JP3375343B2 - 洗濯により消臭機能を再生する耐洗濯性機能回復消臭加工剤 - Google Patents
洗濯により消臭機能を再生する耐洗濯性機能回復消臭加工剤Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維製品に処理される
消臭性物質として二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミ
ニウム、過酸化カリウムの複合物微粉末を、被処理物に
機能を低下させずに強固に接着させ、洗濯、ドライクリ
ーニングによっても脱落がなく、悪臭を飽和状態にまで
吸収し、失った機能を洗濯のたびに回復する耐洗濯性機
能回復消臭加工剤に関する。 【０００２】 【従来の技術】一般の悪臭の発生場所は、主として食品
関係の野菜、魚介類などから出る生ごみ類の腐敗臭、ま
た、寝具類、衣類など生活用品から発生する臭気、し
尿、ペット類あるいは生活環境からの臭気、その他化学
工場、交通機関などによる外気からの悪臭の侵入など多
くの原因が考えられる。 【０００３】悪臭を構成する代表的なものは、メチルメ
ルカプタン、エチルメルカプタン、ジメチルサルファイ
ド、ジエチルサルファイド、硫化水素、硫化メチルなど
の硫黄化合物、また、メチルアミン、エチルアミン、ジ
メチルアミン、トリメチルアミン、アンモニア、インド
ールなどの窒素化合物がある。これらは、野菜や魚介類
の腐敗をはじめ、ペットその他生活環境からの発生も考
えられる。このほかにプロピオン酸、酪酸などの低級脂
肪酸、フェノール、チオフェノール、フォルマリン、ア
セトアルデヒド、スチレン、アセトンなどの化学物質も
悪臭を構成する成分である。 【０００４】従来の消臭方法は、香料など芳香性物質に
よるマスキング法、活性炭による吸着法、過マンガン酸
カリなどの酸化剤による酸化法、その他、酸やアルカリ
による中和法、水溶性臭気の水洗法、換気による拡散法
など種々あるが、家庭内で使用できる方法は限られてお
り、マスキング法、吸着法、拡散法などである。 【０００５】消臭法で最も簡単な方法はマスキング法で
ある。この方法は、香料のような芳香性の良い物質を室
内に微量発散させ、その芳香によって悪臭を感じさせな
いようにする方法で、家庭においては室内、玄関あるい
はトイレなどに設置して使用されている。しかし、いく
ら芳香であっても人間には個人差があるので、万人が芳
香と感じるものでもない。また、香料の濃度によって
は、それが逆に悪臭になる場合もある。一般によく冷蔵
庫などで使用されている活性炭は、悪臭を吸収して消臭
するもので、古くから使用されているものである。しか
し、一定の室内や冷蔵庫のように狭い庫内では有効であ
っても、広いところでは充分な効果を発揮することはで
きない。 【０００６】従来から一般的に使用されている消臭剤
は、活性炭、硫酸鉄亜鉛化合物、アルミニウム塩、珪酸
塩類などの無機塩、クエン酸、アスコルビン酸鉄などの
ほか、各種の植物油抽出物、例えば、つばき科植物、く
すのき科植物は特開昭５３−６６４３４、また、緑茶の
抽出物として特開昭５８−１９０４４５に、消臭、脱臭
剤としての応用が開示されている。また、葉緑素の主成
分であるクロロフィルも消臭の効果を有することが知ら
れている。しかし、これらの化合物は、よく知られてい
るにもかかわらず、その効果についてはもの足りないも
のであって、もう一歩進んだ消臭剤の出現が強く望まれ
ている現状である。 【０００７】消臭性物質として鉱物微粒子粉末を用い、
繊維製品あるいはフィルターなどに加工するためには、
接着性を有する耐水性バインダーが必要になる。従来、
このような目的に使用されるバインダーとしては、多く
の高分子化合物である樹脂エマルジョンまたはラテック
ス類が使用されているが、このような高分子化合物は、
耐水性バインダーでも多孔質な鉱物質の消臭機能を阻害
するものもある。 【０００８】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉱物微粒子
粉末を消臭性物質として用い、これを天然繊維または合
成繊維あるいはこれらの混紡品の繊維製品に、バインダ
ーで付着処理するものにおいて、悪臭を飽和状態にまで
吸収して、消滅した機能が水洗濯またはドライクリーニ
ングによって簡単に、その消臭機能を再生させることが
できるようにするための耐洗濯性機能回復消臭加工剤を
提供することを目的とする。 【０００９】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を進めた結果、消臭性物質とし
