JP3373614B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
空気入りタイヤInfo
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Description
くにそのトレッド補強を司るベルトまたはビード部補強
を司るカーカスプライの折返し部など、タイヤの骨格や
その補強を担う構成材の改良によって、耐久性の向上を
図った空気入りタイヤに関するものである。
ずベルトはトレッドの補強を司り、とくにラジアルタイ
ヤの場合は周方向の剛性を高める役目を担い、またカー
カスはタイヤの骨格をなすとともに、その折返し部はビ
ード部の補強にも寄与するものである。
に対して斜めの並行配列をなすコードによる補強素子
を、またカーカスプライは、タイヤのクラウン部におい
てタイヤの赤道面に対して斜め又は直角の並行配列をな
すスチールコードによる補強素子を、それぞれ等間隔に
埋設されたゴム引き層として用いるのが通例である。
等間隔とされて来た従来の構成材にあっては、その端部
にて、すなわちベルトにおいてはその幅端において、各
補強素子の端末に面するゴムがタイヤの接地変形の度毎
につつかれるため、はじめに微細なクラックを生じ、や
がて補強素子の隣接相互間にまたがって成長し、その後
はベルトの積層相互間にもつながって急速に拡大し、い
わゆるベルトセパレーションに至る。この亀裂進展速度
は格段に速いため、これがとくにラジアルタイヤの耐久
性を決定づける。
終端において、各補強素子の端末に面するゴムがタイヤ
の接地変形の度毎につつかれるため、はじめに微細なク
ラックを生じ、やがて補強素子の隣接相互間にまたがっ
て成長し、その後はサイドウォール部やスティフナーへ
向かって進展して急速に拡大し、これがタイヤビード部
の耐久性を決定づける一要因となる。
ことが重要で、そのためには補強素子の隣接相互間の間
隔の広い方がもちろん有利である反面、タイヤの軽量化
の強い要請に加えて必要とされるコードの簡素化のた
め、補強素子の線径を細くすることが望まれる。その結
果、同等のタイヤ強度を保持するために、当然乍ら補強
素子の打ち込みを多くする外はなく、補強素子の間隔は
却って狭くなりクラックの成長抑制とは相容れないとこ
ろである。
報にて、ゴム引き層の補強素子を数本以内の束に区分し
て、その束とこれと隣接する補強素子との分散間隔を広
くすることによって、補強素子の末端に面して発生する
微細なクラックの、その後の成長進展を抑制するタイヤ
構造について開示した。さらに、同様の技術を、特に簡
素化したスチールコードなどにも適用するために、上記
の各束内の補強素子を少なくとも2段に重ねる配置につ
いて、特願平4−77312 号明細書で提案した。
やすと、特に2段以上に重ねた補強素子が4列以上にな
ると、補強素子間に閉空間が区画されて、当然、この空
間へゴムが進入しないため空間として残り、ここにタイ
ヤの外傷からの水分が侵入する。すると、ベルトでは、
侵入した水分がコード端まで到達し、コード端のセパレ
ーションをまねき、またカーカスプライでは、閉空間を
伝わって広い範囲でコードの腐食を誘発し、コードから
ゴムが剥離して、この剥離部がコードの軸方向に連続
し、最終的にはタイヤのサイド部が膨れて走行不能に陥
る。
材における補強素子を束に区分して耐久性を向上するに
当たり、束内の補強素子を2段以上4列以上で配置する
場合の上記問題を解消し得る、改良した構成材をそなえ
る空気入りタイヤを与えることにある。
配列をなす所定本数の補強素子によるゴム引き層を構成
材とし、該ゴム引き層内に配置した補強素子の30%以上
を少なくとも8本毎の束に区分して、その束とこれに隣
接する補強素子との分散間隔を、上記所定本数の補強素
子をゴム引き層内で等間隔に配列した場合に比べて広く
した空気入りタイヤにおいて、上記束は、ゴム引き層の
厚み方向に重ねた少なくとも2段の補強素子を少なくと
も4列で配置して成り、各束内において隣り合う2段2
列を構成する4本の補強素子間に、束の外側と連通する
少なくとも1の非接触域を有することを特徴とする空気
入りタイヤである。
供したベルトまたは一対のビードコアのまわりでタイヤ
の内方から外方へ巻返した少なくとも1層のカーカスプ
ライが、とりわけ有利に適合する。これらの他にも、例
えば一対のビードコアのまわりでタイヤの内方から外方
へ折返したカーカスプライの折返し部に沿って延ばした
少なくとも1層のビード部補強層、そしてベルトの一部
または全幅を覆うベルト補強層などの構成材があり、こ
れらも構成材に含まれることは勿論である。ここで、補
強素子としては、スチールのコードまたはモノフィラメ
ントが有利に適合する。
と、束が異なる本数の補強素子よりなること、そして束
内にて隣り合う補強素子の離間すき間が束の分散間隔よ
りも狭い配列になることの各場合が含まれる。
強に必要とされる補強素子の総本数の如何によって束の
区分上の剰余を生じることがあり得るので、束の区分か
らはみ出した補強素子については、タイヤの全周にわた
ってほぼ均整になるような分散配置とするを可とする。
述べたように、補強素子の端末によってこれに面するゴ
ム中に、タイヤの変形の反覆の度毎にくり返されるつつ
