JP3371861B2 - 遠心送風機及び該遠心送風機を備えた空気調和機 - Google Patents

遠心送風機及び該遠心送風機を備えた空気調和機

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JP3371861B2 JP23783599A JP23783599A JP3371861B2 JP 3371861 B2 JP3371861 B2 JP 3371861B2 JP 23783599 A JP23783599 A JP 23783599A JP 23783599 A JP23783599 A JP 23783599A JP 3371861 B2 JP3371861 B2 JP 3371861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、遠心送風機及び
該遠心送風機を備えた空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図12には、遠心送風機Y0を備えた空
気調和機の要部を示しており、同図において符号51は
その下面51aに吸込口52と吹出口(図示省略)とを
備えたケーシングであり、該ケーシング51の機内空間
63内には、上記遠心送風機Y0がそのファン吸込口5
7を上記吸込口52に対向させた状態で配置されるとと
もに、該遠心送風機Y0の外周側には熱交換器(図示省
略)が配置されている。
【0003】上記遠心送風機Y0は、図12及び図13
に示すように、羽根車54と該羽根車54の吸込側に配
置されたベルマウス55とで構成される。
【0004】また、上記羽根車54は、上記ケーシング
51の天板51b側に取り付けられたファンモータ56
によって回転駆動されるハブ59と、該ハブ59に対し
て所定間隔をもって対向配置されたシュラウド60との
間に、複数枚の羽根61,61,・・を周方向に所定間
隔で配置して構成される。上記シュラウド60は、その
軸心部にファン吸込口57を備えたラッパ状形態を有し
ている。また、上記ベルマウス55もラッパ状の形態を
もち、その吹出側端部55aを上記シュラウド60の上
記ファン吸込口57内に進入させた状態で該ベルマウス
55と同軸上に配置されており、該シュラウド60のフ
ァン吸込口57の内周面と上記ベルマウス55の吹出側
端部55aの外周面との間には、これら両者の相対回転
を許容するための微小な幅寸法をもつ環状間隙62が形
成されている。
【0005】このような遠心送風機Y0においては、上
記ファンモータ56によってこれが回転駆動されると、
上記ベルマウス55を介して上記ファン吸込口57から
吸い込まれた空気は、流線A1で示すように、上記ハブ
59と上記シュラウド60との間の羽根間流路を通って
その外周縁に開口するファン吹出口58から旋回成分を
もって吹き出され、所要の送風作用をなす。
【0006】この場合、上記遠心送風機Y0において
は、上記ファン吸込口57が羽根車54の軸方向に開口
する一方、上記ファン吹出口58はこれが該羽根車54
の径方向に開口するものであることから、上記ファン吸
込口57から上記ファン吹出口58に向けて流れる空気
流は、その流動慣性によって上記ハブ59側に偏って流
れる傾向となり、上記シュラウド60の内面において空
気の剥離が生じ、送風音の増大とかファン効率の低下等
の問題が生じることになる。
【0007】かかる空気流の剥離を抑制するための一つ
の手段として、上記ベルマウス55の吹出端部55aの
近傍を湾曲面とするとともに、これに続く上記シュラウ
ド60のファン吸込口57の口縁近傍をも湾曲形状と
し、これら湾曲部分におけるコアンダ効果を利用して上
記空気流A1を上記シュラウド60の内面に沿って流す
ようにしている。
【0008】ところで、かかるコアンダ効果を利用した
偏流抑制効果は、上記シュラウド60の吸込端部(即
ち、上記ファン吸込口57の口縁部)から吹出端部(即
ち、上記ファン吹出口58の口縁部)にかけての全域を
湾曲面として該全域においてコアンダ効果が得られるよ
うにすることが理想である。
【0009】然し乍ら、かかる構成とすると、上記シュ
ラウド60の軸方向寸法が必要以上に大きくなり、延い
ては上記羽根車54の軸方向寸法の増大を招来し、特に
高さ方向のコンパクト化が要請される天井配置の空気調
和機用遠心送風機としてはその実用性がなくなる。この
ため、コアンダ効果による剥離抑制効果と羽根車54の
軸方向のコンパクト化の要請とを比較考量し、図12
示すように、上記シュラウド60においては、その吸込
端部近傍のみを湾曲形状とし、これより吹出端部寄りは
傾斜面とするのが従来一般的であった。従って、かかる
折衷案的構成の結果として、上記シュラウド60の吹出
端部寄り部分においてはコアンダ効果がほとんど得られ
ず、この部分が剥離領域Pとして残存し、送風音の低減
とファン効率の向上という点において依然として問題と
なる。
【0010】一方、上述のように、上記ベルマウス55
とシュラウド60との間には、羽根車54の機能確保上
必然的に、上記環状間隙62が形成されており、該環状
間隙62部分には、上記シュラウド60の内面側と外面
側との差圧によって、図12に流線A2で示すように、
該環状間隙62を通って該シュラウド60の外面側から
内面側への空気の漏れ流れが生じる。この場合、この漏
れ流れは、上記シュラウド60の内面に沿って流入する
ものであることから、この漏れ空気はこれが上記剥離領
域Pに供給されることで該剥離領域Pおける空気流の剥
離抑制に寄与するものと考えられる。このような漏れ流
れによる剥離抑制効果に着目し、これをより有効に作用
させるべく、上記シュラウド60とベルマウス55との
関係を特定した技術として、特開平6−330894号
公報に開示されるものが知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上掲公知例
の如く、上記シュラウド60とベルマウス55との関係
を特定して、上記環状間隙62からの漏れ流れを有効に