て二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化
カリウムの複合物微粉末と特定のバインダーを用いるこ
とにより、消臭機能に全く影響を与えることなく、しか
も、水洗濯またはドライクリーニングによって消臭機能
を回復できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。 【００１０】すなわち、本発明は、二酸化ケイ素、酸化
亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの複合物微粉
末を消臭性物質とし、これと天然繊維または合成繊維あ
るいはこれらの混紡品の繊維製品に処理する耐水性バイ
ンダーとして自己架橋型アクリル酸エステルまたはメタ
アクリル酸エステルよりなることを特徴とする洗濯によ
り消臭機能を再生する耐洗濯性機能回復消臭加工剤であ
る。 【００１１】本発明の耐洗濯性機能回復消臭加工剤は、
二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カ
リウムの複合物微粉末を被処理物の表面に強固に固着さ
せると共に、消臭機能に全く影響を与えることがなく、
しかも、普通の水洗濯、ドライクリーニングにおいて、
１０回以上の洗濯に耐える優れたものである。さらに、
この洗濯において、悪臭を飽和状態にまで吸収して、一
度失った機能を、洗濯のたびに悪臭が洗い出され初期の
性能に近く回復する。 【００１２】本発明において、耐水性バインダーとして
綿、ウール、絹、麻などの天然繊維あるいは各種合成繊
維またはこれらの混紡繊維品に使用できる高分子樹脂エ
マルジョンは、自己架橋型アクリル酸エステルまたはメ
タアクリル酸エステルであり、処理後、耐水性の皮膜を
形成する。この樹脂のバインダーとしての使用量は、ア
ルミノケイ酸亜鉛微粉末に対し１０〜６０重量％、好ま
しくは２０〜４０重量％（以下、すべて重量％で示す）
である。本発明に使用する耐水性バインダーには、消臭
機能を有するものはない。 【００１３】本発明に使用する二酸化ケイ素、酸化亜
鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの複合物微粉末
は、商品名「ミズカナイトＡＰ」（水澤化学工業（株）
製品）として販売されているものである。この二酸化ケ
イ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの
複合物微粉末の比表面積は２００ｍ2 ／ｇ以上、細孔の
容積は０．４ml／ｇ以上である。その消臭機能は、１０
〜５０Åの細孔による物理的作用と言われている。この
二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カ
リウムの複合物微粉末は、非イオン界面活性剤または／
およびアニオン界面活性剤を３〜３０％、好ましくは５
〜２０％使用し、上記複合微粉末の１０〜５０％、好ま
しくは２０〜４０％水分散液として使用する。 【００１４】本発明における耐洗濯性機能回復消臭加工
の応用できるものは、繊維製品では布団、毛布、枕、シ
ーツ、カバー、寝巻きなどの寝具類、ソファー、カーテ
ン、スポーツウェアの他、ワイシャツ、スーツ等の一般
衣類、室内装飾品また病院における患者の衣類をはじ
め、ベッド用品あるいはホテル、旅館などで使用される
衣類、タオル類、寝具類あるいはフロアー、廊下の敷物
など多くに亘り、その効果が期待できるものである。本
発明の耐洗濯性機能回復消臭加工剤は、抗菌剤、防黴
剤、着色剤、紫外線吸収剤また他の消臭剤との併用も可
能である。 【００１５】 【作用】本発明は、消臭性物質として二酸化ケイ素、酸
化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの複合物微
粉末を、衣類、寝具類、スポーツウェアーその他の繊維
製品に応用するものであるが、この二酸化ケイ素、酸化
亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの複合物微粉
末を固定するためのバインダーとして、自己架橋型アク
リル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルを用いる
ことにより、１０回以上の耐洗濯性または耐ドライクリ
ーニング性が得られる。本発明において用いる上記バイ
ンダーは、消臭性能をほとんど低下させずに、優れた耐
洗濯性および耐ドライクリーニング性を付与すると共
に、悪臭を飽和状態近くまで吸収したものが、洗濯のた
びに悪臭成分が洗い出されて、初期の性能に近い性能に