きが微細なクラックを生じさせ、これが補強素子の表面
に沿って進む初期段階はともかくとして、従来の技術に
従い等間隔で補強素子が並行配列された場合にいち早く
補強素子の隣接相互間にまたがって成長し始めるや忽ち
にして、構成材の積層相互間につながるか、または構成
材を中心としてタイヤの外側あるいは内側に向かって急
拡大し、各種のセパレーションやクラック等に進展する
不利があった。
ベルト2に適用した、図2に示すトリートでは、すなわ
ち補強素子3を2段4列で束4としたものにあっては、
束4と束4または束に属しない補強素子が混在すると
き、その補強素子3と束4との分散間隔sが等間隔配列
の場合に比しはるかに広がるため、この分散間隔sを隔
てて隣接する補強素子間で初期段階以降におけるクラッ
クの成長が分散間隔に応じて遅れることとなるので、そ
の後のセパレーションやクラックの急速な拡大は有効に
抑制される。なお、補強素子の剛性が高いと、上記した
補強素子端末のつつきによる、微細なクラックが早期に
発生し易いため、特に剛性の高いスチールコードを用い
る場合に、この発明の構成材による層間セパレーション
の拡大抑制効果は、とりわけ大きくなる。
のうちごく一部の補強素子のみを束として、タイヤの全
周に渡ってほぼ均整になる様な分散配置としても、束と
これに隣接する補強素子との間隔が従来の技術に従い等
間隔配列とした場合の補強素子の間隔に比べて広がるこ
とから、セパレーションやクラックの急速な拡大は抑制
される。しかしながら、その効果は著しいものとは言え
ない場合もあるから、束の区分に関しては全周の少なく
とも30%の補強素子を対象とする。こうすることで効果
も著しいものとなる。
チールコードなどに適した補強素子の配置を与えるた
め、補強素子を2段以上で重ねるが、2段以上で重ねた
補強素子が4列以上になると、図2に示すように、閉空
間5が形成されることが問題となる。すなわち、2段に
重ねた補強素子の3列からなる束では、タイヤ加硫時に
ブラダーから圧力が加わって、ゴム引き層の幅方向にゴ
ムが流動し、これに連れて束内の端部に位置する補強素
子も移動するため、補強素子間に閉空間が区画されるこ
とはほとんどなかった。これに対して、2段に重ねた補
強素子が4列以上になると、束内の端部に位置する補強
素子が移動しても、残る補強素子の本数が多いため、閉
空間が容易に発生するのである。この閉空間に侵入する
水分が、ゴムとコードとのセパレーションを誘発するこ
とは、すでに述べたところである。
に、束4内で2段2列を構成する4本の補強素子3間
に、束4の外側と連通する少なくとも1の非接触域を設
けて、図2に示した閉空間5の発生を回避した、換言す
ると、補強素子3間にゴムを充填し、水分による悪影響
を排除した。なお、上記の図2および3は、ベルト2の
幅端から数mm隔てた位置での補強素子軸方向に直交する
断面で図解した。
ゴム引き層を用意するため、例えば図4に示すように、
スプール6から巻出したスチールコードまたはフィラメ
ントなどの補強素子3を、櫛歯形ロールを改良したカレ
ンダがけロール7によって、トリート材8をまずつく
る。この櫛歯形ロール7は、これによって少なくとも8
本毎の補強素子を2段4列以上で整列させた束の区分毎
に、カレンダがけロールによりゴムシートと合体するよ
うに役立てる。
に、補強素子3の上記並置配列のための複数の周溝9を
有し、この周溝9は区分束の隣接相互間をへだてるため
のカラー状櫛歯10によって区画し、各周溝9は、補強素
子3の各列間に隙間を設けるための仕切り壁11を有す
る。このようにしてつくられるトリート材は、補強素子
3の各列間にゴムが充填した所望のものとなる。そし
て、このトリート材をタイヤの補強などに用いるとき、
補強素子をタイヤの赤道面に対して傾斜させる場合は、
その必要な傾斜に応じてトリート幅を斜め裁ちし、次い
でトリートの幅端の耳同士を再接合したゴムストリップ
とし、ライナーとともに原反コイルに巻きとって、タイ
ヤの造成工程に供される。
せるには、図5に示した手法の他にも、例えば図6に示
すように、櫛歯形ロール7の周溝9内で補強素子3を整
列させる際に、補強素子3間にシート状ゴム12や棒状ゴ
ム13を介在させてゴムシートと合体させたり、図7(a)
に示すインシュレーション14にて、閉空間を区画し易い
補強素子3に予めゴム15を被覆して、同図(b) に示すよ
うに、櫛歯形ロール7の周溝9内に単に送り込むことも
可能である。
ルタイヤ1のトレッド補強用ベルト2として、図2に示
した、補強素子間に閉空間を有するベルトトリートと、
図3に示した、補強素子間に閉空間のないベルトトリー
トとを適用した。いずれのベルトトリートとも、補強素
子として 0.2mm径のスチールモノフィラメント8本を2
段4列で配置した束を1.18mm間隔で配置し、打込み数は
24.0本/50mmとした。
り、各層の補強素子はタイヤ赤道面に対して20°で互い
に交差しており、トレッド側の層の方が、カーカス側の
層よりやや幅が狭くなっている。
試タイヤ1に内圧2.0kgf/cm2で空気を充填後に乗用車に
装着し、50000 km走行させたのち、トレッド踏面のカッ
トを受けた部分からコード方向にその端部までの間での
