JP3380322B2 - 芳香族ポリエステルカーボネート重合体、その製造方法及びそれを用いたポリマー組成物 - Google Patents

芳香族ポリエステルカーボネート重合体、その製造方法及びそれを用いたポリマー組成物

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JP3380322B2 JP02125094A JP2125094A JP3380322B2 JP 3380322 B2 JP3380322 B2 JP 3380322B2 JP 02125094 A JP02125094 A JP 02125094A JP 2125094 A JP2125094 A JP 2125094A JP 3380322 B2 JP3380322 B2 JP 3380322B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核スルホン化された芳香
族ポリエステルカーボネート重合体、その製法及びそれ
を用いたポリマー組成物に関する。さらに詳しくは、高
分子相溶化剤として有効な、核スルホン化された新規な
芳香族ポリエステルカーボネート重合体、該重合体を製
造する方法及び該重合体を含有してなるポリマー組成物
に関する。
【0002】
【従来技術】これまで核スルホン化された芳香族ジカル
ボン酸は、ポリエステル、ポリアミド、等へ共重合する
ことにより染色性の向上、親水性の付与といった改質ポ
リマーのモノマー等に用いられている。しかし、該ジカ
ルボン酸を使用した全芳香族のポリエステルや全芳香族
のポリエステルカーボネートに関しては、製造が困難な
ことから、その例は少ない。例えば、米国特許第522
7456号において、核スルホン化された芳香族ジカル
ボン酸塩を構成単位として有する全芳香族液晶ポリマー
について開示されており、ガラス、セラミック、金属等
への接着性の改善効果について記載がされている。
【0003】ところで、近年プラスチック製品の多様な
ニーズに応えるべく、ブレンドポリマーを含む各種のポ
リマーグレードが開発されている。そして特にブレンド
ポリマーを製造するための混合技術の重要性がますます
増している。
【0004】例えば、ポリカーボネートとナイロンとの
組成物をあげる。
【0005】ポリカーボネートは耐熱性、機械特性、成
形性、寸法安定性等の諸特性に優れ、電気電子用部材、
医療用部材、光学用部材、その他各種成形品として使用
されている。しかしながらポリカーボネートは、各種の
結晶性樹脂に比べ耐溶剤性に劣り、その用途が限定され
ている。
【0006】一方、ナイロンは優れた機械特性、耐熱
性、耐摩耗性、耐溶剤性を有し、繊維、フィルム、各種
成形材料等として幅広く用いられている。しかしなが
ら、ナイロンは吸水による寸法変化、機械的性質の低下
などの欠点を有し、更に成形収縮率が大きく、成形品の
寸法精度の狂いやソリを招くなどの問題も有している。
【0007】そこでポリカーボネートとナイロンの欠点
をそれぞれ補うべく、それらをブレンドした組成物が種
々検討されてきた。ところが、ポリカーボネートとナイ
ロンとは相溶性が全くないため、単純に溶融混合するだ
けでは相分離を起こし、これらのブレンドポリマーの成
形品は表層剥離を生ずるなど、機械的に極めて脆い組成
物しか得られなかった。
【0008】このような機械的強度の問題を解決し、か
つ両者の欠点を補うための混合技術としては、例えば両
者を重合段階で混合する方法(特開昭51―10319
1号、特開昭56―42645号)が提案されている。
しかしながら基本的に相溶性に乏しいため混合に長時間
を有し、また重合反応時あるいは成形時にゲル化や発泡
が起こりやすいという問題がある。
【0009】またナイロンとポリカーボネートを混合す
る際、いわゆる相溶化剤としてポリエステルグラフト化
ポリアミドを添加する方法(特開平5―65396号)
が提案されている。しかし、この方法で用いられている
ポリエステルグラフト化ポリアミドは、そのポリエステ
ル部分が溶融条件下にて単独で、あるいはポリカーボネ
ートとの間でエステル―エステルあるいはエステル―カ
ーボネート交換反応することがあるため結果として分岐
乃至ゲル化し、得られるブレンドポリマーの成形性、あ
るいは機械特性が損なわれるという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、2種
類、叉はそれ以上のポリマー同士の高分子相溶化剤とし
て、特にナイロンとポリカーボネートとの相溶化剤とし
て有用な新規な芳香族ポリエステルカーボネート重合
体、その製造方法及びそれを用いたポリマー組成物を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステル部の
芳香環を核スルホン化した特定のポリエステルスルホン
酸塩構造を含む芳香族ポリエステルカーボネート重合体
が、ナイロンとポリカーボネートとの相溶化剤として有
効であることを見い出し本発明に到達した。
【0012】すなわち、本発明は、実質的にポリマー
が、下記式(I)
【0013】
【化7】
【0014】(式(I)中、M+ は1価叉は2価の金属
イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン及びテトラ
アルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれる少
なくとも一種のイオンを表す。R1及びR2はそれぞれ独
立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基叉は炭素数
5〜6のシクロアルキル基であり、R1とR2とは互いに
結合していてもよい。R3及びR4はそれぞれ独立に、炭
素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子叉はフェニル基
であり、m、nはそれぞれ独立に0,1叉は2であ
