定量のタンデイッシュパウダ18が、加熱室2内の溶
鋼3上に添加され、溶鋼3の表面をタンデイッシュパウ
ダ18により被覆して溶鋼3の酸化や窒素のピックアップ
を防止をする。 【0016】溶鋼3上をタンデイッシュパウダ18により
被覆した時点で、窒素ガス供給管9からN2 ガスの供給
を開始し、ArとN2 からなる混合ガスに切り換え、加
熱室2内にガス供給管28からArとN2 とを導入し、加
熱室2内をArとN2 の混合ガス雰囲気に保持する。こ
の場合、流量計21、22によりそれぞれArとN2 の流量
を測定し、演算制御装置20によってArとN2 の流量お
よび混合比を制御する。また、演算制御装置20には、温
度センサ23により測定されたタンデイッシュ1の排出側
における溶鋼温度の信号および電力供給装置24からプラ
ズマトーチ7に供給する電流値、電圧値の信号が入力さ
れるようになっいる。 【0017】また、タンデイッシュ1の排出側における
溶鋼3の目標温度を設定し、これを演算制御装置20に入
力しておく。演算制御装置20では、設定した目標温度と
温度センサ23により測定した溶鋼3の温度との差に応じ
て電力供給装置24を制御し、電流を調整すると共に適宜
にトーチ昇降装置25を昇降制御して電圧を調整する。加
熱室2内の溶鋼3の温度をさらに高くする必要が生じた
場合には、演算制御装置20により、必要とする電圧を得
ることができるArとN2 との雰囲気ガス成分の比率を
演算する。 【0018】演算により得られたガス成分に基づいてA
rとN2 の流量信号を、それぞれ流量計21、22に送信
し、アルゴンガス供給管8および窒素ガス供給管9から
必要量のガスを供給すると共に、プラズマ出力がアップ
するようにArとN2 の混合比率を変更する。そして、
プラズマトーチ7に供給するプラズマ作動用ガスは、流
量計26により測定する一方、加熱室2に供給する雰囲気
用ガスは、流量計27により測定する。これら流量測定信
号を演算制御装置20に入力し、演算制御装置20では、プ
ラズマトーチ7および加熱室2に供給する流量を演算
し、この演算により得られたガス流になるように流量
制御する。 【0019】これによって電圧の制御幅を一層拡大し、
プラズマトーチ7のプラズマ出力をアップし、溶鋼3の
加熱熱量を増加する。プラズマの大半の熱はプラズマガ
スより輻射熱として放出され、溶鋼3を加熱する。な
お、プラズマトーチ7から発生させたプラズマアーク19
は、当該プラズマトーチ7からプラズマ作動用ガスを吹
き出した直後には、プラズマ作動用ガスによって覆われ
ているが、溶鋼3の表面に接近する段階では、雰囲気ガ
スを巻き込むのでプラズマアークは雰囲気ガスの影響を
受ける。 【0020】このため、プラズマトーチ7から発生させ
るプラズマアーク19の出力を増加するには、プラズマ作
動用ガスの他に雰囲気用ガスの成分を、電位傾度の高い
ガス成分を有するものにしておく必要がある。したがっ
て、本発明では、プラズマ作動用ガスの他、雰囲気ガス
としてArガスに、電位傾度の比較的高く、安価なN 2
ガスを混合して使用するのである。なお、加熱室2内に
おいて溶鋼3の窒素ピックアップが小さいと考えられる
場合には、N2 成分率に応じて当初から雰囲気ガスをA
rおよびN2 の混合ガスを供給し、加熱室2内をArと
2 との混合ガスにしておくことも可能である。 【0021】連続鋳造中に、タンデイッシュ1の受入れ
側に注入された溶鋼は、上流側壁4の下方を通過して加
熱室2内に入る。加熱室2内に入った溶鋼3は、前述の
ような操作手順により、プラズマトーチ7との間でプラ
ズマアーク19を発生させ、加熱室2内の溶鋼3を加熱
し、溶鋼3を所定の温度に維持すると同時に、パウダ供
給用ホッパ11から供給されるタンデイッシュパウダ18を
溶融させる。プラズマトーチ7から目標とするプラズマ
アーク19を発生させるため、Arと電位傾度の大きいN
2 との混合ガスを使用することによって、プラズマアー
ク19による加熱出力を高め、溶鋼3の加熱を促進する。 【0022】本発明では、加熱室2内がArに比較して
電位傾度の比較的高いN2 を混合した雰囲気を用いるの
で、プラズマトーチ7による加熱の出力制御範囲を拡大
することができ、これにより加熱室2内の溶鋼3の昇温
や温度維持を行い易くする。また、加熱室2内の溶鋼3
の表面は、タンデイッシュパウダ18により被覆され
り、N2 ガス成分が溶鋼に接触するのは、プラズマトー
チ7から吹き出したプラズマ作動用ガスにより、ダンテ
イッシュパウダ18を吹き払い溶鋼3の裸湯面が露出する
部分だけである。加熱室2内に存在する大部分の溶鋼3
は、タンデイッシュパウダ18により被覆されていて、窒
素ピックアップを防止できるので、雰囲気ガス成分に多
量のN2 ガスを混合しても、溶鋼3の窒素ピックアップ
を抑制することができる。このようにして、 加熱室2内
で溶鋼3は、プラズマトーチ7から出力をアップしたプ
ラズマアーク19により加熱され、所定の温度に迅速に調
整されると共に、窒素ピックアップを抑制された溶鋼3
は、下流側壁5の下方を通過してタンデイッシュ1の排
出側に入り、前述のように浸漬ノズル14を介して鋳型17
に注入される。 【0023】図4は、図1に示す装置を使用し、タンデ
イッシュ1の途中に設置した加熱室2内の雰囲気とし
て、Arガス成分とN2 ガス成分とが、半々の50容積%
になるように混合し、加熱室内におけるプラズマアーク
の出力アップにより溶鋼の温度補償を十分に行うと共
に、溶鋼の表面をタンデイッシュパウダにより被覆し
