JP3368782B2 - 船外機の潤滑装置 - Google Patents

船外機の潤滑装置

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JP3368782B2 JP01946497A JP1946497A JP3368782B2 JP 3368782 B2 JP3368782 B2 JP 3368782B2 JP 01946497 A JP01946497 A JP 01946497A JP 1946497 A JP1946497 A JP 1946497A JP 3368782 B2 JP3368782 B2 JP 3368782B2
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  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船外機のエンジン
内部をオイルで潤滑するための潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】船外機のエンジンは、クランクシャフト
が鉛直方向を向くように縦起きに搭載されており、クラ
ンクケース、シリンダーブロック、シリンダーヘッド等
の部品が組み合わされて構成されている。このエンジン
が4サイクルエンジンである場合には、エンジンの下部
にオイルパンが設置され、このオイルパン内に貯溜され
たオイルをオイルポンプで吸い上げてエンジンの内部を
潤滑する潤滑装置が備えられる。
【0003】従来の船外機の潤滑装置として、例えば特
開平8-100614号公報(以下、第1従来例と呼ぶ)、特許
第 2516024号公報(以下、第2従来例と呼ぶ)、特公平
7-94803号公報(以下、第3従来例と呼ぶ)、特公平 3
-38156号公報(以下、第4従来例と呼ぶ)に記載されて
いる潤滑装置が挙げられる。
【0004】第1従来例の潤滑装置は、シリンダーブロ
ック18とシリンダーヘッド46の下方にオイルパン88が取
り付けられており、オイルポンプ96はオイルパン88内に
てシリンダーヘッド46の下部に設けられ、シリンダーヘ
ッド46内に軸支されたカムシャフト66にオイルポンプ96
が駆動されるようになっている。
【0005】また、第2従来例の潤滑装置は、シリンダ
ーブロック13の下部にオイルパン36が取り付けられてお
り、オイルポンプ21はオイルパン36の外部となるシリン
ダーヘッド18の下部に設けられてカムシャフト19に駆動
される。ここでは、オイルポンプ21から延びるオイル吐
出通路41がカムシャフト19の軸芯とシリンダーヘッド18
およびシリンダーブロック13の内部にかけて形成されて
おり、このオイル吐出通路41がシリンダーブロック13の
内部を通る部分には油圧制御弁42が設けられている。な
お、オイルポンプ21の吸入側に接続されるオイルストレ
ーナー39はシリンダーブロック13の下面に取り付けられ
ている。
【0006】さらに、第3従来例の潤滑装置において
も、オイルポンプ37はシリンダーヘッド18の下部に設け
られてオイルパン42の外部に位置しており、カムシャフ
ト22に駆動される。この例では、オイルポンプ37から延
びるオイル吸入通路66,67 およびシリンダーヘッド18の
内部に供給されたオイルをオイルパン42に戻すためのオ
イル戻し通路85,86 がシリンダーヘッド18からシリンダ
ーブロック14にかけて形成されており、ヘッドカバー19
からもオイル戻すためのホース94が延びてオイル戻し通
路86に合流している。また、オイルストレーナー63がシ
リンダーブロック14の下面に取り付けられている。
【0007】そして、第4従来例の潤滑装置では、同じ
くシリンダーヘッド38の下面に設けられたオイルポンプ
56がカムシャフト46に駆動されるように構成され、この
オイルポンプ56から延びるオイル吐出通路80がシリンダ
ーヘッド38からシリンダーブロック32にかけて形成さ
れ、オイル吐出通路80の途中に接続される油圧制御弁88
がエンジンの下面に固定されたプレート62の下面に設け
られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記4
例の従来の船外機の潤滑装置には次のような問題点があ
った。
【0009】まず、これらの船外機の潤滑装置は全てオ
イルポンプがエンジンの下面に設けられているため、例
えば整備のためにエンジンを単体で船外機から降ろす際
にはエンジンの下部にオイルポンプが突出した状態でエ
ンジンが降ろされることになる。従って、外的要因によ
りオイルポンプが破損する懸念が多分にある上、平坦な
