JP3384067B2 - 実像式ファインダー - Google Patents

実像式ファインダー

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は実像式ファインダーに関
し、特に撮影レンズと独立した実像式ファインダーに関
する。
【0002】
【従来の技術】正屈折力の対物レンズと正屈折力の接眼
レンズとを有する従来の実像式ファインダーでは、対物
レンズの焦点近傍に視野枠を配置することによって、視
野の区切り(境界)を明瞭に観察することができるの
で、いわゆるコンパクトカメラのファインダーとして広
く用いられている。
【0003】しかしながら、従来の実像式ファインダー
では、対物レンズの開口絞りの実像がアイポイント位置
に形成され、このアイポイント位置が射出瞳になる。こ
のため、対物レンズに対して適切な位置に所定の大きさ
の開口絞りを設けないと、アイポイント位置で視野周辺
の光束がけられたり、ゴーストを発生させたりする。
【0004】図3は、従来の実像式ファインダーの展開
光路図であって、(a)は画面対角方向の光線、(b)
は画面長辺方向の光線、(c)は画面短辺方向の光線に
対する光路図である。図示の実像式ファインダーは、物
体側から順に、2つのレンズからなる対物レンズOと、
正立光学系を構成するプリズムP(展開して描かれてい
る)と、接眼レンズEとを備えている。なお、対物レン
ズOの物体側には開口絞りAが配置され、プリズムPの
入射面には視野枠Fが配置されている。
【0005】図3(a)に示すように、画面対角の主光
線2(アイポイント位置EPで光軸で交わる光線)が対
物レンズO側において光軸と交わる位置に、円形の開口
絞りAが配置されている。こうして、画面対角の光線1
乃至3はアイポイント位置EPで結像する。
【0006】しかしながら、図3(b)および(c)か
ら明らかなように、画面対角方向より画角の小さい画面
長辺方向および画面短辺方向の光線は、アイポイント位
置EPで結像しない。たとえば、アイポイント位置EP
において図中上側の光線1は図中上側に(結像位置は図
中右側に)ずれ、図中下側の光線3も図中上側に(結像
位置は図中右側に)ずれる。このように、入射角に依存
してアイポイントが変動し、瞳の球面収差が負側に残存
している。
【0007】アイポイント位置EPにおいて光線1が上
側にずれることは、プリズムPや接眼レンズEの有効径
の増大またはプリズム端面でのゴーストの発生を招く。
一方、光線3が上側にずれることは、ファインダーを覗
いたときのブラックアウト(像のかげり)を招く。一般
に、画面の右側を注視する観察者は、眼を少し左側にず
らして斜めにファインダーを覗き込む習性がある。した
がって、図3(b)および(c)の光線3の通り方が最
もブラックアウトが生じやすい光線の通り方である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
実像式ファインダーでは、プリズムや接眼レンズの有効
径の増大、ひいては全系の大型化を招くという不都合が
あった。また、ゴースト光の入射やブラックアウトが生
じたり、アイポイント位置での光束のケラレが起こりや
すいという不都合があった。本発明は、前述の課題に鑑
みてなされたものであり、小型で簡素な構成を有し、ゴ
ーストおよびブラックアウトの少ない、実像式ファイン
ダーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、正の屈折力を有する対物レンズ
と、該対物レンズの焦点の近傍に配置された視野枠と、
前記対物レンズを介して形成された物体の視野像および
前記視野枠を拡大して観察するための正の屈折力を有す
る接眼レンズと、該接眼レンズと前記視野枠との間に配
置された正立光学系とを備えた実像式ファインダーにお
いて、前記視野枠より物体側の光路中に、ファインダー
の長辺方向の光束を制限するための第1の開口絞りと、
ファインダーの短辺方向の光束を制限するための第2の
開口絞りとを備えていることを特徴とする実像式ファイ
ンダーを提供する。
【0010】本発明の好ましい態様によれば、前記第2
の開口絞りは、前記第1の開口絞りよりも物体側に配置
されている。
【0011】
【作用】アイポイント位置とはすなわち射出瞳であって
開口絞りの像であるから、視野像における諸収差を良好
に収差補正するとともに瞳の球面収差も良好に収差補正
すれば良好な結像性能が得られる。しかしながら、視野
像における歪曲収差の補正と瞳の球面収差の補正とを両
立させることは一般的に困難であり、たとえ両立させる
ことができたとしても光学系の複雑化および実質的なコ
ストアップを回避することはできない。
【0012】従来の実像式ファインダーでは、瞳の球面
収差が補正されていないにもかかわらず、1つの開口絞
りだけで光束を制限しようとしている点に問題がある。
本発明では、一般のファインダー視野がそれぞれ視野
(すなわち画角)の異なる2つの方向(長辺方向および
短辺方向)を有する矩形視野であることに着目し、長辺
方向の画角および短辺方向の画角に対してそれぞれ最適
な位置に独立に2つの開口絞りを配置する。こうして、
長辺方向の光束および短辺方向の光束をそれぞれ適切に
制限し、有害なゴースト光の入射およびアイポイント位
置での光束のケラレを抑制している。
【0013】また、上述したように、瞳の球面収差は負
側に残存しているので、短辺方向の光束を制限するため
の開口絞りを、長辺方向の光束を制限するための開口絞
りよりも物体側に配置するのが望ましい。このように、
