JP3370932B2 - 目標追尾装置および目標追尾方法 - Google Patents

目標追尾装置および目標追尾方法

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JP3370932B2 JP12195598A JP12195598A JP3370932B2 JP 3370932 B2 JP3370932 B2 JP 3370932B2 JP 12195598 A JP12195598 A JP 12195598A JP 12195598 A JP12195598 A JP 12195598A JP 3370932 B2 JP3370932 B2 JP 3370932B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目標追尾装置およ
び目標追尾方法に係り、特に、レーダ等のセンサから得
られた観測ベクトルに基づいて複数の目標の航跡を推定
する目標追尾装置および目標追尾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特願平7−73911号に
示すような目標追尾装置が知られている。従来の目標追
尾装置は、レーダ等のセンサにより、目標までの距離、
および、目標の方位および仰角等を含む観測ベクトルZ
を検出する。時刻tk-1における観測ベクトルZk-1が検
出できると、その観測ベクトルZk-1に基づいて時刻tk
における目標の存在位置を推定することができる。従来
の目標追尾装置は、上記の手法により時刻tkにおいて目
標が存在すると予測される領域を推定する。以下、この
領域をゲートと称す。
【0003】複数の目標が狭い領域内に存在する場合
は、観測ベクトルZk-1に基づいて推定されたゲートの
中に、時刻tkにおいて複数の観測ベクトルZkが検出さ
れることがある。このような状況下で正確な追尾を続け
るためには、観測ベクトルZk-1に対応する目標の航跡
と、観測ベクトルZkとの相関付けを精度よく行うこと
が必要である。
【0004】従来の目標追尾装置は、時刻tkにおいてゲ
ート内に観測ベクトルZkが検出された場合に、その観
測ベクトルZkが、誤信号である可能性、既追尾の
目標に対応している可能性、および、新たな目標であ
る可能性等を考慮して、考え得るすべての仮説を作成す
る。そして、それらの仮説の中から最善の仮説を選択
し、その内容を表示する。上記の手法によれば、同一の
ゲート内で複数の観測ベクトルが検出された場合に、精
度よく目標の追尾を続けることができる。
【0005】ところで、従来の目標追尾装置において、
上述した〜の可能性の全てを考慮して仮説の更新を
行う場合、仮説の数は、その更新が行われる毎に爆発的
に増大する。このため、従来の目標追尾装置は、誤信号
が検出され難い状況下では、観測ベクトルZkが誤信号
である可能性が無いものとして仮説を更新する機能を有
している。このような処理によれば、新たに作成される
仮説の数を大幅に低減させることができ、目標追尾装置
の演算負荷を有効に抑制することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の目標追
尾装置が、仮説の数を有効に抑制できる状況、すなわ
ち、誤信号が全く存在しない状況は特殊な状況である。
つまり、目標追尾装置は、多くの場合、誤信号が全くな
いとは保証できない状況下で目標の追尾処理を行う。こ
のため、従来の目標追尾装置は、一般的な状況下で仮説
の数を有効に抑制することができないという問題を有し
ていた。
【0007】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、目標追尾に関する性能を低下させ
ることなく、一般的な状況下で有効に仮説の数を抑制す
ることのできる目標追尾装置を提供することを第1の目
的とする。また、本発明は、目標追尾に関する性能を低
下させることなく、目標追尾に関する性能を低下させる
ことなく、一般的な状況下で有効に仮説の数を抑制する
ことのできる目標追尾方法を提供することを第2の目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
目標追尾装置は、目標の位置情報を含む観測ベクトルを
検出する観測ベクトル検出手段と、前記観測ベクトル
が、誤信号である可能性、既追尾の航跡に対応している
可能性、および、新航跡である可能性を組み合わせて、
実現可能な状態に対応する航跡相関情報を作成する航跡
相関情報作成手段と、目標の航跡に関する既存仮説を記
憶する仮説記憶手段と、既追尾航跡数の推定が可能な所
定の自由空間が形成されているか否かを判断すると共
に、前記自由空間が形成されている場合に、既追尾航跡
数の推定、新航跡と誤信号の総数の推定、新航跡数の推
定、誤信号数の推定、未探知信号数の推定、既追尾航跡
数に関する条件設定、および、誤信号および新航跡の有
無判断のうち、少なくとも1つを実行する目標観測状態
推定手段と、前記目標観測状態推定部による推定、条件
設定、および、有無判断が何れも実行されていない場合
に、前記航跡相関情報の全てと、前記既存仮説の全てを
組み合わせて仮説を更新する通常処理を実行し、前記目
標観測状態推定部による推定、条件設定、および、有無
判断の何れかが実行されている場合に、その実行結果を
利用して、更新される仮説の数を抑制するための簡易処
理を実行する複数仮説生成手段と、を備えることを特徴
とするものである。
【0009】本発明の請求項2に係る目標追尾装置は、
前記目標観測状態推定手段が、前回のサンプリング時刻
における既追尾航跡数を推定する既追尾航跡数推定手段
を備え、前記複数仮説生成手段が、前記簡易処理の実行
中に、前記既存仮説の中から、前記既追尾航跡推定手段
により推定された既追尾航跡数に合致するものを第1の
有効仮説として選択する第1の有効仮説選択手段と、前
記第1の有効仮説を基礎として仮説を更新する第1の仮
説更新手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】本発明の請求項3に係る目標追尾装置は、
前記目標観測状態推定手段が、前回のサンプリング時刻
における新航跡と誤信号の総数を推定する総数推定手段
を備え、前記複数仮説生成手段が、前記簡易処理の実行
中に、前記既存仮説の中から、前記総数推定手段により
推定された新航跡と誤信号の総数に合致するものを第2
の有効仮説として選択する第2の有効仮説選択手段と、
前記第2の有効仮説を基礎として仮説を更新する第2の
仮説更新手段と、を備えることを特徴とするものであ
る。
【0011】本発明の請求項4に係る目標追尾装置は、
前記目標観測状態推定手段が、前回のサンプリング時刻
における新航跡数を推定する新航跡数推定手段を備え、
前記複数仮説生成手段が、前記簡易処理の実行中に、前
記既存仮説の中から、前記新航跡数推定手段により推定
された新航跡数に合致するものを第3の有効仮説として
選択する第3の有効仮説選択手段と、前記第3の有効仮
説を基礎として仮説を更新する第3の仮説更新手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0012】本発明の請求項5に係る目標追尾装置は、
前記目標観測状態推定手段が、前回のサンプリング時刻
における誤信号数を推定する誤信号数推定手段を備え、
前記複数仮説生成手段が、前記簡易処理の実行中に、前
記既存仮説の中から、前記誤信号数推定手段により推定
された誤信号数に合致するものを第4の有効仮説として
選択する第4の有効仮説選択手段と、前記第4の有効仮
説を基礎として仮説を更新する第4の仮説更新手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0013】本発明の請求項6に係る目標追尾装置は、
前記目標観測状態推定手段が、前回のサンプリング時刻
における未探知信号数を推定する未探知信号数推定手段
を備え、前記複数仮説生成手段が、前記簡易処理の実行
中に、前記既存仮説の中から、前記未探知信号数推定手
段により推定された未探知信号数に合致するものを第5
の有効仮説として選択する第5の有効仮説選択手段と、
前記第5の有効仮説を基礎として仮説を更新する第5の
仮説更新手段と、を備えることを特徴とするものであ
る。
【0014】本発明の請求項7に係る目標追尾装置は、
前記目標観測状態推定手段が、今回のサンプリング時刻
における既追尾航跡数に関する条件を設定する航跡数条
件設定手段を備え、前記複数仮説生成手段は、前記簡易
処理の実行中に、前記既追尾航跡に関する条件に合致す
る仮説のみを生成する第6の仮説更新手段を備えること
を特徴とするものである。
【0015】本発明の請求項8に係る目標追尾装置は、
前記目標観測状態推定手段が、今回のサンプリング時刻
における誤信号および新航跡の有無を判断する有無判断
手段を備え、前記複数仮説生成手段が、前記有無判断手
段により誤信号および新航跡が存在しないと判断された
場合に、前記観測ベクトルが誤信号および新航跡の何れ
でもないとする航跡相関情報のみを基礎として仮説を更
新する第7の仮説更新手段を備えることを特徴とするも
のである。
【0016】本発明の請求項9に係る目標追尾装置は、
前記目標観測状態推定部は、所定のサンプリング回数に
わたる観測ベクトル数の変化状態に基づいて既追尾航跡
数が確定しているか否かを判断する航跡数確定判断手段
を備え、前記所定の自由空間が形成されていると判断さ
れ、かつ、前記既追尾航跡数の確定が判断された後に、
前記推定、前記条件設定、および、前記有無判断の少な
くとも1つの実行を開始することを特徴とするものであ
る。
【0017】本発明の請求項10に係る目標追尾装置
は、前記目標観測状態推定手段が、既追尾航跡数が所定
の安定状態にあるか否かを判断する航跡数安定性判定手
段を備えると共に、サンプリング時刻毎に目標の航跡に
関する仮説を1つに絞り込む逐次決定手段と、前記所定
の安定状態が判断されない場合に、前記複数仮説生成手
段により生成される複数の仮説に基づいて目標追尾を実
行し、かつ、前記所定の安定状態が判断される場合に、
前記逐次決定手段により決定された仮説に基づいて目標
追尾を実行する目標追尾手段と、を備えることを特徴と
するものである。
【0018】本発明の請求項11に係る目標追尾方法
は、目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出する観測
ベクトル検出ステップと、前記観測ベクトルが、誤信号
である可能性、既追尾の航跡に対応している可能性、お
よび、新航跡である可能性を組み合わせて、実現可能な
状態に対応する航跡相関情報を作成する航跡相関情報作
成ステップと、目標の航跡に関する既存仮説を記憶する
仮説記憶ステップと、既追尾航跡数の推定が可能な所定
の自由空間が形成されているか否かを判断すると共に、
前記自由空間が形成されている場合に、既追尾航跡数の
推定、新航跡と誤信号の総数の推定、新航跡数の推定、
誤信号数の推定、未探知信号数の推定、既追尾航跡数に
関する条件設定、および、誤信号および新航跡の有無判
断のうち、少なくとも1つを実行する目標観測状態推定
ステップと、前記目標観測状態推定部による推定、条件
設定、および、有無判断が何れも実行されていない場合
に、前記航跡相関情報の全てと、前記既存仮説の全てを
組み合わせて仮説を更新する通常処理を実行し、前記目
標観測状態推定部による推定、条件設定、および、有無
判断の何れかが実行されている場合に、その実行結果を
利用して、更新される仮説の数を抑制するための簡易処
理を実行する複数仮説生成ステップと、を備えることを
特徴とするものである。
【0019】本発明の請求項12に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定ステップが、前回のサンプリ
ング時刻における既追尾航跡数を推定する既追尾航跡数
推定ステップを備え、前記複数仮説生成ステップが、前
記簡易処理の実行中に、前記既存仮説の中から、前記既
追尾航跡推定ステップにより推定された既追尾航跡数に
合致するものを第1の有効仮説として選択する第1の有
効仮説選択ステップと、前記第1の有効仮説を基礎とし
て仮説を更新する第1の仮説更新ステップと、を備える
ことを特徴とするものである。
【0020】本発明の請求項13に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定ステップが、前回のサンプリ
ング時刻における新航跡と誤信号の総数を推定する総数
推定ステップを備え、前記複数仮説生成ステップが、前
記簡易処理の実行中に、前記既存仮説の中から、前記総
数推定ステップにより推定された新航跡と誤信号の総数
に合致するものを第2の有効仮説として選択する第2の
有効仮説選択ステップと、前記第2の有効仮説を基礎と
して仮説を更新する第2の仮説更新ステップと、を備え
ることを特徴とするものである。
【0021】本発明の請求項14に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定ステップが、前回のサンプリ
ング時刻における新航跡数を推定する新航跡数推定ステ
ップを備え、前記複数仮説生成ステップが、前記簡易処
理の実行中に、前記既存仮説の中から、前記新航跡数推
定ステップにより推定された新航跡数に合致するものを
第3の有効仮説として選択する第3の有効仮説選択ステ
ップと、前記第3の有効仮説を基礎として仮説を更新す
る第3の仮説更新ステップと、を備えることを特徴とす
るものである。