まで回復するものである。 【００１６】 【実施例】実施例１ ミズカナイトＡＰ（水澤化学工業（株）製品）３００ｇ
を６９４ｇの水に加え、分散剤としてディスコートＮ−
１４（第一工業薬品（株）製品）２０ｇ、レオコールＳ
Ｃ−９０（ライオン（株）製品）２０ｇ、および増粘剤
としてポリアクリル酸ソーダ１ｇを加えた後、ＴＫホモ
ジスパー（特殊機化工業（株））を使用し、回転数５，
０００〜６，０００ｐｐｍにて２０分間強力攪拌を行な
い、安定な分散液を得た。 【００１７】この分散液２０部に下記バインダーを各５
部宛、７５部の水に加え良く攪拌して均一な液とした
後、綿ブロード（１２０ｇ／ｍ2 ）を浸漬、絞り率１０
０％になるようマングルで絞った後、８０〜８５℃で１
０分間予備乾燥を行ない、１３０℃で２分間キュアーを
行ない、洗濯試験および消臭試験を行なった。 【００１８】（１）実験に使用したバインダー（純分４
０〜５０％） プライマルＨＡ−１６（日本アクリル（株）アクリル
樹脂） ポリゾール １１６５（昭和高分子（株）アクリル樹
脂） 【００１９】（２）洗濯試験方法 洗濯試験は、ＪＩＳ Ｌ０２１７の１０３法によって行
ない、自然乾燥後、消臭効果の評価を行なった。 【００２０】（３）消臭試験方法 消臭試験に供した試験布は５６０ｃｍ2 のものを使用し
た。消臭試験は内容積６．５リットルのデシケーターに
試験布を吊るし、各濃度になるようにアンモニア、トリ
メチルアミン、硫化水素をそれぞれデシケーター内に封
じ込んだ後、それぞれの濃度を追跡した。 【００２１】実験に使用した悪臭成分およびデシケータ
ー内の初期濃度は、次のとおりである。 アンモニア １３００ｐｐｍ トリメチルアミン １６０ｐｐｍ 硫化水素 ２０ｐｐｍ 【００２２】悪臭ガスの濃度測定には、ガステック社製
のガス検知管により行った。また、処理布の洗濯前、洗
濯後およびドライクリーニング前、後における消臭効力
試験を、各悪臭について行った。 【００２３】アンモニアに対する効力試験の結果を表１
に示す。 【表１】 【００２４】トリメチルアミンに対する効力試験の結果
を表２に示す。 【表２】【００２５】硫化水素に対する効力試験の結果を表３に
示す。 【表３】 【００２６】 【発明の効果】本発明の耐水性バインダーにより、二酸
化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウ
ムの複合物微粉末を天然繊維または合成繊維あるいはこ
れらの混紡品の繊維製品に処理すると、消臭成分として
使用するアルミノケイ酸亜鉛が悪臭を飽和状態にまで取
り込んだ後、通常の洗濯またはドライクリーニングをす
ることで悪臭成分を洗い流し、再び初期の消臭機能に再
生できるので、１０回以上、条件によっては１００回以
上の洗浄においても、なお、その機能を消失しない効果
がある。
消臭性物質として二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミ
ニウム、過酸化カリウムの複合物微粉末を、被処理物に
機能を低下させずに強固に接着させ、洗濯、ドライクリ
ーニングによっても脱落がなく、悪臭を飽和状態にまで
吸収し、失った機能を洗濯のたびに回復する耐洗濯性機
能回復消臭加工剤に関する。 【０００２】 【従来の技術】一般の悪臭の発生場所は、主として食品
関係の野菜、魚介類などから出る生ごみ類の腐敗臭、ま
た、寝具類、衣類など生活用品から発生する臭気、し
尿、ペット類あるいは生活環境からの臭気、その他化学
工場、交通機関などによる外気からの悪臭の侵入など多
くの原因が考えられる。 【０００３】悪臭を構成する代表的なものは、メチルメ
ルカプタン、エチルメルカプタン、ジメチルサルファイ
ド、ジエチルサルファイド、硫化水素、硫化メチルなど
の硫黄化合物、また、メチルアミン、エチルアミン、ジ
メチルアミン、トリメチルアミン、アンモニア、インド
ールなどの窒素化合物がある。これらは、野菜や魚介類
の腐敗をはじめ、ペットその他生活環境からの発生も考
えられる。このほかにプロピオン酸、酪酸などの低級脂
肪酸、フェノール、チオフェノール、フォルマリン、ア
セトアルデヒド、スチレン、アセトンなどの化学物質も
悪臭を構成する成分である。 【０００４】従来の消臭方法は、香料など芳香性物質に
よるマスキング法、活性炭による吸着法、過マンガン酸
カリなどの酸化剤による酸化法、その他、酸やアルカリ
による中和法、水溶性臭気の水洗法、換気による拡散法
など種々あるが、家庭内で使用できる方法は限られてお
り、マスキング法、吸着法、拡散法などである。 【０００５】消臭法で最も簡単な方法はマスキング法で
