JP3384890B2 - 表面性状に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

表面性状に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法

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JP3384890B2 JP26187894A JP26187894A JP3384890B2 JP 3384890 B2 JP3384890 B2 JP 3384890B2 JP 26187894 A JP26187894 A JP 26187894A JP 26187894 A JP26187894 A JP 26187894A JP 3384890 B2 JP3384890 B2 JP 3384890B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面品質が特に重視さ
れるオーステナイト系ステンレス鋼の連鋳スラブを熱間
圧延するとき、鋼帯又は鋼板の表面に発生する割れ疵,
ヘゲ疵等の表面欠陥を防止し、表面性状に優れたオース
テナイトステンレス鋼帯又は鋼板を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼の熱間圧延に際して問題と
なる表面欠陥の一つに、ヤヘゲ疵と呼ばれる山形状のヘ
ゲ疵がある。この欠陥は、冷間圧延後も残存し、多くの
場合に熱延鋼帯では発見できない微細なヤヘゲ疵でも冷
間圧延によって顕在化する。特に表面品質が問題とされ
るステンレス鋼では、ヘゲ疵等の欠陥は致命的であり、
歩留りを低下させ、大幅なコストアップを招いたり、所
定の板幅を確保することが困難になる。このような現象
は、凝固後の時点でδフェライトを全く含まないオース
テナイト単相鋼に顕著にみられる。また、冷間圧延後に
透磁率μ≦1.10が要求される非磁性ステンレス鋼の
場合、熱延鋼帯にヤヘゲ疵が発生し易い。この種の表面
欠陥は、グラインダー等で研削除去しても残存すること
が多く、製品加工後のバレル研磨程度では除去されな
い。残存した表面疵は、疲労特性,耐食性等の製品特性
に悪影響を及ぼすと共に、製品歩留りの低下を招き、後
工程の負荷を増大させ、製品コストを上昇させる原因と
なる。熱延後の表面疵を防止する方法としては、連鋳時
の溶鋼過熱温度ΔTと[N]量の積に応じて熱間圧延時
の加熱温度を調整する方法(特開昭57−127506
号公報),特殊成分の添加により熱間強度を向上させる
方法等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】熱間圧延時の加熱温度
制御により表面疵の発生防止を図る方法では、連続鋳造
時に溶鋼過熱温度ΔT及び[N]量が変化し、しかも加
熱炉操業で同時に複数のスラブを加熱することから、全
スラブを対象として熱間圧延時の加熱温度を制御するこ
とは実操業上で困難を伴う。また、連鋳スラブのオシレ
ーションマークの深さを0.2mm以下に制御する方法
(特公平2−23703号公報),スラブ両側面の厚み
中央にスラブ厚みの2〜15%に相当する深さの窪みを
スラブ長手方向に沿って付与する方法では、工業的に安
定した生産が困難になる。
【0004】特公平4−293717号公報では、Ni
bal =30×C%+0.5×Mn%+Ni%+8.2+
1.1×(1.5×Si%+Cr%+Mo%+0.5×
Nb%)で定義されるNibal を1.5〜−2.5の範
囲に維持し、且つS≦0.001重量%となる組成の鋼
材を使用することによって表面疵の発生を抑制してい
る。しかし、このような組成の溶鋼を工業的に安定して
製造することは困難である。しかも、何れの方法もヤヘ
ゲ疵の発生との相関関係が明確に把握されておらず、結
果としてヤヘゲ疵発生防止に関する信頼性に欠ける。本
発明は、このような問題を解消すべく案出されたもので
あり、ヘゲ疵の発生が熱間圧延の初期に生じる表面割れ
に由来するものであることに鑑み、大きな歪速度で且つ
1パス当りの圧下率を小さくした粗圧延と特定された組
成とを組み合わせることにより、高い信頼度でヤヘゲ疵
の発生を防止し、表面性状に優れたオーステナイト系ス
テンレス鋼帯又は鋼板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のオーステナイト
系ステンレス鋼製造方法は、その目的を達成するため、
C:0.15重量%以下,Si:3.0重量%以下,M
n:5.0重量%以下,S:0.007重量%以下,N
i:7.0〜20.0重量%,Cr:16.0〜25.