利用するようにしても、その効果は、漏れ流れに対して
コアンダ効果が作用する部位、即ち、上記ファン吸込口
57の近傍領域に限られ、剥離領域Pの低減という点に
おいては未だ不満の残るものであった。また、上記漏れ
流れの風量を増大させて該漏れ流れによる剥離抑制作用
を高めることも考えられるが、この漏れ流れは本来的に
ファン効率の低下要因となるものであるため、これを必
要以上に多くすることはファン効率という点において好
ましくない。さらに、上記環状間隙62の幅寸法(即
ち、漏れ風量に関連する要素)は、上記シュラウド60
とベルマウス55の製作誤差とか組付け誤差等によって
変化し易いものであることから、その管理が難しく、従
って漏れ空気によって剥離を抑制するには自ずと限界が
ある。
【0012】そこで本願発明では、遠心送風機におい
て、シュラウドの内面上における空気流の剥離をより効
果的に抑制し、もって送風音の低減とファン効率の向上
とを確実に達成することを目的としてなされたものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明ではかかる課題
を解決するための具体的手段として次のような構成を採
用している。
【0014】本願の第1の発明では、回転駆動されるハ
ブ13とファン吸込口11を備えたシュラウド14とを
同軸上に対向配置するとともにこれら両者間に複数枚の
羽根15,15,・・を配置してなる羽根車9を備えた
遠心送風機において、上記シュラウド14に、ファン吹
出口12から吹き出された空気流の一部を該シュラウド
14の内外の差圧によってその外面14c側から内面1
4b側へ還流させる連通口20を設けたことを特徴とし
ている。
【0015】本願の第2の発明では、上記第1の発明に
かかる遠心送風機において、上記連通口20を上記シュ
ラウド14の上記内面14b上における空気の剥離点の
近傍に設けたことを特徴としている。
【0016】本願の第3の発明では、上記第1又は第2
の発明にかかる遠心送風機において、上記連通口20
を、上記シュラウド14と略同心状に延びる環状溝で構
成したことを特徴としている。
【0017】本願の第4の発明では、上記第1又は第2
の発明にかかる遠心送風機において、上記連通口20
を、上記各羽根15,15,・・により周方向に区画さ
れた各羽根間流路16,16,・・のそれぞれに対応し
て上記シュラウド14と略同心状に形成された円弧溝で
構成したことを特徴としている。
【0018】本願の第5の発明では、上記第1又は第2
の発明にかかる遠心送風機において、上記連通口20
を、上記各羽根15,15,・・により周方向に区画さ
れた各羽根間流路16,16,・・毎にそれぞれ形成さ
れた複数の開口20A,20B,・・で構成したことを
特徴としている。
【0019】本願の第6の発明では、上記第5の発明に
かかる遠心送風機において、上記複数の開口20A,2
0B,・・を、これら各開口20A,20B,・・のそ
れぞれからの還流空気が上記羽根間流路16を流れる空
気流の主流方向に沿って吹き出るように配置したことを
特徴とする遠心送風機。
【0020】本願の第7の発明では、上記第4、第5又
は第6の発明にかかる遠心送風機において、上記連通口
20を、上記羽根間流路16における上記羽根15の負
圧面15dに対応する部位に設けたことを特徴としてい
る。
【0021】本願の第8の発明では、上記第1、第2、
第3、第4、第5、第6又は第7の発明にかかる遠心送
風機において、上記連通口20を、上記シュラウド14
の外面14c側の口縁から内面14b側の口縁に向かう
に伴って径方向外側へ移行する傾斜流路としたことを特
徴としている。
【0022】本願の第9の発明では、上記第1、第2、
第3、第4、第5、第6、第7又は第8の発明にかかる
遠心送風機において、上記連通口20の上記シュラウド
14の外面14c側の口縁部分を低通風抵抗部19とし
たことを特徴としている。
【0023】本願の第10の発明では、上記第4、第
5、第6、第7、第8又は第9の発明にかかる遠心送風
機において、上記連通口20の上記シュラウド14の外
面14c側の口縁部に、上記羽根車9の回転に伴ってそ
の回転方向前方側の空気を上記連通口20へ取り込むエ
アスクープ21を備えたことを特徴としている。
【0024】本願の第11の発明では、上記第1、第
2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9又は第
10の発明にかかる遠心送風機において、上記シュラウ
ド14の内周縁部14aと該内周縁部14aに臨んで配
置されるベルマウス6の内周縁部6aとの間に形成され
る環状間隙10部分に、該環状間隙10を通って上記シ
ュラウド14の外面14c側から内面14b側へ向かう
空気の流れを規制する空気流規制手段22,23を設け
たことを特徴としている。
【0025】本願の第12の発明にかかる空気調和機で
は、吸込口2と吹出口3とを備えたケーシング1内に、
上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第
8、第9、第10又は第11の発明にかかる遠心送風機
1〜Y8と熱交換器5とを配置して構成したことを特徴
としている。
【0026】
【発明の効果】本願発明ではかかる構成とすることによ
り次のような効果が得られる。
【0027】(イ) 本願の第1の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記シュラウド14に、ファン吹出口1
2から吹き出された空気流の一部を該シュラウド14の
内外の差圧によってその外面14c側から内面14b側
へ還流させる連通口20を設けているので、該連通口2
0から該内面14b側へ還流される空気流によって該内
面14bにおける主空気流の剥離が抑制され、剥離に起
因する該内面14bに沿う空気流の乱れが抑えられ、そ
れだけ送風音の低減とファン効率の向上が図られること
になる。
【0028】(ロ) 本願の第2の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記(イ)に記載の効果に加えて、次の