ある。この方法は、香料のような芳香性の良い物質を室
内に微量発散させ、その芳香によって悪臭を感じさせな
いようにする方法で、家庭においては室内、玄関あるい
はトイレなどに設置して使用されている。しかし、いく
ら芳香であっても人間には個人差があるので、万人が芳
香と感じるものでもない。また、香料の濃度によって
は、それが逆に悪臭になる場合もある。一般によく冷蔵
庫などで使用されている活性炭は、悪臭を吸収して消臭
するもので、古くから使用されているものである。しか
し、一定の室内や冷蔵庫のように狭い庫内では有効であ
っても、広いところでは充分な効果を発揮することはで
きない。 【０００６】従来から一般的に使用されている消臭剤
は、活性炭、硫酸鉄亜鉛化合物、アルミニウム塩、珪酸
塩類などの無機塩、クエン酸、アスコルビン酸鉄などの
ほか、各種の植物油抽出物、例えば、つばき科植物、く
すのき科植物は特開昭５３−６６４３４、また、緑茶の
抽出物として特開昭５８−１９０４４５に、消臭、脱臭
剤としての応用が開示されている。また、葉緑素の主成
分であるクロロフィルも消臭の効果を有することが知ら
れている。しかし、これらの化合物は、よく知られてい
るにもかかわらず、その効果についてはもの足りないも
のであって、もう一歩進んだ消臭剤の出現が強く望まれ
ている現状である。 【０００７】消臭性物質として鉱物微粒子粉末を用い、
繊維製品あるいはフィルターなどに加工するためには、
接着性を有する耐水性バインダーが必要になる。従来、
このような目的に使用されるバインダーとしては、多く
の高分子化合物である樹脂エマルジョンまたはラテック
ス類が使用されているが、このような高分子化合物は、
耐水性バインダーでも多孔質な鉱物質の消臭機能を阻害
するものもある。 【０００８】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉱物微粒子
粉末を消臭性物質として用い、これを天然繊維または合
成繊維あるいはこれらの混紡品の繊維製品に、バインダ
ーで付着処理するものにおいて、悪臭を飽和状態にまで
吸収して、消滅した機能が水洗濯またはドライクリーニ
ングによって簡単に、その消臭機能を再生させることが
できるようにするための耐洗濯性機能回復消臭加工剤を
提供することを目的とする。 【０００９】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を進めた結果、消臭性物質とし
て二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化
カリウムの複合物微粉末と特定のバインダーを用いるこ
とにより、消臭機能に全く影響を与えることなく、しか
も、水洗濯またはドライクリーニングによって消臭機能
を回復できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。 【００１０】すなわち、本発明は、二酸化ケイ素、酸化
亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの複合物微粉
末を消臭性物質とし、これと天然繊維または合成繊維あ
るいはこれらの混紡品の繊維製品に処理する耐水性バイ
ンダーとして自己架橋型アクリル酸エステルまたはメタ
アクリル酸エステルよりなることを特徴とする洗濯によ
り消臭機能を再生する耐洗濯性機能回復消臭加工剤であ
る。 【００１１】本発明の耐洗濯性機能回復消臭加工剤は、
二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カ
リウムの複合物微粉末を被処理物の表面に強固に固着さ
せると共に、消臭機能に全く影響を与えることがなく、
しかも、普通の水洗濯、ドライクリーニングにおいて、
１０回以上の洗濯に耐える優れたものである。さらに、
この洗濯において、悪臭を飽和状態にまで吸収して、一
度失った機能を、洗濯のたびに悪臭が洗い出され初期の
性能に近く回復する。 【００１２】本発明において、耐水性バインダーとして
綿、ウール、絹、麻などの天然繊維あるいは各種合成繊
維またはこれらの混紡繊維品に使用できる高分子樹脂エ
マルジョンは、自己架橋型アクリル酸エステルまたはメ
タアクリル酸エステルであり、処理後、耐水性の皮膜を
形成する。この樹脂のバインダーとしての使用量は、ア
ルミノケイ酸亜鉛微粉末に対し１０〜６０重量％、好ま
しくは２０〜４０重量％（以下、すべて重量％で示す）
である。本発明に使用する耐水性バインダーには、消臭
機能を有するものはない。 【００１３】本発明に使用する二酸化ケイ素、酸化亜
鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの複合物微粉末
は、商品名「ミズカナイトＡＰ」（水澤化学工業（株）
製品）として販売されているものである。この二酸化ケ
イ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの
複合物微粉末の比表面積は２００ｍ2 ／ｇ以上、細孔の
容積は０．４ml／ｇ以上である。その消臭機能は、１０
〜５０Åの細孔による物理的作用と言われている。この
二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カ
リウムの複合物微粉末は、非イオン界面活性剤または／
およびアニオン界面活性剤を３〜３０％、好ましくは５
〜２０％使用し、上記複合微粉末の１０〜５０％、好ま
しくは２０〜４０％水分散液として使用する。 【００１４】本発明における耐洗濯性機能回復消臭加工
の応用できるものは、繊維製品では布団、毛布、枕、シ
ーツ、カバー、寝巻きなどの寝具類、ソファー、カーテ
ン、スポーツウェアの他、ワイシャツ、スーツ等の一般
衣類、室内装飾品また病院における患者の衣類をはじ
め、ベッド用品あるいはホテル、旅館などで使用される
衣類、タオル類、寝具類あるいはフロアー、廊下の敷物
など多くに亘り、その効果が期待できるものである。本
発明の耐洗濯性機能回復消臭加工剤は、抗菌剤、防黴
剤、着色剤、紫外線吸収剤また他の消臭剤との併用も可
能である。 【００１５】 【作用】本発明は、消臭性物質として二酸化ケイ素、酸
化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの複合物微
粉末を、衣類、寝具類、スポーツウェアーその他の繊維
製品に応用するものであるが、この二酸化ケイ素、酸化
亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウムの複合物微粉
末を固定するためのバインダーとして、自己架橋型アク
リル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルを用いる
ことにより、１０回以上の耐洗濯性または耐ドライクリ
ーニング性が得られる。本発明において用いる上記バイ
ンダーは、消臭性能をほとんど低下させずに、優れた耐
洗濯性および耐ドライクリーニング性を付与すると共
に、悪臭を飽和状態近くまで吸収したものが、洗濯のた
びに悪臭成分が洗い出されて、初期の性能に近い性能に
まで回復するものである。 【００１６】 【実施例】実施例１ ミズカナイトＡＰ（水澤化学工業（株）製品）３００ｇ
を６９４ｇの水に加え、分散剤としてディスコートＮ−
１４（第一工業薬品（株）製品）２０ｇ、レオコールＳ
Ｃ−９０（ライオン（株）製品）２０ｇ、および増粘剤
としてポリアクリル酸ソーダ１ｇを加えた後、ＴＫホモ
ジスパー（特殊機化工業（株））を使用し、回転数５，
０００〜６，０００ｐｐｍにて２０分間強力攪拌を行な
い、安定な分散液を得た。 【００１７】この分散液２０部に下記バインダーを各５
部宛、７５部の水に加え良く攪拌して均一な液とした
後、綿ブロード（１２０ｇ／ｍ2 ）を浸漬、絞り率１０
０％になるようマングルで絞った後、８０〜８５℃で１
０分間予備乾燥を行ない、１３０℃で２分間キュアーを
行ない、洗濯試験および消臭試験を行なった。 【００１８】（１）実験に使用したバインダー（純分４
０〜５０％） プライマルＨＡ−１６（日本アクリル（株）アクリル
樹脂） ポリゾール １１６５（昭和高分子（株）アクリル樹
脂） 【００１９】（２）洗濯試験方法 洗濯試験は、ＪＩＳ Ｌ０２１７の１０３法によって行
ない、自然乾燥後、消臭効果の評価を行なった。 【００２０】（３）消臭試験方法 消臭試験に供した試験布は５６０ｃｍ2 のものを使用し
た。消臭試験は内容積６．５リットルのデシケーターに
試験布を吊るし、各濃度になるようにアンモニア、トリ
メチルアミン、硫化水素をそれぞれデシケーター内に封
じ込んだ後、それぞれの濃度を追跡した。 【００２１】実験に使用した悪臭成分およびデシケータ
ー内の初期濃度は、次のとおりである。 アンモニア １３００ｐｐｍ トリメチルアミン １６０ｐｐｍ 硫化水素 ２０ｐｐｍ 【００２２】悪臭ガスの濃度測定には、ガステック社製
のガス検知管により行った。また、処理布の洗濯前、洗
濯後およびドライクリーニング前、後における消臭効力
試験を、各悪臭について行った。 【００２３】アンモニアに対する効力試験の結果を表１
に示す。 【表１】 【００２４】トリメチルアミンに対する効力試験の結果
