JP3375715B2 - オーバーライト光磁気記録媒体 - Google Patents

オーバーライト光磁気記録媒体

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JP3375715B2
JP3375715B2 JP02841294A JP2841294A JP3375715B2 JP 3375715 B2 JP3375715 B2 JP 3375715B2 JP 02841294 A JP02841294 A JP 02841294A JP 2841294 A JP2841294 A JP 2841294A JP 3375715 B2 JP3375715 B2 JP 3375715B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は再生層に面内磁化膜を用
いることによって再生用レーザ波長の回折限界以下の大
きさの分解能を有し、且つ、オーバーライトを行うこと
のできる光磁気記録媒体に関する。 【0002】光磁気ディスクは高密度記録媒体として知
られているが、情報量の増大に伴いさらなる高密度化が
要望されている。高密度化は記録マークの間隔を詰める
ことによって実現できるが、その記録、再生は、媒体上
の光ビームの大きさ(ビームスポット)によって制限さ
れる。 【0003】ビームスポット内に一つの記録マークしか
存在しないように設定した場合、記録マークがあるかな
いかによって“1”,“0”に対応する出力波形が再生
信号として観測できる。 【0004】しかし、記録マークの間隔を詰めてビーム
スポット内に複数個存在するようにすると、媒体上のビ
ームスポットが移動しても再生出力に変化が生じないた
め、出力波形は直線となって記録マークの有り無しを識
別できなくなる。 【0005】このようなビームスポット以下の周期を持
つ小さな記録マークを再生するためには、ビームスポッ
トを小さく絞れば良いが、ビームスポットの大きさは光
源の波長λと対物レンズの開口数NAとで制約され、十
分に小さく絞ることはできない。 【0006】 【従来の技術】最近、現行の光学系をそのまま利用して
ビームスポット以下の記録マークを再生する磁気誘導超
解像技術を利用した再生方法が提案されている。これ
は、ビームスポット内の一つのマークを再生していると
き他のマークをマスクすることで再生分解能を上げた再
生方法である。 【0007】このため超解像ディスク媒体には、マーク
を記録するための記録層以外に信号再生時に一つのマー
クのみが再生されるように他のマークを隠しておくため
のマスク層又は再生層が最低必要となる。 【0008】再生層に垂直磁化膜を用いた光磁気記録媒
体が特開平3−88156号で提案されている。しか
し、この公開公報に記載された従来技術では、再生層を
初期化するために数キロエールステッド程度の初期化磁
界が必要であるため、装置を小型化できないという問題
がある。 【0009】一方、再生層に室温で面内に磁化容易方向
を有し所定温度以上では膜面に対して垂直の磁化容易方
向を有する磁性膜を用いた光磁気記録媒体が特開平5−
81717号で提案されている。 【0010】この従来技術の再生原理を図14を参照し
て簡単に説明する。図14(C)に示すように、光磁気
ディスク2は透明基板4上に磁性再生層6及び磁性記録
層8を積層して構成されている。 【0011】磁性再生層6は室温では面内に磁化容易方
向を有しているが、再生パワーが照射されて所定温度以
上になると磁化容易方向が垂直に変化する。磁性記録層
8は垂直磁化膜である。符号10は光ビームを示してい
る。 【0012】光ビームの強度分布は図14(A)に示す
ようにガウス分布をしているため、ディスクが静止して
いる場合にはディスク上の温度分布も中心部分が周辺部
分よりも高温となっている。 【0013】しかし実際には、ディスク2が矢印R方向
に回転しているため、ディスク上の温度分布は図14
