JP3378484B2 - 作業車の給油判別装置及び警報装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、作業車に備えた燃
料タンクへの燃料補給作業に係わる作業車の給油判別装
置、及び、その給油判別装置を備えた作業車の警報装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】コンバインやトラクター等の作業車で
は、燃料タンクに軽油等の燃料を補給するときには、通
常、燃料タンク内の燃料の残量がフロート式センサ等の
検出手段にて検出されて、その検出された燃料残量の状
態が指示針式や液晶表示式の燃料計等に表示され、従来
では、給油作業を行う作業員はその残量表示を見ながら
タンク内への燃料補給を行うようにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
では、燃料タンクへの燃料補給を開始しても、燃料計等
に表示された燃料残量状態は急に大きい変化はせず、ま
た、作業車側で燃料タンクへの燃料補給中であるか否か
を判別していないので、例えば、燃料補給中の判別に基
づいて、燃料計等による残量表示の表示状態を変化させ
て（例えば、表示分解能を高くしたり、給油中の表示を
して）、作業員が燃料補給作業を適切に行うことができ
るようにする等の処置を取ることができなかった。ここ
で、燃料タンクへの燃料補給中であるか否かを判別する
手段として、タンクの給油口の蓋を開けたことを検出し
て、燃料補給中であることを判別する構成が考えられる
が、この場合には、作業員が燃料補給の目的以外で蓋を
開けたときにも燃料補給中と誤って判別される不都合が
あるとともに、その蓋の開閉を検出する検出スイッチ等
の手段が必要になって装置構成が複雑化する不利があ
る。

【０００４】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あって、燃料タンク内の燃料の残量を検出するために本
来備えられている残量検出手段の検出情報を用いて、装
置構成の複雑化を避けながら、上記燃料タンクへの燃料
補給中か否かを適切に判別することを第１の目的とす
る。さらに、上記残量検出手段の検出情報を用いて燃料
補給中か否かを判別する場合に、車体の傾斜や振動等の
影響でタンク内の液面が変動したときに、誤って燃料補
給中であると判別することを極力回避させることを第２
の目的とする。さらに、上記燃料補給中を判別した場合
に、作業員に燃料補給中であることを知らせて、作業員
が燃料補給作業を適切に行うことができるようにするこ
とを第３の目的とする。

【０００５】また、上記従来技術では、燃料タンク内に
燃料を多く入れようとする場合に、作業員は給油口から
タンク内部を見ることになるが、タンク内部は暗くて見
にくいので、タンク内が燃料で満量状態になったかどう
かの判断は容易でなく、タンク内が満量状態になったに
もかかわらず、それに気がつかずに、さらに補給を続け
て燃料がタンクから溢れる等の不具合が生じるおそれが
あった。そこで、本発明では、上記燃料補給中におい
て、燃料タンクに燃料を入れ過ぎて燃料が溢れる等の不
具合を適切に回避させることができるようにすることを
第４の目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１では、作業車に
備えた燃料タンク内の燃料の残量が残量検出手段にて検
出され、その検出される燃料残量の増加状態に基づいて
燃料タンクへの燃料補給中であるか否かが判別される。

【０００７】従って、例えば燃料タンクの給油口に備え
た蓋の開閉を検出して燃料タンクへの燃料補給中である
か否かを判別するものには、作業員が燃料補給の目的以
外で蓋を開けたときにも燃料補給中と誤って判別される
不都合があるとともに、その蓋の開閉を検出する検出ス
イッチ等の手段が必要になって装置構成が複雑化する不
利があるのに比べて、本来備えられている残量検出手段
の検出情報を用いて、装置構成の複雑化を避けながら、
上記燃料タンクへの燃料補給中か否かを適切に判別する
ことができ、前述の第１の目的が達成される。

【０００８】また、請求項１では、前記残量検出手段に
て検出される燃料残量の検出値を設定時間間隔でサンプ
リングした検出値が前回の値よりも増加する増加状態
が、第１設定回数連続した後、それに続けて、設定時間
間隔でサンプリングした検出値が前回の値よりも増加す
る増加状態かあるいは増加も減少もしない定量状態かの
いずれかの状態が第２設定回数連続したことを計数する
と、前記燃料タンクへの燃料補給中であることが判別さ
れる。

