JPH10256657A - 窒化ガリウム系半導体発光素子、及び半導体レーザ光源装置 - Google Patents

窒化ガリウム系半導体発光素子、及び半導体レーザ光源装置

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JPH10256657A
JPH10256657A JP5259697A JP5259697A JPH10256657A JP H10256657 A JPH10256657 A JP H10256657A JP 5259697 A JP5259697 A JP 5259697A JP 5259697 A JP5259697 A JP 5259697A JP H10256657 A JPH10256657 A JP H10256657A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化ガリウム系半導体発光素子において、良
好なレーザ発振特性を有する半導体レーザ素子、およ
び、高い光出力が得られる発光ダイオード素子を提供す
る。 【解決手段】 窒化物半導体からなるクラッド層4、9
及び/又はガイド層5、28に挟まれた、少なくともイ
ンジウムとガリウムを含む窒化物半導体の量子井戸構造
活性層を形成する。量子井戸構造活性層は2層の量子井
戸層14、14とこれらに挟まれた1層の障壁層15の
合計3層から形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒化ガリウム系半導
体発光素子に係り、特に、窒化物半導体よりなる量子井
戸構造活性層を備えた発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外から緑色の波長領域での発光波長を
有する半導体レーザ素子(LD)や発光ダイオード素子
(LED)等の半導体材料として、窒化ガリウム系半導
体(GaInAlN)が用いられている。この窒化ガリ
ウム系半導体を用いた青色LDは、例えば、Appli
ed Physics Letters,vol.69,
No.10,p.1477〜1479に記載されており、
その断面図を図10に示す。
【0003】図10において、101はサファイア基
板、102はGaNバッファ層、103はn−GaNコ
ンタクト層、104はn−In0.05Ga0.95N層、10
5はn−Al0.05Ga0.95Nクラッド層、106はn−
GaNガイド層、107はIn0.2Ga0.8N量子井戸層
とIn0.05Ga0.95N障壁層とからなる多重量子井戸構
造活性層、108はp−Al0.2Ga0.8N層、109は
p−GaNガイド層、110はp−Al0.05Ga0.95
クラッド層、111はp−GaNコンタクト層、112
はp側電極、113はn側電極、114はSiO2 絶縁
膜である。ここで、多重量子井戸構造活性層107は、
3nm厚のIn0.2Ga0.8N量子井戸層が5層、6nm
厚のIn0.05Ga0.95N障壁層が4層、の合計9層で構
成され、量子井戸層と障壁層が交互に形成されている。
【0004】この他、特開平8−316528にも同様
に窒化ガリウム系半導体を用いた青色LDが記載されて
いるが、これらはいずれも5層以上の量子井戸層を持つ
多重量子井戸構造活性層が用いられていた。
【0005】一方、窒化ガリウム系半導体を用いた青色
LEDは、例えば、上記の特開平8−316528号公
報に記載されており、その断面図を図11に示す。図1
1において、121はサファイア基板、122はGaN
バッファ層、123はn−GaNコンタクト層、124
はn−Al0.3Ga0.7N第2n型クラッド層、125は
n−In0.01Ga0.99GaN第1n型クラッド層、12
6は3nm厚のIn0.05Ga0.95N単一量子井戸構造活
性層、127はp−In0.01Ga0.99GaN第1p型ク
ラッド層、128はp−Al0.3Ga0.7N第2p型クラ
ッド層、129はp−GaNコンタクト層、130はp
側電極、131はn側電極ある。このように窒化ガリウ
ム系半導体を用いた青色LEDでは、1層のみの量子井
戸層を有する活性層が用いられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の前
記青色LD及び青色LED素子はそれぞれ以下のような
問題点があった。
【0007】まず、青色LDに関しては発振閾値電流値
が100mA以上と高く、光ディスク等の情報処理用と
して実用に供するためには大幅に発振閾値電流値を低減
する必要がある。さらに光ディスク用としてLDを用い
る場合、データの読み出し時における雑音によるデータ
の読み出しエラーを防止するために周波数300MHz
程度の高周波電流をLDに注入し、光出力を同じ周波数
で変調する必要があるが、従来の青色LDでは高周波電
流を注入しても光出力が変調されないため、データの読
み出しエラーを生じるという問題があった。
【0008】また、青色LEDに関してはすでに実用化
されているもの、例えば、広い視野角でも明るく表示で
きる大型カラーディスプレー等のように、さらに広範囲
にわたる用途に青色LED素子を供していくためには、
光出力の向上によるより一層高輝度なLEDの実現が望
まれている。
【0009】本発明は以上のような事情に鑑みてなされ
