JP3375624B2 - ベーパサイクル機構 - Google Patents

ベーパサイクル機構

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、航空機の空調装置に利用されるベーパサイ
クル機構に関するものである。 [従来の技術] 第2図に空調用として用いられる従来のベーパサイク
ル機構の一例を示す。このベーパサイクル機構はベーパ
サイクル部11(図中編掛部)と、第1、第2の流路12、
13とから構成されている。ベーパサイクル部11は、エバ
ポレータ11aとコンデンサ11bの間を冷媒循環回路11cで
接続するとともに、エバポレータ11aからコンデンサ11b
に向かう回路途中およびコンデンサ11bからエバポレー
タ11aに向かう回路途中にそれぞれコンプレッサ11dおよ
び膨脹弁11eを配設している。そして、内部にフレオン
ガス等の冷媒pを充填している。一方、第1の流路12は
前記エバポレータ11aに冷房室12aの空気を移送するため
の閉回路であり、内設したファン12bによってそれを循
環させるようにしている。第2の流路13は前記コンデン
サ11bに空冷用の外気rを導入するためのもので、ファ
ン13aによってそれを取り込むようになっている。 このように構成されるベーパサイクル機構の作用を説
明すると、冷媒pは先ず、コンプレッサ11dで圧縮さ
れ、コンデンサ11bに流入する。ここで、第2の流路13
内を流れる外気rと熱交換することにより冷却されて液
化する。その後、膨脹弁11eで膨脹することにより低温
の気液混合状態になり、エバポレータ11aに流入する。
ここでは、前記第1の流路12内を流れる空気qと熱交換
を行なって冷媒pの液相が気化し、このとき空気qが冷
却されて冷房室12aに送られる。一方、空気qから熱を
奪った冷媒pはコンプレッサ11dで圧縮された後、コン
デンサ11bに流入したときにその熱を外気rに対して放
出し、再び冷却されて液化する。このような冷媒pのサ
イクルを繰り返すことにより、第1の流路12を流れる冷
房用空気qから継続的に熱を汲み出して第2の流路13を
流れる外気rに放出するという作用を営むことができる
ようになっている。 [発明が解決しようとする課題] ところで、上述したベーパサイクル機構は、エアサイ
クル機構に比べて効率が高いという優れた利点があるに
も拘らず、現在までエアサイクル機構ほど普及していな
い。その最大の原因は、このベーパサイクル機構がメン
テナンス面に多大な不都合を抱えている点にある。すな
わち、従来のベーパサイクル機構は全体が航空機などに
一体に組み付けられており、機構部品の点検、修理を行
なう必要がある場合は、冷媒を周囲に漏らさないために
先ず回路から冷媒を抜き取り、必要な作業を行なった場
合、冷媒を詰めるために回路内を真空引きし、しかる
後、冷媒を充填する必要がある。冷媒の交換が必要な場
合も同様である。しかして、このような作業には多大な
労力と時間を要し、航空機などの現場で行なうには、運
用上、不都合きわまりない。 そこで、このような不都合に対して、ベーパサイクル
をパッケージ化しておくことが考えられる。このように
すれば、機構部品の点検、修理が必要な場合にパッケー
ジを着脱するだけでよく、冷媒の抜き取りや充填、真空
引きなどを不要にすることができるし、また、冷媒の交
換が必要な場合にも、工場等で予め冷媒を充填したパッ
ケージを現場に持ち込んで使い古したパッケージと交換
するだけで作業を完了することが可能になる。 しかし、実際問題としては、このようなパッケージ化
を行なうには余りにもコンデンサやエバポレータが大き
く、実用化にはほど遠いのが実状である。 本発明は、このような課題に着目してなされたもので
あって、ベーパサイクル部のパッケージ化を容易にする
ペーパサイクル機構を提供し、上述した課題を解決する
ことを目的としている。 [課題を解決するための手段] 本発明は、かかる目的を達成するために、次のような
構成を採用したものである。 すなわち、本発明のベーパサイクル機構は、航空機の
空調装置に適用され、エバポレータとコンデンサの間を
冷媒循環回路で接続することによりベーパサイクル部を
構成し、エバポレータにおいて第1の流路を流れる流体
から吸収した熱をコンデンサに移送して第2の流路を流
れる流体に対して放出するようにしたものであって、前
記第2の流路を流れる流体が航空機の機外から取り込ま