(B)に示すようにビームスポット内のディスク移動方
向前方側が高温となっている。 【0014】このように温度分布が生じているため、ビ
ームスポット内の温度が低い領域では磁性再生層6の磁
化容易方向が面内を向いているので、反射光のカー回転
角は殆ど零となる。高温領域では、磁性再生層6の磁化
容易方向は面内から垂直へと変化する。 【0015】このとき磁性再生層6の垂直磁化は、磁性
記録層8の磁化と交換力によって結合し磁性記録層8の
磁化方向に揃うため、磁性記録層8に記録した磁化を磁
性再生層6に転写することができる。この転写領域の広
さは、再生レーザビームパワーによって変えることがで
きる。 【0016】このように磁性再生層のマスクの大きさを
一つの記録マークだけを再生できるように制御すること
によって、ビームスポットの面積を実質的に縮小したの
と同じ効果を得ることができ、解像度が向上し高密度化
を実現できる。 【0017】従って、特開平5−81717号に記載さ
れた技術を利用することによって、隣接するトラック或
いは同一トラックの記録マーク間のクロストークを押さ
えることができ、現在実用されている光磁気ディスクの
記録密度を数倍に高めることができる。 【0018】 【発明が解決しようとする課題】上述した技術を用いる
ことにより超解像再生が可能であるが、新データを書き
込む場合、依然として旧データを消去しなければならな
いことから、データ転送速度を上げることができないと
いう問題がある。 【0019】そこで、旧データ上に新データを直接オー
バーライトするための技術が必要になる。旧データ上に
新データを直接オーバーライトする技術として、磁界変
調方式及び光強度変調方式が提案されている。 【0020】磁界変調方式は、単層の磁性膜を有する媒
体にレーザビームを照射し、さらに交番磁界を印加する
ことによって、オーバーライトを可能にしている。しか
しこの方式では、交番磁界を発生させるための磁気ヘッ
ドをディスクすれすれに設置しなければならないため
に、磁気ヘッドがディスクに接触する所謂ヘッドクラッ
シュが起こる可能性があり、信頼性を高めることが困難
である。 【0021】一方、光強度変調方式は、データを保持す
る働きをするメモリ層とデータの記録を行う記録層とを
有する記録媒体に対して、照射するレーザビームをデー
タの消去を行うローレベル(PL)と、データの記録を
行うハイレベル(PH)の2値に制御することによっ
て、オーバーライトを可能にしている。 【0022】この光強度変調方式は、日本応用磁気学会
第16回学術講演会(9pG−18)によって三菱電気
株式会社から提案されているが、7層もの磁性膜を積層
し、且つ各磁性層の交換結合力を正確に制御しなければ
ならないため、製造プロセスの面からこの光磁気ディス
クを実現することは非常に困難と思われる。 【0023】特開平5−12732号に、従来のオーバ
ーライト媒体の構成の上に室温で面内磁化を示す磁性層
(再生層)を設けた構造の光磁気記録媒体が開示されて
いる。 【0024】この公開公報に開示されている光磁気記録
媒体の追試を行ったところ、再生層とメモリ層(上記公
開公報では記録層と称している)の交換結合を所定の温
度で誘起させることが非常に難しく、メモリ層の組成に
大きく依存することが判明した。また、再生信号出力は
再生層の膜厚に大きく依存し、大きな再生信号出力を得
るためには再生層の膜厚を最適範囲内に制御しなければ
ならないことが判明した。 【0025】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、超解像再生と光強
度変調方式によるオーバーライトを同時に実現可能な光
磁気記録媒体を提供することである。 【0026】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成によ
ると、透明基板と、該透明基板上に積層された、室温に
おいて面内に磁化容易方向を有する情報を読み出すため