る。)で表される繰り返し単位、及び下記式(II)
【0015】
【化8】
【0016】(式(II)中、R1及びR2はそれぞれ独立
に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基叉は炭素数5
〜6のシクロアルキル基であり、R1とR2は結合してい
てもよい。R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜5
のアルキル基、ハロゲン原子叉はフェニル基であり、
m、nはそれぞれ独立に0,1叉は2である。)で表さ
れる繰り返し単位からなり、上記式(I)、(II)で表
される繰り返し単位のモル分率(I)/(II)が1/9
9〜50/50である実質的に線状の共重合体であっ
て、かつフェノール/テトラクロロエタン(重量比60
/40)の混合溶媒中35℃で測定した還元粘度(濃度
1.2g/dl)が0.01〜1.5の範囲内にあるこ
とを特徴とする芳香族ポリエステルカーボネート重合
体、その製造方法及びそれを用いたポリマー組成物であ
る。
【0017】上記式(I)において、M+ は1価叉は2
価の金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン及
びテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群より選
ばれる少なくとも一種のイオンである。
【0018】M+ が金属イオンの場合、ナトリウムイオ
ン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属
イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のア
ルカリ土類金属イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。た
だし2価のイオンの場合には繰り返し単位中のスルホン
酸基(ーSO3 -)2モルに対し、金属イオン1モルが対応す
るものとする。
【0019】M+ がテトラアルキルホスホニウムイオン
の場合には、炭素数1〜8のアルキル基を有するものが
好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
具体的にはテトラメチルホスホニウムイオン、テトラブ
チルホスホニウムイオン等を例示することができる。
【0020】さらにM+ がテトラアルキルアンモニウム
イオンの場合には、炭素数1〜8のアルキル基を有する
ものが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ま
しい。具体的にはテトラブチルアンモニウムイオン、テ
トラメチルアンモニウムイオン等を挙げることができ
る。
【0021】R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、
炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜6のシクロアル
キル基から選ばれる。例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、ノルマルブチル、イソブチル、ペンチル、シクロヘ
キシル等を例示できる。また、R1とR2とは互いに結合
していてもよく、その場合にはシクロアルカン環を構成
する。
【0022】R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜
5のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子から選ばれ
る。例えば、メチル、エチル、プロピル、ノルマルブチ
ル、イソブチル、ペンチル、フェニル、塩素原子、臭素
原子等を例示できる。
【0023】また、m,nはそれぞれ独立に0,1また
は2である。
【0024】上記式(II)において、R1〜R4、及び
m,nは上記式(1)、(2)の場合と同様である。
【0025】かかる上記式(I)及び(II)において、
1及びR2がともにメチル基で、m,nがともに0であ
る場合が特に好適である。
【0026】本発明の重合体は、上記式(I)で示され
る繰り返し単位と上記式(II)で示される繰り返し単位
との割合(I)/(II)がモル分率で1/99〜50/
50である。この割合が1/99より小さい場合には、
相溶化剤としての添加効果が小さいため好ましくない。
また、50/50より大きい場合には溶融時の粘性が高
くなりすぎ、取扱いが困難になり好ましくない。より好
ましい範囲は3/97〜40/60であり、さらに好ま
しくは5/95〜35/65である。
【0027】また本重合体の重合度はスルホン酸塩の種
類にもよるが、フェノール/テトラクロロエタン(重量
比60/40)の混合溶媒中35℃で測定した還元粘度
(濃度1.2g/dl)が0.01〜1.5の範囲内に
あることが好ましい。還元粘度が0.01に満たない場
合には、使用時の材料物性の低下や取り扱い性の悪化を
招き、1.5を超える場合には、溶融時の粘度が高くな
りすぎ、取り扱いにくくなったり、他のポリマーとの混
合しにくくなる。好ましい範囲は0.05〜1.0であ
る。
【0028】なお、本発明の芳香族ポリエステルカーボ
ネート重合体においては、その性質を本質的に変えない
範囲(例えば全体の20モル%以下、好ましくは、10
モル%以下)で、上記式(I)及び(II)で示される繰
り返し単位以外の繰り返し単位を含んでもよい。その場
合の例として、スルホン酸塩を含まない下記式で示され
る繰り返し単位が挙げられる。
【0029】
【化9】
【0030】本発明の芳香族ポリエステルカーボネート
重合体は、後述する第一及び第二の製造方法により製造
することができる。
【0031】第一の製造方法は、下記式(III)
【0032】
【化10】
【0033】(式(III)中、M+は1価叉は2価の金属
イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン及びテトラ
アルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれる少
なくとも一種のイオンを表す。Ar1、Ar2はそれぞれ
独立に、炭素数6〜12の芳香族基を表す。)で示され
る芳香族ジカルボン酸ジアリールエステルスルホン酸塩
(a)、ジアリールカーボネート(b)、及び下記式
(IV)
【0034】
【化11】
【0035】(式(IV)中、R1及びR2はそれぞれ独立
に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基叉は炭素数5
〜6のシクロアルキル基であり、R1とR2は結合してい
てもよい。R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜5
のアルキル基、ハロゲン原子叉はフェニル基であり、
m、nはそれぞれ独立に0,1叉は2である。)で示さ
れるビスフェノール(c)とを、下記式(1)、(2)
【0036】
【数3】 0.9 ≦ (A+B)/C ≦ 1.1 (1) 1/99 ≦ A/B ≦ 50/50 (2) (式(1)、(2)中、Aは芳香族ジカルボン酸ジアリ
ールエステルスルホン酸塩(a)、Bはジアリールカー
ボネート(b)、Cはビスフェノール(c)の各モル数
である。)を同時に満足する割合で、エステル交換触媒
の存在下、加熱溶融し反応させることにより製造する方
法である。
【0037】上記第一の製造方法において使用する芳香
族ジカルボン酸ジアリールエステルスルホン酸塩(a)
は、上記式(III)で示される化合物であり、詳しく
は、スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、亜鉛塩等の金属塩、テトラアルキルホスホニウム
塩、テトラアルキルアンモニウム塩から選ばれる。中で
もリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ
金属塩がより好ましい。
【0038】式(III)中のAr1、Ar2は炭素数6〜
12の芳香族基であり、フェニル基、ナフチル基、4ー
メチルフェニル基などを例示することができる。このう
ちでも、フェニル基が好ましい。
【0039】かかるスルホン酸塩(a)を構成するM+
が金属イオンの場合、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウ
ムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イ
オン、亜鉛イオンを好適に用いることができる。ただし
2価のイオンの場合にはかかるスルホン酸塩(a)中の
スルホン酸基(ーSO3 -)2モルに対し、金属イオン1モル
が対応するものとする。
【0040】また、かかるスルホン酸塩(a)を構成す
るM+ がテトラアルキルホスホニウムイオンの場合は、
アルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましく、炭素数
1〜6のアルキル基がより好ましい。具体的にはテトラ
メチルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウム
イオン等を例示することができる。
【0041】さらにテトラアルキルアンモニウムイオン
の場合は、アルキル基の炭素数が1〜8のものが好まし
く、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。具体的
にはテトラブチルアンモニウムイオン、テトラメチルア
ンモニウムイオン等を挙げることができる。
【0042】かかる化合物の具体的な例としては、下記
構造式で表される5ーナトリウムスルホイソフタル酸ジ
フェニルが代表的なものとして挙げられるが、
【0043】
【化12】
【0044】このほか、4ーナトリウムスルホイソフタ
ル酸ジフェニル、4ーカリウムスルホイソフタル酸ジフ
ェニル、5ーカリウムスルホイソフタル酸ジフェニル、
2ーナトリウムスルホテレフタル酸ジフェニル、2ーカ
リウムスルホテレフタル酸ジフェニル、4ースルホイソ
フタル酸ジフェニルテトラブチルホスホニウム塩、4ー
スルホイソフタル酸ジフェニルテトラメチルホスホニウ
ム塩、5ースルホイソフタル酸ジフェニルテトラブチル
ホスホニウム塩、5ースルホイソフタル酸ジフェニルテ
トラメチルホスホニウム塩、4ースルホイソフタル酸ジ
フェニルテトラブチルルキルアンモニウム塩、4ースル
ホイソフタル酸ジフェニルテトラメチルアンモニウム
塩、5ースルホイソフタル酸ジフェニルテトラブチルア
ンモニウム塩、5ースルホイソフタル酸ジフェニルテト
ラメチルアンモニウム塩、2ースルホテレフタル酸ジフ
ェニルテトラブチルホスホニウム塩、2ースルホテレフ
タル酸ジフェニルテトラメチルホスホニウム塩、2ース
ルホテレフタル酸ジフェニルテトラブチルアンモニウム
塩、2ースルホテレフタル酸ジフェニルテトラメチルア
ンモニウム塩等を挙げることができる。
【0045】上記の芳香族ジカルボン酸ジアリールエス
テルスルホン酸塩(a)は、通常のエステル交換触媒の
存在下、対応する芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステ
ルスルホン酸塩1モルに対し2から3倍モルのジアリー
ルカーボネートとを250℃から320℃で加熱溶融さ
せることにより製造することができる。
【0046】また本発明の製造方法で用いるジアリール
カーボネート(b)としては、ジフェニルカーボネー
ト、ビス(2ーメチルフェニル)カーボネート、ビス
(4ーメチルフェニル)カーボネート、ビス(2ーメト
キシフェニル)カーボネート、ビス(4ーメトキシフェ
ニル)カーボネート等を例示できるが、これらの内でも
特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0047】さらに、ビスフェノール(c)の例として
