JP3376155B2 - 磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置 - Google Patents

磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置

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JP3376155B2
JP3376155B2 JP07432295A JP7432295A JP3376155B2 JP 3376155 B2 JP3376155 B2 JP 3376155B2 JP 07432295 A JP07432295 A JP 07432295A JP 7432295 A JP7432295 A JP 7432295A JP 3376155 B2 JP3376155 B2 JP 3376155B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば鋼板などの磁性
体からなる被搬送体を吸引式磁気浮上によって非接触で
搬送する磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、製鉄所の冷間圧延工程では、鋼
板加工装置間において鋼板を輸送するに当たり、通常、
搬送方向にローラを多数配置したローラ軌道を用いて反
そうする方法が採用されている。また、自動車工場等の
鋼板プレス工程では、一般的にプレス加工される鋼板を
台車やクレーンを用いてプレス加工装置まで搬送する方
法が採用されている。
【0003】しかしながら、ローラ軌道を用いる方法で
は、ローラ上にゴミ当が合った場合に、軌道を移動する
鋼板の表面に傷が付き易く、商品価値を著しく下げるお
それがあった。このため、ゴミ等がローラに付着しない
ように、常にローラを整備しなければならず、多大の労
力と費用を必要とする問題があった。また、台車やクレ
ーンによる方法では、鋼板の積み降ろしの際に傷が生じ
易いばかりか、移載に多くの時間を費やす問題があっ
た。
【0004】そこで、こうとた問題を解決すべく、最近
では様々な装置が開発され始めている。例えば、軌道に
電磁石を多数配置し、電磁石の下方を軌道に沿って移動
する鋼板の端部が電磁石に差し掛かろうとするところで
電磁石を次々に励磁していき、電磁石の吸引力を鋼板の
重量支持と鋼板への推力付与に使用する一方で、電磁石
と鋼板との間に設けられた圧縮空気の通路から鋼板側に
空気を噴き出して鋼板が電磁石に吸着されるのを防止す
るとともに、鋼板を非接触で支持する装置が開発されて
いる(日経メカニカル1989.6.12 )。
【0005】また、薄板鋼板を4つの電磁石で支持しよ
うとする研究(電気学会産業応用部門全国大会予稿集,
平1年7月,P915)や、鋼板を特殊形状の電磁石を用い
て非接触で案内しようとする装置も開発され始めている
(特開平2-270739号公報)。
【0006】しかし、これらの技術は、装置が複雑であ
ったり、搬送できる鋼板の寸法や重量の範囲が狭いなど
の理由により、多種多様の鋼板を長距離にわたって搬送
するには非常な困難が予想される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、鋼板を
傷付けることなく搬送する場合、機械的な接触を用いる
手段では、保守や搬送時の衝撃防止策に多大の労力と時
間とが必要となる。また、従来技術による非接触搬送手
段では、搬送できる鋼板の寸法や重量が限られていた
り、装置が複雑で長距離搬送を行うことが困難であるな
どの問題があった。
【0008】そこで本発明は、磁性体で形成された多種
多様の被搬送物を長距離にわたり非接触で搬送すること
ができ、かつ搬送ラインを容易に構築できる磁石軌道配
置式磁気浮上搬送装置を提供することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、被搬送体の搬送方向に沿って磁気力支持
系を備えた軌道を配置し、前記磁気力支持系の磁気吸引
力を制御して前記被搬送体を非接触支持するようにした
磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置において、前記軌道は
前記搬送方向に複数個配置された単位支持要素を含んで
構成されており、前記単位支持要素は、軌道枠と、電磁
石を含む複数の磁気支持ユニットと、前記軌道枠に対し
て前記磁気支持ユニットの上下方向の移動を許容すると
ともに、前記搬送方向にほぼ直交する方向における前記
被搬送体の傾斜角度を変化させる機能を有する取付手段
と、前記被搬送体が前記磁気ユニットの下方にあるとき
に前記各磁気支持ユニットの前記電磁石を制御して前記
被搬送体の鉛直運動についての浮上制御と前記被搬送体
のローリングについての浮上制御とを行なう吸引力制御
手段と、前記被搬送体の前記傾斜角度を制御する傾斜角
制御手段とを具備してなることを特徴としている。
【0010】
【作用】本発明によれば、単位支持要素ごとに鋼板の鉛
直運動についての浮上制御とローリングについての浮上
制御がなされ、また、取付手段により磁気支持ユニット
が上下に可動であることにより単位支持要素間の鋼鈑の
ピッチングを抑制することが可能となる。このため、鋼
板の全長のみならず鋼板の全幅が多種多様であっても鋼
板の上下動およびローリングを単位支持要素ごとで抑制
して安定に浮上させることができ、かつ取付手段により
鋼鈑のピッチングを安定にすることができる。したがっ
て、鋼板全体を非接触支持することが可能となる。
【0011】さらに、単位支持要素ごとに進行方向に対
する鋼板の左右方向の傾斜を制御して鋼板の案内を行う
と、磁気支持ユニットを傾けることにより鋼板に作用す
る案内力が鋼板の重量に比例し、鋼板の左右方向の加速
度が重量と無関係になることから、鋼板の重量の影響を
受けずに鋼板の案内制御を実現することができる。
【0012】このため、新たに案内手段を設ける必要が
なくなり、システム全体の構成が簡素化されるとともに
軌道単位長さ当たりの単位支持要素数を増大することが
でき、鋼板の重量や慣性モーメントが異なる場合でもそ
うした差異が各単位支持要素に分配されるので、個々の
単位支持要素の集合として形成される磁石軌道配置式磁
気浮上搬送装置全体としてより広範囲の重量および慣性
モーメントを持つ鋼板を非接触で支持および案内するこ
とが可能となる。また、一本の軌道で複数の鋼板の非接
触搬送が可能となる。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例を
説明する。図1乃至図3には本発明の一実施例に係る磁
石軌道配置式磁気浮上搬送装置が示されている。
【0014】図1は、本発明に係る磁石軌道配置式磁気
浮上搬送装置を示す斜視図である。3 は搬送経路に沿っ
て敷設され軌道を形成する単位支持要素、5 は推進手段
として軌道の要所要所に配置された単位推進要素であ
る。
【0015】単位支持要素3 は、ベース7 に両端が固定
されている逆U字形状の軌道枠9 、被搬送体である鋼板
Xを非接触支持するためにこれに磁気的な吸引力を作用
させる磁気支持ユニット11、軌道枠と磁気支持ユニット
11との間に介在し磁気支持ユニット11を軌道枠9 に取付
けるための取付手段13、単位支持要素3 に取付けられて
いる磁気支持ユニット11の吸引力を制御して鋼板Xを非
接触支持させる吸引力制御手段15より構成されている。
【0016】磁気支持ユニット11は、図2に示されるよ
うに、永久磁石17をコイルと鉄心からなる2つの電磁石
23で挟んで構成されており、2つのコイル19同士は同一
の励磁電流によりこれらの磁束が互いに強め合うよう直
列に接続されている。
【0017】取付手段13は、それぞれ軌道枠9 の上方下
面に所定間隔で溶接固定されている2つの台座25と、鋼
板Xの有無および左右移動量を非接触で検出するための
フィードモニタ27が高さ制御装置29および座台31を介し
