JP3063501U

JP3063501U - 木枠構造ブロックおよび木枠土木構造物

Info

Publication number: JP3063501U
Application number: JP1999002906U
Authority: JP
Inventors: 昌司行本; 卓生行本
Original assignee: 卓生行本
Priority date: 1999-04-28
Filing date: 1999-04-28
Publication date: 1999-11-09
Anticipated expiration: 2005-04-28

Abstract

(57)【要約】【課題】現地の景観、環境にマッチし、かつきわめて
安定した河川根固工などの土木構造物を構築可能な木枠
構造ブロックおよび木枠土木構造物を提供する。【解決手段】床板１の上に複数の木枠材２を井桁状に
積み上げて囲木枠２Ａを形成する。床板１はコンクリー
トまたは鉄筋コンクリートから矩形板状に形成し、中央
部分に開口部３を形成し、かつ床板１の縁端部に複数の
木枠材２を積み上げる。また、この木枠構造ブロックを
複数、互いに隣接して設置し、かつ各木枠構造ブロック
の囲木枠２Ａ内に現地で大量に発生する土砂や砕石など
の中詰め材６をそれぞれ充填する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、河岸や堤防を直接保護する護岸、河床の洗掘を防ぐ河川根固工、あるいは海岸沿いの消波・洗掘根固工、さらには堤防や擁壁などの法面覆工などの土木構造物として広く利用される木枠構造ブロックおよび木枠土木構造物に関する。

【０００２】

【従来の技術】

これまで各地の海岸、港湾、河川などで国土保全の役割を果たしてきた護岸工や河川根固工、あるいは法面覆工などの土木構造物は、多くが同一形状のコンクリートブロックをお互いに係合させて外力に抵抗する構造のもので、施工性の良さなどから過去半世紀にわたって広く使用されてきた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このような土木構造物は、現地の景観とは全く異質のコンクリートブロックを多数使用するものであるため、河川、海岸、港湾、漁港などの景観を大きく損なう場合が多い。

【０００４】このため、近年その景観上の問題や自然環境保全の高まりにより、地域住民や環境保護団体などからのブロック設置に対する反対要望が強く、さらに経済性の面などの社会的ニーズにおいても画一的なコンクリート土木構造物に対する反省が広まっている。

【０００５】また、この種のコンクリートブロックとしては、単に積み重ねて布設されるものも多々あり、このようなタイプのものは安定性に難点があり、施工中または施工後の地震時などに崩れ落ち易い等の課題があった。

【０００６】この考案は、以上の課題を解決するためになされたもので、特に現地の景観、環境にマッチし、かつきわめて安定した土木構造物を構築可能な木枠構造ブロックおよび木枠土木構造物を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

以上の課題を解決するための手段として、この考案に係る木枠構造ブロックは、請求項１として、コンクリートまたは鉄筋コンクリートから矩形板状をなすとともに開口部を有する床板の周囲とその内側に複数の木枠材を設置し、周囲の木枠材は囲木枠を形成するように床板の縁端に沿って複数段に設置し、その内側の木枠材は開口部の上を覆うように設置して構成されている。

【０００８】請求項２として、請求項１の木枠構造ブロックにおいて、開口部を複数有し、そのそれぞれの上を覆うように木枠材が設置されている。請求項３として、請求項１または２の木枠構造ブロックにおいて、囲木枠の内側に、木枠材が囲木枠の内側を複数の空間に仕切るように十字型またはＸ字型に設置されている。

【０００９】この考案に係る木枠土木構造物、請求項４として、請求項１、２または３記載の木枠構造ブロックを複数、隣接して設置し、かつ各木枠構造ブロックの囲木枠内に中詰め材をそれぞれ充填して構成されている。

【００１０】

【考案の実施の形態】

考案の実施の形態１．図１と図２はともに、木枠構造ブロックの一例を示し、図において床板１は所定の重量を確保するように無筋コンクリートまたは鉄筋コンクリートなどで矩形板状に形成され、この床板１の上に複数の木枠材２が設置されている。

【００１１】床板１は正方形板に形成され、その中央部分に開口部３が矩形状に形成されている。また、各縁端部に凹み４がそれぞれ形成され、そのうちの合対する凹み４の底部分に吊り金具５がそれぞれ突設されている。

【００１２】開口部３は主に木枠構造ブロックが根固め工などとして海底に設置された際に、浮力による揚力を低減して安定した状態で沈設できるようにするためのものであり、また吊り金具５はクレーン等で吊る際に利用されるものである。

【００１３】木枠材２は原則して間伐材で形成されているが、鉄筋コンクリート等からなる擬木で形成され、床板１の各縁端部分（４辺）と中央部分にそれぞれ設置されている。

【００１４】縁端部分の木枠材２は、上下の木枠材２，２間に所定の隙間を生じるように井桁状に所定の高さに積み上げられている。そして、上下の木枠材２どうしは連結部材によって互いに連結され、最下段の木枠材２は連結金具によって床板１の上に固定されている。こうして、床板１の上に床板１と同じ形状の囲木枠２Ａが形成されている。

【００１５】この場合、木枠材２の高さは木枠構造ブロックの用途に応じて適宜決められ、例えば護岸工、河川根固工、海岸沿いの消波・洗掘根固工などとして利用される場合には、図１（ａ）〜（ｃ）に図示するように何段にも積み重ねて高めに設置されている。また、堤防などの法面覆工などとして利用される場合には図２（ａ）〜（ｃ）に図示するように４段程度と低くめに設置されている。