0重量%及びN:0.02〜0.30重量%を含み、式
(1)で定義されるAγ値が−9.0以上となるように
成分調整されたオーステナイトステンレス鋼の連鋳片を
熱間圧延する際、各パスの歪み速度X(/秒)と圧下率
B(%)との間に式(2)の関係が成立している圧延条
件下で粗圧延することを特徴とする。 Aγ=Ni%+41.2×C%+21.4×N% −1.16×(Cr%+0.26×Mn%+1.85×Si%) ・・・・(1) B−1.74×X≦16.1−1600×S% ・・・・(2) 本発明が対象とするオーステナイトステンレス鋼の連鋳
片は、更にCu:3.0重量%以下,Mo:3.0重量
%以下及びAl:0.10重量%以下の1種又は2種以
上、及び/又はB:0.010重量%以下,Ca:0.
050重量%以下,希土類金属(REM):0.050
重量%以下及びY:0.030重量%以下の1種又は2
種以上を含むことができる。粗圧延は、特にB−1.7
4×X≦15の条件下で行うことが好ましい。
【0006】
【作用】オーステナイト系ステンレス鋼の代表的鋼種で
あるSUS304を例にとって、表面疵発生のメカニズ
ムを考察する。SUS304は、凝固−冷却過程でγ+
δ領域を通過することから、凝固後においても数%のδ
フェライトを含んでいる。δフェライトの生成は、N
i,C,N等のオーステナイトフォーマーが多くなると
実質的になくなる。δフェライトがなくなると、鋼に含
まれているS等の不純物が結晶粒界に偏析し、粒界の強
度を低下させる。この前提でオーステナイト系ステンレ
ス鋼の連鋳片を熱間圧延する際、熱間加工性に及ぼす圧
延速度及び圧下量の影響を調査・研究した。その結果、
実質的にδフェライトを含まないオーステナイト単相鋼
では、熱延初期の段階で生じるスラブ表面の粒界割れが
ヤヘゲ疵になることを突き止めた。
【0007】オーステナイト単相鋼に生じる粒界割れ
は、熱延条件との間に密接な関係を持っている。特に熱
延初期に粒界割れを起こさない条件下で粗圧延すること
が表面疵の発生防止に有効である。粗圧延は、スラブを
熱間圧延する際、仕上げ熱延を容易にするため板厚を減
少する前処理に相当し、通常は熱延初期の1〜7パスに
相当する。そして、熱延条件を詳細に検討する過程で、
粗熱延中の圧延条件を制御することにより、表面疵のな
いオーステナイト系ステンレス鋼の熱延鋼帯又は熱延鋼
板、更には冷延鋼帯や冷延鋼板を歩留り良く製造できる
ことが判った。本発明が対象とする鋼は、前掲の式
(1)で定義されるAγ値が−9.0以上になる組成を
もっている。Aγ値が−9.0以上の鋼では、結晶粒界
に不純物が析出する傾向が強く、ヘゲ疵の原因となる粒
界割れが熱延中に生じ易い。本発明においては、このよ
うな粒界割れを圧延条件と組成との特定された組合せに
よって抑制する。
【0008】以下、本発明で使用されるオーステナイト
系ステンレス鋼に含まれる合金成分,その含有量等につ
いて説明する。 C:0.15重量%以下 オーステナイト相を安定化させ、固溶硬化作用が大き
く、且つバネ特性の向上に有効である。しかし、多量の
C含有量は耐食性を低下させることから、C含有量の上
限を0.15重量%に規定した。好ましいC含有量は、
0.08重量%以下である。 Si:3.0重量%以下 高強度を得る上で有効な合金元素である。しかし、Si
含有量の増加に従って、冷間加工後の透磁率が急激に上
昇し、非磁性を維持できなくなる。そこで、本発明にお
いては、Si含有量の上限を3.0重量%に規定した。
