JP5981216B2 - セルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents

セルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、自動車部材、航空機部材、船舶部材、電気絶縁材料、精密成形部品、スポーツ用品などの成形加工品の開発に有用なセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法に関する。
自動車部材、航空機部材、船舶部材、電気絶縁材料、精密成形部品、スポーツ用品などのように高強度および高弾性率が要求される用途においては、マトリックス樹脂と強化材とが用いられた複合材料が用いられている。
かかる複合材料として、例えば、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂またはエポキシアクリレート樹脂と、強化材としてガラス繊維または炭素繊維が用いられた複合材料などが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、強化材としてガラス繊維または炭素繊維が用いられた複合材料には、製造時における人体への負荷が大きいという欠点がある。また、強化材としてガラス繊維または炭素繊維が用いられた複合材料は、廃棄が困難であることから、かかる複合材料には、環境への負荷が大きいという欠点がある。
さらに、前記複合材料として、リグノセルロースとフェノール化合物とを反応させて得られた液化溶解物を原料とするエポキシ樹脂を、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維などの天然繊維で強化した複合材料が提案されている。しかしながら、かかる複合材料には、機械的性質のバランスが悪いという欠点がある。
特開2009−119613号公報 特開2010−126702号公報 特開2006−63271号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、優れた機械的性質をバランスよく有する成形体を製造することができるセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、優れた機械的性質をバランスよく有する繊維強化樹脂成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、
(1)セルロース化合物含有繊維強化樹脂の製造に用いられる組成物であって、
(A)水酸基を有するセルロース化合物含有繊維の前記水酸基に、多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを交互に付加させて得られる重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維と、
(B)エポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーと、
(C)硬化剤と
を含有してなり、前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕が7/93〜80/20であることを特徴とするセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、
(2)前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維が植物繊維である前記(1)に記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、
(3)前記植物繊維が竹繊維である前記(2)に記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、
(4)前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維が式(I):
(式中、CELは置換基を有していてもよいセルロース骨格または置換基を有していてもよいリグノセルロース骨格を示す)
で表わされる化合物からなる繊維である前記(1)に記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物。
(5)前記多塩基酸無水物が式(II):
(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケンジイル基または置換基を有していてもよい架橋構造を有する炭素数3〜8の二価の環状炭化水素基、mは0または1を示す)
で表わされる化合物である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、
(6)前記多塩基酸無水物が無水フタル酸である前記(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、
(7)前記不飽和結合を有するモノエポキシ化合物が式(III):
(式中、R2は置換基を有していてもよくヘテロ原子を有していてもよい炭素数2〜8のアルケニル基を示す)
で表わされる化合物である前記(1)〜(6)のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物
(8)前記不飽和結合を有するモノエポキシ化合物がメタクリル酸グリシジルである前記(1)〜(7)のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、
(9)(a)前記(A)水酸基を有するセルロース化合物含有繊維の前記水酸基に、多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを交互に付加させて得られる重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維および前記(B)エポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーを含有してなる第I液と、
(b)前記(C)硬化剤を含有してなる第II液と
からなる前記(1)〜(8)のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物を成形してなる繊維強化樹脂成形体、
(11)前記(10)に記載の繊維強化樹脂成形体を製造する方法であって、
前記(1)〜(9)のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物を成形することを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造方法
に関する。
本発明によれば、優れた機械的性質をバランスよく有する成形体を製造することができるセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、優れた機械的性質をバランスよく有するセルロース化合物含有繊維強化樹脂成形体およびその製造方法が提供される。
製造例1において、原料として用いられた竹繊維の繊維長の分布を示すグラフである。 (A)は製造例1において、重合性二重結合を有するオリゴエステル化竹繊維を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す図面代用写真、(B)は(A)の拡大図を示す図面代用写真である。 実施例1において、試験片の表面を観察した結果を示す図面代用写真である。 実施例2において、試験片の表面を観察した結果を示す図面代用写真である。
本発明のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物は、セルロース化合物含有繊維強化樹脂の製造に用いられる組成物であって、
(A)水酸基を有するセルロース化合物含有繊維の前記水酸基に、多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを交互に付加させて得られる重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維と、
(B)エポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーと、
(C)硬化剤と
を含有してなり、前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕が7/93〜80/20であることを特徴とする。本発明のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物(以下、単に「繊維強化樹脂組成物」ともいう)は、前記オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維とエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーとが前記質量比で併用されているので、優れた機械的性質をバランスよく有する成形体を製造することができる。また、本発明の繊維強化樹脂組成物は、前記オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維が用いられていることから、ガラス繊維または炭素繊維が用いられている場合と比べて、人体への負荷が少なく、しかも容易に焼却することができ、環境への負担も少なく、取り扱いやすいという優れた性質を有する。本発明の繊維強化樹脂組成物は、前記オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維が用いられていることから、ガラス繊維または炭素繊維が用いられている場合と比べて、軽量の成形体を製造することができる。本発明の繊維強化樹脂組成物は、前記(A)重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維と、前記(B)エポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーと、前記(C)硬化剤とを配合することによって得られる組成物である。
前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維は、水酸基を有するセルロース化合物含有繊維の水酸基に、多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを交互に付加させて得られた繊維である。