たものであり、上記窒化ガリウム系半導体発光素子にお
ける課題を解決して、良好なレーザ発振特性を有する半
導体レーザ素子、及び、高い光出力が得られる発光ダイ
オード素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、窒化物半導体からなるクラッド層及び/又はガイド
層に挟まれた、少なくともインジウムとガリウムを含む
窒化物半導体よりなる量子井戸構造活性層を備え、前記
量子井戸構造活性層は2層の量子井戸層とこれらに挟ま
れた1層の障壁層とから形成されることを特徴とする窒
化ガリウム系半導体発光素子である。
【0011】請求項2に記載の発明は、窒化物半導体か
らなるクラッド層及び/又はガイド層に挟まれた、少な
くともインジウムとガリウムを含む窒化物半導体よりな
る量子井戸構造活性層を備え、前記量子井戸構造活性層
は2層の量子井戸層とこれらに挟まれた1層の障壁層と
から半導体レーザの発振部を形成してなることを特徴と
する窒化ガリウム系半導体発光素子である。
【0012】請求項3に記載の発明は、窒化物半導体か
らなるクラッド層及び/又はガイド層に挟まれた、少な
くともインジウムとガリウムを含む窒化物半導体よりな
る量子井戸構造活性層を備え、前記量子井戸構造活性層
は2層の量子井戸層とこれらに挟まれた1層の障壁層と
から発光ダイオードの発光部を形成してなることを特徴
とする窒化ガリウム系半導体発光素子である。
【0013】請求項4に記載の発明は、量子井戸層の厚
さが、10nm以下であることを特徴とする請求項1な
いし3のいずれか1項に記載の窒化ガリウム系半導体発
光素子である。
【0014】請求項5に記載の発明は、障壁層の厚さ
が、10nm以下であることを特徴とする請求項1ない
し3のいずれか1項に記載の窒化ガリウム系半導体発光
素子である。
【0015】請求項6に記載の発明は、窒化物半導体か
らなるクラッド層及び/又はガイド層に挟まれた、少な
くともインジウムとガリウムを含む窒化物半導体よりな
る量子井戸構造活性層を備え、前記量子井戸構造活性層
は2層の量子井戸層とこれらに挟まれた1層の障壁層と
から形成される窒化ガリウム系半導体レーザ素子と、前
記半導体レーザに高周波数変調された電流を注入する駆
動回路とからなることを特徴とする半導体レーザ光源装
置である。
【0016】請求項7に記載の発明は、変調周波数は3
00MHz以上であることを特徴とする請求項6に記載
の半導体レーザ光源装置である。
【0017】請求項8に記載の発明は、窒化物半導体か
らなるクラッド層及び/又はガイド層に挟まれた、少な
くともインジウムとガリウムを含む窒化物半導体よりな
る量子井戸構造活性層を備え、前記量子井戸構造活性層
は2層の量子井戸層とこれらに挟まれた1層の障壁層と
から自励発振型のレーザ発振部を形成してなることを特
徴とする請求項2,4または5に記載の窒化ガリウム系
半導体発光素子である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係る窒化ガリウム系半導
体発光素子の構成は、窒化物半導体からなるクラッド層
及び/又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウム
とガリウムを含む窒化物半導体よりなる量子井戸構造活
性層を備え、前記量子井戸構造活性層は2層の量子井戸
層とこれらに挟まれた1層の障壁層とからなる。
【0019】このような本発明を見い出すにあたって、
本発明者は従来素子における前記課題の原因について詳
細に調査を行い、以下のことが判明した。
【0020】まず 青色LDに関しては、量子井戸層と
して用いられるInGaN材料は、電子・正孔ともにそ
の有効質量が大きいことと多数の結晶欠陥が存在してい
ることにより電子や正孔の移動度が大幅に低下し、多重
量子井戸構造活性層のすべての量子井戸層に電子と正孔
とが均一に分布しなくなる。即ち、電子を注入するn型
クラッド層側の量子井戸層2層程度にしか電子は注入さ
れず、正孔を注入するp型クラッド層側の量子井戸層2
層程度にしか正孔は注入されない。従って、量子井戸層
が5層以上の多重量子井戸構造活性層では、電子と正孔
とが同一の量子井戸層内に存在する割合が小さいため、
電子と正孔の再結合による発光の効率が低下し、レーザ
発振の閾値電流値を増大させてしまっている。
【0021】またこのように電子や正孔の移動度が小さ
いため量子井戸層の間での電子や正孔の移動が遅くな
り、再結合によって電子・正孔が消滅した量子井戸層内
へ新たに電子と正孔が注入されず、クラッド層に近接す
る量子井戸層に注入された電子・正孔がそのままその量
子井戸層に存在し続けることになる。従って、注入電流
を変調しても量子井戸層内に存在する電子と正孔の密度
が変調されないことになり、このため高周波電流を注入
しても光出力が変調されなくなっていた。
【0022】従って本発明では、少なくともインジウム
とガリウムを含む窒化物半導体よりなる多重量子井戸構
造活性層における量子井戸層の層数を2とすることによ
って、すべての量子井戸層に電子と正孔とを均一に分布
させるようにした。この結果、発光効率が向上して発振
閾値電流値を低減させることができた。さらに、再結合
によって電子・正孔が消滅した量子井戸層内への電子と
