JP3373975B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP3373975B2
JP3373975B2 JP12464295A JP12464295A JP3373975B2 JP 3373975 B2 JP3373975 B2 JP 3373975B2 JP 12464295 A JP12464295 A JP 12464295A JP 12464295 A JP12464295 A JP 12464295A JP 3373975 B2 JP3373975 B2 JP 3373975B2
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雅幸 畑
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の井戸層および複
数の障壁層が交互に積層されてなる多重量子井戸構造の
活性層を有する半導体レーザ素子、発光ダイオード等の
半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、発振しきい値電流の低減、温度特
性の改善、発振波長の短波長化等の目的で多重量子井戸
構造の活性層を有する半導体レーザ素子が開発されてい
る。特に、発光効率の向上および動作電流の低減のため
に、例えば、14th IE3 Intl. Semiconductor Laser Con
f. W3.5, p.206, Hiroyama et al. に歪補償多重量子井
戸構造の活性層を有する半導体レーザ素子が報告されて
いる。
【0003】図11従来の半導体レーザ素子における主
要部の歪補償型多重量子井戸構造の活性層(以下、MQ
W活性層と呼ぶ)のエネルギーバンド図である。図11
に示すように、MQW活性層4は、4つの障壁層41お
よび3つの井戸層42が交互に積層されてなる。両側の
障壁層41の外側には光ガイド層43を介してそれぞれ
n−クラッド層3およびp−クラッド層7が設けられて
いる。
【0004】障壁層41は井戸層42よりも大きなバン
ドギャップを有する。また、障壁層41の格子定数は基
板の格子定数よりも大きく設定されており、井戸層42
の格子定数は基板の格子定数よりも小さく設定されてい
る。それにより、障壁層41は基板に対して圧縮歪を有
し、井戸層42は基板に対して引張り歪を有する。図1
1において、圧縮歪を”/”で示し、引張り歪を”×”
で示す。
【0005】図12は図11の半導体レーザ素子におけ
るMQW活性層4の価電子帯の詳細なエネルギーバンド
図である。図12において、HHは重い正孔の準位を示
し、LHは軽い正孔の準位を示す。重い正孔は軽い正孔
に比べて有効質量が大きく、移動度は小さい。ここで、
図13〜図15を参照しながら、重い正孔および軽い正
孔のエネルギーバンドを説明する。
【0006】図13は無歪の半導体層のエネルギーバン
ド構造を示す図、図14は引張り歪を有する半導体層の
エネルギーバンド構造を示す図、図15は圧縮歪を有す
る半導体層のエネルギーバンド構造を示す図である。こ
こで、無歪の半導体層とは基板と格子整合している半導
体層を意味する。図13〜図15において、横軸は波数
kを表わす。
【0007】図13に示すように、無歪の半導体層で
は、重い正孔のエネルギーバンドhhの頂上と軽い正孔
のエネルギーバンドlhの頂上とが一致している。一
方、図14に示すように、引張り歪を有する半導体層で
は、軽い正孔のエネルギーバンドlhの頂上が重い正孔
のエネルギーバンドhhの頂上よりも高くなっている。
したがって、正孔の基底状態は軽い正孔である。また、
図15に示すように、圧縮歪を有する半導体層では、重
い正孔のエネルギーバンドhhの頂上が軽い正孔のエネ
ルギーバンドlhの頂上よりも高くなっている。したが
って、正孔の基底状態は重い正孔である。
【0008】再び図12において、障壁層41は圧縮歪
を有するので、重い正孔の準位HHが軽い正孔の準位よ
りもエネルギーの高い位置にあり、正孔の基底状態は重
い正孔となる。一方、井戸層42は引張り歪を有するの
で、軽い正孔の準位LHが重い正孔の準位よりもエネル
ギーの高い位置にあり,正孔の基底状態は軽い正孔とな
る。重い正孔のエネルギーは軽い正孔エネルギーよりも
10〜20meV低い。 このようなMQW活性層4で
は、重い正孔の連続準位(連続状態)HCが軽い正孔の
連続準位(連続状態)LCよりもエネルギーの高い位置
より始まる。また、両側の障壁層41に接する光ガイド
層43は基板と格子整合し、すなわち無歪である。
【0009】したがって、MQW活性層4へは、p−ク
