JP3375348B2 - 排水浄化設備の酸素補充装置 - Google Patents

排水浄化設備の酸素補充装置

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JP3375348B2
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幸夫 山口
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    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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  • Aeration Devices For Treatment Of Activated Polluted Sludge (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は産業排水や生活排水な
どによって汚染された沈殿池や比較的狭い河川の水へ酸
素を加えて活性化し、浄化処理する装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、産業排水や生活排水によって中小
河川の汚染が進み、延いては海洋汚染の問題に発展して
いる。従来、このような河川や工場排水の浄化の手法が
種々提案されている。例えば、汚濁物質を積極的に除去
する方法として、いわゆる活性汚泥法と酸素注入法があ
る。
【0003】前者は浄化槽内にシート状の合成樹脂膜の
多数を垂下させ並設し、これに汚濁物質を除去するバク
テリアを付着させて汚濁水と広い面積で接触させ浄化す
るものであり(例えば、特開昭54-95973号公報) 、後者
は図7で示すように、汚濁水の沈殿池Dに給水パイプC
を通じて汚濁水を給水し、その中へ空気ポンプPと細い
空気穴の多数を設けたパイプBとを用いて空気を注入
し、生物化学的酸素要求量(いわゆる、BOD)を低下
させて微生物の活性化を図り、それによって汚濁物質を
分解させて沈殿させ除去するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、いずれの
場合も広大な沈殿池と、大型の設備を要する不具合があ
る他、前者は水質浄化に長い時間を要し、河川のような
大量の水処理には適さない。また、後者は積極的に酸素
を供給するため浄化効率が優れるものゝ、注入する空気
の吸収効率が低く、供給した空気の多くが再び臭気と共
に大気中へ放散してしまうので、機械設備が大型とな
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は上記した課題
を解消し、設備投資と運用効率の点で実用性の高い水質
改善装置を提供することを目的とするもので、沈殿池や
河川などからポンプで吸い上げられる処理用水の循環路
を設け、その循環路に耐圧容器と、この耐圧容器へ酸素
を供給する酸素供給源を介在させ、その耐圧容器内に加
圧された酸素源に接続して内部を酸素を多く含む雰囲気
とし、前記耐圧容器の上部には循環路の一部をなす給水
パイプおよび排水管を接続し、前記耐圧容器内の上部に
前記給水パイプに通じる入水口と底部に排水口とを開口
させ、前記耐圧容器の底部に落下した水は、その表面に
作用する酸素雰囲気の圧力によって前記排水口をなす排
水管の下端部へ押し込まれ、上昇して外部へ溢れ出し、
前記循環路を経て再び前記沈殿池や河川に還流し、さら
にこの循環路へ接続し、前記耐圧容器内の水面と高低差
を有する排水管の最上部に圧力調整弁を設け、この圧力
調整弁付近の水圧が大気圧未満に低下したときに該圧力
調整弁が開き大気を流入させると共に、底部に溜まった
水の水位を検出する検出器と、前記加圧酸素の圧力を調
節する調節手段を設けた点に特徴がある。
【0006】また、本発明の好ましい態様において、前
記耐圧容器内に拡散板を複数段設けることができる。本
発明の好ましいさらに他の態様において、前記入水口に
接続し前記耐圧容器内の最上部に処理用水を供給する給
水パイプに逆止弁を設けることができる。
【0007】
【作用】河川あるいは沈殿池からポンプで吸い上げられ
た汚濁水は循環路中に介装された耐圧容器5内へ導かれ
