JP3384130B2 - 軟質アルミニウム箔と合成樹脂製フィルムとのラミネート法 - Google Patents

軟質アルミニウム箔と合成樹脂製フィルムとのラミネート法

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JP3384130B2 JP20007394A JP20007394A JP3384130B2 JP 3384130 B2 JP3384130 B2 JP 3384130B2 JP 20007394 A JP20007394 A JP 20007394A JP 20007394 A JP20007394 A JP 20007394A JP 3384130 B2 JP3384130 B2 JP 3384130B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟質アルミニウム箔に
合成樹脂製フィルムをラミネートする方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂製フィルムと軟質アルミニウム
箔とがラミネートされた二層或いは三層構造或いは四層
構造以上の積層体は、食品包装用素材として、近年盛ん
に用いられている。合成樹脂製フィルムと軟質アルミニ
ウム箔とをラミネートする方法としては、いわゆるドラ
イラミネート法といわゆる押出しラミネート法とが知ら
れている。
【0003】ドライラミネート法は、軟質アルミニウム
箔と合成樹脂製フィルムとを接着剤を介して接合させる
方法である。例えば、軟質アルミニウム箔の片面に、接
着剤を有機溶剤に溶解させた接着剤溶液を塗布した後、
この有機溶剤を蒸発させて接着剤を析出させ、その後、
この接着剤面に合成樹脂製フィルムをラミネート(積
層)し、接着剤の粘着性によって合成樹脂製フィルムと
軟質アルミニウム箔とを接合するというものである。
【0004】一方、押出しラミネート法は、溶融した合
成樹脂をスリットダイから押し出して、フィルム状且つ
溶融状態の合成樹脂を軟質アルミニウム箔面にラミネー
ト(積層)し、その後冷却してフィルム状の合成樹脂を
固化させ、軟質アルミニウム箔に固着させることによっ
て、固化した合成樹脂製フィルムと軟質アルミニウム箔
とを接合するというものである。
【0005】ところで、軟質アルミニウム箔は、アルミ
ニウム鋳塊を熱間圧延及び冷間圧延して製造するもので
あるため、その表面に圧延油が付着している。この圧延
油が付着していると、軟質アルミニウム箔と接着剤との
親密性が低下し、ドライラミネート法によって合成樹脂
製フィルムとラミネートしても、軟質アルミニウム箔と
合成樹脂製フィルムとの接合強度(接着強度或いは剥離
強度とも言う。)が高くならず、両者が剥離しやすくな
るという欠点があった。また、圧延油が付着している
と、溶融状態の合成樹脂との親密性も低下すると考えら
れ、押出しラミネート法によっても合成樹脂製フィルム
と軟質アルミニウム箔との接合強度が低下すると考えら
れていた。
【0006】従って、軟質アルミニウム箔表面から圧延
油をほぼ完全に除去しておき、合成樹脂製フィルムとラ
ミネートする方法が従来から採用されている。ここで、
圧延油の除去の程度は、軟質アルミニウム箔表面におけ
る蒸留水の接触角で10度未満になる程度に行われる。
このような状態の軟質アルミニウム箔表面は、接着剤や
合成樹脂との親密度が高く、良好な接合工程が得られる
のである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面に
おける蒸留水の接触角が10度未満である軟質アルミニ
ウム箔を使用して、本発明者が次のような工程でドライ
ラミネート法と押出しラミネート法を併用したラミネー
ト法を採用した場合、軟質アルミニウム箔と合成樹脂製
フィルム(押出しラミネート法でラミネートとした合成
樹脂製フィルム)との接合強度が低下するということが
判明した。即ち、まずドライラミネート法により軟質ア
ルミニウム箔の片面に合成樹脂製フィルムをラミネート
した二層積層体を製造し、この二層積層体を巻き取って
