JP3372648B2 - 生分解性を有する熱可塑性セルロース誘導体組成物の成形物の製造方法 - Google Patents
生分解性を有する熱可塑性セルロース誘導体組成物の成形物の製造方法Info
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Description
性セルロース誘導体組成物の成形物の製造方法に関し、
更に詳しくは十分な機械的強度を有し、平滑性、塗装
性、耐水性に優れ、しかも成形時の溶融粘度が通常の方
法で成形可能な範囲にある生分解性を有する熱可塑性セ
ルロース誘導体・デンプン系組成物の成形物の製造方法
に関する。
ロース誘導体は溶剤に溶解して溶液状にした上でフィル
ム状、繊維状に成形すること(湿式成形)が比較的多い
が、一部には、熱と圧力とを働かせて成形(乾式成形)
して用いられている。セルロースプラスチックとしての
使用であり、セルロースジアセテート、エチルセルロー
スさらにニトロセルロースが代表的なものである。殆ど
の場合、それらのみでは熱可塑性が十分でなく、何らか
の可塑剤を併用している。セルロースジアセテートの場
合、例えばジエチルフタレートを可塑剤に用いるが、そ
の配合割合も高く、混練、混合による可塑化も必ずしも
容易でなく、数時間を要するといった具合になってい
る。
アセテートが活性汚泥中など自然環境に近い状態の下
で、生分解性を持つことが知られてきている〔C. M. Bu
chananet al., J. Appl. Polym. Sci., 47, 1709(199
3); ibid., 50, 1739(1993);Ji-Dong Gu et al., J. E
nviron. Polym. Degradation,1(2), 143(1993)〕。こ
の事実は、従来のセルラーゼによる分解試験で置換度1
以下のセルロースが生分解性を有すると考えられていた
という経過から考えて、セルロースからの熱可塑性生分
解性高分子材料の開発に一つのはずみをつけるものとい
える。
高いプラスチック材料をセルロース誘導体から効率よく
作っていこうとするのは当然の要求といえ、本発明が解
決しようとする課題の一つとなっている。
ると、現状では脂肪族ポリエステルが注目されている。
その中でも、最も注目されているものは合成ポリエステ
ル系の「ビオノーレ」(昭和高分子(株))であろう。
このポリエステルは、加工性、生分解性および物性は優
れているが、問題はコストパーフォマンスにあるといわ
れており、ポリプロピレンなど汎用高分子の約5倍の価
格になっている。次いで関心を持たれているものは天然
高分子から誘導されるものであり、その最右翼と考えら
れているのはデンプンから誘導されるポリ乳酸である
が、この場合も生分解性、加工性および物性は優れてい
るが、価格に難点がある。
野はスーパーマーケット等で用いられる包装用のトレイ
や買物袋といった使い捨てプラスチック製品と考えられ
るが、その分野で現在使われているポリプロピレンなど
ポリオレフィンは、プラスチックの中で最も安価なもの
である。その意味では、セルロース誘導体はポリオレフ
ィンに比べると 1.5〜3倍の価格のものといえる。そこ
で本発明が解決しようとする課題のもう一つはコストパ
ーフォマンスの向上ということになる。
勘案し鋭意研究を重ねた結果、未置換水酸基を有するセ
ルロース誘導体と、多塩基酸又はその無水物と、モノエ
ポキシ化合物又は多価アルコールとを反応させる工程の
何れかにおいて生分解性が高く安価なデンプン類を添加
することにより、実用上十分な加工性、熱流動性及び機
械的強度を有し、しかも自然環境下(土中埋没など)で
容易に分解し、環境対応に好適な生分解性を有する新規
な熱可塑性セルロース誘導体組成物の成形物が得られる
ことを見出し、本発明を完成させるに到った。
るセルロース誘導体(A)の存在下で、多塩基酸又はそ
の無水物と、モノエポキシ化合物又は多価アルコールと
を反応させた反応性可塑剤を含む熱可塑性セルロース誘