【0022】本発明の請求項15に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定ステップが、前回のサンプリ
ング時刻における誤信号数を推定する誤信号数推定ステ
ップを備え、前記複数仮説生成ステップが、前記簡易処
理の実行中に、前記既存仮説の中から、前記誤信号数推
定ステップにより推定された誤信号数に合致するものを
第4の有効仮説として選択する第4の有効仮説選択ステ
ップと、前記第4の有効仮説を基礎として仮説を更新す
る第4の仮説更新ステップと、を備えることを特徴とす
るものである。
【0023】本発明の請求項16に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定ステップが、前回のサンプリ
ング時刻における未探知信号数を推定する未探知信号数
推定ステップを備え、前記複数仮説生成ステップが、前
記簡易処理の実行中に、前記既存仮説の中から、前記未
探知信号数推定ステップにより推定された未探知信号数
に合致するものを第5の有効仮説として選択する第5の
有効仮説選択ステップと、前記第5の有効仮説を基礎と
して仮説を更新する第5の仮説更新ステップと、を備え
ることを特徴とするものである。
【0024】本発明の請求項17に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定ステップが、今回のサンプリ
ング時刻における既追尾航跡数に関する条件を設定する
航跡数条件設定ステップを備え、前記複数仮説生成ステ
ップが、前記簡易処理の実行中に、前記既追尾航跡に関
する条件に合致する仮説のみを生成する第6の仮説更新
ステップを備えることを特徴とするものである。
【0025】本発明の請求項18に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定ステップが、今回のサンプリ
ング時刻における誤信号および新航跡の有無を判断する
有無判断ステップを備え、前記複数仮説生成ステップ
が、前記有無判断ステップにより誤信号および新航跡が
存在しないと判断された場合に、前記観測ベクトルが誤
信号および新航跡の何れでもないとする航跡相関情報の
みを基礎として仮説を更新する第7の仮説更新ステップ
を備えることを特徴とするものである。
【0026】本発明の請求項19に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定部が、所定のサンプリング回
数にわたる観測ベクトル数の変化状態に基づいて既追尾
航跡数が確定しているか否かを判断する航跡数確定判断
ステップを備え、前記所定の自由空間が形成されている
と判断され、かつ、前記既追尾航跡数の確定が判断され
た後に、前記推定、前記条件設定、および、前記有無判
断の少なくとも1つの実行を開始することを特徴とする
ものである。
【0027】本発明の請求項20に係る目標追尾方法
は、前記目標観測状態推定ステップが、既追尾航跡数が
所定の安定状態にあるか否かを判断する航跡数安定性判
定ステップを備えると共に、サンプリング時刻毎に目標
の航跡に関する仮説を1つに絞り込む逐次決定ステップ
と、前記所定の安定状態が判断されない場合に、前記複
数仮説生成ステップにより生成される複数の仮説に基づ
いて目標追尾を実行し、かつ、前記所定の安定状態が判
断される場合に、前記逐次決定ステップにより決定され
た仮説に基づいて目標追尾を実行する目標追尾ステップ
と、を備えることを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態について説明する。尚、各図において共通す
る要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0029】実施の形態1.図1は、本発明の実施の形
態1の目標追尾装置10のブロック構成図を示す。図1
に示す如く、目標追尾装置10には目標観測装置11が
接続されている。目標観測装置11は、レーダ等により
構成される装置であり、監視領域内に存在する目標の位
置を表す観測ベクトルZを検出する。本実施形態におい
て、観測ベクトルZには、目標の局座標データ、すなわ
ち、目標までの距離r、目標の方位角θ、および、目標
の仰角ψが含まれている。
【0030】目標観測装置11の検出データは、観測ベ
クトル選択部12に供給される。観測ベクトル選択部1
2には上述した観測ベクトルZと共に、ゲート算出部1
3から、ゲートに関するデータが供給される。本実施形
態の目標追尾装置10は、後述の如く、サンプリング時
刻毎に、検出された目標のそれぞれについて航跡を推定
する。ゲート算出部13は、上記の如く推定される個々
の航跡に対応して、次回のサンプリング時刻における目
標の存在領域、すなわち、ゲートを予測し、ゲートを表
すデータを観測ベクトル選択部12に供給する。
【0031】観測ベクトル選択部12は、目標観測装置
11から供給される全ての観測ベクトルの中から、各航
跡のゲートに含まれる観測ベクトルZを選択する。上記
の処理により、既追尾目標の航跡の延長点となり得る観
測ベクトルZが選択される。
【0032】目標追尾装置10は、動作指示装置14を
備えている。動作指示装置34は、使用者が目標追尾装
置10に対して動作モードを指示するための装置であ
る。具体的には、使用者は、例えば、観測ベクトルZに
誤信号が含まれない状況であること、または、観測ベク
トルZに誤信号が含まれる状況であること、等の情報を
動作指示装置34を介して目標追尾装置10に入力す
る。
【0033】動作指示装置34を介して入力される指示
の内容は、目標観測状態推定部15に供給される。目標
観測状態推定部15には、また、上述した目標観測装置
12の観測データ、および、上述した観測ベクトル選択
部12による処理データが供給されている。
【0034】目標観測状態推定部15は、本実施形態の
主要部の一つであり、上記の入力データに基づいて、目
標探知の確実性を判断する処理や、誤信号の出現する程
度、目標追尾装置10が既に追尾している航跡(以下、
既追尾航跡と称す)の数、または、新航跡および誤信号
の総数を推定する処理等を実行する。
【0035】より具体的には、目標観測状態推定部15
は、上記の入力データに基づいて、目標が確実に探知で
き、かつ、誤信号が少ない状況が形成されているか否か
を判断する。以下、上記の状況を実現する空間を自由空
間と称す。また、目標観測状態推定部15は、自由空間
が成立している場合に、既追尾航跡数の推定、新航跡と
誤信号の総数の推定、および、誤信号の有無の判断等の
処理を実行する。
【0036】目標追尾装置10は、後述の如く、観測ベ
クトルZが検出される毎に、その観測ベクトルZについ
て考え得る種々の可能性を考慮して、目標の航跡に関す
る仮説を作成する。この際、既追尾航跡数や、新航跡と
誤信号の総数等が推定されていると、それらの推定数と
矛盾する仮説を非現実的な仮説として扱うことができる
ため、作成される仮説の数を抑制することができる。
【0037】自由空間が形成されていない場合は、誤信
号の有無の判断や、既追尾航跡数の推定を精度よく行う
ことができない。目標観測状態推定部15は、この場
合、目標追尾装置10に対して、観測ベクトルZについ
てあらゆる可能性を考慮して仮説を更新する処理(以
下、通常処理と称す)を実行することを要求する。
【0038】一方、自由空間が形成されている場合は、
上記の判断や推定を精度よく実行できる場合がある。目
標観測状態推定部15は、そのような場合に、目標追尾
装置10に対して、その判断結果や推定結果を利用し
て、簡易的に仮説を更新する処理(以下、簡易処理と称
す)を実行することを要求する。本実施形態の目標追尾
装置10は、上記の要求に応じて、後述する簡易処理を
実行する点に特徴を有している。
【0039】上述した観測ベクトル選択部12により選
択された観測ベクトルZは、クラスタ新設・統合部16
に供給される。以下、図2乃至図4を参照して、クラス
タの概念について説明する。
【0040】図2乃至図4は、サンプリング時刻t1に検
出された観測ベクトルZ1,1,Z1,2、および、サンプリ
ング時刻t2に検出された観測ベクトルZ2,1,Z2,2に基
づいて目標追尾装置10が実行する処理の内容を説明す
るための図を示す。尚、以下の記載においては、説明の
便宜上、観測ベクトルZ1,1は第1の目標に起因して検
出され、観測ベクトルZ1,2は第2の目標に起因して検
出されたものとする。
【0041】図2乃至図4において、時刻t1に検出され
た2つの観測ベクトルZ1,1およびZ1,2は、互いに重複
しないゲート内で検出された観測ベクトルである。この
場合、第1の目標の航跡を仮定する際に、観測ベクトル
Z1,2を考慮する必要がない。同様に、第2の目標の航
跡を仮定する際に、観測ベクトルZ1,1を考慮する必要
がない。
【0042】図2において、時刻t1の時点では、観測ベ
クトルZ1,1を含む航跡T1={Z1,1}と、観測ベクト
ルZ1,2を含む航跡T2={Z1,2}とを仮定することが
できる。図2中に示すゲートG1およびG2は、それぞ
れ、航跡T1およびT2に対応して設定された第1の目標
に関するゲート、および、第2の目標に関するゲートで
ある。
【0043】図2に示す如く、時刻t2における観測デー
タZ2,1およびZ2,2は、ゲートG1と、ゲートG2との重
複部分で検出されている。この場合、第1の目標の航跡
を仮定する場合、および、第2の目標の航跡を仮定する
場合の何れにおいても、2つの観測ベクトルZ2,1およ
びZ2,2の双方を考慮する必要がある。より具体的に
は、第1の目標の航跡と、第2の目標の航跡との組合せ
としては、例えば、図3に示す如く、観測ベクトルZ1,
1およびZ2,1を含む航跡T3={Z1,1,Z2,1}と観測
ベクトルZ1,2およびZ2,2を含む航跡T4={Z1,2,Z
2,2}との組合せ、或いは、図4に示す如く、観測ベク
トルZ1,1およびZ2,2を含む航跡T5={Z1,1,Z2,
2}と観測ベクトルZ1,2およびZ2,1を含む航跡T6=
{Z1,2,Z2,1}との組合せ等を仮定することができ
る。
【0044】以後、第1の目標の航跡を仮定する際に
は、常に、時刻t2における航跡が上記航跡T3であった
可能性、および、上記航跡T5であった可能性を考慮す
る必要が生ずる。同様に、第2の目標の航跡を推定する
際には、常に、時刻t2における航跡が上記航跡T4であ
った可能性、および、上記航跡T6であった可能性を考
慮する必要が生ずる。このため、時刻t2以後、2つの目
標の航跡を正確に推定するためには、複数の観測ベクト
ルや複数の航跡を一つのまとまりとして処理を進めるこ
とが必要となる。
【0045】このように、本実施形態の目標追尾装置1
0においては、過去における目標の航跡等に応じて、そ
の目標の航跡を推定する際に一つのまとまりとして考慮
すべきデータの大きさが変化する。目標追尾装置10
は、単数または複数の目標の航跡を精度よく推定するた
めに必要な最小限のデータのまとまりを一つのクラスタ
とし、クラスタ毎に後述する処理を実行する。
【0046】上述したクラスタ新設・統合部16は、観
測ベクトル選択部12によって選択された観測ベクトル
Zと、既存のクラスタとの関係に基づいて、クラスタの
新設および統合を行う。より具体的には、既存のクラス
タに属しない新たな観測ベクトルが検出された場合に
は、その観測ベクトルに対応する新たなクラスタを新設
し、一方、異なる既存のクラスタに対応する複数のゲー
トが重複する場合には、それらのクラスタを統合して一
つのクラスタとする処理を行う。
【0047】クラスタ新設・統合部16は、クラスタの
新設・統合処理と共に、システム内クラスタ表18を作
成する処理、および、クラスタ内観測ベクトル表20を
作成する処理を実行する。システム内クラスタ表18
は、目標追尾装置10が処理の対象とする全てのクラス
タの状態を表す表である。一方、クラスタ内観測ベクト
ル表20は、個々のクラスタに含まれる観測ベクトルZ
と、個々の観測ベクトルZに対応する航跡Tとの関係を
表す表である。
【0048】図5は、クラスタ内観測ベクトル表20の
一例を示す。目標追尾装置10は、クラスタ内観測ベク
トル表20を参照することにより、処理の対象とされて
いるクラスタ内に含まれる観測ベクトルZと、それらの
観測ベクトルZに対応する全ての航跡Tを検知すること
ができる。
【0049】ところで、時刻tkにおいて、観測ベクトル
Zk,1が検出された場合は、例えば、 「その観測ベクトルZが誤信号である」可能性、 「その観測ベクトルZが新目標に対応している」可能
性、および、 「その観測ベクトルZが既追尾の目標に対応してい
る」可能性を考えることができる。また、これらの可能
性を考慮すると、目標の航跡や誤信号の有無等に関し
て、いくつかの仮説を作成することができる。
【0050】本実施形態の目標追尾装置10は、上記の
如く作成される仮説の内容を表す仮説状況データ群22
を記憶している。図1に示す如く、仮説状況データ群2
2には、クラスタ内仮説表24,仮説内航跡表26,お
よび、クラスタ内航跡−観測ベクトル表28が含まれて
いる。
【0051】クラスタ内仮説表24は、個々のクラスタ
と、それらのクラスタに含まれている全ての仮説との関
係を表す表である。仮説内航跡表26は、個々の仮説
と、それらの仮説に含まれる全ての航跡Tとの関係を表
す表である。また、クラスタ内航跡−観測ベクトル表2
8は、クラスタ内に存在する個々の航跡Tと、その航跡
Tを構成する観測ベクトルZとの関係を表す表である。
【0052】仮説状況データ群22の内容は、上述した
クラスタ内観測ベクトル表20の内容と共に、ゲート内