正孔の注入が効果的に行われるので、高周波電流の注入
により量子井戸層内に存在する電子と正孔の密度も変調
され、その結果、光出力も変調されることが可能となっ
た。
【0023】このようにすべての量子井戸層に電子と正
孔とを均一に分布させるにあたっては、量子井戸層の層
厚が厚すぎると、均一に電子と正孔を分布させることが
阻害されてしまうため、量子井戸層の厚さは10nm以
下であることが好ましい。
【0024】さらに同様に、障壁層の層厚が厚すぎる
と、均一に電子と正孔を分布させることが阻害されてし
まうため、障壁層の厚さは10nm以下であることが好
ましい。
【0025】一方青色LEDに関しては、現在実用化さ
れている素子の電流ー光出力特性は図9に示されるよう
に電流を注入していくにつれて飽和する傾向がある。従
来の青色LEDでは量子井戸活性層は1層のみであり、
注入された電子と正孔はともにこの1層の量子井戸層に
存在するが、注入量を増大すると、量子井戸層を形成す
るInGaN半導体材料の電子・正孔の有効質量が大き
いため、注入された電子や正孔の運動量空間内で分布が
大きくなり、発光効率が低下してしまう。そこで本発明
のように、少なくともインジウムとガリウムを含む窒化
物半導体よりなる多重量子井戸構造活性層における量子
井戸層の層数を2とすることによって、注入された電子
と正孔は2つの量子井戸層に分割されるため、量子井戸
層1層当りに存在する電子と正孔の密度が低減され、運
動量空間内で電子や正孔の分布を低減できた。その結
果、電流ー光出力特性における飽和する傾向は改善さ
れ、光出力の向上によるより高輝度な窒化ガリウム系L
ED素子が実現された。
【0026】以下、具体例に従ってさらに詳細に説明す
る。
【0027】(第1実施例)図1は本発明の第1実施例
に係る窒化ガリウム系半導体レーザ素子を示す断面図で
あり、図2は図1中のA部を拡大した断面図である。
【0028】この図において、1はc面を表面として有
するサファイア基板、2はGaNバッファ層、3はn−
GaNn型コンタクト層、4はn−Al0.1Ga0.9Nn
型クラッド層、5はn−GaNガイド層、6は2層のI
0.2Ga0.8N量子井戸層14と1層のIn0.05Ga
0.95N障壁層15とからなる多重量子井戸構造活性層、
7はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、8はp−GaNガイ
ド層、9はp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層、10
はp−GaNp型コンタクト層、11はp側電極、12
はn側電極、13はSiO2 絶縁膜である。
【0029】本実施例において、サファイア基板1の表
面はa面、r面、m面等の他の面方位であっても構わな
い。また、サファイア基板に限らずSiC基板、スピネ
ル基板、MgO基板、Si基板、またはGaAs基板も
用いることが出来る。特にSiC基板の場合はサファイ
ア基板に比べて劈開しやすいため、劈開によるレーザ共
振器端面の形成が容易であるという利点がある。バッフ
ァ層2はその上に窒化ガリウム系半導体をエピタキシャ
ル成長させることが出来るものであればGaNにこだわ
らず他の材料、例えばAlNやAlGaN3元混晶を用
いてもよい。
【0030】n型クラッド層4及びp型クラッド層9
は、n−Al0.1Ga0.9N以外のAl組成を持つAlG
aN3元混晶でもよい。この場合Al組成を大きくする
と活性層とクラッド層とのエネルギーギャップ差及び屈
折率差が大きくなり、キャリアや光が活性層に有効に閉
じ込められてさらに発振閾値電流の低減及び、温度特性
の向上が図れる。またキャリアや光の閉じ込めが保持さ
れる程度でAl組成を小さくしていくと、クラッド層に
おけるキャリアの移動度が大きくなるため、半導体レー
ザ素子の素子抵抗を小さくできる利点がある。さらにこ
れらのクラッド層は微量に他の元素を含んだ4元以上の
混晶半導体でもよく、n型クラッド層4とp型クラッド
層9とで混晶の組成が同一でなくても構わない。
【0031】ガイド層5と8は、そのエネルギーギャッ
プが、多重量子井戸構造活性層6を構成する量子井戸層
のエネルギーギャップとクラッド層4、9のエネルギー
ギャップの間の値を持つような材料であればGaNにこ
だわらず他の材料、例えばInGaN、AlGaN等の
3元混晶やInGaAlN等の4元混晶等を用いてもよ
い。またガイド層全体にわたってドナー又はアクセプタ
ーをドーピングする必要はなく、多重量子井戸構造活性
層6側の一部のみをノンドープとしてもよく、さらには
ガイド層全体をノンドープとしてもよい。この場合、ガ
イド層に存在するキャリアが少なくなり、自由キャリア
による光の吸収が低減されて、さらに発振閾値電流が低
減できるという利点がある。
【0032】多重量子井戸構造活性層6を構成する2層
のIn0.2Ga0.8N量子井戸層14と1層のIn0.05
0.95N障壁層15は、必要なレーザ発振波長に応じて
その組成を設定すればよく、発振波長を長くしたい場合
は量子井戸層14のIn組成を大きくし、短くしたい場
合は量子井戸層14のIn組成を小さくする。また量子
井戸層14と障壁層15は、InGaN3元混晶に微量
に他の元素を含んだ4元以上の混晶半導体でもよい。さ
らに障壁層15は単にGaNを用いてもよい。