て、窒素のピックアップを抑制する本発明法を実施した
場合と、加熱室内の雰囲気を、Arガス成分100 容積%
として溶鋼上にタンデイッシュパウダを添加しない従来
法の場合とを、連続鋳造開始から鋳造終了までのタンデ
イッシュ排出側の溶鋼温度推移を示している。 【0024】なお、表1に本発明法および従来法により
連続鋳造した極低炭素鋼用向けの溶鋼組成を示し、表2
に本発明で使用したタンデイッシュパウダの組成を示
す。また、鋳造条件を表3に示す。 【0025】 【表1】 【0026】 【表2】 【0027】 【表3】【0028】図4に示すように鋳造開始から50分経過
後、加熱室に設けたプラズマトーチから発生させたプラ
ズマアークにより溶鋼の加熱を開始した。なお、鋳造終
了時の溶鋼目標温度を1505℃±3℃とした。図4に示す
ように鋳造開始後に溶鋼は、放熱により温度が次第に低
下し、50分経過時に1540℃を下回る温度まで低下した。
そこで、加熱室に配置したプラズマトーチから発生させ
たプラズマアークにより溶鋼の加熱を行った。本発明で
は、加熱室内に加えた電位傾度の大きいN2 ガス効果に
よるプラズマアークの出力アップにより、加熱室内の溶
鋼の温度補償を十分に行うことができた。その結果、鋳
造終了時の溶鋼温度を目標を上回るレベルで溶鋼の温度
を維持することができ、安定した連続鋳造を行うことが
できた。 【0029】これに対し、従来法による場合には、加熱
室内の雰囲気ガスがArのみであるため、プラズマアー
クの出力を十分に上げることが困難で、加熱室内の溶鋼
温度補償が不足気味となり、鋳造終了時の溶鋼温度は、
目標温度をやや下回る温度まで低下し、操業が不安定に
なった。ちなみに、表4に本発明法と従来法による場合
のArとN2 との混合割合別の操業結果を比較して示
す。 【0030】 【表4】 【0031】表4に示すように本発明によれば、溶鋼の
窒素ピックアップ量ΔNを従来法並みに抑制することが
可能となるばかりでなく、タンデイッシュパウダにより
溶鋼中の非金属介在物が吸着されるので、介在物指数を
従来法よりも低減する効果も得られた。 【0032】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、タ
ンデイッシュの途中に配置した加熱室内のArガス雰囲
気に電位傾度の高いN2 ガス成分を混合し、プラズマト
ーチから発生させるプラズマアークの出力範囲を拡大で
きる。そのため、溶鋼の温度補償を十分に行うことがで
きるので、溶鋼の温度を目標温度に容易に維持でき、安
定した連続鋳造が達成される。また、加熱室内の溶鋼上
に添加したタンデイッシュパウダにより溶鋼が保温され
ると共に、雰囲気ガスからの窒素ピックアップが低減さ
れ、非金属介在物の吸着、除去により良好な品質の鋳片
を製造することが可能になる。さらに、プラズマトーチ
先端部の電極消耗の軽減、タンデイッシュパウダによる
加熱室内の耐火物保護効果も得られる。
【図面の簡単な説明】 【図1】プラズマ加熱設備を備えた連続鋳造用タンデイ
ッシュの概略を示す断面図である。 【図2】プラズマアーク長さ(mm) とプラズマ出力(M
W) との関係を、ArとN2 との割合を変化させた場合
について示す特性図である。 【図3】N2 成分率と窒素ピックアップ量ΔN(%)と
の関係を示す特性図である。 【図4】連続鋳造開始から鋳造終了までの経過時間
(分)と溶鋼温度(℃)との関係を本発明法および従来
法について比較して示す特性図である。 【符号の説明】 1 タンデイッシュ 2 加熱室 3 溶鋼 4 上流側壁 5 下流側壁 6 天井壁 7 プラズマトーチ 8 アルゴンガス供給管 9 窒素ガス供給管 10 支持フレーム 11 パウダ供給用ホッパ 12 取鍋 13 ロングノズル 14 浸漬ノズル 15 スライディングノズル(取鍋) 16 スライディングノズル(タンデイッシュ) 17 鋳型 18 タンデイッシュパウダ 19 プラズマアーク 20 演算制御装置 21 流量計 22 流量計 23 温度センサ 24 電力供給装置 25 トーチ昇降装置 26 流量計 27 流量計 28 ガス供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−243254(JP,A) 特開 平6−39505(JP,A) 特開 平5−305422(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/10 B22D 41/01 B22D 45/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 連続鋳造用タンデイッシュの途中にプラ
    ズマトーチを備えた加熱室を配置し、この加熱室内をア
    ルゴンガス雰囲気にすると共に、プラズマトーチから発
    生させたプラズマアークにより溶鋼を加熱する方法にお
    いて、前記加熱室内のアルゴンガス雰囲気中に窒素ガス
    を混合すると共に、プラズマ作動用ガスを前記加熱室内
    のアルゴンガスと窒素ガスの混合比率と同等になるよう
    にして前記プラズマトーチに供給し、さらに、当該加熱
    室内の溶鋼上にタンデイッシュパウダを添加することに
    より、溶鋼の窒素ピックアップを防止しつつプラズマア
    ークにより溶鋼を加熱することを特徴とするタンデイッ
    シュ内溶鋼のプラズマ加熱方法。
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