【０００９】従って、燃料残量の検出値が増加する状態
が連続したことで、燃料タンクへの燃料補給中を予備的
に判別し、さらに、これに続けて、増加状態か定量状態
かのいずれかの状態、言い換えると減少しない状態が連
続したことで、燃料補給中であることを確定して判別す
るようにしたので、例えばタンク内の液面が車体の傾斜
や振動等の影響で変動して燃料残量の検出値が一時的に
増加した場合に、誤って燃料補給中と判別するのを適切
に回避でき、もって、前述の第２の目的が達成される。
さらに、例えばタンク内の燃料残量が満量に近い状態で
燃料補給する場合に、前記第１設定回数を少ない数（例
えば、最小値の２）に設定することにより、上記燃料補
給中の予備判別を確実に行った後、作業員が満量に近い
と判断して燃料補給量を少なくしたり補給を止める等し
たときにも、燃料補給中を適切に判別することができ
る。

【００１０】また、請求項１では、前記サンプリングし
た検出値が前記第１設定回数連続して前回の値から増加
したことを計数した後、前記増加状態か前記定量状態か
のいずれかの状態が前記第２設定回数連続したことを計
数するまでに、前記サンプリングした検出値が前回の値
から減少した場合には、前記サンプリングした検出値が
前記第１設定回数連続して前回の値から増加するか否か
の計数処理から実行し直す。

【００１１】従って、燃料残量の検出値が増加する状態
が連続して、燃料タンクへの燃料補給中を予備的に判別
したが、この後、燃料補給中であることを確定して判別
するまでに１回でも減少状態が生じた場合には、最初か
ら処理をやり直すようにしたので、誤って燃料補給中と
判別するのを一層的確に回避させることができ、もっ
て、前述の第２の目的が達成される。

【００１２】請求項２では、請求項１において、前記サ
ンプリングした検出値が前回の値から増加側に、減少側
設定値よりも大に設定されている増加側設定値以上変化
したときに、その検出値が増加状態であると判別され、
前記サンプリングした検出値が前回の値から減少側に、
増加側設定値よりも小に設定されている減少側設定値以
上変化したときに、その検出値が減少状態であると判別
される。

【００１３】従って、燃料残量の検出値が増加側に変化
する場合に増加状態であると判別するときの条件が、減
少側に変化する場合に減少状態であると判別するときの
条件に比べて厳しく設定されているので、誤って燃料補
給中であると判別することをより適切に回避することが
でき、もって、請求項１の好適な手段が得られ、前述の
第２の目的が達成される。

【００１４】請求項３では、請求項１又は２において、
前記燃料補給中であることが判別されているときに、前
記燃料タンクへの燃料補給中であることが表示される。

【００１５】従って、作業員が燃料タンクへの燃料補給
を開始したときに、例えば液晶表示器等による残量表示
の状態はすぐに大きい変化はしないので、この残量表示
だけを見てタンクへ燃料補給されていることを判断する
ことは困難であるが、上記燃料補給中の表示によってタ
ンクへ燃料補給されていると的確に判断して、燃料補給
作業を適切に継続することができ、もって、請求項１又
は２の好適な手段が得られ、前述の第３の目的が達成さ
れる。

【００１６】請求項４では、請求項１〜３のいずれか１
項に記載の作業車の給油判別装置が備えられ、前記燃料
タンクへの燃料補給中であることが判別された状態で、
前記燃料タンク内の燃料が満量状態になったことが判別
されると、燃料タンク内の燃料が満量状態であることが
警報される。

【００１７】従って、燃料タンクへの燃料補給中を判別
した状態で、満量状態の判別を行って作業員に満量状態
を警報するので、例えば、燃料補給中を判別せずに、満
量状態の判別だけを行って満量警報するものでは、誤っ
て満量判別したときには満量警報されるのに比べて、誤
って満量警報されるおそれをより適切に回避させなが
ら、従来のように、作業員が満量状態になったことに気
がつかずに補給を続けて燃料がタンクから外部に溢れる
等の不具合を適切に回避させることができ、もって、前
述の第４の目的が達成される。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下に、本発明を作業車としての
コンバインに適用した場合の実施の形態について図面に
基づいて説明する。図１に示すように、コンバインに
は、左右一対のクローラ走行装置１１を備えた車体Ｖの
前部に、刈取部１２が設けられ、その後方に、操縦部１
３と、刈取部１２にて刈り取られた穀稈を脱穀処理する
脱穀部１４と、脱穀部１４から供給される穀粒を貯溜す
るグレンタンク１５等が搭載されている。操縦部１３の
運転座席の下方側にエンジンＥが備えられ、そのエンジ
ンＥに対する燃料タンク１６が操縦部１３の床面下側に
備えられて、給油口１６ａから軽油等の燃料を給油する
ようになっている。尚、刈取部１２には、穀稈が触れる
とオン作動して刈取作業中であることを検出する株元セ
ンサＳ１が設けられている。