判定行列算出部30に供給されている。また、本実施形
態のシステムにおいて、ゲート内判定行列算出部30に
は、目標観測状態推定部15から、通常処理が要求され
ているのか、或いは、簡易処理が要求されているのかを
判断するための情報、更には、簡易処理が要求されてい
る場合に簡易処理の実行に必要な情報が供給されてい
る。
【0053】ゲート内判定行列算出部30は、上記の如
く供給されるデータに基づいてゲート内判定行列32を
算出する。以下、ゲート内判定行列算出部30が、通常
処理が要求される場合に実行する処理を通常行列算出処
理と、また、簡易処理が要求される場合に実行する処理
を簡易行列算出処理と称す。
【0054】本実施形態のシステムにおいて、通常行列
算出処理は、例えば、非自由空間が形成されている場合
等、誤信号が存在しないとする推定、および、新航跡が
存在しないとする推定の何れもが成立しない場合に実行
される。一方、簡易行列算出処理は、誤信号または新航
跡の少なくとも一方について、非存在の推定が成立して
いる場合に実行される。
【0055】以下、簡易行列算出処理の説明に先立っ
て、先ず、通常行列算出処理について説明する。次式数
1は、時刻tkで検出された観測ベクトルZの数がmk、
時刻tkでの既追尾目標の数、すなわち、時刻tk-1での
追尾目標数がNk-1である場合に算出されるゲート内判
定行列32の一般式を示す。尚、次式数1中で用いられ
るNkは、時刻tkでの追尾目標数と把握される値であ
り、Nk=Nk-1+mkで表される。
【0056】
【数1】
【0057】上記数1式に示すゲート内判定行列32
は、時刻tkに検出されたmk個の観測ベクトルZk,j(j
=1〜mk)の可能性を表す数値群である。より具体的
には、(1)ゲート内判定行列32の各行は、観測ベクト
ルZk,j(j=1〜mk)のそれぞれに対応しており、
(2)ゲート内判定行列32の各列は、 第0列が、観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)が誤信
号である可能性に、 第1列〜第Nk-1列が、観測ベクトルZk,j(j=1〜
mk)が既追尾目標の航跡Tn(n=1〜Nk-1)の延長
点である可能性に、また、 第Nk-1+1列〜第Nk列が、観測ベクトルZk,j(j
=1〜mk)が、新たに定義されたmk個の新目標の航跡
Tn(n=Nk-1+1〜Nk-1+mk)の始点である可能性
に、それぞれ対応している。
【0058】通常行列算出処理が実行される状況下で
は、時刻tkにおいて観測されたmk個の観測ベクトルZ
k,j(j=1〜mk)の全てが誤信号である可能性を有し
ている。また、この場合、それら全ての観測ベクトルZ
k,jは、新目標に対応している可能性を有している。更
に、時刻tk-1の時点でNk-1個の追尾目標が存在してい
る場合は、観測ベクトルZk,jの一部または全部が、既
追尾目標に対応している可能性がある。
【0059】以下、ゲート内判定行列32の各要素の設
定手順を具体的に説明する。上記の如く、第0列(i=
0)は観測ベクトルが誤信号である場合を示す。全ての
観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)は、誤信号である可
能性を有しているため、第0列の各要素は、次式数2の
如く表される。
【0060】
【数2】
【0061】第1列〜第Nk-1列(1≦t≦Nk-1)の構
成要素は、観測ベクトルZk,jが、既追尾目標の航跡Tn
(n=1〜Nk-1)のゲート内に含まれるか否かに基づ
いて設定される。上記の判断は、上述したクラスタ内観
測ベクトル表20(図5参照)の内容に基づいて行われ
る。すなわち、クラスタ内観測ベクトル表20に基づい
て、観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)が航跡Tn(n
=1〜Nk-1)のゲート内に含まれていると判断できる
場合は、ゲート内判定行列の構成要素が次式数3の如く
設定される。
【0062】
【数3】
【0063】一方、クラスタ内観測ベクトル表20に基
づいて、観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)が航跡Tn
(n=1〜Nk-1)のゲート内に含まれていないと判断
できる場合は、ゲート内判定行列の構成要素が次式数4
の如く設定される。
【0064】
【数4】
【0065】第Nk-1+1列〜第Nk列(Nk-1+1≦t
≦Nk)の構成要素は観測ベクトルZk,j(j=1〜m
k)が、新目標の航跡Tn(n=Nk-1+1〜Nk)に対応
しているか否かに基づいて設定される。通常行列算出処
理においては、検出された全ての観測ベクトルが、それ
ぞれ一つの新航跡に対応する可能性を有していると扱わ
れる。第Nk-1+1列〜第Nk列の構成要素は、上記の可
能性を表現するための要素である。
【0066】上記の可能性は、観測ベクトルZk,jに対
して、i=Nk-1+jの関係が成立する列の値を次式数
5の如く設定し、
【0067】
【数5】
【0068】かつ、i≠Nk-1+jの関係が成立する列
の値を次式数6の如く設定することにより表現できる。
【0069】
【数6】
【0070】次に誤信号および新航跡の少なくとも一方
が存在しないことが推定される場合に実行される簡易行
列算出処理について説明する。誤信号が存在しないと推
定される場合は、観測ベクトルZk,jについての可能性
から、誤信号である可能性を排除することができる。同
様に、新航跡が存在しないと推定される場合は、観測ベ
クトルZk,jについての可能性から、新航跡に対応して
いる可能性を排除することができる。
【0071】このため、簡易行列算出処理においては、
誤信号の非存在が推定されている場合には、ゲート内判
定行列32の第0列(i=0)の要素が“0”に設定さ
れ、また、新航跡の非存在が推定されている場合には、
ゲート内判定行列の第Nk-1+1〜第Nk列(i=Nk-1
+1〜Nk)の要素が“0”に設定される。従って、こ
の場合、ゲート内判定行列32は、第1列〜第Nk-1列
(i=1〜Nk-1)にのみ“1”の要素を含む行列とな
る。
【0072】図1に示す如く、上記の如く算出されるゲ
ート内判定行列32は、航跡相関行列算出部34に供給
される。航跡相関行列算出部34は、ゲート内判定行列
32に基づいて、複数の航跡相関行列36を算出する。
ゲート内判定行列32は、各観測ベクトルZk,jについ
て考えられる全ての妥当な可能性を表すための行列であ
る。一方、個々の航跡相関行列は、行列の構成要素間に
矛盾する点のない行列、すなわち、実際に仮説として成
立する一つの状態を表す行列である。航跡相関行列算出
部34は、ゲート内判定行列32に基づいて、成立し得
る全ての航跡相関行列36を算出する。
【0073】次式数7は、時刻tkにおいて算出される航
跡相関行列36の一般式を示す。尚、数7において、m
kおよびNkは、上記数1の場合と同様に、時刻tkにおい
て検出された観測ベクトルZk,jの数、および、時刻tk
で追尾目標数と把握される数、すなわち、時刻tk-1にお
ける追尾目標の数Nk-1と観測ベクトルZk,jの数mkと
の和である。また、数7式中で用いられる添え字sは、
複数の航跡相関行列36を区別するための番号である。
【0074】
【数7】
【0075】航跡相関行列36の各行および各列は、そ
れぞれ、ゲート内相関行列32の場合と同様の意味を有
している。すなわち、航跡相関行列36の各行は、観測
ベクトルZk,j(j=1〜mk)のそれぞれに対応してい
る。また、航跡相関行列36の各列は、観測ベクトルZ
k,jが誤信号である可能性、または、既追尾若しくは新
たな目標の航跡Tn(n=1〜Nk)に対応している可能
性を表している。尚、以下の記載においては、便宜上、
観測ベクトルZk,jが誤信号である場合を、観測ベクト
ルZk,jが航跡T0に対応していると表現する。
【0076】航跡相関行列36の各要素は、ゲート内判
定行列32の各要素と同様に、観測ベクトルZk,j(j
=1〜mk)が、航跡Tn(n=0,1,...,Nk)
と対応しているか否かに基づいて設定される。具体的に
は、両者に相関が認められる場合に次式数8の如く設定
され、
【0077】
【数8】
【0078】一方、両者に相関が認められない場合に次
式数9の如く設定される。
【0079】
【数9】
【0080】航跡相関行列36は、上述した基準に加え
て、以下に示す3つの基準が同時に満たされるよう算出
される。そして、航跡相関行列算出部34は、それら3
つの基準を同時に満たす全ての航跡相関行列36を、そ
れぞれ別の航跡相関行列36として表現する。
【0081】(ア)ゲート内判定行列32において
“1”である要素に対応する要素のみを“1”とし、他
の要素を“0”とする。 (イ)第0列(i=0)を除く全ての列(i=1〜N
k)では、“1”に設定される要素の数を最大で1つと
する。 (ウ)航跡相関行列の全ての行で、必ず一つの要素のみ
を“1”とする。
【0082】上記(ア)の基準によれば、ゲート内判定
行列32において認められていない可能性が航跡相関行
列36で認められる矛盾を避けることができる。また、
上記(イ)の基準によれば、航跡Tn(n=1〜Nk)に
対応する観測ベクトルZk,jの数を常に1または0とす
ることができる。上記の処理によれば、単一の航跡Tn
(n=1〜Nk)に複数の観測ベクトルZk,jが対応する
矛盾を避けることができると共に、航跡Tn(n=1〜
Nk)に対応する観測ベクトルZk,jが観測できなかった
場合を表現することができる。
【0083】更に、上記(ウ)の基準によれば、全ての
観測ベクトルZj,kについて、複数の可能性が設定され
る矛盾を避けることができる。従って、これらの基準に
よれば、全ての構成要素が矛盾することなく現実の状態
を表現する航跡相関行列36を算出することができる。
【0084】図1に示す如く、上述した航跡相関行列3
6は、仮説更新部38に供給される。また、本実施形態
のシステムにおいて、仮説更新部38には、目標観測状
態推定部15から、通常処理が要求されているのか、或
いは、簡易処理が要求されているのかを判断するための
情報、更には、簡易処理が要求されている場合に簡易処
理の実行に必要な情報が供給されている。
【0085】仮説更新部38は、既に記憶されている仮
説の状況、すなわち、前回のサンプリング時刻tk-1にお
いて検出された観測ベクトルZk-1,jを基礎とする仮説
の状況と、今回のサンプリング時刻tkにおいて算出され
た航跡相関行列36,すなわち、観測ベクトルZk,jを
基礎として算出された航跡相関行列36とに基づいて、
仮説の更新処理を行う。
【0086】本実施形態において、仮説更新部38は、
通常処理が要求されている場合に通常仮説更新処理を実
行し、一方、簡易処理が要求されている場合に簡易仮説
処理を実行する。通常仮説更新処理は、例えば、非自由
空間が形成されている場合等、既追尾航跡数、および、
新航跡と誤信号の総数が、何れも推定できない場合にな
どに実行される。また、簡易仮説更新処理は、既追尾航
跡数、および、新航跡と誤信号の総数の少なくとも一方
が推定できる場合に実行される。
【0087】以下、簡易仮説更新処理の説明に先立っ
て、通常仮説更新処理について説明する。図6は、仮説
更新部38が、通常仮説更新処理を実現すべく実行する
一連の処理のフローチャートを示す。図6に示すルーチ
ンは、航跡相関行列算出部34において全ての航跡相関
行列36が算出された後に起動される。図6に示すルー
チンが起動されると、先ずステップ40の処理が実行さ
れる。
【0088】ステップ40では、算出された全ての航跡
相関行列36の中から、今回の処理サイクルで仮説更新
処理に用いられる航跡相関行列36を選択する処理、す
なわち、処理対象行列を選択する処理が実行される。
【0089】ステップ42では、既に記憶されている全
ての仮説の中から、今回の処理サイクルで仮説更新処理
に用いられる仮説を選択する処理、すなわち、処理対象
仮説を選択する処理が実行される。
【0090】上記ステップ40および42では、全ての
航跡相関行列36と、既に記憶されている全ての仮説と
の組み合わせが実現されるように、処理サイクルが繰り
返される毎に、適宜、処理対象行列および処理対象仮説
の変更が行われる。
【0091】ステップ44では、処理対象の航跡相関行
列36において、観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)と
相関があると表示されている既追尾の航跡Tn(n=1
〜Nk-1)の全てが(以下、これらの航跡を相関既追尾
航跡と称す)、処理対象仮説の中に含まれているか否か
が判別される。上記の条件が成立する場合は、処理対象
仮説と、処理対象行列とが相互に矛盾していないと判断
できる。この場合、以後、両者を組み合わせて新たな仮
説を作成すべくステップ46〜50の処理が実行され
る。
【0092】一方、上記ステップ44で、処理対象仮説
の中に全ての相関既追尾航跡が含まれていないと判別さ
れる場合は、その仮説と、処理対象の航跡相関行列36
とが矛盾していると判断できる。この場合は、両者を組
み合わせて新たな仮説を作ることはできない。上記ステ
ップ44で、このような判別がなされた場合は、以後、
ステップ46〜50がジャンプされ、次にステップ52
の処理が実行される。
【0093】ステップ46では、既追尾航跡の更新が行
われる。本ステップ46では、具体的には、相関既追尾
航跡のそれぞれに、対応する観測ベクトルZk,jを追加
して相関既追尾航跡を延長する処理が実行される。