ような特有の効果が奏せられる。即ち、この発明では、
上記第1の発明にかかる遠心送風機において、上記連通
口20を上記シュラウド14の上記内面14b上におけ
る空気の剥離点の近傍に設けているので、該連通口20
からの還流空気を主空気流の剥離に伴う境界層の起点と
なる部位に導入して該境界層の発達の抑制に最も効果的
に作用させることができる。この結果、より少ない還流
風量で(換言すれば、ファン効率の低下を可及的に抑え
た状態で)、より効果的に空気流の剥離を抑制すること
ができ、それだけ送風音の低減とファン効率の向上とが
より一層促進されることになる。
【0029】(ハ) 本願の第3の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記第1又は第2の発明にかかる遠心送
風機において、上記連通口20を、上記シュラウド14
と略同心状に延びる環状溝で構成しているので、空気流
の剥離は上記内面14b上において同心状に進行するも
のであることからして、該内面14bにおける空気流の
剥離をその全周においてほぼ均等に且つ確実に抑制する
ことができ、上記(イ)又は(ロ)に記載の効果の実現
がより一層確実ならしめられる。
【0030】(ニ) 本願の第4の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記第1又は第2の発明にかかる遠心送
風機において、上記連通口20を、上記各羽根15,1
5,・・により周方向に区画された各羽根間流路16,
16,・・のそれぞれに対応して上記シュラウド14と
略同心状に形成された円弧溝で構成しているので、例え
ば上記連通口20を環状溝で構成する場合に比して、該
連通口20に形成に伴う上記シュラウド14の強度性能
の低下を可及的に小さく抑えることができ、強度性能と
剥離抑制効果との両立が実現されることになる。
【0031】(ホ) 本願の第5の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記第1又は第2の発明にかかる遠心送
風機において、上記連通口20を、上記各羽根15,1
5,・・により周方向に区画された各羽根間流路16,
16,・・毎にそれぞれ形成された複数の開口20A,
20B,・・で構成しているので、例えば該各開口20
A,20B,・・の形成位置を適宜設定することで、上
記連通口20全体としての空気の還流状態を、上記羽根
間流路16内を流れる主空気流の流れ状態に対応させる
ことが容易であり、それだけ該還流空気による上記シュ
ラウド14の内面14b上における空気流の剥離をより
一層効果的に抑制することが可能となる。
【0032】(ヘ) 本願の第6の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記第5の発明にかかる遠心送風機にお
いて、上記複数の開口20A,20B,・・を、これら
各開口20A,20B,・・のそれぞれからの還流空気
が上記羽根間流路16を流れる空気流の主流方向に沿っ
て吹き出るように配置しているので、上記(ホ)に記載
の効果がより一層確実ならしめられる。
【0033】(ト) 本願の第7の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記第4、第5又は第6の発明にかかる
遠心送風機において、上記連通口20を、上記羽根間流
路16における上記羽根15の負圧面15dに対応する
部位、即ち、該羽根間流路16のうちで最も圧力が低く
空気流の剥離が発生し易い部位に設けているので、該連
通口20から還流空気を導入することで、より少ない還
流風量によって効果的に剥離を抑制することができ、送
風音の低減とファン効率の向上がより一層促進されるこ
とになる。
【0034】(チ) 本願の第8の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記第1、第2、第3、第4、第5、第
6又は第7の発明にかかる遠心送風機において、上記連
通口20を、上記シュラウド14の外面14c側の口縁
から内面14b側の口縁に向かうに伴って径方向外側へ
移行する傾斜流路としているので、該連通口20から導
入される還流空気の上記内面14bへの付着性が良好と
なり該内面14b上における境界層の生成が抑制され、
それだけ該内面14b上における空気流の剥離抑制作用
が促進され、更なる送風音の低減とファン効率の向上と
が期待できるものである。
【0035】(リ) 本願の第9の発明にかかる遠心送
風機によれば、上記第1、第2、第3、第4、第5、第
6、第7又は第8の発明にかかる遠心送風機において、
上記連通口20の上記シュラウド14の外面14c側の
口縁部分を低通風抵抗部19としているので、上記該連
通口20から導入される還流空気の上記内面14bへの
付着性が良好となり該内面14b上における境界層の生
成が抑制され、それだけ該内面14b上における空気流
の剥離抑制作用が促進され、更なる送風音の低減とファ
ン効率の向上とが期待できるものである。
【0036】(ヌ) 本願の第10の発明にかかる遠心
送風機によれば、上記第4、第5、第6、第7、第8又
は第9の発明にかかる遠心送風機において、上記連通口
20の上記シュラウド14の外面14c側の口縁部に、
上記羽根車9の回転に伴ってその回転方向前方側の空気
を上記連通口20へ取り込むエアスクープ21を備えて
いるので、上記シュラウド14の内面14bと外面14
cとの差圧による空気の還流作用に加えて、上記エアス
クープ21による上記羽根車9の回転に伴う空気取り込
みによる還流作用が作用することから、上記連通口20
の通風面積を小さく抑えつつ、還流空気による剥離抑制
効果がより確実に実現される。
【0037】(ル) 本願の第11の発明にかかる遠心
送風機によれば、上記第1、第2、第3、第4、第5、
第6、第7、第8、第9又は第10の発明にかかる遠心
送風機において、上記シュラウド14の内周縁部14a
と該内周縁部14aに臨んで配置されるベルマウス6の