【００１９】操縦部１３の前部側には、図２に示すよう
に、作業員に知らせるべき各種の稼働情報を表示するた
めの表示パネルＣが設置され、その表示面は、ドットマ
トリックス式のグラフィックディスプレイに構成した液
晶表示部１と、充電ランプ２、予熱ランプ３、オイルラ
ンプ４、注意ランプ５及び左右のウインカーランプ６等
を備えている。液晶表示部１には、アワーメータ（稼働
時間）、エンジン回転数及びエンジン負荷等の稼働情報
が表示される（図４参照）。尚、オイルランプ４はオイ
ルスイッチがオンすると点灯し、充電ランプ２は充電ス
イッチがオンすると点灯し、左右の各ウインカーランプ
６は左右のウインカーランプスイッチが夫々オンすると
点灯する。

【００２０】操縦部１３には、図示はしないが、車体Ｖ
の操向を司るステアリングレバーや、エンジンＥから脱
穀部１４への動力伝達を入り切りする脱穀クラッチを操
作する脱穀レバーや、エンジンＥから刈取部１２への動
力伝達を入り切りする刈取クラッチを操作する刈取レバ
ー等が備えられている。又、操縦部１３には、エンジン
Ｅの回転数を変更調節するためのアクセルレバーが備え
られ、通常は、アクセルレバーを始動位置に調節してか
ら、後述のキースイッチＭＷをエンジン始動位置に切り
換えてエンジンＥを始動させた後、前記液晶表示部１に
表示されるエンジン回転数の表示を見ながら、作業用の
定格回転数（例えば２９００ｒｐｍ）になるようにアク
セルレバーを出力増加側に操作する。

【００２１】表示パネルＣには、マイクロコンピュータ
を利用して構成したメータ用コントローラ７が内蔵さ
れ、図３に示すように、このメータ用コントローラ７
に、前記株元センサＳ１と、前記脱穀クラッチの入り切
り状態を検出する脱穀スイッチＳ４と、燃料タンク１６
内の燃料の残量を検出する残量検出手段としてのフロー
ト式の燃料センサＳ２と、エンジンＥの出力回転数を検
出する回転数センサＳ３の各検出情報が入力されてい
る。ここで、エンジンＥが回転して、例えば回転数が５
００ｒｐｍを越えていればエンジンＥが作動していると
判断される。一方、メータ用コントローラ７からは、前
記液晶表示部１と警報ブザー８とに対する駆動信号が出
力されている。

【００２２】前記操縦部１３に、図示しないバッテリー
にて構成される駆動電源から車体各部への電力供給をオ
フするオフ状態と、車体各部への電力供給をオンするオ
ン状態と、前記エンジンＥを始動させるエンジン始動状
態とに切換操作自在なキースイッチＭＷが設けられ、そ
の切換情報がメータ用コントローラ７に入力されてい
る。又、クローラ走行装置１１に対するミッション部
に、車速を検出する車速センサＳ５と、走行中立状態を
検出する中立スイッチＳ６と、後進走行状態を検出する
後進スイッチＳ７とが設けられ、その各検出情報もメー
タ用コントローラ７に入力されている。

【００２３】上記燃料センサＳ２は、タンク１６内の液
面高さの変化によって上下するフロート１７と、フロー
ト１７を先端側で保持すると共に基端側がタンク上壁部
によって横軸芯周りに回動自在に枢支されたアーム１７
ａ（但し、上側の回動範囲はストッパー１９に当たる位
置で制限される）と、そのアーム１７ａの回動角を検出
するポテンショメータ１８とを備え、そのポテンショメ
ータ１８の検出情報であるフロート１７の上下位置つま
り液面高さによって、タンク内の燃料の残量が検出され
るように構成されている。