【0094】ステップ48では、航跡相関行列36にお
いて新航跡Tn(n=Nk-1+1〜Nk)と相関があると
表示されている観測ベクトルZj,kを、新たな既追尾航
跡として仮説に追加する処理が実行される。
【0095】ステップ50では、航跡相関行列36にお
いて航跡T0と相関があると表示されている観測ベクト
ルZk,j、すなわち、航跡相関行列36により誤信号で
あると表示されている観測ベクトルZk,jを、誤信号と
して仮説に加える処理が実行される。
【0096】ステップ52では、全ての航跡相関行列3
6と、既に存在する全ての仮説との組み合わせについ
て、上記ステップ40〜50の処理が実行されたか否か
が判別される。その結果、未だ全ての組み合わせについ
て上記の処理が実行されていないと判別される場合は、
再び上記ステップ40以降の処理が実行される。一方、
全ての組み合わせについて上記の処理が実行されている
と判別される場合は、今回の処理サイクルが終了され
る。
【0097】上記の処理によれば、航跡相関行列36が
算出された後、既に記憶されている個々の仮説を、その
仮説に対して矛盾しない全ての航跡相関行列36と組み
合わせることにより、現実に成立し得る状態を表す新た
な仮説を作成することができる。この際、多くの場合、
更新の対象とされる一つの仮説は、複数の航跡相関行列
36と組み合わされて複数の仮説に更新される。このた
め、上述した更新処理によれば、仮説の更新が繰り返さ
れる毎に、仮説の数が爆発的に増加する。
【0098】上述したゲート内判定行列32において実
行される簡易行列算出処理は、仮説更新部38において
算出される仮説の数を抑制する上で有効な処理である。
以下、図7および図8を参照して、簡易行列算出処理を
用いることにより得られる仮説数抑制効果について説明
する。
【0099】図7は、空間内を移動する2つの目標の現
実の航跡を示す。目標追尾装置10は、上記の航跡に沿
って移動する目標をサンプリング時刻毎に検出すること
により、離散的な観測ベクトルZk,jを検出する。尚、
目標追尾装置10による検出処理においては、目標と対
応しない誤信号が検出される事態や、目標の観測に失敗
し、目標と対応する観測ベクトルが得られない事態が生
ずることがある。
【0100】図8は、目標が図7に示す如く移動する際
に、目標追尾装置10によって検出される観測ベクトル
Zk,jの一例を示す。図8は、サンプリング時刻t1にお
いて1つの観測ベクトルZ1,1が検出され、サンプリン
グ時刻t2において2つの観測ベクトルZ2,1,Z2,2が検
出され、更に、サンプリング時刻t3において3つの観測
ベクトルZ3,1,Z3,2,Z3,3が検出された場合を示
す。
【0101】時刻t1の時点で、目標追尾装置10には、
既存のクラスタや既存の航跡は記憶されていない。この
ため、時刻t1において検出された観測ベクトルZ1,1
は、既存のクラスタと関係しない独立した観測ベクトル
として観測ベクトル選択部14からクラスタ新設・統合
部16に供給される。
【0102】クラスタ新設・統合部16では、Z1,1を
含むクラスタAを新設し、システム内クラスタ表18に
定義する処理、および、Z1,1をクラスタAのクラスタ
内観測ベクトル表20に書き込む処理が実行される。
尚、クラスタ内観測ベクトル表20には現時刻の観測ベ
クトルZ1,1のみが記載される。
【0103】上記の処理に次いで、ゲート内判定行列算
出部30による通常行列算出処理、または、簡易行列算
出処理が実行される。ここでは、先ず、通常行列算出処
理が用いられる場合について説明する。時刻t1の時点
で、観測ベクトル数mkは“1”、既追尾航跡数Nk-1は
“0”、追尾航跡Nkは“1”である。このため、ゲー
ト内判定行列32は、1行2列の行列となる。
【0104】通常行列算出処理によれば、誤信号の可能
性を表す第0列の要素、および、新航跡に対応する可能
性を表す第1列の要素が共に“1”に設定される。この
ため、通常行列算出処理によるゲート内判定行列32
は、時刻t1の時点で次式数10の如く算出される。
【0105】
【数10】
【0106】上記数10式に示すゲート内判定行列32
は、観測ベクトルZ1,2が誤信号である可能性と、新航
跡T1に対応する可能性とを有していることを表してい
る。
【0107】上記の処理が終了すると、次に、航跡相関
行列算出部34において航跡相関行列36が算出され
る。数10式に示すゲート内判定行列32によれば、次
式数11に示す如く、2つの航跡相関ベクトルが算出さ
れる。
【0108】
【数11】
【0109】上記数11式に示す2つの航跡相関行列
は、それぞれ、観測ベクトルZ1,2が誤信号であるとす
る仮説と、観測ベクトルZ1,2が新航跡T1に対応すると
する仮説とが作成可能であることを示している。
【0110】航跡相関行列36が上記の如く演算される
と、次に、仮説の更新が行われる。時刻t1の時点では、
上記の如く算出される航跡相関行列と組み合わせるべき
既存の仮説が存在しない。このため、時刻t1の時点で
は、上記数11式に示す2つの航跡相関行列36から、
新たな仮説が作成される。
【0111】航跡相関行列Ω(H1,1)からは、観測ベク
トルZ1,1が誤信号であるとする仮説、すなわち、クラ
スタ内に航跡は存在しないとする仮説X1,1が生成され
る。本実施形態において、上記の仮説X1,1は、次式数
12の如く表される。
【0112】
【数12】
【0113】航跡相関行列Ω(H1,2)からは、観測ベク
トルZ1,1が新航跡に対応するとする仮説、すなわち、
クラスタ内に観測ベクトルZ1,1を始点とする航跡T1が
存在するとする仮説X1,2が生成される。
【0114】
【数13】
【0115】以下、上記の航跡T1を、次式数14の如
く表す。
【0116】
【数14】
【0117】上記の処理により、時刻t1に検出された観
測ベクトルZ1,1を対象とする処理が終了する。次回の
サンプリング時刻t2においては、以下の処理が実行され
る。
【0118】時刻t2では、先ず、ゲート算出部15が、
クラスタ内の全ての航跡に対して、時刻t2におけるゲ
ートを算出する。図4に示す状況において、時刻t2の時
点では、航跡T1がクラスタ内に存在する唯一の航跡で
ある。このため、上記の場合には、ゲート算出部15に
おいて、航跡T1に対するゲートが算出される。
【0119】観測ベクトル選択部14は、上記の如く算
出された航跡T1に対するゲートと、目標観測装置12
によって観測された観測ベクトルとの関係を調査し、ゲ
ート内に存在する観測ベクトルを選択する。図4に示す
状況下では、上記の処理により、2つの観測ベクトルZ
2,1、Z2,2が検出される。
【0120】時刻t2においては、上述した2つの観測ベ
クトルZ2,1,Z2,2を除き、他の観測ベクトルが観測さ
れない。この場合、既存のクラスタと異なるクラスタは
新設されず、既存のクラスタの統合も起こらない。以
後、処理の対象とされるクラスタに2つの観測ベクトル
Z2,1、Z2,2が存在するとして処理が進められる。
【0121】時刻t2において、ゲート内判定行列算出部
30では、次式数15に示すゲート内判定行列32が演
算される。
【0122】
【数15】
【0123】上記数15式に示すゲート内判定行列32
において、第1行は観測ベクトルZ2,1に、また、第2
行は観測ベクトルZ2,2に、それぞれ対応している。こ
れら2つの観測ベクトルZ1,2,Z2,2は、共に誤信号で
ある可能性、および、既存追尾航跡T1に対応する可能
性を有している。このため、第1列の要素(誤信号の可
能性を表す)および第2列の要素(航跡T1に対応する
可能性を表す)には、共に“1”が設定される。
【0124】第3列および第4列の要素は、観測ベクト
ルZ2,1,Z2,2が、新たに定義された新航跡T2、T3に
対応する可能性を表す要素である。新航路T2は、観測
ベクトルZ2,1に対応して定義された航路である。一
方、新航路T3は、観測ベクトルZ2,2に対応して定義さ
れた航路である。第3列および第4列の要素は、これら
の状況を表す値に設定される。
【0125】上記数15式に示すゲート内観測行列32
を基礎とすると、航跡相関行列算出部34では、次式数
16に示す如く、8つの航跡相関行列36が算出され
る。
【0126】
【数16】
【0127】上記図6に示す処理によれば、既存の仮説
X1,1,X1,2と、上記数16式に示す8つの航跡相関行
列36とを組み合わせることにより、仮説の更新が行わ
れる。
【0128】仮説X1,1は、既存追尾航跡T1の存在を否
定している。これに対して、上記数16式に示される8
つの航跡相関行列36のうち、Ω(H2,2),Ω(H2,4),
Ω(H2,5),Ω(H2,7)は、既追尾航跡T1の存在を仮定
している。従って、仮説X1,1が処理対象仮説である場
合は(上記ステップ40)、仮説X1,1と、他の4つの
行列Ω(H2,1),Ω(H2,3),Ω(H2,6),Ω(H2,8)との
組み合わせにより、次式数17に示す4つの仮説X2,
1,X2,2,X2,3,X2,4が作成される(上記ステップ4
2〜52)。
【0129】
【数17】
【0130】仮説X1,2は、既存追尾航跡T1の存在を肯
定している。この仮説X1,2に対しては、8つの航跡相
関行列36を矛盾なく組み合わせることができる。この
ため、仮説X1,2が処理対象仮説である場合は(上記ス
テップ40)場合は、次式数18に示す8つの仮説X2,
5〜X2,12が作成される(上記ステップ42〜52)。
【0131】
【数18】
【0132】上記の如く、通常行列算出処理と、通常仮
説更新処理との組み合わによれば、時刻t1およびt2に、
観測ベクトルZ1,1,Z2,1およびZ2,2が検出された場
合に、時刻t1に2つの仮説が作成され、時刻t2に12
個の仮説が作成される。時刻t2に作成された12の仮説
中では、5本の航跡T1〜T5の存在が仮定されている。
従って、上記の組み合わせによれば、時刻t2において、
クラスタ内に5本の航跡を仮定する12個の仮説が記憶
される。
【0133】次に、図3および図4に示す状況におい
て、ゲート内判定行列算出部30が、誤信号が存在しな
いとする推定に基づいて簡易行列算出処理を実行する場
合について説明する。誤信号が存在しないと推定されて
いる場合は、ゲート内判定行列32の第0列の値が常に
“0”に設定される。このため、時刻t1の観測ベクトル
Z1,1に対するゲート内判定行列32は、次式数19に
示す行列となる。
【0134】
【数19】
【0135】上記数19式に示すゲート内判定行列32
は、観測ベクトルZ1,1が新航跡T1に対応する可能性を
有しており、かつ、誤信号である可能性を有していない
ことを表している。
【0136】航跡相関行列算出部34では、簡易処理お
よび通常処理の別に関わり無く、ゲート内判定行列32
に基づいて、同一の手法で航跡相関行列36が算出され
る。ゲート内判定行列32が、上記数19で表される場
合、航跡相関行列算出部34により、次式数20に示す
航跡相関行列36が算出される。
【0137】
【数20】
【0138】上記数20に示す航跡相関行列Ω(H1,
1)からは、観測ベクトルZ1,1が新航跡T1に対応して
いるとする仮説、すなわち、クラスタ内に、観測ベクト
ルZ1,1を始点とする航跡T1が存在するとする仮説X1,
1が生成される。
【0139】
【数21】
【0140】以下、この航跡T1を次式数22の如く表
す。
【0141】
【数22】
【0142】上記の処理により、時刻t1に検出された観
測ベクトルZ1,1を対象とする処理が終了する。
【0143】誤信号が存在しないと推定されている場
合、観測ベクトルZ2,1、Z2,2に対するゲート内判定行
列32は、次式数23の如く演算される。
【0144】
【数23】
【0145】上記数23式に示すゲート内判定行列Ω
(H2)は、観測ベクトルZ2,1およびZ2,2が共に既追
尾航跡T1に対応する可能性を有しており、観測ベクト
ルZ2,1が新航跡T2に対応する可能性を有しており、か
つ、観測ベクトルZ2,2が新航跡T3に対応する可能性を
有していることを表している。
【0146】上記数23式に示すゲート内観測行列Ω
(H2)を基礎とすると、航跡相関行列算出部34で
は、次式数24に示す如く、3つの航跡相関行列36が
算出される。
【0147】
【数24】
【0148】上記図6に示す処理によれば、既存の仮説
X1,1と、上記数24式に示す3つの航跡相関行列36
とを組み合わせることにより、仮説の更新が行われる。
【0149】仮説X1,1は、既存追尾航跡T1の存在を肯
定している。この仮説X1,1に対しては、3つの航跡相
関行列36を矛盾なく組み合わせることができる。この
ため、時刻t2の処理においては、次式数25に示す3つ
の仮説X2,1〜X2,3が作成される。
【0150】
【数25】
【0151】上記の如く、簡易行列算出処理と、通常仮
説更新処理との組み合わせによれば、時刻t1およびt2
に、観測ベクトルZ1,1,Z2,1およびZ2,2が検出され
た場合に、時刻t1に1つの仮説が作成され、また、時
刻t2に、5本の航跡T1〜T5を含む3つの仮説が作成さ
れる。このように、ゲート内判定行列32の算出処理を
通常行列算出処理から簡易行列算出処理に変更すると、
図3および図4に示す状況下で、時刻t2に算出される仮
説の数を12個から3つに減らすことができる。このた
め、簡易行列算出処理を用いることによれば、目標追尾
装置12の演算負荷を大幅に低減させることができる。
【0152】本実施形態の目標追尾装置10は、上述の
如く、誤信号が存在しないと推定される場合に簡易行列
算出処理を実行すると共に、新航跡が存在しないと推定