作業台の上にエンジンを載置して整備することができな
いので非常に整備性が悪い。
【0010】また、第2従来例と第3従来例の潤滑装置
は、オイルポンプから延びるオイル吸入通路やオイル吐
出通路等がエンジンのシリンダーヘッドとシリンダーブ
ロックの内部に形成されているため、シリンダーヘッド
とシリンダーブロックを鋳造する型が複雑化してエンジ
ンの製造が非常に困難になっている。特に第3従来例の
潤滑装置の場合はオイル吸入通路66,67 に加えてオイル
戻し通路85,86 がシリンダーヘッド18とシリンダーブロ
ック14に形成されており、しかもオイル戻し通路86には
ヘッドカバー19から延びるホース94が合流する構造であ
るため、エンジンの製造が一層困難である上にエンジン
のコンパクト性も損なわれている。
【0011】さらに、第2従来例の潤滑装置の場合は、
オイルポンプ21と共に油圧制御弁42がエンジンの下面に
設けられているため、エンジンを単体で船外機から降ろ
す際にはオイルポンプ21ばかりでなく油圧制御弁42の破
損も起こり得る。なお、第4従来例の潤滑装置では油圧
制御弁88がエンジンの下面に固定されたプレート62の下
面に設けられているため、プレート62を残してエンジン
を単体で降ろす場合には油圧制御弁88が破損する懸念が
ないが、プレート62と共にエンジンを降ろす場合にはや
はり油圧制御弁88の破損が起こり得る。
【0012】その上、第2従来例と第3従来例の潤滑装
置にあっては、それぞれシリンダーブロック13,14 の下
面にオイルストレーナー39,63 が取り付けられているた
め、エンジンを単体で降ろす際にはオイルストレーナー
39,63 についても破損を防止するために取り外さねばな
らず、これが一段と整備性を劣化させている。
【0013】また、第2従来例と第4従来例の潤滑装置
において、オイルポンプ21と56から延びているオイル吐
出通路41,80 はシリンダーヘッドとシリンダーブロック
の接合部を貫通しており、このオイル吐出通路41,80 の
下流部に油圧制御弁42,88 が設けられている関係上、シ
リンダーヘッドとシリンダーブロックの接合部において
オイル吐出通路41,80 からオイル漏れが発生する率が高
い。
【0014】本発明に係る船外機の潤滑装置は、これら
の問題点を解決するために発明されたもので、その第1
の目的は、エンジンを単体で船外機から降ろす際におけ
るオイルポンプの破損防止とエンジン整備性の向上を図
ると共に、エンジンが降ろされた際のオイルポンプの乾
燥や異物の混入を防止してオイルポンプを長寿命化さ
せ、併せてエンジンの製造性向上とコンパクト化を図る
ことにある。
【0015】また、本発明に係る船外機の潤滑装置の第
2の目的は、オイルポンプのオイル吸入通路やオイル吐
出通路の形成を容易にすることにある。
【0016】さらに、本発明に係る船外機の潤滑装置の
第3の目的は、エンジンを単体で船外機から降ろす際に
おけるオイルストレーナーの破損を防止することにあ
る。
【0017】そして、本発明に係る船外機の潤滑装置の
第4の目的は、エンジンを単体で船外機から降ろす際に
おける油圧制御弁の破損を防止するとともに、油圧制御
弁が設置される部品を単体で整備する場合においても油
圧制御弁の破損防止と整備性の向上を図り、併せてオイ
ルポンプのオイル吐出通路からのオイル漏れを防止する
ことにある。
【0018】また、本発明に係る船外機の潤滑装置の第
5の目的は、簡素な構造により効果的に油圧制御弁の抜
脱を防止可能にして潤滑装置の健全性を保つことにあ
る。
【0019】さらに、本発明に係る船外機の潤滑装置の
第6の目的は、エンジン内部の構造を簡素に保ちつつ、
エンジン内部に供給されたオイルを速やかにオイルパン
に戻せるようにすることにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため本発明に係る船外機の潤滑装置は、請求項1に記
載したように、クランクシャフトが鉛直方向を向くよう
に縦起きにエンジンが搭載され、このエンジンの下部に
エンジンホルダーとオイルパンが順に固定され、オイル
パン内に貯溜されたオイルをオイルポンプで吸い上げて
エンジンに供給するように構成された船外機の潤滑装置
において、オイルポンプをエンジンホルダーの下面側に
設け、このオイルポンプから延びるオイル吸入通路とオ
イル吐出通路をエンジンホルダーの内部に一体に形成し
たことを特徴とする。
【0021】また、前記第2の目的を達成するため本発
明に係る船外機の潤滑装置は、請求項2に記載したよう
に、オイルポンプの駆動軸を挟むようにしてオイル吸入
通路とオイル吐出通路を平行にエンジンホルダーに形成
した。