コイルとし、その後、このコイルを巻き戻して、軟質ア
ルミニウム箔の他面に押出しラミネート法によって合成
樹脂製フィルムをラミネートする場合に、軟質アルミニ
ウム箔と後でラミネートした合成樹脂製フィルムとの接
合強度が低下するということが判明したのである。特
に、このようなことは、ポリエチレンフィルムをドライ
ラミネート法で接合した場合に顕著であった。
【0008】本発明者は、この原因を解明すべく種々検
討を行った結果、ドライラミネート法によってラミネー
トした後、巻き取ってコイルとしたときには上記のよう
な現象が生じ、ドライラミネート法の後で巻き取ってコ
イルとせずに、連続して押出しラミネート法を適用した
場合には、上記のような現象が生じないことが判った。
即ち、巻き取ってコイルとすると、二層積層体を構成し
ている合成樹脂フィルム面が軟質アルミニウム箔面に接
し、これが原因で押出しラミネート法によるラミネート
が十分でなくなることが判ったのである。
【0009】このような欠点を解決するためには、例え
ば、ドライラミネート法でラミネートした後に巻き取っ
てコイルとせずに、直ちに押出しラミネート法を適用す
ればよいことは明らかである。しかしながら、ドライラ
ミネート法の適用と押出しラミネート法の適用とを別工
場で行うような場合には、どうしてもコイルとしなけれ
ば搬送できず、このような解決手段は非現実的である。
また、同一工場内でドライラミネート法と押出しラミネ
ート法とを適用する場合であっても、両者のラミネート
速度が異なり、一旦コイルとして貯留しておく場合が多
く、或いはドライラミネート法でラミネートした後、コ
イルとしてエージング処理を行う場合も多く、このよう
な解決手段は非現実的なのである。
【0010】このため、ドライラミネート法を適用した
後、合成樹脂製フィルムが接合されていない軟質アルミ
ニウム箔の他面にアンカーコート剤を塗布したり、コロ
ナ放電処理を行ったりして、軟質アルミニウム箔の他面
の表面性を改善することも提案されている。しかしなが
ら、この方法は、ラミネート法が煩雑になって生産性の
低下を招く恐れがあり、また生産コストも高くなるとい
う欠点があった。
【0011】そこで、本発明者は、二層積層体を巻き取
ってコイルとし、合成樹脂製フィルム(特に、ポリエチ
レンフィルム)が軟質アルミニウム箔面に接触するよう
な状態におくと、何故、この接触した軟質アルミニウム
箔面の接着性が低下するのかを更に検討した。この結
果、軟質アルミニウム箔表面の接着性を向上させるため
に、箔表面の圧延油をほぼ完全に除去しているからであ
ることが判明した。即ち、圧延油がほぼ完全に存在しな
い軟質アルミニウム箔表面に合成樹脂製フィルムを接触
させると、合成樹脂製フィルム中の添加剤(可塑剤や充
填剤等)が箔表面に移着し、この添加剤が接着性に悪影
響を与えていることが判明したのである。一方、軟質ア
ルミニウム箔表面に圧延油が残存している場合には、合
成樹脂製フィルム中の添加剤が箔表面に移着するけれど
も、この場合には、押出しラミネート法を適用しても、
接着性は低下しにくいことが判明したのである。
【0012】従って、押出しラミネート法による軟質ア
ルミニウム箔と合成樹脂製フィルムとの接合において
は、アルミニウム箔面にある程度の圧延油を残存させて
おいた方が良いことが判る。このように、圧延油が残存
している方が、接着性が良好になる理由は定かではない
が、次のように考えられる。即ち、アルミニウム箔と移
着した添加剤とは親和性が十分ではなく、アルミニウム
箔と添加剤との界面が剥離しやすい。これに対し、アル
ミニウム箔と圧延油とは親和性が良好で、また圧延油と
移着した添加剤とは親和性が良好であるので、いずれの
界面でも剥離しにくいからであると考えられるのであ
る。換言すれば、圧延油が残存していると、この圧延油
が媒介物となって、移着した添加剤と軟質アルミニウム
箔とが剥離しにくいのに対し、圧延油が残存していない
と、移着した添加剤と軟質アルミニウム箔とが直接接触
し、その結果両者が剥離しやすくなると考えられるので
ある。特に、本発明者が実験をしたところによると、押