を表２に示す。 【表２】【００２５】硫化水素に対する効力試験の結果を表３に
示す。 【表３】 【００２６】 【発明の効果】本発明の耐水性バインダーにより、二酸
化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、過酸化カリウ
ムの複合物微粉末を天然繊維または合成繊維あるいはこ
れらの混紡品の繊維製品に処理すると、消臭成分として
使用するアルミノケイ酸亜鉛が悪臭を飽和状態にまで取
り込んだ後、通常の洗濯またはドライクリーニングをす
ることで悪臭成分を洗い流し、再び初期の消臭機能に再
生できるので、１０回以上、条件によっては１００回以
上の洗浄においても、なお、その機能を消失しない効果
がある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 宮本 匡章
千葉県市川市大和田１丁目７番６号 コ
ーポ大喜106号
(72)発明者 鶴岡 理文
千葉県市川市南八幡１丁目４番４号
(72)発明者 川崎 賢治
東京都杉並区西荻南４丁目８番15号
(56)参考文献 特開 平１−250269（ＪＰ，Ａ)
特開 平３−48603（ＪＰ，Ａ)
特開 平２−47374（ＪＰ，Ａ)
特開 平４−104835（ＪＰ，Ａ)
実開 昭63−137643（ＪＰ，Ｕ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
A61L 9/16
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニ
ウム、過酸化カリウムの複合物微粉末を消臭物質とし、
これと天然繊維または合成繊維あるいはこれらの混紡品
の繊維製品に処理する耐水性バインダーとして自己架橋
型アクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルよ
りなることを特徴とする洗濯により消臭機能を再生する
耐洗濯性機能回復消臭加工剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24411091A JP3375343B2 (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 洗濯により消臭機能を再生する耐洗濯性機能回復消臭加工剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24411091A JP3375343B2 (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 洗濯により消臭機能を再生する耐洗濯性機能回復消臭加工剤 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0557007A JPH0557007A (ja) | 1993-03-09 |
| JP3375343B2 true JP3375343B2 (ja) | 2003-02-10 |
Family
ID=17113911
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24411091A Expired - Lifetime JP3375343B2 (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 洗濯により消臭機能を再生する耐洗濯性機能回復消臭加工剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3375343B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4667485B2 (ja) * | 2008-04-21 | 2011-04-13 | 花王株式会社 | 吸収性物品 |
| JP2016098460A (ja) * | 2014-11-21 | 2016-05-30 | カースル株式会社 | 機能性不織布 |
| JPWO2020196395A1 (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 |
-
1991
- 1991-08-30 JP JP24411091A patent/JP3375343B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0557007A (ja) | 1993-03-09 |
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