の磁性再生層と、該磁性再生層上に積層された、膜面に
対して垂直の磁化容易方向を有するとともに室温以下の
補償温度を有する情報を保持するための磁性メモリ層
と、該磁性メモリ層上に積層された、膜面に対して垂直
の磁化容易方向を有する情報を記録するための磁性記録
層とを具備し、前記磁性再生層の膜厚が20nm〜60
nmの範囲内であることを特徴とするオーバーライト光
磁気記録媒体が提供される。 【0027】本発明の第2の構成によると、透明基板
と、該透明基板上に積層された、室温において面内に磁
化容易方向を有する情報を読み出すための磁性再生層
と、該磁性再生層上に積層された、膜面に対して垂直の
磁化容易方向を有するとともに室温以下の補償温度を有
する情報を保持するための磁性メモリ層と、該磁性メモ
リ層上に積層された、膜面に対して垂直の磁化容易方向
を有する情報を記録するための磁性記録層と、該磁性記
録層の磁化を初期化するための膜面に対して垂直の磁化
容易方向を有する磁性初期化層と、前記磁性記録層と前
記磁性初期化層との間に挿入された、磁性記録層と磁性
初期化層との間の交換結合力を制御する膜面に対して垂
直の磁化容易方向を有する磁性スイッチ層とを具備し、
前記磁性メモリ層、磁性記録層、磁性スイッチ層及び磁
性初期化層のキュリー温度をそれぞれTc1,Tc2,
Tc3及びTc4とするとき、Tc3<Tc1<Tc2
<Tc4の関係を満たし、前記磁性再生層の膜厚が20
nm〜60nmの範囲内であることを特徴とするオーバ
ーライト光磁気記録媒体が提供される。 【0028】好ましくは、上記各磁性層は希土類−遷移
金属アモルファス合金からなり、メモリ層の希土類元素
はテルビウム(Tb)を主成分とする。 【0029】 【作用】第1の構成の光磁気記録媒体に対し、光強度変
調を用いてオーバーライトによりデータの記録を行う際
には、記録に先立ちバイアス磁界の方向を記録時の方向
と逆向きにし、記録層のキュリー温度以上に昇温するこ
とによって、メモリ層と記録層を初期化し、磁化の向き
を一方向に揃える。 【0030】データ書き込み時には光ビームをデータの
有無に応じて強度変調して、データ有りのときにはハイ
パワーを照射し、データ無しのときにはローパワーを照
射する。ハイパワーが照射されると、記録層のキュリー
温度以上に昇温され、記録層の磁化の向きは外部から印
加されているバイアス磁界の向きに揃えられる。 【0031】室温に冷却されると記録層の補償温度以下
となるので、記録層の磁化方向は反転するが、記録時の
バイアス磁界と同一方向の初期化磁界を印加することに
より記録層及びメモリ層とも磁化の向きが初期化磁界の
方向に揃えられる。 【0032】ローパワーが照射されると、記録層の磁化
方向がメモリ層に転写される温度以上で且つ記録層のキ
ュリー温度以下に昇温される。その結果、メモリ層と記
録層の2層間の交換結合力により、記録層の磁化の向き
即ち初期化された磁化の向きがメモリ層に転写される。 【0033】従って、光ビームの照射強度を調整するこ
とにより、光磁気記録媒体にオーバーライトによる記録
が可能となる。このとき再生層は面内磁化を示すため、
記録動作に影響を及ぼさない。 【0034】再生パワーが照射されると、ビームスポッ
ト内に低温領域と高温領域が形成され、低温領域では再
生層の磁化方向が面内方向の面内マスクが形成される。
高温領域では、メモリ層の磁化方向が再生層に転写され
るため、再生用レーザ波長の回折限界以下の超解像再生
が可能となる。 【0035】第2の構成の光磁気記録媒体に対し、光強
度変調を用いてオーバーライトにより記録を行う際に
は、記録に先立ちバイアス磁界の方向を記録時と反対方
向にしながら初期化層のキュリー温度以上に昇温するこ
とにより、記録媒体の初期化を行う。 【0036】第2の構成の媒体では、キュリー温度の非
常に高い初期化層とキュリー温度の非常に低いスイッチ
層を設けたために、初期化層の磁化を初期化磁界として
利用することができ、第1の構成で必要である初期化磁