ラッド層7から光ガイド層43を介して主に重い正孔が
注入される。この場合、重い正孔は大きな有効質量を有
し、移動度が小さいので、MQW活性層4中でp−クラ
ッド層7側の井戸層42に多くの正孔が注入され易くな
る。なお、応用物理学会93年春季全国大会予稿集31
p−C−6,p.1088および同31p−C−8,
p.1089に報告されているように、有効質量が小さ
く、移動度が大きいキャリアほどMQW活性層内に均一
に注入され易いことが知られている。
【0010】また、MQW活性層の障壁層が無歪の場合
には、図13に示したように、重い正孔のエネルギー準
位と軽い正孔のエネルギー準位とが一致している。この
場合、重い正孔の状態密度が軽い正孔の状態密度よりも
大きいため、p−クラッド層からMQW活性層ヘは軽い
正孔より重い正孔の方が多く注入される。この場合にお
いても、MQW活性層中でp−クラッド層側の井戸層に
多くの正孔が注入され易くなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のMQW活性層4
においては、p−クラッド層7側の井戸層42に多くの
正孔が注入され、MQW活性層4の全体に均一に正孔が
注入されにくくなる。この結果、半導体レーザ素子のし
きい値電流および動作電流が増大することになる。ま
た、MQW活性層4に正孔が不均一に注入されると、キ
ャリアの再結合時間が長くなり、緩和時間が増大する。
ここで、緩和時間とは、半導体レーザ素子に供給する電
流をオフしてから実際に出射レーザ光がオフするまでの
時間である。緩和時間が増大すると、半導体レーザ素子
の高速変調が困難となる。
【0012】本発明の目的は、歪補償多重量子井戸構造
を有する活性層の全体に正孔を均一に注入することがで
きる半導体発光素子を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体発光
素子は、複数の井戸層および圧縮歪を有するかまたは歪
を有さない複数の障壁層が交互に積層されてなる多重量
子井戸構造の活性層をn型クラッド層およびp型クラッ
ド層の間に配置してなる半導体発光素子において、p型
クラッド層と活性層との間に、p型クラッド層よりも小
さいバンドギャップを有しかつ引張り歪を有する引張り
歪層を設けたものである。
【0014】特に、引張り歪層の正孔の基底状態のエネ
ルギーが活性層の軽い正孔の連続状態のエネルギーとほ
ぼ等しいかまたは活性層の軽い正孔の連続状態のエネル
ギーよりも低いことが好ましい。
【0015】また、多重量子井戸構造の複数の障壁層が
圧縮歪を有していてもよい。さらに、多重量子井戸構造
の複数の井戸層が引張り歪を有していてもよい。さら
に、複数の障壁層の各々は、圧縮歪を有する層および引
張り歪を有する層が積層されてなり、圧縮歪を有する層
の正孔のエネルギーが引張り歪を有する層の正孔のエネ
ルギーよりも高いことが好ましい。
【0016】
【作用】本発明に係る半導体発光素子においては、活性
層とp型クラッド層との間にp型クラッド層よりも小さ
いバンドギャップを有しかつ引張り歪を有する引張り歪
層が設けられている。この引張り歪層では、軽い正孔の
準位が重い正孔の準位よりもエネルギーの高い位置にあ
り、正孔の基底状態は軽い正孔となる。したがって、p
型クラッド層から注入された正孔は、まず引張り歪層中
で主として軽い正孔となり、その軽い正孔が活性層に注
入される。
【0017】このとき、軽い正孔は、重い正孔と比較し
て活性層の厚み方向の有効質量が小さく、移動度が大き
い。したがって、活性層に注入された軽い正孔の大部分
は、重い正孔に緩和せずに軽い正孔のままで活性層中の
全ての井戸層に均一に注入され易くなる。その結果、半
導体発光素子のしきい値電流および動作電流が低減され
る。また、緩和時間も短くなり、半導体発光素子の高速
変調が可能となる。
【0018】特に、引張り歪層の正孔の基底状態のエネ
ルギーが活性層の軽い正孔の連続状態のエネルギーとほ
ぼ等しいかまたは活性層の軽い正孔の連続状態のエネル
ギーよりも低い場合には、より多くの正孔が活性層に軽
い正孔として注入される。
【0019】また、多重量子井戸構造の複数の障壁層が
圧縮歪を有する場合には、それらの圧縮歪を有する障壁
層では、重い正孔の準位が軽い正孔の準位よりもエネル
ギーの高い位置にあり、正孔の基底状態は重い正孔とな
る。このような活性層では、最もエネルギーの高い連続
状態は重い正孔の連続準位となる。この場合には、活性
層への正孔の注入の均一性を改善する効果がより大きく
なる。
【0020】さらに、多重量子井戸構造の複数の井戸層