導体組成物の成形物を製造するにあたり、製造工程の何
れかにおいて、デンプン又は未置換水酸基を有するデン
プン類誘導体(B)を添加し、未置換水酸基を有するセ
ルロース誘導体(A)が海で、デンプン又は未置換水酸
基を有するデンプン類誘導体(B)が島である海島構造
を有し、前記反応性可塑剤が、デンプン又は未置換水酸
基を有するデンプン類誘導体(B)粒子の内部には存在
していない成形物を得ることを特徴とする生分解性を有
する熱可塑性セルロース誘導体組成物の成形物の製造方
法を提供するものである。
換されていない残存水酸基を有するセルロース誘導体を
用いる。具体的にはセルロースジアセテート、セルロー
スモノアセテートなどのセルロースアセテート、セルロ
ースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロ
ピオネート、セルロースアセテートフタレートおよび硝
酸セルロースなどセルロースエステル類、あるいはエチ
ルセルロース、メチルセルロース、ベンジルセルロー
ス、シアノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースな
どのセルロースエーテル類等が挙げられる。また、この
ようなセルロース誘導体の原料セルロースとしては、こ
れら最終樹脂組成物の用途が熱流動成形物であるという
ことから、従来の湿式加工用のものに比べ、純度、精製
度は低くても十分用いうるものであり、極端には、木材
粉末、繊維状物などリグノセルロースも用いうる。
等としては、例えばコーンスターチ、ワキシ−コーンス
ターチ、小麦デンプン等の地上デンプン、タピオカスタ
ーチ、馬鈴薯デンプン等の地下デンプン、アミロースま
たはアミロペクチンに富んだデンプンを挙げることがで
きる。さらに、未置換水酸基を有するデンプン類誘導体
を使用することができる。具体的には、前記のデンプン
をアセチル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピ
ル化、カチオン化などの化学修飾したデンプン等を挙げ
ることができる。化学修飾デンプンとしては、アセチル
化コーンスターチ、アセチル化タピオカスターチ、ヒド
ロキシエチル化コーンスターチ等各種の化学修飾スター
チを挙げることができる。
ン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水アジピン
酸、無水グルタコン酸、無水グルタル酸、無水ジグリコ
ール酸、無水シトラコン酸、無水ジフェン酸、無水ニト
ロフタル酸、無水フタル酸、無水フタロン酸などが挙げ
られ、好ましくは無水マレイン酸、無水コハク酸、無水
イタコン酸、無水アジピン酸が使用される。
グリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ス
チレンオキシド、ブチルグリシジルエーテル、アルキル
フェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエ
ーテル、多官能グリシジルエーテル、3級脂肪酸モノグ
リシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどエポ
キシアクリレート、ブチルグリシジルエーテルアクリレ
ートなどが挙げられるが、アリルグリシジルエーテル、
フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、グリ
シジルメタクリレートなどが好ましいものである。
リコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコールなど多くのものが包含され、特に
エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコ
ールが好ましい。
は、上述の(A)成分と(B)成分、それに多塩基酸無
水物ないし多塩基酸、およびモノエポキシドないし多価
