JP3369017B2 - 浮体構造物の連結方法 - Google Patents
浮体構造物の連結方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海上等に設置する浮体
構造物の連結方法に係り、特に、滑走路等の大規模利用
に適した浮体構造物の連結方法に関する。 【0002】 【従来の技術】海洋開発に用いられる海洋施設は、水
産、工業、居住、海運、資源開発など多種多様であり、
その構造形式についても、これらの利用目的に応じて、
有脚式、重力式、浮体式等の様々な形式がある。 【0003】これらのうち、浮体式構造物は、一般的に
造船所の船台やドライドック等を利用して製作されるこ
とが多い 【発明が解決しようとする課題】ここで、ドライドック
等で一体製作可能な浮体式構造物の寸法にはおのずと限
界があり、大規模な浮体式構造物の場合には、沈埋トン
ネルのようにブロック状に分割製作されたものを設置海
域において相互に連結していく方法を採らざるを得ない
ことが予想される。 【0004】しかしながら、沈埋トンネルで採用されて
いるような水圧接合方法では、止水のためのゴムガスケ
ットが高くつくとともに、各ブロックの接合面を高精度
に製作することが要求され、浮体構造物を連結する方法
としては経済性に問題があった。また、連結作業に時間
を要するため、連結精度をそれほど要求されない浮体構
造物においては、必ずしも適切な連結方法とは言えなか
った。 【0005】一方、沈埋トンネルほど連結精度は要求さ
れないとはいえ、連結の際にブロックに衝撃が加わった
場合には、当該ブロックが破損して内部に水が浸入し浮
体構造物としての機能が果たせなくなるため、連結の際
にブロックに衝撃が加わらないような工夫が不可欠とな
る。 【0006】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、連結の際にブロックに衝撃を加えることな
く、当該ブロックを効率よく連結することができる浮体
構造物の連結方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の浮体構造物の連結方法は請求項1に記載し
たように、コンクリート等で形成した一対の浮体ブロッ
クを所定の水面上で対向配置する工程と、当該浮体ブロ
ックを互いに引き寄せて、一方の浮体ブロックの接合側
端部に配設した所定の衝撃吸収部材を他方の浮体ブロッ
クの接合側端部に当接させる工程と、当該浮体ブロック
をさらに引き寄せて所定の接合面で互いに当接させる工
程と、当該浮体ブロックを相互に連結する工程とを含
み、前記接合側端部を斜めに形成して該接合側端部に所
定の凹部を形成するとともに前記衝撃吸収部材を袋詰め
土砂で形成し、該衝撃吸収部材を前記凹部のほぼ全区画
に配設することにより、前記衝撃吸収部材の重量を安定
支持できるようにしたものである。 【0008】 【0009】 【0010】 【0011】 【作用】本発明の浮体構造物の連結方法においては、ま
ず、コンクリート等で形成した一対の浮体ブロックを所
定の水域まで曳航し、それらを水面上で対向配置する。 【0012】次に、ウインチ等を用いて当該浮体ブロッ
クを互いに引き寄せ、一方の浮体ブロックの接合側端部
に配設した衝撃吸収部材を他方の浮体ブロックの接合側
端部に当接させる。このようにすると、両浮体ブロック
の直接衝突を回避して、引き寄せの際の衝撃を中間の衝
撃吸収部材に吸収させることができる。 【0013】次に、両浮体ブロックをさらに引き寄せ
る。すると、両浮体ブロックは、中間に介在する衝撃吸
収部材を変形収縮させながら徐々に接近し、やがて、所
定の接合面で当接する。最後に、これら一対の浮体ブロ
ックをPC鋼棒等で相互に連結する。 【0014】ここで、上述の衝撃吸収部材を袋詰め土砂
で構成した場合、衝撃吸収部材を大量かつ安価につくる
ことができる。 【0015】また、上述の接合側端部を斜めに形成する
とともに当該接合側端部に所定の凹部を形成し、当該凹
部に前記衝撃吸収部材を配設した場合、浮体ブロックの
接合面の位置合わせが容易になるとともに、衝撃吸収部
