JP3366918B2 - 変性ポリエステルの製造方法 - Google Patents

変性ポリエステルの製造方法

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JP3366918B2
JP3366918B2 JP27336094A JP27336094A JP3366918B2 JP 3366918 B2 JP3366918 B2 JP 3366918B2 JP 27336094 A JP27336094 A JP 27336094A JP 27336094 A JP27336094 A JP 27336094A JP 3366918 B2 JP3366918 B2 JP 3366918B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2種以上のポリエステ
ルを溶融混合することにより変性ポリエステルを製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルに高度な機能を付与する方
法のひとつとして、ポリエステルに該ポリエステル構成
成分以外の成分(以下、「変性成分」と呼ぶ。)を共重
合する方法がある。この方法は、通常、ポリエステルの
重縮合反応が完結する以前の段階で、エステル形成性官
能基を有する変性成分を反応系へ添加することによって
行なわれている。この方法では分子鎖中に変性成分がラ
ンダムに共重合されるので、共重合率を多くするにつれ
てポリエステルの融点が低下する。
【0003】一方、別法としてポリエステルと、変性成
分を構成成分の少なくとも一部として含むポリエステル
(ホモポリエステルまたはコポリエステル)を溶融混合
することにより、融点を下げずに変性ポリエステルを得
る方法が提案されている。例えば、ポリエチレンテレフ
タレートと脂肪族ポリエステルを溶融混合してポリエチ
レンテレフタレートの柔軟性や染色性を改善する方法、
ポリエチレンテレフタレートと、スルホネート化合物を
共重合したポリエステルを溶融混合してポリエチレンテ
レフタレートの親水性や染色性を改善する方法などがあ
る。
【0004】しかしながら、これらの方法でも2種以上
のポリエステルを溶融混合すると、ポリエステル分子鎖
及びポリエステル分子鎖中でエステル交換反応が進行す
る。従って、2種以上のポリエステルを溶融混合してい
る間に変性ポリエステルの融点などの熱特性が変化しや
すいため、熱特性を変化させずに変性ポリエステルを製
造できる条件の範囲が極めて狭い。融点などの熱特性を
変化させないためには、2種以上のポリエステルを溶融
混合する際に進行するエステル交換反応を停止または抑
制することにより可能となる。エステル交換反応を停止
または抑制することにより、高融点でかつ熱的に安定で
ある変性ポリエステルを得ることができる。
【0005】特公昭46−35500号公報には、2種
以上のポリエステルを溶融混合する際に有機および無機
のリン化合物を添加し、エステル交換反応を抑制ないし
停止することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの研究によ
ると、上記特公昭46−35500号公報に記載された
具体的なリン化合物の中で、リン酸水素アンモニウム、
リン酸2水素アンモニウムおよび亜リン酸2水素アンモ
ニウムのいずれかを使用するとエステル交換反応を停止
または抑制する効果が大きいことを確認した。しかし、
本発明者らは上記効果が大きい利点の反面、混合ポリエ
ステルが黄褐色に着色することおよび該混合ポリエステ
ルの耐加水分解性が低下する欠点があり、これを解決す
る新たな課題が存在することを知った。
【0007】かくして、本発明の目的は、2種以上のポ
リエステルを溶融混合して変性ポリエステルを製造する
方法にあって、(イ)上記溶融混合の際にエステル交換
反応を停止または抑制することができ、かつ(ロ)得ら
れた変性ポリエステルの着色および耐加水分解性の低下
が実質的に生じることのない、変性ポリエステルの製造
方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式
(1)、(2)、(3)および(4)
【0009】
【化2】
【0010】(上記式中、Xは窒素原子または燐原子で
あり、R1、R2、R3およびR4は、各々独立に、炭素数
1〜4のアルキル基またはフェニル基である)で示され
る化合物群から選択される少なくとも1種のリン化合物
