JP3373448B2 - 自然石連結構造物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は自然石を利用した
自然石連結構造物に関し、例えば河岸や堤防を直接保護
する護岸工、河床の洗掘を防ぐ河川根固工、豪雨時の大
量土砂の流出を防止する砂防堰堤工、海岸沿いの消波・
洗掘根固工、さらには堤防や擁壁などの法面覆工などと
して広く構築されるものである。

【０００２】

【従来の技術】これまで各地の海岸、港湾、河川などで
国土保全の役割を果たしてきた護岸工や河川根固工、あ
るいは法面覆工などの土木構造物は、多くが同一形状の
コンクリートブロックを互いに係合させて外力に抵抗す
る構造のもので、施工性の良さなどから過去半世紀にわ
たって広く使用されてきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような土
木構造物は、現地の景観とは全く異質のコンクリートブ
ロックを多数使用するものであるため、海岸、港湾、漁
港などの景観を大きく損なう場合が多い。

【０００４】このため、近年その景観上の問題や自然環
境保全の高まりにより、地域住民や環境保護団体などか
らのブロック設置に対する反対要望が強く、さらに経済
性の面などの社会的ニーズにおいても画一的なコンクリ
ート土木構造物に対する反省が広まっている。

【０００５】また、コンクリートブロックは工場などで
２次製品として生産され、多くは遠方の現地に大量に運
搬されるため、運搬コストが相当嵩み、結果的に施工コ
ストが大幅に嵩む等の課題もあった。

【０００６】この発明は、このような社会的状況に鑑み
てなされたもので、特に現地の景観、環境にマッチした
自然石連結構造物を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の自然石連
結構造物は、所定長さに形成され、対角線状に配置さ
れ、かつ交点部が連結された２本の連結部材と当該連結
部材の各両端部にそれぞれ連結された複数の自然石とか
らなる自然石連結ブロックを複数積み上げ、中詰材を充
填して構築されてなることを特徴とするものである。

【０００８】請求項２記載の自然石連結構造物は、所定
長さに形成された３本の連結部材と当該連結部材の一端
に連結された一個の極大な自然石と前記連結部材の多端
側の各端部にそれぞれ連結された、前記極大な自然石よ
り小さい３個の自然石とからなる自然石連結ブロックを
複数積み上げ、中詰材を充填して構築されてなることを
特徴とするものである。

【０００９】

【００１０】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態１． 図１（ａ）〜（ｃ）は、自然石連結ブロックの一例を示
し、図において２個の自然石１が所定の間隔に配置さ
れ、かつ自然石１どうしが所定の長さに形成された１本
の連結部材２によって連結され、こうして運搬、布設な
どに際して取り扱いやすい大きさの自然石結合ブロック
３が形成されている。

【００１１】自然石１は大形の玉石や砕石などで、１個
あたりの重量が１０〜１０００Ｋｇを目安に形成されて
いる。また、各自然石１の略重心を通る位置には、連結
部材２の一端（後述するアンカー部２ａ）を定着するた
めの定着孔１ａがそれぞれ所定の深さに形成されてい
る。

【００１２】なお、自然石１としては、原則として現地
にある大小様々な自然石を利用するものとし、そうする
ことで施工場所の景観、環境にマッチした自然石連結ブ
ロック３きわめて廉価にかつ大量に形成できる。

【００１３】ただし、現地で希望するもを得られないと
きは、工場などで２次製品として生産し、これを現地に
搬入して利用するものとする。

【００１４】連結部材２は鋼線または合金メッキ鉄線な
どの屈とう性金属材、高強度のワイヤーまたはロープ、
あるいはＨ形鋼、山形鋼、帯鋼などの鋼材などで形成さ
れている。

【００１５】これらのうちのいずれの材料で連結部材２
を形成するか、また連結部材２をどの程度の長さにする
か等は自然石連結ブロック３の使用目的、形状などを参
酌の上、適宜決められる。なお、屈とう性金属材として
は、例えば所定長さの合金メッキ鉄線、ワイヤーなどが
使用される。

【００１６】また、連結部材２は自然石１，１間に架け
渡され、かつ両端のアンカー部２ａが自然石１の定着孔
１ａにそれぞれ挿入され、かつその周囲に定着用の凝固
剤４が充填されている。こうして、所定間隔に配置され
た自然石１と１が連結部材２によって一体的に連結され
ることで自然石連結ブロック３が形成されている。