れる外気であり、前記第1の流路と第2の流路にそれぞ
れ熱交換器を設け、これら熱交換器と、これらに対応す
る前記エバポレータまたは前記コンデンサの間を、液体
による中間循環回路によって、エバポレータまたはコン
デンサ側に着脱可能に接続したことを特徴とする。 [作用] このような構成により、航空機の空調装置において、
冷媒を冷却する側となるコンデンサ側に設けた中間循環
回路では、液体は冷媒の熱を受け取り、これが第2の流
路に設けた熱交換器に流入して内部を流れる機外から取
り込んだ外気に対してその熱を放出することになる。ま
た、このような構成のものでは、第1の流路に熱交換器
を設けるとともにエバポレータ側にも液体による中間循
環回路を設けることができ、その場合には、流体は冷媒
により冷却され、これが第1の流路の熱交換器に流入し
て内部を流れる流体から熱を奪うことになる。 しかして、この構成を従来のものと比べると、従来で
はエバポレータまたはコンデンサにおいて冷媒と気体と
の熱交換が行なわれていたのに対して、本発明によると
少なくともコンデンサ側で冷媒と液体とが熱交換を行な
うことになる。この場合、液体は気体に比べて熱伝達効
率が高いため、少なくともコンデンサにおいて従来ほど
大きな熱交換面積を確保する必要がなくなる。この結
果、航空機において特に要求されるそれらの要素部品の
小型軽量化を実現することができ、全体をパッケージ化
することが容易になる。 [実施例] 以下、本発明の一実施例を第1図を参照して説明す
る。 この、航空機の空調装置に適用されるものであって、
ベーパサイクル部1(図中編掛部)と、第1、第2の流
路2、3と、第1、第2の中間循環回路4、5とから構
成されている。ベーパサイクル部1は基本的には従来例
と同様のもので、エバポレータ1aとコンデンサ1bの間を
冷媒循環回路1cで接続するとともに、エバポレータ1aか
らコンデンサ1bに向かう回路途中およびコンデンサ1bか
らエバポレータ1aに向かう回路途中にそれぞれコンプレ
ッサ1dおよび膨脹弁1eを配設している。そして、内部に
フレオンガス等の冷媒pを充填している。また、第1、
第2の流路2、3も従来例と略同様の使用態様である。
すなわち、第1の流路2は冷房室2aの空気qを移送する
ための閉回路をなし、内設したファン2bによってそれを
循環させるようにしている。また、流路3は、航空機の
機外より空冷用の外気rを取り込むようになっている。 このような構成において、本実施例では、前記第1の
流路2に熱交換器4aを設け、この熱交換器4aと前記エバ
ポレータ1aの間を第1の中間循環回路4によって接続す
るとともに、前記第2の流路3に熱交換器5aを設け、こ
の熱交換器5aと前記コンデンサ1bの間を第2の中間循環
回路5によって接続している。両中間循環回路4、5に
はそれぞれ水、不凍液、油などの適当な液体s、tが充
填してあり、内設したポンプ4b、5bによって循環される
ようにしてある。 次に、このように構成されるベーパサイクル機構の作
用を説明する。ベーパサイクル部1では、冷媒pは先
ず、コンプレッサ1dで圧縮され、コンデンサ1bに流入す
る。ここで、第2の中間循環回路5内を流れる液体tと
熱交換することにより冷却されて液化する。その後、膨
脹弁1eで膨脹することにより低温の気液混合状態にな
り、エバポレータ1aに流入する。ここでは、第1の中間
循環回路4内を流れる液体sと熱交換を行なって冷媒の
液相が気化し、このとき液体sから熱を奪う。そして、
コンプレッサ1dで圧縮された後、コンデンサ1bで冷却さ
れたときにその熱を液体tに対して放出し、再び冷却さ
れて液化する。このようなサイクルを繰り返すことによ
り、第1の中間循環回路4を流れる液体sから継続的に
熱を汲み出して第2の循環回路5を流れる液体tに与え
るという作用を営む。 一方、エバポレータ1aにおいて冷媒pにより冷却され
た液体sは、第1の流路2に設けた熱交換器4aに流入し
て内部を流れる冷房用空気qから熱を奪い、冷房室2aを
冷却する。また、コンデンサ1bにおいて冷媒pにより熱
を与えられた液体tは、第2の流路3に設けた熱交換器
5aに流入して内部を流れる外気に対してその熱を放出す
ることになる。 しかして、この構成を従来のものと比べると、従来で
はエバポレータ11aおよびコンデンサ11bにおいて冷媒p
が気体である空気q、rと直接熱交換を行っていたのに
対して、本発明によるとエバポレータ1aおよびコンデン