内周縁部6aとの間に形成される環状間隙10部分に、
該環状間隙10を通って上記シュラウド14の外面14
c側から内面14b側へ向かう空気の流れを規制する空
気流規制手段22,23を設けているので、上記連通口
20からの還流風量を適正に設定することで、上記環状
間隙10からの漏れ空気によるファン効率の低下を可及
的に防止しつつ、上記シュラウド14の内面14b上に
おける高い剥離抑制作用を得ることができ、上記環状間
隙10からの漏れ空気によるファン効率の低下がない分
だけ、ファン効率のより一層の向上が期待できるもので
ある。
【0038】(ヲ) 本願の第12の発明にかかる空気
調和機によれば、吸込口2と吹出口3とを備えたケーシ
ング1内に、上記第1、第2、第3、第4第5、第6、
第7、第8、第9又は第10の発明にかかる遠心送風機
1〜Y8と熱交換器5とを配置して構成しているので、
上記遠心送風機Y1〜Y8が送風音が低く且つファン効率
が高いものであることから、静粛運転性と高い空調能力
とを兼備した空気調和機を提供することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本願発明に係る遠心送風機
及び該遠心送風機を備えた空気調和機を好適な実施形態
に基づいて具体的に説明する。
【0040】第1の実施形態 図1には、天井8に埋め込み状態で設置された天井埋込
型空気調和機Zを示している。この空気調和機Zは、本
願の請求項1,2,3及び8に記載の発明にかかる遠心
送風機Y1を備えて構成されるものであって、その下面
1aの中央部に吸込口2を、外周部に吹出口3を、それ
ぞれ備えたケーシング1の機内空間4内に、次述する羽
根車9とベルマウス6とを備えてなる遠心送風機Y
1と、該遠心送風機Y1の外周側にこれを囲繞する如く配
置された熱交換器5とを収容して構成される。
【0041】上記羽根車9は、ファンモータ7によって
回転駆動されるハブ13と、その軸心部にファン吸込口
11を設けたシュラウド14とを所定間隔をもって同軸
上に対向配置するとともに、これら両者間に跨がって複
数枚の羽根15,15,・・をその周方向に所定間隔で
配置して構成され、上記ハブ13とシュラウド14との
対向空間の外周部をファン吹出口12としている。ま
た、上記羽根15は、図3に示すように、その前縁15
aから後縁15bにかけて回転方向後方側へ次第に湾曲
傾斜する後退翼とされ、これら各羽根15,15,・・
の間には、上記ファン吸込口11から上記ファン吹出口
12に向かって湾曲しながら拡大する羽根間流路16,
16,・・が形成されている。
【0042】上記シュラウド14は、図2及び図3に示
すように、上記ファン吸込口11の口縁に対応する内周
縁部14aから所定曲率をもって湾曲面状に拡径する湾
曲面部14dと、該湾曲面部14dの大径側に連続して
ここから径方向外方へ傾斜延出してその外周縁部14f
に至る平面部14eとを備えた略ラッパ状形態を有し、
その膨出方向に位置する内面14bを上記ハブ13側に
対向させた状態で組付けられている。そして、この実施
形態においては、上記シュラウド14の上記湾曲面部1
4dと上記平面部14eとの境界部の近傍位置(即ち、
湾曲面部14dと平面部14eとで構成された上記シュ
ラウド14にあっては、その内面14b上における空気
の剥離点と考えられる部位の近傍)に、該シュラウド1
4の全周に亙って環状に延びる環状溝で構成される連通
口20を設けている。
【0043】尚、このシュラウド14に上記連通口20
を設けることで、該連通口20は実質的には該連通口2
0より径方向内側部分と外側部分との二分割構造とされ
るが、これら両部分は上記各羽根15,15,・・を介
して一体的に連結されている。また、この連通口20
は、上記シュラウド14の外面14c側の口縁が内面1
4b側の口縁よりも径方向内側に位置するように傾斜す
る傾斜通路(換言すれば、上記外面14cから内面14
bに向かって径方向外側へ傾斜する傾斜通路)とされて
いる。
【0044】このように構成された羽根車9は、その回
転軸心を上下方向に向けるとともにそのファン吸込口1
1を上記ケーシング1側の上記吸込口2に対向させた状
態で上記機内空間4内に配置され、且つ上記ファンモー
タ7を上記ケーシング1の天板1bに固定することで該
ケーシング1側に固定支持されている。
【0045】一方、上記ベルマウス6は、図1及び図2
に示すように、その軸心部に吹出開口17を備えた板状
体であって、該吹出開口17の口縁に対応する内周縁部
6aの近傍領域はラッパ状に拡径しながら湾曲する湾曲
面部6bとされている。また、このベルマウス6の上記
内周縁部6aの外形寸法は、上記羽根車9のシュラウド
14の内周縁部6aの径寸法よりも所定寸法だけ小径に
設定されている。従って、このベルマウス6を、その吹
出開口17を上記羽根車9側のファン吸込口11に対向
させ且つ軸方向に所定寸法だけ重合させた状態で配置し
たとき、図2に示すように、上記ベルマウス6の内周縁
部6aの外面6bと上記シュラウド14の内周縁部14
aの内面14bとの間には、所定幅をもつ環状の環状間
隙10が形成され、この環状間隙10の存在によって上
記羽根車9が上記ベルマウス6に対して相対回転可能と
なっている。
【0046】以上のように構成された上記遠心送風機Y
1を備えた上記空気調和機Zにおいては、該遠心送風機
1の上記羽根車9が回転すると、上記吸込口2から吸
い込まれる空気流、即ち主空気流は、流線A1で示すよ
うに、上記ベルマウス6の吹出開口17を介して上記羽
根車9のファン吸込口11側に吸い込まれ、さらに該羽
根車9の上記各羽根間流路16,16,・・を通って上
記ファン吹出口12からその吹き出され、上記熱交換器
5での熱交換によって温風あるいは冷風とされた後、吹
出空気流A4として上記吹出口3から室内側へ吹き出さ
れ、室内の暖房あるいは冷房を行う。
【0047】ところで、図2に示すように、上記羽根車
9内を流れる主空気流A1は、上記ファン吸込口11と
ファン吹出口12とが直交方向に位置していることか