が引張り歪を有する場合には、引張り歪を有する井戸層
では、軽い正孔の準位が重い正孔の準位よりもエネルギ
ーの高い位置にあり、正孔の基底状態は軽い正孔とな
る。この場合にも、活性層への正孔の注入の均一性を改
善する効果がより大きくなる。
【0021】特に、多重量子井戸構造の複数の井戸層が
引張り歪を有し、複数の障壁層が圧縮歪を有する場合に
は、活性層への正孔の注入の均一性を改善する効果が特
に大きくなる。
【0022】また、複数の障壁層の各々が圧縮歪を有す
る層および引張り歪を有する層からなる場合には、活性
層中で軽い正孔が重い正孔へ緩和することが抑制され
る。その結果、活性層への正孔の注入の不均一性がさら
に改善される。
【0023】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例における埋め込
みリッジ構造のAlGaInP系半導体レーザ素子の構
造を示す断面図である。
【0024】図1において、n−GaAs基板1は、面
方位が(100)面から[011]方向に9°傾斜した
結晶成長面を有する。n−GaAs基板1上にn−Ga
0.51In0.49Pからなるn−バッファ層2、n−(Al
0.7 Ga0.3 0.51In0.49Pからなるn−クラッド層
3、およびMQW活性層4が順に形成されている。MQ
W活性層4は、(Al0.5 Ga0.5 0.51In0.49Pか
らなる光ガイド層43上に(Al0.5 Ga0.5 0.45
0.55Pからなる4層の圧縮歪障壁層41およびGa
0.6 In0.4 Pからなる3層の引張り歪井戸層42が交
互に積層されてなる。
【0025】MQW活性層4上には、(Al0.5 Ga
0.5 0.56In0.44Pからなる引張り歪層5、(Al
0.57Ga0.430.51In0.49Pからなる光ガイド層6お
よび多重量子障壁層7が順に形成されている。多重量子
障壁層7は、Ga0.51In0.49Pからなる10層の井戸
層71および(Al0.7 Ga0.3 0.51In0.49Pから
なる10層の障壁層72が交互に積層されてなる。この
多重量子障壁層7は、温度特性の改善のために設けられ
ている。
【0026】多重量子障壁層7上には、p−(Al0.7
Ga0.3 0.51In0.49Pからなるp−クラッド層8が
形成されている。p−クラッド層8の上部領域はメサエ
ッチング等によりストライプ状のリッジ部に形成されて
いる。リッジ部の幅は5μmである。p−クラッド層8
のリッジ部上にはp−Ga0.51In0.49Pからなるp−
コンタクト層9が形成されている。
【0027】p−クラッド層8の両側には、n−GaA
sからなるn−電流ブロック層10が形成され、p−コ
ンタクト層9上およびn−電流ブロック層10上にはp
−GaAsからなるp−キャップ層11が形成されてい
る。n−GaAs基板1の下面にn電極12が形成さ
れ、p−キャップ層11の上面にp電極13が形成され
ている。
【0028】表1に図1の半導体レーザ素子における各
層の材料および膜厚を示す。
【0029】
【表1】
【0030】この半導体レーザ素子において、n−Ga
As基板1上の各層2〜11はMOCVD法(有機金属
化学的気相成長法)等により形成される。図2に図1の
半導体レーザ素子の主要部のエネルギーバンド図を示
す。図2において”/”は圧縮歪を表わし、”×”は引
張り歪を表わす。
【0031】図2に示すように、圧縮歪障壁層41は引
張り歪井戸層42よりも大きなバンドギャップを有す
る。光ガイド層43は圧縮歪障壁層41と同じ大きさの
バンドギャップを有する。圧縮歪障壁層41の格子定数
はn−GaAs基板1の格子定数よりも大きく設定され
ている。それにより、圧縮歪障壁層41はn−GaAs
基板1に対して圧縮歪を有する。引張り歪井戸層42の
格子定数はn−GaAs基板1の格子定数よりも小さく
設定されている。それにより、引張り歪井戸層42はn
−GaAs基板1に対して引張り歪を有する。
【0032】一方、圧縮歪障壁層41より大きいバンド
ギャップを有する。また、光ガイド層6は引張り歪5と
ほぼ等しい大きさのバンドギャップを有する。引張り歪
層5の格子定数はn−GaAs基板1の格子定数よりも
小さく設定されている。それにより、引張り歪層5はn
−GaAs基板1に対して引張り歪を有する。
【0033】図3および図4は図1の半導体レーザ素子
におけるMQW活性層4の価電子帯のさらに詳細なエネ
ルギーバンド図である。図3および図4において、HH
は重い正孔の準位を示し、LHは軽い正孔の準位を示
す。
【0034】図3において、圧縮歪障壁層41では、重
い正孔の準位HHが軽い正孔の準位LHよりもエネルギ