【0033】次に、図1と図2を参照して、上記窒化ガ
リウム系半導体レーザの作製方法を説明する。以下の説
明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いた場
合を示しているが、GaNをエピタキシャル成長できる
成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル
成長法)やHDVPE(ハイドライド気相成長法)等の
他の気相成長法を用いることもできる。
【0034】まず所定の成長炉内に設置された、c面を
表面として有するサファイア基板1上に、トリメチルガ
リウム(TMG)とアンモニア(NH3)を原料に用い
て、成長温度550℃でGaNバッファ層2を35nm
成長させる。
【0035】次に成長温度を1050℃まで上昇させ
て、TMGとNH3 、及びシランガス(SiH4)を原
料に用いて、厚さ3μmのSiドープn−GaNn型コ
ンタクト層3を成長する。さらに続けてトリメチルアル
ミニウム(TMA)を原料に加え、成長温度は1050
℃のままで厚さ0.7μmのSiドープn−Al0.1Ga
0.9Nn型クラッド層4を成長する。続けて、TMAを
原料から除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ
0.05μmのSiドープn−GaNガイド層5を成長
する。
【0036】次に、成長温度を750℃に下げ、TMG
とNH3、及びトリメチルインジウム(TMI)を原料
に用いて、In0.2Ga0.8N量子井戸層(厚さ5nm)
14、In0.05Ga0.95N障壁層(厚さ5nm)15、
In0.2Ga0.8N量子井戸層(厚さ5nm)14を順次
成長することにより多重量子井戸構造活性層(トータル
の厚さ15nm)6を作成する。さらに続けてTMGと
TMAとNH3 を原料に用いて、成長温度は750℃の
ままで厚さ10nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止層7を
成長する。
【0037】次に、再び成長温度を1050℃に上昇し
て、TMGとNH3、及びシクロペンタジエニルマグネ
シウム(Cp2Mg)を原料に用いて、厚さ0.05μm
のMgドープp−GaNガイド層8を成長する。さらに
続けてTMAを原料に加え、成長温度は1050℃のま
まで厚さ0.7μmのMgドープp−Al0.1Ga0.9
p型クラッド層9を成長する。続けて、TMAを原料か
ら除いて、成長温度は1050℃のままで厚さ0.2μ
mのMgドープp−GaNp型コンタクト層10を成長
して、窒化ガリウム系エピタキシャルウエハーを完成す
る。
【0038】その後、このウエハーを800℃の窒素ガ
ス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵
抗化する。
【0039】さらに通常のフォトリソグラフィーとドラ
イエッチング技術を用いて、200μm幅のストライプ
状にp−GaNp型コンタクト層10の最表面から、n
−GaNn型コンタクト層3が露出するまでエッチング
を行う。次に、上記と同様のフォトリソグラフィーとド
ライエッチング技術を用いて、残ったp−GaNp型コ
ンタクト層10の最表面に、5μm幅のストライプ状に
リッジ構造を形成するようにp−GaNp型コンタクト
層10、及びp−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層9を
エッチングする。
【0040】続いて、リッジの側面とリッジ以外のp型
層表面に厚さ200nmのSiO2絶縁膜13を形成す
る。このSiO2 絶縁膜13とp−GaNp型コンタク
ト層10の表面にニッケルと金からなるp側電極11を
形成し、エッチングにより露出したn−GaNn型コン
タクト層3の表面にチタンとアルミニウムからなるn側
電極12を形成して、窒化ガリウム系LDウエハーを完
成する。
【0041】その後、このウエハーをリッジストライプ
に垂直な方向に劈開してレーザの共振器端面を形成し、
さらに個々のチップに分割する。そして、各チップをス
テムにマウントし、ワイヤーボンディングにより各電極
とリード端子とを接続して、窒化ガリウム系半導体レー
ザ素子を完成する。
【0042】以上のようにして作製された青色LD素子
は、発振波長430nm、発振閾値電流40mAという
レーザ特性が得られ、300MHz以上、最大周波数で
1GHz程度の高周波電流の注入により光出力も十分変
調されることが確認された。この結果、光ディスク用と
して本実施例の青色LD素子を用いると、データの読み
出しエラーを防止することができ、光ディスク用として
使用可能な青色LD素子が実現できた。
【0043】図3には、窒化ガリウム系半導体レーザ素
子において、量子井戸層の層数を1から5まで変化させ
たときの、閾値電流値と、光出力の変調が可能な注入電
流の最大変調周波数の変化を表すグラフ図が示されてい
る。各半導体レーザの構造は、量子井戸層の層数が異な
ること、及び量子井戸層数に応じて障壁層の層数が異な
ること以外は、本発明の第1実施例に係る窒化ガリウム
系半導体レーザ素子と同じである。この図からわかるよ
うに、発振閾値電流が低く、かつ、300MHz以上、