の存在下に、2種以上のポリエステルを溶融混合するこ
とを特徴とする変性ポリエステルの製造方法が提供され
て、本発明の上記目的が達成される。
【0011】前記式(1)、(2)、(3)および
(4)で示されるリン化合物は特公昭46−35500
号公報には記載されていない。しかも、これらリン化合
物の存在下に2種以上のポリエステルを溶融混合したと
きに、着色および耐加水分解性の低下が実質的に生じな
いことを該公報は開示ないし示唆していない。
【0012】以下、本発明を詳述するがそれにより本発
明の他の目的、構成、利点および効果が明らかとなろ
う。
【0013】本発明の変性ポリエステルの製造方法にお
いて2種以上のポリエステルは、前記式(1)〜(4)
で示される化合物群から選択される少なくとも1種のリ
ン化合物の存在下に溶融混合される。前記式(1)〜
(4)において、Xは窒素原子または燐原子であり、燐
原子が得られる変性ポリエステルの着色防止効果がより
大きいので好ましい。
【0014】R1、R2、R3およびR4は、相互に独立し
て、炭素原子数1〜4のアルキル基またはフェニル基で
ある。上記アルキル基は直鎖でも或いは分岐していても
よく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等を
挙げることができる。R1、R2、R3およびR4のいずれ
か1つでも炭素原子数5以上のアルキル基である場合、
得られる変性ポリエステルの着色が生じると共に耐加水
分解性が不良となる。
【0015】かかるリン化合物は、例えばリン酸又は亜
リン酸と水酸化第4級アンモニウム又は水酸化第4級ホ
スホニウムとを部分中和反応させることにより容易に得
ることができる。
【0016】前記一般式(1)〜(4)で示されるリン
化合物の好ましい具体例としては、リン酸2水素テトラ
−n−ブチルアンモニウム、リン酸2水素テトラ−n−
ブチルホスホニウム、リン酸水素2テトラ−n−ブチル
アンモニウム、リン酸水素2テトラ−n−ブチルホスホ
ニウム、亜リン酸2水素テトラ−n−ブチルアンモニウ
ム、亜リン酸2水素テトラ−n−ブチルホスホニウム、
リン酸2水素テトラメチルアンモニウム、リン酸2水素
テトラメチルホスホニウム、リン酸水素2テトラメチル
アンモニウム、リン酸水素2テトラメチルホスホニウ
ム、亜リン酸2水素テトラメチルアンモニウム、亜リン
酸2水素テトラメチルホスホニウム、リン酸2水素テト
ラエチルアンモニウム、リン酸2水素テトラメチルホス
ホニウム、リン酸水素2テトラエチルアンモニウム、リ
ン酸水素2テトラエチルホスホニウム、亜リン酸2水素
テトラエチルアンモニウム、亜リン酸2水素テトラエチ
ルホスホニウム、リン酸2水素テトラフェニルアンモニ
ウム、リン酸2水素テトラフェニルホスホニウム、リン
酸水素2テトラフェニルアンモニウム、リン酸水素2テ
トラフェニルホスホニウム、亜リン酸2水素テトラフェ
ニルアンモニウム、亜リン酸2水素テトラフェニルホス
ホニウム、リン酸2水素メチルトリ−n−ブチルホスホ
ニウム等を挙げることができる。
【0017】なかでもホスホニウム塩が好ましく、特に
リン酸2水素テトラ−n−ブチルホスホニウム、リン酸
水素2テトラ−n−ブチルホスホニウム、リン酸2水素
メチルトリ−n−ブチルホスホニウム、リン酸2水素テ
トラフェニルホスホニウム、リン酸水素2テトラフェニ
ルホスホニウムおよび亜リン酸2水素テトラフェニルホ
スホニウムが特に好ましい。
【0018】前記一般式(1)〜(4)で表わされるリ
ン化合物は、1種のみを単独で使用してもよく、或いは
2種以上を併用して使用してもよい。その配合量は特に
制限されないが、エステル交換反応を効果的に抑制でき
ることおよび得られる変性ポリエステルの物性と成形性
を良好に維持できることから、溶融混合する2種以上の
ポリエステルの合計重量基準で好ましくは0.001〜
1重量%、特に好ましくは0.005〜0.5重量%であ
る。
【0019】本発明では、2種以上のポリエステルの溶
融混合はこれらリン化合物の少なくとも1種の存在下に
行われる。リン化合物の添加時期は、例えば溶融混合に
供するポリエステルに予めリン化合物を添加しておいて
もよく、2種以上のポリエステルの溶融開始と同時に、
あるいは溶融混合開始から溶融混合終了までの間であっ
て、エステル交換反応が生じる前にリン化合物を添加し
てもよい。本発明においてリン化合物の添加は、1度
に、または2度以上に分割して行ってもよく、また適当