石を省略することができる。第2の構成によるオーバー
ライトプロセスは、上述した第1の構成と類似してい
る。 【0037】 【実施例】図1を参照すると、本発明第1実施態様の記
録媒体構成図が示されている。光磁気記録媒体12aは
透明基板14上に、磁性再生層16、磁性メモリ層18
及び磁性記録層20をこの順に積層して構成されてい
る。各磁性層は希土類−遷移金属アモルファス合金から
形成される。 【0038】再生層16の磁化容易方向は室温において
膜面に対して平行であり、再生層16は室温において面
内磁化膜である。一方、メモリ層18及び記録層20の
磁化容易方向は膜面に対して垂直であり、これらの磁性
層は垂直磁化膜である。メモリ層18は室温又は室温以
下の補償温度を有している。 【0039】図2を参照すると、本発明第2実施態様の
記録媒体構成図が示されている。本実施態様の光磁気記
録媒体12bは、第1実施態様の記録媒体12aのメモ
リ層18と記録層20の間に磁性中間層22を介装した
ものである。中間層22は面内磁化膜でも垂直磁化膜で
もどちらでも良い。 【0040】また、中間層22は希土類−遷移金属アモ
ルファス合金に如何なる金属を添加したものでも採用可
能である。中間層22の組成は、超解像再生とオーバー
ライトが可能となるものであれば良く、一般的には狭い
範囲に限定されるものではない。 【0041】中間層22はメモリ層18と記録層20と
の間の交換結合力を制御するものであり、記録層20の
キュリー温度よりも高いキュリー温度を有している。図
3を参照すると、本発明第3実施態様の記録媒体構成図
が示されている。この実施態様の光磁気記録媒体12c
は、第1実施態様の記録媒体12aの記録層20上に磁
性スイッチ層24及び磁性初期化層26を積層したもの
である。 【0042】スイッチ層24及び初期化層26はメモリ
層18及び記録層20と同様に垂直磁化膜であり、希土
類−遷移金属アモルファス合金から形成される。メモリ
層18、記録層20、スイッチ層24及び初期化層26
のキュリー温度をそれぞれTc1,Tc2,Tc3及び
Tc4とすると、Tc3<Tc1<Tc2<Tc4の関
係を満たしている。 【0043】再生層16の補償温度は室温又は室温以下
であり、記録層20の補償温度はスイッチ層24のキュ
リー温度以下であり、初期化層26の補償温度はメモリ
層18のキュリー温度と記録層20のキュリー温度の間
である。 【0044】図4を参照すると、本発明第4実施態様の
記録媒体構成図が示されている。光磁気記録媒体12d
は、第3実施態様の記録媒体12cのメモリ層18と記
録層20の間に中間層22を介装したものである。中間
層22は図2に示した第2実施態様の中間層22と同様
な組成及び特性を有している。 【0045】上述した第1乃至第4実施態様の光磁気記
録媒体12a〜12dについて、メモリ層18の組成と
信号出力との関係を検討した。これは、メモリ層18と
再生層16は昇温時に交換結合する必要があるためであ
り、メモリ層18の最適組成を調べた。その結果を表1
に示す。 【0046】 【表1】 【0047】表1は0.5μm長のマークをディスク上
に記録した場合の最高出力である。メモリ層18以外の
層の構成は後述する実施例1と同様である。表1から明
らかなように、メモリ層18としてはテルビウム(T
b)を主成分とするものが最適であり、さらに、室温以
下に補償温度を有する組成において、大きな信号出力が
得られることが判明した。尚、Tbを主成分とする場合
の補償組成はTbが約20のときであり、Dyを主成分
とする場合の補償組成はDyが約21〜22のときであ
る。 【0048】次に、再生層16の膜厚と再生信号出力に
ついて検討を行った。その結果を表2に示す。 【0049】 【表2】【0050】表2から明らかなように、大きな信号出力
を得るためには再生層16の膜厚が20〜60nmの範
囲内にあるのが最適である。これは、再生層16の膜厚