される場合にも簡易行列算出処理を実行する。このた
め、本実施形態の目標追尾装置10によれば、誤信号が
存在しない状況下でのみ簡易処理が実行される従来の目
標追尾装置に比して、有効に演算負荷を下げることがで
きる。
【0153】ところで、目標追尾装置10が動作する環
境において、誤信号が全く存在しない状況は、特殊な状
況である。このため、誤信号が存在しない場合にのみ簡
易処理を実行することとしても、一般的な状況下で有効
に演算負荷の低減を図ることはできない。
【0154】また、本実施形態の目標追尾装置10が簡
易行列算出処理を実行する他の状況、すなわち、新航跡
が存在しないと推定される状況も、誤信号が存在しない
状況と同様に、やはり一般的な状況ではない。このた
め、誤信号が存在しないと推定される場合に加えて新航
跡が存在しないと推定される場合に簡易行列算出処理を
実行しても、誤信号や新航跡が存在する一般的な状況下
で十分に演算負荷を低減できない場合がある。本実施形
態において、仮説更新部38が実行する簡易仮説更新処
理は、そのような一般的な状況下で作成される仮説の数
を低減する上で有効な処理である。
【0155】図9は、仮説更新部38が簡易仮説更新処
理を実現すべく実行する一連の処理のフローチャートを
示す。図9に示すルーチンは、航跡相関行列36の演算
が終了する毎に実行される。図9に示すルーチンにおい
ては、先ずステップ54の処理が実行される。尚、図9
において、上記図6に示すルーチンと同一の処理を実行
するステップには、同一の符号を付してその説明を省略
する。
【0156】ステップ54では、目標観測状態推定部1
5において、新航跡と誤信号の総数が推定できたか否か
が判別される。その結果、上記の推定が実行されている
と判別される場合は次にステップ56の処理が実行され
る。一方、上記の推定が実行できていないと判別される
場合は、次にステップ58の処理が実行される。
【0157】ステップ56では、航跡相関行列算出部3
4において算出された全ての航跡相関行列36の中か
ら、新航跡と誤信号の総数が、目標観測状態推定部15
によって推定された総数と合致する行列を選択する処理
が実行される。以下、本ステップ54で選択された行列
を有効航跡相関行列と称す。
【0158】ステップ58では、目標観測状態推定部1
5において、既追尾航跡数が推定できたか否かが判別さ
れる。その結果、上記の推定が実行されていると判別さ
れる場合は次にステップ59の処理が実行される。一
方、上記の推定が実行できていないと判別される場合
は、次にステップ40の処理が実行される。
【0159】ステップ59では、目標追尾装置10に記
憶されている既存の全ての仮説の中から、既追尾航跡数
が、目標観測状態推定部15によって推定された総数と
合致する仮説を選択する処理が実行される。以下、本ス
テップ59で選択された仮説を有効仮説と称す。
【0160】簡易仮説更新処理によれば、以後、仮説更
新部38は、上記の処理により選択された全ての有効航
跡相関行列と、全ての有効仮説との組み合わせについ
て、ステップ40〜52の処理を実行することにより仮
説の更新を行う。
【0161】上述した通常仮説更新処理によれば、算出
される全ての航跡相関行列36が仮説更新の基礎として
用いられると共に、全ての既存仮説が更新処理の対象と
される。しかし、航跡相関行列36の中には、誤信号と
新航跡との総数が非現実的な数となるものが含まれるこ
とがある。また、既存仮説の中には、既追尾航跡数が非
現実的な数となるものが含まれることがある。
【0162】簡易仮説更新処理は、このような非現実的
な航跡相関行列36を除外して、現実性の高い有効航跡
相関行列のみを基礎として、また、現実性の高い仮説の
みを対象として仮説の更新を行うことができる。このた
め、簡易仮説更新処理によれば、現実性の高い仮説の数
を減らすことなく、更新処理により作成される仮説の数
を有効に減らすことができる。
【0163】上述の如く、簡易仮説更新処理は、既追尾
航跡数や、新航跡と誤信号の総数が推定できる場合に実
行される。既追尾航跡数や、新航跡と誤信号の総数は、
新航跡や誤信号の存在する一般的な状況下でも多くの場
合推定することが可能である。このため、簡易仮説更新
処理によれば、目標追尾装置10が動作する一般的な状
況下で、現実性の高い仮説の数を減らすことなく仮説の
数を有効に減らすことができる。
【0164】図1に示す如く、本実施形態の目標追尾装
置10は、航跡決定部60を備えている。航跡決定部6
0は、仮説更新分38によって上記の如く生成される複
数の仮説の中から、公知の手法で最善の仮説を選択し、
その仮説に基づいて目標の航跡を決定する処理を実行す
る。航跡決定部60は、上記の如く決定した航跡の情報
を目標表示装置61に供給する。そして、その航跡は、
目標表示装置61のディスプレイを介して使用者に表示
される。
【0165】なお、上記の実施形態においては、目標観
測装置11および観測ベクトル選択部12により前記請
求項1記載の「観測ベクトル検出手段」が、ゲート内判
定部30および航跡委相関行列算出部34により前記請
求項1記載の「航跡相関情報作成手段」が、仮説状況デ
ータ群22により前記請求項1記載の「仮説記憶手段」
が、目標観測状態推定部15により前記請求項1記載の
「目標観測状態推定手段」が、仮説更新部38により前
記請求項1記載の「複数仮説生成手段」が、それぞれ実
現されている。
【0166】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が既追尾航跡数を推定することにより
前記請求項2記載の「既追尾航跡数推定手段」が実現さ
れていると共に、仮説更新部38が、上記ステップ58
および59の処理を実行することにより前記請求項2記
載の「第1の有効仮説選択手段」が、それらの処理に次
いで上記ステップ40〜52の処理を実行することによ
り前記請求項2記載の「第1の仮説更新手段」が、それ
ぞれ実現されている。
【0167】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が新航跡と誤信号の総数を推定するこ
とにより前記請求項3記載の「総数推定手段」が実現さ
れていると共に、仮説更新部38が、上記ステップ54
および56の処理を実行することにより前記請求項3記
載の「第2の有効仮説選択手段」が、それらの処理に次
いで上記ステップ40〜52の処理を実行することによ
り前記請求項3記載の「第2の仮説更新手段」が、それ
ぞれ実現されている。
【0168】更に、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が誤信号および新航跡が共に存在しな
い状態を検出することにより前記請求項8記載の「有無
判断手段」が実現されていると共に、それらが共に存在
しないと判別される場合に、仮説更新部38が、誤信号
および新航跡の存在を否定する航跡相関行列のみに基づ
いて仮説更新処理を行うことにより、前記請求項8記載
の「第7の仮説更新手段」が、それぞれ実現されてい
る。
【0169】実施の形態2.次に、図10乃至図14を
参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本
実施形態の目標追尾装置10は、上記図1に示すシステ
ム構成において、目標観測状態推定部15に、図10乃
至図14に示す一連の処理を実行させ、かつ、ゲート内
判定行列算出部30,および、仮説更新部38は、目標
観測状態推定部15の要求に応じた処理を実行させるこ
とにより実現される。
【0170】自由空間が形成されている場合、すなわ
ち、目標追尾装置10が目標をほぼ確実に探知すること
ができ、かつ、誤信号がほとんど検出されない場合は、
時刻tkにおけるの既追尾航跡数の真値NkTGTは、時刻tk
-1において、関連する航跡のゲート内に観測された観測
ベクトルZk-1,jの総数mkを用いて、次式の如く表すこ
とができる。
【0171】
【数26】
【0172】NkTGT=mkが常に成立するとすれば、既
追尾航跡数、誤信号の数、および、新航跡の数は、容易
に推定することができる。しかし、現実の環境条件の下
では前述の環境条件の下でもNkTGT=mkの関係が成立
しない場合がある。このため、現実の環境条件下で既追
尾航跡数等を正確に判断するためには、誤判断を抑制す
るための判断アルゴリズムが必要となる。本実施形態の
目標追尾装置10は、目標観測状態推定部15が、上記
の要求を満たすアルゴリズムで所定の処理を実行する点
に特徴を有している。
【0173】図10乃至図14は、本実施形態において
目標観測状態推定部15が実行する一連の処理のフロー
チャートを示す。本ルーチンは、サンプリング時刻毎に
起動されるルーチンである。以下、図10に示すステッ
プ62から、順次各ステップで実行される処理の内容を
説明する。
【0174】本実施形態の目標追尾装置10は、目標追
尾処理が開始された後、自由空間で2サンプリング連続
して観測ベクトル数が一定値のとき、既追尾航跡数NTG
Tが観測ベクトル数に一致していると判断する。この場
合、既追尾航跡数NTGTが、次式数27の如く確定され
ると共に、誤信号数および新航跡数が共に“0”個と判
断される。
【0175】
【数27】
【0176】ステップ62では、前回の処理サイクルの
時点で既追尾航跡数NTGTが確定しているか否かが判別
される。その結果、上記の条件が成立しないと判別され
る場合は、次にステップ64の処理が実行される。
【0177】ステップ64では、ゲート内判定行列算出
部30に対して通常行列算出処理の実行が要求される。
本ステップの処理が実行されると、今回のサンプリング
時刻tkにおいて、ゲート内判定行列算出部30は、上述
した通常行列算出処理を実行する。
【0178】ステップ66では、仮説更新部38に対し
て通常仮説更新処理の実行が要求される。本ステップの
処理が実行されると、今回のサンプリング時刻tkにおい
て、仮説更新部38は、上述した通常仮説更新処理を実
行する。
【0179】上記の処理が終了すると、今回の処理サイ
クルが終了する。上記の処理によれば、目標の追尾が開
始された後、既追尾航跡数NTGTが確定するまでの間、
確実に通常処理による目標追尾を実行させることができ
る。
【0180】上記ステップ62で、前回の処理サイクル
の時点で既に既追尾航跡数NTGTが確定していると判別
される場合は、次にステップ68の処理が実行される。
サンプリング時刻tkにおける観測ベクトル数mkと、確
定済みの既追尾航跡数NTGTとの大小関係は次の3つの
場合に分けられる。
【0181】
【数28】
【0182】
【数29】
【0183】
【数30】
【0184】ステップ68では、上記数28の関係が成
立するか否かが判別される。その結果、mk=NTGTが成
立すると判別される場合は、既追尾航跡数確定時の処理
を進めるべく、次にステップ70の処理が実行される。
【0185】ステップ70では、上記数27式に従って
既追尾航跡数NTGTを確定する処理が実行される。ステ
ップ72では、今回のサンプリング時刻tkにおける誤信
号数および新航跡数が共に“0”と判断される。
【0186】ステップ74では、ゲート内判定行列算出
部30に対して、誤信号数=0および新航跡数=0に対
応する簡易行列算出処理の実行が要求される。本ステッ
プの処理が実行されると、今回のサンプリング時刻tkに
おいて、ゲート内判定行列算出部30では、誤信号およ
び新航跡に対応する列の要素を“0”としたゲート内判
定行列32が算出される。
【0187】ステップ76では、仮説更新部38に対し
て、既追尾航跡数NTGTに対応する簡易行列算出処理の
実行が要求される。本ステップの処理が実行されると、
今回のサンプリング時刻tkにおいて、仮説更新部38で
は、既存の仮説中で既追尾航跡数がNTGTであるものの
みを有効仮説として更新処理を行う簡易仮説更新処理が
実行される。
【0188】上記の処理によれば、簡易行列算出処理
と、簡易仮説更新処理との組み合わせにより、有効に仮
説数の低減を図ることができる。上記の処理が終了する
と、今回の処理サイクルが終了される。
【0189】上記ステップ78で、mk=NTGTが成立し
ないと判別された場合は、次に、図11に示すステップ
78の処理が実行される。
【0190】ステップ78では、上記数29式の関係、
すなわち、mk>NTGTが成立するか否かが判別される。
上記の条件が成立する場合は、時刻tkにおける既追尾航
跡数はNTGTのままであり、時刻tkに観測された観測ベ
クトルZk,j中に、少なくとも誤信号および新航跡の一
方が存在する可能性があると判断する。この場合、次に
ステップ80の処理が実行される。
【0191】ステップ80では、ゲート内判定行列算出
部30に対して通常行列算出処理の実行が要求される。
本ステップの処理が実行されると、今回のサンプリング
時刻tkにおいて、ゲート内判定行列算出部30では誤信
号および新航跡の可能性を考慮した通常行列算出処理が
実行される。
【0192】ステップ82では、時刻tkにおける新航跡
と誤信号の総数がmk−NTGTと算出される。
【0193】ステップ84では、仮説更新部38に対し
て、既追尾航跡数=NTGT、および、新航跡と誤信号の
総数=mk−NTGTに対応する簡易行列算出処理の実行が
要求される。本ステップの処理が実行されると、今回の
サンプリング時刻tkにおいて、仮説更新部38では、新
航跡と誤信号の総数がmk−NTGTである航跡相関行列3
6を有効航跡相関行列とし、かつ、既追尾航跡数がNTG
Tである仮説を有効仮説とする簡易仮説更新処理が実行