前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維としては、例えば、植物繊維、式(I):
(式中、CELは置換基を有していてもよいセルロース骨格または置換基を有していてもよいリグノセルロース骨格を示す)
で表わされる化合物からなる繊維などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、前記植物繊維は、式(I)で表わされる化合物からなる繊維を含有していてもよい。
前記植物繊維としては、例えば、木材繊維、竹繊維、ケナフ繊維などのリグノセルロース含有植物繊維;木綿繊維、麻繊維、ジュート繊維、マニラ麻繊維、テンセル繊維などのセルロース含有植物繊維などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの植物繊維のなかでは、優れた機械的性質をバランスよく有し、かつ美観性に優れた成形体が得られることから、竹繊維が好ましい。
式(I)において、CELは、置換基を有していてもよいセルロース骨格または置換基を有していてもよいリグノセルロース骨格である。セルロース骨格またはリグノセルロース骨格が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜20のアルカノイル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基;シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜10の脂環式アルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1〜20のアルカノイル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、パルミトイル基、ステアロイル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、置換基を有していてもよいセルロース骨格および置換基を有していてもよいリグノセルロース骨格は、分子内で架橋されていてもよい。式(I)で表わされる化合物からなる繊維としては、例えば、精製されたセルロース繊維(単に、「セルロース繊維」ともいう)、セルロースミクロフィブリル化パルプ、植物原料を機械的および/または化学的に加工することによって得られるパルプ(例えば、砕木パルプ、リファイナーメカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプなどのメカニカルパルプ;クラフトパルプ、亜硫酸パルプなどのケミカルパルプなど)、古紙などの紙繊維などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。式(I)で表わされる化合物からなる繊維のなかでは、強度および弾性率に優れることから、セルロース繊維が好ましい。
前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維は、オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の製造に際して、水分による多塩基酸無水物の開環を抑制してオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の製造効率を高める観点から、含水率2質量%程度にまで乾燥させて用いることが好ましい。前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維の含水率は、オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の製造に際して、水分による多塩基酸無水物の開環を抑制してオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の製造効率を高める観点から、通常、好ましくは2〜8質量%、より好ましくは4〜7質量%である。
前記多塩基酸無水物としては、例えば、式(II):
(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケンジイル基、または置換基を有していてもよい架橋構造を有する炭素数3〜8の二価の環状炭化水素基、mは0または1を示す)
で表わされる化合物、無水安息香酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。。これらの多塩基酸無水物のなかでは、式(II)で表わされる化合物が好ましい。
式(II)において、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケンジイル基、または置換基を有していてもよく架橋構造を有していてもよい炭素数3〜8の二価の環状炭化水素基である。置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、ホウ素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;酸素原子;硫黄原子;水酸基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などの直鎖または分枝鎖を有するアルキル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基などの脂環式アルキル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基;イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基などの分枝アルキレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケンジイル基としては、例えば、エテンジイル基、ブテンジイル基、ペンテンジイル基、ヘキセンジイル基、ヘプテンジイル基、オクテンジイル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。置換基を有していてもよく架橋構造を有していてもよい炭素数3〜8の二価の環状炭化水素基としては、例えば、シクロプロペンジイル基、シクロブテンジイル基、シクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基、シクロヘプテンジイル基、シクロオクテンジイル基、フェニルジイル基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基、チオフェンジイル基、置換基を有していてもよいノルボルネンジイル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
式(I)において、mは、0または1を示す。
前記多塩基酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水イタコン酸、無水安息香酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多塩基酸無水物のなかでは、工業生産性に優れ、かつ得られる成形体の機械的性質がより優れることから、無水フタル酸、無水マレイン酸および無水コハク酸が好ましく、無水フタル酸がより好ましい。
前記不飽和結合を有するモノエポキシ化合物としては、例えば、式(III):
(式中、R2は置換基を有していてもよくヘテロ原子を有していてもよい炭素数2〜8のアルケニル基を示す)
で表わされる化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
式(III)において、R2は、置換基を有していてもよくヘテロ原子を有していてもよい炭素数2〜8のアルケニル基である。炭素数2〜8のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、ブテニル基、シクロブテニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2〜8のアルケニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、ホウ素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;酸素原子;硫黄原子;水酸基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などの直鎖または分枝鎖を有するアルキル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基などの脂環式アルキル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2〜8のアルケニル基が有していてもよいヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記不飽和結合を有するモノエポキシ化合物の具定例としては、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和結合を有するモノエポキシ化合物のなかでは、成形体の機械的性質をより向上させることができることから、メタクリル酸グリシジルが好ましい。
水酸基を有するセルロース化合物含有繊維の水酸基への多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物との付加は、水酸基を有するセルロース化合物含有繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを混合し、加熱して反応させることによって行なうことができる。例えば、水酸基を有するセルロース化合物含有繊維として式(I)で表わされる化合物、多塩基酸無水物として式(II)で表わされる化合物および不飽和結合を有するモノエポキシ化合物として式(III)を用いる場合、まず、式(I)で表わされる化合物と式(II)で表わされる化合物とが反応して式(I)で表わされる化合物の水酸基に式(II)で表わされる化合物が付加し、式(IV):
(式中、CELおよびR1は前記と同じ)
で表わされる化合物が生成する。つぎに、式(IV)で表わされる化合物と式(III)で表わされる化合物とが反応して式(IV)で表わされる化合物のカルボキシル基に式(III)で表わされる化合物が付加し、式(V):