な媒体にリン化合物を予め分散または溶解して添加して
もよい。
【0020】なかでも、好ましいリン化合物の添加方法
として、溶融混合に供するポリエステルに予めリン化合
物を添加しておく方法又は2種以上のポリエステルの溶
融開始と同時に添加する方法をあげることができる。
【0021】本発明で溶融混合する2種以上のポリエス
テルはジカルボン酸成分とジオール成分からなるポリエ
ステル、オキシカルボン酸成分からなるポリエステル、
さらにはジカルボン酸成分、ジオール成分およびオキシ
カルボン酸成分からなるポリエステルから選択すること
ができる。
【0022】具体的なポリエステルの構成成分として、
テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸等のジカルボン酸成分;エチレングリコール、1,3
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、
1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノ
ールAまたはそのエチレンオキサイド付加物等のジオー
ル成分;ε−カプロラクトン、オキシ安息香酸、3−ヒ
ドロキシ酪酸等のオキシカルボン酸成分等を挙げること
ができる。
【0023】ポリエステルはホモポリエステルあるいは
コポリエステルいずれかでもよい。
【0024】本発明の製造方法で用いられる2種以上の
ポリエステルはそれ自体公知の方法で製造することがで
きる。例えばポリエチレンテレフタレートの場合、テレ
フタル酸またはその低級アルキルエステルとエチレング
リコールをエステル化反応またはエステル交換反応せし
めて低重合体を合成した後、高温、高真空下で重縮合反
応せしめることにより製造できる。さらに必要に応じて
固相重合を行うこともできる。
【0025】本発明において、2種以上のポリエステル
として如何なるものを選択するかは、製造される変性ポ
リエステルの物性、機能をどのようなものにするかによ
って決めることができる。
【0026】例えば高融点および高結晶性であり、しか
も優れた染色性または/および柔軟性を有する変性ポリ
エステルを製造する場合は、上記機能を与える変性成分
を含まない芳香族ホモポリエステルと該変性成分を含む
ポリエステルの組合わせが好ましい。
【0027】変性成分を含まない芳香族ホモポリエステ
ルとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよ
びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートから選
ばれる芳香族ホモポリエステルを挙げることができる。
この芳香族ホモポリエステルは、構成成分であるグリコ
ールの2分子脱水縮合反応で例示される、芳香族ホモポ
リエステルの合成段階の副反応で生成する程度の若干の
副生成分が共重合されていてもよい。
【0028】芳香族ホモポリエステルと組合わせる変性
成分を含むポリエステルとしては、芳香族ホモポリエス
テル、芳香族コポリエステル、脂肪族ホモポリエステ
ル、脂肪族コポリエステル、脂環式ホモポリエステルお
よび脂環式コポリエステルを挙げることができる。これ
らは1種単独であるいは2種以上併用して用いることが
できる。
【0029】変性成分としては、イソフタル酸、セバシ
ン酸、アジピン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、5−テトラ−n−ブチルホスホニウムイソフタル
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラメチ
レングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメ
チレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールS
のエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
なかでもイソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、ジエ
チレングリコールが好ましい。
【0030】変性成分を含むポリエステル中の変性成分
の含有率は特に制限されず、得られる変性ポリエステル
が高融点かつ高結晶を保持した上で染色性、柔軟性など
の優れた機能を発現できる点から、該ポリエステルを構