例えば最大周波数で1GHz程度の高周波電流の注入で
も光出力が十分変調されることが可能なものは、量子井
戸層数が2である本発明の第1の実施例に係る窒化ガリ
ウム系半導体レーザ素子のみである。
【0044】なお、本実施例では、多重量子井戸構造活
性層6を構成する量子井戸層14と障壁層15の層厚を
ともに5nmとしたが、これらの層厚が同一である必要
はなく、異なっていても構わない。また2層の量子井戸
層に均一に電子・正孔を注入するために、量子井戸層1
4と障壁層15の各層厚を10nm以下とすれば、本実
施例にこだわらず、他の層厚でも同等の効果が得られ
る。
【0045】図4には、量子井戸層数が2層である窒化
ガリウム系半導体レーザ素子において、障壁層の層厚を
変化させたときの光出力の変調が可能な注入電流の最大
変調周波数の変化を表すグラフ図が示されている。この
ときの半導体レーザの構造は、障壁層の層厚が異なるこ
と以外は第1実施例に係る窒化ガリウム系半導体レーザ
素子と同じである。この図から、障壁層の層厚を10n
m以下とすれば、300MHz以上、最大1GHz程度
の高周波電流の注入でも光出力が十分変調されることが
可能であることがわかる。また、これは量子井戸層の場
合も同様の結果であり、量子井戸層の層厚を10nm以
下とすれば、300MHz以上、最大1GHz程度の高
周波電流の注入でも光出力が十分変調されることが確認
された。
【0046】また本実施例では、多重量子井戸構造活性
層6に接するようにAl0.2Ga0.8N蒸発防止層7を形
成しているが、これは量子井戸層14が成長温度を上昇
している間に蒸発してしまうことを防ぐためである。従
って、量子井戸層14を保護するものであれば蒸発防止
層7として用いることができ、他のAl組成を有するA
lGaN3元混晶やGaNを用いてもよい。また、この
蒸発防止層7にMgをドーピングしてもよく、この場合
はp−GaNガイド層8やp−Al0.1Ga0.9Np型ク
ラッド層9から正孔が注入され易くなるという利点があ
る。さらに、量子井戸層14のIn組成が小さい場合は
蒸発防止層7を形成しなくても量子井戸層14は蒸発し
ないため、特に蒸発防止層7を形成しなくても、本実施
例の窒化ガリウム系半導体レーザ素子の特性は損なわれ
ない。
【0047】本実施例では、リッジストライプ構造を形
成して注入電流の狭窄を行っているが、電極ストライプ
構造等の他の電流狭窄の手法を用いてもよい。また、本
実施例では劈開によりレーザの共振器端面を形成してい
るが、サファイア基板は硬くて劈開しにくい場合がある
ので、ドライエッチングにより共振器端面を形成するこ
ともできる。
【0048】さらに本実施例では絶縁体であるサファイ
アを基板として用いたため、エッチングにより露出した
n−GaNn型コンタクト層3の表面にn側電極12を
形成しているが、n型導電性を有するSiC、Si、G
aAs等を基板に用いれば、この基板の裏面にn側電極
12を形成してもよい。また、p型とn型の構成を逆に
しても構わない。
【0049】(第2実施例)図5は本発明の第2実施例
に係る半導体レーザ素子と駆動回路を示す回路図であ
る。図5中に示される半導体レーザ素子16は、本発明
の第1実施例で得られた量子井戸層数が2層である窒化
ガリウム系半導体レーザ素子を用いている。高周波駆動
回路17は、通常の半導体部品を用いて構成されるもの
であり、高い周波数で半導体レーザ17への注入電流を
変調し、光出力を変調させるための半導体レーザの駆動
回路である。本実施例では、注入電流の変調周波数を3
00MHzとした。第1実施例で得られた窒化ガリウム
系半導体レーザ素子では、注入電流の最大変調周波数は
1GHz以上のものが得られており、300MHzの周
波数でも光出力を十分変調させることができた。本実施
例を光ディスク用の光源として用いると、半導体レーザ
の光出力が十分変調されているのでレーザ光のコヒーレ
ント性を低下させることができ、ディスク面からのレー
ザ光の戻り光による雑音を低減することができた。その
結果、エラー無しで光ディスクからのデータの読み出し
を行うことが可能となった。
【0050】なお、本実施例では、注入電流の変調周波
数を300MHzとしたが、レーザ光のコヒーレント性
を低下させて、ディスク面からのレーザ光の戻り光によ
る雑音を低減できるような周波数であれば、最大周波数
1GHz程度まで、他の変調周波数で窒化物半導体レー
ザを駆動しても構わない。
【0051】(第3実施例)図6は本発明の第3実施例
に係る半導体レーザ素子と駆動回路を示す回路図であ
る。図6中に示される半導体レーザ素子18は、本発明
の第1実施例で得られた量子井戸層数が2層である窒化
ガリウム系半導体レーザ素子を用いているが、リッジ構
造を形成する際のストライプ幅と、p−Al0.1Ga0.9
Np型クラッド層9をエッチングする深さとを調整する
ことによって、変調されていない一定電流を注入しても
光出力が変調されている自励発振型の半導体レーザとな
っている。ここでは、ストライプ幅を3μm、p−Al
0.1Ga0.9Np型クラッド層9のエッチングの際の残し
膜厚を0.2μmとした。なお、これらのストライプ幅
とエッチングの際の残し膜厚とは本具体例の値に限定さ
れるものではなく、ストライプ幅として1乃至5μm、
p型クラッド層9の残し膜厚としては0.05乃至0.