(式中、CEL、R1、R2およびmは前記と同じ。nは1〜5の整数を示す)
で表わされる化合物が生成する。
前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の具体例としては、例えば、式(V)で表わされる化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。式(V)において、CEL、R1、R2およびmは、式(I)におけるCEL、式(II)におけるR1およびm、式(III)におけるR2と同じである。nは、1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数である。
前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維は、例えば、水酸基を有するセルロース化合物含有繊維と、多塩基酸無水物と、不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを、密閉式加圧型ニーダーなどの混練機中で加熱および混練することによって得られる。加熱温度は、用いられるセルロース化合物含有繊維、多塩基酸無水物およびモノエポキシ化合物それぞれの種類によって異なるため、用いられるセルロース化合物含有繊維、多塩基酸無水物およびモノエポキシ化合物それぞれの種類に応じて適宜決定することが好ましい。前記加熱温度は、例えば、セルロース化合物含有繊維がリグノセルロース含有植物繊維またはセルロース含有植物繊維であり、多塩基酸無水物が無水マレイン酸または無水フタル酸であり、かつモノエポキシ化合物がアリルグリシジルエーテルまたはメタクリル酸グリシジルである場合、通常、60〜180℃であることが好ましい。
前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維を製造するに際し、水酸基を有するセルロース化合物含有繊維1モルあたりの多塩基酸無水物の量は、得られる成形体の物性を向上させる観点から、好ましくは1.0モル以上、より好ましくは1.1モル以上、さらに好ましくは1.2モル以上であり、優れた工業生産性を確保する観点から、好ましくは1.5モル以下、より好ましくは1.4モル以下、さらに好ましくは1.3モル以下である。前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維を製造するに際し、多塩基酸無水物1モルあたりの不飽和結合を有するモノエポキシ化合物の量は、水酸基を有するセルロース化合物含有繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物との混合物中における多塩基酸無水物が開環エステル化することによって生じるカルボキシル基の酸化を抑制し、得られる前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の物理的性質を向上させる観点から、好ましくは1.0モル以上、より好ましくは1.1モル以上、さらに好ましくは1.2モル以上であり、前記混合物中における不飽和結合を有するモノエポキシ化合物のエポキシ価を低減し、得られる前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の物理的性質を向上させる観点から、好ましくは1.5モル以下、より好ましくは1.4モル以下、さらに好ましくは1.3モル以下である。
前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを反応させる際には、前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維を効率よく製造するために、触媒を用いてもよい。前記触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム;ピペリジン、トリエチレンジアミン、トリメチルアミンなどの三級アミンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを反応させる際の加熱温度は、前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維、多塩基酸無水物および不飽和結合を有するモノエポキシ化合物それぞれの種類、得られる成形体の用途などによって異なる。したがって、前記加熱温度は、前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維、多塩基酸無水物および不飽和結合を有するモノエポキシ化合物それぞれの種類、得られる成形体の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。かかる加熱温度は、例えば、水酸基を有するセルロース化合物含有繊維として式(I)で表わされる化合物、多塩基酸無水物として式(II)で表わされる化合物および不飽和結合を有するモノエポキシ化合物として式(III)を用いる場合、通常、60℃〜180℃である。
また、前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを反応させる際の加熱時間は、用いられる反応系における残存酸価および残存エポキシ価が無視できる程度になる時間であればよい。前記加熱時間は、水酸基を有するセルロース化合物含有繊維として式(I)で表わされる化合物、多塩基酸無水物として式(II)で表わされる化合物および不飽和結合を有するモノエポキシ化合物として式(III)を用いる場合、通常、0.2〜1時間である。前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを反応させる際の圧力は、通常、0.15〜0.25MPaである。
前記水酸基を有するセルロース化合物含有繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを反応させることによって得られる反応生成物には、重合性二重結合を有するオリゴマーなどの副生成物、未反応の多塩基酸無水物、未反応の不飽和結合を有するモノエポキシ化合物などの未反応化合物が含まれていることがある。本発明においては、前記(A)のオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維として、かかる反応生成物をそのまま用いてもよく、必要により、前記(A)のオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維を単離して用いてもよい。前記(A)のオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維が前記反応生成物である場合、前記反応生成物中におけるオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の含有量は、80〜95質量%であることが好ましい。
前記(B)のエポキシ樹脂プレポリマーは、分子内にエポキシ基を有する未硬化状態の化合物であればよい。前記エポキシ樹脂プレポリマーとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、含窒素環型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、芳香族型エポキシ樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。かかるエポキシ樹脂プレポリマーは、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
前記エポキシ樹脂プレポリマーの具体例としては、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記エポキシ樹脂プレポリマーとして、例えば、三菱化学(株)製、商品名:jER(登録商標)828、三菱化学(株)製、商品名:jER(登録商標)825、東都化成(株)製、商品名:エポトートYD128、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:エピクロン850、住友化学工業(株)製、商品名:スミエポキシELA−128などのビスフェノールA型エポキシ樹脂;東都化成(株)製、商品名:エポトートYH434、東都化成(株)製、商品名:エポトートYH434L、住友化学工業(株)製、商品名:スミエポキシELM434、住友化学工業(株)製、商品名:スミエポキシELM434HV、旭チバ(株)製、商品名:アラルダイトMY−720、三菱化学(株)製、商品名:jER(登録商標)604などのテトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂などを用いることができる。本発明においては、前記(A)の重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維に対する反応性に優れることから、エポキシ樹脂プレポリマーとして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂または当該ビスフェノールA型エポキシ樹脂にテトラグリシジルアミン型エポキシ樹脂を適量配合した組成物を用いることが好ましい。
前記(B)のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーは、分子内にエポキシ基を有する化合物(例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂プレポリマーなど)と、(メタ)アクリル酸とを反応させることによって得られる未硬化状態の化合物である。ここで、「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマー」は、エポキシアクリレート樹脂プレポリマーおよびエポキシメタクリレート樹脂プレポリマーの総称である。また、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の総称である。前記(B)のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂プレポリマーから製造されたビス系ビニルエステル樹脂プレポリマー、ノボラック型エポキシ樹脂プレポリマーから製造されたノボラック系ビニルエステル樹脂プレポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーのなかでは、靱性に優れることから、ビス系ビニルエステルが好ましい。前記ビス系ビニルエステル樹脂プレポリマーとして、例えば、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:ディックライトUF3505、日本ユピカ(株)製、商品名:ネオポール8250L、昭和電工(株)製、商品名:リポキシR802、三井化学(株)製、商品名:エスターH6500などを用いることができる。かかる(B)のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーには、本発明の目的を妨げない範囲で、極少量の未反応エポキシ樹脂が含まれていてもよい。