材の重量を安定支持することができる。 【0016】また、上述の連結工程の前に、前記接合面
に取り付けられたモルタル注入用可撓性パイプにモルタ
ルを注入し硬化させる工程を含む場合、2つの浮体ブロ
ックを完全に引き寄せることができずに接合面同士の間
に隙間が生じた場合であっても、引き寄せ作業終了後に
当該可撓性パイプにモルタルを注入しこれを硬化させて
からPC鋼棒等で連結するようにすれば、長期的に連結
強度が低下するおそれがなくなる。 【0017】 【実施例】以下、本発明の浮体構造物の連結方法の実施
例について、添付図面を参照して説明する。 【0018】図1は、本実施例に係る浮体構造物の連結
方法の手順を示したフローチャート、図2は、当該浮体
構造物を構成する浮体ブロック1を示した斜視図であ
る。 【0019】図2に示すように、浮体ブロック1は中空
のコンクリート製函体であり、その長手方向端部を斜め
に形成して接合側端部2とするとともに、他端を接合側
端部2の傾斜角度に対応していわゆるオーバーハングさ
せた接合側端部3としてある。 【0020】接合側端部2には凹部4を設けてあり、そ
の中に衝撃吸収部材としての袋詰め土砂5を所定数配設
してあるとともに、当該凹部4の周囲は、対向配置され
た別の浮体ブロック1の接合側端部3の接合面10と当
接する接合面6になっている。 【0021】袋詰め土砂5は、砂や衝撃吸収効果が高い
粘土等を布等で形成した袋体に充填して構成するのがよ
い。 【0022】また、浮体ブロック1には、対向配置され
た別の浮体ブロックを長手方向に引き寄せるためのウイ
ンチ7と、ウインチからのワイヤーを固定するためのワ
イヤー固定部8をそれぞれ上面に取り付けてある。さら
に、PC鋼棒を固定するための反力台9を浮体ブロック
1の上面および側面に取り付けてある。 【0023】本実施例に係る浮体構造物の連結方法にお
いては、まず、図3(a) に示すように一対の浮体ブロッ
ク1、1を所定の水域まで曳航し、一方の浮体ブロック
1の接合側端部2と他方の浮体ブロック1の接合側端部
3とが対向するように配置する(図1、ステップ10
1)。 【0024】次に、図3(b) に示すように、一方の浮体
ブロック1のウインチ7から巻きだしたワイヤ21を他
方の浮体ブロック1のワイヤ固定部8に固定し、当該ウ
インチ7を作動させて浮体ブロック1、1を互いに引き
寄せる。そして、図4(a) 、(b) に示すように、一方の
浮体ブロック1の接合側端部2に配設した袋詰め土砂5
を他方の浮体ブロック1の接合側端部3に形成した接合
面10に当接させる(図1、ステップ102)。このよ
うにすると、両浮体ブロック1、1の直接衝突が回避さ
れ、引き寄せの際の衝撃を中間の袋詰め土砂5に吸収さ
せることができる。 【0025】次に、両浮体ブロック1、1をさらに引き
寄せる。すると、図4(c)、(d)に示すように、両浮体ブ
ロック1、1は、中間に介在する袋詰め土砂5を変形収
縮させながら徐々に接近し、やがて、接合側端部2の接
合面6と接合側端部3の接合面10とが互いに当接する
(図1、ステップ103)。 【0026】最後に、図5に示すようにPC鋼棒31に
所定の緊張力を導入した後、その両端付近をそれぞれ反
力台9に固定し、浮体ブロック1、1を相互に連結する
(図1、ステップ104)。 【0027】上述の工程を繰り返して浮体ブロックを次
々に連結していけば、所望長さの浮体構造物を海上で組
み立てることができる。 【0028】以上説明したように、本実施例の浮体構造
物の連結方法によれば、2つの浮体ブロックを互いに引
き寄せたとき、両浮体ブロックが直接当接する前に、ま
ず、一方の浮体ブロックの接合側端部に配設しておいた
袋詰め土砂が他方の浮体ブロックの接合側端部に当接す
る。したがって、引き寄せ時の衝撃は袋詰め土砂で吸収
され、浮体ブロック同士が衝突して当該ブロックが破損
するおそれはほとんどなくなる。そのため、引き寄せ作
業において浮体ブロック同士の衝突に気を使う必要がな
くなり、作業の効率が向上する。 【0029】また、袋詰め土砂を他方の浮体ブロックの
接合側端部に当接させた後、さらに両浮体ブロックを引
き寄せていくと、袋詰め土砂は、当該引き寄せに対して