ら、流動慣性によって上記ハブ13側へ偏流する傾向が
あり、その結果、上記シュラウド14の上記湾曲面部1
4dにおけるコアンダ効果にも拘わらず、該シュラウド
14の内面14b側、特に上記平面部14eに対応する
部位においては空気流の剥離を生じ、該内面14bに沿
って流れる空気流の乱れが大きくなり、送風音の増大と
かファン効率の低下等の問題が生じ易くなることは既述
の通りである。また、係るシュラウド14の内面14b
側での空気流の剥離に対して、該シュラウド14の内面
14bと外面14cとの間の差圧によって上記環状間隙
10を通して該外面14c側から内面14b側に流れる
漏れ流れは、該湾曲面部14d部分をその内面14bに
沿って流れることから、上記空気流の剥離抑制に対して
多少の効果があるものの、この剥離抑制効果は上記ファ
ン吸込口11の近傍、即ち上記湾曲面部14d部分に限
られ、該湾曲面部14dよりもファン吹出口12寄りに
位置する上記平面部14e部分にはほとんど影響を与え
ず、却ってファン効率の低下要因ともなることも既述の
通りである。
【0048】ところが、この実施形態の遠心送風機Y1
においては、上記シュラウド14の上記湾曲面部14d
と平面部14eとの境界部の近傍位置に上記連通口20
が設けられているので、図2に流線A3で示すように、
上記ファン吹出口12から吹き出された主空気流A1
一部が該シュラウド14の内面14b側と外面14c側
との差圧によって上記連通口20を通って上記内面14
b側に還流されることになる。
【0049】この場合、この連通口20の形成位置
が、上記シュラウド14の湾曲面部14dと平面部14
eとの境界部の近傍位置、即ち、該内面14b上におけ
る空気流の剥離に伴う境界層の起点位置となる剥離点の
近傍であって該連通口20からの還流空気流A3による
境界層の成長抑制作用が最も効果的に働く状態であるこ
と、上記連通口20の断面形状が、上記外面14cか
ら内面14bに向かって径方向外側へ傾斜する傾斜通路
とされ、該連通口20の径方向外側の口縁部分を回り込
む上記還流空気流A3の流れ方向に合致し、該還流空気
流A3の該内面14bへの付着性が良好であること、等
のことから、上記シュラウド14の内面14b上におけ
る空気流の剥離が、上記連通口20を通って該内面14
b側に還流される還流空気流A3によって、該連通口2
0の形成部位から上記ファン吹出口12部分までの広範
囲に亙って効果的に抑制されることになる。この結果、
上記シュラウド14の内面14bに沿って流れる空気流
の乱れが可及的に抑制され、上記遠心送風機Y1におい
ては送風音が低減されるとともにファン効率が向上され
ることになる。
【0050】さらに、この実施形態の遠心送風機Y1
おいては、上記連通口20を、上記シュラウド14と略
同心状に延びる環状溝で構成しているので、空気流の剥
離は上記内面14b上において同心状に進行するもので
あることからして、該内面14bにおける空気流の剥離
を該シュラウド14の全周においてほぼ均等に且つ確実
に抑制することができ、上記効果がより確実となるもの
である。
【0051】また、上記遠心送風機Y1が上記の如き特
性をもつことから、該遠心送風機Y1を備えた上記空気
調和機Zにおいては、その静粛運転性と高い空調能力が
確保されることになる。
【0052】第2の実施形態 図4には、本願の請求項1,2,3,7及び8に記載の
発明の実施形態に係る遠心送風機Y2の要部(上記第1
の実施形態における図3に対応する)を示している。こ
の実施形態の遠心送風機Y2は、上記第1の実施形態に
おける上記遠心送風機Y1と基本構成を同じにするもの
であって、これと異なる点は、上記遠心送風機Y1にお
いては上記連通口20を環状溝で構成していたのに対し
て、これを所定長さの円弧溝で構成した点と、該連通口
20のシュラウド14の周方向における形成位置を特定
した点(尚、シュラウド14の径方向における形成位置
は上記遠心送風機Y1の場合と同様である)である。
【0053】即ち、この実施形態の遠心送風機Y2にお
いては、上記連通口20を、上記シュラウド14の湾曲
面部14dと平面部14eとの境界部の近傍における上
記羽根間流路16の幅寸法の略半分ほどの長さをもつ円
弧溝で構成し、且つこの連通口20を上記各羽根間流路
16,16,・・毎にそれぞれ設けるとともに、該連通
口20の上記羽根間流路16上におけるシュラウド周方
向の位置を、該羽根間流路16の回転方向前方側に位置
する羽根15の負圧面15dに対応する位置に設定した
ものである。尚、上記連通口20が上記シュラウド14
の外面6bから内面14bに向けて径方向外側へ傾斜し
ていることは勿論である。
【0054】かかる構成とすることで、上記シュラウド
14の内面14bと外面14cとの差圧によって上記各
連通口20,20,・・を通って上記シュラウド14の
外面6b側から内面14b側へ流れる空気流が生じ、こ
の還流空気流A3によって上記内面14b側における主
空気流A1の剥離がより効果的に且つ的確に抑制され、
送風音の低減とファン効率の向上とが実現されるもので
ある。
【0055】さらに、この実施形態の遠心送風機Y2
おいては、上述のように、上記連通口20を上記羽根間
流路16における上記羽根15の負圧面15dに対応す
る部位に設けているが、かかる構成によれば、上記負圧
面15dに対応する部位は上記羽根間流路16のうちで
最も圧力が低く空気流の剥離が発生し易い部位であるこ
とから、ここに該連通口20から還流空気流A3が導入
されることで、該還流空気流A3による効率的な剥離抑
制作用が可能となる。この結果、より少ない還流風量に
よって(換言すれば、空気の還流によるファン効率の低
下を可及的に抑制した状態で)上記内面14bにおける
空気流の剥離をより効果的に抑制することができ、従っ
て、送風音の低減とファン効率の向上という上記基本的
効果がより一層促進されることになる。
【0056】尚、上記以外の部分の構成及び作用効果に
ついては、上記第1の実施形態の場合と同様であるの
で、図3の構成部材に対応させて図4の各構成部材に符
