JP7207885B2 - 浮体構造物の施工方法 - Google Patents
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Description
また、このような大型の浮体構造物の施工方法として、複数の浮体ブロックを洋上で接合する方法が知られている(例えば、特許文献1-4参照)。
浮体構造物が、複数の浮体ブロックが接合されて構築され、両サイドに設けられたドルフィンに係留する場合、まず、両端に設けられる浮体ブロックをドルフィンに固定し、固定された浮体ブロックに順次浮体ブロックを接合することがある。
これにより、第1傾斜面と第2傾斜面とは水平方向に対して斜めとなる方向に対向するため、第1浮体ブロックと第2浮体ブロックとの水平方向の間隔が狭い場合でも、第2浮体ブロックを第1浮体ブロックの上方に配置すれば第1傾斜面と第2傾斜面との間に間隔を設けることができる。そして、この第1傾斜面と第2傾斜面との間隔を、第1浮体ブロックと第2浮体ブロックとを接合するためのスペースとすることができる。
その結果、接合される第1浮体ブロックと第2浮体ブロックとの間の水平方向の間隔が狭い場合でも、第1浮体ブロックと第2浮体ブロックとを接合することができる。
このような構成とすることにより、凹部と凸部とを嵌合させるようにすることで、第1浮体ブロックに対する第2浮体ブロックの位置決めを容易に行うことができる。
図1および図2に示すように、本実施形態による浮体構造物1は、複数のコンクリート製の浮体ブロック2が接合されることで構築され、ドルフィン係留によって洋上11に係留されている。
本実施形態では、複数の浮体ブロック2は、水平方向に直線状に配列されている。以下では、複数の浮体ブロック2が配列されている水平方向を第1水平方向(図中の矢印Xの方向)とし、第1水平方向に直交する水平方向を第2水平方向(図中の矢印Yの方向)とする。
本実施形態の浮体構造物1は、5つの浮体ブロック2が第1水平方向に配列され、第1水平方向に隣り合う浮体ブロック2どうしが互いの側面を対向させて接合されている。
5つの浮体ブロック2を第1水平方向の一方側から他方側に向かって浮体ブロック2A-2Eとする。以下では、第1水平方向の一方側から2つ目の浮体ブロック2Bおよび4つ目の浮体ブロック2Dを第1浮体ブロック2B,2Dとし、配列の中央となる第1水平方向の一方側から3つ目の浮体ブロック2Cを第2浮体ブロック2Cとし、配列の両端となる第1水平方向の一方側から1つ目の浮体ブロック2Aおよび5つ目の浮体ブロック2Eを第3浮体ブロック2A,2Eとする。
第3浮体ブロック2A,2Eは、直方体状の外形に形成されている。第3浮体ブロック2A,2Eは、上面および下面が水平面となり、4つの側面が第1水平方向または第2水平方向を向く鉛直面となる向きに設置されている。
第1浮体ブロック2B,2Dは、内部にバラスト水を収容可能なバラスト水収容部21が形成されている。外部の水をバラスト水収容部21に注水するための注水口、およびバラスト水収容部21の水を外部に排水するための排水口が設けられている。注水口は、第1浮体ブロック2B,2Dの側面に設けられ、注水口には、注水バルブが設けられている。第1浮体ブロック2B,2Dは、注水バルブを開くことでバラスト水収容部21に注水されるように構成されている。
下板部42は、上板部41の下方に板面が水平面となるように配置されている。下板部42は、上板部41よりも第1水平方向に長く形成されている。下板部42の第3浮体ブロック2A,2E側の縁部は、上板部41の第3浮体ブロック2A,2E側の縁部の鉛直方向下側に配置され、下板部42の第2浮体ブロック2C側の縁部42aは、上板部41の第3浮体ブロック2A,2E側の縁部41aよりも第2浮体ブロック2C側に配置されている。
第1側板部43は、上縁部が上板部41の第3浮体ブロック2A,2E側の縁部と接続され、下縁部が下板部42の第3浮体ブロック2A,2E側の縁部と接続されている。第1側板部43は、板面が第1水平方向を向く鉛直面となる向きに配置されている。