て下面中央部に取り付けられているとともにガイド機構
33を介して上下方向にのみ動きが許容されるようにガイ
ドされている台板35と、吸引力制御手段15の一部であり
磁気支持ユニット11と鋼板Xとの間のギャップ長を測定
するために各磁気支持ユニット11の両側に配置されたギ
ャップセンサ37を磁気支持ユニット11とともに下面に備
える基台39a,39b と、基台39a,39b の上面に固定され、
台板35と基台39a,39b との間の距離を変化させることで
基台39a,39b それぞれの高さを調節する高さ調節機構41
とで構成されている。
【0018】なお、フィードモニタ27からは、鋼板Xが
存在しないことを検出した場合にはゼロが出力され、鋼
板Xが存在することを検出した場合にはゼロを初期値と
して検出時点からの移動量が出力される。
【0019】ガイド機構33は、台座25を貫き台座25の両
端部に固定されたリニアガイド43,43aと、下端が台板35
に固定されリニアガイド43で上下方向に移動自在に案内
される4本の棒材45と、各棒材45を取り巻き両端が台板
とリニアガイド43,43aに固定された弾性要素としてのコ
イルスプリング47と、上端が台座25の下面に固定される
とともに下端が台板35の上面に固定された非弾性要素と
しての2つのダンパ49とで構成されている。なお、リニ
アガイド43a は棒材45の移動距離測定器を兼ねている。
【0020】また、高さ調節機構41は、台板35を貫いて
固定される4つのリニアガイド43,43bと、下端が各基台
39a,39b に固定されリニアガイド43,43bで上下方向に自
由に動けるように案内される4本の棒材45と、上部が台
板35を貫いて固定され下端が基台39a,39b それぞれの上
面に固定される伸縮自在のアクチュエータ51とで構成さ
れている。
【0021】アクチュエータ51は、基台39a,39b の高さ
を所定値に制御するために、高さ制御装置29により伸縮
量が調節され、基台39a,39b の平均の高さおよび傾き角
が制御されてる。本実施例では、高さ調節機構41は、鋼
板Xの傾斜手段および高さ調節手段を兼ねている。な
お、リニアガイド43b は棒材45の移動距離測定器を兼ね
ている。
【0022】吸引力制御手段15は、図4に示すように、
単位支持要素3 ごとの各磁気支持ユニット11の左右に近
接し、それぞれの磁気支持ユニット11と鋼板Xとの間の
浮上ギャップ長を測定するギャップセンサ37(ギャップ
センサ37a,37b,37c,37d )、電磁石23の各コイル19に流
れる励磁電流を測定するための電流検出器53a,53b で構
成される浮上用センサ部55、浮上用センサ部55の出力信
号za 〜zd ,ia ,ib および高さ制御装置29より得
られる基台39a,39b の高さの所定の設定値からの平均偏
差信号Δzbsおよび基台39a,39b の傾き角Δθbsを入力
として鋼板Xを浮上させるのに必要な磁気支持ユニット
11毎の励磁電圧ea ,eb を計算する浮上用演算部57、
図示していない電源に接続され、浮上用演算部57の出力
ea ,eb に基づき各磁気支持ユニット11のコイル19を
励磁するパワーアンプ59a,59b より構成されている。
【0023】高さ制御装置29は、図5に示すように、リ
ニアガイド43a,43b およびフィードモニタ27で構成され
る高さ調節用センサ部61、高さ調節用センサ部61の出力
信号、吸引力制御手段15から得られる浮上ギャップ長の
所定の設定値からの変位信号Δzおよび鋼板Xの検出信
号TFを入力として浮上時の鋼板Xの高さを所定の値に保
つとともに鋼板Xの左右位置に変動が生じた場合に基台
39a,39b の作る傾き角を調節して鋼板Xを案内するため
に基台39a,39b それぞれのアクチュエータ51のモータ駆
動電流ida ,idb を計算する高さ調節用演算部63、
図示しない電源に接続され、高さ調節用演算部63の出力
ida ,idb に基づきアクチュエータ51のモータを駆
動する電流ドライバ65a,65b より構成されている。この
ように、高さ制御装置29は、鋼板Xの高さを一定に制御
する高さ制御手段と鋼板Xの傾きを制御する傾斜角制御
手段を兼ねている。
【0024】浮上用演算部57は、例えば、メインコンピ
ュータにより設定される所定の設定値を出力する浮上ギ
ャプ長設定器67、浮上ギャップ電流設定器69、浮上ギャ
ップ長設定値をギャップセンサ37a 〜37d の出力値za
〜zd から減算するための減算器71a 〜71d 、電流設定
値を電流検出器53a,53b の出力値ia ,ib から減算す
る減算器73a,73b 、ギャップセンサ37a 〜37d の出力値
za 〜zd から磁気支持ユニット11下方位置での鋼板X
の有無を検出する鋼鈑検出回路75、減算器71a〜71d の
出力値から鋼板Xの単位支持要素3 に重なる部分の重心
座標の所定位置からの偏差Δz並びに鋼板Xの同部分の
ロール角Δθを得るための浮上ギャップ長偏差座標変換
回路77、鋼板Xの単位支持要素3 に重なる部分の重心の
上下動に寄与するコイル励磁電流Δiz並びに鋼板Xの
同部分のローリングに寄与するコイル励磁電流Δiθを
得るための励磁電流偏差座標変換回路79、浮上ギャップ
長偏差座標変換回路77および励磁電流偏差座標変換回路
79の出力Δz,Δizに加え、基台39a,39b の所定高さ
からの平均偏差を表す高さ制御装置29からの信号Δzb
s を入力として、鋼板Xの単位支持要素3 に重なる部分
の重心の上下動に寄与するコイル励磁電圧ezを演算す
る上下動モード制御電圧演算回路81、並びに浮上ギャッ
プ長偏差座標変換回路77および励磁電流偏差座標変換回
路79の出力Δθ,Δiθを入力として、鋼板Xの単位支
持要素に重なる部分のローリングに寄与するコイル励磁
電圧eθを演算するロールモード制御電圧演算回路83を
備えた制御電圧演算回路85、制御電圧演算回路85の出力
ez,eθならびに鋼鈑検出回路の検出信号TFを入力と
して、磁気支持ユニット11の下方に鋼板Xが存在すると
きにそれぞれの磁気支持ユニット11を励磁する励磁電圧
ea,ebを演算する制御電圧座標逆変換回路87とで構
成されている。
【0025】なお、制御電圧座標逆変換回路87では、鋼
鈑検出信号TFが無から有に変わると、所定時間t1 後に
0,0からea ,eb へと切り替えが行われる。さら
に、外的要因により、鋼板Xのローリングが阻害されて
いる場合には、図示していない適当な手段によりロール
モード制御電圧演算回路83の出力eθはゼロになる。
【0026】高さ調節用演算部63は、例えば、メインコ
ンピュータにより設定される複数の所定の設定値を吸引
力制御手段15からの鋼鈑検出信号TFに基づいて選択的に
出力する基台高さ長設定器89と、基台高さ設定値をリニ
アガイド43a および基台39aに属するリニアガイド43b
の出力値ha ,hb の和から減算するための演算器91a
と、基台高さ設定値をリニアガイド43a および基台39b
に属するリニアガイド43b の出力値ha ,hb の和から
減算するための演算器91b と、演算器91a,91bの出力Δ
zbsa,Δzbsbを入力として基台39a,39b のそれぞれ
の高さについての所定の設定値からの偏差を平均して得
られる平均偏差Δzbsおよび基台39a,39b の作る傾き角
Δθbsを出力する基台高さ座標変換回路93と、図示しな
いメインコンピュータにより無線で設定される鋼板Xの
左右の案内位置に関する設定値を出力する案内位置設定
器95と、案内位置設定器95の出力値をフィードモニタ27
の出力値ybsから減算するための減算器97と、減算器97
の出力Δybsを入力としてこの値に基づいて鋼板Xを左
右方向に案内するための基台39a,39b の作る傾き角−Δ
θbcを演算し、鋼板検出信号TFが無の時は出力が0、TF
が無から有に変わると所定時間t2 後に−Δθbcを出力
する案内傾き角演算回路99と、吸引力制御手段15からの