は、2、2ービス―(4ーヒドロキシフェニル)―プロ
パン、ビス―(4ーヒドロキシフェニル)―メタン、
1、1ービス―(4ーヒドロキシフェニル)―エタン、
2、2ービス―(4ーヒドロキシフェニル)―ブタン、
等のビス―(ヒドロキシフェニル)―アルカン類、1、
1ービス―(4ーヒドロキシフェニル)―シクロヘキサ
ン等のビス―(ヒドロキシフェニル)―シクロアルカン
類、並びに核アルキル化および核ハロゲン化されている
それらの化合物が挙げられる。これらの内、2,2―ビ
ス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフ
ェノールAと略す。)が好適に用いられる。また、上記
ビスフェノールの混合物を用いてもよい。
【0048】かかる第一の製造方法を実施する際、上記
化合物(a)、(b)及び(c)は、下記式(1)、
(2)
【0049】
【数4】 0.9 ≦ (A+B)/C ≦ 1.1 (1) 1/99 ≦ A/B ≦ 50/50 (2) (式(1)、(2)中、Aは芳香族ジカルボン酸ジアリ
ールエステルスルホン酸塩(a)、Bはジアリールカー
ボネート(b)、Cはビスフェノール(c)の各モル数
である。)を同時に満足する割合で使用される。
【0050】ここで式(1)は、重合体鎖を形成するた
めに適当なバランスを維持して使用されるべきであるこ
とを示している。すなわち、かかる式(1)が満足され
ない場合には、ポリマーの重合度が上がりにくく、また
重合の際に着色を起こしやすくなり好ましくない。
【0051】化合物(a)、(b)及び(c)の間に
は、下記関係式(1a)が成立することが好ましい。
【0052】
【数5】 0.95 ≦ (A+B)/C ≦ 1.05 (1a)
【0053】また、上記式(2)において、化合物
(a)と化合物(b)との仕込み時のモル比A/Bが5
0/50を超える場合には、溶融時の粘度が高くなりす
ぎるために、十分な重合度の芳香族ポリエステルカーボ
ネート重合体を得られなかったり、該重合体を構成する
上記式(II)で示される単位であるカーボネート成分が
少なくなりすぎるために、期待する相溶化剤としての効
果が小さくなり好ましくない。また、モル比A/Bが1
/99に満たない場合には、ポリマー中に含まれるスル
ホン酸塩の存在量が少なくなりすぎるため、やはり相溶
化剤としての効果が小さく好ましくない。成分(a)、
(b)の間には、下記関係式(2a)が成立することが
好ましく、とりわけ、関係式(2b)が成立することが
特に好ましい。
【0054】
【数6】 3/97 ≦ A/B ≦ 40/60 (2a) 5/95 ≦ A/B ≦ 35/65 (2b) 本発明の芳香族ポリエステルカーボネート重合体は、エ
ステル交換触媒の存在下、上記式(a)、(b)及び
(c)で表される化合物とを250℃〜320℃で加熱
溶融し反応させることにより製造することができる。
【0055】この際に用いるエステル交換触媒として
は、通常のエステル交換反応に使用できるものであれば
特に制限はない。かかるエステル交換触媒としては、三
酸化アンチモンといったアンチモン化合物、酢酸第一
錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテートと
いった錫化合物、酢酸亜鉛のような亜鉛化合物、酢酸カ
ルシウムといったカルシウム化合物、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウムのようなアルカリ金属塩、及びアミン類等
を例示することができる。これらは単独で、あるいは2
種以上を併用して使用することができる。
【0056】かかる触媒の使用量としては、通常のエス
テル交換反応における使用量でよく、概ね、ビスフェノ
ール(c)1モルに対し、0.01モル%〜0.5モル
%が好ましく、0.03モル%〜0.3モル%がさらに
好ましい。
【0057】また、上記製造方法を行う際には酸化防止
剤等の各種添加剤を併用することもできる。
【0058】本発明の芳香族ポリエステルカーボネート
重合体は、次に述べる第二の製造方法より製造すること
もできる。すなわち第二の方法は、下記式(V)
【0059】
【化13】
【0060】(式(V)中、M+は1価叉は2価の金属
イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン及びテトラ
アルキルアンモニウムイオンからなる群より選ばれる少
なくとも一種のイオンを表す。)で表される芳香族ジカ
ルボン酸スルホン酸塩(d)、ジアリールカーボネート
(b)、及び下記式(IV)
【0061】
【化14】
【0062】(式(IV)中、R1及びR2はそれぞれ独立
に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基叉は炭素数5
〜6のシクロアルキル基であり、R1とR2とは互いに結
合していてもよい。R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素
数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子叉はフェニル基で
あり、m、nはそれぞれ独立に0,1叉は2である。)
で表されるビスフェノール(c)とを、下記式(3)、
(4)
【0063】
【数7】 0.9 ≦ (D+C)/B ≦ 1.1 (3) 1/99 ≦ D/B ≦ 50/50 (4) (式(3)、(4)中、Dは芳香族ジカルボン酸スルホ
ン酸塩(d)、Bはジアリールカーボネート(b)、C
はビスフェノール(c)の各モル数である。)を同時に
満足する割合で、3級アミン系触媒及び/叉はエステル
交換触媒の存在下、加熱溶融し反応させることにより製
造する方法である。
【0064】かかる第二の製造方法において使用する芳
香族ジカルボン酸スルホン酸塩(d)は、上記式(V)
で示される化合物であり、スルホン酸のアルカリ金属