【0009】Mn:5.0重量%以下 Niと同様にオーステナイト相を安定化させる作用を呈
し、冷間加工による透磁率の上昇を抑制する。しかし、
5.0重量%を超える多量のMnが含まれると、製鋼工
程等における製造性が劣化し、生産コストが上昇する。 S:0.007重量%以下 熱間加工性を劣化させ、熱間圧延中にスラブ表面に微少
な割れを発生させ、熱間圧延後のコイル表面に山形状の
疵やヘゲ状の表面疵が発生させる。これらの表面疵の発
生原因は、γ粒界にSが偏析し、粒界の割れ感受性が高
くなることにあるものと推察される。事実、S含有量の
低減によって、ヘゲ疵が軽減する。このことから、S含
有量は低ければ低いほど好ましく、本発明ではS含有量
の上限を0.007重量%に規定した。
【0010】Ni:7.0〜20.0重量% オーステナイト相の安定化に必須の合金元素であるが、
多量のNi添加は、コスト上昇の原因となり、安価なオ
ーステナイトステンレス鋼を提供できなくなる。したが
って、本発明においては、7.0〜20.0重量%の範
囲にNi含有量を定めた。特に透磁率1.10以下の非
磁性を確保するためには、9.5重量%以上のNi含有
量が好ましい。 Cr:16.0〜25.0重量% ステンレス鋼の基本成分であり、優れた耐食性を得るた
めに16.0重量%以上の含有量が必要である。しか
し、25.0重量%を超える多量のCrが含まれると、
δフェライトが生成し易くなり、非磁性の確保が困難に
なる。したがって、16.0〜25.0重量%の範囲に
Cr含有量を定めた。特に透磁率1.10以下の非磁性
が要求される場合には、Cr含有量の上限を22.0重
量%とすることが好ましい。
【0011】N:0.02〜0.30重量% オーステナイトステンレス鋼の硬度及び強度を高めると
共に、オーステナイト相を安定化する合金元素である。
これらの性能を発揮させるためには、0.10重量%以
上のN含有量が必要である。しかし、0.30重量%を
超える多量のNが含まれると、ブローホールが発生し、
健全な鋼塊が得られ難くなる。ただし、N含有量の下限
は、本発明に従った鋼材が特に高強度を必要としない用
途にも使用されることから、0.020重量%に規定し
た。 Cu:3.0重量%以下 必要に応じて添加される合金元素であり、オーステナイ
ト相を安定化させ、冷間加工後の非磁性を確保する上で
有効である。しかし、3.0重量%を超える多量のCu
が含まれると、溶接時の高温割れ感受性が高くなる。 Mo:3.0重量%以下 必要に応じて添加される合金元素であり、時効処理後の
硬さを著しく上昇させると共に、耐食性の改善にも有効
である。しかし、3.0重量%を超える多量のMoを含
ませると、δフェライト生成量が多くなり、非磁性が維
持できなくなる。
【0012】Al:0.10重量%以下 必要に応じ添加される合金元素であり、時効硬化能を高
める。しかし、0.10重量%を超える多量のAlを含
ませると、熱間加工性が著しく劣化する。 B,Ca,REM,Y:何れも必要に応じて添加される
合金元素であり、靭性を向上させると共に、熱間加工性
を改善する。B,Ca,REM,Y等は、粒界を強化
し、且つ熱間加工性に悪影響を与えるS等の不純物を粒
内に固定することによって、熱延時に発生しがちな割れ
を防止する。このような作用は、0.001重量%以上
のB,0.001重量%以上のCa,0.001重量%
以上のREM又は0.005重量%以上のY含有量で顕
著になる。しかし、0.010重量%を超えるB,0.