偏差Δzおよび鋼鈑検出信号TFを入力として磁気支持ユ
ニット11の下方で鋼板Xが浮上しているときにΔz、そ
うでないときに0を出力する切換器101 と、基台高さ座
標変換回路93の出力Δzbsと切換器101 の出力を加算す
る加算器103 と、同Δθbsから案内傾き角演算回路99の
出力−Δθbcを減算する減算器105 と、加算器103 の出
力から基台39a,39b の平均高さに係わるアクチュエータ
51のモータ駆動電流izbsを演算する高さモード励磁電
流演算回路107 および減算器105 の出力から基台39a,39
b の作る傾きに係わるアクチュエータ51のモータ駆動電
流iθbsを演算する傾きモード励磁電流演算回路109 か
ら成る励磁電流演算回路111 、励磁電流演算回路111 の
出力izbsおよびiθbsを入力として基台39a,39b それ
ぞれのアクチュエータ51の伸縮を制御する制御電流値i
da ,idb を出力する基台高さ制御電流座標逆変換回
路113 とで構成されている。なお、切換器101 では、鋼
鈑検出信号TFが無から有に変わると、所定時間t2 後に
0からΔzへと切換が行われる。
【0027】単位推進要素5 は、図3に示すように、構
成要素の一部が単位支持要素3 と同一であるため、同一
構成要素には同一符号を付して重複する説明は省略す
る。単位推進要素5 においては、軌道枠9 は一枚のベー
ス115 に固定されている。ベース115 上面には、推進手
段として鋼板Xに推進力を非接触で付与するための2つ
のリニア誘導電動機の固定子117a,117b が配置されてい
る。固定子117a,117b は、十字状基台119 の上面にそれ
ぞれ固定されており、固定子117a,117b を上下方向に案
内するために基台119 を貫いて固定されたリニアガイド
121,121a、リニアガイド121,121aにガイドされ、下端が
ベース115 の上面に固定された棒材123 および上端を基
台119 の下面に、下端をベース115 の上面に固定され、
基台119 の前後端部に配置されたアクチュエータ125 を
介してベース115 に取り付けられている。
【0028】2つの基台119 の内側翼部上面には、鋼板
Xと固定子117a,117b 間のギャップ長を検出するギャッ
プセンサ127 がそれぞれ取り付けられている。すなわ
ち、ベース115 、リニアガイド121,104aおよびアクチュ
エータ125 は固定子117a,117bの高さ調節機構129a,129b
を構成している。なお、リニアガイド121aは棒材123の
移動距離測定器を兼ねている。
【0029】また、取付手段13の基台39に替えて2つの
十字状基台119 を左右のアクチュエータ51の下端および
リニアガイド43,43bを通る棒材45の下端に固定して取付
手段131 が構成されている。ここで、取付手段131 にお
いてはダンパ49の減衰率は無限大になっており、台板35
は軌道枠9 に対して固定されている。さらに、推進手段
として鋼板Xに推進力を非接触で付与するために、取付
手段131 の基台119 の下面には、固定子117a,117b にそ
れぞれ対向するようにリニア誘導電動機の固定子133a,1
33b が取り付けられている。
【0030】取付手段131 の台板35の中央部両側には支
持板135 が固着されており、鋼板Xの有無および鋼板X
のヨーイング検出手段として左右移動量を非接触で検出
するためのフィードモニタ27a,27b が推力制御装置137
、高さ制御装置139 および座台31を介して先端部下方
に取り付けられている。一方、取付手段131 の十字状基
台119 の左右両端には、鋼板Xと固定子133a,133b 間の
ギャップ長を検出するギャップセンサ141 が内側に2
個、鋼板Xの有無および軌道に沿った移動量を非接触で
検出するためのフィードモニタ143a,143b が外側に取り
付けられている。すなわち、台板35を貫いて固定される
2つのリニアガイド43,43b、下端が基台119に固定され
リニアガイド43,43bで上下方向に自由に動けるように案
内される2本の棒材45、上部が台板35を貫いて固定され
下端が基台119 の上面に固定される伸縮自在のアクチュ
エータ51により、固定子133a,133b のそれぞれの高さを
調節できる高さ調節機構145a,145b が構成されている。
【0031】アクチュエータ125 およびアクチュエータ
51においては、固定子117a,117b および固定子133a,133
b のそれぞれの高さを所定値に制御するために、高さ制
御装置139 により伸縮量が制御されている。ここで、フ
ィードモニタ27a,27b およびフィードモニタ143a,143b
においては、フィードモニタ27と同様に、鋼板Xが存在
しないことを検出した場合にはゼロが出力され、鋼板X
が存在することを検出した場合にはゼロを初期値として
検出時点からの移動量が出力される。
【0032】図6に推力制御装置137 のブロック構成を
示す。推力制御装置137 は、固定子133a,133b の下方に
ある鋼板Xの左右の移動量ya ,yb を検出して出力す
るとともに鋼板Xの有無検出信号TFを出力するフィード
モニタ27a,27b および下方にある鋼板Xの軌道に沿った
移動量xa ,xb を検出して出力するとともに鋼板Xの
有無検出信号TFを出力するフィードモニタ143a,143b で
構成される推進用センサ部147 、推進用センサ部147 の
出力xa ,xb ,ya ,yb および4つのTFを入力と
し、これらに基づいて、固定子117aおよび固定子133aを
励磁するための励磁周波数ωa 、固定子117bおよび固定
子133bを励磁するための励磁周波数ωb を演算するため
の推進力演算手段149 、図示していない三相電源に接続
され、推進力演算手段149 の出力ωa に基づいて固定子
117aおよび固定子133aを励磁する三相のインバータ151
a、同じく固定子117bおよび固定子133bを励磁する三相
のインバータ151bにより構成されている。
【0033】本実施例では、インバータ151a,151b が励
磁手段となっている。また、固定子117aおよび固定子13
3a、固定子117bおよび固定子133bは、互いに向き合う固
定子間に図7に示すような移動磁界が発生するように結
線されている。
【0034】推進力演算手段149 は、推進用センサ部14
7 の出力xa ,xb からそれぞれの移動速度を演算する
ための微分器153 と、微分器153 の速度出力va ,vb
から鋼板Xの単位推進要素5 に重なる部分の重心の移動
速度vx を得るための鋼板速度座標変換回路155 と、推
進用センサ部147 の出力ya ,yb から鋼板Xの単位推
進要素5 に重なる部分の重心回りのヨー角ψを得るため
のヨー方向座標変換回路157 と、4つの鋼板Xの有無検
出信号TFのANDを計算するためのAND回路159 と、
例えば、メインコンピュータにより設定される所定の設
定値を出力する鋼板速度設定器161 およびヨー角設定器
163 と、鋼板速度座標変換回路155 の出力vx から鋼板
速度設定器161 の設定値を減算し、速度偏差Δvx を出
力する減算器165 と、ヨー方向座標変換回路157 の出力
ψからヨー角設定器163 の設定値を減算し、ヨー角偏差
Δψを出力する減算器167 と、減算器165 の出力Δvx
に基づいて鋼板Xの単位推進要素5 に重なる部分の重心
移動速度に係わるインバータ151a,151b の励磁周波数ω
zを演算する速度モード励磁周波数演算回路169 を備え
る。
【0035】また、鋼板Xの単位推進要素5 に重なる部
分の重心回りのヨーイングに係わるインバータ151a,151
b の励磁周波数ωθを演算するヨーモード励磁周波数演
算回路171 を備えた励磁周波数演算回路173 と、励磁周
波数演算回路173 の出力ωz,ωθならびにAND回路
159 の検出信号TFを入力として、固定子133a,133b の下