適度に抵抗しながら徐々に変形収縮して凹部に押しつけ
られるので、両浮体ブロックが当接前に急激に衝突する
おそれもほとんどない。 【0030】また、かかる袋詰め土砂は、ゴムガスケッ
トなどと比較して大量かつ安価につくることができ、大
規模な浮体構造物を形成するのに適している。 【0031】また、接合側端部を斜めに形成するととも
に当該接合側端部に所定の凹部を形成し、当該凹部に袋
詰め土砂を配設したので、浮体ブロック同士の接合時の
位置合わせが容易になるとともに、袋詰め土砂の重量を
安定支持することができる。 【0032】本実施例では、衝撃吸収部材として袋詰め
土砂を用いたが、かかる材料に代えて、衝撃を吸収可能
なさまざまな材料、例えば発泡スチロールのような材料
を用いてもよい。 【0033】また、本実施例では、連結手段としてPC
鋼棒を用いたが、これに代えてケーブルやボルト接合等
の他の連結手段を採用してもよい。 【0034】また、本実施例では、図3(a) でよくわか
るように袋詰め土砂5を接合側端部2の接合面6より突
出させて配設するとともに、接合側端部3の接合面10
を平坦な面としたが、これに代えて、袋詰め土砂5を小
さくしてその前面を接合面6より内側とする一方、接合
側端部3に所定の突起を設けるようにしてもよい。この
ような構成においても、接合面6および接合面10が当
接する前に上述の突起が袋詰め土砂に衝突して引き寄せ
時の衝撃を緩和することができる。 【0035】また、本実施例では特に言及しなかった
が、袋詰め土砂5の収縮の度合いが当初の予想より小さ
くて2つの浮体ブロックを完全に引き寄せることができ
ず、その結果、接合面6と接合面10との間に隙間が生
じた場合、そのままの状態でPC鋼棒等で連結すると、
長期間にわたって袋詰め土砂がクリープに似た現象を起
こし、PC鋼棒の緊張力が緩んで浮体ブロックの連結強
度が低下することが考えられる。 【0036】そのような場合には、図6に示すように接
合面6にモルタル注入用の可撓性パイプ41を予め配設
しておくのがよい。かかる構成においては、接合面同士
の間に隙間が生じず当該可撓性パイプ41がつぶれた状
態になっていればそのままPC鋼棒で連結すればよい
し、もし、接合面同士の間に隙間が生じ可撓性パイプの
断面形状がひずんだような状態であれば、当該パイプ内
にモルタルを充填し、その硬化を待ってPC鋼棒で連結
すればよい。 【0037】かかる構成によれば、PC鋼棒の緊張力が
長期的に緩むことはなく、浮体ブロック同士の連結強度
を長期間維持することができる。 【0038】また、本実施例では、長手方向の連結につ
いてのみ説明したが、短手方向の連結についても、上述
した衝撃吸収部材を介して同様に行うことができる。 【0039】図7は、浮体ブロック1、1を短手方向に
連結する様子を示した断面図であり、同図(a) でわかる
ように、浮体ブロック1には、ウインチ7と同様のウイ
ンチ56およびワイヤー固定部8と同様のワイヤー固定
部57を上面に設けてある他、袋詰め土砂5を配設する
ための突条51を側面に設けてあるとともに、ボルト孔
52、53を側壁に穿孔してあり、曳航時には、浸水防
止用の止水栓54を嵌め込んである。 【0040】このような浮体ブロック1、1を連結する
には、同図に示すようにまず、浮体ブロック1、1を水
面上に短手方向に対向配置し、ウインチ56から巻きだ
したワイヤー21をワイヤー固定部57に固定する。次
いで、当該ウインチ56を作動させて両浮体ブロック
1、1を互いに引き寄せ、袋詰め土砂5を対向する浮体
ブロック1の側壁に当接させる。次いで、さらに浮体ブ
ロック1、1を引き寄せて袋詰め土砂5を変形収縮させ
ながら図7(b) に示すように突条51を対向する浮体ブ
ロック1の側壁に当接させる。最後に、PC鋼棒31を
反力台58に取り付けるとともに、ボルト55をボルト
孔52およびボルト孔53に挿通して接合し、浮体ブロ
ック1、1をしっかりと連結する。 【0041】かかる短手方向の連結についても、上述し
た長手方向の連結とほぼ同様の効果を奏するほか(説明
は省略)、浮体ブロックを中間高さにおいても連結する
ようにしたので、連結時の安定性を向上させることがで