サ1bにおいて冷媒pが液体s、tと熱交換を行なうこと
になる。この場合、液体は空気などの気体に比べて熱伝
達効率が高いため、本発明に係る第1図図示のエバポレ
ータ1aおよびコンデンサ1bは従来例に係る第2図図示の
エバポレータ11aおよびコンデンサ11bに比べて熱交換面
積の小さい、したがって全体的にコンパクトなもので済
むことになる。この結果、ベーパサイクル部1全体が従
来のベーパサイクル11に比べ小型軽量化し、パッケージ
化がはるかに容易になり、航空機の空調装置等に適用し
た場合に、現場における冷媒の抜き取りや充填の必要性
をなくしてメンテナンス作業の大幅な軽減化を果たすこ
とが可能になる。この際、エバポレータ1aおよびコンデ
ンサ1bの内部の流路を中間循環回路4、5に連通させる
ための適当な着脱構造がとられるのは言うまでもない。
ところで、この構成によると、熱交換機4a、5aの大きさ
は従来のエバポレータ11aやコンデンサ11bにほぼ匹敵
し、機構全体としては従来に比べて中間循環回路4、5
が増えた分だけ大きく且つ重くなるとともに、ポンプ4
b、5bを駆動するエネルギが余分と考えられる。しか
し、中間循環回路4、5は気体ではなく液体を流すもの
であるから、配管は極めて小さいのものでよく、したが
ってその大きさや重量の増加分は実用上問題にならない
程度で済む。ポンプ4b、5bの電源においても同様のこと
が言える。 なお、前記実施例では第1の流路2は閉回路になって
いるが、オープン回路にして外気などを導入するように
してもよい。また、前記実施例では第1、第2の流路
2、3にともに空気が流通されるようにしてあるが、第
1の流路に、空気以外のもの、例えば水や燃料などの液
を流通させることができるのは勿論である。その他、本
発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。 [発明の効果] 本発明のベーパサイクル機構によると、エバポレータ
やコンデンサを大幅に小型軽量化してベーパサイクル部
をパッケージ化することが容易になる。このため、この
機構を航空機の空調装置に用いた場合に、現場において
冷媒の抜き取りや充填を行なう必要をなくし、メンテナ
ンス作業の大幅な軽減化をもたらすことがしかも、本発
明は航空機の空調装置に用いられるものであるため、機
外から取り込まれる外気を有効に利用してベーパサイク
ル機構のコンデンサ側を冷却することができるので、そ
の部分を冷却するための流体やその流体を作り出すため
の特別な装置等を設ける必要がなく、この点においても
装置の小型化や効率化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例を示す回路図、第2図は従来
例を示す回路図である。 1……ベーパサイクル部、1a……エバポレータ 1b……コンデンサ、1c……冷媒循環回路 2……第1の流路、3……第2の流路 4、5……中間循環回路、4a、5a……熱交換器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−82332(JP,A) 特開 昭50−103836(JP,A) 特開 昭50−103835(JP,A) 特公 昭36−11719(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 5/00 101

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】航空機の空調装置に適用され、エバポレー
    タとコンデンサの間を冷媒循環回路で接続することによ
    りベーパサイクル部を構成し、エバポレータにおいて第
    1の流路を流れる流体から吸収した熱をコンデンサに移
    送して第2の流路を流れる流体に対して放出するように
    したものであって、 前記第2の流路を流れる流体が航空機の機外から取り込
    まれる外気であり、前記第1の流路と第2の流路にそれ
    ぞれ熱交換器を設け、これら熱交換器と、これらに対応
    する前記エバポレータまたは前記コンデンサの間を、液
    体による中間循環回路によって、エバポレータまたはコ
    ンデンサ側に着脱可能に接続したことを特徴とするベー
    パサイクル機構。
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