出しラミネート法による場合は、軟質アルミニウム箔表
面に圧延油が比較的大量に残存していても(即ち、箔表
面の接触角が比較的高くても)、接合強度は概ね良好で
あることが判明したのである。しかしながら、一方、あ
まり大量の圧延油が残存していると、押出しラミネート
法に代えて或いは押出しラミネート法と共に、ドライラ
ミネート法を採用した場合には、両者の接合強度が低下
するのである。そこで、本発明は、ドライラミネート法
による接合強度も低くならず、且つ合成樹脂製フィルム
と接触した場合でも、その添加剤が直接アルミニウム箔
面に移着しにくい程度の圧延油を、軟質アルミニウム箔
表面に残存させることによって、どのようなラミネート
法を採用した場合でも、使用に耐えうる接合強度にする
ことができる軟質アルミニウム箔と合成樹脂製フィルム
とのラミネート法を提供しようというものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、少なく
とも片面における蒸留水との接触角が10〜30度であ
る軟質アルミニウム箔を使用した特定のラミネート法に
関するものである。
【0014】本発明で用いる軟質アルミニウム箔は、少
なくともその片面における圧延油の残存量が、蒸留水と
の接触角で判定して10〜30度である。圧延油の残存
量と接触角との間には相関関係があり、圧延由の残存量
が多くなるほど接触角が大きくなり、圧延油の残存量が
少なくなるほど接触角は小さくなるのである。この接触
角は従来公知の測定方法で測定することができ、特に協
和科学株式会社製の接触角計(型式CA−DT)を使用
して測定するのが好ましい。なお、本発明で言う、軟質
アルミニウム箔表面に残存している圧延油とは、当初の
圧延油の状態のままのもの、及び焼鈍等によって圧延油
が熱変質した状態のもの、いずれの状態のものをも包含
する概念として使用している。
【0015】接触角が10度未満になると、圧延油の残
存量が非常に少なくなり、ドライラミネート法による接
合強度は高くなって良好であるが、一定の条件下におけ
る押出しラミネート法による接合強度が小さくなるので
好ましくない。即ち、ドライラミネート法によって軟質
アルミニウム箔と合成樹脂製フィルムとを接合した二層
積層体をコイルとした後、このコイルを巻き戻して、軟
質アルミニウム箔の他面に押出しラミネート法によって
合成樹脂製フィルムを接合する場合である。この場合に
は、ドライラミネート法によって積層した合成樹脂製フ
ィルム中の添加剤が、コイルとして保存されている際
に、軟質アルミニウム箔の他面に、圧延油を介さずに直
接移着して、この添加剤が押出しラミネート法による接
合強度に悪影響を与えるのである。
【0016】接触角が30度を超えると、ドライラミネ
ート法による接合強度が低下するので好ましくない。即
ち、押出しラミネート法による接合強度には悪影響を与
えないのであるが、ドライラミネート法による接合強度
が極端に低下するのである。なお、圧延油の残存量と接
触角との間には、相関関係があることは確かであるが、
具体的にどの程度の残存量であればどの程度の接触角に
なるのかということは、定かではない。一応の目安とし
て、1m2当り1mg以上の圧延油が残存していると、
接触角が30度を超える傾向となる。
【0017】本発明で用いる軟質アルミニウム箔は、そ
の少なくとも片面における蒸留水との接触角が10〜3
0度であれば良く、特に好ましくは軟質アルミニウム箔
の両面共に蒸留水との接触角が10〜30度であれば良
い。後者の場合には、いずれの面にドライラミネート法
又は押出しラミネート法を適用して接合しても、良好な
接合強度が得られるのである。軟質アルミニウム箔の片
面のみが蒸留水との接触角が10〜30度で、他の面に
おける蒸留水との接触角が10度未満であるような場合
には、接触角の小さい他の面にはドライラミネート法を
適用し、接触角の大きい片面には押出しラミネート法を
適用するのが良い。
【0018】本発明において使用する軟質アルミニウム
箔としては、一般工業用の純アルミニウム又はアルミニ
ウム合金の箔であれば、どのようなものでも使用しう