図3および図4に示すように、第2側板部44には、第1傾斜面47に第1傾斜面47の下縁部および第2水平方向の両縁部に沿って延びる止水用のゴムガスケット48が設けられている。ゴムガスケット48は、第1水平方向から見て上方に開口するU字形となるように設けられている。
第4側板部46は、上縁部が上板部41の第2水平方向の他方側の縁部と接続され、下縁部が下板部42の第2水平方向の他方側の縁部と接続され、第3浮体ブロック2A,2E側の縁部が第1側板部43の第2水平方向の他方側の縁部と接続され、第2浮体ブロック2C側の縁部が第2側板部44の第2水平方向の他方側の縁部と接続されている。第4側板部46は、板面が第2水平方向を向く鉛直面となる向きに配置されている。
第2浮体ブロック2Cは、内部にバラスト水を収容可能なバラスト水収容部22が形成されている。外部の水をバラスト水収容部22に注水するための注水口、およびバラスト水収容部22の水を外部に排水するための排水口が設けられている。注水口は、第2浮体ブロック2Cの側面に設けられ、注水口には、注水バルブが設けられている。
下板部52は、上板部51の下方に板面が水平面となるように配置されている。下板部52は、上板部51よりも第1水平方向に短く形成されている。下板部52の第1水平方向の一方側の縁部52aは、上板部51の第1水平方向の一方側の縁部51aよりも第1方向の他方側に配置され、下板部52の第1水平方向の他方側の縁部52bは、上板部51の第1水平方向の他方側の縁部51bよりも第1方向の一方側に配置されている。
第1側板部53の第1水平方向の一方側の面を第2傾斜面57とする。
第2側板部54の第1水平方向の他方側の面をそれぞれ第2傾斜面58とする。
第4側板部56は、上縁部が上板部51の第2水平方向の他方側の縁部と接続され、下縁部が下板部52の第2水平方向の他方側の縁部と接続され、第1水平方向の一方側の縁部が第1側板部53の第2水平方向の他方側の縁部と接続され、第1水平方向の他方側の縁部が第2側板部54の第2水平方向の他方側の縁部と接続されている。第4側板部56は、板面が第2水平方向を向く鉛直面となる向きに配置されている。
まず、第3浮体ブロック2A,2Eを設置する第3浮体ブロック設置工程を行う。
第3浮体ブロック設置工程では、ドルフィン31,32を設置し、予め製作された第3浮体ブロック2A,2Eを設置海域まで運搬し、それぞれドルフィン31,32に固定する。第3浮体ブロック2A,2Eのドルフィン31,32への固定は、公知の方法で行う。
第1浮体ブロック設置工程では、予め製作された第1浮体ブロック2B,2Dを設置海域まで運搬し、第3浮体ブロック2A,2Eに固定する。第1浮体ブロック2B,2Dと第3浮体ブロック2A,2Eとの接合は、公知の方法で行う。
第1浮体ブロック2B,2Dと第3浮体ブロック2A,2Eとの接合作業では、2つの第1浮体ブロック2B,2Dの間の第2浮体ブロック2Cが設置されるスペースを作業スペースとして使用することができる。
2つの第1浮体ブロック2B,2Dは、それぞれ第3浮体ブロック2A,2Eに接合されると、第1水平方向に離間した状態となる。
図3に示すように、ガイド部材71は、第1水平方向に延びる部材で、第1水平方向の一方の端部71aが第1水平方向の一方側に配置された第1浮体ブロック2Bの下面に固定され、第1水平方向の他方の端部71bが第1水平方向の他方側に配置された第1浮体ブロック2Dの下面に固定されている。ガイド部材71の上面71cは、水平面となり第1浮体ブロック2B,2Dの下面と同じ高さに配置されている。
ガイド部材71は、第1浮体ブロック2B,2Dを一体化させ、両者の離隔を保持することを目的としている。また、その上面に第2浮体ブロック2Cの下面52cが当接することで、第1浮体ブロック2B,2Dに対する第2浮体ブロック2Cの位置決めをできるように構成されている。
ガイド部材71は、2つの第1浮体ブロック2B,2Dがそれぞれ第3浮体ブロック2A,2Eに固定された後に第1浮体ブロック2B,2Dに設置する。なお、図3では、第2浮体ブロック2Cが洋上に浮いている、ガイド部材71は、第2浮体ブロック2Cを第1浮体ブロック2B,2Dの間に引き込む前に第1浮体ブロック2B,2Dに設置する。