きる。 【0042】このような長手方向および短手方向の連結
を次々に行えば、所望の平面的拡がりをもつ浮体構造物
を効率的に構築することが可能となり、例えば滑走路等
の浮体構造物に最適な連結方法となる。 【0043】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の浮体構造物
の連結方法によれば、連結の際に浮体ブロックに衝撃を
加えることなく、当該浮体ブロックを効率よく連結する
ことができる。 【0044】
構造物の連結方法に係り、特に、滑走路等の大規模利用
に適した浮体構造物の連結方法に関する。 【0002】 【従来の技術】海洋開発に用いられる海洋施設は、水
産、工業、居住、海運、資源開発など多種多様であり、
その構造形式についても、これらの利用目的に応じて、
有脚式、重力式、浮体式等の様々な形式がある。 【0003】これらのうち、浮体式構造物は、一般的に
造船所の船台やドライドック等を利用して製作されるこ
とが多い 【発明が解決しようとする課題】ここで、ドライドック
等で一体製作可能な浮体式構造物の寸法にはおのずと限
界があり、大規模な浮体式構造物の場合には、沈埋トン
ネルのようにブロック状に分割製作されたものを設置海
域において相互に連結していく方法を採らざるを得ない
ことが予想される。 【0004】しかしながら、沈埋トンネルで採用されて
いるような水圧接合方法では、止水のためのゴムガスケ
ットが高くつくとともに、各ブロックの接合面を高精度
に製作することが要求され、浮体構造物を連結する方法
としては経済性に問題があった。また、連結作業に時間
を要するため、連結精度をそれほど要求されない浮体構
造物においては、必ずしも適切な連結方法とは言えなか
った。 【0005】一方、沈埋トンネルほど連結精度は要求さ
れないとはいえ、連結の際にブロックに衝撃が加わった
場合には、当該ブロックが破損して内部に水が浸入し浮
体構造物としての機能が果たせなくなるため、連結の際
にブロックに衝撃が加わらないような工夫が不可欠とな
る。 【0006】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、連結の際にブロックに衝撃を加えることな
く、当該ブロックを効率よく連結することができる浮体
構造物の連結方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の浮体構造物の連結方法は請求項1に記載し
たように、コンクリート等で形成した一対の浮体ブロッ
クを所定の水面上で対向配置する工程と、当該浮体ブロ
ックを互いに引き寄せて、一方の浮体ブロックの接合側
端部に配設した所定の衝撃吸収部材を他方の浮体ブロッ
クの接合側端部に当接させる工程と、当該浮体ブロック
をさらに引き寄せて所定の接合面で互いに当接させる工
程と、当該浮体ブロックを相互に連結する工程とを含
み、前記接合側端部を斜めに形成して該接合側端部に所
定の凹部を形成するとともに前記衝撃吸収部材を袋詰め
土砂で形成し、該衝撃吸収部材を前記凹部のほぼ全区画
に配設することにより、前記衝撃吸収部材の重量を安定
支持できるようにしたものである。 【0008】 【0009】 【0010】 【0011】 【作用】本発明の浮体構造物の連結方法においては、ま
ず、コンクリート等で形成した一対の浮体ブロックを所
定の水域まで曳航し、それらを水面上で対向配置する。 【0012】次に、ウインチ等を用いて当該浮体ブロッ
クを互いに引き寄せ、一方の浮体ブロックの接合側端部
に配設した衝撃吸収部材を他方の浮体ブロックの接合側
端部に当接させる。このようにすると、両浮体ブロック
の直接衝突を回避して、引き寄せの際の衝撃を中間の衝
撃吸収部材に吸収させることができる。 【0013】次に、両浮体ブロックをさらに引き寄せ
る。すると、両浮体ブロックは、中間に介在する衝撃吸
収部材を変形収縮させながら徐々に接近し、やがて、所
定の接合面で当接する。最後に、これら一対の浮体ブロ
ックをPC鋼棒等で相互に連結する。 【0014】ここで、上述の衝撃吸収部材を袋詰め土砂
で構成した場合、衝撃吸収部材を大量かつ安価につくる