される。
【0194】上記ステップ84の処理が終了すると、今
回の処理サイクルが終了する。処理サイクルがこのよう
にして終了された場合、次回のサンプリング時刻tk+1に
おいて、本ルーチンの処理は、ステップ86の処理から
開始される。
【0195】ステップ86の処理は、上述の如く、時刻
tkの時点でmk>NTGTが成立した場合に実行される。こ
の場合、時刻tk+1における観測ベクトル数mk+1と、既
追尾航跡数NTGTとの関係は、次の4つの場合に分ける
ことができる。
【0196】
【数31】
【0197】
【数32】
【0198】
【数33】
【0199】
【数34】
【0200】ステップ86では、上記数31の関係が成
立するか否かが判別される。その結果、上記の関係が成
立すると判別される場合は、次にステップ88の処理が
実行される。ステップ88では、上記数27の関係に従
い、時刻tk+1における既追尾航跡数がNTGT=mk+1であ
ると判断される。また、ステップ90では、時刻tk+1に
おいて誤信号数および新航跡数は、共に“0”であると
判断される。
【0201】ステップ92では、ゲート内判定行列算出
部30に対して、誤信号数=0および新航跡数=0に対
応する簡易行列算出処理の実行が要求される。本ステッ
プの処理が実行されると、今回のサンプリング時刻tk+1
において、ゲート内判定行列算出部30では、誤信号お
よび新航跡に対応する列の要素を“0”としたゲート内
判定行列32が算出される。
【0202】ステップ94では、前回のサンプリング時
刻tkに遡って、時刻tkにおいて、mk−NTGT個の新航跡
が存在しており、かつ、誤信号は存在しなかったと判断
される。
【0203】ステップ96では、仮説更新部38に対し
て、新航跡数mk−NTGTに対応する簡易行列算出処理の
実行が要求される。本ステップの処理が実行されると、
今回のサンプリング時刻tk+1において、仮説更新部38
では、既存の仮説中で時刻tkにおいてmk−NTGT個の新
航跡が存在したとする仮説のみを有効仮説とする簡易仮
説更新処理が実行される。上記の処理が終了すると、今
回の処理サイクルが終了される。
【0204】本ルーチン中、上記ステップ86で、上記
数31式の条件が成立しないと判別された場合は、次に
ステップ98の処理が実行される。ステップ98では、
上記数32式の条件が成立するか否かが判別される。そ
の結果、上記の条件が成立すると判別された場合は、前
回のサンプリング時刻tkにおける新航跡および誤信号の
有無を何れも確定させることができない。この場合、次
にステップ100の処理が実行される。
【0205】ステップ100では、ゲート内判定行列算
出部30に対して通常行列算出処理の実行が要求され
る。本ステップの処理が実行されると、今回のサンプリ
ング時刻tk+1において、ゲート内判定行列算出部30で
は誤信号および新航跡の可能性を考慮した通常行列算出
処理が実行される。
【0206】ステップ102では、時刻tk+1の時点で、
時刻tkにおける既追尾航跡(NTGT個の既追尾航跡)は
全て探知されたと考えて、時刻tk+1における既追尾航跡
数をNTGT個以上とする処理が実行される。
【0207】ステップ104では、仮説更新部38に対
して、既追尾航跡数がNTGT個以上となる仮説のみを生
成させる簡易行列算出処理の実行が要求される。本ステ
ップの処理が実行されると、今回のサンプリング時刻tk
+1において、仮説更新部38では、全ての既存仮説と、
全ての航跡相関行列36との組み合わせによって生成さ
れた仮説のうち、既追尾航跡数がNTGT個以上のものの
みを有効なものとして残存させる簡易仮説更新処理が実
行される。上記の処理が終了すると、今回の処理サイク
ルが終了される。
【0208】本ルーチン中、上記ステップ98で、上記
数32の条件が成立しないと判別された場合は、次に図
12に示すステップ106の処理が実行される。
【0209】ステップ106では、上記数33の条件、
すなわち、mk+1=NTGTが成立するか否かが判別され
る。その結果、上記の条件が成立すると判別される場合
は、次にステップ108の処理が実行される。
【0210】ステップ108では、時刻tk+1における既
追尾航跡数をNTGT個とする処理が実行される。また、
ステップ110では、時刻tk+1の時点で、誤信号数およ
び新航跡数は共に“0”であると判断される。
【0211】ステップ112では、ゲート内判定行列算
出部30に対して、誤信号数=0および新航跡数=0に
対応する簡易行列算出処理の実行が要求される。本ステ
ップの処理が実行されると、今回のサンプリング時刻tk
+1において、ゲート内判定行列算出部30では、誤信号
および新航跡に対応する列の要素を“0”としたゲート
内判定行列32が算出される。
【0212】ステップ114では、前回のサンプリング
時刻tkの時点の誤信号数をmk−NTGT個に、また、その
時刻tkの新航跡数を“0”個に確定させる処理が行われ
る。
【0213】ステップ116では、仮説更新部38に対
して、既追尾航跡数NTGT(=mk+1)、および、誤信号
数mk−NTGTに対応する簡易行列算出処理の実行が要求
される。本ステップの処理が実行されると、今回のサン
プリング時刻tk+1において、仮説更新部38では、既存
の仮説中で既追尾航跡数がNTGTであり、かつ、誤信号
数がmk−NTGT個のもののみを有効仮説とする簡易仮説
更新処理が実行される。
【0214】本ルーチン中、上記ステップ106におい
て、上記数33の条件が成立しないと判別される場合
は、上記数34の条件、すなわち、mk+1<NTGTが成立
すると判断できる。この場合、時刻tkと時刻tk+1におい
て異なった状況が示されたことになるので、時刻tk+1に
おける既追尾航跡数が未確定とされる。上記の判断がな
されると、次にステップ118の処理が実行される。
【0215】ステップ118では、ゲート内判定行列算
出部30に対して通常行列算出処理の実行が要求され
る。ステップ120では、仮説更新部38に対して通常
仮説更新処理の実行が要求される。上記の処理が終了す
ると今回の処理サイクルが終了される。上記の処理によ
れば、既追尾航跡数NTGTが未確定である場合に、確実
に通常処理による目標追尾を実現することができる。
【0216】本ルーチン中、上記ステップ78におい
て、mk>NTGTが成立しないと判別される場合は、上記
数30式の条件、すなわち、mk<NTGTが成立すると判
断できる。上記数30の条件は、NTGT個の既追尾構成
のいずれかの観測ベクトルが未探知である場合に成立す
る条件である。この場合、既追尾航跡数をNTGT個認識
して、図13に示すステップ122以降の処理が実行さ
れる。
【0217】ステップ122では、今回のサンプリング
時刻tkにおける誤信号数および新航跡数が共に“0”で
あると判断される。
【0218】ステップ124では、ゲート内判定行列算
出部30に対して、誤信号数=0および新航跡数=0に
対応する簡易行列算出処理の実行が要求される。本ステ
ップの処理が実行されると、今回のサンプリング時刻tk
において、ゲート内判定行列算出部30では、誤信号お
よび新航跡に対応する列の要素を“0”としたゲート内
判定行列32が算出される。
【0219】ステップ126では、時刻tkにおける未探
知信号数がNTGT−mk個と記憶される。
【0220】ステップ128では、仮説更新部38に対
して、既追尾航跡数NTGTに対応する簡易行列算出処理
の実行が要求される。本ステップの処理が実行される
と、今回のサンプリング時刻tkにおいて、仮説更新部3
8では、既存の仮説中で既追尾航跡数がNTGTであるも
ののみを有効仮説として更新処理を行う簡易仮説更新処
理が実行される。
【0221】上記ステップ128の処理が終了すると、
今回の処理サイクルが終了する。処理サイクルがこのよ
うにして終了された場合、次回のサンプリング時刻tk+1
において、本ルーチンの処理は、ステップ130の処理
から開始される。
【0222】ステップ130の処理は、上述の如く、時
刻tkの時点でmk<NTGTが成立した場合に実行される。
この場合、時刻tk+1における観測ベクトル数mk+1と、
既追尾航跡数NTGTとの関係は、次の4つの場合に分け
ることができる。
【0223】
【数35】
【0224】
【数36】
【0225】
【数37】
【0226】
【数38】
【0227】上記数35式、または、上記数36式が成
立する場合、すなわち、mk+1<NTGTが成立する場合
は、次にステップ132の処理が実行される。
【0228】ステップ132では、自由空間の仮定が成
立し続けているか否かが判別される。 その結果、自由
空間の仮定が成立しない環境状況になったと判断される
場合は、通常処理を要求すべく次にステップ134およ
び136の処理が実行される。一方、自由空間の仮定が
成立すると判別される場合は、複数の目標が1つの融合
されて観測されていると解釈され、次にステップ136
の処理が実行される。
【0229】ステップ134では、ゲート内判定行列算
出部30に対して通常行列算出処理の実行が要求され
る。ステップ136では、仮説更新部38に対して通常
仮説更新処理の実行が要求される。上記の処理が終了す
ると今回の処理サイクルが終了される。上記の処理によ
れば、自由空間の仮定が成立しない状況下で、確実に通
常処理による目標追尾を実現することができる。
【0230】ステップ136では、今回のサンプリング
時刻tk+1における誤信号数および新航跡数が共に“0”
であると判断される。
【0231】ステップ138では、ゲート内判定行列算
出部30に対して、誤信号数=0および新航跡数=0に
対応する簡易行列算出処理の実行が要求される。本ステ
ップの処理が実行されると、今回のサンプリング時刻tk
+1において、ゲート内判定行列算出部30では、誤信号
および新航跡に対応する列の要素を“0”としたゲート
内判定行列32が算出される。
【0232】ステップ140では、時刻tk+1における未
探知信号数がNTGT−mk+1個と記憶される。
【0233】ステップ142では、仮説更新部38に対
して、既追尾航跡数NTGTに対応する簡易行列算出処理
の実行が要求される。本ステップの処理が実行される
と、今回のサンプリング時刻tkにおいて、仮説更新部3
8では、既存の仮説中で既追尾航跡数がNTGTであるも
ののみを有効仮説として更新処理を行う簡易仮説更新処
理が実行される。上記ステップ142の処理が終了する
と今回の処理サイクルが終了される。
【0234】本ルーチン中、上記ステップ130におい
て、mk+1<NTGTが成立しないと判別される場合は、次
に、図14に示すステップ144の処理が実行される。
【0235】ステップ144では、上記数37式の条
件、すなわち、mk+1=NTGTが成立するか否かが判別さ
れる。その結果、上記の条件が成立する場合は、時刻tk
+1における既追尾航跡数はNTGTであると判断される。
この場合、次にステップ146の処理が実行される。
【0236】ステップ146では、時刻tk+1の時点で、
誤信号数および新航跡数は共に“0”であると判断され
る。
【0237】ステップ148では、ゲート内判定行列算
出部30に対して、誤信号数=0および新航跡数=0に
対応する簡易行列算出処理の実行が要求される。本ステ
ップの処理が実行されると、今回のサンプリング時刻tk
+1において、ゲート内判定行列算出部30では、誤信号
および新航跡に対応する列の要素を“0”としたゲート
内判定行列32が算出される。
【0238】ステップ150では、前回のサンプリング
時刻tkの時点での未探知信号数がNTGT−mk個に確定さ
れる。
【0239】ステップ152では、仮説更新部38に対
して、既追尾航跡数NTGT、および、未探知信号数NTGT
−mkに対応する簡易行列算出処理の実行が要求され
る。本ステップの処理が実行されると、今回のサンプリ
ング時刻tk+1において、仮説更新部38では、既存の仮
説中で既追尾航跡数がNTGTであり、かつ、未探知信号
数がNTGT−mk個のもののみを有効仮説とする簡易仮説
更新処理が実行される。
【0240】本ルーチン中、上記ステップ144におい
て、上記数37の条件が成立しないと判別される場合
は、上記数38の条件、すなわち、mk+1>NTGTが成立
すると判断できる。この場合、時刻tkと時刻tk+1におい
て異なった状況が示されたことになるので、時刻tk+1に
おける既追尾航跡数が未確定とされる。上記の判断がな
されると、次にステップ154の処理が実行される。
【0241】ステップ154では、ゲート内判定行列算
出部30に対して通常行列算出処理の実行が要求され
る。ステップ156では、仮説更新部38に対して通常
仮説更新処理の実行が要求される。上記の処理が終了す
ると今回の処理サイクルが終了される。上記の処理によ
れば、既追尾航跡数NTGTが未確定である場合に、確実
に通常処理による目標追尾を実現することができる。
【0242】上述の如く、本実施形態の目標追尾装置1
0によれば、誤信号または新航跡が存在しないと推定で
きる場合に、それぞれ状況に応じた簡易行列算出処理を
実行し、また、既追尾航跡数、新航跡と誤信号の総数、
誤信号の数、新航跡の数、または、未探知信号の数など
が推定できる場合には、それぞれの状況に応じた簡易仮
説更新処理を実行することができる。これらを組み合わ
せた簡易処理によれば、目標追尾装置10が動作する一
般的な状況下で、目標追尾に関する能力を低下させるこ
となく、有効に仮説の数を抑制することができる。
【0243】尚、上記の実施形態においては、目標観測