【0022】さらに、前記第3の目的を達成するため本
発明に係る船外機の潤滑装置は、請求項3に記載したよ
うに、オイル吸入通路の入口側に接続されるオイルスト
レーナーをエンジンホルダーの下面側に固定した。
【0023】そして、前記第4の目的を達成するため本
発明に係る船外機の潤滑装置は、請求項4に記載したよ
うに、オイル吐出通路に油圧制御弁を設け、この油圧制
御弁をエンジンホルダーの下面側に配置し、かつ油圧制
御弁がエンジンホルダーの下側の接合面から突出しない
ように油圧制御弁を傾斜させた。
【0024】また、前記第5の目的を達成するため本発
明に係る船外機の潤滑装置は、請求項5に記載したよう
に、オイルストレーナーの支持脚部を屈曲させて油圧制
御弁の抜脱防止部を設けた。
【0025】さらに、前記第6の目的を達成するため本
発明に係る船外機の潤滑装置は、請求項6に記載したよ
うに、エンジンの内部に供給されたオイルをオイルパン
に戻す孔状のオイル戻し通路をエンジンホルダーに一体
に形成した。
【0026】請求項1のように、エンジンの下部に固定
されるエンジンホルダーの下面側にオイルポンプを設け
れば、エンジンが単体で船外機から降ろされた際にオイ
ルポンプがエンジンホルダー側に残るので、オイルポン
プの破損を防止することができる。しかも、オイルポン
プがエンジンの下面に突出しないのでエンジンを平坦な
作業台等の上に載置することができ、非常に整備性が良
くなる。また、エンジンが降ろされてもオイルポンプが
外部に露出せずにオイルパン内に保たれるため、オイル
ポンプの乾燥や異物の混入が防止されてオイルポンプが
長寿命化する。
【0027】さらに、オイルポンプから延びるオイル吸
入通路とオイル吐出通路がエンジンホルダーの内部に一
体に形成されるので、これらのオイル通路を従来の船外
機のようにエンジンのシリンダーヘッドやシリンダーブ
ロックの内部に形成する必要がなくなり、エンジンの製
造性が向上する。しかも、オイル吸入通路とオイル吐出
通路の形成によるエンジンホルダー自体の大型化は殆ど
有り得ないため、エンジンのコンパクト化や重量軽減に
も大きく貢献できる。
【0028】また、請求項2のようにオイルポンプの駆
動軸を挟むようにしてオイル吸入通路とオイル吐出通路
を平行にエンジンホルダーに形成すれば、オイル吸入通
路とオイル吐出通路の加工性が非常に良くなり、その形
成が容易になる。
【0029】さらに、請求項3のようにオイルストレー
ナーをエンジンホルダーの下面側に固定すれば、エンジ
ンが単体で船外機から降ろされた際にオイルストレーナ
ーがエンジンホルダー側に残るので、オイルストレーナ
ーの破損を防止することができる。
【0030】そして、請求項4のように油圧制御弁をエ
ンジンホルダーに設置すれば、エンジンが単体で船外機
から降ろされた際に油圧制御弁がエンジンホルダー側に
残るので油圧制御弁の破損を防止することができる。し
かも、油圧制御弁が設置される部品であるエンジンホル
ダーを単体で船外機から降ろす際においても、油圧制御
弁がエンジンホルダーの下側の接合面から突出しないた
め、エンジンホルダーをそのまま作業台等の上に載置し
ても油圧制御弁が破損しない。そして、この油圧制御弁
はエンジンホルダーに一体に形成されたオイル吐出通路
に設けられており、オイル吐出通路の途中には継ぎ目が
ないため、オイル吐出通路からのオイル漏れが起こり得
ない。
【0031】また、請求項5のように、オイルストレー
ナーの支持脚部を屈曲させて油圧制御弁の抜脱防止部を
設ければ、万一油圧制御弁が緩んでもオイルストレーナ
ーの抜脱防止部によって油圧制御弁の抜脱が阻まれる。
このため、油圧が低下することがなく、簡素な構造によ
って潤滑装置の健全性を保つことができる。
【0032】さらに、請求項6のように船外機の潤滑装
置を構成すれば、エンジンのシリンダーヘッドやシリン
ダーブロックに専用のオイル戻し通路を形成する必要が
なくなるのでエンジン内部の構造を簡素に保ちつつ、エ
ンジン内部に供給されたオイルを速やかにオイルパンに
戻すことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る
潤滑装置が適用された船外機の一例を示す左側面図であ
る。
【0034】この船外機1は、船体2のトランサム3に
クランプブラケット4を介して装着され、クランプブラ
ケット4の後部に縦向きに設けられたスイベルシャフト
5を軸に左右に回動自在とされている。
【0035】船外機1の最上部に搭載されているエンジ
ン6は、例えば直列4気筒の水冷式4サイクルガソリン
機関であり、そのクランクシャフト7が鉛直方向を向く
ように縦置きに搭載されている。このエンジン6は、図