ことができる。 【0015】また、上述の接合側端部を斜めに形成する
とともに当該接合側端部に所定の凹部を形成し、当該凹
部に前記衝撃吸収部材を配設した場合、浮体ブロックの
接合面の位置合わせが容易になるとともに、衝撃吸収部
材の重量を安定支持することができる。 【0016】また、上述の連結工程の前に、前記接合面
に取り付けられたモルタル注入用可撓性パイプにモルタ
ルを注入し硬化させる工程を含む場合、2つの浮体ブロ
ックを完全に引き寄せることができずに接合面同士の間
に隙間が生じた場合であっても、引き寄せ作業終了後に
当該可撓性パイプにモルタルを注入しこれを硬化させて
からPC鋼棒等で連結するようにすれば、長期的に連結
強度が低下するおそれがなくなる。 【0017】 【実施例】以下、本発明の浮体構造物の連結方法の実施
例について、添付図面を参照して説明する。 【0018】図1は、本実施例に係る浮体構造物の連結
方法の手順を示したフローチャート、図2は、当該浮体
構造物を構成する浮体ブロック1を示した斜視図であ
る。 【0019】図2に示すように、浮体ブロック1は中空
のコンクリート製函体であり、その長手方向端部を斜め
に形成して接合側端部2とするとともに、他端を接合側
端部2の傾斜角度に対応していわゆるオーバーハングさ
せた接合側端部3としてある。 【0020】接合側端部2には凹部4を設けてあり、そ
の中に衝撃吸収部材としての袋詰め土砂5を所定数配設
してあるとともに、当該凹部4の周囲は、対向配置され
た別の浮体ブロック1の接合側端部3の接合面10と当
接する接合面6になっている。 【0021】袋詰め土砂5は、砂や衝撃吸収効果が高い
粘土等を布等で形成した袋体に充填して構成するのがよ
い。 【0022】また、浮体ブロック1には、対向配置され
た別の浮体ブロックを長手方向に引き寄せるためのウイ
ンチ7と、ウインチからのワイヤーを固定するためのワ
イヤー固定部8をそれぞれ上面に取り付けてある。さら
に、PC鋼棒を固定するための反力台9を浮体ブロック
1の上面および側面に取り付けてある。 【0023】本実施例に係る浮体構造物の連結方法にお
いては、まず、図3(a) に示すように一対の浮体ブロッ
ク1、1を所定の水域まで曳航し、一方の浮体ブロック
1の接合側端部2と他方の浮体ブロック1の接合側端部
3とが対向するように配置する(図1、ステップ10
1)。 【0024】次に、図3(b) に示すように、一方の浮体
ブロック1のウインチ7から巻きだしたワイヤ21を他
方の浮体ブロック1のワイヤ固定部8に固定し、当該ウ
インチ7を作動させて浮体ブロック1、1を互いに引き
寄せる。そして、図4(a) 、(b) に示すように、一方の
浮体ブロック1の接合側端部2に配設した袋詰め土砂5
を他方の浮体ブロック1の接合側端部3に形成した接合
面10に当接させる(図1、ステップ102)。このよ
うにすると、両浮体ブロック1、1の直接衝突が回避さ
れ、引き寄せの際の衝撃を中間の袋詰め土砂5に吸収さ
せることができる。 【0025】次に、両浮体ブロック1、1をさらに引き
寄せる。すると、図4(c)、(d)に示すように、両浮体ブ
ロック1、1は、中間に介在する袋詰め土砂5を変形収
縮させながら徐々に接近し、やがて、接合側端部2の接
合面6と接合側端部3の接合面10とが互いに当接する
(図1、ステップ103)。 【0026】最後に、図5に示すようにPC鋼棒31に
所定の緊張力を導入した後、その両端付近をそれぞれ反
力台9に固定し、浮体ブロック1、1を相互に連結する
(図1、ステップ104)。 【0027】上述の工程を繰り返して浮体ブロックを次
々に連結していけば、所望長さの浮体構造物を海上で組
み立てることができる。 【0028】以上説明したように、本実施例の浮体構造
物の連結方法によれば、2つの浮体ブロックを互いに引
き寄せたとき、両浮体ブロックが直接当接する前に、ま
ず、一方の浮体ブロックの接合側端部に配設しておいた
袋詰め土砂が他方の浮体ブロックの接合側端部に当接す
る。したがって、引き寄せ時の衝撃は袋詰め土砂で吸収
され、浮体ブロック同士が衝突して当該ブロックが破損
するおそれはほとんどなくなる。そのため、引き寄せ作
業において浮体ブロック同士の衝突に気を使う必要がな