本発明においては、本発明の繊維強化樹脂組成物における前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕は、本発明の繊維強化樹脂組成物を用いることによって得られる成形体の機械的性質をバランスよく向上させる観点から、7/93以上、好ましくは10/90以上であり、本発明の繊維強化樹脂組成物を用いて成形体を製造する際の取り扱い性を向上させる観点から、80/20以下、好ましくは70/30以下、より好ましくは60/40以下である。前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕は、成形体の製造方法の種類などに応じて、前記範囲内で適宜設定することができる。例えば、注型成形法によって成形体を製造する場合、本発明の繊維強化樹脂組成物中において、前記(A)の量に比べて前記(B)の量が多くなるように、前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕を設定することが望ましい。また、バルクモールディングコンパウンドを用いるBMC成形法によって成形体を製造する場合、前記(A)の量を増加させて本発明の繊維強化樹脂組成物の粘度が25℃において1dPa・sに調整されるように、前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕を設定することが望ましい。
前記(C)の硬化剤は、前記(B)のプレポリマーの種類に応じて適宜選択することができる。
前記(B)がエポキシ樹脂プレポリマーである場合に用いられる硬化剤としては、例えば、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチルアミンなどのアミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;ポリメルカプタン化合物;無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸などの酸無水物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記(B)がエポキシ樹脂プレポリマーである場合に用いられる硬化剤として、例えば、(株)スリーボンド製、商品名:AMINE248;三菱化学(株)製、商品名:jERキュアLV11;日本化薬(株)製、商品名:カヤハードA−A;日本化薬(株)製、商品名:カヤハードA−B;日本化薬(株)製、商品名:カヤハードA−Sなどを好適に用いることができる。
前記(B)がエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーである場合に用いられる硬化剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド化合物;クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記(B)がエポキシ樹脂プレポリマーである場合、エポキシ樹脂100質量部あたりの硬化剤の量は、好ましくは20〜60質量部、より好ましくは30〜50質量部である。また、前記(B)がエポキシ(メタ)アクリレート樹脂である場合、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂100質量部あたりの硬化剤の量は、好ましくは0.3〜3.0質量部、より好ましくは1.0〜2.0質量部である。
本発明のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸カルシウム、オクテン酸コバルトなどの硬化促進剤、内部離型剤、消泡剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料などが配合されていてもよい。
硬化剤が当該繊維強化樹脂組成物の使用前の保存条件下でエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーと接触することによってエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーを硬化させるものである場合、本発明の繊維強化樹脂組成物は、(a)前記(A)水酸基を有するセルロース化合物含有繊維の前記水酸基に、多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを交互に付加させて得られる重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維および前記(B)エポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーを含有してなる第I液と、(b)前記(C)硬化剤を含有してなる第II液とからなる2液型の組成物であることが好ましい。この場合、使用時に第I液と第II液とを混合することによって硬化を開始させることができる。
一方、硬化剤が当該繊維強化樹脂組成物の使用前の保存条件下でエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーと接触してもエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーを硬化させないものである場合(例えば、加熱などによってエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーを硬化させるものである場合)、本発明の繊維強化樹脂組成物は、取り扱いが容易であることから、前記(A)〜(C)の混合物であることが好ましい。
本発明の繊維強化樹脂成形体は、前述した繊維強化樹脂組成物を成形することによって得られる成形体である。本発明には、かかる繊維強化樹脂成形体も包含される。本発明の繊維強化樹脂成形体は、前述した繊維強化樹脂組成物が用いられているので、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、曲げ弾性率などの機械的性質がバランスよく優れている。
本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法は、前述した繊維強化樹脂成形体を製造する方法であり、前述した繊維強化樹脂組成物を成形することを特徴とする。本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法は、前述した繊維強化樹脂組成物を成形するので、高い工業生産性で、前述した繊維強化樹脂成形体を製造することができる。
前記繊維強化樹脂組成物の成形は、注型成形法、BMC成形法によって行なうことができる。前記注型成形法では、前記繊維強化樹脂組成物を充分に混合して得られた混合物を注型用金型のキャビティーに注ぎ込み、硬化させることによって繊維強化樹脂成形体を得ることができる。前記BMC成形法では、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法などによって繊維強化樹脂成形体を得ることができる。圧縮成形法では、前記繊維強化樹脂組成物から調製された塊状またはペレット状の原料を、金型のキャビティーに装入し、前記キャビティー内の塊状またはペレット状の原料を硬化させることによって繊維強化樹脂成形体を得ることができる。また、トランスファー成形法では、前記繊維強化樹脂組成物から調製された塊状またはペレット状の原料を、予め加熱しておいた金型内のポットに装入した後、流動状態となった原料をプランジャなどでポットから金型内のキャビティーに圧入し、硬化させることよって繊維強化樹脂成形体を得ることができる。射出成形法では、前記繊維強化樹脂組成物から調製された塊状またはペレット状の原料をシリンダー内に装入し、加熱し、流動状態となった原料を、冷却された金型のキャビティーに射出注入し、硬化させることよって繊維強化樹脂成形体を得ることができる。
前記繊維強化樹脂組成物の硬化は、当該繊維強化樹脂組成物に用いられた前記(B)のプレポリマーおよび前記(C)の硬化剤の種類などに応じた条件下に行なうことができる。例えば、硬化剤がジエチルアミンなどのアミン化合物である場合、前記繊維強化樹脂組成物を室温〜160℃の温度下で一定時間放置することによって繊維強化樹脂組成物の硬化を行なうことができる。前記繊維強化樹脂組成物の硬化が進行するに従って、前記(B)のエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーのエポキシ基の開環重合反応と、前記(A)のオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の重合性二重結合のラジカル重合反応とが同時に起こり、オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維とエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーとの間に強固な化学結合による網目構造が形成される。また、オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維中に未反応のモノエポキシ化合物が存在している場合には当該モノエポキシ化合物のエポキシ基および前記(B)のエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーのエポキシ基の開環重合反応と、前記(A)のオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維の重合性二重結合のラジカル重合反応とが同時に起こり、オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維とエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーとの間に強固な化学結合による網目構造が形成される。これにより、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、曲げ弾性率などの機械的性質がバランスよく優れている繊維強化樹脂成形体を得ることができる。