る。汚濁水は耐圧容器内の上部に開口した入水口から雫
状になって落下しつゝ、その容器内を満たす酸素と接触
しそれを吸収する。酸素を吸収して底部へ落下した水は
耐圧容器内の底へ溜まり、酸素の圧力を受けて排水口に
連なる排水パイプ3bを上昇して外部へ排出される。底
部の水へ作用する圧力の大きさは、水の水位によって制
御される。すなわち、検出器が底部に溜まった汚濁水の
水位を検知し、水位が予定より高ければ調節手段6cを
加減して耐圧容器内の圧力を上げ、水位が低ければ圧力
を下げる。
【0008】また、排水パイプ3bの最上部に設けた圧
力調整弁8が、該圧力調整弁8付近の圧力が大気圧より
低下した場合に作用して大気を直接酸素雰囲気内に流入
させ、耐圧容器内の圧力が大気圧より低下することを
ぎ、供給水量の増減に対して耐圧容器5内の圧力を最
低限維持し、酸素の溶解を保証する。耐圧容器内に設
けた複数の拡散板が、容器上部に開口した入水口から
落下する汚濁水を容器内に拡散させて酸素の吸収効率
を高める。給水パイプ3aに設けた逆止弁は、たとえ
ば、循環ポンプを停止した場合に汚濁水の逆流を防止
して耐圧容器内の酸素が給水パイプ3aを逆流して外
に抜けてしまうことを防止する。
【0009】
【実施例】以下、図示の実施例によってこの発明を説明
する。図1において、1は汚濁水を浄化するための沈殿
池であり、この実施例では河川や工場排水などの汚濁水
源に接続される受入水槽1aと、その受入水槽1aから
の溢水を受ける中間処理水槽1b、および、中間処理水
槽1bからの溢水を受ける放流水槽1cとで構成されて
いる。そして、受入水槽1aに受け入れた汚濁水は中間
処理水槽1bを経て放流水槽1cに至る間に、希釈され
た微量の処理液を注入され、鎮静化して混合物を沈殿さ
せることもある。
【0010】上記沈殿池1には浄化機能を向上させるた
め、酸素補充装置2が付設されている。酸素補充装置2
は上記放流水槽1cから受入水槽1aへ浄化水の一部を
循環させる循環路3に介装されている。4は循環路3に
設けた循環ポンプである。
【0011】酸素補充装置2は前記循環路3の中に介在
させた耐圧容器5と、この耐圧容器5へ酸素を供給する
酸素供給源6とを備えている。この実施例において酸素
供給源6は高圧酸素ボンベである。なお、酸素供給源6
は純粋な酸素を供給するものに限らず大気を加圧して供
給するものをも含む概念である。
【0012】図2は耐圧容器5の外観を示す。耐圧容器
5はステンレスや硬質合成樹脂など酸化し難い材料によ
って縦形円筒形に作られている。勿論、廉価な鋼板製の
容器に耐食塗装やメッキを施して用いるものを除外する
ものではない。耐圧容器5の上部には酸素ボンベその他
の酸素供給源6に連なる酸素パイプ6aと前記循環路3
の一部をなす給水パイプ3a、および排水パイプ3bが
接続されている。
【0013】酸素パイプ6aには流量調節弁6cが設け
られている。流量調節弁6cは電磁弁からなり、耐圧容
器5の底部に溜まった水の水位を一定にするよう圧力が
調節される。すなわち、耐圧容器5の側壁外面に縦方向
に配置したガラス管からなる水位ゲージ5aが設けら
れ、その中にはフロート5bが設けられている。水位ゲ
ージ5aの外面には前記フロート5bの位置を検出する
上下2対の検出器5c、5dが設けられている。
【0014】検出器5c、5dは発光器5eと受光器5
fとからなり、前記フロート5bがそられの間を昇降す
るように構成されている。そして、上検出器5cがフロ
ート5bを検出したとき、すなわち、耐圧容器5の圧力
が予定値を越えて低くなったとき、それを検知して信号
を発し、下検出器5dがフロート5bを検出したとき、
すなわち、耐圧容器5の圧力が予定値を越えて高くなっ
たとき、同様に信号を発する。そして、流量調節弁6c
の開度を調節するようにした、いわゆるフィードバック
制御がなされる。この実施例では耐圧容器5内の圧力は
約0.2Kg/cm2 であった。このように、酸素の圧
力を底部に溜まった水位で調節するようにすると、排水
パイプ3b側の通水抵抗が大きくなったとき、例えば沈
殿物が排水パイプ3bの中に沈殿したときにも、処理効
率を低下させないで済むからである。なお、5hは酸素
パイプ6a内の圧力を表示する圧力計、5jは耐圧容器
5の底部近傍に設けた排水、汚泥除去のためのドレイン