050重量%を超えるCa,0.050重量%を超える
REM又は0.030重量%を超えるYでは、非金属介
在物が多くなり、却って表面欠陥の原因となる。
【0013】Aγ:−9.0以上 式(1)で定義されるAγ値は、本発明者等による実験
結果から導き出されたオーステナイト安定度の指標であ
る。オーステナイトステンレス鋼では、図1に示すよう
にAγ値が−9.0未満になると、アズキャストの状態
でδフェライトが生成し、熱間圧延時に割れが発生しな
くなる。これに対し、本発明が対象とするAγ値が−
9.0以上に成分調整されたオーステナイトステンレス
鋼では、ほぼオーステナイト単相組織になることから、
不純物が結晶粒界に析出し、熱間圧延中のスラブ表面に
割れが発生し易くなる。
【0014】粗圧延の圧延条件:スラブを熱間圧延する
際、板厚を減少させる粗圧延を行うと、仕上げ熱延が容
易になる。本発明でいう粗圧延は、熱延初期の1〜7パ
スに相当し、この段階で粒界割れ,表面割れ等の欠陥発
生を防止することが良好な表面性状をもつ製品を得る決
め手となる。熱延初期に発生する粒界割れ,表面割れ等
は、不純物の固溶限界能が低いオーステナイト単相組織
に現れ易く、S含有量との関連で歪み速度X(/秒)や
圧下率B(%)等の圧延条件を制御することによって抑
制される。ここで、歪み速度Xは、次式(3)に基づい
て算出される。ただし、Rはワークロールの半径,Nは
回転数,h1 は圧延前の板厚,h2 は圧延後の板厚,φ
は板厚減少率を示す。板厚減少率φは、圧延前の板厚h
1 に対する圧延による減肉分Δh(=h1 −h2 )の比
Δh/h1 で表される。
【0015】
【数1】
【0016】本発明者等は、多数の実験結果からB−
1.74×X≦16.1−1600×S%の条件を満足
させるとき、粒界割れ,表面割れ等の欠陥発生が確実に
防止されることを見い出した。これは、熱間加工性を劣
化させる代表的な不純物であるSが結晶粒界に偏析する
ことに起因した悪影響が歪み速度及び圧下率の調整によ
って緩和されることを示唆する。また、歪み速度を大き
くすることにより、材料表面の温度が高くなり、且つ材
料表層の加工歪みが高いことから再結晶を起こし易く、
旧粒界が消滅して割れが発生しなくなることも、割れを
防止する原因の一つである。他方、B−1.74×Xが
16.1−1600×S%を超えると、Sの粒界偏析に
よる影響が現れ、後述する実施例でも説明するようにス
ラブ表面に割れ等の欠陥が発生し易くなる。
【0017】熱間圧延では、連鋳片を1200〜130
0℃に均熱1時間以上で加熱し、仕上げ温度900℃以
上で仕上げ熱延することが好ましい。均熱処理時の温度
が1300℃を超えると、鋳片表面に肌荒れが生じ、表
面性状に優れた鋼帯又は鋼板を得ることが難しくなる。
しかし、鋳片の温度が1200℃を下回るようになる
と、鋼材の変形抵抗が大きくなり、粗熱延で大きな歪み
速度をとることが困難になる。この点で1200℃以上
の均熱が必要とされるが、1200℃以上であっても鋳
片内部まで十分に加熱するためには1時間以上の均熱が
好ましい。また、粗圧延後の仕上げ熱延では、仕上げ温
度を900℃以上に設定することにより良好な表面性状
が得られる。
【0018】本発明が対象とするSi,N及びMnを含
有させて成分調整したオーステナイト系ステンレス鋼
は、冷間加工又は熱処理を施すことにより、高強度が得
られると共に透磁率が上昇する。このような材料の硬さ
と透磁率は、次式で定義される非磁性安定指数Am を制
御することにより調整される。 Am =Ni%+0.60×Mn%+9.69×(C%+
N%)+0.18×Cr%−0.11×Si2 非磁性安定指数Am は、本発明者等による実験結果から
導き出された指標であり、非磁性安定指数Am が大きい
ほど冷間加工で得られる鋼材の透磁率及びビッカース硬
さが低くなる。本発明が対象とする鋼は、高度の冷間加
工を施すことにより強度が上昇する。高い冷間加工を施
しても非磁性を確保するためには、非磁性安定指数Am
を14.5以上とすることが必要になる。非磁性安定指