塩、アルカリ土類金属塩、亜鉛塩等の金属塩、テトラア
ルキルホスホニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩
から選ばれる。中でも、テトラアルキルホスホニウム塩
及びテトラアルキルアンモニウム塩がより好ましい。
【0065】かかるスルホン酸塩(d)を構成するM+
が金属イオンの場合、カリウムイオン、リチウムイオン
等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、マグネシ
ウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、亜鉛イオンを
用いることができる。ただし2価のイオンの場合にはか
かるスルホン酸塩(d)中のスルホン酸基(ーSO3 -)2モ
ルに対し、金属イオン1モルが対応するものとする。
【0066】また、かかるスルホン酸塩(d)を構成す
るM+ がテトラアルキルホスホニウムイオンの場合は、
アルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましく、炭素数
1〜6のアルキル基がより好ましい。具体的にはテトラ
メチルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウム
イオン等を例示することができる。
【0067】さらにテトラアルキルアンモニウムイオン
の場合は、アルキル基の炭素数が1〜8のものが好まし
く、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。具体的
にはテトラブチルアンモニウムイオン、テトラメチルア
ンモニウムイオン等を挙げることができる。
【0068】かかる化合物としては、具体的には下記構
造式で表される5ースルホイソフタル酸テトラブチルホ
スホニウム塩が代表的なものとして挙げられるが、
【0069】
【化15】
【0070】このほか、4ースルホイソフタル酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、4ースルホイソフタル酸テトラ
メチルホスホニウム塩、5ースルホイソフタル酸テトラ
メチルホスホニウム塩、4ースルホイソフタル酸テトラ
ブチルアンモニウム塩、4ースルホイソフタル酸テトラ
メチルアンモニウム塩、5ースルホイソフタル酸テトラ
ブチルアンモニウム塩、5ースルホイソフタル酸テトラ
メチルアンモニウム塩、2ースルホテレフタル酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、2ースルホテレフタル酸テトラ
メチルホスホニウム塩、2ースルホテレフタル酸テトラ
ブチルアンモニウム塩、2ースルホテレフタル酸テトラ
メチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0071】また本発明の第二の製造方法で用いるジア
リールカーボネート(b)及びビスフェノール(c)と
しては、上述した第一の製造方法で用いたものを同様に
使用することができる。中でも、ジアリールカーボネー
ト(b)としては特にジフェニルカーボネートが好まし
く、ビスフェノール(c)としては、2,2―ビス(4
―ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノー
ルAと略す。)が好適に用いられる。また、上記ビスフ
ェノールの混合物を用いてもよい。
【0072】かかる第二の製造方法を実施する際、上記
化合物(d)、(b)及び(c)は、下記式(3)、
(4)
【0073】
【数8】 0.9 ≦ (D+C)/B ≦ 1.1 (3) 1/99 ≦ D/B ≦ 50/50 (4) (式(3)、(4)中、Dは芳香族ジカルボン酸スルホ
ン酸塩(d)、Bはジアリールカーボネート(b)、C
はビスフェノール(c)の各モル数である。)が同時に
成立するような量的割合で使用される。
【0074】ここで式(3)は、重合体鎖を形成するた
めに適当なバランスを維持して使用されるべきであるこ
とを示している。すなわち、かかる式(3)が満足され
ない場合には、ポリマーの重合度が上がりにくく、また
重合の際に着色を起こしやすくなり好ましくない。
【0075】化合物(d)、(b)及び(c)の間に
は、下記関係式(3a)が成立することが好ましい。
【0076】
【数9】 0.95 ≦ (D+C)/B ≦ 1.05 (3a) また、上記式(4)において、化合物(d)と化合物
(b)との仕込み時のモル比D/Bが50/50を超え
る場合には、溶融時の粘度が高くなりすぎるために、十
分な重合度の芳香族ポリエステルカーボネート重合体を
得られなかったり、該重合体を構成する上記式(II)で
示される単位であるカーボネート成分が少なくなりすぎ
るために、期待する相溶化剤としての効果が小さくなり
好ましくない。また、モル比A/Bが1/99に満たな
い場合には、ポリマー中に含まれるスルホン酸塩の存在
量が少なくなりすぎるため、やはり相溶化剤としての効
果が小さく好ましくない。成分(d)、(b)の間に
は、下記関係式(4a)が成立することが好ましく、と
りわけ、関係式(4b)が成立することが特に好まし
い。
【0077】
【数10】 3/97 ≦ D/B ≦ 40/60 (4a) 5/95 ≦ D/B ≦ 35/65 (4b) 本発明の芳香族ポリエステルカーボネート重合体の第二
の製造方法では、3級アミン系触媒及び/叉はエステル
交換触媒の存在下、上記式(d)、(b)及び(c)で
表される化合物とを250℃〜320℃で加熱溶融し反
応させる。
【0078】この際に用いる3級アミン系触媒として
は、トリアルキルアミン類、ピリジン及びピリジン誘導
体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、といった3
級アミンを分子中に含有するものが好ましい。これらの