2にも示すようにクランクケース9、シリンダーブロッ
ク10、シリンダーヘッド11、ヘッドカバー12等の部品が
前後方向に連なるように組み立てられている。
【0036】エンジン6の下部には厚板状のエンジンホ
ルダー13を介してオイルパン14が固定されており、オイ
ルパン14の下部にドライブシャフトハウジング15が固定
され、さらにその下部にギヤハウジング16が固定されて
いる。
【0037】エンジン6とエンジンホルダー13とオイル
パン14の部分は上下に分割可能なエンジンカバー18に覆
われている。このエンジンカバー18は、エンジンホルダ
ー13とオイルパン14に跨がるように固定されたロアーカ
バー18aと、その上に着脱可能に取着されるアッパーカ
バー18bとを含んでいて、エンジン6の整備作業等はア
ッパーカバー18bを取り外して行う。
【0038】エンジン6のクランクシャフト7の下端に
は下方に延びるドライブシャフト19が回転一体に連結さ
れており、このドライブシャフト19はエンジンホルダー
13およびオイルパン14、ドライブシャフトハウジング15
の内部を貫通してギヤハウジング16内に達している。
【0039】一方、ギヤハウジング16内には前後に延び
るプロペラシャフト20が軸支されており、その後端にプ
ロペラ21が回転一体に設けられている。そして、ドライ
ブシャフト19とプロペラシャフト20との交点に設けられ
たベベルギヤ機構22によってドライブシャフト19の回転
がプロペラシャフト20に伝達され、プロペラ21が回転駆
動されるようになっている。
【0040】なお、エンジンホルダー13とドライブシャ
フトハウジング15の前縁には、それぞれ左右一対のマウ
ント部23,24が設けられ、この上下のマウント部23,24
が、それぞれスイベルシャフト5の上端と下端に軸支さ
れる。
【0041】エンジン6の左側面には吸気装置26が取り
付けられ、前面には始動用のスターターモーター27が設
置されている。また、クランクシャフト7の上端部はエ
ンジン6の上面よりも上方に突出しており、この部分に
フライホイール28が回転一体に設けられ、フライホイー
ル28の下部にドライブプーリー29が設けられている。
【0042】一方、シリンダーヘッド11の内部にはクラ
ンクシャフト7に平行するカムシャフト30が軸支されて
いて、その上端部がエンジン6の上面から突出し、この
突出部にドリブンプーリー31が回転一体に設けられてい
る。
【0043】クランクシャフト7のドライブプーリー29
とカムシャフト30のドリブンプーリー31との間にはタイ
ミングベルト32が巻装され、このタイミングベルト32を
介してクランクシャフト7の回転がカムシャフト30に伝
達され、シリンダーヘッド11の内部に収容された図示し
ない動弁装置が作動するように構成されている。
【0044】フライホイール28の周囲にはリングギヤ28
aが鍔状に設けられており、スターターモーター27がO
Nになると、スターターモーター27のピニオンギヤ27a
が上方に突出してリングギヤ28aに噛み合い、クランク
シャフト7が回転駆動されてエンジン6の始動がなされ
る。
【0045】なお、合成樹脂等で形成されたカバー部材
33によってスターターモーター27、フライホイール28、
ドライブプーリー29、ドリブンプーリー31、タイミング
ベルト32等の部材が上方から覆われており、上方から降
り注ぐ水滴等がカバー部材33に遮蔽されて各部の防水性
が確保されている。
【0046】そして、この船外機1にはエンジン6の内
部を潤滑するために本発明に係る潤滑装置35が備えられ
ている。この潤滑装置35は、オイルパン14内に貯溜され
たオイルをオイルポンプ36で吸い上げてエンジン6に供
給する装置であり、以下のように構成されている。
【0047】まず、オイルポンプ36は、図1〜図5に示
すようにエンジンホルダー13の下面側の最後部に設けら
れている。図3および図6に示すように、エンジンホル
ダー13の下面側最後部には平坦なポンプ台座37が形成さ
れており、ここにオイルポンプ36が3本のボルト38で固
定される。
【0048】図7および図8に拡大して示すように、オ
イルポンプ36は例えば一般的なトロコイドポンプであ
り、上方に向かって開口するカップ状のケース本体39a
および平板状のケースキャップ39bからなるポンプケー
ス39と、その内部に収容されるアウターローター40およ
びインナーローター41と、駆動軸42とを備えて構成され
ている。
【0049】ポンプケースのケース本体39aとケースキ
ャップ39bはボルト38でエンジンホルダー13のポンプ台
座37に共締めされる。駆動軸42はポンプケース39を縦方
向に貫通し、駆動軸42の中間部にインナーローター41が