以上説明したように、本発明のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物および繊維強化樹脂成形体の製造方法によれば、引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率がバランスよく優れている繊維強化樹脂成形体を製造することができる。また、本発明の繊維強化樹脂成形体は、引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率にバランスよく優れている。したがって、本発明のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法は、例えば、自動車部材、航空機部材、船舶部材、電気絶縁材料、精密成形部品、スポーツ用品などの成形加工品の開発に有用である。
つぎに、実施例などに基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例などに限定されるものではない。
(製造例1)
密閉式加圧型ニーダー中において、竹繊維〔増本建設(株)製〕90gと無水マレイン酸4.17gとを50min-1で撹拌しながら120℃で20分間加熱して反応させた後、得られた反応生成物にアリルグリシジルエーテル5.83gを添加し、得られた混合物を50min-1で撹拌しながら前記反応生成物とアリルグリシジルエーテルとを120℃で20分間加熱することにより、オリゴエステル化反応を行なった。なお、原料として用いられた竹繊維の繊維長を光学顕微鏡で測定し、竹繊維200本の繊維長の分布を調べたところ、図1に示されるように、繊維長1〜6mmの竹繊維が存在しており、平均繊維長が2.87mmであった。
得られた反応生成物の赤外線吸収スペクトルを測定し、当該反応生成物の構造を解析した。その結果、1640cm-1の吸収位置にアリルグリシジルエーテルのアリル基と無水マレイン酸との間に生じた二重構造に起因する吸収が見られ、930cm-1の吸収位置にアリル基の二重結合に起因する吸収が見られたことから、反応生成物は、重合性二重結合を有するオリゴエステル化竹繊維であることがわかる。また、反応生成物をアルカリ溶液でケン化して脱エステル化を行なった後、酸価およびエポキシ価を測定し、酸価およびエポキシ価に基づき、かかる重合性二重結合を有するオリゴエステル化竹繊維における繰り返し単位の繰り返し数〔式(V)におけるn〕を求めたところ、前記繰り返し単位の繰り返し数〔式(V)におけるn〕は、2〜3であった。
また、重合性二重結合を有するオリゴエステル化竹繊維を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図2(A)、図2(A)の拡大図を図2(B)に示す。図2(A)において、スケールバーは1mm、図2(B)において、スケールバーは200μmである。
図2に示された結果から、重合性二重結合を有するオリゴエステル化竹繊維の平均繊維長は、250μmであることがわかる。
(製造例2)
セルロース繊維〔繊維長300μm、レッテンマイヤー(株)製、商品名:ARBOCEL(登録商標)BC200〕を乾燥させ、含水率4.5質量%の乾燥セルロース繊維を得た。
(製造例3)
密閉式加圧型ニーダー中において、製造例2で得られた乾燥セルロース繊維90gと無水マレイン酸4.17gとを50min-1で撹拌しながら120℃で20分間加熱して反応させた後、得られた反応生成物にアリルグリシジルエーテル5.83gを添加し、得られた混合物を50min-1で撹拌しながら前記反応生成物とアリルグリシジルエーテルとを120℃で20分間加熱することにより、オリゴエステル化反応を行なった。
得られた反応生成物の赤外線吸収スペクトルを測定し、当該反応生成物の構造を解析した。その結果、1640cm-1の吸収位置にアリルグリシジルエーテルのアリル基と無水マレイン酸との間に生じた二重結合に起因する吸収が見られ、930cm-1の吸収位置にアリル基の二重結合に起因する吸収が見られたことから、反応生成物は、重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース繊維であることがわかる。また、反応生成物をアルカリ溶液でケン化して脱エステル化を行なった後、酸価およびエポキシ価を測定し、酸価およびエポキシ価に基づき、かかる重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース繊維における繰り返し単位の繰り返し数〔式(V)におけるn〕を求めたところ、前記繰り返し単位の繰り返し数〔式(V)におけるn〕は、2〜4であった。
また、重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース繊維の平均繊維長を走査電子顕微鏡で測定した。その結果、重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース繊維の平均繊維長は90μmであった。
(製造例4)
密閉式加圧型ニーダー中において、製造例2で得られた乾燥セルロース繊維90gと無水フタル酸4.44gとを50min-1で撹拌しながら150℃で20分間加熱した後、得られた反応生成物にメタクリル酸グリシジル5.56gを添加し、得られた混合物を50min-1で撹拌しながら前記反応生成物とメタクリル酸グリシジルとを90℃で20分間加熱することにより、オリゴエステル化反応を行なった。
得られた反応生成物の赤外線吸収スペクトルを測定し、当該反応生成物の構造を解析した。その結果、1720-1cmの吸収位置にエステル結合に対応する強い吸収が見られ、1630cm-1の吸収位置にメタクリレートの二重結合に起因する吸収が見られ、1600cm-1および1500cm-1の吸収位置に無水フタル酸のフェニル環に起因する吸収が見られたことから、反応生成物は、重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース繊維であることがわかる。また、反応生成物をアルカリ溶液でケン化して脱エステル化を行なった後、酸価およびエポキシ価を測定し、酸価およびエポキシ価に基づき、かかる重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース繊維における繰り返し単位の繰り返し数〔式(V)におけるn〕を求めたところ、前記繰り返し単位の繰り返し数〔式(V)におけるn〕は、2〜3であった。
また、得られたオリゴエステル化セルロース繊維の平均繊維長を走査電子顕微鏡で測定した。その結果、前記オリゴエステル化セルロース繊維の平均繊維長は90μmであった。
(実施例1)
繊維として製造例1で得られたオリゴエステル化竹繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマー〔変性エポキシ樹脂プレポリマー、粘度0.9〜2.3dPa・s/25℃、昭和電工(株)製、商品名:RIPOXY(登録商標)R−806〕とを、オリゴエステル化竹繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が35/65となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるエポキシアクリレート樹脂プレポリマー100質量部あたりスチレン5質量部、脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量部、硬化促進剤〔ナフテン酸コバルト(金属6質量%)、化薬アクゾ(株)製、商品名:コバルト(登録商標)N〕0.5質量部およびMEKPO硬化剤〔55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤメック(登録商標)M〕1.5質量部を添加し、均一な組成になるまで撹拌して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物から塊状の熱圧成形用樹脂原料(以下、「BMC用原料」という)を調製した。その後、BMC用原料を金型のキャビティーに充填し、シリンダー温度:70℃、金型温度:140℃および射出圧力4.4MPaの条件下で射出成形を行ない、成形体としてJIS K 6911に定める試験片を得た。
得られた試験片の表面を、分析走査電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6510LA)で観察した。実施例1において、試験片の表面を観察した結果を図3に示す。図3中、スケールバーは1mmである。
図3に示された結果から、繊維としてオリゴエステル化竹繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクレレート樹脂プレポリマーとを併用することにより、繊維が良好に分散し、繊維が浮き出た優れた美観を有する成形体を得ることができることがわかる。なお、成形体におけるオリゴエステル化竹繊維の平均繊維長を分析走査電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6510LA)観察下に測定したところ、250μmであった。
(比較例1)
繊維として製造例3で得られたオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとして不飽和ポリエステル樹脂プレポリマー〔昭和電工(株)製、商品名:リゴラック(登録商標)R1−105S〕とを、オリゴエステル化セルロース繊維/不飽和ポリエステル樹脂プレポリマー(質量比)が35/65となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれる不飽和ポリエステル樹脂プレポリマー100質量部あたりスチレン5質量部、脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量部、硬化促進剤0.5質量部、MEKPO硬化剤〔55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤメック(登録商標)M〕1.0質量部を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を注型用金型のキャビティーに充填し、室温にて1日間静置して硬化させた後、さらに120℃で2時間加熱してさらに硬化させ、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(比較例2)