数Am が14.5に達しないと、加工誘起マルテンサイ
トが生成し、μ≦1.10の透磁率を得ることが困難に
なる。
【0019】
【実施例】表1〜3に示した成分に調整されたステンレ
ス鋼を30kg高周波真空誘導溶解炉で溶製し、鋳造し
た。表1のAグループは、本発明で規定したAγ値が−
9.0に達しない比較鋼である。表2及び表3のBグル
ープは、本発明で規定した成分に関する条件を満足する
鋼であり、何れもAγ≧−9.0になっている。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】得られた鋳塊から厚み50〜100mm,
幅100mm及び長さ200mmのブロックを切り出
し、1230℃で1時間均熱した後、表2に示す熱延条
件で多パス圧延し、板厚10mm及び板幅100mmの
熱延板を作製した。熱延板に1050℃で均熱5分加熱
する均熱処理を施した後、65%の圧延率で冷間圧延し
た。熱間圧延のパススケジュールは、7パスの熱間圧延
とし、実験室規模では圧下量及び歪み速度を一定に維持
した。一部の鋼については、1〜4パスで圧下量及び圧
延速度を一定に維持し、5パス以降に式(2)を満足す
る条件下で実ラインにより熱間圧延した。各鋼材の熱延
時に、表面割れの発生状況を観察した。その結果、表4
に示すように、Aγ値が−9.0以上である鋼B1〜B
28に本発明で規定した圧延条件下で粗圧延したもので
は、ヘゲ疵の発生がみられなかった。なかでも、S含有
量が10ppm以下の低S材やB,Ca,REM,Y等
を添加した材料は、歪み速度Xを遅くし、1パス当りの
圧下量Bを高く設定しても割れが発生ないことが判っ
た。
【0024】これに対し、本発明で規定した圧延条件を
満足しない粗圧延を施したものでは、表5にみられるよ
うに、同じ鋼材であっても割れが発生した。他方、Aγ
値が−9.0未満の鋼材では、表6に示すように圧延条
件に拘らず割れの発生はみられなかったが、透磁率がμ
=1.10を超えており非磁性が確保されなかった。な
お、表4〜6において、ヘゲ疵の発生が全くないものを
◎,僅かに発生したものを○,多発したものを×として
評価した。
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】熱延時に割れが発生したものを調査したと
ころ、割れは熱延初期に発生し、多くの場合に1〜4パ
スの間に顕著にみられることが判った。割れが発生した
ものでは、後続するパスを中止した。熱延時に生じる割
れとS含有量との関係について調査したところ、歪み速
度X及び1パス当りの圧下率Bが割れ発生に与える影響
は、図2に示すようにS含有量に応じて変わることが判
った。図2では、S含有量が53ppmの鋼B3,S含
有量が21ppmの鋼B16及びS含有量が9ppmの
鋼B19について、歪み速度及び1パス当りの圧下率を
変化させて粗圧延実験を行った場合に試験片に生じる割
れ発生の有無を示す。また、S含有量が35ppmの鋼
B7については、実ラインで同様に割れ発生の有無を調
査した結果を示す。表4に示されているように、本発明
で規定した圧延条件を維持する限り、割れが発生し易い
Aγ≧−9.0の鋼であってもヘゲ疵等の原因となる割
れが防止されていることが判る。鋼B7及びB16で
は、実ラインを使用した熱間圧延でも割れ発生抑制作用
が維持されていることが確認された。
【0029】図2の結果から、割れが発生しない領域
は、1パス当りの圧下率B(%),歪み速度X(/秒)
及びS含有量(重量%)を変数とする式(2)で表され
ることを見い出した。この関係をS含有量で整理するた
め、B−1.74×X=Zとおき、ZとS含有量との関
係をグラフ化すると図3のようになる。図3において、
Z=16.1−1600×S%で表される直線よりも下
の領域が割れ発生のないことを意味する。図2に掲げた
鋼B3,鋼B7,鋼B16,鋼B19は、何れもB,C
a,REM又はYを添加していないものであり、S含有
量に応じて熱間加工性が変わる。すなわち、S含有量が