アルコールとを含有するものであるが、これらの成分
は、組成物中で均一に混合され、所用の練りこみ反応が
適格に進むことが望ましい。
(A)/(B)重量比で0.25〜19、特に0.43〜9が好ま
しい。かかる重量比が19を超えると、デンプン類等の添
加の効果、すなわち、生分解性および加工性を高め、コ
ストパーフォマンスを向上させるという効果が低くなり
すぎるので好ましくなく、一方、0.25未満であると、デ
ンプン類等が多すぎて、マトリックス樹脂が海であり、
デンプン類等が島であるという形をとれなくなり、また
成形物は透明性、光沢に劣るものとなり、強度に問題を
生じ好ましくない。
ルロース誘導体マトリックス樹脂を構成する各成分の使
用割合は特に限定されるものでないが、最終的に得られ
る成形物の強度特性や成形性に関連する熱流動特性など
を考慮して定めることが望ましい。
いは多価アルコールの使用量についていえば、その量に
特に制限はないが、その合計量で通常組成物中に3〜60
重量部、特に5〜40重量部の範囲で使用するのが物性的
に好ましい組成物が得られる。
公知の方法、例えばバンバリーミキサー、ヘンシェルミ
キサー等の混合機やニーダー、各種押出機等を用いて行
うことができる。混練条件は、各成分の種類および量並
びに使用する混練機等に応じて適宜決定することができ
る。例えば、ニーダー、バンバリーミキサーを用いる場
合、温度は60〜250℃、好ましくは70〜230℃とし、この
温度で5〜40分間、好ましくは10〜35分間混練すること
が適当である。なお、デンプン類(B)は反応していて
もしていなくても良いが、好ましくはデンプン類(B)
が反応するような条件で行なうのが好ましい。
順序に特に制限はなく、デンプン類(B)は、未置換水
酸基を有するセルロース誘導体(A)と、多塩基酸又は
その無水物と、モノエポキシ化合物又は多価アルコール
の反応前、反応中、反応後の何れにおいて添加してもよ
い。特に全成分をまず室温で混合した上で混練機に加え
るのが好ましい。
り、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑
剤、滑剤、あるいは分解劣化促進剤などの各種添加剤、
顔染料その他の成分を適宜配合することができる。
を有する熱可塑性セルロース誘導体組成物は、通常、成
形用原料として、粉体、粒子、ペレット、フレーク等の
形状に形成する。但し、場合により、混練して得た本発
明の組成物をそのまま所望の形成品に成形することも可
能である。
形状の本発明の熱可塑性セルロース誘導体組成物は、加
圧成形、フィルム成形、押出成形、射出成形などの手段
により適宜所望の形状に成形して各種成形品を製造する
ことができる。具体的には、フィルム、シート、発泡体
等の形状で、包装用容器、使い捨て包装容器(ワンウェ
イ容器)、玩具、シート、家具部品、建材や自動車、家
電製品の部材、内装材、ハウジング等に有効に利用する
ことができる。かかる成形物は良好な生分解性を有する
ため、廃棄処理等の面で環境に及ぼす影響が少ない。
物によれば、現在大いに求められている環境適合性、生
分解性という観点で格段に優れた材料、成形品を得るこ
とができる。また、本発明の熱可塑性セルロース誘導体
組成物は、セルロース誘導体そのものよりもコストパー
フォマンスに優れ、且つ熱流動性が高く、易成形性の組
成物である。
材微粉末より入手が容易なデンプン類を原料として用い
るため、デンプン類の高度な利用が可能となり、現在ゴ
ミ処理問題との関連で大いに求められている焼却により
灰の残らない焼却廃棄しやすい成形品を得ることもでき
る。従って、本発明の生分解性を有する熱可塑性セルロ
ース誘導体組成物の成形物は、野菜小売収納用のトレイ
等の使い捨て包装容器(ワンウェイ包装容器)や家庭用
容器等の包装材料用途に好適に用いられるほか、家具、
建材の一部等として有効に用いることができる。
に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