る。また、軟質アルミニウム箔の厚さも任意であるが、
一般の食品包装用として使用するには、5〜200μm
程度が好ましい。また、本発明における軟質というの
は、一般的に用いられている軟質と同義であり、アルミ
ニウム箔を最終焼鈍して焼きなましたものであるという
意味である。
【0019】本発明で用いる軟質アルミニウム箔を製造
するには、最終焼鈍を一定の条件に設定し、軟質アルミ
ニウム箔表面における蒸留水との接触角が10〜30度
となるようにすればよい。このような最終焼鈍の条件と
しては、一般的には、200〜350℃の範囲で50〜
100時間の範囲内で決定されることが多い。しかしな
がら、この範囲内であっても採用できない条件もある
し、この範囲外であっても採用できる条件もある。要す
るに、得られる軟質アルミニウム箔表面における蒸留水
との接触角が10〜30度となるような条件を、適宜探
し出せばよい。また、最終焼鈍は、大気雰囲気中で行う
のが好ましい。なお、最終焼鈍する際のアルミニウム箔
の形態は、板状であってもよいし、巻物状(コイル状)
であってもよい。このような最終焼鈍をアルミニウム箔
に適用することによって、軟質アルミニウム箔となるの
である。
【0020】このような特定の接触角を持つ軟質アルミ
ニウム箔と合成樹脂製フィルムとを、ドライラミネート
法によってラミネートするには、以下のような方法で行
う。例えば、軟質アルミニウム箔表面に、ウレタン系接
着剤等を酢酸エチル等の有機溶剤に溶解させた接着剤溶
液を塗布する。そして、有機溶剤を蒸発させて、ウレタ
ン系接着剤等を析出させる。その後、析出したウレタン
系接着剤面に、ポリエステルフィルムやポリエチレンフ
ィルム等の合成樹脂製フィルムをラミネートすればよ
い。また、合成樹脂製フィルム表面にウレタン系接着剤
等の接着剤を塗布し、次いで接着剤面に軟質アルミニウ
ム箔をラミネートしてもよい。このようにして、ドライ
ラミネート法によって、軟質アルミニウム箔と合成樹脂
製フィルムとの二層積層体が得られるのである。また、
この際、合成樹脂製フィルムを複数枚使用して、二層維
以上の多層積層体としてもよい。更に、この二層積層体
又は多層積層体の軟質アルミニウム箔表面に、ドライラ
ミネート法によって、合成樹脂製フィルムをラミネート
し、三層積層体又は三層以上の多層積層体を得ることも
できる。また、この際、複数枚の合成樹脂製フィルムを
使用してもよいし、合成樹脂製フィルムに代えて紙や不
織布等をラミネートして三層積層体又は三層以上の多層
積層体としてもよい。このドライラミネート法において
は、軟質アルミニウム箔表面における蒸留水との接触角
が小さければ小さいほど、高い接合強度の積層体が得ら
れる。しかし、この接触角が10〜30度の範囲であれ
ば、十分使用に耐えうる接合強度のものが得られるので
ある。
【0021】また、特定の接触角を持つ軟質アルミニウ
ム箔と合成樹脂製フィルムとを、押出しラミネート法に
よってラミネートするには、以下のような方法で行う。
例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂を
溶融させた溶融物をスリットダイから押し出して、フィ
ルム状で且つ溶融状態の合成樹脂を軟質アルミニウム箔
表面にラミネートする。そして、冷却することによって
フィルム状になった合成樹脂を固化させ、軟質アルミニ
ウム箔と固着させて、二層積層体を得るのである。この
際、フィルム状で且つ溶融状態の合成樹脂を、軟質アル
ミニウム箔の他面にもラミネートして、一挙に三層積層
体を得てもよい。また、この際、合成樹脂製フィルムに
更に紙や不織布等をラミネートして、三層又は四層以上
の積層体としてもよい。この押出しラミネート法におい
ては、軟質アルミニウム箔表面における蒸留水との接触
角によって、接合強度はあまり影響を受けないけれど
も、接触角が10〜30度程度であるのが一般的には好
ましい。
【0022】本発明に係るラミネート法は、以上のドラ
イラミネート法又は押出しラミネート法を適用した以下
の如き方法である。即ち、両面共に蒸留水との接触角が
10〜30度の軟質アルミニウム箔の片面に、ドライラ