内、4ージメチルアミノピリジン、4ージエチルアミノ
ピリジンといったアルキルアミノピリジン類がより好ま
しい。これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使
用することができる。
【0079】かかる3級アミン系触媒の使用量として
は、概ね、ビスフェノール(c)1モルに対し、0.0
1モル%から2モル%が好ましく、0.05モル%から
1.5モル%がさらに好ましい。
【0080】また、エステル交換触媒としては、通常の
エステル交換反応に使用できるものであれば特に制限は
ない。かかるエステル交換触媒としては、三酸化アンチ
モンといったアンチモン化合物、酢酸第一錫、ジブチル
錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテートといった錫化合
物、酢酸亜鉛のような亜鉛化合物、酢酸カルシウムとい
ったカルシウム化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
のようなアルカリ金属塩、及びアミン類等を例示するこ
とができる。これらは単独で、あるいは2種以上を併用
して使用することができる。さらに、上記3級アミン系
触媒と併用して用いてもよい。
【0081】かかる触媒の使用量としては、通常のエス
テル交換反応における使用量でよく、概ね、ビスフェノ
ール(c)1モルに対し、0.01モル%〜0.5モル
%が好ましく、0.03モル%〜0.3モル%がさらに
好ましい。
【0082】また、上記製造方法を行う際には酸化防止
剤等の各種添加剤を併用することもできる。
【0083】本発明の芳香族ポリエステルカーボネート
重合体を製造する上記第一、第二の製造方法における加
熱溶融温度としては、初期反応として、200℃から2
50℃で数十分から十数時間反応を行った後、反応物を
高分子量化する重合反応を250℃から320℃の範囲
で行うのが好ましい。250℃より温度が低いと反応が
進まず、320℃より温度が高いと、分解などの副反応
が起こり易くなるためである。反応温度は好適には27
0℃から300℃である。この重合反応の反応時間は反
応温度や触媒量にもよるが、通常は数十分から数十時間
程度である。
【0084】上記反応中においては低沸点留出物が生成
する。該留出物は反応系外に取り出しながら反応を継続
して行うようにする。これは、反応が平衡反応のため留
出物を反応系外に取り出さなければ反応が進行しないか
らである。
【0085】また、上記反応は加圧下から減圧下で行う
ことができる。好ましくは、初期反応は常圧下で行い、
反応の進行と同時に徐々に減圧下とし、反応の生成物を
反応系外へ留去するとよい。
【0086】なお本発明の重合体は、NMR、IR等の
従来の分析手段により構造を確認することができる。
【0087】本発明の上記式(I)及び(II)で表され
る繰り返し単位からなる上記の芳香族ポリエステルカー
ボネート重合体は、ナイロンとポリカーボネートとの相
溶化作用を有する。それ故、本発明によれば、上記の芳
香族ポリエステルカーボネート重合体、ナイロン及びポ
リカーボネートからなり、かつ該重合体がかかる組成物
中に3〜30重量%含まれる、緊密に混合した組成物が
提供される。
【0088】上記ポリマー組成物の一部を構成するナイ
ロンは、一般的に用いられているものであれば特に制限
なく好適に用いることができる。例えばナイロン6、ナ
イロン66、ナイロン46、ポリヘキサメチレンテレフ
タルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等を
挙げることができる。
【0089】また、他の構成成分の一つであるポリカー
ボネートとしては、特に制限はないが、ビスフェノール
A型ポリカーボネートを好ましく例示することができ
る。
【0090】かかるポリマー組成物中に含まれる芳香族
ポリエステルカーボネート重合体の含有量が3重量%よ
り少ないと、該組成物中のナイロンとポリカーボネート
の相溶が十分でない。また、30重量%を越えると該組
成物中のナイロンとポリカーボネートのそれぞれの特性
が十分に発揮されず、組成物成形品として好ましい物性
が得られないことがある。該重合体のポリマー組成中の
含有量は、全ポリマー成分に対して好ましくは5〜25
重量%である。
【0091】また、かかるポリマー組成物の構成成分で
あるナイロン及びポリカーボネートの存在割合は特に制
限はなく、使用する目的あるいは用途等により異なる
が、ナイロンとポリカーボネートの比が好適には5/9
5〜95/5の範囲であり、より好ましくは10/90
〜90/10であり、特に好ましくは20/80〜80
/20である。
【0092】本発明のポリマー組成物を製造する方法は
特に制限されない。例えば、あらかじめ溶融したナイロ
ン及びポリカーボネートにかかる重合体を混合してもよ
いし、溶融した該重合体に、ナイロン及びポリカーボネ
ートを順次混合してもよい。
【0093】この場合の混合方法としては従来公知の方
法が使用できるが、例えば2軸押し出し機を使用して練
り込む方法等が挙げられる。この際の混合の温度として
は、通常250℃から320℃程度とすることが好まし
い。250℃より低いとポリマーが十分溶融せず、32
0℃より高いとポリマーの熱劣化が起こりやすくなるた
めである。
【0094】また、必要に応じ添加剤を本発明のポリマ
ー組成物に添加することもできる。これらの添加剤には
離型剤、可塑剤、顔料、熱的安定剤、紫外線安定剤、酸
化防止剤、充填剤、補強材等が含まれる。
【0095】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を詳述するが、本
発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、実
施例中「部」は「重量部」を意味する。
【0096】また還元粘度は、フェノール/テトラクロ
ロエタン(重量比60/40)の混合溶媒中において濃