5μmであればよい。このように作成された自励発振型
の窒化ガリウム系半導体レーザ素子における光出力の変
調周波数は、800MHzであった。
【0052】第3実施例に係る窒化ガリウム系半導体レ
ーザ素子では、量子井戸層数を2層としたことにより、
量子井戸層内に存在する電子と正孔の密度が変調されや
すくなっている。従って、注入電流を変調して電子と正
孔の密度を変調することによって光出力を変調するだけ
でなく、変調されていない一定電流の注入でも電子と正
孔の密度が変調されて光出力が変調される自励発振型の
半導体レーザの作製も容易にでき、高い周波数で光出力
が変調されることが可能となった。
【0053】定電流駆動回路19は、通常の半導体部品
を用いて構成されるものであり、一定電流を注入ための
半導体レーザの駆動回路である。本実施例を光ディスク
用の光源として用いると、半導体レーザの光出力が十分
変調されているのでレーザ光のコヒーレント性を低下さ
せることができて、ディスク面からのレーザ光の戻り光
による雑音を低減することができた。その結果、エラー
無しで光ディスクからのデータの読み出しを行うことが
可能となった。
【0054】なお、本第3実施例で用いた窒化ガリウム
系半導体レーザ素子18は、リッジ構造を形成する際の
ストライプ幅と、p−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層
9をエッチングする深さとを調整することによって自励
発振型の半導体レーザとしたが、通常のGaAs系半導
体レーザ等で用いられているように、活性層の近傍に過
飽和吸収層を設置して自励発振型の半導体レーザとして
も構わない。
【0055】(第4実施例)図7は本発明の第4の実施
例に係る窒化ガリウム系半導体発光ダイオード素子を示
す断面図であり、図8は図7中のB部を拡大した断面図
である。
【0056】この図において、21はc面を表面として
有するサファイア基板、22はGaNバッファ層、23
はn−GaNn型コンタクト層、24はn−Al0.1
0.9Nn型クラッド層、25はn−GaNガイド層、
26は2層のIn0.2Ga0.8N量子井戸層34と1層の
In0.05Ga0.95N障壁層35とからなる多重量子井戸
構造活性層、27はAl0.2Ga0.8N蒸発防止層、28
はp−GaNガイド層、29はp−Al0.1Ga0.9Np
型クラッド層、30はp−GaNp型コンタクト層、3
1はp側電極、32はn側電極である。
【0057】本実施例において、サファイア基板21の
表面はa面、r面、m面等の他の面方位であっても構わ
ない。また、サファイア基板に限らずSiC基板、スピ
ネル基板、MgO基板、またはSi基板も用いることが
出来る。特にSiC基板の場合はサファイア基板に比べ
て劈開しやすいため、LED素子をチップ分割する作業
が容易に行えるという利点がある。バッファ層22はそ
の上に窒化ガリウム系半導体をエピタキシャル成長させ
ることが出来るものであればGaNにこだわらず他の材
料、例えばAlNやAlGaN3元混晶を用いてもよ
い。
【0058】n型クラッド層24及びp型クラッド層2
9は、n−Al0.1Ga0.9N以外のAl組成を持つAl
GaN3元混晶や、単にGaNを用いてもよい。この場
合Al組成を大きくすると活性層とクラッド層とのエネ
ルギーギャップ差が大きくなり、キャリアが活性層に有
効に閉じ込められて温度特性の向上が図れる。またキャ
リアの閉じ込めが保持される程度でAl組成を小さくし
ていくと、クラッド層におけるキャリアの移動度が大き
くなるため、発光ダイオード素子の素子抵抗を小さくで
きる利点がある。さらにこれらのクラッド層は微量に他
の元素を含んだ4元以上の混晶半導体でもよく、n型ク
ラッド層24とp型クラッド層29とで混晶の組成が同
一でなくても構わない。
【0059】ガイド層25と28は、そのエネルギーギ
ャップが、多重量子井戸構造活性層26を構成する量子
井戸層のエネルギーギャップとクラッド層24、29の
エネルギーギャップの間の値を持つような材料であれば
GaNにこだわらず他の材料、例えばInGaN、Al
GaN等の3元混晶やInGaAlN等の4元混晶等を
用いてもよい。またガイド層全体にわたってドナー又は
アクセプターをドーピングする必要はなく、多重量子井
戸構造活性層26側の一部のみをノンドープとしてもよ
く、さらにはガイド層全体をノンドープとしてもよい。
この場合、ガイド層に存在するキャリアが少なくなり、
自由キャリアによる光の吸収が低減されて、さらに光出
力が向上するという利点がある。また、ガイド層25、
28には、n型クラッド層24とp型クラッド層29か
らそれぞれ電子と正孔を多重量子井戸構造活性層26へ
注入しやすくするという利点があるが、特にガイド層2
5、28を設けなくてもLED素子特性が大きく悪化す
ることはないので、ガイド層25、28はなくても構わ
ない。
【0060】多重量子井戸構造活性層26を構成する、
2層のIn0.2Ga0.8N量子井戸層34と1層のIn
0.05Ga0.95N障壁層35は、必要な発光波長に応じて
その組成を設定すればよく、発光波長を長くしたい場合
は量子井戸層34のIn組成を大きくし、短くしたい場
合は量子井戸層34のIn組成を小さくする。また量子
井戸層34と障壁層35は、InGaN3元混晶に微量
に他の元素を含んだ4元以上の混晶半導体でもよい。さ
らに障壁層35は単にGaNを用いてもよい。
【0061】次に、図7と図8を参照して上記窒化ガリ
ウム系半導体発光ダイオードの作製方法を説明する。以
下の説明ではMOCVD法(有機金属気相成長法)を用
いた場合を示しているが、GaNをエピタキシャル成長
できる成長法であればよく、MBE法(分子線エピタキ
シャル成長法)やHDVPE(ハイドライド気相成長
法)等の他の気相成長法を用いることもできる。
【0062】まず所定の成長炉内に設置された、c面を