ミネート法によって合成樹脂製フィルムをラミネートす
る。そして、得られた二層積層体をコイルとして巻き取
る。その後、このコイルを巻き戻して、軟質アルミニウ
ム箔の他面に押出しラミネート法によって合成樹脂製フ
ィルムをラミネートする方法である。この方法において
は、軟質アルミニウム箔表面における蒸留水との接触角
が10〜30度であるため、ドライラミネート法によっ
て良好な接合強度で合成樹脂製フィルムをラミネートす
ることができる。そして、二層積層体をコイルとして巻
き取った際、軟質アルミニウム箔の他面と合成樹脂製フ
ィルムとが接触するが、軟質アルミニウム箔の他面には
接触角が10〜30度となるように圧延油が残存してい
る。従って、軟質アルミニウム箔の他面に、合成樹脂製
フィルム中に存在する添加剤が移着するけれども、この
添加剤が直接アルミニウム箔面に移着する量は少なく、
即ち、軟質アルミニウム箔の他面において圧延油が付着
していない区域がある場合に、その区域にのみ移着し、
他は圧延油上に移着する。そして、この移着によって、
軟質アルミニウム箔の他面における接触角は50〜60
度程度に上昇する。しかしながら、前記したように、押
出しラミネート法においては、軟質アルミニウム箔表面
の接触角が比較的高くても(例えば30度を超えて
も)、接合強度が低下しにくいのである。これは、アル
ミニウム箔と圧延油、圧延油と移着した添加剤のいずれ
もが良好な親和性を持っているからである。依って、押
出しラミネート法を適用する際、添加剤の移着が生じて
も、良好な接合強度で軟質アルミニウム箔の他面に合成
樹脂製フィルムをラミネートすることができるのであ
る。なお、この方法においては、ドライラミネートする
合成樹脂製フィルムとしては、ポリエチレンフィルムを
使用するのが好ましい。何故なら、ポリエチレンフィル
ムは、軟質アルミニウム箔の他面に添加剤を移着させや
すく、軟質アルミニウム箔の他面に押出しラミネート法
でポリエチレンフィルムを接合しにくくする傾向が最も
大だからである。
【0023】また、本発明に係るラミネート法は、以下
の如き方法であってもよい。即ち、まず本発明に係る軟
質アルミニウム箔を使用して、ドライラミネート法等に
よって二層以上の積層体を作成する。ドライラミネート
法で二層積層体を作成するのは、前述した方法で作成す
ればよい。二層以上の積層体も同様の方法で作成すれば
良いが、ポリエチレンフィルムを最後に積層する点だけ
に留意すればよい。従って、得られる二層以上の多層積
層体は、最下層が軟質アルミニウム箔となり、最上層が
ポリエチレンフィルムとなる。従って、この多層積層体
を巻き取ってコイルとすれば、最上層のポリエチレンフ
ィルムと最下層の軟質アルミニウム箔とが接触すること
になる。そして、軟質アルミニウム箔がポリエチレンフ
ィルムに接触している面(露出面)は、蒸留水との接触
角が当初において10〜30度である。従って、ポリエ
チレンフィルム中の添加剤等が、軟質アルミニウム箔面
に移着しても、それは残存している圧延油上に移着する
傾向が大である。なお、この添加剤の移着によって、軟
質アルミニウム箔の露出面は、その接触角が50〜60
度程度になっている。しかしながら、押出しラミネート
法においては、軟質アルミニウム箔面の接触角が少々高
くとも、良好な接合強度で接合しうることは前述したと
おりである。従って、この軟質アルミニウム箔の面(露
出面)に、押出しラミネート法によって合成樹脂製フィ
ルムを接合すれば、高接合強度で軟質アルミニウム箔と
合成樹脂製フィルムとを接合しうるのである。
【0024】
【実施例】
実施例1〜6及び比較例1〜8 表1に示す化学組成の1N30合金及び8079合金を
使用して、厚さ10μm,巾900mm,長さ2000m
であって片面光沢のコイル状の圧延上がりのアルミニウ
ム箔を準備した。そして、大気雰囲気中で且つ表2に示
す条件で完全軟化するように、最終焼鈍を行って、種々
の軟質アルミニウム箔を得た。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】得られた軟質アルミニウム箔の光沢面及び