が薄いと入射光が透過するために大きな再生信号出力が
得られなくなり、また厚すぎると、メモリ層18からの
磁化が再生層16に十分に転写されないことから大きな
再生信号出力を得られないためである。 【0051】次に図5を参照して、第1実施態様の記録
媒体12aに情報(データ)をオーバーライトする場合
のプロセスについて説明する。図5の記録媒体で用いら
れた各磁性層のドミナントは、再生層16が希土類元素
リッチ(REリッチ)、メモリ層18が遷移金属リッチ
(TMリッチ)及び記録層20がREリッチである。原
理的には各磁性層のドミナントの種類は、何ら制限を受
けることはない。 【0052】図5において、Troomは室温、Tcompw は
記録層20の補償温度、Tcmはメモリ層18のキュリー
温度、Tcwは記録層20のキュリー温度、Tcopy1 はメ
モリ層18の磁化方向が再生層16に転写される温度、
Tcopy2 は記録層20の磁化方向がメモリ層18に転写
される温度である。 【0053】図5を参照しながら、オーバーライト機能
と超解像再生機能とを各磁性層の磁化方向と対応させて
説明する。まず、バイアス磁界の方向を記録時の方向と
逆向きにし、即ちバイアス磁界を下向きにして、記録層
20のキュリー温度以上に昇温することにより、メモリ
層18と記録層20を初期化する。このとき再生層16
の磁化方向は室温で面内となる(aの状態)。 【0054】図5において、矢印は各磁性層の遷移金属
のスピン方向を示しており、白抜き矢印は各磁性層の磁
化方向を示している。補償温度を境にして各磁性層の磁
化方向は反転する。 【0055】オーバーライト時にデータ信号がある場合
には、ハイパワー(PH)のレーザビームが媒体に照射
され、データがない場合にはローパワー(PL)のレー
ザビームが媒体に照射される。 【0056】ハイパワーのレーザビームが照射される
と、媒体は記録層20のキュリー温度以上に昇温され、
ローパワーのレーザビームが照射されると、媒体はTco
py2 以上で記録層20のキュリー温度以下に昇温され
る。 【0057】図5では、書き込みプロセス及び消去プロ
セスに分かれて説明されているが、これは一連のオーバ
ーライト時にデータがある場合には書き込みプロセスを
通り、データがない場合には消去プロセスを通ることを
意味している。 【0058】書き込みプロセス データの書き込みを行う場合には、媒体は記録層20の
キュリー温度Tcw以上に昇温される。斜線部分は各磁性
層がキュリー温度以上に昇温されて、磁化がない状態を
示している。オーバーライト時には、バイアス磁界を上
向きに印加し、初期化磁界も白抜き矢印に示すように上
向きに印加する。 【0059】aの状態から書き込みが行われた場合、各
磁性層の磁化方向は、a−b−c−g−h−i−j−k
−lの順序で変化する。lの状態では記録層20の磁化
方向が変化しているが、これは室温において記録層20
の補償温度以下になったためである。 【0060】室温において、外部磁界として初期化磁石
を設け、これをディスク媒体が通過することでlからd
の状態となり、メモリ層18にデータが記録され、記録
層20が初期化される。 【0061】一方、dの状態から書き込みが行われた場
合、各磁性層の磁化方向は、d−e−f−g−h−i−
j−k−lの順序で変化する。そして、初期化磁石を通
過することで、元の状態即ちdの状態に戻る。 【0062】消去プロセス 書き込みデータがない消去時には、ローパワーのレーザ
ビームが媒体に照射され、媒体が記録層20の磁化方向
がメモリ層18に転写される温度Tcopy2 から凡そ記録
層20のキュリー温度Tcw以下に昇温される。 【0063】aの状態から消去プロセスが行われる温度
まで温度が上昇され、また室温に下げられた場合、各磁
性層の磁化方向は、a−b−c−b−aの順序或いはa
−b−c−g−c−b−aの順序で変化し、元の状態即
ちaの状態に戻り、メモリ層18のデータが消去され
る。次いで初期化磁石を通過するが、メモリ層18及び