孔であり、通常はネジ蓋で閉じてある。
【0015】次に耐圧容器5の内部構造を図3によって
説明する。耐圧容器5の内部は上部に拡散板7が設けら
れ、内部が上下に二分されている。拡散板7の上方には
前記給水パイプ3aに通じる入水口が開口しており、循
環ポンプ4により給水パイプ3aを通じて送られる沈殿
池1の水が拡散板7の上面へ放出される。拡散板7には
多数の穴7aが穿設されており、拡散板7の上面へ放出
された水はその穴7aの縁を伝って無数の雫となって下
方へ滴下する。
【0016】拡散板7から滴下する水は、雰囲気をなす
酸素を吸収しつゝ落下し、底部へ溜まる。すなわち、拡
散板7から重力で落下する水は滴状あるいは粒状となっ
て表面積が増しているので、雰囲気をなす酸素との接触
機会が増す上に、耐圧容器5内は大気圧より高い酸素雰
囲気となっているから酸素の吸収が一層促進される。な
お、この拡散板7は耐圧容器5の内面に固定的に設置さ
れているが、回転する翼状とすることもできる。それに
よって、汚濁水を一層、微細化することができ水の表面
積を一段と増加させる可能性がある。また、その他にも
拡散板7に代えて、或いは拡散板7と共に給水パイプ3
aの開口部にノズルや噴霧器を設けることも可能であ
る。上記のように、拡散板を設けることにより、給水パ
イプ3aに通じる入水口と拡散板との高さの違いにより
処理水が拡散板に衝突して跳ね返り、処理水の落下行程
距離をかせぐことができる。拡散板を複数段、たとえば
図4に示すように上下2段に拡散板7,7’を設定すれ
ば、処理水の落下行程距離をさらにかせぐことができる
とともに、処理水の複数回の拡散板への衝突により水滴
の微粒化をさらに促進することができるので、酸素の吸
収効率のさらなる向上を図ることができる。なお、この
ような効果を得るために、上下2段に設けられた拡散板
7及び7’に穿設された多数の穴7aの位置が上段の拡
散板のそれと下段の拡散板のそれとで同一とならないよ
うにして、上段の拡散板の穴から落下した水滴が下段の
拡散板に衝突するようにする。なお、拡散板7,7’は
支持棒7bにより耐圧容器に取り付けられる。
【0017】このようにして、耐圧容器5の底部へ落下
した水は、その表面に作用する酸素雰囲気の圧力によっ
て排水口をなす排水パイプ3bの下端部へ押し込まれ、
上昇して外部へ溢れ出し、循環路3を経て再び受入水槽
1aへ還流する。
【0018】この循環路3において、たとえば図6に示
すように、排水パイプ3bの排出側の最下端が耐圧容器
5内の水面よりも低い場合、大気圧をP0 、耐圧容器内
の圧力をP1 、排水パイプ3bの排出側の最下端と耐圧
容器5内の水面との高低差をHa 、処理水の密度をγと
すれば、P1 >P0 −Ha γ であれば、耐圧容器内の
圧力P1 が大気圧P0 以下であっても、サイフォン効果
により耐圧容器5内の底部に溜まった処理水が排水パイ
プ3bを経て流出してしまい、耐圧容器5内の圧力が低
下し、処理水の酸素吸収効率の低下を招く。
【0019】そこで、図4および図5に示すように、排
水パイプ3bの最上部に圧力調整弁8を設け、該圧力調
整弁付近の水圧が大気圧をP0 未満に低下したときに該
弁が開き大気を流入させるようにすることが好ましい。
このようにすれば、耐圧容器5内の圧力がP1 >P0
Hγ (耐圧容器5内の水面と圧力調整弁8の作用点と
の高低差をHとする)でなければ、処理水が排水パイプ
3bを経て流出しない。従って、P1 >P0 +Hγ で
なければ正常な運転ができないことになり、常に耐圧容
器5内の圧力P1 を高く保持することができるので、酸
素の吸収効率を安定して高く保持することができる。そ
こで、定常運転時の耐圧容器5内の酸素圧の最低圧力は
排水パイプ3bの耐圧容器5内の流出口と最上部との高
低差H0(例えば、H0 が2m であれば0.2kg/cm
2 )を基準に設定する。
【0020】また、耐圧容器5内の酸素の圧力の調整
は、給水ポンプからの給水量のコントロールによって行
うことができる。給水ポンプからの給水量が増した場
合、排水パイプの内径は同一であるため、流量が増せば
排水パイプ中を流れる水の抵抗が増し、このため容器5
内の水面が上昇する。水面が上昇し上検出器5cがフロ
ート5bを検出したとき、流量調節弁6cが開いて容器
5内に酸素を供給して容器5内の圧力が増し、ある水面