製、LL−10;酢化度44.7%;置換度1.76)60重量
部、コーンスターチ40重量部、無水マレイン酸21.6重量
部およびフェニルグリシジルエーテル33.1重量部をビー
カーに秤りとり、軽く混ぜ合わせたのち、120℃に調温
されているラボプラストミル((株)東洋精機製作所
製;バッチ式混練ニーダー)中に混練ブレッド(回転
翼)を30rpmで回転させた状態で5分間かけて投入、引
続きブレッド回転数を90rpmに上げて、20分間加熱下で
混練して練りこみ反応を行った。
ン試験用ホットプレスを用いて熱圧成形(190℃;2分間
0〜50kgf/cm2の圧締下で予熱したのち、5分間150kgf
/cm2の圧締下で成形)し、厚さ0.4mmのシートを作成し
た。これらシートより短冊型試験片を切り出し、(株)
島津製作所製オートグラフDSC−R−500型を用い
て引張力学特性を測定した。また、(株)島津製作所製
フローテスターCFT−5000を用いて、50kgf荷重
下、ダイ寸法1×2mmを用いるという条件下での熱流動
温度と溶融粘度を測定した。
4.14%、ヤング率1370MPa、熱流動点129.8℃および溶融
粘度3434poiseという値が得られ、本実施例では成形し
やすく、物性が十分実用の範囲に入る成形品を与える熱
可塑性生分解性セルロースアセテート・デンプン誘導体
系樹脂組成物の成形物が製造されたことが明らかとなっ
た。
を60重量部として用いた以外は実施例1と同様の操作に
よりサンプルを得た。得られたサンプルについて、引張
力学特性および熱流動特性を実施例1と同様に測定した
ところ、引張強度15.69MPa、破壊伸長率3.10%、ヤング
率880MPa、熱流動点99.8℃および溶融粘度267poiseとい
う値が得られた。
オカスターチを表1に示す量で用い、セルロースアセテ
ートLL−10の量も同じく表1に示す量で用いた以外
は実施例1および2と同様の操作によりサンプルを得
た。得られたサンプルについて、引張力学特性、熱流動
特性及び生分解性(分解度)の測定を行い、表1に示
す。尚、分解度はASTM 125209-91に準拠して測定した。
即ち、供試試料濃度100ppm(100メッシュパス)、都市下
水処理場活性汚泥30ppmで、25±1℃・4週間で消費し
た酸素を定量し、完全分解に要する理論酸素消費量に対
するパーセント値をもって分解度とした。
学特性はすべて低下し、一方で熱流動温度および溶融粘
度も低下した。これらの事実は、実施例1および2の比
較でもすでに認められたものであり、裏付けを得た形に
なっている。
4で調製したシートの破断面の走査電子顕微鏡(SE
M)による観察を行った。その結果、複合材料中でデン
プン粒子がほぼ元の形態を保持してオリゴエステル化に
より可塑化されたセルロースアセテートマトリックス樹
脂中に島状に存在していることが知られた。すなわち、
無水マレイン酸とフェニルグリシジルエーテルが反応性
可塑剤として35重量%濃度で存在する混練反応中に、デ
ンプンが全体として形を変えたり、熱流動するまでの可
塑化は行われず、殆どもとの形態を保って存在している
といえる。デンプン粒子の構造内部へは、それら反応性
可塑剤は入り得ないともいえる。反応性可塑剤は常に上
述のように35重量%という一定量で存在しているため、
デンプン粒子中に入れないとすると、実施例3から7へ
とデンプン含量が増加し、セルロースアセテート含量が
減少するほど、マトリックス樹脂は高度に可塑化される
ことになる。その結果引張強度とヤング率は減少し、溶
融粘度も減少する。
溶融粘度にこの種の現象が現れる場合に、いつも問題に
されるのは、マトリックス樹脂と固体充填剤との界面の
接着性である。その意味で、表1のようにデンプン添加
量を変化させた場合の界面状態をSEMで観察した。
がマトリックス樹脂とデンプン粒子との界面での隙間が
目立ち、界面の接着の悪さがより強く目立ってきている
ことが知られた。この結果は、引張強度、ヤング率およ