回転一体に設けられる。アウターローター40はインナー
ローター41に対して偏心しており、アウターローター40
の内周に形成された図示しない内歯車形状の内周にイン
ナーローター41の外周に形成された図示しない外歯車形
状が噛み合わされる。
【0050】また、ケースキャップ39bには略三日月形
状の吸入ポート43と吐出ポート44が駆動軸42を挟んで対
抗するように穿設されており、この吸入ポート43と吐出
ポート44に整合するようにエンジンホルダー13のポンプ
台座37に略三日月形状の吸入穴45と吐出穴46が形成され
ている。なお、駆動軸42の上端はエンジンホルダー13の
上面から突出し、エンジン6のカムシャフト30の下端に
回転一体に、かつ分離可能に連結される。
【0051】一方、エンジンホルダー13の内部には、図
1および図5,6,9に示すようにオイルポンプ36から
延びるオイル吸入通路48とオイル吐出通路49が一体に形
成されている。このうち、オイル吸入通路48は平面視で
オイルポンプ36の駆動軸42の左側をエンジンホルダー13
の後端から前方に向かって延びるように形成されてい
る。
【0052】また、オイル吐出通路49は、平面視でオイ
ルポンプ36の駆動軸42の右側をエンジンホルダー13の後
端から前方に向かって延びるように形成された第1吐出
通路49aと、エンジンホルダー13の右側から左方に向か
って延びるように形成された第2吐出通路49bとがL字
形に連通した通路である。このように、オイル吸入通路
48とオイル吐出通路49の第1吐出通路49aはオイルポン
プ36の駆動軸42を挟むようにして平行に形成されてい
る。
【0053】例えばエンジンホルダー13の内部には、そ
の鋳造時に予め図6に示すような前後方向に延びる2本
の平行な厚肉部50,51と左右方向に延びる1本の厚肉部
52が形成され、これらの厚肉部50,51,52の中心軸を貫
くようにしてエンジンホルダー13の後端と右側からドリ
ル加工等によってオイル吸入通路48とオイル吐出通路49
の第1および第2吐出通路49a,49bが切削形成され
る。なお、これらのオイル通路48,49a,49bの形成
後、その外側の開口部がプラグ53a,53b,53cで閉塞
される。
【0054】オイル吸入通路48と第1吐出通路49aに
は、それぞれポンプ台座37の吸入穴45と吐出穴46が通じ
ている。また、オイル吸入通路48はオイル吐出通路49の
第1吐出通路49aよりも短く形成されており、その先端
部にはエンジンホルダー13の下面に開口するストレーナ
ーポート55が連通している。また、図9にも示すよう
に、第2吐出通路49bの外端部付近にはエンジンホルダ
ー13の上面に開口する短いアウトレットポート56が連通
している。
【0055】さらに、エンジンホルダー13の下面側に油
圧制御弁台座57(図6参照)が設けられており、この油
圧制御弁台座57の中心に穿設された短い油圧制御弁通路
58がオイル吐出通路49の第1吐出通路49aと第2吐出通
路49bの交点付近に連通している。
【0056】油圧制御弁台座57には油圧制御弁59が取り
付けられる。油圧制御弁台座57は、例えば左斜め下方に
向かって傾斜するように形成されているため、油圧制御
弁59も左斜め下方を向いて傾斜する形となり、これによ
って油圧制御弁59の下端がエンジンホルダー13の下側の
接合面13a(図4参照)から突出しないようになってい
る。
【0057】また、オイル吸入通路48の入口であるスト
レーナーポート55にはオイルストレーナー61が接続され
る。このオイルストレーナー61もエンジンホルダー13の
下面側に固定される。オイルストレーナー61は、オイル
の吸入口となるストレーナー部62と、ストレーナー部62
から上方に略S字形に湾曲して延びるストレーナーパイ
プ63と、同じくストレーナー部62から上方に延びる板金
製の支持脚部64とを備えて構成されている。
【0058】図3〜図5に示すように、ストレーナーパ
イプ63の上端には固定板65が固着されており、この固定
板65が図6に示すストレーナーポート55の側部に形成さ
れたストレーナー締結台座66にボルト67で締結されるこ
とによってストレーナーパイプ63の上端がストレーナー
ポート55に接続される。
【0059】一方、図4、図5および図9に示すよう
に、支持脚部64の上端は屈曲加工されて水平に延びる固
定片68が形成されている。この固定片68は、ボルト69で
エンジンホルダー13の下面に形成されたストレーナー締
結台座70に締結され、これによってストレーナー部62が
エンジンホルダー13の下部に懸架される。
【0060】固定片68はストレーナー締結台座66から前