状態推定部15が図10乃至図14に示す一連の処理を
実行することにより前記請求項1記載の「目標観測状態
推定手段」が実現されていると共に、ゲート内判定行列
算出部30および仮説更新部38が、上記一連の処理の
実行に伴って発生する要求に従って、適当な簡易行列算
出処理、または、簡易仮説更新処理を実行することによ
り前記請求項1記載の「複数仮説生成手段」が実現され
ている。
【0244】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が上記ステップ70,88,108,
78および144の処理を実行することにより前記請求
項2記載の「既追尾航跡数推定手段」が実現されている
と共に、仮説更新部38が、上記ステップ76,96,
116,128および152で要求される簡易仮説更新
処理を実行することにより前記請求項2記載の「第1の
仮説更新手段」が実現されている。
【0245】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が上記ステップ82の処理を実行する
ことにより前記請求項3記載の「総数推定手段」が実現
されていると共に、仮説更新部38が、上記ステップ8
4で要求される簡易仮説更新処理を実行することにより
前記請求項3記載の「第2の仮説更新手段」が実現され
ている。
【0246】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が上記ステップ94および114の処
理を実行することにより前記請求項4記載の「新航跡数
推定手段」および前記請求項5記載の「誤信号数推定手
段」が実現されていると共に、仮説更新部38が、上記
ステップ96および116で要求される簡易仮説更新処
理を実行することにより前記請求項4記載の「第3の仮
説更新手段」および前記請求項5記載の「第4の仮説更
新手段」が実現されている。
【0247】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が上記ステップ150の処理を実行す
ることにより前記請求項6記載の「未探知信号数推定手
段」が実現されていると共に、仮説更新部38が、上記
ステップ152で要求される簡易仮説更新処理を実行す
ることにより前記請求項6記載の「第5の仮説更新手
段」が実現されている。
【0248】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が上記ステップ102の処理を実行す
ることにより前記請求項7記載の「航跡数条件設定手
段」が実現されていると共に、仮説更新部38が、上記
ステップ104で要求される簡易仮説更新処理を実行す
ることにより前記請求項7記載の「第6の仮説更新手
段」が実現されている。
【0249】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が上記ステップ72,90,110,
122,136および146の処理を実行することによ
り前記請求項8記載の「有無判断手段」が実現されてい
ると共に、仮説更新部38が、上記ステップ74,9
2,112,124,138および148で要求される
簡易仮説更新処理を実行することにより前記請求項8記
載の「第7の仮説更新手段」が実現されている。
【0250】また、上記の実施形態においては、目標観
測状態推定部15が、上記ステップ62の処理を実行す
ることにより前記請求項9記載の「航跡数確定判断手
段」が実現されている。
【0251】実施の形態3.次に、図15を参照して、
本発明の実施の形態3について説明する。図15は、本
発明の実施の形態3の目標追尾システムのブロック構成
図を示す。本実施形態の目標追尾システムは、目標追尾
装置160と、逐次決定型目標追尾装置162とを備え
ている。
【0252】目標追尾装置160は、実施の形態1また
は2の目標追尾装置10と同様に、サンプリング時刻毎
に複数の仮説を作成して目標追尾処理を実行する装置で
ある。一方、逐次決定型目標追尾装置162は、サンプ
リング時刻毎に仮説を一つに絞り込んで目標追尾処理を
実行する装置である。
【0253】目標追尾装置160は、目標観測状態推定
部164を備えている。目標観測状態推定部164は、
実施の形態1または2の目標観測状態推定部15と同様
に、既追尾航跡数や、誤信号の数を検出する機能を有し
ている。更に、本実施形態において、目標観測状態推定
部164は、目標追尾装置160および逐次決定型目標
追尾装置162の一方に、選択的に目標追尾処理を実行
させる機能を有している。
【0254】具体的には、目標観測状態推定部164
は、目標追尾処理が開始された後、既追尾航跡数が確定
し、その既追尾航跡数が所定のサンプリング回数にわた
って安定的に推移するまでの間は、目標追尾装置160
に目標追尾処理を実行させる。そして、確定した既追尾
航跡数が安定に推移する場合は、目標追尾装置160に
代えて逐次決定型目標追尾装置162に目標追尾処理を
実行させる。
【0255】上記の処理によれば、目標追尾が開始され
た後、追尾が不安定な状況では複数仮説生成手法を採用
し、追尾が安定した後は逐次決定型の仮説生成法を採用
することができる。このため、本実施形態の目標追尾シ
ステムによれば、追尾開始直後から優れた目標追尾能力
を確保しつつ、追尾が安定した後に、目標追尾処理に伴
う演算負荷を有効に低減させることができる。
【0256】上述の如く、本実施形態においては、目標
追尾装置160の外側に、これと並列に逐次決定型目標
追尾装置162を配置して所望の機能の実現を図ってい
る。上記の構造によれば、既存の設備の組み合わせによ
り簡単に実現できるという利点を得ることができる。し
かしながら、本発明は、これに限定されるものではな
く、上記図1に示す目標追尾装置10において、各部の
処理を修正することによって対応することとしてもよ
い。
【0257】尚、上記の実施形態においては、目標観測
状態推定部164が、所定サンプリング回数にわたって
既追尾航跡数が安定に推移したか否かを判断することに
より前記請求項10記載の「航跡数安定性判定手段」が
実現されていると共に、逐次決定型目標追尾装置162
により前記請求項10記載の「逐次決定手段」が、ま
た、逐次決定型目標追尾装置162および目標追尾装置
160の一方が選択的に目標追尾処理を実行することに
より前記請求項10記載の「目標追尾手段」が、それぞ
れ実現されている。
【0258】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
ているので、以下に示すような効果を奏する。請求項1
または11記載の発明によれば、目標観測状態推定手段
または目標観測状態推定ステップによる処理の結果を利
用して、仮説の数を抑制し得る簡易処理を実行すること
ができる。目標観測状態推定手段または目標観測状態推
定ステップによる処理の結果は、誤信号が存在しない特
殊な状況に比して広い状況下で利用できる。このため、
本発明によれば、誤信号が存在しない場合にのみ仮説数
の抑制を図る装置または方法に比して、一般的な状況下
でより有効に仮説数を抑制することができる。
【0259】請求項2または12記載の発明によれば、
既存仮説の中で既追尾航跡数が前回のサンプリング時に
おける数と合致するものだけを仮説の更新の基礎とする
ことができる。このため、本発明によれば、現実性の高
い仮説の数を減らすことなく、有効に仮説の総数を減ら
すことができる。
【0260】請求項3または13記載の発明によれば、
既存仮説の中で新航跡と誤信号の総和が前回のサンプリ
ング時における数に合致するものだけを仮説の更新の基
礎とすることができる。このため、本発明によれば、現
実性の高い仮説の数を減らすことなく、有効に仮説の総
数を減らすことができる。
【0261】請求項4または14記載の発明によれば、
既存仮説の中で新航跡数が前回のサンプリング時におけ
る数に合致するものだけを仮説の更新の基礎とすること
ができる。このため、本発明によれば、現実性の高い仮
説の数を減らすことなく、有効に仮説の総数を減らすこ
とができる。
【0262】請求項5または15記載の発明によれば、
既存仮説の中で誤信号数が前回のサンプリング時におけ
る数に合致するものだけを仮説の更新の基礎とすること
ができる。このため、本発明によれば、現実性の高い仮
説の数を減らすことなく、有効に仮説の総数を減らすこ
とができる。
【0263】請求項6または16記載の発明によれば、
既存仮説の中で未探知信号数が前回のサンプリング時に
おける数に合致するものだけを仮説の更新の基礎とする
ことができる。このため、本発明によれば、現実性の高
い仮説の数を減らすことなく、有効に仮説の総数を減ら
すことができる。
【0264】請求項7または17記載の発明によれば、
今回のサンプリング時における既追尾航跡数の条件を満
たす仮説だけを生成することができる。このため、本発
明によれば、現実性の高い仮説の数を減らすことなく、
有効に仮説の総数を減らすことができる。
【0265】請求項8または18記載の発明によれば、
誤信号および新航跡が存在しないと推定される状況下
で、観測ベクトルが誤信号または新航跡である可能性を
含む航跡相関情報が仮説更新の基礎とされるのを避ける
こと、すなわち、それらの可能性を含まない航跡相関情
報のみを仮説更新の基礎とすることができる。このた
め、本発明によれば、現実性の高い仮説の数を減らすこ
となく、有効に仮説の総数を減らすことができる。
【0266】請求項9または19記載の発明によれば、
目標観測状態推定手段または目標観測状態推定ステップ
の処理を、自由空間が形成されており、かつ、既追尾航
跡数が確定した後開始させることができる。この場合、
目標観測状態推定手段または目標観測状態推定ステップ
の処理を、精度よく行うことができるため、高精度な目
標追尾が可能となる。
【0267】請求項10または20記載の発明によれ
ば、目標の追尾が不安定となる状況下では複数仮説生成
手段または複数仮説生成ステップにより生成される複数
の仮説に基づいて目標追尾を実行し、かつ、安定な目標
追尾が可能な状況下では逐次決定手段または逐次決定ス
テップにより生成される単一の仮説に基づいて目標追尾
を実行することができる。この場合、目標追尾処理の開
始直後から優れた目標追尾能力を確保し、かつ、一般的
状況下で目標追尾に伴う演算負荷を大きく低減すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の目標追尾装置のブロ
ック構成図である。
【図2】 図1に示す目標追尾装置で実行される処理の
内容を説明するための図(その1)である。
【図3】 図1に示す目標追尾装置で実行される処理の
内容を説明するための図(その2)である。
【図4】 図1に示す目標追尾装置で実行される処理の
内容を説明するための図(その3)である。
【図5】 図1に示すクラスタ内観測ベクトル表の概念
図である。
【図6】 図1に示す目標追尾装置の仮説更新部が通常
仮説更新処理を実現すべく実行する一連の処理のフロー
チャートである。
【図7】 図1に示す目標追尾装置の動作を具体的に説
明するための図(その1)である。
【図8】 図1に示す目標追尾装置の動作を具体的に説
明するための図(その2)である。
【図9】 図1に示す目標追尾装置の仮説更新部が簡易
仮説更新処理を実現すべく実行する一連の処理のフロー
チャートである。
【図10】 本発明の実施の形態2の目標追尾装置が備
える目標観測状態推定部で実行される一連の処理のフロ
ーチャート(その1)である。
【図11】 本発明の実施の形態2の目標追尾装置が備
える目標観測状態推定部で実行される一連の処理のフロ
ーチャート(その2)である。
【図12】 本発明の実施の形態2の目標追尾装置が備
える目標観測状態推定部で実行される一連の処理のフロ
ーチャート(その3)である。
【図13】 本発明の実施の形態2の目標追尾装置が備
える目標観測状態推定部で実行される一連の処理のフロ
ーチャート(その4)である。
【図14】 本発明の実施の形態2の目標追尾装置が備
える目標観測状態推定部で実行される一連の処理のフロ
ーチャート(その5)である。
【図15】 本発明の実施の形態3の目標追尾装置のブ
ロック構成図である。
【符号の説明】
10;160 目標追尾装置、 15;164 目標
観測状態推定部、30 ゲート内判定行列算出部、
34 航跡相関行列算出部、 38 仮説更新部、
162 逐次決定型目標追尾装置、 Zk,j 時刻t
kに観測された観測ベクトル、 NTGT 既追尾航跡
数、 mk 時刻tkに観測された観測ベクトルの数。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−104351(JP,A) 特開 平10−104350(JP,A) 特開 平10−104349(JP,A) 特開 平10−104348(JP,A) 特開 平8−271617(JP,A) 特開 平9−318742(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを検
    出する観測ベクトル検出手段と、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な状態に対応する航跡相関情
    報を作成する航跡相関情報作成手段と、 目標の航跡に関する既存仮説を記憶する仮説記憶手段
    と、 既追尾航跡数の推定が可能な所定の自由空間が形成され
    ているか否かを判断すると共に、前記自由空間が形成さ
    れている場合に、既追尾航跡数の推定、新航跡と誤信号