方に鋼板Xが存在する場合に固定子117aと固定子133aを
励磁するインバータ151aの励磁周波数ωaを演算すると
ともに、同じく固定子133a,133b の下方に鋼板Xが存在
する場合に固定子117bと固定子133bを励磁するインバー
タ151bの励磁周波数ωbを演算する励磁周波数座標逆変
換回路175 とで構成されている。
【0036】ここで、AND回路159 の検出信号TFはフ
ィードモニタ27a,27b およびフィードモニタ143a,143b
に戻されており、AND回路159 が鋼板Xの存在するこ
とを検出した時点で、フィードモニタ27a,27b およびフ
ィードモニタ143a,143b にリセットがかかり、その時点
からの鋼板Xの移動量が測定される。
【0037】高さ制御装置139 は、4つの固定子117a,1
17b および固定子133a,133b の個々の高さを個別に制御
する同一構成の4つのブロックに分かれている。図8に
高さ制御装置139 の1つのブロック構成を示す。高さ制
御装置139 の1つのブロックは、ギャップセンサ141 も
しくはギャップセンサ127 およびリニアガイド121aもし
くはリニアガイド43b で構成され、ギャップセンサ127
もしくはギャップセンサ141 の出力値hを出力するとと
もにリニアガイド121aもしくはリニアガイド43b の出力
値lを出力する高さ調節用センサ部177 と、高さ調節用
センサ部177 の出力信号h,lおよび推力制御装置137
から得られる鋼板Xの検出信号TFを入力として鋼板Xと
固定子133a,133b および固定子117a,117b 間のそれぞれ
のギャップ長を所定の値に保つためにアクチュエータ51
もしくはアクチュエータ125 のモータ駆動電流idtを計
算する高さ調節用演算部179 と、図示しない電源に接続
され、高さ調節用演算部179 の出力idtに基づきアクチ
ュエータ51もしくはアクチュエータ125 のモータを駆動
する電流ドライバ181 とから構成されている。
【0038】高さ調節用演算部179 は、例えば、メイン
コンピュータにより設定される複数の所定の設定値を推
力制御装置137 からの鋼鈑検出信号TFに基づいて選択的
に出力する固定子ギャップ長設定器183 と、ギャップセ
ンサ127,141 の出力h、リニアガイド121a,43bの出力l
および鋼鈑検出信号TFを入力として固定子133a,133bの
下方に鋼板Xが存在するときにh、存在しないときにl
を出力する切換器185と、切換器185 の出力から固定子
ギャップ長設定器183 の出力を減算する減算器187 と、
固定子と鋼板X間のギャップ長の所定値からの偏差を表
す減算器187 の出力Δhから固定子と鋼板X間のギャッ
プ長を所定の値に保つためにアクチュエータ51のモータ
駆動電流idtを計算する励磁電流演算回路189 とで構成
されている。
【0039】次に、上記のように構成された本実施例に
係る磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置の動作を説明す
る。いま、冷間圧延機のローラ出口の近傍を始点として
本実施例に係る磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置が搬送
経路に沿って敷設されている状態が図9に示されてい
る。
【0040】図9において191 は冷間圧延機のローラで
ある。各単位支持要素3 において、鋼板Xが磁気支持ユ
ニット11の下方に存在しない場合にはギャップセンサ37
a 〜37d の出力値が大きいため鋼鈑検出回路75が鋼板X
の存在しないことを検出する。そして、検出信号TFFに
より鋼板Xの存在しないことを制御電圧座標逆変換回路
87に伝える。そして、励磁電圧ea ,eb の代わりにゼ
ロが出力されるため、なんらの浮上制御も行われない。
このとき、高さ制御装置29にも検出信号TFが伝達される
ため、切換器101 ではゼロが選択されるとともに基台高
さ長設定器89においては鋼板Xが存在するときの設定値
よりも小さい値が選択される。
【0041】リニアガイド43a,43b の出力ha ,hb の
和は基台39の高さを表し、演算器91a,91b においてha
,hb の和から基台高さ長設定器89の設定値が減算さ
れる。すると、基台39a,39b が所定値にない場合には、
高さ制御装置29の基台高さ座標変換回路93に演算器91a,
91b の出力Δzbsa,Δzbsbが導入される。
【0042】また、下方に鋼板Xが存在しないため、フ
ィードモニタ27の出力がゼロとなるとともに、吸引力制
御手段15より鋼板Xのないことを示す検出信号TFが伝達
されるので、案内傾き角演算回路99の出力もゼロとな
る。
【0043】基台高さ座標変換回路93では、Δzbsa,
Δzbsbに基づいて基台39a,39b の平均高さと傾きとが
計算され、Δzbs およびΔθbs が出力される。励磁
電流演算回路111 においては、Δzbs およびΔθbs
がゼロに収束するようにida,idbが演算され、電流ド
ライバ65a,65b によりアクチュエータ51のモータが駆動
される。これにより、基台39a,39b は水平な位置関係を
保ちながら鋼板Xが存在するときよりも高い位置にセッ
トされる。このように基台39a,39bが高い位置にセット
されると、鋼板Xが当該単位支持要素3 に浮上しながら
到達しても磁気支持ユニット11に鋼板Xが接触すること
がないばかりか、磁気支持ユニット11と鋼板X間に十分
なギャップ長が確保できるので永久磁石17の吸引力で鋼
板Xが吸着されることもない。
【0044】各単位推進要素5 の高さ制御装置139 にお
いても、AND回路159 の検出信号TFにより鋼板Xの存
在しないことが固定子ギャップ長設定器183 および切換
器185 に伝達される。これにより、固定子ギャップ長設
定器183 では鋼板Xが存在するときより小さい値が選択
されるとともに切換器185 においては、リニアガイド43
b,121aの出力lが選択される。すると、lが設定値と同
じでない場合には励磁電流演算回路189 にΔhが導入さ
れ、Δhがゼロに収束するようにidtが演算され、電流
ドライバ181 によりアクチュエータ51,125のモータが駆
動される。これにより、固定子133a,133b は鋼板Xが存
在するときより上方に、固定子117a,117b は下方にセッ
トされ、当該単位推進要素5 に鋼板Xが浮上しながら到
達しても各固定子が鋼板Xが接触することがない。
【0045】また、AND回路159 の検出信号TFにより
鋼板Xの存在しないことが推力制御装置137 の励磁周波
数座標逆変換回路175 にも伝達されるため、これらの出
力ωa,ωbの代わりにゼロが出力され各固定子が励磁
されることもない。
【0046】鋼板Xが単位支持要素3 の磁気支持ユニッ
ト11の下方に到達すると、ギャップセンサ37a 〜37d の
出力値が所定値より小さくなるため鋼鈑検出回路75が鋼
板Xのあることを検出する。そして、鋼板Xが単位支持
要素3 の磁気支持ユニット11の下方に到達したことは検
出信号TFにより高さ制御装置29の基台高さ長設定器89お
よび切換器101 に伝達される。すると、基台高さ長設定
器89においては鋼板Xが存在するときの設定値が選択さ
れる。
【0047】演算器91a,91b では、リニアガイド43a,43
b の出力ha ,hb の和から基台高さ長設定器89の設定
値が減算され、Δzbsa,Δzbsbが出力される。基台
39a,39b が設定値にない場合には、ゼロを選択する切換
器101 の出力とΔzbs が加算器103 で加算され、高さ
モード励磁電流演算回路107 に基台高さ座標変換回路93
の出力Δzbs が導入される。
【0048】一方、フィードモニタ27が鋼板Xを検出し
て移動量ybsの出力が開始される。減算器97では、ybs
から案内位置設定器95のゼロ設定値出力が減算され、Δ