記録層20の磁化方向は変化しない。 【0064】dの状態から消去プロセスが行われる温度
まで温度が上昇され、また室温に下げられた場合には、
各磁性層の磁化方向は、d−e−f−c−b−a或いは
d−e−f−g−c−b−aの順序で変化し、メモリ層
18のデータが消去される。 【0065】再生プロセス 図6を参照して再生プロセスについて説明する。記録媒
体は図6(B)に示すように矢印R方向に回転している
とする。再生可能な温度はTcopy1 〜Tcopy2の範囲内
である。このとき、再生パワーPRを調整することによ
り、図6(A)に示すようにビームスポット30内にT
copy1 より低い低温領域30aと、Tcopy1 以上の高温
領域30bが形成される。 【0066】低温領域30aでは、図6(B)に示すよ
うに再生層16に面内マスク16aが形成され、高温領
域30bでは再生層16の磁化方向がメモリ層18に揃
う開口部16bが形成される。 【0067】このように、ビームスポット30の高温領
域30bでは、メモリ層18の磁化方向が再生層16に
転写されるため、再生層16の開口部16bにおいてメ
モリ層18に記録された情報の再生が可能である。 【0068】ビームスポット30内の低温領域30aに
おいて、再生層16に面内マスク16aが形成されるた
め、再生用レーザ波長の回折限界以下の大きさの記録マ
ークを再生する、所謂超解像再生が可能となる。 【0069】中間層22を有する第2実施態様の媒体に
も、上述した各プロセスがそのまま当てはまる。これは
中間層22はあくまでメモリ層18と記録層20の交換
結合力を制御するためのものであって、各プロセスの基
本的な考え方に関与しないからである。 【0070】次に図7を参照して、第3実施態様の記録
媒体にデータをオーバーライトするときのプロセスにつ
いて説明する。図7の説明において、Troomは室温、T
compw は記録層20の補償温度、Tcompi は初期化層2
6の補償温度、Tcsはスイッチ層24のキュリー温度、
Tcmはメモリ層18のキュリー温度、Tcwは記録層20
のキュリー温度、Tciは初期化層26のキュリー温度、
Tcopy1 はメモリ層18の磁化方向が再生層16に転写
される温度、Tcopy2 は記録層20の磁化方向がメモリ
層18に転写される温度をそれぞれ示している。 【0071】図1及び図2に示した第1及び第2実施態
様では、記録層20の磁化方向を揃えるために初期化磁
石を必要としたが、図3及び図4に示した第3及び第4
実施態様では、スイッチ層24と初期化層26を設ける
ことによって初期化磁石を不要にできる。 【0072】即ち、第3及び第4実施態様の記録媒体で
は、初期化層26が初期化磁石の役目をする。スイッチ
層24は所定温度以上において記録層20と初期化層2
6との間の交換結合を防止するために、Tcopy1 よりも
低いキュリー温度を有している。 【0073】図7の媒体で用いられた各磁性層のドミナ
ントは、再生層16がREリッチ、メモリ層18がTM
リッチ、記録層20がREリッチ、スイッチ層24がT
Mリッチ及び初期化層26がREリッチである。 【0074】まず、バイアス磁界の方向を記録時と反対
方向の下向きにし、初期化層26のキュリー温度以上に
昇温することによってディスクの初期化を行う(aの状
態)。 【0075】書き込みプロセス aの状態から書き込みを行う場合には、各磁性層の磁化
方向は、a−b−c−d−e−j−l−m−n−o−p
−q−rの順序で変化する。qの状態では、記録層20
とスイッチ層24の間に界面磁壁が存在するが、室温ま
で冷却されたrの状態では、界面磁壁はメモリ層18と
記録層20の間に移動し、メモリ層18にデータが書き
込まれ、初期化層26の磁化により記録層20が初期化
される。 【0076】rの状態から書き込みを行う場合には、各
磁性層の磁化方向は、r−f−g−h−i−j−l−m
−n−o−p−q−rの順序で変化し、元の状態に戻