び溶融粘度がデンプン添加量の増加とともに減少する原
因が、前述の可塑剤濃度の増加によるということに加え
て、マトリックス樹脂と粒子充填剤との界面での接着の
悪さにも起因することを示唆するものといえる。
性の変化について試験した。即ち、コーンスターチの表
面アセチル化を行い、置換度0.030, 0.060, 0.084, 0.1
37および0.186 のアセチル化コーンスターチを用意し
た。
セテート(LL−10)と60/40および40/60の重量比
で用いた以外は実施例1と同様な操作を行うことにより
サンプルを得た。得られたサンプルについて、引張力学
特性および熱流動特性を実施例1と同様に測定し、結果
を表2および表3に示す。
ーンスターチをアセチル化すると、置換度と共に複合材
料成形物の引張強度とヤング率が大きくなり、同時に熱
流動温度と溶融粘度も上昇するということがわかる。そ
して、セルロースとデンプンの混合比が40/60の場合で
も、最高27.26MPaという引張強度が得られ、ポリプロピ
レンレベルの強度が達せられているといえる。なお、セ
ルロースとデンプンの混合比が60/40で無処理のコーン
スターチを用いている実施例1の場合は、引張強度は3
5.6MPaであり、物性の優れた、加工性・成形性も良好な
合目的なプラスチックが得られているということにな
る。
粘度もデンプンのアセチル置換度と共に上昇する傾向に
あるが、その上昇は僅かである。効果的に強度物性を高
め、溶融粘度の上昇を抑えたという結果であり、加工性
に優れ、十分な強度を持つ材料が開発されたといえる。
ターチを用い、フェニルグリシジルエーテルの代わりに
グリセリンを用いた以外は実施例1と同様の操作により
サンプルを得た。得られたサンプルについて、引張力学
特性および熱流動特性を実施例1と同様に測定したとこ
ろ、引張強度16.25MPa、破壊伸長率2.85%、ヤング率12
10 MPa、熱流動点185℃、溶融粘度8460poiseという値が
得られた。また、このサンプルの分解度(4週間後)は
27%であった。
ン(PP)、生分解性があると言われているポリカプロ
ラクトン(PCL)および4種のオリゴエステル化セル
ロースアセテートとデンプンの複合材料(表4の本発明
品1〜4:何れも実施例1と同様に製造したもの)から
シートを形成し、温度を30℃、湿度を80%R.H.に保った
恒温、恒湿室中で、培養土/腐葉土/パーミキュライト
(8:1:1(容積比))を土壌とする土中埋没試験を
1ケ月さらには3ケ月行った。試験前後の全乾重量を測
定し、生分解性をサンプルの重量減少率を求めた。結果
を表4に示す。
はほとんど変化が認められず、また生分解性があると言
われているポリカプロラクトンも3%台の重量減少率で
とどまったのに対して、デンプンを添加した本発明品で
は、低置換のアセチル化デンプンでの場合も含めて、土
中埋没1ケ月でデンプン添加量に対応して著しい重量減
少が見られた。外観的にも、デンプンを含んでいないシ
ートに比べても著しい変化が認められた。
いて、土中埋没1ケ月後の劣化状態を走査型電子顕微鏡
(SEM)を用いて観察したところ、デンプンが分解を
受けている様子が確認でき、その分解速度はデンプンの
添加量が多いほど速いことも知られた。本発明品2のサ
ンプルの場合、シートの破断面にはデンプン粒子が殆ど
残っておらず、デンプンが分解した後はマトリックス樹
脂はまるで発泡体のような構造になっていることが認め
られた。そして、それら構造内部には菌系が確認でき、
オリゴエステル化セルロースアセテートマトリックス中
に侵入している様子が明確に認められている。
ース誘導体−デンプン系成形用組成物は乾式成形可能で
成形性が高く、成形後は優れた実用的物性を示し、同時
にポリカプロラクトンをも上まわる生分解性を持ちうる
バイオプラスチック材料であるといえよう。
代えて組成物を調製した。即ち、実施例1の方法におい
て、コーンスターチを加えずに混練反応を開始し、回転
数を90rpmでの混練練り込み反応を19分間とし、その後