低くなるほど、歪み速度Xが同じ値であっても1パス当
りの圧下率Bを大きく設定できる。B,Ca,REM又
はYを添加すると、Sによる悪影響は一層抑制された。
この場合は、S:0.007重量%以下及びB−1.7
4×X≦15の条件が満足されるとき、熱間圧延中に割
れが発生しなくなった。
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、Aγ値が−9.0以上のオーステナイトステンレス
鋼を、歪み速度,1パス当りの圧下量及びS含有量を変
数とする特定圧延条件下で粗圧延することにより、熱延
初期に発生しがちな割れを防止している。熱延初期の割
れは、後続する熱延・冷延工程でヘゲ疵等の表面欠陥と
なって顕在化し、表面性状が重要視される鋼帯や鋼板の
商品価値を著しく低下させる。この点、本発明に従った
製造方法では、高い歩留まりで優れた表面性状をもつオ
ーステナイトステンレス鋼帯や鋼板が得られるため、後
工程の負荷も軽減され、製品コストも低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 オーステナイト系ステンレス鋼の連鋳材にお
けるδフェライト量とAγ値との関係
【図2】 ヤヘゲ疵の発生に及ぼす歪み速度及び圧下率
の影響
【図3】 割れ発生限界をS含有量で整理したグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−5804(JP,A) 特開 平4−272131(JP,A) 特開 平6−279947(JP,A) 特開 昭62−24803(JP,A) 特開 昭58−193319(JP,A) 特開 昭60−262915(JP,A) 特開 昭61−108401(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/ - 3/02 C21D 8/02 C22C 38/00 C22C 38/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.15重量%以下,Si:3.0
    重量%以下,Mn:5.0重量%以下,S:0.007
    重量%以下,Ni:7.0〜20.0重量%,Cr:1
    6.0〜25.0重量%及びN:0.02〜0.30重
    量%を含み、式(1)で定義されるAγ値が−9.0以
    上となるように成分調整されたオーステナイトステンレ
    ス鋼の連鋳片を熱間圧延する際、各パスの歪み速度X
    (/秒)と圧下率B(%)との間に式(2)の関係が成
    立している圧延条件下で粗圧延することを特徴する表面
    性状に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方
    法。 Aγ=Ni%+41.2×C%+21.4×N% −1.16×(Cr%+0.26×Mn%+1.85×Si%) ・・・・(1) B−1.74×X≦16.1−1600×S% ・・・・(2)
  2. 【請求項2】 更にCu:3.0重量%以下,Mo:
    3.0重量%以下及びAl:0.10重量%以下の1種
    又は2種以上を含む連鋳片を使用する請求項1記載のオ
    ーステナイト系ステンレス鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 更にB:0.010重量%以下,Ca:
    0.050重量%以下,希土類金属(REM):0.0
    50重量%以下及びY:0.030重量%以下の1種又
    は2種以上を含む連鋳片を使用する請求項1記載のオー
    ステナイト系ステンレス鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の粗圧延を
    B−1.74×X≦15の条件下で行うオーステナイト
    ステンレス鋼の製造方法。
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