他面(消面)について、圧延油の残存量を評価するため
に、協和科学株式会社製の接触角計(型式CA−DT)
を用いて液滴法により蒸留水との接触角を測定した。そ
の結果も表2に示した。そして、これらの各軟質アルミ
ニウム箔を使用して、以下の工程により各3種類の積層
体を得た。
【0028】[工程]軟質アルミニウム箔の光沢面
に、厚さ40μmのポリエステルフィルムをウレタン系
接着剤(塗布量4g/m2)でドライラミネートした
後、40℃×48時間の条件下でエージング処理し、二
層積層体を得た。なお、ウレタン系接着剤は、それを酢
酸エチルに溶解させて接着剤溶液として使用し、塗布後
に酢酸エチルを蒸発させ、ウレタン系接着剤が4g/m
2となるように析出たものである。
【0029】[工程]溶融したポリエチレンをスリッ
トダイから押し出して、軟質アルミニウム箔の光沢面に
押出しラミネート法でラミネートした。なお、この際、
押し出したポリエチレンの他面(軟質アルミニウム箔と
接していない面)には、紙(200g/m2)を同時に
ラミネートした。以上のようにして、三層積層体を得
た。
【0030】[工程]軟質アルミニウム箔の消面に、
厚さ50μmのポリエチレンフィルムをウレタン系接着
剤(塗布量4g/m2)でドライラミネートして二層積
層体を得た。なお、ウレタン系接着剤の塗布の要領は、
工程と同様である。この二層積層体をコイルとして巻
き取った後、40℃×48時間の条件下でエージング処
理をした。その後、コイルを巻き戻しながら、軟質アル
ミニウム箔の光沢面に工程と同様の作業でポリエチレ
ンフィルム及び紙を積層し、四層積層体を得た。
【0031】以上の工程,及びで得られた積層体
を使用し、以下のような方法で剥離強度(g/15mm巾)
を測定した。即ち、積層体の巾方向中央部から15mm巾
の試験片を長さ方向に沿って切除し、この試験片におけ
るアルミニウム箔の光沢面と合成樹脂製フィルムとの間
の剥離強度を、剥離速度200mm/minで180°剥離
の条件下で測定した。この測定結果を、表2に示した。
なお、工程及びで得られた積層体については、剥離
強度測定の際、軟質アルミニウム箔を補強するために、
軟質アルミニウム箔の消面又は紙面にセロハンテープを
貼り付けた。
【0032】表2の結果から明らかなように、軟質アル
ミニウム箔の光沢面における蒸留水との接触角が30度
を超えるものについては、工程で得られた積層体の剥
離強度が低く、十分な接合強度を持つものではなかった
(比較例1,3,5及び7)。また、接触角が10度未
満のものについては、工程で得られた積層体の剥離強
度が低く、十分な接合強度を持つものではなかった(比
較例2,4,6及び8)。一方、実施例に係る積層体
は、全て剥離強度が高く、十分な接合強度を持つもので
あった。
【0033】
【作用】本発明で用いる軟質アルミニウム箔は、少なく
ともその片面における蒸留水との接触角が10〜30度
となっている。即ち、軟質アルミニウム箔表面にごく微
量の圧延油が残存している状態が維持されている。この
圧延油の残存量は、ドライラミネート法によって合成樹
脂製フィルムをラミネートする場合において、接合強度
に悪影響を与えない程度である。また、押出しラミネー
ト法によって合成樹脂製フィルムをラミネートする場合
においても、接合強度に悪影響を与えない程度である。
更に、ドライラミネート法によって接合した軟質アルミ
ニウム箔と合成樹脂製フィルムとよりなる二層積層体を
巻き取ってコイルとした場合、軟質アルミニウム箔と合
成樹脂製フィルムとが接触するが、軟質アルミニウム箔
面に合成樹脂製フィルム中の添加剤が、圧延油上に移着
する程度の圧延油の残存量である。但し、圧延油の残存
は、軟質アルミニウム箔面の全面に亙って均一になされ
ているものではないため、圧延油の全く存在しない区域
においては、合成樹脂フィルム中の添加剤が、アルミニ
ウム箔面に直接移着する。しかしながら、このような移
着は、比較的少量であるため、接合強度が大きく低下す
るということは少ない。そして、押出しラミネート法に
よる接合によって、微視的に見れば、アルミニウム箔−