ybsが出力される。このとき、所定時間t2 が経過して
いなければ案内傾き角演算回路99はゼロを出力する。こ
のため、案内傾き角演算回路99のゼロ出力とΔθbsが減
算器105 で減算され、傾きモード励磁電流演算回路109
に基台高さ座標変換回路93の出力Δθbsが導入される。
【0049】励磁電流演算回路では、Δzbs およびΔ
θbs がゼロに収束するようにizbs,iθbsが演算さ
れ、基台高さ制御電流座標逆変換回路113 の出力ida,
idbに基づいて電流ドライバ65a,65b がアクチュエータ
51のモータを駆動する。これにより、基台39a,39b は鋼
板Xが存在するときの設定高さにセットされる。このと
き、基台高さ座標変換回路93の出力Δzbsは吸引力制御
手段15の上下動モード制御電圧演算回路81にも導入され
る。
【0050】一方、鋼鈑検出回路75の鋼板検出信号TFは
制御電圧座標逆変換回路87にも伝えられ、基台39a,39b
が設定高さにセットされた後、つまり、検出信号TFを受
けてから所定時間t1 後に励磁電圧ea ,eb が出力さ
れ浮上制御が開始される。浮上制御においては、ギャッ
プセンサ37a 〜37d の出力値za ,zb ,zc ,zdが
減算器71a 〜71d により浮上ギャプ長設定器67の出力か
ら減算され減算結果が浮上ギャップ長偏差座標変換回路
に導入されて鋼板Xの単位支持要素に重なる部分の重心
座標の所定位置からの偏差Δzならびに鋼板Xの同部分
のロール角Δθが演算されるとともに電流検出器53a,53
b により検出された電磁石23の励磁電流測定値ia ,i
b が減算器73a,73b により電流設定器69のゼロ出力から
減算され減算結果が励磁電流偏差座標変換回路79に導入
されて鋼板Xの単位支持要素3 に重なる部分の重心の上
下動に寄与するコイル励磁電流Δiz ならびに鋼板Xの
同部分のローリングに寄与するコイル励磁電流Δiθが
演算される。
【0051】Δz,Δθ,Δiz,ΔiθのうちΔzお
よびΔizは基台高さ座標変換回路93の出力Δzbs と
ともに上下動モード制御電圧演算回路81に導入され、鋼
板Xの単位支持要素3 に重なる部分の重心の上下動に寄
与するコイル励磁電圧ez が演算される。ez の演算に
際しては鋼板Xの定常浮上状態においてΔizがゼロに
収束するいわゆるゼロパワー制御が行われる。
【0052】一方、Δθ,Δiθはロールモード制御電
圧演算回路83に導入され、鋼板Xの同部分のローリング
に寄与するコイル励磁電圧eθが演算される。eθの演
算に際しても鋼板Xの定常浮上状態においてΔiθがゼ
ロに収束するいわゆるゼロパワー制御が行われる。
【0053】制御電圧演算回路85の出力ez,eθは制
御電圧座標逆変換回路87に導入され、それぞれの電磁石
23の励磁電圧ea ,eb が演算される。この浮上制御に
より、鋼板Xの定常浮上状態においてia ,ib がゼロ
に収束するいわゆるゼロパワー制御(特開昭61-102105
号公報)が全体として達成される。
【0054】このように、鋼板Xの単位支持要素3 に重
なる部分の重心の上下動に寄与する浮上制御と鋼板Xの
同部分のローリングに寄与する浮上制御をモード毎に行
うと、それぞれのモードで浮上制御系の設計が可能とな
るため、鋼板Xの単位長さあたりの重量変化や材質、厚
みの変化に対してロバストな浮上制御を行うことができ
る。また、浮上制御が定常浮上状態に至るまでの間に、
コイルスプリング47およびダンパ49に鋼板Xの重量が負
荷され、リニアガイド43a の出力ha が変動しても、高
さ制御装置29において基台39a,39b を設定高さに維持す
べく高さ制御が行われるとともに、高さ制御に伴うΔz
bs ,Δθbs の変動が制御電圧演算回路85に導入され
るので安定な浮上制御が実現できる。
【0055】さらに、ゼロパワー制御により鋼板Xを安
定に浮上させると、磁気支持ユニット11と鋼板Xとの浮
上ギャップ長は永久磁石17の吸引力と鋼板Xの負荷重量
が釣り合う長さとなる。このときの浮上ギャップ長が浮
上ギャプ長設定器67の出力値と異なると浮上ギャップ長
偏差座標変換回路77においてΔzが出力される。この出
力は、高さ制御装置29の切換器101 に導入されており、
鋼鈑検出回路75の鋼板検出信号TFを受けてから鋼板Xが
ほぼ安定に浮上するまでの所定時間t2 後に切換器101
より出力される。これにより、高さ制御装置の加算器で
はΔzbs +Δzが出力されるので基台39a,39b は所定
高さよりもΔzだけ高い位置に移動する。
【0056】さらに、鋼鈑検出回路75の鋼板検出信号TF
を受けてから鋼板Xがほぼ安定に浮上するまでの所定時
間t2 後には、案内傾き角演算回路99が出力を開始す
る。このとき、鋼板Xが図10(a) に示すように、軌道中
央に対して左右いずれかの方向に偏っていれば、左右移
動量がフィードモニタ27に検出され、減算器97を介し
て、Δybs が案内傾き角演算回路99に導入される。案
内傾き角演算回路99では、Δybs をゼロに収束させる
べき基台39a,39b の傾き角が演算され、減算器105を介
して傾きモード励磁電流演算回路109 にはΔθbs +Δ
θbc が導入される。このため、図10(b) にも示すよう
に基台39a,39b は−Δθbc の傾き角を作るように上下
に移動し、鋼板XにはΔybs を打ち消す方向の力が作
用する。これにより、Δybs がゼロに収束し、鋼板X
は案内位置設定器95の案内位置設定値に応じた位置に保
たれる。
【0057】このような動作により、鋼板Xは単位支持
要素3 が支持する単位長さあたりの重量が変化してもそ
の上面が常に一定高さで浮上するとともに鋼板Xに横方
向の外力が作用しても横揺れが速やかに減衰し、軌道に
沿って安定な状態を保ちながら搬送される。
【0058】ここで、鋼板Xの厚みデータを考慮した上
でメインコンピュータにより浮上ギャップ長設定値を設
定すれば、鋼板Xの厚み中心位置を常に一定高さで浮上
させることが可能なことは言うまでもない。このように
鋼板の浮上高さが一定であると、他の装置との寸法的取
り合いが容易になるだけでなく、鋼板Xが新たに到達す
る単位支持要素3 で浮上制御開始時の磁気支持ユニット
11と鋼板X間のギャップ長初期値が個々の単位支持要素
3 で同じになるため、すでに鋼板Xを支持している単位
支持要素3 に加わる浮上制御開始時の衝撃を同じにする
ことができ、この衝撃を吸収するための吸引力制御手段
15の制御系設計が容易になるという利点がある。
【0059】また、鋼板Xの鋼板の左右位置を考慮した
上でメインコンピュータにより案内位置設定値を設定す
れば、鋼板Xを横方向に所定の偏差を持たせながら搬送
することが可能になり、軌道中に、所定位置から外れて
設置された単位支持要素3 が存在しても設置位置の誤差
分の案内位置設定値を設定すれば、鋼板Xに余計な案内
力を作用させることが無く、滑らかな搬送が実現できる
という利点がある。
【0060】さらに、本実施例では、浮上制御にゼロパ
ワー制御を用いているが、こうしたゼロパワー制御で鋼
板Xを非接触支持すると、鋼板Xの偏りによって負荷の
増加した磁気支持ユニット11の浮上ギャップ長が減少す
るため、鋼板Xの前後左右の位置ずれに対して、これを
元に戻す方向に鋼板が傾斜して案内制御の効果がさらに
付与される。つまり、吸引力制御手段が傾斜角制御手段
を兼ねていることになる。
【0061】鋼板Xが単位支持要素3 を通過し終える
と、ギャップセンサ37a 〜37d の出力値が大きくなるた
め鋼鈑検出回路75が鋼板の存在しないことを検出する。
すると、前述の鋼板Xが磁気支持ユニット11の下方にな
い場合の動作により、単位支持要素3 の浮上制御が停止
するとともに鋼板Xが存在するときよりも高い位置に基
台39a,39b がセットされ、次の鋼板が到達するまでこの
状態を維持することになる。
【0062】単位支持要素3 で非接触支持された鋼板X
は単位推進要素5 により移動し、鋼板Xが到達したすべ