ーの高い位置にあり、正孔の基底状態は重い正孔とな
る。一方、引張り歪井戸層42では、軽い正孔の準位L
Hが重い正孔の準位HHよりもエネルギーの高い位置に
あり、正孔の基底状態は軽い正孔となる。
【0035】このようなMQW活性層4では、図4に示
すように、重い正孔の連続準位(連続状態)HCのエネ
ルギーが軽い正孔の連続準位(連続状態)LCのエネル
ギーよりも高い位置で始まる。
【0036】一方、引張り歪層5では、軽い正孔の準位
LHが重い正孔の準位HHよりもエネルギーの高い位置
にあり、正孔の基底状態は軽い正孔となる。本実施例に
おいては、引張り歪層5の基底状態である軽い正孔の準
位LHのエネルギーがMQW活性層4の軽い正孔の連続
準位LCのエネルギーとほぼ等しくなるように引張り歪
層5の組成が設定されている。
【0037】したがって、p−クラッド層8から注入さ
れた正孔は、まず引張り歪層5中で主として軽い正孔と
なり、その軽い正孔がMQW活性層4に注入される。こ
のとき、軽い正孔がMQW活性層4を通過するのに要す
る時間τは100psec(ピコ秒)程度である。MQ
W活性層4に軽い正孔が注入された後、軽い正孔が重い
正孔へ緩和するのに、上記の時間τよりも長い時間を要
する。
【0038】したがって、MQW活性層4に注入された
軽い正孔のかなりの部分は、重い正孔に緩和せずに軽い
正孔のままで存在する。軽い正孔は、重い正孔と比較し
てMQW活性層4の厚み方向の有効質量が小さく、移動
度が大きい。このため、MQW活性層4中の全ての引張
り歪井戸層42に正孔が均一に注入され易くなる。その
結果、半導体レーザ素子のしきい値電流および動作電流
が低減される。また、緩和時間も短くなり、半導体レー
ザ素子の高速変調が可能となる。
【0039】図3に示した例では、引張り歪井戸層42
の重い正孔の準位HHが圧縮歪障壁層41の重い正孔の
準位HHよりもエネルギーの高い位置にあるが、図5に
示すように、引張り歪井戸層42の重い正孔の準位HH
が圧縮歪障壁層41の重い正孔の準位HHと軽い正孔の
準位LHとの間のエネルギー位置にあってもよい。
【0040】また、図6に示すように、引張り歪井戸層
42の重い正孔の準位HHが圧縮歪障壁層41の軽い正
孔の準位LHよりもエネルギーの低い位置にあってもよ
い。なお、図7に示すように、引張り歪層5の基底状態
である正孔の準位LHのエネルギーがMQW活性層4の
軽い正孔の連続準位LCのエネルギーよりも低くなるよ
うに、引張り歪層5の組成を設定してもよい。
【0041】また、図8に示すように、MQW活性層4
の圧縮歪障壁層41を(Al0.5 Ga0.5 0.45In
0.55Pからなる圧縮歪層41aおよび(Al0.5 Ga
0.5 0. 56In0.44からなる引張り歪層41bの積層構
造により構成してもよい。この場合、引張り歪層41b
の価電子帯の頂上のエネルギーは圧縮歪層41aの価電
子帯の頂上のエネルギーよりも低い。この構造によれ
ば、MQW活性層4中で軽い正孔が重い正孔へ緩和する
ことをさらに抑制することができる。その結果、MQW
活性層4への正孔の注入の不均一性をさらに改善するこ
とが可能となる。
【0042】なお、図8の例では、圧縮歪障壁層41の
圧縮歪層41aがn−クラッド層の側に設けられ、引張
り歪層41bがp−クラッド層の側に設けられている
が、圧縮歪障壁層41の引張り歪層41bがn−クラッ
ド層の側に設けられ、圧縮歪層41aがp−クラッド層
の側に設けられてもよい。
【0043】図9は本発明の第2の実施例におけるZn
Se系半導体レーザ素子の構造を示す断面図である。図
9において、n−GaAs基板21上に、n−GaAs
からなるn−第1バッッファ層22、n−ZnSeから
なるn−第2バッファ層23、n−Mg0.4Zn0.6
0.3 Se0.7 からなるn−クラッド層24、およびMQ
W活性層25が順に形成されている。MQW活性層25
は、Mg0.3 Zn0.7 0.1 Se0.9からなる5層の圧
縮歪障壁層およびZnS0.2 Se0.8 からなる4層の引
張り歪井戸層が交互に積層されてなる。
【0044】MQW活性層25上には、Mg0.3 Zn
0.7 0.3 Se0.7 からなる引張り歪層26およびp−
Mg0.4 Zn0.6 0.3 Se0.7 からなるp−クラッド
層27が順に形成されている。p−クラッド層27の上
部領域はストライプ状のリッジ部となっている。
【0045】p−クラッド層27のリッジ部上には、p
−ZnSeからなるp−コンタクト層28が形成され、
p−クラッド層27のリッジ部およびp−コンタクト層