成する全酸成分に対して好ましくは10モル%以上10
0モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上100
モル%以下である。
【0031】変性成分を含むポリエステルの具体例とし
て、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンセバケ
ート、ポリエチレアジペート、全酸成分に対してイソフ
タル酸を30モル%共重合したポリエチレンテレフタレ
ート、ポリ−1,6−ヘキシレンテレフタレート、ポリ
−1,6−ヘキシレンイソフタレートを挙げることがで
きる。
【0032】変性成分を含まない芳香族ホモポリエステ
ルと変性成分を含むポリエステルの混合割合は、意図す
る融点、機械的強度およびその他の物理的性質並びに染
色性および柔軟性を考慮して適切に決めることができ
る。また、予じめ実験により知ることもできる。一般的
には、得られる変性ポリエステルが高融点かつ高結晶性
であるように、変性成分を含まない芳香族ホモポリエス
テルが全ポリエステルの合計量の50〜99重量%を占
めることが好ましく、特には50〜90重量%を占める
ことが好ましい。
【0033】以上は、高融点および高結晶性を有し、し
かも優れた染色性または/および柔軟性を有する変性ポ
リエステルを製造する場合のポリエステルの組合せにつ
いて述べたが、高融点および高結晶性を保持しかつ親水
性を有する変性ポリエステル、高融点および高結晶性を
保持しかつ高収縮性を有する変性ポリエステルなどを製
造する場合において、適切にポリエステルの組合せを選
択することにより、所望の物性および/または機能を有
する変性ポリエステルを得ることができる。
【0034】2種以上のポリエステルの組合せを溶融混
合する方法として、(イ)重縮合反応が終了した時点の
溶融状態にあるいずれか1種のポリエステルに同様の状
態にある他のポリエステルを添加して、溶融混合する方
法、(ロ)重縮合反応が終了した時点の溶融状態にある
いずれか1種のポリエステルに他の種類の固体状のポリ
エステル、例えばポリエステルチップを添加して溶融混
合する方法、および(ハ)固体状体にある2種以上のポ
リエステル、例えば2種以上のポリエステルの各々のチ
ップを溶融混合する方法、などを挙げることができる。
上記(ハ)の方法では、チップなどの固体状態にあるポ
リエステルを予め混合した後、あるいは混合しないで、
前記した溶融混練機に供給して溶融混合しても良く、予
め別々に溶融した状態として前記した溶融混練機に供給
して溶融混合しても良い。
【0035】溶融混合する装置として、ロールミキサー
等の開放型回分式混練装置、バンバリーミキサーあるい
はニーダー等の密閉型回分式混練装置、1軸、2軸およ
び多軸のスクリュ型連続式混練装置、1軸および2軸の
ディスク型連続式混練装置、1軸および2軸のロータ型
連続式混練装置、および静止混練器等の溶融混練機など
の装置を用いることができる。
【0036】2種以上のポリエステルを溶融混合する温
度は、溶融混合に用いるポリエステルの種類などによっ
て異なるが、好ましくはポリエステルの融点以上、分解
温度未満で行なう。また、本発明において2種以上のポ
リエステルを溶融混合する時間は、溶融混合に用いるポ
リエステルの耐熱性などによって異なるが、好ましくは
0.1〜120分である。さらに、本発明における2種
以上のポリエステルを溶融混合する雰囲気は、加圧、常
圧、減圧、不活性気体雰囲気のいずれでもよく、減圧雰
囲気または不活性気体雰囲気が好ましい。
【0037】本発明の方法により得られる変性ポリエス
テルは、艶消剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収
剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、消臭
剤、強化材、顔料、他の高分子化合物などを含有するこ
とができる。
【0038】本発明の方法において、リン化合物を添加
することにより、2種以上のポリエステルを溶融混合し
た際に進行するエステル交換反応を抑制できる理由は未
だ明らかではないが、ポリエステル中に含有される活性
触媒およびポリエステルの末端ヒドロキシル基がポリエ
ステルのエステル交換反応促進作用を有することが知ら
れており、該リン化合物が何らかの形で上記活性触媒の
失活ないし末端ヒドロキシル基の不活性化に関与してい
るものと推定される。
【0039】