表面として有するサファイア基板21上に、TMGとN
3 を原料に用いて、成長温度550℃でGaNバッフ
ァ層22を35nm成長させる。
【0063】次に成長温度を1050℃まで上昇させ
て、TMGとNH3 、及びSiH4 を原料に用いて、厚
さ3μmのSiドープn−GaNn型コンタクト層23
を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、成長温
度は1050℃のままで厚さ0.3μmのSiドープn
−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層24を成長する。続
けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃
のままで厚さ0.05μmのSiドープn−GaNガイ
ド層25を成長する。
【0064】次に、成長温度を750℃に下げ、TMG
とNH3 、及びTMIを原料に用いて、In0.2Ga0.8
N量子井戸層(厚さ3nm)34、In0.05Ga0.95
障壁層(厚さ5nm)35、In0.2Ga0.8N量子井戸
層(厚さ3nm)34を順次成長することにより多重量
子井戸構造活性層(トータルの厚さ11nm)26を作
成する。さらに続けてTMGとTMAとNH3 を原料に
用いて、成長温度は750℃のままで厚さ10nmのA
0.2Ga0.8N蒸発防止層27を成長する。
【0065】次に、再び成長温度を1050℃に上昇し
て、TMGとNH3 、及びCp2Mgを原料に用いて、
厚さ0.05μmのMgドープp−GaNガイド層28
を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、成長温
度は1050℃のままで厚さ0.3μmのMgドープp
−Al0.1Ga0.9Np型クラッド層29を成長する。続
けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050℃
のままで厚さ0.2μmのMgドープp−GaNp型コ
ンタクト層30を成長して、窒化ガリウム系エピタキシ
ャルウエハーを完成する。
【0066】その後、このウエハーを800℃の窒素ガ
ス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵
抗化する。
【0067】さらに通常のフォトリソグラフィーとドラ
イエッチング技術を用いて、LED素子作製のために所
定の領域に、p−GaNp型コンタクト層30の最表面
から、n−GaNn型コンタクト層23が露出するまで
エッチングを行う。
【0068】続いて、p−GaNp型コンタクト層30
の表面にニッケルと金からなるp側電極31を形成し、
エッチングにより露出したn−GaNn型コンタクト層
23の表面にチタンとアルミニウムからなるn側電極3
2を形成して、窒化ガリウム系LEDウエハーを完成す
る。
【0069】その後、このウエハーを個々のチップに分
割する。そして、各チップをステムにマウントし、ワイ
ヤーボンディングにより各電極とリード端子とを接続し
て、窒化ガリウム系半導体発光ダイオード素子を完成す
る。
【0070】以上のようにして作製された青色LED素
子は、順方向電流20mAで、発光波長430nm・光
出力6mWという発光特性が得られた。また図9に示さ
れるように、電流ー光出力特性は高い注入電流において
も光出力は飽和することはなく、従来のLED素子に比
べて特性が改善された。
【0071】なお、本実施例では、多重量子井戸構造活
性層26を構成する量子井戸層34と障壁層35の層厚
をそれぞれ3nm及び5nmとしたが、これらの層厚
は、2層の量子井戸層に均一に電子・正孔を注入するた
めに、量子井戸層34と障壁層35の各層厚を10nm
以下とすれば、本実施例にこだわらず、他の層厚でも同
等の効果が得られる。
【0072】また本実施例では、多重量子井戸構造活性
層26に接するようにAl0.2Ga0.8N蒸発防止層27
を形成しているが、これは量子井戸層34が成長温度を
上昇している間に蒸発してしまうことを防ぐためであ
る。従って、量子井戸層34を保護するものであれば蒸
発防止層27として用いることができ、他のAl組成を
有するAlGaN3元混晶やGaNを用いてもよい。ま
た、この蒸発防止層27にMgをドーピングしてもよ
く、この場合はp−GaNガイド層28やp−Al0.1
Ga0.9Np型クラッド層29から正孔が注入され易く
なるという利点がある。さらに、量子井戸層34のIn
組成が小さい場合は蒸発防止層27を形成しなくても量
子井戸層34は蒸発しないため、特に蒸発防止層27を
形成しなくても、本実施例の窒化ガリウム系半導体発光
ダイオード素子の特性は損なわれない。
【0073】
【発明の効果】上述したように本発明による窒化ガリウ
ム系半導体レーザ素子においては、少なくともインジウ
ムとガリウムを含む窒化物半導体よりなる多重量子井戸
構造活性層における量子井戸層の層数を2とすることに
よって、すべての量子井戸層に電子と正孔とを均一に分
布させるようにした。この結果、量子井戸層に注入され
た電子と正孔が効率よく再結合するため発光効率が向上
して発振閾値電流値を低減させることができた。さら
に、再結合によって電子・正孔が消滅した量子井戸層内
への電子と正孔の注入が効果的に行われるので、量子井
戸層内に存在する電子と正孔の密度が効果的に変調さ
れ、その結果、光出力も変調されることが可能となり、
光ディスク用として使用可能な、データの読み出し時に
エラーを発生しない窒化ガリウム系半導体レーザ素子を
実現した。
【0074】また、本発明による窒化ガリウム系半導体
レーザ素子と1GHz程度までの高周波電流を注入する
駆動回路を組み合わせて、光ディスク用としてデータの
読み出し時にエラーを発生しない半導体レーザ光源装置
を提供できる。
【0075】また、本発明による窒化ガリウム系半導体