【００２４】前記メータ用コントローラ７は、前記燃料
センサＳ２にて検出される燃料タンク１６内の燃料残量
を前記液晶表示部１に表示するように構成されている。
具体的には、図４に示すように、液晶表示部１の画面左
端部に、点灯状態と消灯状態とに切換自在な表示用のセ
グメントｓｅｇが横一列状に複数個並置され、その横一
列状のセグメントｓｅｇの左端側が燃料残量減少側に、
右端側が燃料残量満量側にそれぞれ対応して、燃料残量
が多いほど、左端側から右端側に向けて点灯するセグメ
ントの数が多くなる。ここで、セグメントｓｅｇの個数
は、通常は４個であるが、後述のように燃料補給中（給
油中）が判別された場合には、図４（ロ）（ハ）のよう
に、横方向に拡大する状態で８個に増える。

【００２５】燃料タンク１６内の燃料が満量状態である
ことを警報する満量警報手段１０１が設けられ、この満
量警報手段１０１は、音によって満量状態であることを
警報するとともに、前記液晶表示部１の燃料残量の表示
において、満量状態であることを表す満量情報を表示す
るように構成されている。具体的には、前記警報ブザー
８を例えば５回断続作動させ、図４（ハ）に示すよう
に、液晶表示部１の画面に、“燃料満タン”のメッセー
ジを満量情報として表示する。

【００２６】前記メータ用コントローラ７を利用して、
前記燃料センサＳ２にて検出される燃料残量の増加状態
に基づいて前記燃料タンク１６への燃料補給中（給油
中）であるか否かを判別する判別手段１０３が構成され
ている。具体的には、前記判別手段１０３は、前記燃料
センサＳ２にて検出される燃料残量の検出値を設定時間
間隔でサンプリングして、そのサンプリングした検出値
が前回の値よりも増加する増加状態が、第１設定回数
（例えば３回）連続した後、それに続けて、前記サンプ
リングした検出値が前回の値よりも増加する増加状態か
増加も減少もしない定量状態かのいずれかの状態が第２
設定回数（例えば１３回）連続したことを計数すると、
前記燃料タンク１６への燃料補給中であることを判別す
る。尚、この実施例では、後述のように、燃料センサＳ
２の出力値を２０ｍｓ間隔でサンプリングしたデータを
４個単純平均して残量検出値としているので、上記補給
中の判別における燃料残量の検出値のサンプリング間隔
は、２０ｍｓ×４＝８０ｍｓになる。

【００２７】ここで、前記判別手段１０３は、前記サン
プリングした検出値が前回の値から増加側に増加側設定
値以上変化したときに、その検出値が増加状態であると
判別するとともに、前記サンプリングした検出値が前回
の値から減少側に減少側設定値以上変化したときに、そ
の検出値が減少状態であると判別し、かつ、前記増加側
設定値を前記減少側設定値よりも大に設定している。つ
まり、燃料センサＳ２の出力電圧の範囲（例えば０〜５
Ｖ）を２５６レベル（８ビットデータでのレベル数）に
分割して、各残量検出値が前の値に対して、８レベル
（増加側設定値）以上上昇した場合に増加状態と判断
し、３レベル（減少側設定値）以上下降した場合に減少
状態と判断し、７レベル上昇と２レベル下降の間では、
増加も減少もしない定量状態と判断する。

【００２８】但し、前記判別手段１０３は、前記サンプ
リングした検出値が前記第１設定回数（例えば３回）連
続して前回の値から増加したことを計数した後、前記増
加状態か前記定量状態かのいずれかの状態が前記第２設
定回数（例えば１３回）連続したことを計数するまで
に、前記サンプリングした検出値が前回の値から減少し
た場合には、前記サンプリングした検出値が前記第１設
定回数（例えば３回）連続して前回の値から増加するか
否かの計数処理から実行し直すように構成されている。

【００２９】そして、前記判別手段１０３にて前記燃料
補給中であることが判別されているときに、燃料タンク
１６への燃料補給中であることを表示する表示手段１０
２が、前記液晶表示部１を利用して設けられている。具
体的には、図４（ロ）に示すように、液晶表示部１の画
面に、“給油中”のメッセージを表示する。