高さに達したとき給水量と排水量が同量となって平衡に
達する。このとき、容器5内の酸素の圧力は給水量の増
大前に比べて高くなっているから、ヘンリードルトンの
法則により処理水への酸素溶解量が増大する。このよう
に、耐圧容器5内の圧力の調整を容器5内への給水量の
コントロールによって行うことができる。この実施例で
は、排水量が160〜170 l/minのとき耐圧容器5
内の圧力が0.2気圧、400 l/min のとき0.5気
圧であった。なお、排水パイプの下流側にバルブを設け
て流量を変えるようにした場合には、給水パイプからの
給水量を変化させることなく、容器5内の圧力を高めて
も、容器5内の液面の平衡状態を保持することができ
る。
【0021】なお、図4および図5に示すように、給水
パイプ3a中に逆止弁9を介在させれば、たとえば循環
ポンプ4を停止したとき汚濁水が逆流し、それに伴い耐
圧容器5内の酸素が給水パイプ3a内を逆流して流出し
てしまうことを防止することができるので、好ましい。
【0022】かくて、受入水槽1aから放流水槽1cに
至る間の汚濁水に多量の酸素が供給される結果、水中の
BODが増加して微生物の繁殖が活発となり、汚濁物質
の分解排除が促進される。その結果として、装置全体の
大きさを小型化できると共に臭気を大幅に減少させるこ
とができる。
【0023】なお、以上の説明ではこの発明を沈殿池の
改良に使用した例を示したが、この発明の本旨は沈殿池
に限るものではなく、直接に河川や工場排水を浄化する
装置をも含む概念であることはいう迄もない。
【0024】
【発明の効果】この発明は以上のように、汚濁水質改善
のための沈殿池に付設し、水質改善の効果を増し、沈殿
池を小型化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した沈殿池設備の断面図である。
【図2】その要部である耐圧容器の外面図である。
【図3】その一部を破断して示す図2相当の外観図であ
る。
【図4】本発明を適用した他の実施例における沈殿池設
備の断面図である。
【図5】本発明の他の実施例における耐圧容器の一部を
破断して示す外観図である。
【図6】排水パイプにおけるサイフォン効果の説明図で
ある。
【図7】従来の装置を示す図1相当の断面図である。
【符号の説明】
1a・・・受入水槽 1b・・・中間処理水槽 1c・・・放流水槽 3・・・循環路 3a・・・給水パイプ 3b・・・排水パイプ 5・・・耐圧容器 6・・・酸素供給源 7・・・拡散板 7’・・・拡散板 8・・・圧力調整弁 9・・・逆止弁

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】沈殿池や河川などからポンプで吸い上げら
    れる処理用水の循環路を設け、その循環路に耐圧容器
    と、この耐圧容器へ酸素を供給する酸素供給源を介在さ
    せ、その耐圧容器内に加圧された酸素源に接続して内部
    を酸素を多く含む雰囲気とし、前記耐圧容器の上部には
    循環路の一部をなす給水パイプおよび排水管を接続し、
    前記耐圧容器内の上部に前記給水パイプに通じる入水口
    と底部に排水口とを開口させ、前記耐圧容器の底部に落
    下した水は、その表面に作用する酸素雰囲気の圧力によ
    って前記排水口をなす排水管の下端部へ押し込まれ、上
    昇して外部へ溢れ出し、前記循環路を経て再び前記沈殿
    池や河川に還流し、さらにこの循環路へ接続し、前記耐
    圧容器内の水面と高低差を有する排水管の最上部に圧力
    調整弁を設け、この圧力調整弁付近の水圧が大気圧未満
    に低下したときに該圧力調整弁が開き大気を流入させ
    と共に、底部に溜まった水の水位を検出する検出器と、
    前記加圧酸素の圧力を調節する調節手段を設けてなる水
    中への酸素補充装置。
  2. 【請求項2】前記耐圧容器内に拡散板を複数段設けてな
    る、請求項1に記載の水中への酸素補充装置。
  3. 【請求項3】前記入水口に接続し前記耐圧容器内の最上
    部に処理用水を供給する給水パイプに逆止弁を設けてな
    る、請求項1または2に記載の水中への酸素補充装置。
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