本発明の実像式ファインダーでは、レンズのような他の
光学系と比べて比較的安価な開口絞りを従来の構成に付
加するだけであり、光学系の複雑化およびコストアップ
を回避することができる。
【0014】
【実施例】本発明の実施例を、添付図面に基づいて説明
する。図1は、本発明の実施例にかかる実像式ファイン
ダーの構成を示す斜視図である。図1に示すように、本
実施例の実像式ファインダーは、物体側から順に、ファ
インダーの短辺方向の光束を制限するための開口絞りA
1と、ファインダーの長辺方向の光束を制限するための
開口絞りA2と、正屈折力を有する2つのレンズからな
る対物レンズOと、正立ポロプリズムPと、正屈折力を
有する接眼レンズEとから構成されている。
【0015】なお、対物レンズOの焦点近傍の正立ポロ
プリズムPの入射面には、視野枠Fが配置されている。
また、図2を参照して後述するように、2つの開口絞り
A1およびA2はファインダーの瞳の球面収差を考慮し
て最適な位置に配置されている。
【0016】次の表(1)に、本発明の実施例の諸元の
値を掲げる。表(1)において、左端の数字は物体側か
らの各レンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率半径
を、dは各レンズ面間隔を、nおよびνはそれぞれd線
(λ=587.6nm)に対する屈折率およびアッベ数
を示している。本実施例において、非球面は、光軸に垂
直な方向の高さをy、高さyにおける光軸方向の変位量
をS(y)としたとき、以下の数式(a)で表される。 S(y)=(y2 /2・R) (a) 本実施例の諸元表中の非球面には、面番号の右に*印を
付している
【0017】
【表1】 r d ν n 1 ∞ 0.8000 (A1) 2 ∞ 3.0000 (A2) 3 20.9940 3.7000 57.57 1.49108 4* -10.0500 5.2000 5* 10.0500 3.7000 57.57 1.49108 6 -20.9940 3.2000 7 ∞ 33.3000 31.11 1.58518 8 -25.2860 0.3000 9 23.6350 2.0000 57.57 1.49108 10 -199.1380 15.0000 11 ∞ 0.0000 (EP) (その他のデータ) 開口絞りA1の画面短辺方向寸法: 1.8 開口絞りA2の画面長辺方向寸法: 1.8 視野枠面寸法(短辺×長辺): 5.3×7.6 倍率 : 0.438× 視野の画角 (短辺×長辺): 32.2°×46.6°
【0018】図2は、図1の実像式ファインダーの展開
光路図であって、(a)は画面対角方向の光線、(b)
は画面長辺方向の光線、(c)は画面短辺方向の光線に
対する光路図である。なお、図2では、プリズムPの光
路を一直線に展開して示している。図1および図2を参
照して明らかなように、本実施例の実像式ファインダー
では、画面対角方向、画面長辺方向および画面短辺方向
のいずれの場合も、光束がアイポイント位置EPの近傍
で結像している。換言すれば、アイポイント位置EPに
おける入射角に依存した光束の偏りが従来例に比して大
幅に改善されているのがわかる。
【0019】
【効果】以上説明したように、本発明では、従来の構成
に開口絞りを付加するという簡単な構成によって、ゴー
ストの発生が抑えられ、且つブラックアウトが生じにく
くかげりのない見やすい実像式ファインダーを提供する
ことができる。また、アイポイント位置における光束の
ケラレを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる実像式ファインダーの
構成を示す斜視図である。
【図2】図1の実像式ファインダーの展開光路図であっ
て、(a)は画面対角方向の光線、(b)は画面長辺方
向の光線、(c)は画面短辺方向の光線に対する光路図
である。
【図3】従来の実像式ファインダーの展開光路図であっ
て、(a)は画面対角方向の光線、(b)は画面長辺方
向の光線、(c)は画面短辺方向の光線に対する光路図
である。
【符号の説明】
A 開口絞り O 対物レンズ F 視野枠 P プリズム E 接眼レンズ EP アイポイント 1〜3 光線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03B 13/00 - 13/28 G02B 9/00 - 17/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正の屈折力を有する対物レンズと、該対
    物レンズの焦点の近傍に配置された視野枠と、前記対物
    レンズを介して形成された物体の視野像および前記視野
    枠を拡大して観察するための正の屈折力を有する接眼レ
    ンズと、該接眼レンズと前記視野枠との間に配置された
    正立光学系とを備えた実像式ファインダーにおいて、 前記視野枠より物体側の光路中に、ファインダーの長辺
    方向の光束を制限するための第1の開口絞りと、ファイ
    ンダーの短辺方向の光束を制限するための第2の開口絞
    りとを備え、前記第1の開口絞りと前記第2の開口絞り
    とは光軸上で互いに離れた位置に配置されていることを
    特徴とする実像式ファインダー。
  2. 【請求項2】 前記第2の開口絞りは、前記第1の開口
    絞りよりも物体側に配置されていることを特徴とする請
    求項1に記載の実像式ファインダー。
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