度1.2g/dl、35℃にて測定した値であり、ガラ
ス転移温度(Tg)は、DSCにより、昇温速度10℃
/分で測定した。
【0097】[実施例1]30.24部の5ーナトリウ
ムスルホイソフタル酸ジフェニル、138.67部のジ
フェニルカーボネート、164.16部のビスフェノー
ルA、0.13部のジブチル錫ジアセテートを撹拌装置
を備えた真空留出系を有する反応器に入れ、容器内を窒
素置換した後、常圧下、60分かけて200℃まで昇温
した。その後240分かけて250℃まで昇温した。そ
の時点で徐々に反応系内を減圧しながら昇温し、180
分後10mmHg、290℃とした。さらに、20分反
応させて高粘度の重合体を得た。得られたポリマーの還
元粘度は0.24、Tgは126℃であり、色は薄い黄
色であった。
【0098】[実施例2]60.48部の5ーナトリウ
ムスルホイソフタル酸ジフェニル、123.30部のジ
フェニルカーボネート、164.16部のビスフェノー
ルA、0.13部のジブチル錫ジアセテートを撹拌装置
を備えた真空留出系を有する反応器に入れ、容器内を窒
素置換した後、常圧下、60分かけて200℃まで昇温
した。その後280分かけて250℃まで昇温した。そ
の時点で徐々に反応系内を減圧しながら昇温し、160
分後20mmHg、290℃とした。さらに、20分反
応させて高粘度の重合体を得た。得られたポリマーの還
元粘度は0.13、Tgは108℃であり、色は黄色で
あった。
【0099】[実施例3]70.56部の5ースルホイ
ソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩、179.80
部のジフェニルカーボネート、159.60部のビスフ
ェノールA、0.06部のジメチルアミノピリジン、
0.08部のジブチル錫ジアセテートを撹拌装置を備え
た真空留出系を有する反応器に入れ、容器内を窒素置換
した後、常圧下、60分かけて200℃まで昇温した。
その後120分かけて240℃まで昇温した。その時点
で徐々に反応系内を減圧しながら昇温し、120分後
0.3mmHg、290℃とした。さらに、25分反応
させて高粘度の重合体を得た。得られたポリマーの還元
粘度は0.80、Tgは136℃であり、色は薄い黄色
であった。
【0100】[実施例4]98.28部の5ースルホイ
ソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩、180.80
部のジフェニルカーボネート、148.20部のビスフ
ェノールA、0.06部のジメチルアミノピリジン、
0.08部のジブチル錫ジアセテートを撹拌装置を備え
た真空留出系を有する反応器に入れ、容器内を窒素置換
した後、常圧下、60分かけて200℃まで昇温した。
その後120分かけて240℃まで昇温した。その時点
で徐々に反応系内を減圧しながら昇温し、180分後
0.3mmHg、290℃とした。さらに、15分反応
させて高粘度の重合体を得た。得られたポリマーの還元
粘度は0.40、Tgは130℃であり、色は黄色であ
った。
【0101】[実施例5]実施例1で得た芳香族ポリエ
ステルカーボネート重合体10部、ナイロン6(m−ク
レゾール中、35℃で測定した固有粘度0.83)45
部及びポリカーボネート(帝人化成(株)製「パンライ
ト」L1250)45部を30mmφ同方向回転2軸エ
クストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用
いて、ポリマー温度280℃、平均滞留時間約10分の
条件下で溶融混練し、これをペレット化した。次に射出
成型機(名機製作所(株)製M−50B)を用いて、シ
リンダー温度280℃、金型温度80℃にて射出成形を
行い、外観が一様で、均質な成形品を得た。その物性を
表1に示す。表1から明らかなように、ナイロンとポリ
カーボネートとの相溶性が向上して、後述の比較例に比
べて組成物成形品の物性は増大した。
【0102】[比較例1]実施例5で用いたナイロン6
及びポリカーボネートをそれぞれ50部準備し、実施例
5と同様に混練し射出成形を行い、成形品を得た。それ
の外観は一様でなく、部分的に表層剥離が見られた。測
定した成形品の物性の結果を表1に示す。
【0103】[実施例6]実施例3で得た芳香族ポリエ
ステルカーボネート重合体10部、ナイロン6(m−ク
レゾール中、35℃で測定した固有粘度0.83)45
部及びポリカーボネート(帝人化成(株)製「パンライ
ト」L1250)45部を30mmφ同方向回転2軸エ
クストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用
いて、実施例5と同様の操作を行い、外観が一様で、均
質な成形品を得た。その物性を表1に示す。表1から明
らかなように、ナイロンとポリカーボネートとの相溶性
が向上した。
【0104】
【表1】
【0105】
【発明の効果】本発明によれば、高分子相溶化剤として
有効な新規な芳香族ポリエステルカーボネート重合体、
該重合体を製造する方法、及び該重合体を含むポリマー
組成物が提供される。具体的にはナイロンとポリカーボ
ネートといったこれまで混合はできても相溶性に乏しい
ため、好ましい物性のものが得られなかった組み合わせ
のポリマー同士でもそれぞれのポリマー材料の好ましい
特性を生かしたポリマーアロイが可能となる。このよう
に、本発明による芳香族ポリエステルカーボネート重合
体は、溶融重合法のみによって製造可能であり、既存の
ポリマーを組み合わせた材料と併用することで、物性の
改善や多様化に資するところが大きく、その工業的意義
は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 米国特許5227456(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08L 67/00 C08L 69/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にポリマーが、下記式(I) 【化1】 (式(I)中、M+ は1価叉は2価の金属イオン、テト