第2浮体ブロック設置工程では、まず、図3に示すように、洋上11に設置された第1浮体ブロック2B,2Dおよび第3浮体ブロック2A,2Eそれぞれの注水バルブを開放して内部のバラスト水収容部21,23にバラスト水12を注入し、第1浮体ブロック2B,2Dおよび第3浮体ブロック2A,2Eの喫水を大きくして、第1浮体ブロック2B,2Dおよび第3浮体ブロック2A,2Eそれぞれの下部側を所定の深さまで沈めた状態とする。洋上11に設置された第1浮体ブロック2B,2Dおよび第3浮体ブロック2A,2Eは、ドルフィン31,32に固定された状態において、所定範囲での上下方向の移動が可能となっている。
第2浮体ブロック上方配置工程では、まず、第2浮体ブロック2Cを第2浮体ブロック2Cの設置スペース(2つの第1浮体ブロック2B,2Dの間のスペース)とは離れた場所まで運搬する。このとき、第2浮体ブロック2Cのバラスト水収容部22は空の状態とし、喫水を小さくする。
第2浮体ブロック2Cを2つの第1浮体ブロック2B,2Dの間まで曳航し、第2浮体ブロック2Cを第1浮体ブロック2B,2Dに設けられたウインチ81にワイヤー82(図5参照)で接続する。第2浮体ブロック2Cを2つの第1浮体ブロック2B,2Dの間に引き込む際、第2浮体ブロック2Cと2つの第1浮体ブロック2B,2Dとの摩擦を低減するため、第1浮体ブロック2B,2Dにガイドローラー73(図3参照)を設置しておく。
第2浮体ブロック2Cは、バラスト水収容部22が空の状態で第1浮体ブロック2B,2Dおよび第3浮体ブロック2A,2Eよりも喫水が小さいため、第1浮体ブロック2B,2Dよりも上方に配置される。
このとき、第2浮体ブロック2Cを、その第2傾斜面57が第1浮体ブロック2Bの第1傾斜面47の上方となり、その第2傾斜面58が第1浮体ブロック2Dの第1傾斜面47の上方となる位置するように位置調整する。
図5に示すように、第2浮体ブロック下降工程では、第2浮体ブロック2Cの注水バルブを開放して内部のバラスト水収容部22にバラスト水12を注入し、第2浮体ブロック2Cの喫水を大きくして、図6に示すように、第2浮体ブロック2Cを第1浮体ブロック2B,2Dと同じ深さまで下降させる。喫水調整に加えてウインチ81を操作し、第2浮体ブロック2Cを正位置に配置する。
このとき、第2浮体ブロック2Cの下面52cをガイド部材71の上面71cと当接させるとともに、第2浮体ブロック2Cの第2傾斜面57,58を第1浮体ブロック2B,2Dの第1傾斜面47のゴムガスケット48に当接させる。
このようにして、第2浮体ブロック2Cが2つの第1浮体ブロック2B,2Dの間に配置される。
正位置に配置された第2浮体ブロック2Cは、例えば、第1浮体ブロック2B,2Dに設けた油圧アーム72(図7参照)などで仮固定する。
図7に示すように、浮体ブロック接合工程では、まず、第1浮体ブロック2Bと第2浮体ブロック2Cとの間、および第1浮体ブロック2Dと第2浮体ブロック2Cとの間の海水13をポンプアップして排水する。図7-図10では、第1浮体ブロック2Bと第2浮体ブロック2Cとの接合を示している。第1浮体ブロック2Dと第2浮体ブロック2Cとは、第1浮体ブロック2Bと第2浮体ブロック2Cと同様に接合される。
これにより、第1浮体ブロック2B,2Dおよび第2浮体ブロック2Cに外側から作用する水圧によって第1浮体ブロック2B,2Dと第2浮体ブロック2Cとが近接し、ゴムガスケット48が第2浮体ブロック2Cの第2傾斜面57,58と第1浮体ブロック2B,2Dの第1傾斜面47とに挟まれてつぶれた状態となり、第1浮体ブロック2B,2Dと第2浮体ブロック2Cとが水圧接合する。
続いて、図8に示すように、第1浮体ブロック2Bの第2側板部44と、第2浮体ブロック2Cの第1側板部53とを接合するとともに、第1浮体ブロック2Dの第2側板部44(図3参照)と、第2浮体ブロック2Cの第2側板部54(図3参照)とを接合する。
第1浮体ブロック2Bの第2側板部44、および第2浮体ブロック2Cの第1側板部53にPC鋼材6(図9参照)を挿通させるPCシース61を設けるとともに、第1浮体ブロック2Dの第2側板部44、および第2浮体ブロック2Cの第2側板部54にPC鋼材6を挿通させるPCシース(不図示)を設ける。