【００１６】さらに、特に大型タイプのものにあっては、例えば図３（ａ），（ｂ）に図示するように囲木枠２Ａの中を複数の空間に仕切るように、複数の木枠材２が平面視して十字型またはＸ字型に設置されている。

【００１７】また、中央部分の木枠材２は開口部３の上を覆いながらも、所定の隙間を生じるように設置され、かつそれぞれ床板１の上に固定されている。開口部３の上を覆うように木枠材２が設置されていることで、囲木枠２Ａに中詰め材を充填しても、中詰め材が開口部３から下に漏れてしまうようなことはない。また、木枠材２，２間に所定の隙間を有することで、開口部３内を生き物の生息空間として利用できる。

【００１８】なお、大型タイプのものにあっては、開口部３を所定間隔に複数設け、各開口部３の上を覆うように木枠材２が設置されてもよい。また、木枠材２どうしを連結する方法としては、木枠材２が間伐材で形成されている場合には、耐久性に富んだ屈とう性を有する合金メッキ鉄線、またはかすがい金具やボルト等の連結金具で連結され、擬木が使用されている場合にはボルト等で連結されている。

【００１９】また、木枠材２を床板１に固定する方法としては、ボルトなどの固定金具が使用され、その際のボルトは床板１の成形時に予めアンカーボルトとして突設しておいてもよく、あるいは床板１にボルト孔のみを形成しておき、後からこのボルト孔を利用してボルトで固定してもよい。

【００２０】こうして形成された木枠構造ブロックは、例えば図４に図示するように、海岸沿いや河川沿いに互いに隣接して設置されている。そして、各木枠構造ブロックの囲木枠２Ａ内に現地で大量に発生する自然石や土砂などの中詰材６が充填されている。こうして、河川根固工、海岸沿いの洗掘を防止する消波・洗掘根固工などの、現地の景観、環境にマッチし、かつきわめて安定した木枠土木構造物が構築されている。

【００２１】

【考案の効果】

この考案は以上説明した構成からなり、これまでのコンクリートブロックとは全く異なり、自然石による美しい自然景観を創出できるため、現地の景観、環境にマッチし、かつきわめて安定した木枠土木構造物を容易に構築できる。

【００２２】また、現地で大量にある大小様々の土砂や砕石などを中詰め材として利用できるので、きわめて低コストでの施工が可能である。さらに、上下の木枠材が永年の経過とともに腐食したとしても、中詰め材としての土砂や砕石がその形態を維持したまま残るので、土木構造物もそのまま維持される。

【００２３】また特に、床板はコンクリートまたは鉄筋コンクリートから矩形板状に形成され、基礎の働きを有することにより、設置地盤が沼地のような少々軟弱地質であっても不同沈下を阻止してきわめて安定した状態に設置できる。

【００２４】また、床板は一個ないし複数の開口部を有することにより、河川根固工などとして水底に沈設する際に浮力による抵抗を受けることなく、きわめてスムーズに沈設でき、設置作業を効率的に行うことができる。

【００２５】さらに、木枠材が開口部の上を覆うように設置されていることにより、中詰め材が漏れてしまうようなこともない。また、囲木枠の内側を複数の空間に仕切るように、木枠材が十字型またはＸ字型に設置されていることにより、囲木枠の内側に中詰め材をむらなく全体にバランスよく充填することができるだけでなく、囲木枠を補強できて、中詰め材の重みで囲木枠が壊れてしまうようなこともなく、強度面でもすぐれている。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）〜（ｃ）は木枠構造ブロックの一例を示
し、（ａ）はその平面図、（ｂ）はその正面図、（ｃ）
はその側面図である。

【図２】（ａ）〜（ｃ）は木枠構造ブロックの一例を示
し、（ａ）はその平面図、（ｂ）はその正面図、（ｃ）
はその側面図である。

【図３】（ａ），（ｂ）は木枠構造ブロックの他の例を
示す平面図である。

【図４】木枠土木構造物の一例を示す断面図である。

【符号の説明】

１床板２木枠材２Ａ囲木枠３開口部４凹み５吊り金具６中詰め材

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】コンクリートまたは鉄筋コンクリートか
ら矩形板状をなすとともに開口部を有する床板の周囲と
その内側に複数の木枠材を設置し、周囲の木枠材は囲木
枠を形成するように床板の縁端に沿って複数段に設置
し、その内側の木枠材は開口部の上を覆うように設置し
てあることを特徴とする木枠構造ブロック。
【請求項２】開口部を複数有し、そのそれぞれの上を
覆うように木枠材が設置してあることを特徴とする請求
項１記載の木枠構造ブロック。
【請求項３】囲木枠の内側に、木枠材を囲木枠の内側
を複数の空間に仕切るように十字型またはＸ字型に設置
してあることを特徴とする請求項１または２記載の木枠
構造ブロック。
【請求項４】請求項１、２または３記載の木枠構造ブ
ロックを複数、隣接して設置し、かつ各木枠構造ブロッ
クの囲木枠内に中詰め材をそれぞれ充填してなることを
特徴とする木枠土木構造物。