    ラアルキルホスホニウムイオン及びテトラアルキルアン
    モニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種
    のイオンを表す。R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原
    子、炭素数1〜5のアルキル基叉は炭素数5〜6のシク
    ロアルキル基であり、R1とR2とは互いに結合していて
    もよい。R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜5の
    アルキル基、ハロゲン原子叉はフェニル基であり、m、
    nはそれぞれ独立に0,1叉は2である。)で表される
    繰り返し単位、及び下記式(II) 【化2】 (式(II)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原
    子、炭素数1〜5のアルキル基叉は炭素数5〜6のシク
    ロアルキル基であり、R1とR2とは互いに結合していて
    もよい。R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜5の
    アルキル基、ハロゲン原子叉はフェニル基であり、m、
    nはそれぞれ独立に0,1叉は2である。)で表される
    繰り返し単位からなり、上記式(I)、(II)で表され
    る繰り返し単位のモル分率(I)/(II)が1/99〜
    50/50である実質的に線状の共重合体であって、か
    つフェノール/テトラクロロエタン(重量比60/4
    0)の混合溶媒中35℃で測定した還元粘度(濃度1.
    2g/dl)が0.01〜1.5の範囲内にあることを
    特徴とする芳香族ポリエステルカーボネート重合体。
  2. 【請求項2】 下記式(III) 【化3】 (式(III)中、M+は1価叉は2価の金属イオン、テト
    ラアルキルホスホニウムイオン及びテトラアルキルアン
    モニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種
    のイオンを表す。Ar1、Ar2はそれぞれ独立に、炭素
    数6〜12の芳香族基を表す。)で表される芳香族ジカ
    ルボン酸ジアリールエステルスルホン酸塩(a)、ジア
    リールカーボネート(b)、及び下記式(IV) 【化4】 (式(IV)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原
    子、炭素数1〜5のアルキル基叉は炭素数5〜6のシク
    ロアルキル基であり、R1とR2とは互いに結合していて
    もよい。R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜5の
    アルキル基、ハロゲン原子叉はフェニル基であり、m、
    nはそれぞれ独立に0,1叉は2である。)で表される
    ビスフェノール(c)とを、下記式(1)、(2) 【数1】 0.9 ≦ (A+B)/C ≦ 1.1 (1) 1/99 ≦ A/B ≦ 50/50 (2) (式(1)、(2)中、Aは芳香族ジカルボン酸ジアリ
    ールエステルスルホン酸塩(a)、Bはジアリールカー
    ボネート(b)、Cはビスフェノール(c)の各モル数
    である。)を同時に満足する割合で、エステル交換触媒
    の存在下、加熱溶融により反応させることを特徴とする
    請求項1記載の芳香族ポリエステルカーボネート重合体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 下記式(V) 【化5】 (式(V)中、M+は1価叉は2価の金属イオン、テト
    ラアルキルホスホニウムイオン及びテトラアルキルアン
    モニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種
    のイオンを表す。)で表される芳香族ジカルボン酸スル
    ホン酸塩(d)、ジアリールカーボネート(b)、及び
    下記式(IV) 【化6】 (式(IV)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原
    子、炭素数1〜5のアルキル基叉は炭素数5〜6のシク
    ロアルキル基であり、R1とR2とは互いに結合していて
    もよい。R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜5の
    アルキル基、ハロゲン原子叉はフェニル基であり、m、
    nはそれぞれ独立に0,1叉は2である。)で表される
    ビスフェノール(c)とを、下記式(3)、(4) 【数2】 0.9 ≦ (D+C)/B ≦ 1.1 (3) 1/99 ≦ D/B ≦ 50/50 (4) (式(3)、(4)中、Dは芳香族ジカルボン酸スルホ
    ン酸塩(d)、Bはジアリールカーボネート(b)、C
    はビスフェノール(c)の各モル数である。)を同時に
    満足する割合で、3級アミン系触媒及び/叉はエステル
    交換触媒の存在下、加熱溶融により反応させることを特
    徴とする請求項1記載の芳香族ポリエステルカーボネー
    ト重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の芳香族ポリエステルカー
    ボネート重合体、ナイロン及びポリカーボネートよりな
    る組成物であって、かつ該重合体が3〜30重量%含ま
    れるポリマー組成物。
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