くなり、作業の効率が向上する。 【0029】また、袋詰め土砂を他方の浮体ブロックの
接合側端部に当接させた後、さらに両浮体ブロックを引
き寄せていくと、袋詰め土砂は、当該引き寄せに対して
適度に抵抗しながら徐々に変形収縮して凹部に押しつけ
られるので、両浮体ブロックが当接前に急激に衝突する
おそれもほとんどない。 【0030】また、かかる袋詰め土砂は、ゴムガスケッ
トなどと比較して大量かつ安価につくることができ、大
規模な浮体構造物を形成するのに適している。 【0031】また、接合側端部を斜めに形成するととも
に当該接合側端部に所定の凹部を形成し、当該凹部に袋
詰め土砂を配設したので、浮体ブロック同士の接合時の
位置合わせが容易になるとともに、袋詰め土砂の重量を
安定支持することができる。 【0032】本実施例では、衝撃吸収部材として袋詰め
土砂を用いたが、かかる材料に代えて、衝撃を吸収可能
なさまざまな材料、例えば発泡スチロールのような材料
を用いてもよい。 【0033】また、本実施例では、連結手段としてPC
鋼棒を用いたが、これに代えてケーブルやボルト接合等
の他の連結手段を採用してもよい。 【0034】また、本実施例では、図3(a) でよくわか
るように袋詰め土砂5を接合側端部2の接合面6より突
出させて配設するとともに、接合側端部3の接合面10
を平坦な面としたが、これに代えて、袋詰め土砂5を小
さくしてその前面を接合面6より内側とする一方、接合
側端部3に所定の突起を設けるようにしてもよい。この
ような構成においても、接合面6および接合面10が当
接する前に上述の突起が袋詰め土砂に衝突して引き寄せ
時の衝撃を緩和することができる。 【0035】また、本実施例では特に言及しなかった
が、袋詰め土砂5の収縮の度合いが当初の予想より小さ
くて2つの浮体ブロックを完全に引き寄せることができ
ず、その結果、接合面6と接合面10との間に隙間が生
じた場合、そのままの状態でPC鋼棒等で連結すると、
長期間にわたって袋詰め土砂がクリープに似た現象を起
こし、PC鋼棒の緊張力が緩んで浮体ブロックの連結強
度が低下することが考えられる。 【0036】そのような場合には、図6に示すように接
合面6にモルタル注入用の可撓性パイプ41を予め配設
しておくのがよい。かかる構成においては、接合面同士
の間に隙間が生じず当該可撓性パイプ41がつぶれた状
態になっていればそのままPC鋼棒で連結すればよい
し、もし、接合面同士の間に隙間が生じ可撓性パイプの
断面形状がひずんだような状態であれば、当該パイプ内
にモルタルを充填し、その硬化を待ってPC鋼棒で連結
すればよい。 【0037】かかる構成によれば、PC鋼棒の緊張力が
長期的に緩むことはなく、浮体ブロック同士の連結強度
を長期間維持することができる。 【0038】また、本実施例では、長手方向の連結につ
いてのみ説明したが、短手方向の連結についても、上述
した衝撃吸収部材を介して同様に行うことができる。 【0039】図7は、浮体ブロック1、1を短手方向に
連結する様子を示した断面図であり、同図(a) でわかる
ように、浮体ブロック1には、ウインチ7と同様のウイ
ンチ56およびワイヤー固定部8と同様のワイヤー固定
部57を上面に設けてある他、袋詰め土砂5を配設する
ための突条51を側面に設けてあるとともに、ボルト孔
52、53を側壁に穿孔してあり、曳航時には、浸水防
止用の止水栓54を嵌め込んである。 【0040】このような浮体ブロック1、1を連結する
には、同図に示すようにまず、浮体ブロック1、1を水
面上に短手方向に対向配置し、ウインチ56から巻きだ
したワイヤー21をワイヤー固定部57に固定する。次
いで、当該ウインチ56を作動させて両浮体ブロック
1、1を互いに引き寄せ、袋詰め土砂5を対向する浮体
ブロック1の側壁に当接させる。次いで、さらに浮体ブ
ロック1、1を引き寄せて袋詰め土砂5を変形収縮させ
ながら図7(b) に示すように突条51を対向する浮体ブ
ロック1の側壁に当接させる。最後に、PC鋼棒31を
反力台58に取り付けるとともに、ボルト55をボルト
孔52およびボルト孔53に挿通して接合し、浮体ブロ