述した油圧制御弁59の下方まで水平に延びるように形成
されており、油圧制御弁59の抜脱防止部としても機能す
る。即ち、エンジン振動等に起因して油圧制御弁59が緩
んでも、油圧制御弁59はその直下に位置する固定片68に
当接するのでそれ以上は緩まない。このため、油圧制御
弁59の抜脱が防止される。
【0061】図10はオイルパン14の上面図である。オイ
ルパン14の内部スペースの大半はオイル貯溜槽71で占め
られており、この中にオイルが満たされる。エンジンホ
ルダー13の下面にオイルパン14が固定されると、オイル
ストレーナー61のストレーナー部62がオイル貯溜槽71の
底部まで沈む(図2参照)。
【0062】例えばオイルパン14内部の右寄りの部分に
は排気通路72と給水通路73と排水通路74が一体に形成さ
れている。これらの通路72,73,74はエンジン6から下
方に延びてオイルパン14の内部を縦方向に貫通する通路
である。また、図5,6,9に示すように、エンジンホ
ルダー13にはオイルパン14の排気通路72と給水通路73と
排水通路74に整合するように排気穴75と給水穴76と排水
穴77が形成されている。
【0063】なお、エンジンホルダー13とオイルパン14
の前端部にはドライブシャフト19が挿通されるドライブ
シャフト挿通口78,79が形成されている。また、エンジ
ンホルダー13の前部には左右一対のマウント台座80,80
が設けられており、ここに前記マウント部23が取り付け
られる。
【0064】さらに、エンジンホルダー13には、その中
央部の左寄りに位置する前後2つの孔状のオイル戻し通
路81,82と、オイルポンプ台座37の近傍に位置する左右
一対の小孔状のオイル戻し通路83,84が一体に形成され
ている。これらのオイル戻し通路81〜84は、エンジン6
の内部に供給されたオイルをオイルパン14のオイル貯溜
槽71に戻すための通路である。
【0065】一方、図2に示すようにエンジン6のシリ
ンダーブロック10には、縦に延びるオイル供給通路86
と、これに平行するメインオイルギャラリー87が形成さ
れている。オイル供給通路86は、エンジンホルダー13に
形成されたオイル吐出通路49(第2吐出通路49b)のア
ウトレットポート56に整合するように形成されており、
その上端がシリンダーブロック10の右側面に設けられた
オイルフィルター台座88に繋がっている。
【0066】また、メインオイルギャラリー87はシリン
ダーブロック10を縦に貫通してオイルフィルター台座88
に直交するように形成されており、その上下の開口部が
プラグ89a,89bで閉塞されている。このメインオイル
ギャラリー87からは、クランクシャフト7の軸受部に繋
がる軸受オイル通路90と、シリンダーヘッド11の内部に
延びてカムシャフト30の軸受部や動弁装置等に繋がるヘ
ッドオイル通路91が分岐している。
【0067】オイルフィルター台座88にはオイルフィル
ター92が交換可能に設置され、オイル供給通路86はオイ
ルフィルター92の内部を経てメインオイルギャラリー87
に通じるようになっている。
【0068】潤滑装置35は以上のように構成されてい
る。
【0069】船外機1のエンジン6が作動すると、カム
シャフト30の回転と共にオイルポンプ36が駆動され、オ
イルパン14のオイル貯溜槽71に貯溜されたオイルが、オ
イルストレーナー61→オイル吸入通路48→オイルポンプ
36→オイル吐出通路49→アウトレットポート56→オイル
供給通路86→オイルフィルター92→メインオイルギャラ
リー87という順路で流れてエンジン6の内部に行き渡
り、エンジン6の内部を潤滑する。
【0070】エンジン6の内部を潤滑し終わったオイル
は、エンジン6の内部を下方に流下してオイルパン14の
オイル貯溜槽71に戻る。そのうち、クランクケース9と
シリンダーブロック10の内部に供給されたオイルはエン
ジンホルダー13のオイル戻し通路81,82を通ってオイル
貯溜槽71に戻り、シリンダーヘッド11の内部に供給され
たオイルはエンジンホルダー13のオイル戻し通路83,84
を通ってオイル貯溜槽71に戻る。
【0071】なお、オイルポンプ36のオイル吐出圧力が
必要以上に高まった場合には、オイル吐出通路49に設け
られた油圧制御弁59が開弁して余剰なオイルがオイル貯
溜槽71に戻される。このため、油圧制御弁59以降のオイ
ル通路内において圧力が過剰になることがなく、オイル
漏れが防止される。
【0072】このように構成された潤滑装置35は、その
オイルポンプ36がエンジン6の下部に固定されるエンジ
ンホルダー13の下面側に設けられているため、図11に示
すようにエンジン6が単体で船外機1から分離される際