比較例1において、オリゴエステル化セルロース繊維を用いる代わりに炭素繊維〔繊維長90μm、(株)クレハ製、商品名:クレカチョップ(登録商標)M−1009S〕を用いたことを除き、比較例1と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(比較例3)
比較例1において、オリゴエステル化セルロース繊維を用いる代わりにガラス繊維〔繊維長90μm 、日東紡(株)製、商品名:カットファイバー(登録商標)PF80E−401〕を用いたことを除き、比較例1と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(比較例4)
比較例1において、オリゴエステル化セルロース繊維と不飽和ポリエステル樹脂プレポリマーとの混合物を用いる代わりに不飽和ポリエステル樹脂プレポリマー〔昭和電工(株)製、商品名:リゴラック(登録商標)R1−105S〕を用いたことを除き、比較例1と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(比較例5)
実施例1において、オリゴエステル化竹繊維を用いる代わりに炭素繊維〔繊維長90μm、(株)クレハ製、商品名:クレカチョップ(登録商標)M−1009S〕を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体は、硬化不良のため、柔らかかった。
(比較例6)
実施例1において、オリゴエステル化竹繊維を用いる代わりにエポキシアクリレート樹脂プレポリマー〔変性エポキシ樹脂プレポリマー、粘度0.9〜2.3dPa・s/25℃、昭和電工(株)製、商品名:RIPOXY(登録商標)R−806〕を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(実施例2)
繊維として製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシ樹脂プレポリマー[ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:184〜194g/mol、三菱化学(株)製、商品名:jER(登録商標)828〕と、アミン硬化剤〔鎖状脂肪族ポリアミン、アミン価:515〜575KOHmg/g、三菱化学(株)製、商品名:jERキュア(登録商標)LV11〕とを、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシ樹脂プレポリマー/アミン硬化剤(質量比)が35/48.9/16.1となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるエポキシ樹脂プレポリマーとアミン硬化剤の合計量100質量部あたり脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量部を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を注型用金型のキャビティーに充填し、室温にて1日間静置して硬化させた後、さらに80℃で3時間加熱してさらに硬化させ、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
得られた試験片の表面を、分析走査電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6510LA)で観察した。実施例2において、試験片の表面を観察した結果を図4に示す。図4中、スケールバーは1mmである。
図4に示された結果から、繊維としてオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシ樹脂プレポリマーとが併用された樹脂組成物を用いることにより、繊維が良好に分散した成形体を得ることができることがわかる。
(比較例7)
実施例2において、オリゴエステル化セルロース繊維を用いる代わりにセルロース繊維〔繊維長300μm、レッテンマイヤー(株)製、商品名:ARBOCEL(登録商標)BC200〕を用いたことを除き、実施例2と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体は、硬化不良のため、柔らかかった。
(比較例8)
実施例2において、オリゴエステル化セルロース繊維とエポキシ樹脂プレポリマーとアミン硬化剤との混合物を用いる代わりにエポキシ樹脂プレポリマーを用いたことを除き、実施例2と同様に操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(実施例3)
繊維として製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマー〔変性エポキシ樹脂プレポリマー、粘度0.9〜2.3dPa・s(25℃)、昭和電工(株)製、商品名:RIPOXY(登録商標)〕とを、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が35/65となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるエポキシアクリレート樹脂プレポリマー100質量部あたり脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量部、硬化促進剤〔ナフテン酸コバルト(金属6質量%)、化薬アクゾ(株)製、商品名:コバルト(登録商標)N〕0.5質量部、MEKPO硬化剤〔55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤメック(登録商標)M〕1.5質量部を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を注型用金型のキャビティーに充填し、室温にて1日間静置して硬化させた後、さらに120℃で2時間加熱してさらに硬化させ、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(実施例4)
実施例3において、製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維を用いる代わりに、製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維を篩にかけて得られた繊維長約70〜110μmのオリゴエステル化セルロース繊維を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(比較例9)
実施例3において、オリゴエステル化セルロース繊維を用いる代わりにガラス繊維〔繊維長90μm、日東紡(株)製、商品名:カットファイバー(登録商標)PF80E−401〕を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(試験例1)
実施例1〜4および比較例1〜9それぞれで得られた試験片を用い、JIS K 6911にしたがって引張試験を行なうことにより、引張強度および引張弾性率を測定した。また、実施例1〜4および比較例1〜9それぞれで得られた試験片を用い、JIS K 6911にしたがって曲げ試験を行なうことにより、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。表1に示される評価基準に基づき、実施例1〜4および比較例1〜9それぞれで得られた成形体の引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率を評価した。
つぎに、下記評価基準を用い、実施例1〜4および比較例1〜9それぞれで得られた成形体の機械的強度の総合評価を行なった。その結果を表2に示す。
<総合評価の評価基準>
A 平均得点が1.5点以上
B 平均得点が1点以上1.5点未満
C 平均得点が1点未満
表2に示された結果から、実施例1〜4で得られた成形体は、比較例1〜8で得られた成形体と比べ、引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率の総合評価が高く、繊維としてガラス繊維が用いられた比較例9で得られた成形体の総合評価に匹敵する優れた機械的強度を有することがわかる。
これらの結果から、繊維としてオリゴエステル化竹繊維またはオリゴエステル化セルロース繊維とマトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシ樹脂プレポリマーまたはアポキシアクリレート樹脂プレポリマーとが併用された樹脂組成物を成形体の原料として用いることにより、引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率がバランスよく優れている成形体を得ることができることがわかる。しかも、かかる樹脂組成物を用いて得られた成形体は、ガラス繊維および炭素繊維が用いられていないことから、当該成形体を製造するに際して人体への負荷が少なく、しかも当該成形体を廃棄するに際して環境への負荷が少ないという優れた性質を有することがわかる。
また、表2に示された結果から、繊維を含まず、マトリックス樹脂プレポリマーとして不飽和ポリエステル樹脂プレポリマーが配合された樹脂組成物が用いられた成形体(比較例4)の引張強度および曲げ強度は、実施例1〜4で得られた成形体の引張強度および曲げ強度と比べて低いことがわかる。しかも、表3に示されるように、繊維としてオリゴエステル化セルロース繊維(比較例1)、炭素繊維(比較例2)またはガラス繊維(比較例3)とマトリックス樹脂プレポリマーとして不飽和ポリエステル樹脂プレポリマーとが配合された樹脂組成物を用いた場合であっても、十分な引張強度を確保することができず、曲げ強度の低下を招くことがわかる。特に、繊維としてオリゴエステル化セルロース繊維(比較例1)とマトリックス樹脂プレポリマーとして不飽和ポリエステル樹脂プレポリマーとが配合された樹脂組成物を用いた場合には、表3に示されるように、繊維を含まず、マトリックス樹脂プレポリマーとして不飽和ポリエステル樹脂プレポリマーが配合された樹脂組成物を用いた場合よりも、引張強度、引張弾性率および曲げ強度が著しく低下することがわかる。