圧延油−移着した添加剤−合成樹脂製フィルムという順
序に積層されていることになり、各層間の親和性は良好
である。従って、このようして得られた軟質アルミニウ
ム箔と合成樹脂製フィルムとの接合は、その強度が高
く、剥離しにくいのである。
【0034】
【発明の効果】依って、本発明に係るラミネート法を採
用すれば、以下のような効果を奏する。
【0035】すなわち、ドライラミネート法で接合した
二層積層体をコイルとして巻き取り、その後コイルを巻
き戻して、押出しラミネート法を適用した場合において
も、軟質アルミニウム箔面には合成樹脂製フィルム中の
添加剤が、残存している圧延油を媒介として移着するこ
とになり、高接合強度で合成樹脂製フィルムと軟質アル
ミニウム箔とを接合することができるという効果を奏す
る。特に、この効果は、ドライラミネート法でポリエチ
レンフィルムを接合して二層積層体を得た場合に顕著で
ある。更に、最下層が軟質アルミニウム箔で最上層がポ
リエチレンフィルムである二層以上の多層積層体をコイ
ルとして巻き取り、その後コイルを巻き戻して、押出し
ラミネート法を適用した場合においても、同様の原理に
より、高接合強度で合成樹脂製フィルムと軟質アルミニ
ウム箔とを接合することができるという効果を奏する。
【0036】また、本発明によれば、軟質アルミニウム
箔と合成樹脂製フィルムとを押出しラミネート法でラミ
ネートする際、アンカーコート剤を使用したり、コロナ
放電処理を行う必要が少なくなり、生産性を向上させ、
生産コストを低廉にしうるという効果を奏する。
【0037】以上のように、本発明に係る方法を使用す
れば、高接合強度の積層体が合理的に得られ、食品包装
用素材等として好適に使用しうるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−108209(JP,A) 特開 平7−126821(JP,A) 特開 昭63−18040(JP,A) 特開 平5−263282(JP,A) 特開 昭59−53569(JP,A) 特開 昭57−170747(JP,A) 特開 昭48−70787(JP,A) 特開 昭55−25325(JP,A) 特開 昭56−13166(JP,A) 特開 平5−214498(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両面共に蒸留水との接触角が10〜30
    度の軟質アルミニウム箔を準備し、該軟質アルミニウム
    箔の片面上に接着剤を介して合成樹脂製フィルムをラミ
    ネートし、該軟質アルミニウム箔と該合成樹脂製フィル
    ムとが接合した二層構造の積層体を得、次いで該二層構
    造の積層体を巻き取ってコイルとし、その後、該コイル
    を巻き戻し、該軟質アルミニウム箔の他面上にフィルム
    状で且つ溶融状態の合成樹脂をラミネートした後冷却し
    て、該軟質アルミニウム箔の他面に合成樹脂製フィルム
    を接合して、三層構造の積層体を得ることを特徴とする
    軟質アルミニウム箔と合成樹脂製フィルムとのラミネー
    ト法。
  2. 【請求項2】 合成樹脂製フィルムとしてポリエチレン
    フィルムを使用する請求項記載の軟質アルミニウム箔
    と合成樹脂製フィルムとのラミネート法。
  3. 【請求項3】 最下層が軟質アルミニウム箔で最上層が
    ポリエチレンフィルムである、少なくとも二層以上の多
    層積層体であって、軟質アルミニウム箔の露出面におけ
    る蒸留水との接触角が10〜30度である多層積層体を
    巻き取ってコイルとし、その後、該コイルを巻き戻し、
    該軟質アルミニウム箔の露出面上にフィルム状で且つ溶
    融状態の合成樹脂をラミネートした後冷却して、該軟質
    アルミニウム箔の他面に合成樹脂製フィルムを接合し
    て、積層体を得ることを特徴とする軟質アルミニウム箔
    と合成樹脂製フィルムとのラミネート法。
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