【００３０】又、前記メータ用コントローラ７を利用し
て、前記判別手段１０３にて前記燃料タンク１６への燃
料補給中であることが判別された状態で、燃料タンク１
６内の燃料が満量状態になったことを判別するに伴って
前記満量警報手段１０１を作動させる警報制御手段１０
０が構成されている。具体的には、燃料センサＳ２の検
出値が最大検出値に達している時間が設定時間（例えば
２秒）以上継続したときに、燃料タンク１６内の燃料が
満量状態になったことを判別する。ここで、最大検出値
は、燃料センサＳ２の前記アーム１７ａがストッパー１
９に当たって上方側への回動が制限された状態で飽和し
た検出値であり、燃料タンク１６の燃料の容量よりも少
ない量に設定されている。

【００３１】以下、メータ用コントローラ７による制御
作動について、図５〜図８のフローチャートに基づいて
説明する。表示及び警報制御（図５）においては、先
ず、キースイッチＭＷの切換状態を検出して、オフ状態
のとき及びエンジン始動状態のときは、給油モードをオ
フする（解除する）とともに、前記液晶画面の“燃料満
タン”のメッセージを消して満量警報作動を停止させ
る。キースイッチＭＷがオン状態のときは、回転数セン
サＳ３にてエンジンＥが停止しているか否か（回転数が
５００ｒｐｍ未満であるか否か）を判別して、エンジン
Ｅが停止しているときは、さらにエンジン停止後設定時
間（２０秒）が経過しているか否かを判別して、エンジ
ン停止後設定時間（２０秒）が経過しているときだけ、
以下の処理を実行する。つまり、給油モードがオフの場
合には、給油中であるか否かを判断し、給油中でないと
きは、図４（イ）に示す「アワーメータ」を表示し、給
油中のときは、給油モードをオンしてから、図４（ロ）
に示すように給油中表示する。この「給油中表示」で
は、画面左端側にバーグラフ表示される燃料残量の表示
用セグメントの数を、通常の４個から８個に増加して拡
大表示するとともに、画面に“給油中”のメッセージを
表示する。一方、給油モードである場合には、給油モー
ドの解除条件を判断して、解除条件が判別されていれば
給油モードをオフする。そして、上記給油モードにおい
て、燃料タンク１６が満量状態であるか否かを判断し
て、満量状態のときは、図４（ハ）に示す“燃料満タ
ン”のメッセージを表示するとともに、警報ブザー８を
断続作動させる満量警報作動を実行する。

【００３２】尚、前記回転数センサＳ３にてエンジンＥ
が作動状態から停止状態に変化したことが検出された場
合には、そのエンジン停止後、設定時間（２０秒程度）
が経過した後にのみ、燃料補給中か否かの判別や、満量
警報作動を実行するようにして、例えばコンバインの走
行中に排ワラ詰まり等のためにエンジンＥが非常停止し
たときに、エンジン停止後しばらく時間を置いて、タン
ク１６内の燃料の液面状態が安定してから、上記各処理
を適切に行うようにしている。

【００３３】また、図６に示すように、燃料残量の検出
・表示処理が別の制御ルーチンで実行され、この残量検
出・表示処理では、燃料センサＳ２の検出値を設定時間
間隔（エンジン作動時は８０ｍｓ、エンジン停止時は２
０ｍｓ）でサンプリングし、そのサンプリングデータの
設定個数（エンジン作動時は８個、エンジン停止時は４
個）を単純平均処理して燃料残量値を求め、その燃料残
量値に対応する数の表示セグメントを点灯させる。

【００３４】又、上記給油中か否かを判断する給油判別
処理では、図７に示すように、前記残量検出処理にて求
めた燃料残量値が前の値よりも増加する状態がｍ回（例
えば３回）連続して、第１カウンターがカウントアップ
した後、これに続けて、上記燃料残量値が増加するか増
加も減少もしない定量状態のいずれかの状態がｎ回（例
えば１３回）連続して、第２カウンターがカウントアッ
プすると給油中であると判別される。ただし、上記ｎ回
の計数処理において燃料残量値が前の値よりも１回でも
減少すれば、上記第１及び第２カウンター値をリセット
して、燃料残量値が前の値よりも増加する状態がｍ回
（例えば３回）連続するかどうかの計数処理からやり直
す。つまり、液面の動揺等によって、誤って給油中と判
別されることを回避させている。