ての単位支持要素3 で次々に前述の浮上制御と高さ制御
が開始される。このとき、弾性により鋼板Xに進行方向
に沿った上下方向のたわみが生じることがある。このた
わみは、個々の単位支持要素3 においては上下方向の外
乱となり、隣り合う2つの単位支持要素3 においては、
これらで支持される鋼板部分のピッチングとなる。
【0063】各単位支持要素3 の吸引力制御手段15で
は、上下動モード制御電圧演算回路81、ロールモード制
御電圧演算回路83により鋼板Xの重心の上下動とローリ
ングに関して浮上制御がなされているが、取付手段13の
コイルスプリング47およびダンパ49のそれぞれのバネ定
数ならびに減衰率を適当な値に設定すると鋼板Xのピッ
チングの収束を早めることが可能になる。本実施例で
は、鋼板Xのピッチングの収束を早めることで鋼板Xの
たわみを効果的に抑制している。つまり、取付手段13の
コイルスプリング47およびダンパ49で鋼板Xのピッチ方
向の浮上制御が行われている。したがって、鋼板X全体
が安定に浮上する。
【0064】なお、鋼板Xが、図10に示すように、冷間
圧延機のローラ等により、鋼板Xのローリングが阻害さ
れている場合には、図示していない適当な手段によりロ
ールモード制御電圧演算回路83の出力eθはゼロにな
る。
【0065】各単位推進要素5 において、鋼板Xが固定
子133a,133b の下方に到達するとフィードモニタ27a,27
b,143a,143b 全てが鋼板Xの存在することを検出して鋼
板検出信号TFを出力する。そして、鋼板Xが固定子133
a,133b の下方に到達したことは推力制御装置137 のA
ND回路159 を介して固定子ギャップ長設定器183 およ
び切換器185 に伝達されるとともにフィードモニタ27a,
27b,143a,143b にフィードバックされる。
【0066】各固定子117a,117b,133a,133b の高さを調
節する高さ調節機構129a,129b,145a,145b は同一構成の
4ブロックで構成される高さ制御装置139 により制御さ
れるので、高さ調節機構145aを例として以下にその動作
を説明する。
【0067】固定子ギャップ長設定器183 において、鋼
板検出信号TFにより鋼板Xの存在することが伝達される
と、固定子133aと鋼板X間のギャップ長設定値が選択さ
れるとともに切換器185 においては、ギャップセンサ14
1 の出力hが選択される。すると、hが設定値と同じで
ない場合には励磁電流演算回路189 にΔhが導入され、
Δhがゼロに収束するようにidtが演算され、電流ドラ
イバ181 によりアクチュエータ51のモータが駆動され
る。これにより、固定子133aと鋼板X間のギャップ長は
常に設定値に保たれる。
【0068】以上の動作は高さ調節機構129a,129b,145b
においても同様であり、各固定子117a,117b,133a,133b
と鋼板X間のギャップ長は互いに独立に常に設定値に保
たれる。
【0069】このように、単位推進要素5 において各固
定子が鋼板に対して常に一定のギャップ長を維持する
と、鋼板Xにねじれや歪みなどの変形がある場合の他、
単位支持要素3 が基台39a,39b の作る傾き角により鋼板
の案内制御を行う場合でも、各固定子が鋼板Xに接触す
ることがない。また、鋼板に付与する推進力を各固定子
の励磁周波数のみに依存させることができ、推進力制御
がより簡単なものとなる。
【0070】一方、単位推進要素5 において、鋼板Xの
存在することがAND回路159 を介して励磁周波数座標
逆変換回路175 に伝達されると、鋼板Xの移動速度を所
定値に保つとともに鋼板Xのヨーイングを減衰させるた
めの推力制御が開始される。また、鋼板のあることがA
ND回路159 を介してフィードモニタ27a,27b,143a,143
b にフィードバックされると、これらフィードバックモ
ニタの出力がリセットされ、新たに初期値をゼロとして
鋼板Xの前後左右方向の移動量検出が開始される。
【0071】推力制御においては、フィードモニタ143
a,143b の出力値xa ,xb が微分器153 により微分さ
れ鋼板速度座標変換回路155 において微分結果の平均値
を演算することで鋼板Xの単位推進要素5 に重なる部分
の重心の移動速度vx が出力される。
【0072】減算器165 は、移動速度vx から鋼板速度
設定器161 の出力、つまり、メインコンピュータにより
設定された速度設定値を減算して、速度偏差Δvx を出
力する。速度偏差Δvx は速度モード励磁周波数演算回
路169 に導入され鋼板Xの単位推進要素5 に重なる部分
の重心移動速度に係わるインバータ151a,136b の励磁周
波数ωzが出力される。
【0073】また、フィードモニタ27a,27b の出力値y
a ,yb がヨー方向座標変換回路157 に導入されて鋼板
Xの単位推進要素5 に重なる部分の重心回りのヨー角ψ
が演算される。ヨー方向座標変換回路157 の出力ψは減
算器167 によりメインコンピュータにより設定されたヨ
ー角設定器163 のゼロ出力と比較され、ヨー角偏差Δψ
が減算器167 より出力される。ヨー角偏差Δψはヨーモ
ード励磁周波数演算回路171 に導入されて鋼板Xの単位
推進要素5 に重なる部分の重心回りのヨーイングに係る
インバータ151a,151b の励磁周波数ωθが出力される。
【0074】励磁周波数演算回路173 の出力ωz,ωθ
は励磁周波数座標逆変換回路175 に導入され、固定子11
7aと固定子133aを励磁するインバータ151aの励磁周波数
ωaをωa=ωz+ωθ/ 2に基づいて演算するととも
に、固定子117bと固定子133bを励磁するインバータ151b
の励磁周波数ωbをωb=ωz−ωθ/ 2に基づいて演
算する。このため、鋼板Xの移動速度が設定値より小さ
ければ4つの固定子117a,117b,133a,133b は鋼板Xを加
速するように励磁され、ヨー角が生じれば固定子117a,1
33a が減速方向に、固定子117b,133b が加速方向に励磁
される。
【0075】このようにして、鋼板Xは設定速度を維持
しながらヨー角を生じることなく移動する。鋼板Xが単
位支持要素3 を通過し終えると、ギャップセンサ37a 〜
37d の出力値が大きくなるため鋼鈑検出回路75が鋼板X
の存在しないことを検出する。すると、AND回路159
の検出信号TFにより鋼板Xの存在しないことが検出され
た場合の動作により、単位推進要素5 のリニアモータ励
磁制御が停止するとともに鋼板Xが存在するときよりも
高い位置に固定子133a,133b が、低い位置に固定子117
a,117b がセットされ、次の鋼板Xが到達するまでこの
状態を維持することになる。
【0076】このようにして、鋼板Xは、単位支持要素
3 および単位推進要素5 で構成される軌道から外れるこ
となく非接触で浮上しながら目的地まで移動する。な
お、上述した実施例では、取付手段17がコイルスプリン
グ,ダンパ,リニアガイド等を備えたガイド機構とアク
チュエータ,リニアガイド等を備えた高さ調節機構で構
成されているが、これは、取付手段の構成を何等限定す
るものでなく、磁気支持ユニット11が上下に移動可能な
構成であれば種々変更が可能である。
【0077】例えば、図11に示すように、支柱19で軌道
枠13に対して台板35を固定するとともに台板35と基台39
a,39b との間にロードセル195 を介在させて取付手段1
3' を構成しても何等差し支えない。この場合、ロード
セル195 により取付手段13' に加わる上下方向の力が測
定されるので、ロードセル195 の出力を用いた高さ制御
を行うことでコイルスプリングとダンパを用いた場合と
同様の機能が実現できることは言うまでもない。
【0078】また、上述の実施例では基台39a,39b それ
ぞれに1つの磁気支持ユニット11が備えられ、これらを
上下させることにより傾斜手段を構成しているが、これ
は、単位支持要素3 に用いられる磁気支持ユニット11の