ゴムの亀裂状態を観察した。
ヤでは、カットを受けた4か所全て錆の粉末が認めら
れ、コード端部が磨滅しかつ隣接する束へもセパレーシ
ョンが広がり、このセパレーションの最大長さはコード
の軸方向に20mmおよび配列方向に40mmであった。
タイヤでは、5か所でカットを受けたが、どのカット部
分でもセパレーションの発生はなく、コードに沿った亀
裂の長さも3mm足らずであった。
用ラジアルタイヤ16のトレッド補強用ベルト17に、表1
に従う仕様で図9〜12に示す構造のベルトトリートを適
用し、供試タイヤに内圧7.25kgf/cm2 で空気を充填後に
実車に装着し、100000km走行させたのち、トレッド踏面
のカットを受けた部分からコード方向にその端部までの
間でのゴムの亀裂状態を観察した。その結果を表1に併
記する。なお、ベルト17はこの例で4枚積層になり、各
層の補強素子はトレッド側から各々左18°、左18°、右
18°、右52°とタイヤ赤道面に対し傾斜している。
ラジアルタイヤ18のカーカスプライ19として、図14に示
した、補強素子間に閉空間を有するプライトリートと、
図15に示した、補強素子間に閉空間のないプライトリー
トとを適用した。いずれのトリートとも、補強素子とし
て0.19mm径の1×3構造のスチールコード8本を2段4
列で配置した束を1.19mmの間隔で配置し、打込み数は1
7.2本/50mmとした。
試タイヤに内圧7.0kgf/cm2で空気を充填後に実車に装着
し、100000km走行させたのち、タイヤサイド部のカット
を受けた部分からコード方向にその端部までの間でのゴ
ムの亀裂状態を観察した。
ヤでは、カットを受けた2か所全てに錆の粉末が認めら
れ、コード軸方向にカット部を中心に25mmおよび30mmに
わたり腐食が発生していた。これに対して、図15のトリ
ートを適用したタイヤでは、2か所でカットを受けた
が、腐食の発生はカット付近の約1mmほどの領域であっ
た。
とされて来た各種構成材の端部でのセパレーションの原
因である、構成材の補強素子末端付近におけるクラック
の成長進展を有効に阻むことができ、さらに束内の補強
素子間に閉空間が発生しないため、この閉空間に侵入す
る水分に起因した、ゴムと補強素子とのセパレーション
をも回避でき、耐久性の極めて高いタイヤを提供し得
る。
式図である。
式図である。
図および(b) は櫛歯形ロールでの補強素子の配置を説明
する模式図である。
る。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 互いに並行配列をなす所定本数の補強素
子によるゴム引き層を構成材とし、該ゴム引き層内に配
置した補強素子の30%以上を少なくとも8本毎の束に区
分して、その束とこれに隣接する補強素子との分散間隔
を、上記所定本数の補強素子をゴム引き層内で等間隔に
配列した場合に比べて広くした空気入りタイヤにおい
て、上記束は、ゴム引き層の厚み方向に重ねた少なくと
も2段の補強素子を少なくとも4列で配置して成り、各
束内において隣り合う2段2列を構成する4本の補強素
子間に、束の外側と連通する少なくとも1の非接触域を
有することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 【請求項2】 構成材が、タイヤのトレッド補強に供し
たベルトである、請求項1に記載のタイヤ。 - 【請求項3】 構成材が、一対のビードコアのまわりで
タイヤの内方から外方へ巻返した、少なくとも1層のカ
ーカスプライである、請求項1に記載のタイヤ。 - 【請求項4】 補強素子がスチール製である請求項1に
記載のタイヤ。
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JPH0796713A JPH0796713A (ja) | 1995-04-11 |
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Country | Link |
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---|---|---|---|---|
US5855703A (en) * | 1996-04-10 | 1999-01-05 | Bridgestone Corporation | Pneumatic tires including a tire component containing groups of reinforcing elements in two or more steps and rows |
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JP5536372B2 (ja) * | 2009-06-17 | 2014-07-02 | 株式会社ブリヂストン | ゴムシートの製造装置及び製造方法 |
-
1993
- 1993-09-30 JP JP24508993A patent/JP3373614B2/ja not_active Expired - Fee Related
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