ック1、1をしっかりと連結する。 【0041】かかる短手方向の連結についても、上述し
た長手方向の連結とほぼ同様の効果を奏するほか(説明
は省略)、浮体ブロックを中間高さにおいても連結する
ようにしたので、連結時の安定性を向上させることがで
きる。 【0042】このような長手方向および短手方向の連結
を次々に行えば、所望の平面的拡がりをもつ浮体構造物
を効率的に構築することが可能となり、例えば滑走路等
の浮体構造物に最適な連結方法となる。 【0043】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の浮体構造物
の連結方法によれば、連結の際に浮体ブロックに衝撃を
加えることなく、当該浮体ブロックを効率よく連結する
ことができる。 【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る浮体構造物の連結方法の手順を
示すフローチャート。 【図2】本実施例に係る浮体構造物を構成する浮体ブロ
ックの斜視図。 【図3】(a)は2つの浮体ブロックを水面上に対向配置
した様子を示す側面図、(b)はこれらをウインチで引き
寄せている様子を示す斜視図。 【図4】(a) は袋詰め土砂を対向する浮体ブロックの接
合側端部に当接させた様子を示す側面図、(b)は(a)のの
A―A線に沿う断面図、(c) はこれらをさらに引き寄せ
て浮体ブロックの接合面を互いに当接させた様子を示す
側面図、(d)は(c)のB―B線に沿う断面図。 【図5】浮体ブロックをPC鋼棒で連結した様子を示す
斜視図。 【図6】浮体ブロックの変形例を示す斜視図。 【図7】浮体ブロックの連結方法の変形例を示す断面
図。 【符号の説明】 101 配置工程 102 衝撃吸収部材当接工程 103 接合面当接工程 104 連結工程 1 浮体ブロック 2、3 接合側端部 4 凹部 5 袋詰め土砂(衝撃吸収部材) 6、10 接合面 41 モルタル注入用可撓性パイプ 51 突条 52、53 ボルト孔 55 ボルト
示すフローチャート。 【図2】本実施例に係る浮体構造物を構成する浮体ブロ
ックの斜視図。 【図3】(a)は2つの浮体ブロックを水面上に対向配置
した様子を示す側面図、(b)はこれらをウインチで引き
寄せている様子を示す斜視図。 【図4】(a) は袋詰め土砂を対向する浮体ブロックの接
合側端部に当接させた様子を示す側面図、(b)は(a)のの
A―A線に沿う断面図、(c) はこれらをさらに引き寄せ
て浮体ブロックの接合面を互いに当接させた様子を示す
側面図、(d)は(c)のB―B線に沿う断面図。 【図5】浮体ブロックをPC鋼棒で連結した様子を示す
斜視図。 【図6】浮体ブロックの変形例を示す斜視図。 【図7】浮体ブロックの連結方法の変形例を示す断面
図。 【符号の説明】 101 配置工程 102 衝撃吸収部材当接工程 103 接合面当接工程 104 連結工程 1 浮体ブロック 2、3 接合側端部 4 凹部 5 袋詰め土砂(衝撃吸収部材) 6、10 接合面 41 モルタル注入用可撓性パイプ 51 突条 52、53 ボルト孔 55 ボルト
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭55−140681(JP,A)
特開 平1−230808(JP,A)
特開 昭55−59083(JP,A)
特開 昭55−44001(JP,A)
特開 昭55−51690(JP,A)
特開 昭55−5292(JP,A)
実開 昭55−42654(JP,U)
実開 昭55−44001(JP,U)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コンクリート等で形成した一対の浮体ブ
ロックを所定の水面上で対向配置する工程と、 当該浮体ブロックを互いに引き寄せて、一方の浮体ブロ
ックの接合側端部に配設した所定の衝撃吸収部材を他方
の浮体ブロックの接合側端部に当接させる工程と、 当該浮体ブロックをさらに引き寄せて所定の接合面で互
いに当接させる工程と、 当該浮体ブロックを相互に連結する工程とを含み、 前記接合側端部を斜めに形成して該接合側端部に所定の
凹部を形成するとともに前記衝撃吸収部材を袋詰め土砂