る。 消去プロセス aの状態から消去プロセスが行われる温度まで温度が上
昇され、また室温に下げられた場合、各磁性層の磁化方
向は、a−b−c−d−e−j−e−d−c−b−a或
いはa−b−c−d−e−d−c−b−aの順序で変化
し、元の状態即ちaの状態に戻り、メモリ層18のデー
タが消去される。 【0077】rの状態から消去プロセスが行われる温度
まで温度が上昇され、また室温に下げられた場合には、
各磁性層の磁化方向は、r−f−g−h−i−j−e−
d−c−b−aの順序で変化し、メモリ層18のデータ
が消去される。 【0078】再生プロセス 図8を参照して、第3実施態様の媒体に記録された情報
の再生方法について説明する。記録媒体は図8(B)に
示すように矢印R方向に回転しているとする。 【0079】再生パワーが照射されたビームスポット3
0内には、図8(A)に示すようにTcopy1 以下の低温
領域30aと、Tcopy1 以上の高温領域30bとが形成
される。ビームスポット30の低温領域30aでは、再
生層16に面内マスク16aが形成され、高温領域30
bでは再生層16の磁化方向がメモリ層18に揃う開口
部16bが形成される。 【0080】よって、再生層16の開口部16bを通し
てメモリ層18に記録された情報の再生を行うことがで
き、ビームスポット30が照射された再生層16に面内
マスク16aが形成されているため、情報の超解像再生
が可能となる。 【0081】実施例1 まず、面内磁化膜を用いて超解像再生ができるか否かを
調べるために、図9に示すように1.2μmピッチのグ
ルーブを有するガラス−フォトポリマ(2p)基板14
上に、保護膜32、再生層16、メモリ層18及び保護
膜34をDCスパッタ法により形成した。 【0082】このとき、到達真空度5×10-5Paで保
護膜32を製膜し、もう一度前記到達真空度まで真空引
きを行い、再生層16とメモリ層18を連続して製膜し
た。さらに保護膜34を製膜した。 【0083】保護膜32,34はY:SiOから形成さ
れ、それぞれ膜厚90nmである。再生層16の組成は
Gd25Fe70Co5 であり、その膜厚は30nmであ
る。メモリ層18の組成はTb20Fe74Co6 であり、
その膜厚は40nmである。 【0084】次に再生特性を調べた。その結果、波長7
80nmのレーザで0.5μmのマークを読み出した場
合のC/Nは、図10に示すように従来の単層磁性膜を
有する記録媒体では約10dBであったが、図9の構成
を有する2層膜媒体では約45dBを得ることができ
た。これは、図9の構成の媒体で超解像再生を行えたこ
とを意味している。 【0085】実施例2 オーバーライトと、超解像再生が同時に実現できる光磁
気記録媒体を実施例1と同様な方法で試作した。DCス
パッタ法により、1.2μmピッチのグルーブを有する
ガラス−2p基板14上に図11の組成を有する光磁気
記録媒体を作製した。 【0086】保護膜32,34、再生層16及びメモリ
層18の組成及び膜厚は図9に示した実施例1と同様で
あり、記録層20の組成はDy25Fe52Co23であり、
その膜厚は50nmである。 【0087】再生特性を調べたところ、図10と同様な
結果が得られた。さらに、オーバーライト可能なパワー
マージンはハイパワーPH及びローパワーPLに対し
て、図12に示すようにC/Nが40dB以上得られる
領域がそれぞれ2mW程度得られた。 【0088】実施例3 光磁気記録媒体の外部に設置する初期化磁石を不要にす
るために、スイッチ層と初期化層を設けたオーバーライ
トと超解像再生が同時に実現できる光磁気記録媒体を試
作した。 【0089】作製方法は実施例1及び実施例2と同様で
あり、図13に示す組成及び膜厚を有する媒体をDCス
パッタ法で作製した。保護膜32,34、再生層16、
メモリ層18及び記録層20の組成及び膜厚は図11に
示した実施例2と同様である。 【0090】スイッチ層24の組成はTb20.5Fe79.5