【００３５】同様に、給油モードの解除を判断する給油
モード解除判別処理では、図８に示すように、前記燃料
残量値が前の値よりも減少する状態がｍ’回（例えば３
回）連続して、第３カウンターがカウントアップした
後、これに続けて、上記燃料残量値が減少するか増加も
減少もしない定量状態のいずれかの状態がｎ’回（例え
ば１３回）連続して、第４カウンターがカウントアップ
すると、給油モードの解除条件であると判別される。た
だし、上記ｎ’回の計数処理において燃料残量値が前の
値よりも１回でも増加すれば、上記第３及び第４カウン
ター値をリセットして、燃料残量値が前の値よりも減少
する状態がｍ’回（例えば３回）連続するかどうかの計
数処理からやり直す。つまり、液面の動揺等によって、
誤って給油モードの解除が判別されることを回避させて
いる。

【００３６】又、上記満量状態か否かを判断する満量判
別処理では、図９に示すように、燃料センサＳ２の検出
値が最大検出値に達しているか、つまり前記残量検出処
理にて求めた各燃料残量値（２０ｍｓ間隔でサンプリン
グした４個のデータの平均値）が最大検出値に達してい
るか否かを判断して、燃料残量値が最大検出値に達して
いれば満量カウント値を１つ加算し、達していなければ
満量カウント値をクリアするようにして、満量カウント
値が設定値（２５）以上になって所定時間（２秒）以上
継続して最大検出値に達しているときに、満量状態を判
別する。

【００３７】一方、キースイッチＭＷがオン状態でエン
ジンＥが作動しているときは、給油モードをオフさせる
とともに、満量警報作動を停止させ（液晶画面の“燃料
満タン”のメッセージを消す）てから、刈取作業の作業
条件が成立しているか否かを判断し、作業条件が成立す
るまでは、図４（ニ）に示すように、画面右方向にバー
１ａが伸縮するバーグラフ式のエンジン回転表示を行い
（図中、１ｂはエンジンＥの定格回転数の位置を示すマ
ークであり、その定格回転数の値はメータ用コントロー
ラ７に記憶されている。）、作業条件が成立すると、図
４（ホ）に示すように、１から４までの数字で負荷の大
きさを表すエンジン負荷を表示する。ここで、作業条件
については、株元センサＳ１と脱穀スイッチＳ４がオン
状態で、且つ、中立スイッチＳ６と後進スイッチＳ７と
がオフ状態であって車速検出値が０．０５ｍ／ｓｅｃ以
上のときに、作業条件が成立していると判断する。又、
エンジン負荷は、定格回転数に調節した後の無負荷状態
での初期回転数からの回転数低下量によって、その低下
量が大きいほど負荷が大きいように判断する。

【００３８】〔別実施形態〕残量検出手段Ｓ２は、フロ
ート式のセンサ以外に、例えば、超音波式や光電式等の
センサでもよい。

【００３９】判別手段１０３が、残量検出手段Ｓ２にて
検出される燃料残量の増加状態に基づいて燃料タンク１
６への燃料補給中か否かを判別する場合の具体的な判別
構成は、上記実施例の構成に限るものではない。例え
ば、給油判別処理における燃料残量の検出値のサンプリ
ング間隔（８０ｍｓ）や、第１及び第２設定回数や、増
加側及び減少側設定値等の条件は適宜変更することがで
きる。

【００４０】表示手段１０２は、液晶表示部１の画面に
おいて、”給油中”のメッセージを表示するものに限ら
ず、例えば、別に設けた給油表示ランプを点灯作動させ
て、燃料補給中であることを表示するようにしてもよ
い。

【００４１】上記実施例では、判別手段１０３による燃
料補給中か否かの判別と、警報制御手段１００による満
量判別及びそれに基づく警報作動を、エンジンＥが作動
しているときにのみ実行し、エンジンＥが停止している
ときには実行しないようにしたが、例えば走行停止状態
でエンジンＥがアイドリング状態のときに、上記判別手
段１０３と、上記警報制御手段１００が動作するように
してもよい。