号を付することでその説明を省略する。
【0057】第3の実施形態 図5には、本願の請求項1,2,5,6,7及び8に記
載の発明の実施形態に係る遠心送風機Y3の要部(上記
第2の実施形態における図4に対応する)を示してい
る。この実施形態の遠心送風機Y3は、上記第2の実施
形態における上記遠心送風機Y2と基本構成を同じにす
るものであって、これと異なる点は、上記遠心送風機Y
2においては上記連通口20を羽根間流路16に対応し
て設けられた円弧溝で構成していたのに対して、これを
上記連通口20を羽根間流路16に対応して設けられた
三個の開口20A,20B,20Cで構成した点と、該
各開口20A,20B,20Cのシュラウド14の平面
上における形成方向を特定した点である。
【0058】即ち、この実施形態の遠心送風機Y3にお
いては、上記連通口20を、上記各羽根間流路16,1
6,・・のそれぞれに対応する位置において上記シュラ
ウド14と同心円上に並ぶ三個の開口20A,20B,
20Cで構成するとともに、該各開口20A,20B,
20Cの平面上における形成方向を、該各開口20A,
20B,20Cそれぞれの指向方向が、該各開口20
A,20B,20Cのそれぞれの形成位置において上記
羽根間流路16を流れる主空気流A1の主流方向に合致
するように設定している。尚、上記連通口20を構成す
る上記各開口20A,20B,20Cが上記シュラウド
14の外面6bから内面14bに向けて径方向外側へ傾
斜していることは勿論である。
【0059】かかる設定とすることで、上記各開口20
A,20B,20Cのそれぞれを通して上記シュラウド
14の外面14c側から内面14b側に還流される還流
空気流A3の流れ方向が上記主空気流A1の流れ方向と可
及的に一致し還流空気の導入がよりスムーズとなること
から、上記シュラウド14の内面14b上における主空
気流A1の剥離が、上記還流空気流A3によって一層効果
的に抑制されることになる。
【0060】尚、上記以外の部分の構成及び作用効果に
ついては、上記第2の実施形態の場合と同様であるの
で、図4の構成部材に対応させて図5の各構成部材に符
号を付することでその説明を省略する。
【0061】第4の実施形態 図6には、本願の請求項1,2,4,7,8及び9に記
載の発明の実施形態に係る遠心送風機Y4の要部(上記
第1の実施形態における図2に対応する)を示してい
る。この実施形態の遠心送風機Y4は、上記第1〜第3
の各実施形態における遠心送風機Y1〜Y3の何れをも、
その基本構成として採用することができるものであっ
て、これら各遠心送風機Y1〜Y3における上記連通口2
0(第3の実施形態にかかる遠心送風機Y3においては
上記開口20A,20B,20C)の口縁部分のうち、
上記還流空気流A3が回り込む側の口縁部分(即ち、上
記シュラウド14の径方向外側に位置する口縁部分)を
例えば球面状等の流通抵抗の少ない形状に設定してこれ
を低通風抵抗部19としたものである。
【0062】従って、かかる構成とすることで、例えば
この連通口20のシュラウド径方向外側の口縁部分が角
状とされている場合に比して、該連通口20を通って還
流する還流空気流A3の流れがよりスムーズとなり、そ
の結果、上記シュラウド14の内面14b上における主
空気流A1の剥離が、上記還流空気流A3によって一層効
果的に抑制されることになる。
【0063】尚、上記以外の部分の構成及び作用効果に
ついては、上記第1の実施形態の場合と同様であるの
で、図2の構成部材に対応させて図6の各構成部材に符
号を付することでその説明を省略する。
【0064】第5の実施形態 図7及び図8には、本願の請求項1,2,4,7,8及
び10に記載の発明の実施形態に係る遠心送風機Y5
要部(上記第1の実施形態における図2及び図3に対応
する)を示している。この実施形態の遠心送風機Y
5は、上記第2の実施形態にかかる上記遠心送風機Y2
構成を基本とし、これに次述のエアスクープ21を付加
して構成されたものである。
【0065】即ち、この実施形態の遠心送風機Y5にお
いては、上記連通口20を、上記シュラウド14の湾曲
面部14dと平面部14eとの境界部の近傍における上
記羽根間流路16の幅寸法の略半分ほどの長さをもつ円
弧溝で構成し、且つこの連通口20を上記各羽根間流路
16,16,・・毎にそれぞれ設けるとともに、該連通
口20の上記羽根間流路16上における周方向の位置
を、該羽根間流路16の回転方向前方側に位置する羽根
15の負圧面15dに対応する位置に設定したものにお
いて、さらにこの連通口20のシュラウド外面14c側
の口縁部分をその外側から覆うようにエアスクープ21
を設けたものである。そして、このエアスクープ21
は、これを上記羽根車9の回転方向前方側に開口するフ
ード状形態としている。
【0066】このように上記連通口20の上記シュラウ
ド外面14c側にエアスクープ21を設けることで、上
記連通口20においては、上記シュラウド14の内面1
4bと外面14cとの間の差圧による空気の還流作用に
加えて、上記エアスクープ21による上記羽根車9の回
転に伴う空気取り込みによる還流作用が作用することに
なる。この結果、例え上記シュラウド14の内面14b
と外面14cとの間の差圧が小さく差圧による還流作用
が低いような運転状態であってとしても、上記羽根車9
の回転に伴う上記エアスクープ21による空気の取り込
みによる還流作用によって還流風量を十分に確保するこ
とが可能となり、還流空気流A3による剥離抑制効果の
確実性が担保されるものである。
【0067】尚、上記以外の部分の構成及び作用効果に
ついては、上記第2の実施形態の場合と同様であるので
その説明を省略する。
【0068】第6の実施形態 図9には、本願の請求項1,2,4,7,8及び11に
記載の発明の実施形態に係る遠心送風機Y6の要部(上
記第1の実施形態における図2に対応する)を示してい
る。この実施形態の遠心送風機Y6は、上記第1〜第5
の各実施形態における遠心送風機Y1〜Y5の何れをも、
その基本構成として採用することができるものであっ