個数や傾斜手段の構成を何等限定するものではない。例
えば、図12に示すような構成であっても何等差し支えな
い。
【0079】図12で示す単位支持要素3aは、図2に示す
実施例に係わる単位支持要素3 において、基台39a,39b
に代えて両側にギャップセンサ37を配置した6組の磁気
支持ユニット11を備えた平板状の基台197 を有してい
る。この両側のギャップセンサ37により、鋼板Xが湾曲
している場合でも、個々の磁気支持ユニット11において
鋼板Xとの間の平均の浮上ギャップ長を得ることができ
る。基台197 は、前後端略中央部にフィードモニタ27a,
27b を備えており、これらフィードモニタ27a,27b の出
力の平均を取ることで、基台197 に対する鋼板Xの平均
の左右移動量が得られ、鋼板Xのヨーイングによる左右
移動量成分が除去されるため、単位支持要素3 の場合に
比べ、より確実な案内制御が可能となる。
【0080】さらに、基台197 は棒材45の下端およびア
クチュエータ51の下端においてユニバーサルジョイント
199 を介して棒材45およびアクチュエータ51に接続され
ている。また、台板35に代えて、両端と中央部に張り出
し部を持つ台板201 が備えられている。台板201 の中央
張り出し部の両端には、台板201 を貫いて固定されるリ
ニアガイド43a,43b,43c 、下端にユニバーサルジョイン
ト199 を備えた棒材45および上端を台板201 、下端を基
台197 に固定されたコイルスプリング47が設けられてい
る。
【0081】この構成により、基台197 はピッチ方向に
回転可能となるとともに3つのリニアガイド43a,43b,43
c により、基台197 のピッチ角、ロール角および上下方
向移動量の検出が可能となる。
【0082】また、アクチュエータ51の作用により、基
台197 は上下方向とロール方向に自由度を持たないた
め、特願平4-351167号明細書に詳述されているゼロパワ
ー制御の適用により、複数の単位支持要素3aを用いるこ
とで鋼板Xが非接触支持されるとともに、鋼板Xの搬送
方向の湾曲に対して基台197 が追従することが可能とな
る。この場合、定常浮上状態において磁気支持ユニット
11の全てのコイル電流がゼロに収束することは言うまで
もない。
【0083】このように単位支持要素3 に多数の磁石を
設けると、各磁気支持ユニット11にかかる負荷重量が小
さくなるため、磁気支持ユニット11と鋼板X間の浮上ギ
ャップ長を大きくすることができるばかりでなく、磁気
支持ユニット11の1個当たりの支持重量および磁束を小
さくできるので、被搬送体が薄い鋼板であっても磁束の
飽和を回避でき、安定な非接触支持が可能となる。ま
た、基台197 が鋼板Xの湾曲に追従するため、ピッチ方
向の支持力が小さくなり、浮上搬送時の鋼板の変形を抑
制することができる。
【0084】さらに、上述の実施例では、逆U字形状の
軌道枠9 に磁気支持ユニット11が取り付けられて単位支
持要素3 を構成し、鋼板Xを被搬送体として鋼板重心の
上下動およびローリングに関して浮上制御を施すととも
に、鋼板Xを左右方向に傾けて案内制御を行っている
が、これは、軌道枠の形状や単位支持要素の構成および
被搬送体を何等限定するものでなく、種々変形が可能で
ある。
【0085】例えば、図13に示すように、推進手段を備
えた単位支持要素を搬送経路に沿って複数配置し、磁気
支持ユニットに吸引される強磁性体を備えた浮上体を浮
上走行させるものであっても何等差し支えない。
【0086】図13の磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置1b
では、単位支持要素3bのU字状軌道枠9bを搬送経路に沿
って複数個配置することで軌道が形成されている。軌道
枠9b上部の左右張り出し部の内側側面には、台座25を固
着することにより取付手段13a,13b,131a,131b を介して
磁気支持ユニット11および固定子133a,133b が取り付け
られている。取付手段13a,13b,131a,131b は、取付手段
13,131の台板35を中央で2分割した形状の台板35a,35b
を備えて構成されている。軌道枠9bの底部上面には、高
さ調節機構129a,129b を介して固定子117a,117b が配置
されており、取付手段131a, 131bと高さ調節機構129a,1
29b は単位推進要素5 と同様の位置関係にあり、各固定
子について同様の高さ制御が行われている。
【0087】さらに、軌道枠9bの底部上面中央固定子11
7a,117b の前後端位置には、フィードモニタ27a,27b が
配置されている。リニアガイド43a,43b については、取
付手段13a,13b および取付手段131a,131b の台座25およ
び台板35a,35b に各1つづつ取り付けられている。
【0088】その他、ギャップセンサ37、リニアガイド
121a、ギャップセンサ127 、ギャップセンサ141 および
フィードモニタ143a,143b の各センサは、単位支持要素
3 、単位推進要素5 の場合と同様に配置されている。
【0089】一方、被搬送体として、平板状荷台203 と
底板205 を支持板207 を介して固定することにより、浮
上体209 が構成されている。底板205 は強磁性材料で構
成されており、底板205 と磁気支持ユニット11との間の
吸引力により浮上体209 が非接触支持されている。この
実施例では、浮上体209 のピッチングについては、底板
205 の前後長を、少なくとも3対の磁気支持ユニット11
に渡るように決定すれば、最低でも四点支持が確保さ
れ、取付手段13a,13b のコイルスプリング47およびダン
パ49のバネ定数ならびに減衰率を適当な値に決定して安
定化が図られている。
【0090】図14に本実施例に係る吸引力制御手段15b
の制御ブロック図を、図15に本実施例に係る高さ制御装
置29b の制御ブロック図を示す。図14の吸引力制御手段
15b では、図4のロールモード制御電圧演算回路83にΔ
θ,Δiθに加え、高さ制御装置29b より取付手段1a,1
3bの基台39a,39b の傾き角Δθbs が導入されている。
これにより、取付手段13a,13b のコイルスプリング47お
よびダンパ49に起因する基台39a,39b の互いに独立な上
下動を考慮した浮上体209 のロール制御が可能となる。
【0091】図15の高さ制御装置29b においては、図5
の高さ調節用センサ部61および高さ調節用演算部63が次
のように変更されている。すなわち、取付手段13a のリ
ニアガイド43a,43b 、取付手段13b のリニアガイド43a,
43b およびフィードモニタ27a,27b から高さ調節用セン
サ部61a が構成されており、高さ調節用センサ部61bの
出力が高さ調節用演算部63b に導入されて取付手段13a,
13b の基台高さ設定値からの基台39a,39b それぞれにお
ける高さ偏差Δzbsa,Δzbsbが計算される。
【0092】また、図5の高さ調節用演算部63に、フィ
ードモニタ27a,27b の出力ybsa,ybsbの平均値を計
算する平均化回路211 が付加されており、案内位置設定
器95の出力値を平均化回路211 の出力値ybs から減算
してΔybs 得るための減算器97を介して案内傾き角演
算回路99により−Δθbcが出力されてる。これにより、
磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置1bにおいても磁石軌道
配置式磁気浮上搬送装置1 のごとく浮上体209 を安定に
浮上走行させることが可能になる。このような搬送装置
では、浮上体の構成が著しく簡単になるという利点があ
る。
【0093】さらに、上述のした各実施例では、制御装
置およびその動作をアナログ的に表現してあるが、この
ような制御方式に限定されるものではなく、デジタル方