また、表4および表5に示されるように、繊維としてオリゴエステル化竹繊維またはオリゴエステル化セルロース繊維とマトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーまたはエポキシ樹脂プレポリマーとが併用された樹脂組成物を用いた場合(実施例1および2)は、繊維を含まず、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーまたはエポキシ樹脂プレポリマーが配合された樹脂組成物を用いた場合(比較例6およひ8)の引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率と比べて、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率が向上しているのに対し、繊維として炭素繊維またはセルロース繊維とマトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーまたはエポキシ樹脂プレポリマーとが配合された樹脂組成物を用いた場合(比較例5および7)には、成形不良が生じることがわかる。したがって、これらの結果から、繊維としてオリゴエステル化竹繊維またはオリゴエステル化セルロース繊維とマトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーまたはエポキシ樹脂プレポリマーとが併用された樹脂組成物を用いることにより、引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率がバランスよく優れている成形体を得ることができることがわかる。
さらに、表6に示されるように、繊維としてオリゴエステル化セルロース繊維とマトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーとが併用された樹脂組成物が用いられた成形体(実施例3および4)は、繊維としてガラス繊維とマトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーとが配合された樹脂組成物が用いられた成形体と同等以上の引張強度および引張弾性率を有することがわかる。
(製造例5)
密閉式加圧型ニーダー中において、竹繊維〔平均繊維長2.87mm、増本建設(株)製〕90gと無水フタル酸4.44gとを50min-1で撹拌しながら150℃で20分間加熱して反応させた後、得られた反応生成物にメタクリル酸グリシジル5.56gを添加し、得られた混合物を50min-1で撹拌しながら前記反応生成物とメタクリル酸グリシジルとを90℃で20分間加熱することにより、オリゴエステル化反応を行なった。
得られた反応生成物の赤外線吸収スペクトルを測定し、当該反応生成物の構造を解析した。その結果、1720-1cmの吸収位置にエステル結合に対応する強い吸収が見られ、1630cm-1の吸収位置にメタクリレートの二重結合に起因する吸収が見られ、1600cm-1および1500cm-1の吸収位置に無水フタル酸のフェニル環に起因する吸収が見られたことから、反応生成物は、重合性二重結合を有するオリゴエステル化竹繊維であることがわかる。
また、得られたオリゴエステル化竹繊維の平均繊維長を走査電子顕微鏡で測定した。その結果、前記オリゴエステル化竹繊維の平均繊維長は250μmであった。
(実施例5)
繊維として製造例5で得られたオリゴエステル化竹繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシ樹脂プレポリマー〔ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:184〜194g/mol、三菱化学(株)製、商品名:jER(登録商標)828〕と、アミン硬化剤〔鎖状脂肪族ポリアミン、アミン価:515〜575KOHmg/g、三菱化学(株)製、商品名:jERキュア(登録商標)LV11〕とを、オリゴエステル化竹繊維/エポキシ樹脂プレポリマー/アミン硬化剤(質量比)が30/52.5/17.5となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるエポキシ樹脂プレポリマーとアミン硬化剤との合計量100質量部あたり脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量%を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を注型用金型のキャビティーに充填し、室温にて1日間静置して硬化させた後、さらに80℃で3時間加熱してさらに硬化させ、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(実施例6)
繊維として製造例5で得られたオリゴエステル化竹繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシ樹脂プレポリマー〔ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:184〜194g/mol、三菱化学(株)製、商品名:jER(登録商標)828〕と、アミン硬化剤〔鎖状脂肪族ポリアミン、アミン価:515〜575KOHmg/g、三菱化学(株)製、商品名:jERキュア(登録商標)LV11〕とを、オリゴエステル化竹繊維/エポキシ樹脂プレポリマー/アミン硬化剤(質量比)が40/45/15となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるエポキシ樹脂プレポリマーとアミン硬化剤との合計量100質量部あたり脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量%を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を注型用金型のキャビティーに充填し、室温にて1日間静置して硬化させた後、さらに80℃で3時間加熱してさらに硬化させ、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(試験例2)
試験例1において、実施例1〜4および比較例1〜9それぞれで得られた試験片を用いる代わりに実施例5および6それぞれで得られた試験片を用いたことを除き、試験例1と同様の操作を行ない、実施例5および6それぞれで得られた成形体の引張弾性率および曲げ弾性率を測定した。その結果を表7に示す。
表7に示された結果から、実施例5および6で得られた成形体は、高い引張弾性率および高い曲げ弾性率を有することがわかる。
(実施例7)
繊維として製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーとを、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が10/90となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるエポキシアクリレート樹脂プレポリマー100質量部あたり脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量部、硬化促進剤〔ナフテン酸コバルト(金属6質量%)、化薬アクゾ(株)製、商品名:コバルト(登録商標)N〕0.5質量部、MEKPO硬化剤〔55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤメック(登録商標)M〕1.5質量部を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を注型用金型のキャビティーに充填し、室温にて1日間静置して硬化させた後、さらに120℃で2時間加熱してさらに硬化させ、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(実施例8)
実施例7において、製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーとを、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が10/90となるように混合する代わりにオリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が30/70となるように混合したことを除き、実施例7と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片を得た。
(実施例9)
繊維として製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーとを、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が30/70となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるエポキシアクリレート樹脂プレポリマー100質量部あたり脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量部、硬化促進剤〔ナフテン酸コバルト(金属6質量%)、化薬アクゾ(株)製、商品名:コバルト(登録商標)N〕0.5質量部、MEKPO硬化剤〔55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤメック(登録商標)M〕1.5質量部を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、金型のキャビティーに充填し、金型温度:150℃、圧力:1.0MPaおよび成形(加圧)時間:10分間の条件下に、熱圧成形を行ない、成形体としてJIS K 6911に定める試験片を得た。
(比較例10)