て、上記シュラウド14に設けた連通口20からの還流
空気流A3によって該シュラウド14の内面14b側に
おける主空気流A1の剥離を抑制しつつ、上記環状間隙
10からの漏れ流れを抑制することでファン効率を高め
ることを狙ったものであり、そのための具体的手段とし
て、上記環状間隙10部分に、該環状間隙10を通って
流れる漏れ流れを可及的に抑制するために次述のシール
壁22(特許請求の範囲中の「空気流規制手段」に該当
する)を備えて構成されるものである。
【0069】即ち、この実施形態の遠心送風機Y6にお
いては、上記羽根車9のシュラウド14の内周縁部14
aと上記ベルマウス6の内周縁部6aとが近接対向して
形成される上記環状間隙10部分を覆うべく、環状の鍔
部22aと該鍔部22aの外端からこれと略直交方向に
立ち上がる環状の周壁部22bとを備えた断面略「L」
形のシール壁22を、該シール壁22の内側に上記シュ
ラウド14の湾曲面部14dの端部側部分を進入させた
状態で上記ベルマウス6の湾曲面部6cの外面6bに固
着している。
【0070】従って、上記環状間隙10は、上記シール
壁22を上記ベルマウス6側に取り付けることによって
上記シュラウド14の湾曲面部14dの端部を「U」字
状に回り込む蛇行路とされる。このため、上記シュラウ
ド14の内面14bと外面14cとの間の差圧によって
漏れ流れ生じる場合、該環状間隙10が蛇行路であって
空気の流通抵抗が大きいこと、及びこの蛇行路の通路面
積が空気の流れ方向において増減を繰り返しここを流れ
る空気は収縮作用と膨張作用とを繰り返して受けるこ
と、等によって、上記環状間隙10における漏れ風量が
可及的に低減されることになる。この結果、上記環状間
隙10からの漏れ風量が低減される分だけ漏れ流れに起
因するファン効率の低下が抑制され、それだけファン効
率の向上が期待できるものである。
【0071】尚、この実施形態の遠心送風機Y6におい
ては、上記シュラウド14に設けた上記連通口20を通
って還流する還流空気流A3によって該シュラウド14
の内面14b側における主空気流A1の剥離が効果的に
抑制されることは言うまでもない。
【0072】第7の実施形態 図10には、本願の請求項1,2,4,7,8及び11
に記載の発明の実施形態に係る遠心送風機Y7の要部
(上記第1の実施形態における図2に対応する)を示し
ている。この実施形態の遠心送風機Y7は、上記第6の
実施形態にかかる遠心送風機Y6と同様に、上記シュラ
ウド14に設けた連通口20からの還流空気流A3によ
って該シュラウド14の内面14b側における主空気流
1の剥離を抑制しつつ、上記環状間隙10からの漏れ
流れを抑制することでファン効率を高めることを狙った
ものであって、そのための具体的手段として、上記環状
間隙10部分に、該環状間隙10を通って流れる漏れ流
れを可及的に抑制するために次述のシール部材23(特
許請求の範囲中の「空気流規制手段」に該当する)を備
えたものである。
【0073】即ち、この実施形態の遠心送風機Y7にお
いては、上記シュラウド14の湾曲面部14dを上記ベ
ルマウス6の湾曲面部6cの外面側に大きく回り込ませ
るように延出形成し、この延出された上記湾曲面部14
dの内面側に、環板状のシール部材23を所定間隔をも
って多段に複数本配置し、該各シール部材23,23,
・・の先端部を上記ベルマウス6の湾曲面部6cの外面
に近接対向させている。
【0074】かかる構成とすることで、上記各シール部
材23,23,・・によって上記シュラウド14の湾曲
面部14dの内面と上記ベルマウス6の湾曲面部6cの
外面との間に形成される上記環状隙間10の通路面積が
交互に増減し、該環状間隙10を通っての空気の漏れが
可及的に抑制されることになる。この結果、上記環状間
隙10からの漏れ流れに起因するファン効率の低下が抑
制され、それだけファン効率の向上が期待できるもので
ある。
【0075】尚、この実施形態の遠心送風機Y7におい
ては、上記シュラウド14に設けた上記連通口20を通
って還流する還流空気流A3によって該シュラウド14
の内面14b側における主空気流A1の剥離が効果的に
抑制されることは言うまでもない。
【0076】第8の実施形態 図11には、本願の請求項1,2,4,7,8及び11
に記載の発明の実施形態に係る遠心送風機Y8の要部
(上記第1の実施形態における図2に対応する)を示し
ている。この実施形態の遠心送風機Y8は、上記各実施
形態にかかる遠心送風機Y1〜Y7と同様に、上記シュラ
ウド14に設けた連通口20からの還流空気流A3によ
って該シュラウド14の内面14b側における主空気流
1の剥離を抑制することを主たる目的とするものであ
って、これら各実施形態にかかる遠心送風機Y1〜Y7
異なる点は、上記シュラウド14が上記内周縁部14a
から外周縁部14fに向けてその全域が曲面状に拡径変
化する形状とされている点である。従って、この曲面状
の断面形状をもつシュラウド14に対して上記連通口2
0を形成するに際しては、該シュラウド14の内面形状
の数値解析とか実験等によって該内面14b上における
剥離点を把握し、この剥離点の近傍(望ましくは、剥離
点の直近の上流側部位)に上記連通口20を設けてい
る。
【0077】かかる構成のシュラウド14を備えた遠心
送風機Y8においても、上記各実施形態にかかる遠心送
風機Y1〜Y7の場合と同様に、上記シュラウド14に上
記連通口20を設けることで該シュラウド14の内面1
4b側における主空気流A1の剥離を効果的に抑制する
ことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施形態に係る遠心送風機を
備えた空気調和機の断面図である。
【図2】図1に示した遠心送風機の要部拡大断面図であ
る。
【図3】図2のIII−III矢視図である。
【図4】本願発明の第2の実施形態に係る遠心送風機の
要部平面図(図3に対応する)である。
【図5】本願発明の第3の実施形態に係る遠心送風機の
要部平面図(図3に対応する)である。
【図6】本願発明の第4の実施形態に係る遠心送風機の