式を採用してもよい。このように本発明はその要旨を逸
脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁石軌道
配置式磁気浮上搬送装置によれば、単位支持要素ごとに
鋼板の鉛直運動についての浮上制御とローリングについ
ての浮上制御がなされるとともに単位支持要素左右の磁
気支持ユニットに傾き角を発生させることで鋼板の案内
制御がなされている。また、取付手段により磁気支持ユ
ニットが上下に可動であることにより単位支持要素間の
鋼鈑のピッチングを抑制することが可能となる。このた
め、鋼板の全長のみならず鋼板の全幅が多種多様であっ
ても鋼板の上下動およびローリングを単位支持要素ごと
に安定に浮上させ、かつ、取付手段により鋼鈑のピッチ
ングを安定にすることができる。
【0095】また、浮上に供する磁気支持ユニットで鋼
板の左右方向の案内を兼用することができ、以て鋼板全
体の非接触支持と案内を簡単な構成で同時に行うことが
可能となる。
【0096】さらに、鋼板の重量や慣性モーメントが異
なる場合でもそうした差異が各単位支持要素に分配され
るとともに、磁気支持ユニットを傾けることにより鋼板
に作用する案内力が鋼板の分配重量に比例し、鋼板の左
右方向の加速度が分配重量に拘わらず一定となるため、
個々の単位支持要素の集合として形成される磁石軌道配
置式磁気浮上搬送装置全体としてより広範囲の重量およ
び慣性モーメントを持つ鋼板を非接触で支持および案内
することが可能となる。また、一本の軌道で複数の鋼板
の非接触搬送が可能となる。さらに、鋼板の代わりに浮
上体を支持でき、浮上体の構成を著しく簡単にすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置の第
1実施例を示す斜視図。
【図2】同搬送装置に用いられる磁気支持ユニットを示
す斜視図。
【図3】同搬送装置に用いられる単位推進要素を示す斜
視図。
【図4】同搬送装置に用いられる吸引力制御手段のブロ
ック構成図。
【図5】同搬送装置に用いられる高さ制御装置のブロッ
ク構成図。
【図6】同搬送装置に用いられる推力制御装置のブロッ
ク構成図。
【図7】同搬送装置に用いられる固定子の構成を示す断
面図。
【図8】同搬送装置に用いられる高さ制御装置のブロッ
ク構成図。
【図9】同搬送装置の敷設状態を示す側面図。
【図10】同搬送装置による傾き案内動作を説明するた
めの磁気支持ユニットの平面図。
【図11】磁気支持ユニットの他の実施例を示す斜視
図。
【図12】磁気支持ユニットの他の実施例を示す斜視
図。
【図13】本発明の磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置の
第2実施例を示す斜視図。
【図14】同搬送装置に用いられる吸引力制御手段のブ
ロック構成図。
【図15】同搬送装置に用いられる高さ制御手段のブロ
ック構成図。
【符号の説明】
1,1a…磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置 3,3a,3b …単位支持要素 5 …単位推進要素 9 …軌道枠 11…磁気支持ユニット 13,13'13a,13b,131,131a,131b …取付手段 15…吸引力制御手段 27a,27b,143a,143b …フィードモニタ 29,139…高さ制御装置 37,127,141…ギャップセンサ 41,129a,129b,145a,145b…高さ調節機構 43,43a,43b,121,121a …リニアガイド 47…コイルスプリング 49…ダンパ 51…アクチュエータ 55…浮上用センサ部 57…浮上用演算部 59a,59b …パワーアンプ 61,177…高さ調節用センサ部 63,179…高さ調節用演算部 65a,65b,181 …電流ドライバ 99…案内傾き角制御回路 117a,117b,133a,133b …固定子 137 …推力制御装置 147 …推進用センサ部 149 …推進力演算手段 151a,151b …インバータ X…鋼板

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被搬送体の搬送方向に沿って磁気力支持系
    を備えた軌道を配置し、前記磁気力支持系の磁気吸引力
    を制御して前記被搬送体を非接触支持するようにした磁
    石軌道配置式磁気浮上搬送装置において、前記軌道は前
    記搬送方向に複数個配置された単位支持要素を含んで構
    成されており、前記単位支持要素は、軌道枠と、電磁石
    を含む複数の磁気支持ユニットと、前記軌道枠に対して
    前記磁気支持ユニットの上下方向の移動を許容するとと
    もに、前記搬送方向にほぼ直交する方向における前記被
    搬送体の傾斜角度を変化させる機能を有する取付手段
    と、前記被搬送体が前記磁気ユニットの下方にあるとき
    に前記各磁気支持ユニットの前記電磁石を制御して前記
    被搬送体の鉛直運動についての浮上制御と前記被搬送体
    のローリングについての浮上制御とを行なう吸引力制御
    手段と、前記被搬送体の前記傾斜角度を制御する傾斜角
    制御手段とを具備してなることを特徴とする磁石軌道配
    置式磁気浮上搬送装置。
  2. 【請求項2】前記各磁気支持ユニットは永久磁石を有
    し、前記電磁石と前記被搬送体との間のエアギャップ中
    で前記電磁石の作る磁路と前記永久磁石の作る磁路とが
    共有されており、前記吸引力制御手段は前記被搬送体の
    重量に拘らず、前記被搬送体が安定に浮上しているとき
    には前記電磁石の励磁電流を零に収束させるゼロパワー
    制御機能を有していることを特徴とする請求項1記載の
    磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置。
  3. 【請求項3】前記取付手段は、前記軌道枠と前記磁気支
    持ユニットとの間に設けられた弾性要素と被弾性要素と
    を含んでいることを特徴とする請求項1記載の磁石軌道
    配置式磁気浮上搬送装置。
  4. 【請求項4】前記取付手段は、前記磁気支持ユニットの
    取り付け高さを可変可能な高さ調節手段を備えているこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁石軌道配置式磁気浮上
    搬送装置。
  5. 【請求項5】前記高さ調節手段は、浮上中の前記被搬送
    体の高さをほぼ一定に制御する高さ制御手段を備えてい
    ることを特徴とする請求項4記載の磁石軌道配置式磁気
    浮上搬送装置。
  6. 【請求項6】前記軌道には、前記被搬送体に前記搬送方
    向の推力を与える推進手段が設けられていることを特徴
    とする請求項1記載の磁石軌道配置式磁気浮上搬送装
    置。
  7. 【請求項7】前記推進手段は、前記被搬送体に前記軌道
    に沿った方向に推力を付与するように前記軌道の左右に
    配置された推力付与手段と、前記被搬送体のヨーイング
    を検出するヨーイング検出手段と、このヨーイング検出
    手段の出力に基づいて前記被搬送体の左右に付与する推
    力を個別に演算する推力演算手段と、この推力演算手段
    の演算結果に基づいて個々の推力付与手段に推力を発生
    させるための推力発生手段とを備えていることを特徴と
    する請求項6記載の磁石軌道配置式磁気浮上搬送装置。
  8. 【請求項8】前記推進手段は、前記推力付与手段として
    前記被搬送体を二次導体とするリニア誘導モータ固定子
    と、前記推力発生手段として個々の前記リニアモータ固
    定子に移動磁界を発生させる励磁手段とを備えているこ
    とを特徴とする請求項7記載の磁石軌道配置式磁気浮上
    搬送装置。
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