発光ダイオード素子においては、少なくともインジウム
とガリウムを含む窒化物半導体よりなる多重量子井戸構
造活性層における量子井戸層の層数を2とすることによ
って、注入された電子と正孔を2つの量子井戸層に均等
に分割し、量子井戸層1層当りに存在する電子と正孔の
密度を低減したことにより、運動量空間内で電子や正孔
の分布を低減できた。その結果、電流ー光出力特性にお
いて高い注入電流においても光出力は飽和することな
く、高輝度な窒化ガリウム系半導体発光ダイオード素子
が実現された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る半導体レーザ素子を
示す断面図である。
【図2】図1のA部を拡大した断面図である。
【図3】第1実施例における閾値電流値の量子井戸層数
依存性、及び光出力の変調可能な、注入電流の最大変調
周波数の量子井戸層数依存性を示すグラフ図である。
【図4】同、光出力の変調可能な、注入電流の最大周波
数の障壁層の厚さ依存性を示すグラフ図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る半導体レーザ素子と
駆動回路を示す回路図である。
【図6】本発明の第3実施例に係る半導体レーザ素子と
駆動回路を示す回路図である。
【図7】本発明の第4実施例に係る半導体発光ダイオー
ド素子を示す断面図である。
【図8】図7のB部を拡大した断面図である。
【図9】本発明の第4実施例に係る半導体発光ダイオー
ド素子と従来の半導体発光ダイオード素子の、それぞれ
の電流ー光出力特性を示すグラフである。
【図10】従来の青色LDの構造例を示す断面図であ
る。
【図11】従来の青色LEDの構造例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
3 n−GaNn型コンタクト層 4 n−Al0.1Ga0.9Nn型クラッド層 5 n−GaNガイド層 4、24 n−AlGaNn型クラッド層 6、25 多重量子井戸構造活性層 8、28 p−GaNガイド層 9、29 p−AlGaNp型クラッド層 14、34 InGaN量子井戸層 15、35 InGaN障壁層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化物半導体からなるクラッド層及び/
    又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリ
    ウムを含む窒化物半導体よりなる量子井戸構造活性層を
    備え、前記量子井戸構造活性層は2層の量子井戸層とこ
    れらに挟まれた1層の障壁層とから形成されることを特
    徴とする窒化ガリウム系半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 窒化物半導体からなるクラッド層及び/
    又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリ
    ウムを含む窒化物半導体よりなる量子井戸構造活性層を
    備え、前記量子井戸構造活性層は2層の量子井戸層とこ
    れらに挟まれた1層の障壁層とから半導体レーザの発振
    部を形成してなることを特徴とする窒化ガリウム系半導
    体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 窒化物半導体からなるクラッド層及び/
    又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリ
    ウムを含む窒化物半導体よりなる量子井戸構造活性層を
    備え、前記量子井戸構造活性層は2層の量子井戸層とこ
    れらに挟まれた1層の障壁層とから発光ダイオードの発
    光部を形成してなることを特徴とする窒化ガリウム系半
    導体発光素子。
  4. 【請求項4】 量子井戸層の厚さが、10nm以下であ
    ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に
    記載の窒化ガリウム系半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 障壁層の厚さが、10nm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の窒化ガリウム系半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 窒化物半導体からなるクラッド層及び/
    又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリ
    ウムを含む窒化物半導体よりなる量子井戸構造活性層を
    備え、前記量子井戸構造活性層は2層の量子井戸層とこ
    れらに挟まれた1層の障壁層とから形成される窒化ガリ
    ウム系半導体レーザ素子と、前記半導体レーザに高周波
    数変調された電流を注入する駆動回路とからなることを
    特徴とする半導体レーザ光源装置。
  7. 【請求項7】 変調周波数は300MHz以上であるこ
    とを特徴とする請求項6に記載の半導体レーザ光源装
    置。
  8. 【請求項8】 窒化物半導体からなるクラッド層及び/
    又はガイド層に挟まれた、少なくともインジウムとガリ
    ウムを含む窒化物半導体よりなる量子井戸構造活性層を
    備え、前記量子井戸構造活性層は2層の量子井戸層とこ
    れらに挟まれた1層の障壁層とから自励発振型のレーザ
    発振部を形成してなることを特徴とする請求項2,4ま
    たは5に記載の窒化ガリウム系半導体発光素子。
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