【実施例】本発明の具体例を実施例をあげて、更に詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。実施例中の部及び%は特に明示のないかぎ
り各々重量部及び重量%を示す。なお、実施例の記載に
おいて、固有粘度([η])、融点(Tm)、色調(b
値)、耐加水分解性(△[η])は以下の方法で測定し
た。
【0040】(1)固有粘度([η]) オルトフロロフェノール溶液として35℃で測定した。 (2)融点(Tm) 示差走査型熱量計((株)リガク社製DSC−8230
型)を用いて、試料10mg、昇温速度20℃/分で測
定した。 (3)色調(b値) ハンター型色差計によるb値で示した。b値が高いほど
黄色〜褐色を帯びる。 (4)耐加水分解性(△[η]) ポリマーチップ(4mm×2mm×2mm角)を加圧ポ
ット下で130℃、24時間熱水処理し、固有粘度の変
化△[η]を測定することにより求めた。△[η]が小
さいほど耐加水分解性が優れる。
【0041】 [合成例1]ポリエチレンテレフタレートの合成 テレタフル酸ジメチル100部、エチレングリコール6
0部、酢酸マンガン4水塩0.03部(テレフタル酸ジ
メチルに対して0.024モル%)および整色剤として
酢酸コバルト4水塩0.009部(テレフタル酸ジメチ
ルに対して0.007モル%)をエステル交換釜に仕込
み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から230
℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留出しなが
らエステル交換反応させた。続いて得られた生成物にリ
ン酸トリメチル0.023部(テレフタル酸ジメチルに
対して0.032モル%)を添加し、同時に過剰のエチ
レングリコールの昇温追出しを開始した。10分後重縮
合触媒として三酸化アンチモン0.04部(テレフタル
酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加した。内
温が240℃に達した時点でエチレングリコールの追出
しを終了し、反応生成物を重合缶に移した。1時間かけ
て760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1
時間30分かけて内温を240℃から280℃まで昇温
した。1mmHg以下の減圧下、重合温度280℃で更
に1時間30分重合した。反応終了後ポリマーを常法に
従ってチップ化した。得られたポリマーは[η]=0.
645dl/g、Tm=255℃、b値=1.0、△
[η]=0.32dl/gであった
【0042】[合成例2]ポリエチレンイソフタレート
の合成 イソフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール6
0部を用いて、合成例1と同様の操作を行い、[η]=
0.640dl/g、Tm=247℃、b値=1.6、△
[η]=0.31dl/gのポリエチレンイソフタレー
トを得た。
【0043】[合成例3]ポリエチレンアジペートの合
成 アジピン酸ジメチル100部、エチレングリコール72
部を用いて、合成例2と同様の操作を行い、[η]=
0.673dl/g、Tm=55℃のポリエチレンアジ
ペートを得た。
【0044】[実施例1]充分に乾燥した合成例1で合
成したポリエチレンテレフタレート85部およびリン酸
2水素テトラ−n−ブチルホスホニウム0.12部を窒
素ガス置換した重合釜に仕込み、約20mmHgの弱真
空下285℃で溶融して攪拌混合した。次いで、予め充
分に乾燥した合成例2で合成したポリエチレンイソフタ
レート15部を、一旦攪拌を止めて真空投入し、完全溶
融後、再び攪拌を開始して約20mmHgの弱真空下2
85℃で30分間混合した。得られた変性ポリエステル
は[η]=0.64dl/g、Tm=254℃、b値=
1.3、△[η]=0.31dl/gであった。この変性
ポリエステルを溶融紡糸して得た繊維は優れた高収縮性
を呈すると共に分散染料で染色した際に改善された深色
性と色彩鮮明性を示した。
【0045】[比較例1]実施例1においてリン化合物
として使用したリン酸2水素テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムを使用しない以外は実施例1と同様に操作した。
得られた変性ポリエステルは[η]=0.64dl/
g、Tm=231℃、b値=1.2、△[η]=0.32