実施例9において、製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーとを、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が10/90となるように混合する代わりにオリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が85/15となるように混合したことを除き、実施例9と同様の操作を行ない、板状の成形体を得た。得られた成形体は、硬化不良のため、柔らかかった。
(試験例3)
試験例1において、実施例1〜4および比較例1〜9それぞれで得られた試験片を用いる代わりに実施例7〜9および比較例10それぞれで得られた試験片を用いたことを除き、試験例1と同様の操作を行ない、前記評価基準に基づき、実施例7〜9および比較例10それぞれで得られた成形体の機械的強度の総合評価を行なった。その結果を表8に示す。
表8に示された結果から、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が10/90〜70/30である樹脂組成物を用いた場合(実施例7〜9)には、引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率がバランスよく優れている成形体を得ることができることがわかる。これに対して、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が85/15である樹脂組成物が用いた場合(比較例10)には、引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率に優れた成形体を得ることができないことがわかる。
(実験例1)
繊維として製造例4で得られたオリゴエステル化セルロース繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーとを、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が表9に示される質量比となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるエポキシアクリレート樹脂プレポリマー100質量部あたり脱泡剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK(登録商標)−A560〕0.3質量部、硬化促進剤〔ナフテン酸コバルト(金属6質量%)、化薬アクゾ(株)製、商品名:コバルト(登録商標)N〕0.5質量部、MEKPO硬化剤〔55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、化薬アクゾ(株)製、商品名:カヤメック(登録商標)M〕1.5質量部を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を注型用金型のキャビティーに充填し、室温にて1日間静置して硬化させた後、さらに120℃で2時間加熱してさらに硬化させ、板状の成形体を得た。得られた成形体を用い、JIS K 6911に定める試験片(実験番号1〜8)を得た。
試験例1において、実施例1〜4および比較例1〜9それぞれで得られた試験片を用いる代わりに実験番号1〜8の試験片を用いたことを除き、試験例1と同様の操作を行ない、引張弾性率および曲げ弾性率を測定した。その結果を表9に示す。
表9に示された結果から、オリゴエステル化セルロース繊維/エポキシアクリレート樹脂プレポリマー(質量比)が10/90〜70/30である樹脂組成物を用いた場合(実験番号3〜7)には、引張弾性率および曲げ弾性率に優れた成形体を得ることができることがわかる。
(比較例11)
実施例1において、繊維として製造例3で得られたオリゴエステル化竹繊維と、マトリックス樹脂プレポリマーとしてポリプロピレン樹脂〔日本ポリプロ(株)製、商品名:ウインテックWSX02〕とを、オリゴエステル化竹繊維/ポリプロピレン樹脂(質量比)が35/65となるように混合し、均一な組成になるまで撹拌して混合物を得た。得られた混合物に、当該混合物中に含まれるポリプロピレン樹脂100質量部あたり相溶化剤〔三洋化成(株)製、商品名:ユーメックス1001〕3質量部、目ヤニ防止剤〔三協化学(株)製、商品名:PEM24900〕0.3質量部を添加し、均一な組成になるまで撹拌して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を加熱して溶解させた後、注型用金型のキャビティーに充填し、室温にて1時間硬化させ、板状の成形体を得た。
(試験例4)
実施例1で得られた成形体および比較例11で得られた成形体を沸騰水中で300時間静置させた。その結果、実施例1で得られた成形体では、変形または膨れが見られなかったのに対して、比較例11で得られた成形体では、沸騰水中に入れてから50時間経過時点で変形および膨れが見られた。かかる結果から、実施例1で得られた成形体は、耐煮沸性に優れることがわかる。
(実施例10)
式(I)で表わされるセルロース化合物含有繊維のうち、実施例1〜9で用いられたセルロース化合物含有繊維以外のセルロース化合物含有繊維と、式(II)で表わされる多塩基酸無水物のうち、実施例1〜9で用いられた多塩基酸無水物以外の多塩基酸無水物と、式(III)で表わされるモノエポキシ化合物のうち、実施例1〜9で用いられたモノエポキシ化合物以外のモノエポキシ化合物と、実施例1〜9で用いられたもの以外のエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂と、実施例1〜9で用いられたもの以外の硬化剤とを用いた場合にも、実施例1〜9で得られた成形体と同様の結果が得られる。
以上の結果から、繊維として重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維とマトリックス樹脂プレポリマーとしてエポキシアクリレート樹脂プレポリマーまたはエポキシ樹脂プレポリマーと硬化剤とを含有し、オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維とエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシアクリレート樹脂プレポリマーとの質量比〔オリゴエステル化セルロース化合物含有繊維/(エポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシアクリレート樹脂プレポリマー)〕が7/93〜80/20、好ましくは10/90〜70/30である樹脂組成物を用いることにより、引張強度、引張弾性率、曲げ強度および曲げ弾性率がバランスよく優れている成形体を得ることができることがわかる。

Claims (9)

  1. セルロース化合物含有繊維強化樹脂の製造に用いられる組成物であって、
    (A)水酸基を有するセルロース化合物含有繊維である植物繊維または式(I):
    (式中、CELは置換基を有していてもよいセルロース骨格または置換基を有していてもよいリグノセルロース骨格を示す)
    で表わされる化合物からなる繊維の前記水酸基に、多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物と交互に付加された重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維と、
    (B)エポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーと、
    (C)硬化剤と
    を含有してなり、前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕が7/93〜80/20であることを特徴とするセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物。
  2. 前記植物繊維が竹繊維である請求項に記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物。
  3. 前記多塩基酸無水物が式(II):
    (式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケンジイル基または置換基を有していてもよい架橋構造を有する炭素数3〜8の二価の環状炭化水素基、mは0または1を示す)
    で表わされる化合物である請求項1または2のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物。
  4. 前記多塩基酸無水物が無水フタル酸である請求項1〜のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物。
  5. 前記不飽和結合を有するモノエポキシ化合物が式(III):
    (式中、R2は置換基を有していてもよくヘテロ原子を有していてもよい炭素数2〜8のアルケニル基を示す)
    で表わされる化合物である請求項1〜のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物。
  6. 前記不飽和結合を有するモノエポキシ化合物がメタクリル酸グリシジルである請求項1〜のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物。
  7. (a)前記(A)水酸基を有するセルロース化合物含有繊維の前記水酸基に、多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物と交互に付加された重合性二重結合を有するオリゴエステル化セルロース化合物含有繊維および前記(B)エポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂プレポリマーを含有してなる第I液と、
    (b)前記(C)硬化剤を含有してなる第II液と
    からなる請求項1〜のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物を硬化した繊維強化樹脂成形体。
  9. 請求項に記載の繊維強化樹脂成形体を製造する方法であって、
    請求項1〜のいずれかに記載のセルロース化合物含有繊維強化樹脂組成物を硬化させるとともに成形することを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造方法。
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