にはオイルポンプ36がエンジンホルダー13側に残され
る。
【0073】このため、オイルポンプ36がエンジン6の
下面に突出することがなく、外的要因によってオイルポ
ンプ36が破損する懸念がないのに加え、エンジン6を平
坦な作業台等の上に載置して整備できるので非常に整備
性が良い。しかも、エンジン6が降ろされてもオイルポ
ンプ36がオイルパン14内に保たれるのでオイルポンプ36
の乾燥や異物の混入が防止され、オイルポンプ36が長寿
命化する。
【0074】また、オイルポンプ36から延びるオイル吸
入通路48とオイル吐出通路49がエンジンホルダー13の内
部に一体に形成されているので、これらのオイル通路4
8,49を従来の船外機のようにエンジンのシリンダーヘ
ッドやシリンダーブロック内部に形成する必要がない。
このため、エンジン6の製造性が飛躍的に向上した。し
かも、オイル吸入通路48とオイル吐出通路49の形成によ
るエンジンホルダー13自体の大型化は殆ど有り得ないた
め、エンジン6のコンパクト化や重量軽減にも大きく貢
献している。
【0075】さらに、オイル吸入通路48とオイル吐出通
路49の第1吐出通路49aがオイルポンプ36の駆動軸42を
挟むようにして平行にエンジンホルダー13に形成されて
いるので、オイル吸入通路48と第1吐出通路49aをドリ
ル加工等によって形成する際における加工性が非常に良
くなっている。
【0076】また、油圧制御弁59とオイルストレーナー
61が共にエンジンホルダー13の下面側に設けられている
ため、図11のようにエンジン6が単体で船外機1から分
離された場合に油圧制御弁59とオイルストレーナー61が
エンジンホルダー13側に残ることになり、外的要因によ
る油圧制御弁59とオイルストレーナー61の破損を防止で
きる。しかも、エンジン6を降ろす時に油圧制御弁59と
オイルストレーナー61を取り外す作業が要らないので作
業性も向上する。
【0077】油圧制御弁59はエンジンホルダー13の下面
に傾斜して設けられており(図4)、エンジンホルダー
13の下側の接合面13aから突出していないため、オイル
ポンプ36とオイルストレーナー61さえ取り外せばエンジ
ンホルダー13を平坦な作業台等に載置することができ
る。このため、エンジンホルダー13を単体で整備するよ
うな場合においても整備性が良い。また、この場合でも
油圧制御弁59が他の物体に接触することがないので油圧
制御弁59の破損が防止される。
【0078】なお、油圧制御弁59はエンジンホルダー13
に一体に形成された継ぎ目の無いオイル吐出通路49に設
けられているため、最も油圧の高まるオイル吐出通路49
からのオイル漏れの発生を効果的に防止することができ
る。
【0079】一方、オイルストレーナー61の支持脚部64
を屈曲させて形成した固定片68が油圧制御弁59の抜脱防
止部としても機能するので、万一油圧制御弁59が緩んで
も固定片68によって油圧制御弁59の抜脱が阻止される。
従って、油圧が低下することがなく、簡素な構造によっ
て潤滑装置35の健全性を保つことができる。
【0080】また、エンジン6の内部に供給されたオイ
ルをオイルパン14に戻す孔状のオイル戻し通路81〜84を
エンジンホルダー13に一体に形成したので、従来の船外
機のようにエンジンのシリンダーヘッドやシリンダーブ
ロックに専用のオイル戻し通路を形成する必要がない。
このため、エンジン6内部の構造を簡素に保ちながらオ
イルを速やかにオイルパン14に戻すことができる。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る船外
機の潤滑装置は、オイルポンプをエンジンホルダーの下
面側に設け、このオイルポンプから延びるオイル吸入通
路とオイル吐出通路をエンジンホルダーの内部に一体に
形成したため、エンジンを単体で船外機から降ろす際に
おけるオイルポンプの破損防止とエンジン整備性の向上
を図ると共に、エンジンが降ろされた際のオイルポンプ
の乾燥や異物の混入を防止してオイルポンプを長寿命化
させ、併せてエンジンの製造性向上とコンパクト化を図
ることができる。
【0082】また、本発明に係る船外機の潤滑装置は、
オイルポンプの駆動軸を挟むようにしてオイル吸入通路
とオイル吐出通路を平行にエンジンホルダーに形成した
ので、オイル吸入通路とオイル吐出通路を容易に形成す
ることができる。
【0083】さらに、本発明に係る船外機の潤滑装置
は、オイル吸入通路の入口側に接続されるオイルストレ
ーナーをエンジンホルダーの下面側に固定したため、エ
ンジンを単体で船外機から降ろす際におけるオイルスト
レーナーの破損を防止するとともにオイルストレーナー
