JP3367220B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JP3367220B2 JP23534994A JP23534994A JP3367220B2 JP 3367220 B2 JP3367220 B2 JP 3367220B2 JP 23534994 A JP23534994 A JP 23534994A JP 23534994 A JP23534994 A JP 23534994A JP 3367220 B2 JP3367220 B2 JP 3367220B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解コンデンサに係
り、特に4級アンモニウム塩を含有する電解液を含浸し
たコンデンサ素子からなる電解コンデンサ(以下、単に
電解コンデンサと略称することがある)に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種の電解コンデンサ10
(図1および図2参照)は、アルミニウム箔とセパレー
タ紙を交互に重ね合わせたコンデンサ素子12を、これ
に外部接続用端子14を接続した上で外装ケース16内
に収納し、その後、この外装ケース16の開口部を封口
体22で封止するよう構成されている。なお、コンデン
サ素子12には、前述したように、4級アンモニウム塩
を含有した電解液が含浸されており、また、外部接続用
端子14は、通常、丸棒部18aおよび平坦部18bか
らなるアルミニウム導体18と、これに接続される外部
引出し線20とから形成されている。
【0003】しかるに、この種の電解コンデンサ10
は、一般に、外部接続用端子(特に陰極側)14の封口
体22に対する接触面、すなわち、封口体挿通部22a
内に挿通支持される丸棒部18a部分、の耐性が劣るた
め、挿通部22a内に介在する電解液の電気化学的作用
により、液漏れが発生する難点を有する。そこで、近
来、前記難点を克服すべく、外部接続用端子の少なくと
も所要部分(前記丸棒部部分)の前記耐性を向上するよ
うこれをを化成処理する技術(例えば、特公昭60ー3
2346号公報参照)が開発、適用されている。
【0004】しかしながら、前記技術においても、な
お、前記難点は完全には解決されないことが判明した。
すなわち、前記技術においては、化成処理されている端
子部分(特にその接触面)に接触する電解液のpH値が
上昇し、このため結果的に、前記接触面の物性が劣化さ
れて封口体のシールド性が低下し、電解液の液漏れが、
従来と同じく発生することが確認された。なお、前記電
解液pH値の上昇現象は、現在は未だその原因が解明さ
れていないが、実際的には、pH値が初期の7程度から
使用時の10〜14程度にまで上昇するものである。因
みに、前記電解液の液漏れは、電解液のドライアップを
招来して寿命特性を劣化させることは明らかである。
【0005】そこで、本出願人は、先に前記難点を完全
に克服することができる、すなわち端子接触面からの電
解液液洩れを完全に防止することができる新規技術を開
発し、特許出願(特願平5−255869号)を行っ
た。すなわち、前記新規技術は、前記電解コンデンサに
おいて、その外部接続用端子の封口体に対する接触面
(端子接触面)に、セラミックスコーティング層を形成
するように構成されている。従って、本技術(以下、端
子接触面コーティング技術と略称する)によれば、前記
セラミックスコーティング層が、4級アンモニウム塩を
含有する電解液とアルミニウム導体からなる外部接続用
端子との接触に際して、端子接触面に対しては電気化学
的耐性を付与して漏れ電流を抑止し、一方電解液に対し
ては絶縁層を形成してその変質を防止することができ
る。すなわち、電解液のpH値が上昇して封口体のシー
ルド性を低下させることによる前記電解液の液漏れの発
生を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記端
子接触面コーティング技術においても、なお以下に述べ
るような難点が発生していた。
【0007】すなわち、前記技術においては、前述した
ように、端子接触面18aからの電解液の液漏れは完全
に防止される。しかしながら、ケース接触面16a(外
装ケース16の封口体22に対する接触面)からの電解
液の液漏れは、従来と同じく発生していた。なお、この
ことは、以下に説明するように、当然のことであるが不
注意に見過ごされていた。すなわち、コンデンサの製造
においては、コンデンサ素子12の外装ケース16内へ
の挿入に際して、ケース内壁には電解液が付着するが、
次工程において封口体22が挿着されると、この封口体
22に対するケース接触面16aには前記付着液が残存
している。従って、ケース接触面16aが仮に化成処理
されていても、これに接触している前記付着電解液は、
前述した端子接触面18aの場合と同様に、そのpH値
が上昇し、このため前記ケース接触面の物性が劣化して
封口体のシールド性が低下し、結果的に電解液の液漏れ
が発生していた。なお、この現象は、端子接触面に関す
る電解液の液漏れに対しても悪影響を及ぼすことは明ら
かである。
【0008】そこで、本発明の目的は、外装ケースの封
口体に対する接触面からの電解液の液漏れを防止するこ
とができる比較的低コストに製造し得る電解コンデンサ
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明な係る電解コンデンサは、4級アンモニウム
塩を含有する電解液を含浸したコンデンサ素子を外装ケ
ース内に収納し、前記外装ケースの開口部を封口体によ
り封止した電解コンデンサにおいて、前記外装ケースの
前記封口体に対する接触面に、セラミックスコーティン
グ層を形成することを特徴とする。
【0010】この場合、セラミックスコーティング層
は、コンデンサ製造工程の前に予め形成することができ
る。
【0011】
【作用】セラミックスコーティング層は、4級アンモニ
ウム塩を含有する電解液と外装ケースとの接触に際し
て、外装ケースに対しては電気化学的耐性を付与し、一
方電解液に対しては絶縁層を形成してその変質を防止す
ることができる。すなわち、電解液のpH値が上昇して
封口体のシールド性が低下することによる、電解液の液
漏れを防止することができる。しかも、前記コーティン
グ層は、コンデンサの製造工程の前に予め形成されてい