混練ブレッド回転数を30rpmに落とし、1分間かけてコ
ーンスターチ40重量部相当分を投入し、再びブレッド回
転数を90rpmに挙げて1分間混合した。
トを調製し、引張力学特性及び熱流動特性を実施例1と
同様に測定したところ、引張強度32.8MPa、破壊伸長率
3.45%、ヤング率1314MPa、熱流動点125.3 ℃および溶
融粘度3031poiseという値が得られた。また、このシー
トの分解度(4週間後)は31%であった。
Claims (9)
- 【請求項1】 未置換水酸基を有するセルロース誘導体
(A)の存在下で、多塩基酸又はその無水物と、モノエ
ポキシ化合物又は多価アルコールとを反応させた反応性
可塑剤を含む熱可塑性セルロース誘導体組成物の成形物
を製造するにあたり、製造工程の何れかにおいて、デン
プン又は未置換水酸基を有するデンプン類誘導体(B)
を添加し、未置換水酸基を有するセルロース誘導体
(A)が海で、デンプン又は未置換水酸基を有するデン
プン類誘導体(B)が島である海島構造を有し、前記反
応性可塑剤が、デンプン又は未置換水酸基を有するデン
プン類誘導体(B)粒子の内部には存在していない成形
物を得ることを特徴とする生分解性を有する熱可塑性セ
ルロース誘導体組成物の成形物の製造方法。 - 【請求項2】 前記反応が、60〜250℃での混練練り込
み反応である請求項1記載の生分解性を有する熱可塑性
セルロース誘導体組成物の成形物の製造方法。 - 【請求項3】 前記反応を未置換水酸基を有するセルロ
ース誘導体(A)とデンプン又は未置換水酸基を有する
デンプン類誘導体(B)の同時存在下で行なう請求項1
又は2記載の生分解性を有する熱可塑性セルロース誘導
体組成物の成形物の製造方法。 - 【請求項4】 未置換水酸基を有するセルロース誘導体
(A)と、多塩基酸又はその無水物と、モノエポキシ化
合物又は多価アルコールとを反応させた後にデンプン又
は未置換水酸基を有するデンプン類誘導体(B)を添加
することを特徴とする請求項1記載の生分解性を有する
熱可塑性セルロース誘導体組成物の成形物の製造方法。 - 【請求項5】 前記未置換水酸基を有するセルロース誘
導体(A)と前記デンプン又は未置換水酸基を有するデ
ンプン類誘導体(B)の存在比率が、(A)/(B)重
量比で0.25〜19である請求項1〜4の何れか1項記載の
生分解性を有する熱可塑性セルロース誘導体組成物の成
形物の製造方法。 - 【請求項6】 前記未置換水酸基を有するセルロース誘
導体が、セルロースアセテートである請求項1〜6の何
れか1項記載の生分解性を有する熱可塑性セルロース誘
導体組成物の成形物の製造方法。 - 【請求項7】 前記未置換水酸基を有するデンプン類誘
導体が、アセチル化デンプンである請求項1〜6の何れ
か1項記載の生分解性を有する熱可塑性セルロース誘導
体組成物の成形物の製造方法。 - 【請求項8】 未置換水酸基を有するセルロース誘導体
(A)、多塩基酸又はその無水物と、モノエポキシ化合
物又は多価アルコールとを反応させた反応性可塑剤、及
びデンプン又は未置換水酸基を有するデンプン類誘導体
(B)を含む成形物であり、未置換水酸基を有するセル
ロース誘導体(A)が海で、デンプン又は未置換水酸基
を有するデンプン類誘導体(B)が島である海島構造を
有しており、前記反応性可塑剤が、デンプン又は未置換
水酸基を有するデンプン類誘導体(B)粒子の内部には
存在していない成形物。 - 【請求項9】 前記未置換水酸基を有するセルロース誘
導体(A)が、セルロースアセテートであり、前記未置
換水酸基を有するデンプン類誘導体(B)が、アセチル
化デンプンである請求項8記載の成形物。
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JPH07292156A JPH07292156A (ja) | 1995-11-07 |
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