    の総数の推定、新航跡数の推定、誤信号数の推定、未探
    知信号数の推定、既追尾航跡数に関する条件設定、およ
    び、誤信号および新航跡の有無判断のうち、少なくとも
    1つを実行する目標観測状態推定手段と、 前記目標観測状態推定部による推定、条件設定、およ
    び、有無判断が何れも実行されていない場合に、前記航
    跡相関情報の全てと、前記既存仮説の全てを組み合わせ
    て仮説を更新する通常処理を実行し、前記目標観測状態
    推定部による推定、条件設定、および、有無判断の何れ
    かが実行されている場合に、その実行結果を利用して、
    更新される仮説の数を抑制するための簡易処理を実行す
    る複数仮説生成手段と、 を備えることを特徴とする目標追尾装置。
  2. 【請求項2】 前記目標観測状態推定手段は、前回のサ
    ンプリング時刻における既追尾航跡数を推定する既追尾
    航跡数推定手段を備え、 前記複数仮説生成手段は、前記簡易処理の実行中に、前
    記既存仮説の中から、前記既追尾航跡推定手段により推
    定された既追尾航跡数に合致するものを第1の有効仮説
    として選択する第1の有効仮説選択手段と、 前記第1の有効仮説を基礎として仮説を更新する第1の
    仮説更新手段と、を備えることを特徴とする請求項1記
    載の目標追尾装置。
  3. 【請求項3】 前記目標観測状態推定手段は、前回のサ
    ンプリング時刻における新航跡と誤信号の総数を推定す
    る総数推定手段を備え、 前記複数仮説生成手段は、前記簡易処理の実行中に、前
    記既存仮説の中から、前記総数推定手段により推定され
    た新航跡と誤信号の総数に合致するものを第2の有効仮
    説として選択する第2の有効仮説選択手段と、 前記第2の有効仮説を基礎として仮説を更新する第2の
    仮説更新手段と、を備えることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の目標追尾装置。
  4. 【請求項4】 前記目標観測状態推定手段は、前回のサ
    ンプリング時刻における新航跡数を推定する新航跡数推
    定手段を備え、 前記複数仮説生成手段は、前記簡易処理の実行中に、前
    記既存仮説の中から、前記新航跡数推定手段により推定
    された新航跡数に合致するものを第3の有効仮説として
    選択する第3の有効仮説選択手段と、 前記第3の有効仮説を基礎として仮説を更新する第3の
    仮説更新手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃
    至3の何れか1項記載の目標追尾装置。
  5. 【請求項5】 前記目標観測状態推定手段は、前回のサ
    ンプリング時刻における誤信号数を推定する誤信号数推
    定手段を備え、 前記複数仮説生成手段は、前記簡易処理の実行中に、前
    記既存仮説の中から、前記誤信号数推定手段により推定
    された誤信号数に合致するものを第4の有効仮説として
    選択する第4の有効仮説選択手段と、 前記第4の有効仮説を基礎として仮説を更新する第4の
    仮説更新手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃
    至4の何れか1項記載の目標追尾装置。
  6. 【請求項6】 前記目標観測状態推定手段は、前回のサ
    ンプリング時刻における未探知信号数を推定する未探知
    信号数推定手段を備え、 前記複数仮説生成手段は、前記簡易処理の実行中に、前
    記既存仮説の中から、前記未探知信号数推定手段により
    推定された未探知信号数に合致するものを第5の有効仮
    説として選択する第5の有効仮説選択手段と、 前記第5の有効仮説を基礎として仮説を更新する第5の
    仮説更新手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃
    至5の何れか1項記載の目標追尾装置。
  7. 【請求項7】 前記目標観測状態推定手段は、今回のサ
    ンプリング時刻における既追尾航跡数に関する条件を設
    定する航跡数条件設定手段を備え、 前記複数仮説生成手段は、前記簡易処理の実行中に、前
    記既追尾航跡に関する条件に合致する仮説のみを生成す
    る第6の仮説更新手段を備えることを特徴とする請求項
    1乃至6の何れか1項記載の目標追尾装置。
  8. 【請求項8】 前記目標観測状態推定手段は、今回のサ
    ンプリング時刻における誤信号および新航跡の有無を判
    断する有無判断手段を備え、 前記複数仮説生成手段は、前記有無判断手段により誤信
    号および新航跡が存在しないと判断された場合に、前記
    観測ベクトルが誤信号および新航跡の何れでもないとす
    る航跡相関情報のみを基礎として仮説を更新する第7の
    仮説更新手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7
    の何れか1項記載の目標追尾装置。
  9. 【請求項9】 前記目標観測状態推定部は、所定のサン
    プリング回数にわたる観測ベクトル数の変化状態に基づ
    いて既追尾航跡数が確定しているか否かを判断する航跡
    数確定判断手段を備え、 前記所定の自由空間が形成されていると判断され、か
    つ、前記既追尾航跡数の確定が判断された後に、前記推
    定、前記条件設定、および、前記有無判断の少なくとも
    1つの実行を開始することを特徴とする請求項1乃至8
    の何れか1項記載の目標追尾装置。
  10. 【請求項10】 前記目標観測状態推定手段が、既追尾
    航跡数が所定の安定状態にあるか否かを判断する航跡数
    安定性判定手段を備えると共に、 サンプリング時刻毎に目標の航跡に関する仮説を1つに
    絞り込む逐次決定手段と、 前記所定の安定状態が判断されない場合に、前記複数仮
    説生成手段により生成される複数の仮説に基づいて目標
    追尾を実行し、かつ、前記所定の安定状態が判断される
    場合に、前記逐次決定手段により決定された仮説に基づ
    いて目標追尾を実行する目標追尾手段と、 を備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項
    記載の目標追尾装置。
  11. 【請求項11】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを
    検出する観測ベクトル検出ステップと、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な状態に対応する航跡相関情
    報を作成する航跡相関情報作成ステップと、 目標の航跡に関する既存仮説を記憶する仮説記憶ステッ
    プと、 既追尾航跡数の推定が可能な所定の自由空間が形成され
    ているか否かを判断すると共に、前記自由空間が形成さ
    れている場合に、既追尾航跡数の推定、新航跡と誤信号
    の総数の推定、新航跡数の推定、誤信号数の推定、未探
    知信号数の推定、既追尾航跡数に関する条件設定、およ
    び、誤信号および新航跡の有無判断のうち、少なくとも
    1つを実行する目標観測状態推定ステップと、 前記目標観測状態推定部による推定、条件設定、およ
    び、有無判断が何れも実行されていない場合に、前記航
    跡相関情報の全てと、前記既存仮説の全てを組み合わせ
    て仮説を更新する通常処理を実行し、前記目標観測状態
    推定部による推定、条件設定、および、有無判断の何れ
    かが実行されている場合に、その実行結果を利用して、
    更新される仮説の数を抑制するための簡易処理を実行す
    る複数仮説生成ステップと、 を備えることを特徴とする目標追尾方法。
  12. 【請求項12】 前記目標観測状態推定ステップは、前
    回のサンプリング時刻における既追尾航跡数を推定する
    既追尾航跡数推定ステップを備え、 前記複数仮説生成ステップは、前記簡易処理の実行中
    に、前記既存仮説の中から、前記既追尾航跡推定ステッ
    プにより推定された既追尾航跡数に合致するものを第1
    の有効仮説として選択する第1の有効仮説選択ステップ
    と、 前記第1の有効仮説を基礎として仮説を更新する第1の
    仮説更新ステップと、 を備えることを特徴とする請求項11記載の目標追尾方
    法。
  13. 【請求項13】 前記目標観測状態推定ステップは、前
    回のサンプリング時刻における新航跡と誤信号の総数を
    推定する総数推定ステップを備え、 前記複数仮説生成ステップは、前記簡易処理の実行中
    に、前記既存仮説の中から、前記総数推定ステップによ
    り推定された新航跡と誤信号の総数に合致するものを第
    2の有効仮説として選択する第2の有効仮説選択ステッ
    プと、 前記第2の有効仮説を基礎として仮説を更新する第2の
    仮説更新ステップと、を備えることを特徴とする請求項
    11または12記載の目標追尾方法。
  14. 【請求項14】 前記目標観測状態推定ステップは、前
    回のサンプリング時刻における新航跡数を推定する新航
    跡数推定ステップを備え、 前記複数仮説生成ステップは、前記簡易処理の実行中
    に、前記既存仮説の中から、前記新航跡数推定ステップ
    により推定された新航跡数に合致するものを第3の有効
    仮説として選択する第3の有効仮説選択ステップと、 前記第3の有効仮説を基礎として仮説を更新する第3の
    仮説更新ステップと、を備えることを特徴とする請求項
    11乃至13の何れか1項記載の目標追尾方法。
  15. 【請求項15】 前記目標観測状態推定ステップは、前
    回のサンプリング時刻における誤信号数を推定する誤信
    号数推定ステップを備え、 前記複数仮説生成ステップは、前記簡易処理の実行中
    に、前記既存仮説の中から、前記誤信号数推定ステップ
    により推定された誤信号数に合致するものを第4の有効
    仮説として選択する第4の有効仮説選択ステップと、 前記第4の有効仮説を基礎として仮説を更新する第4の
    仮説更新ステップと、を備えることを特徴とする請求項
    11乃至14の何れか1項記載の目標追尾方法。
  16. 【請求項16】 前記目標観測状態推定ステップは、前
    回のサンプリング時刻における未探知信号数を推定する
    未探知信号数推定ステップを備え、 前記複数仮説生成ステップは、前記簡易処理の実行中
    に、前記既存仮説の中から、前記未探知信号数推定ステ
    ップにより推定された未探知信号数に合致するものを第
    5の有効仮説として選択する第5の有効仮説選択ステッ
    プと、 前記第5の有効仮説を基礎として仮説を更新する第5の
    仮説更新ステップと、を備えることを特徴とする請求項
    11乃至15の何れか1項記載の目標追尾方法。
  17. 【請求項17】 前記目標観測状態推定ステップは、今
    回のサンプリング時刻における既追尾航跡数に関する条
    件を設定する航跡数条件設定ステップを備え、 前記複数仮説生成ステップは、前記簡易処理の実行中
    に、前記既追尾航跡に関する条件に合致する仮説のみを
    生成する第6の仮説更新ステップを備えることを特徴と
    する請求項11乃至16の何れか1項記載の目標追尾方
    法。
  18. 【請求項18】 前記目標観測状態推定ステップは、今
    回のサンプリング時刻における誤信号および新航跡の有
    無を判断する有無判断ステップを備え、 前記複数仮説生成ステップは、前記有無判断ステップに
    より誤信号および新航跡が存在しないと判断された場合
    に、前記観測ベクトルが誤信号および新航跡の何れでも
    ないとする航跡相関情報のみを基礎として仮説を更新す
    る第7の仮説更新ステップを備えることを特徴とする請
    求項11乃至17の何れか1項記載の目標追尾方法。
  19. 【請求項19】 前記目標観測状態推定部は、所定のサ
    ンプリング回数にわたる観測ベクトル数の変化状態に基
    づいて既追尾航跡数が確定しているか否かを判断する航
    跡数確定判断ステップを備え、 前記所定の自由空間が形成されていると判断され、か
    つ、前記既追尾航跡数の確定が判断された後に、前記推
    定、前記条件設定、および、前記有無判断の少なくとも
    1つの実行を開始することを特徴とする請求項11乃至
    18の何れか1項記載の目標追尾方法。
  20. 【請求項20】 前記目標観測状態推定ステップが、既
    追尾航跡数が所定の安定状態にあるか否かを判断する航
    跡数安定性判定ステップを備えると共に、 サンプリング時刻毎に目標の航跡に関する仮説を1つに
    絞り込む逐次決定ステップと、 前記所定の安定状態が判断されない場合に、前記複数仮
    説生成ステップにより生成される複数の仮説に基づいて
    目標追尾を実行し、かつ、前記所定の安定状態が判断さ
    れる場合に、前記逐次決定ステップにより決定された仮
    説に基づいて目標追尾を実行する目標追尾ステップと、 を備えることを特徴とする請求項11乃至19の何れか
    1項記載の目標追尾方法。
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