【００１７】なお、例えば図１（ｂ）に図示するように
連結部材２のアンカー部２ａを略Ｌ字状に形成するとと
もに、自然石１の定着孔１ａを連結部材２の軸直角方向
に穿孔すれば、アンカー部２ａの定着力を著しく高める
ことができ、アンカー部２ａの定着長さを特に長めにし
なくてもアンカー部２ａの引き抜けを確実に防止するこ
とができる。

【００１８】また、例えば図１（ｃ）に図示するように
自然石連結ブロック３の設置場所によっては、連結部材
２を円弧状に形成することもある。

【００１９】さらに連結部材２は、海水などの劣悪な環
境下にさらされても腐食したりしないで永久的にその役
割を果たせるように樹脂材などからなる被覆材で被覆す
るのもよい。凝固剤４には、例えばエポキシ樹脂系また
はアクリル樹脂系の凝固剤と硬化剤を混合した接着剤な
どが使用されている。

【００２０】こうして形成された自然石連結ブロック３
は、例えば図２（ａ），（ｂ）、または図３に図示する
ように堤防や地山の法面を保護する擁壁工、海岸沿いの
洗掘を防止する消波・洗掘根固工、さらには河岸や堤防
を直接保護する護岸工など、土木構造物の用途に応じて
所定規模（形状、高さ等）の枠状に積み上げられてお
り、また必要に応じてその中に現地で大量に発生する自
然石や土砂、あるいはコンクリートガラ、コンクリート
等の中詰材５が充填されている。

【００２１】図４（ａ），（ｂ）は自然石連結ブロック
の他の例を示し、図４（ａ）に図示するものは、１個の
極大の自然石１Ａとこれより小さい３個の自然石１Ｂを
所定の間隔に配置し、かつ自然石１Ａと１Ｂを連結部材
２でそれぞれ連結して形成された自然石連結ブロックを
示したものである。

【００２２】また、図４（ｂ）に図示するものは、２本
の連結部材２Ａと２Ｂを対角線状に配置するとともにそ
の交点部を連結し、かつ各連結部材２Ａ、２Ｂの両端に
自然石１をそれぞれ定着して形成された自然石連結ブロ
ックを示したものである。

【００２３】いずれも、図２に図示するように土木構造
物の用途に応じて所定規模（形状、高さ等）の枠状に積
み上げられ、また必要に応じてその中に現地で大量に発
生する自然石や土砂、あるいはコンクリートガラ、コン
クリート等の中詰材が充填される。

【００２４】

【発明の効果】この発明は以上説明した構成からなり、
特にこれまでのコンクリートブロックとは全く異なり、
自然石による美しい自然景観を創出できるため、現地の
景観、環境にマッチした土木構造物を容易に構築でき
る。

【００２５】また、自然石が組み合わされている空積構
造なので、草木が生育でき、また昆虫や魚などの生物が
生息できる場を提供できるので、生態系の保全に適した
土木構造物を提供できる。

【００２６】また、単に自然石どうしを両端部に自然石
に定着されるアンカー部を有する連結部材で連結しただ
けで形成されているので、現地に大量にある大小様々の
自然石を利用できるので、運搬コストもかからずきわめ
て低コストでの施工が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）〜（ｃ）はいずれも自然石連結ブロック
の一例を示す一部破断正面図である。

【図２】（ａ），（ｂ）はいずれも自然石連結構造物の
一例を示す正面図である。

【図３】土木構造物の一例を示す平面図である。

【図４】自然石連結構造物の他の一例を示す平面図であ
る。

【符号の説明】

１ 自然石 ２ 連結部材 ２ａ アンカー部 ３ 自然石連結ブロック ４ 凝固剤 ５ 中詰材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E02B 3/12 - 3/14 E02D 29/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定長さに形成され、対角線状に配置さ
   れ、かつ交点部が連結された２本の連結部材と当該連結
   部材の各両端部にそれぞれ連結された複数の自然石とか
   らなる自然石連結ブロックを複数積み上げ、中詰材を充
   填して構築されてなることを特徴とする自然石連結構造
   物。
2. 【請求項２】 所定長さに形成された３本の連結部材と
   当該連結部材の一端に連結された一個の極大な自然石と
   前記連結部材の多端側の各端部にそれぞれ連結された、
   前記極大な自然石より小さい３個の自然石とからなる自
   然石連結ブロックを複数積み上げ、中詰材を充填して構
   築されてなることを特徴とする自然石連結構造物。