るので、このような電解コンデンサを比較的低コストに
製造することが可能となる。なお、本発明のこの技術
(以下、ケース接触面コーティング技術と略称する)を
前述した端子接触面コーティング技術と併用すれば、電
解コンデンサからの電解液の液漏れが完全に防止され、
いわゆるドライアップが阻止されることは明らかであ
る。
【0012】
【実施例】次に、本発明に係る電解コンデンサの実施例
につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0013】図1および図2において、先ず初めに、本
発明に係る電解コンデンサの基本的構成は、前記従来の
ものと同一である。すなわち、電解コンデンサ10は、
前述したように、外部接続用端子14を接続したコンデ
ンサ素子12を外装ケース16内に収納し、その後、こ
の外装ケース16の開口部を封口体22で封止するよう
構成されている。そして、同じく前述したように、コン
デンサ素子12は、4級アンモニウム塩を含有した電解
液を含浸しており、また外部接続用端子14は、丸棒部
18aおよび平坦部18bからなるアルミニウム導体1
8と、これに接続される外部引出し線20とから形成さ
れている。
【0014】しかるに、本発明においては、外装ケース
16の封口体22に対する接触面(ケース接触面)16
aを、コンデンサの製造工程に先立ち、予めセラミック
スコーティングする。すなわち、前記ケース接触面16
aを、例えばAl2 3 もしくはSiO2 からなる金属
アルコキシド系セラミックス液からなるコーティング剤
中に浸漬した後、例えば100℃で30分間熱処理し、
次いで再度前記溶液中に浸漬した後、再び例えば100
℃で60分間熱処理することにより、前記接触面16a
上にコーティング層を形成することができる。なお、コ
ーティングセラミックスとしては、前述のAl2 3
SiO2 の他に、TiO2 、MgO、SiZrO4 、H
2 BO3 、ZrO2 、Cr2 3 等を用いても良い。な
お、ここで、コンデンサの製造工程自体は、従来のもの
と同一であるので、説明は省略する。
【0015】このように、本発明によれば、外装ケース
の封口体に対する接触面(ケース接触面)、すなわちこ
の接触面にはコンデンサ組付け時に付着電解液が介在し
ており、従ってこの接触面には、外装ケースに対しては
電気化学的耐性を付与し、一方電解液に対しては絶縁層
を形成してその変質を防止するセラミックスコーティン
グ層が形成されているので、電気化学的作用を原因とす
る封口体のシールド性低下による、ケース接触面からの
電解液の液漏れを防止することができる。なお、この場
合、電解液の前記付着量は、コーティング層の形成によ
り大幅に減少するので、前記液漏れ防止が一層確保され
る。また、コーティング層は、コンデンサの製造工程の
前に予め形成されるので、この種の電解コンデンサを比
較的低コストに製造することができる。また、本発明の
技術、すなわちケース接触面コーティング技術を、前述
した端子接触面コーティング技術と併用することによ
り、電解コンデンサ全体からの電解液の液漏れが完全に
防止されるので、いわゆるコンデンサのドライアップが
阻止されることは明らかである。
【0016】表1に、このような構成からなる本発明の
実施例による電解コンデンサと、従来例の、すなわちセ
ラミックスコーティング層を形成していない外装ケース
を用いた電解コンデンサとの比較実験結果を示す。実験
は、両者共に、製品定格:10V・1500μF、電解
液:フタル酸モノテトラメチルアンモニウム 20wt
%、γ−ブチロラクトン溶液のものを使用し、105℃
の条件下で定格電圧(10V)を印加した場合の200
0時間経過後における、ケース接触面からの電解液の液
漏れ状態を観察したものである。実験結果から、従来例
においては液漏れが発生しているのに対し、本発明の実
施例においては発生していないことが確認された。
【0017】
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電解
コンデンサは、4級アンモニウム塩を含有する電解液を
含浸したコンデンサ素子を外装ケース内に収納し、前記
外装ケースの開口部を封口体により封止した電解コンデ
ンサにおいて、前記外装ケースの前記封口体に対する接
触面(ケース接触面)に、セラミックスコーティング層
を形成する構成としたことにより、電解液が介在するケ
ース接触面において、外装ケースに対しては電気化学的
耐性を付与し、一方電解液に対しては絶縁層を形成して
その変質を防止することができる。従って、電気化学的
作用を原因とする封口体のシールド性の低下が防止さ
れ、ケース接触面からの電解液の液漏れが阻止される。
また、前記コーティング層は、コンデンサの製造工程の
前に予め形成されるので、前記電解コンデンサを比較的
低コストに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電解コンデンサのコンデンサ素子
を挿入した状態における外装ケースを示す斜視図であ
る。
【図2】図1における外装ケースの開口部を封口体で封
止した状態のII−II線断面図である。
【符号の説明】
10 電解コンデンサ 12 コンデンサ素子 14 外部接続用端子 16 外装ケース 16a ケース接触面 18 アルミニウム導体 18a 丸棒部(端子接触面) 18b 平坦部 20 外部引出し線 22 封口体 22a 挿通部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/10 H01G 9/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4級アンモニウム塩を含有する電解液を
    含浸したコンデンサ素子を外装ケース内に収納し、前記
    外装ケースの開口部を封口体により封止した電解コンデ
    ンサにおいて、前記外装ケースの前記封口体に対する接
    触面に、セラミックスコーティング層を形成することを
    特徴とする電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 セラミックスコーティング層は、コンデ
    ンサ製造工程の前に予め形成してなる請求項1記載の電
    解コンデンサ。
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