【００４２】上記実施例では、警報制御手段１００が、
残量検出手段Ｓ２が最大検出値に達している時間が設定
時間（２秒）継続したときに燃料タンク１６内の燃料の
満量状態を判別したが、これに限るものではなく、例え
ば、燃料タンク１６内の上部位置に、燃料が接触すると
オン作動する複数個の感知式センサを設けて、この複数
個の感知式センサが同時にオン作動したときに、満量状
態になったと判別する構成でもよい。

【００４３】満量警報手段１０１としては、ブザー等の
警報音によるもの以外に、例えば点滅作動する警報ラン
プ等でもよく、又、液晶表示部１の残量表示において、
表示画面に“燃料満タン”のメッセージを満量情報とし
て表示するものの外に、例えば残量表示のセグメント画
像を点滅させるようにしてもよい。

【００４４】作業車は、刈取作業用のコンバインに限ら
ず、これ以外の農作業車や、土木・建設用等の各種作業
車であってもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの側面図

【図２】表示パネルを示す平面図

【図３】制御構成を示すブロック図

【図４】稼働情報の表示内容を示す表示画面の図

【図５】制御作動のフローチャート

【図６】制御作動のフローチャート

【図７】制御作動のフローチャート

【図８】制御作動のフローチャート

【図９】制御作動のフローチャート

【符号の説明】

１６ 燃料タンク １００ 警報制御手段 １０１ 満量警報手段 １０２ 表示手段 １０３ 判別手段 Ｓ２ 残量検出手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ // Ｂ６０Ｋ 15/077 Ｂ６０Ｋ 15/02 Ｆ (72)発明者 高原 一浩 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (56)参考文献 特開 平６−34420（ＪＰ，Ａ) 実開 平３−125223（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G01F 23/00 - 25/00 A01D 41/12 F02M 37/00 301 B60K 15/077

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作業車に備えた燃料タンク内の燃料の残
   量を検出する残量検出手段と、 前記残量検出手段にて検出される燃料残量の増加状態に
   基づいて前記燃料タンクへの燃料補給中であるか否かを
   判別する判別手段とが設けられ、前記判別手段は、前記残量検出手段にて検出される燃料
   残量の検出値を設定時間間隔でサンプリングして、その
   サンプリングした検出値が前回の値よりも増加する増加
   状態が、第１設定回数連続した後、それに続けて、前記
   サンプリングした検出値が前回の値よりも増加する増加
   状態か増加も減少もしない定量状態かのいずれかの状態
   が第２設定回数連続したことを計数すると、前記燃料タ
   ンクへの燃料補給中であることを判別するように構成さ
   れ、 前記判別手段は、前記サンプリングした検出値が前記第
   １設定回数連続して前回の値から増加したことを計数し
   た後、前記増加状態か前記定量状態かのいずれかの状態
   が前記第２設定回数連続したことを計数するまでに、前
   記サンプリングした検出値が前回の値から減少した場合
   には、前記サンプリングした検出値が前記第１設定回数
   連続して前回の値から増加するか否かの計数処理から実
   行し直すように構成されている 作業車の給油判別装置。
2. 【請求項２】 前記判別手段は、前記サンプリングした
   検出値が前回の値から増加側に増加側設定値以上変化し
   たときに、その検出値が増加状態であると判別するとと
   もに、前記サンプリングした検出値が前回の値から減少
   側に減少側設定値以上変化したときに、その検出値が減
   少状態であると判別し、かつ、前記増加側設定値を前記
   減少側設定値よりも大に設定している請求項１記載の作
   業車の給油判別装置。
3. 【請求項３】 前記判別手段にて前記燃料補給中である
   ことが判別されているときに、前記燃料タンクへの燃料
   補給中であることを表示する表示手段が設けられている
   請求項１又は３記載の作業車の給油判別装置。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれか１項に記載の作
   業車の給油判別装置を備えた作業車の警報装置であっ
   て、 前記燃料タンク内の燃料が満量状態であることを警報す
   る満量警報手段と、 前記判別手段にて前記燃料補給中であることが判別され
   た状態で、前記燃料タンク内の燃料が満量状態になった
   ことを判別するに伴って前記満量警報手段を作動させる
   警報制御手段とが設けられている作業車の警報装置。