28の両側にはSiO2 膜29が形成されている。n−
GaAs基板21の下面にn電極30が形成され、p−
コンタクト層28上およびSiO2 層29上にp電極3
1が形成されている。
【0046】表2に図9の半導体レーザ素子における各
層の材料および膜厚を示す。
【0047】
【表2】
【0048】第2の実施例の半導体レーザ素子において
は、MQW活性層25とp−クラッド層27との間に引
張り歪層26が設けられているので、第1の実施例の半
導体レーザ素子と同様に、MQW活性層25の全体に均
一に正孔が注入され易くなる。その結果、半導体レーザ
素子のしきい値電流および動作電流が低減される。ま
た、半導体レーザ素子の緩和時間が高くなり、高速変調
が可能となる。
【0049】図10は本発明の第3の実施例におけるG
aN系発光ダイオードの構造を示す断面図である。図1
0において、サファイア(Al2 3 )基板51上に、
GaNバッファ層52、n−GaN層53、n−Al
0.42Ga0.48In0.1 Nからなるn−クラッド層54、
およびMQW活性層55が順に形成されている。MQW
活性層55は、Al0.35Ga0.53In0.12Nからなる8
層の圧縮歪障壁層およびAl0.2 Ga 0.8 Nからなる7
層の引張り歪井戸層が交互に積層されてなる。
【0050】MQW活性層55上には、Al0.36Ga
0.6 In0.04Nからなる引張り歪層56、p−Al0.42
Ga0.48In0.1 Nからなるp−クラッド層57、およ
びp−GaNコンタクト層58が順に形成されている。
p−GaNコンタクト層58からn−GaN層53の上
部領域までがエッチングされ、n−GaN層53の上面
にn電極59が形成され、p−GaNコンタクト層58
の上面にp電極60が形成されている。
【0051】表3に図10の発光ダイオードにおける各
層の材料および膜厚を示す。
【0052】
【表3】
【0053】第3の実施例の発光ダイオードにおいて
は、MQW活性層55とp−クラッド層57との間に引
張り歪層56が設けられている。したがって、MQW活
性層5の全体に均一に正孔が注入され易くなる。その結
果、発光ダイオードの動作電流が低減され、高速変調も
可能となる。
【0054】なお、第1の実施例の半導体レーザ素子に
おいては、MQW活性層4内のn−クラッド層3側の圧
縮歪障壁層41とn−クラッド層3との間に光ガイド層
43が設けられているが、光ガイド層43を設けなくて
もよい。
【0055】また、本発明は、MQW活性層内の障壁層
が無歪である場合にも適用することができ、MQW活性
層内の井戸層が圧縮歪を有する場合または無歪の場合に
も適用することができる。この場合にも、MQW活性層
の全体に均一に正孔が注入され易くなる。
【0056】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、多重量子
井戸構造の活性層とp型クラッド層との間にp型クラッ
ド層よりも小さいバンドギャップを有しかつ引張り歪を
有する引張り歪層が設けられているので、p型クラッド
層から活性層に主として軽い正孔が注入される。したが
って、活性層の全体に均一に正孔が注入され易くなり、
半導体発光素子のしきい値電流および動作電流が低減さ
れるとともに、高速変調が可能となる。
【0057】特に、引張り歪層の正孔の基底状態のエネ
ルギーが活性層の軽い正孔の連続状態のエネルギーとほ
ぼ等しいかまたは活性層の軽い正孔の連続状態のエネル
ギーよりも低い場合には、より多くの正孔が活性層に軽
い正孔として注入されるので、活性層への正孔の注入の
均一性がさらに高くなる。
【0058】また、多重量子井戸構造の複数の障壁層が
圧縮歪を有する場合には、活性層への正孔の注入の不均
一性を改善する効果がより大きくなる。さらに、多重量
子井戸構造の複数の井戸層が引張り歪を有する場合に
も、活性層への正孔の注入の均一性を改善する効果がよ
り大きくなる。
【0059】また、障壁層の各々が圧縮歪を有する層お
よび引張り歪を有する層からなる場合には、活性層中で
軽い正孔が重い正孔へ緩和することがさらに抑制され
る。したがって、正孔が活性層の全体にさらに均一に注
入される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における埋め込みリッジ
構造のAlGaInP系半導体レーザ素子の構造を示す
断面図である。
【図2】図1の半導体レーザ素子の主要部のエネルギー
バンド図である。
【図3】図1の半導体レーザ素子における主としてMQ
W活性層の価電子帯の詳細なエネルギーバンド図であ
る。
【図4】図1の半導体レーザ素子における主としてMQ