であり、その膜厚は15nmである。初期化層26の組
成はTb28.2Co71.8であり、その膜厚は30nmであ
る。その結果、図10と同様な再生特性が得られたと共
に、図12と同様なオーバーライト可能なパワーマージ
ンを初期化磁石を設けることなく実現できた。 【0091】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、超
解像再生とオーバーライトの両者の機能を合わせ持つ光
磁気記録媒体を容易に実現でき、現在実用化されている
光磁気記録媒体の記録密度とデータ転送速度を大幅に改
善できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明第1実施態様の記録媒体構成図である。 【図2】本発明第2実施態様の記録媒体構成図である。 【図3】本発明第3実施態様の記録媒体構成図である。 【図4】本発明第4実施態様の記録媒体構成図である。 【図5】第1実施態様の記録媒体に情報をオーバーライ
トするプロセスを説明する図である。 【図6】第1実施態様の記録媒体に記録された情報の再
生方法を説明する図である。 【図7】第3実施態様の記録媒体に情報をオーバーライ
トするプロセスを説明する図である。 【図8】第3実施態様の記録媒体に記録された情報の再
生方法を説明する図である。 【図9】実施例1の記録媒体構成図である。 【図10】従来例と比較した実施例1の媒体のC/Nの
マーク長依存性を示す図である。 【図11】実施例2の記録媒体構成図である。 【図12】実施例2の媒体のオーバーライト可能なパワ
ーマージンを示す図である。 【図13】実施例3の記録媒体構成図である。 【図14】従来例の再生原理を説明する図である。 【符号の説明】 16 再生層 18 メモリ層 20 記録層 22 中間層 24 スイッチ層 26 初期化層 30 ビームスポット 30a 低温領域 30b 高温領域
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−12732(JP,A) 特開 平5−159387(JP,A) 特開 平7−169123(JP,A) 特開 平6−119669(JP,A) 特開 平4−366442(JP,A) 特開 平5−36139(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 透明基板と、 該透明基板上に積層された、室温において面内に磁化容
    易方向を有する情報を読み出すための磁性再生層と、 該磁性再生層上に積層された、膜面に対して垂直の磁化
    容易方向を有するとともに室温以下の補償温度を有する
    情報を保持するための磁性メモリ層と、 該磁性メモリ層上に設けられた、膜面に対して垂直の磁
    化容易方向を有する情報を記録するための磁性記録層
    と、前記磁性メモリ層と前記磁性記録層との間に挿入され
    た、磁性メモリ層と磁性記録層との間の交換結合力を制
    御する磁性中間層と、 該磁性記録層の磁化を初期化するための膜面に対して垂
    直の磁化容易方向を有する磁性初期化層と、 前記磁性記録層と前記磁性初期化層との間に挿入され
    た、磁性記録層と磁性初期化層との間の交換結合力を制
    御する膜面に対して垂直の磁化容易方向を有する磁性ス
    イッチ層とを具備し、 前記磁性メモリ層、磁性記録層、磁性スイッチ層及び磁
    性初期化層のキュリー温度をそれぞれTc1,Tc2,
    Tc3及びTc4とするとき、 Tc3<Tc1<Tc2<Tc4の関係を満たし、 前記磁性再生層の膜厚が20nm〜60nmの範囲内で
    り、 前記磁性再生層は所定温度以上では前記磁性メモリ層と
    の交換結合により垂直方向に磁化を向ける ことを特徴と
    するオーバライト光磁気記録媒体。
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