取り外しの手間を省いて作業性を向上するとができる。
【0084】そして、本発明に係る船外機の潤滑装置
は、オイル吐出通路に油圧制御弁を設け、この油圧制御
弁をエンジンホルダーの下面側に配置し、かつ油圧制御
弁がエンジンホルダーの下側の接合面から突出しないよ
うに油圧制御弁を傾斜させたため、エンジンを単体で船
外機から降ろす際における油圧制御弁の破損を防止する
とともに、エンジンホルダーを単体で整備する場合にお
いても油圧制御弁の破損防止と整備性の向上を図ること
ができ、併せてオイルポンプのオイル吐出通路からのオ
イル漏れを防止することができる。
【0085】また、本発明に係る船外機の潤滑装置は、
オイルストレーナーの支持脚部を屈曲させて油圧制御弁
の抜脱防止部を設けたため、簡素な構造により効果的に
油圧制御弁の抜脱を防止可能にして潤滑装置の健全性を
保つことができる。
【0086】さらに、本発明に係る船外機の潤滑装置
は、エンジンの内部に供給されたオイルをオイルパンに
戻す孔状のオイル戻し通路をエンジンホルダーに一体に
形成したので、エンジン内部の構造を簡素に保ちながら
エンジン内部に供給されたオイルを速やかにオイルパン
に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す船外機の左側面図。
【図2】エンジンの左側面と、エンジンホルダー、オイ
ルパン、ドライブシャフトハウジングの縦断面を示す
図。
【図3】図2の III部拡大図。
【図4】エンジンホルダー、オイルポンプ、オイルスト
レーナーの左側面図。
【図5】オイルポンプとオイルストレーナーが取り付け
られたエンジンホルダーの下面図。
【図6】オイルポンプとオイルストレーナーが取り外さ
れたエンジンホルダーの下面図。
【図7】オイルポンプの上面図。
【図8】図7の VIII-VIII線に沿うオイルポンプの縦断
面図。
【図9】エンジンホルダーの上面図。
【図10】オイルパンの上面図。
【図11】エンジンが単体で船外機から分離された状態
を示す図。
【符号の説明】
1 船外機 6 エンジン 7 クランクシャフト 13 エンジンホルダー 13a エンジンホルダーの下側の接合面 14 オイルパン 35 潤滑装置 36 オイルポンプ 42 オイルポンプの駆動軸 48 オイル吸入通路 49 オイル吐出通路 59 油圧制御弁 61 オイルストレーナー 64 オイルストレーナーの支持脚部 68 油圧制御弁の抜脱防止部として機能する固定片 81〜84 オイル戻し通路

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクシャフト7が鉛直方向を向くよ
    うに縦起きにエンジン6が搭載され、このエンジン6の
    下部にエンジンホルダー13とオイルパン14が順に固定さ
    れ、オイルパン14内に貯溜されたオイルをオイルポンプ
    36で吸い上げてエンジン6に供給するように構成された
    船外機の潤滑装置において、オイルポンプ36をエンジン
    ホルダー13の下面側に設け、このオイルポンプ36から延
    びるオイル吸入通路48とオイル吐出通路49をエンジンホ
    ルダー13の内部に一体に形成したことを特徴とする船外
    機の潤滑装置35。
  2. 【請求項2】 オイルポンプ36の駆動軸42を挟むように
    してオイル吸入通路48とオイル吐出通路49(49a)を平
    行にエンジンホルダー13に形成した請求項1に記載の船
    外機の潤滑装置35。
  3. 【請求項3】 オイル吸入通路48の入口側に接続される
    オイルストレーナー61をエンジンホルダー13の下面側に
    固定した請求項1および2に記載の船外機の潤滑装置3
    5。
  4. 【請求項4】 オイル吐出通路49に油圧制御弁59を設
    け、この油圧制御弁59をエンジンホルダー13の下面側に
    配置し、かつ油圧制御弁59がエンジンホルダー13の下側
    の接合面13aから突出しないように油圧制御弁59を傾斜
    させた請求項1および2に記載の船外機の潤滑装置35。
  5. 【請求項5】 オイルストレーナー61の支持脚部64を屈
    曲させて油圧制御弁59の抜脱防止部(68)を設けた請求
    項4に記載の船外機の潤滑装置35。
  6. 【請求項6】 エンジン6の内部に供給されたオイルを
    オイルパン14に戻す孔状のオイル戻し通路81〜84をエン
    ジンホルダー13に一体に形成した請求項1に記載の船外
    機の潤滑装置35。
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