で形成し、該衝撃吸収部材を前記凹部のほぼ全区画に配
設することにより、前記衝撃吸収部材の重量を安定支持
できるようにしたことを特徴とする浮体構造物の連結方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32996794A JP3369017B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 浮体構造物の連結方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32996794A JP3369017B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 浮体構造物の連結方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08156878A JPH08156878A (ja) | 1996-06-18 |
JP3369017B2 true JP3369017B2 (ja) | 2003-01-20 |
Family
ID=18227276
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32996794A Expired - Fee Related JP3369017B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 浮体構造物の連結方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3369017B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7207885B2 (ja) * | 2018-07-24 | 2023-01-18 | 清水建設株式会社 | 浮体構造物の施工方法 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5839279Y2 (ja) * | 1978-09-13 | 1983-09-05 | 日立造船株式会社 | 洋上ブロック接合構造 |
JPS5544001A (en) * | 1978-09-18 | 1980-03-28 | Taisei Corp | Construction method of joining concrete floating body on sea |
JPS55140681A (en) * | 1979-04-17 | 1980-11-04 | Taisei Corp | Level alignment method of pontoon when jointed on sea |
JPS555292A (en) * | 1979-06-04 | 1980-01-16 | Tipton Mfg Corp | Grindstone feeding device in vibrating barrel grinder |
JPS61115798A (ja) * | 1984-11-13 | 1986-06-03 | Kajima Corp | コンクリ−トポンツ−ンの洋上接合方法 |
JPH01230808A (ja) * | 1987-11-04 | 1989-09-14 | Bridgestone Corp | 保護緩衝体 |
JPH068116B2 (ja) * | 1989-07-04 | 1994-02-02 | 運輸省第二港湾建設局長 | 洋上浮游構造物の建造方法 |
-
1994
- 1994-12-05 JP JP32996794A patent/JP3369017B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08156878A (ja) | 1996-06-18 |
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Legal Events
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