dl/gであった。
【0046】[比較例2]実施例1においてリン化合物
として使用したリン酸2水素テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムに代えてリン酸2水素アンモニウムを同モル使用
する以外は実施例1と同様に操作した。得られた変性ポ
リエステルは[η]=0.64dl/g、Tm=254
℃、b値=10.5、△[η]=0.41dl/gであっ
た。
【0047】[比較例3]実施例1においてリン化合物
として使用したリン酸2水素テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムに代えてリン酸2水素−n−オクチルトリ−n−
ブチルホスホニムウを同モル使用する以外は実施例1と
同様に操作した。得られた変性ポリエステルは、[η]
=0.63dl/g、Tm=252℃、b値=11.2、
△[η]=0.43であった。
【0048】[実施例2〜7]実施例1においてリン化
合物として使用したリン酸2水素テトラ−n−ブチルホ
スホニウムに代えて表1記載のリン化合物を同モル添加
する以外は実施例1と同様に操作した。結果を表1に示
した。
【0049】
【表1】
【0050】[実施例8] 充分に乾燥した合成例1で合成したポリエチレンテレフ
タレート85部およびリン酸2水素テトラ−n−ブチル
ホスホニウム0.12部を窒素ガス置換した重合釜に仕
込み、約20mmHgの弱真空下285℃で溶融して撹
拌混合した。次いで、予め充分に乾燥した合成例3で合
成したポリエチレンアジペート15部を、一旦撹拌を止
めて真空投入し、完全溶融後、撹拌を再始動して約20
mmHgの弱真空下285℃で30分間混合した。得ら
れた変性ポリエステルは[η]=0.64dl/g、
=254℃、b値=1.5、△[η]=0.31dl/
gであった。
【0051】[比較例4]実施例8においてリン化合物
として使用したリン酸2水素テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムを使用しない以外は実施例8と同様に操作した。
得られた変性ポリエステルは[η]=0.64dl/
g、Tm=228℃、b値=1.5、△[η]=0.52
dl/gであった。
【0052】
【発明の効果】本発明の変性ポリエステルの製造方法に
よれば、2種以上のポリエステルを溶融混合してもエス
テル交換反応が停止または抑制され、かつ生成した変性
ポリエステルの着色および耐加水分解性の低下が実質的
に生じない。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)、(2)、(3)および
    (4) 【化1】 (上記式中、Xは窒素原子または燐原子であり、R1
    2、R3およびR4は、各々独立に、炭素数1〜4のア
    ルキル基またはフェニル基である)で示される化合物群
    から選択される少なくとも1種のリン化合物の存在下
    に、2種以上のポリエステルを溶融混合することを特徴
    とする変性ポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 リン化合物を、溶融混合する2種以上の
    ポリエステルの合計量に対して0.001〜1重量%存
    在させる請求項1に記載の変性ポリエステルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 溶融混合するポリエステルが、ポリエチ
    レンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレー
    ト、ポリエチレンナフタレートおよびポリシクロヘキサ
    ンジメチレンテレフタレートから選択される1種の芳香
    族ホモポリエステルと変性成分としてイソフタル酸、セ
    バシン酸およびアジピン酸から選択される少なくとも1
    種のジカルボン酸成分を含有する1種以上の変性成分含
    有ポリエステルである請求項1または2に記載の変性ポ
    リエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香族ホモポリエステルが全ポリエステ
    ルの合計量の50〜99重量%を占める請求項3に記載
    の変性ポリエステルの製造方法。
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