第1浮体ブロック2B,2Dと第2浮体ブロック2Cとの間にグラウト材62を充填し、所定期間の養生を行う。
続いて、図9に示すように、PCシース61にPC鋼材6を挿入し、プレストレスを導入する。
PCシース61にグラウト材63を充填する。
このようにして第1浮体ブロック2B,2Dと第2浮体ブロック2Cとが接合され、浮体構造物1が構築される。
本実施形態による浮体構造物1の施工方法では、第1浮体ブロック2B,2Dの第2浮体ブロック2Cと接合される側の側面が、斜め上方を向き、上側から下側に向かって漸次第2浮体ブロック2Cと離間する側から近接する側に向かって傾斜する第1傾斜面47に形成され、第2浮体ブロック2Cの第1浮体ブロック2B,2Dと接合される側の側面が、斜め下方を向き、上側から下側に向かって漸次第1浮体ブロック2B,2Dと近接する側から離間する側に向かって傾斜する第2傾斜面57に形成されている。
これにより、第1傾斜面47と第2傾斜面57とは水平方向に対して斜めとなる方向に対向するため、第1浮体ブロック2B,2Dと第2浮体ブロック2Cとの水平方向の間隔が狭い場合でも、第2浮体ブロック2Cを第1浮体ブロック2B,2Dの上方に配置すれば第1傾斜面47と第2傾斜面57との間に間隔を設けることができる。そして、この第1傾斜面47と第2傾斜面57との間隔を、第1浮体ブロック2B,2Dと第2浮体ブロック2Cとを接合するためのスペースとすることができる。
その結果、接合される第1浮体ブロック2B,2Dと第2浮体ブロック2Cとの間の水平方向の間隔が狭い場合でも、第1浮体ブロック2B,2Dと第2浮体ブロック2Cとを接合することができる。
例えば、上記の実施形態では、浮体ブロック2は、第1水平方向に配列されているが、第1水平方向および第2水平方向の両方に配列されていてもよい。また、浮体ブロック2は、第1浮体ブロック2B,2Dに第1傾斜面47が形成され、第2浮体ブロック2Cに第2傾斜面57が形成されていれば、上記以外の形状であってもよい。
2A,2E 第3浮体ブロック
2B,2D 第1浮体ブロック
2C 第2浮体ブロック
11 洋上
31,32 ドルフィン
47,47B 第1傾斜面
57,58,57B 第2傾斜面
91 凹部
92 凸部
Claims (2)
- 洋上で複数の浮体ブロックを接合して構築する浮体構造物の施工方法において、洋上に設置された第1浮体ブロックの側方に第2浮体ブロックを設置する第2浮体ブロック設置工程を有し、
前記第1浮体ブロックは、前記第2浮体ブロックと接合される側の側面が、斜め上方を向き上側から下側に向かって漸次前記第2浮体ブロックに近接する側に向かって傾斜する第1傾斜面に形成され、
前記第2浮体ブロックは、前記第1浮体ブロックと接合される側の側面が、斜め下方を向き上側から下側に向かって漸次前記第1浮体ブロックと離間する側に向かって傾斜する第2傾斜面に形成され、
前記第2浮体ブロック設置工程は、前記第2浮体ブロックを前記第2傾斜面が前記第1傾斜面の上方に位置するように前記第1浮体ブロックの上方に配置する第2浮体ブロック上方配置工程と、
前記第2浮体ブロックを下降させ前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とを対向配置させる第2浮体ブロック下降工程と、
前記第1浮体ブロックと前記第2浮体ブロックとを接合する浮体ブロック接合工程と、を有し、
前記第1傾斜面の下縁部および両側縁部に沿ってガスケットが上方に開口するU字状に設けられ、
前記ガスケットを介して前記第1浮体ブロックと前記第2浮体ブロックとが接合された後、前記ガスケットの内側の海水を排水し、前記第1浮体ブロックと前記第2浮体ブロックとの間にグラウト材を充填することを特徴とする浮体構造物の施工方法。 - 前記第1傾斜面および前記第2傾斜面のいずれか一方には、凹部が形成され、他方には前記凹部と嵌合する凸部が形成され、
前記浮体ブロック接合工程では、前記凹部と前記凸部とを嵌合させることを特徴とする請求項1に記載の浮体構造物の施工方法。
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