W活性層の価電子帯の詳細なエネルギーバンド図であ
る。
【図5】図1の半導体レーザ素子における主としてMQ
W活性層の価電子帯の他の例を示すエネルギーバンド図
である。
【図6】図1の半導体レーザ素子における主としてMQ
W活性層の価電子帯のさらに他の例を示すエネルギーバ
ンド図である。
【図7】第1の実施例の半導体レーザ素子における他の
構成例を示すエネルギーバンド図である。
【図8】第1の実施例の半導体レーザ素子におけるさら
に他の構成例を示すエネルギーバンド図である。
【図9】本発明の第2の実施例におけるZnSe系半導
体レーザ素子の構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施例におけるGaN系発光
ダイオードの構造を示す断面図である。
【図11】従来の半導体レーザ素子の主要部のエネルギ
ーバンド図である。
【図12】従来の半導体レーザ素子におけるMQW活性
層の価電子帯の詳細なエネルギーバンド図である。
【図13】無歪の半導体層のエネルギーバンド構造を示
す概念図である。
【図14】引張り歪を有する半導体層のエネルギーバン
ド構造を示す概念図である。
【図15】圧縮歪を有する半導体層のエネルギーバンド
構造を示す概念図である。
【符号の説明】
1 n−GaAs基板 3,24,54 n−クラッド層 4,25,55 MQW活性層 5,26,56 引張り歪層 8,27,57 p−クラッド層 41 圧縮歪障壁層 42 引張り歪井戸層 HH 重い正孔の準位 LH 軽い正孔の準位 LC 軽い正孔の連続準位 HC 重い正孔の連続準位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−152050(JP,A) 特開 平7−106711(JP,A) 特開 平3−166785(JP,A) 特開 昭61−295685(JP,A) 特開 平5−29716(JP,A) 特開 平7−249828(JP,A) 特開 平6−97586(JP,A) 特開 平6−334266(JP,A) 特開 平6−21511(JP,A) 特開 平6−268257(JP,A) 特開 平8−56045(JP,A) 特開 平5−63290(JP,A) 特開 平5−259571(JP,A) 特開 平6−180405(JP,A) 特開 平6−296061(JP,A) 特開 平7−235730(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 H01L 33/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の井戸層および圧縮歪を有するかま
    たは歪を有さない複数の障壁層が交互に積層されてなる
    多重量子井戸構造の活性層をn型クラッド層およびp型
    クラッド層の間に配置してなる半導体発光素子におい
    て、前記p型クラッド層と前記活性層との間に、前記p
    型クラッド層よりも小さいバンドギャップを有しかつ引
    張り歪を有する引張り歪層を設けたことを特徴とする半
    導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記引張り歪層の正孔の基底状態のエネ
    ルギーは前記活性層の軽い正孔の連続状態のエネルギー
    とほぼ等しいかまたは前記活性層の軽い正孔の連続状態
    のエネルギーよりも低いことを特徴とする請求項1記載
    の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記多重量子井戸構造の前記複数の障壁
    層は圧縮歪を有することを特徴とする請求項1または2
    記載の半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 前記多重量子井戸構造の前記複数の井戸
    層は引張り歪を有することを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載の半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 前記複数の障壁層の各々は、圧縮歪を有
    する層および引張り歪を有する層が積層されてなり、前
    記圧縮歪を有する層の正孔のエネルギーは前記引張り歪
    を有する層のエネルギーよりも高いことを特徴とする請
    求項1、2、3または4記載の半導体発光素子。
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