要部拡大断面図(図2に対応する)である。
【図7】本願発明の第5の実施形態に係る遠心送風機の
要部拡大断面図(図2に対応する)である。
【図8】図7のVIII−VIII矢視図である。
【図9】本願発明の第6の実施形態に係る遠心送風機の
要部拡大断面図(図2に対応する)である。
【図10】本願発明の第7の実施形態に係る遠心送風機
の要部拡大断面図(図2に対応する)である。
【図11】本願発明の第8の実施形態に係る遠心送風機
の要部拡大断面図(図2に対応する)である。
【図12】従来の遠心送風機を備えた空気調和機の断面
図である。
【図13】図12のXIII−XIII矢視図である。
【符号の説明】
1はケーシング、2は吸込口、3は吹出口、4は機内空
間、5は熱交換器、6はベルマウス、7はファンモー
タ、8は天井、9は羽根車、10は環状間隙、11はフ
ァン吸込口、12はファン吹出口、13はハブ、14は
シュラウド、15は羽根、16は羽根間流路、19は低
通風抵抗部、20は連通口、21はエアスクープ、22
はシール壁、23はシール部材、A1は主空気流、A2
漏れ空気流、A3は還流空気流、A4は吹出空気流、Y1
〜Y8は遠心送風機、Zは空気調和機である。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転駆動されるハブ(13)とファン吸
    込口(11)を備えたシュラウド(14)とを同軸上に
    対向配置するとともにこれら両者間に複数枚の羽根(1
    5),(15),・・を配置してなる羽根車(9)を備
    えた遠心送風機であって、 上記シュラウド(14)に、ファン吹出口(12)から
    吹き出された空気流の一部を該シュラウド(14)の内
    外の差圧によってその外面(14c)側から内面(14
    b)側へ還流させる連通口(20)が設けられているこ
    とを特徴とする遠心送風機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 上記連通口(20)が、上記シュラウド(14)の上記
    内面(14b)上における空気の剥離点の近傍に設けら
    れていることを特徴とする遠心送風機。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、 上記連通口(20)が、上記シュラウド(14)と略同
    心状に延びる環状溝で構成されていることを特徴とする
    遠心送風機。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2において、 上記連通口(20)が、上記各羽根(15),(1
    5),・・により周方向に区画された各羽根間流路(1
    6),(16),・・のそれぞれに対応して上記シュラ
    ウド(14)と略同心状に形成された円弧溝で構成され
    ていることを特徴とする遠心送風機。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2において、 上記連通口(20)が、上記各羽根(15),(1
    5),・・により周方向に区画された各羽根間流路(1
    6),(16),・・毎にそれぞれ形成された複数の開
    口(20A),(20B),・・で構成されていること
    を特徴とする遠心送風機。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 上記複数の開口(20A),(20B),・・が、これ
    ら各開口(20A),(20B),・・のそれぞれから
    の還流空気が上記羽根間流路(16)を流れる空気流の
    主流方向に沿って吹き出るように配置されていることを
    特徴とする遠心送風機。
  7. 【請求項7】 請求項4,5又は6において、 上記連通口(20)が、上記羽根間流路(16)におけ
    る上記羽根(15)の負圧面(15d)に対応する部位
    に設けられていることを特徴とする遠心送風機。
  8. 【請求項8】 請求項1,2,3,4,5,6又は7に
    おいて、 上記連通口(20)が、上記シュラウド(14)の外面
    (14c)側の口縁から内面(14b)側の口縁に向か
    うに伴って径方向外側へ移行する傾斜流路とされている
    ことを特徴とする遠心送風機。
  9. 【請求項9】 請求項1,2,3,4,5,6,7又は
    8において、 上記連通口(20)の上記シュラウド(14)の外面
    (14c)側の口縁部分が低通風抵抗部(19)とされ
    ていることを特徴とする遠心送風機。
  10. 【請求項10】 請求項4,5,6,7,8又は9にお
    いて、 上記連通口(20)の上記シュラウド(14)の外面
    (14c)側の口縁部に、上記羽根車(9)の回転に伴
    ってその回転方向前方側の空気を上記連通口(20)へ
    取り込むエアスクープ(21)が備えられていることを
    特徴とする遠心送風機。
  11. 【請求項11】 請求項1,2,3,4,5,6,7,
    8,9又は10において、 上記シュラウド(14)の内周縁部(14a)と該内周
    縁部(14a)に臨んで配置されるベルマウス(6)の
    内周縁部(6a)との間に形成される環状間隙(10)
    部分に、該環状間隙(10)を通って上記シュラウド
    (14)の外面(14c)側から内面(14b)側へ向
    かう空気の流れを規制する空気流規制手段(22),
    (23)が設けられていることを特徴とする遠心送風
    機。
  12. 【請求項12】 吸込口(2)と吹出口(3)とを備え
    たケーシング(1)内に、請求項1,2,3,4,5,
    6,7,8,9,10又は11に記載の遠心送風機(Y
    1〜Y8)と熱交換器(5)とを配置して構成されたこと
    を特徴とする空気調和機。
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